JP2005306957A - デセンオリゴマー水素化物からなる潤滑油用基油、潤滑油組成物およびデセンオリゴマー水素化物の製造方法 - Google Patents

デセンオリゴマー水素化物からなる潤滑油用基油、潤滑油組成物およびデセンオリゴマー水素化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温(40℃)で低粘度であり、粘度指数および低温流動性に優れ、且つ、高い引火点を有する潤滑油用基油およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 (A)40℃における動粘度が16mm2/s以下、(B)引火点が225℃以上、(C)流動点が−50℃以下であるデセンオリゴマー水素化物からなる潤滑油用基油および、(a)触媒として周期律表第4族元素を含有し共役炭素5員環を有する錯体を、助触媒として酸素含有有機アルミニウム化合物を使用して、デセンをオリゴマー化する工程、(b)オリゴマー化物をアルカリで処理する工程、(c)オリゴマーを200℃以下の温度で水素化処理する工程および(d)水素化処理されたオリゴマーを蒸留する工程を有するデセンオリゴマー水素化物の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、潤滑油用基油、潤滑油組成物およびデセンオリゴマー水素化物の製造方法に関し、詳しくは、低粘度、低温流動性および高引火点を有する潤滑油用基油、潤滑油組成物および、その潤滑油用基油に用いられるデセンオリゴマー水素化物の効果的な製造方法に関するものである。
近年、コピー装置、ファックス装置、オモチャなどの歯車、軸受けシャフト、等機械部品には、機械的強度、軽さ、価格の安さから、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート−ABS系樹脂などの樹脂の成形物が幅広く用いられ、単独で又は金属製の機械部品と組み合わされて利用されている。これら機械部品の防錆及び潤滑のために、エステル系化合物やジエステル系化合物、又は鉱油を主成分とする潤滑油に防錆剤を添加した防錆潤滑組成物が用いられてきた。
しかし、上記のエステル系化合物やジエステル系化合物などに防錆剤を添加した防錆潤滑組成物は、最近になって、ケミカルアタックと呼ばれる影響をプラスチック製品に与え、プラスチック製の歯車、軸受けシャフト等の機械部品を損傷したり、クラックを生じさせたりすることが判明してきた。このため、基油として脂肪族2価アルコールの飽和脂肪族モノカルボン酸ジエステルを用いることや、ポリオレフィン等の炭化水素からなる基油に特定の炭酸エステルやオキシ脂肪酸オリゴマーなどを配合することが提案されている(例えば、特許文献1、2および3参照)。
ところで、デセンのオリゴマー化としては、これまで酸触媒(BF3等)が用いられ、粘度が高い割には、引火点の低いデセントリマー水素化物が製造されている(例えば、特許文献4参照)。また、最近、デセンのオリゴマー化による脱ろう系の潤滑油が登場してきたが、動粘度を合わすことは出来ても、同じ動粘度では、引火点を高くした低温流動性のある潤滑油は得られていない(例えば、特許文献5参照)。
なお、プラスチック成形物用防錆潤滑組成物としては、デセンオリゴマーなどの合成炭化水素油に、防錆添加剤を配合したものや、増ちょう剤と極圧剤を配合したグリース組成物などが提案されている(例えば、特許文献6および7参照)。
デセンオリゴマーの製造方法としては、メタロセン触媒を用いて数平均分子量500〜200000のデセンオリゴマーを製造し、必要に応じて引き続き水素添加して、潤滑油用基油として用いることが知られている(例えば、特許文献8参照)。
特開2003−321691号公報 特開平10−36870号公報 特開平11−199885号公報 特表平10−504326号公報 特表2002−502436号公報 特開2003−239954号公報 特開2002−69474号公報 特表2002−518582号公報
特に情報機器関連等の潤滑油には、低温(40℃)で低粘度であり、粘度指数および低温流動性に優れ、且つ、高沸点で高い引火点を有する潤滑油が求められている。前述のように潤滑油用基油としてデセンオリゴマーが用いられるが、低温で低粘度である潤滑油は得られていない。 また、基油(合成炭化水素油)が低温で低粘度であれば、防錆剤、粘度指数向上剤の添加に伴う粘度上昇に対処できる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、低温で低粘度であり、粘度指数および低温流動性に優れ、且つ、高い引火点を有する潤滑油用基油、潤滑油組成物および潤滑油用基油に用いられるデセントリマー水素化物の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有するデセンオリゴマー水素化物が潤滑油用基油として優れており、このデセンオリゴマー水素化物はメタロセン触媒を用いてオリゴマー化し、アルカリ処理した後、特定の条件で水素化処理して精製することにより得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(1)、(A)40℃における動粘度が16mm2/s以下、(B)引火点が225℃以上、(C)流動点が−50℃以下であるデセンオリゴマー水素化物からなることを特徴とする潤滑油用基油、
(2)、デセンオリゴマー水素化物の90質量%以上がデセントリマー水素化物である(1)の潤滑油用基油、
(3)、基油として、(1)又は(2)の潤滑油用基油を用いたことを特徴とする潤滑油組成物、
(4)、(a)触媒として周期律表第4族元素を含有し共役炭素5員環を有する錯体を、助触媒として酸素含有有機アルミニウム化合物を使用して、デセンをオリゴマー化する工程、(b)オリゴマー化物をアルカリで処理する工程、(c)オリゴマーを200℃以下の温度で水素化処理する工程および、(d)水素化処理されたオリゴマーを蒸留する工程を有することを特徴とするデセンオリゴマー水素化物の製造方法、
(5)、(4)の製造方法で得られたことを特徴とするデセンオリゴマー水素化物、
および
(6)、デセンオリゴマー水素化物が、(5)のデセンオリゴマー水素化物である(1)又は(2)の潤滑油用基油
を提供するものである。
本発明によれば、40℃における動粘度が低く、高引火点を有する低温流動性のある潤滑油用基油(合成炭化水素油)が得られる。このように合成炭化水素油が低温で低粘度であれば、防錆剤、粘度指数向上剤の添加に伴う粘度上昇に対処できることから、本発明の潤滑油用基油は、軸受け油、プラスチック成形物用防錆潤滑組成物、織物繊維仕上げ剤(乳化剤組成物)などに用いることができる。
まず、本発明の潤滑油用基油は、(A)40℃における動粘度が16mm2/s以下、(B)引火点が225℃以上、(C)流動点が−50℃以下であるデセンオリゴマー水素化物からなるものである。
デセンオリゴマー水素化物製造の原料には1−デセンが用いられる。特許文献1には「1−デセンの重合体を水素化処理して得られるポリ−α−オレフィン(デセンオリゴマー水素化物)は、高温安定性に優れるが、低温時の粘度上昇が大きく、また低温時の流動抵抗が大きく、低温流動性を満足しない。」([0002])と記載されているが、これに対して本発明の潤滑油用基油におけるデセンオリゴマー水素化物は、後述する方法により製造され、低温時の粘度(流動抵抗)が小さく、低温流動性を有するものである。
本発明の潤滑油用基油の(A)40℃における動粘度は16mm2/s以下、好ましくは11〜16mm2/sである。このように低温における動粘度が小さければ、軸受けの起動時などに容易に対応することができ、このように低粘度であれば、防錆剤、粘度指数向上剤の添加に伴う粘度上昇に対処できる。
また、本発明の潤滑油用基油の(B)引火点は225℃以上、好ましくは230℃以上である。本発明の潤滑油用基油は引火点が高いので熱安定性に優れており、高温の厳しい環境での使用に耐えることができる。なお、この引火点はCOC法(JIS K 2265)によって測定される。
本発明の潤滑油用基油の(C)流動点は−50℃以下である。このように本発明の潤滑油用基油は、低粘度で幅広い温度範囲で長時間にわたって優れた潤滑性を示すことから、特に、焼結含浸軸受または流体用軸受として、或いは高温、高速回転で使用される転がり軸受等に封入されるグリースの基油としてなどに好適に使用することができる。
なお、本発明の潤滑油用基油は、デセンオリゴマーの水素化物の90質量%以上がデセントリマー水素化物であることが好ましい。このようにデセントリマー水素化物の濃度が高く、高純度のデセントリマー水素化物とすることによって、低温における動粘度が小さくなり、高引火点で低温流動性のある潤滑油用基油が得られる。
本発明の潤滑油組成物は、前記のデセンオリゴマー水素化物を基油とするものであり、これに酸化防止剤、極圧剤、防錆剤、金属腐食防止剤、油性剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、付着性向上剤などの添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することにより製造される。これらの添加剤の配合量は、通常、基油のデセンオリゴマー水素化物に対して、それぞれ0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
次に、本発明の潤滑油用基油に用いられるデセンオリゴマー水素化物の製造方法について説明する。
まず、(a)工程のデセンをオリゴマー化する工程における原料のデセンは、直鎖状1−デセンであり、これを単独で、または1−デセンの量に対して40モル%以下、特に20モル%以下、殊に5モル%以下の他の直鎖状のC8〜C12−1−アルケン(1−オクテン、1−ノネン、1−ウンデセンおよび1−ドデセンの中から選ばれる少なくとも一種)と混合してオリゴマー化できる。これらの1−アルケンは化学的に純粋のもの(通常は純度99〜99.9質量%)として、または通常90〜99質量%の純度での工業的混合物として使用できる。その際、工業的混合物中に残留する成分は通常はほぼ等しい揮発性の、重合性または非重合性の成分(例えば不飽和異性体、同族体または飽和炭化水素)である。使用される1−アルケンは一般に実質的に揮発性成分を含有せず、特により揮発性の飽和または不飽和の炭化水素、殊に8個未満の炭素原子を有するものを含有しないものである。なお、この実質的に含有しないとは、かかる揮発性成分の最大の可能な割合が1質量%未満、特に0.5質量%未満であることを意味する。
(a)のデセンをオリゴマー化する工程には、触媒として周期律表第4族元素を含有し共役炭素5員環を有する錯体、すなわち、メタロセン錯体が用いられると共に、助触媒として、酸素含有有機アルミニウム化合物が用いられる。
なお、トリエチルアルミニウムを単独で用い、160℃程度の高温デセンのオリゴマー化を行っても、デセンオリゴマー化物が得られるが、生成物はダイマーであり、トリマーは殆ど得られない。
前記メタロセン錯体における周期律表第4族元素としては、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムが用いられ、特にジルコニウムが好ましい。また、共役炭素5員環を有する錯体は、置換又は無置換のシクロペンタジエニル配位子を有する錯体が一般に用いられる。
メタロセン錯体としては、従来公知の化合物の中から、適宜選択して用いることができる。好適なメタロセン錯体の例としては、ビス(n−オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス[(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチリデン−ビスインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドおよびビス[3,3(2−メチル−ベンズインデニル)]ジメチルシランジイルジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
このようなメタロセン錯体は、簡単な公知の方法(例えばBrauer(ed.):Handbuch der Praeparativen Anorganischen Chemie, Volume 2, 3rd edition, pages 1395 to 1397, Enke, Stuttgart 1978に記載の方法)によって合成できる。好適に置換されているシクロペンタジエニルのリチウム塩から出発して、これを遷移金属ハロゲン化物と反応させる方法が有利である。
オリゴマー化反応において1種のメタロセン錯体のみを使用することが得策であるが、種々のメタロセン錯体の混合物を使用してもよい。
一方、助触媒の酸素含有有機アルミニウム化合物としては、例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサンなどが挙げられる。これらは、一種を用いても良く、二種以上を組合せて用いても良い。なお、この酸素含有有機アルミニウム化合物の代わりに、セスキアルミニウムクロリドのような有機アルミニウム化合物を用いると、オリゴマー化反応は進行しない。
メタロセン錯体と助触媒との配合割合は、デセンダイマー、トリマーおよびテトラマーの生成比を決める重要な因子であり、従って、本発明においては、メタロセン錯体:助触媒のモル比は、通常、1:1000〜1:5であり、好ましくは、1:200〜1:
10である。
デセンオリゴマーは、オレフィンのオリゴマー化のために使用される通常の反応器中でバッチ式でも良いが、連続的で有利に製造できる。連続的に作動する撹拌容器が好適に用いられ、場合により直列に連結された複数の撹拌容器を使用してもよい。
オリゴマー化において溶媒は必ずしも必要とせず、オリゴマー化は、懸濁液、液体モノマー或いは不活性溶媒中で実施できる。溶媒中でのオリゴマー化の場合には、液体有機炭化水素、例えばベンゼン、エチルベンゼン、トルエンなどが使用される。オリゴマー化は液体モノマーが過剰に存在する反応混合物中で実施することが好ましい。
オリゴマー化の条件は、温度が15〜100℃程度であり、圧力は大気圧〜0.2MPa程度である。
オリゴマー化反応の後処理として、水、アルコール類を加えるか、あるいはハロゲンを含まない酸処理を行う公知の方法により失活処理を行い、オリゴマー化反応を停止する。
オリゴマー化の段階で生じた副反応生成物のデセン異性化体については、ストリッピングにより、オリゴマー化反応の後に除去しても良いが、オリゴマー化物を分離せずに水添処理後に、オリゴマー水素化物の蒸留時に除去しても良い。
次に(b)工程のオリゴマー化物をアルカリ処理する工程として、アルカリ水溶液ないしアルコールアルカリ溶液を用いて触媒成分を除去する。
後の(d)工程の蒸留工程において、系内にハロゲンおよび触媒の残渣が残留すると、本発明の潤滑油用基油における(A)、(B)および(C)の物性のものを得ることが困難となる。そのため、ハロゲンおよび触媒の残渣が完全に除去できるように、オリゴマー化の後処理としてアルカリ処理が行われる。
(b)工程において用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを挙げることができ、アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノールなどを挙げることができる。アルカリ水溶液のpHは9以上を用い、アルカリ処理の温度は20〜100℃程度である。
メタロセン触媒によって製造されるデセンオリゴマーは、オリゴマー化の機構のため二重結合を有し、その際、末端ビニリデン二重結合の含量は特に高い。これらの二重結合がエンジン油または潤滑油としての使用を妨げると考えられているので、これらは通常の水素化プロセスによって飽和構造に変換する。
(c)工程のオリゴマーを水素化処理する工程では、公知のNi、Co系触媒や、Pd、Pt等の貴金属触媒が用いられる。たとえば、珪藻土担持Ni触媒、コバルトトリスアセチルアセトナート/有機アルミニウム触媒、活性炭担持パラジウム触媒、アルミナ担持白金触媒などを挙げることができる。
水素化条件は温度が200℃以下であり、Ni系触媒であれば、通常150〜200℃、Pd、Pt等の貴金属触媒であれば、通常50〜150℃、コバルトトリスアセチルアセトナート/有機アルミニウム等の均一系還元剤であれば、通常20〜100℃の温度範囲とし、水素圧は常圧〜20MPa程度とする。
Ni系触媒での水素化には反応温度を上げる必要が生じるが、200℃を越えると、トリマーの水素化物の純度が低下し、各種異性体が得られ、引火点が下がるので、200℃以下とする。このような現象はPtやPd等の貴金属触媒でも見られ、貴金属触媒では150℃を越える高温で水素化反応を行わないようにする。また、水素化反応の温度が各々の下限温度より低ければ、反応速度が極めて遅くなる。
オリゴマー化の生成物としては、デセントリマーの他に、デセンダイマーやデセンテトラマーが含有する。これらの三種類の化合物群は、オリゴマー化の段階では、二重結合の位置異性体が生じるため、それぞれ複数の化合物となるが、水添すればそれぞれデセンダイマー、トリマーおよびテトラマーの水素化物となる。上記の(a)、(b)及び(c)工程により、オリゴマー化および後処理を行えば、デセンオリゴマー水素化物は、デセントリマー水素化物が通常95質量%以上となり、ほぼ単一の化合物となる。
(d)工程の水素化処理されたオリゴマーを蒸留する工程は、これらのデセンオリゴマーから本発明の潤滑油用基油として好適なデセントリマー留分を分離するものであり、一般的な単蒸留でも良く、温度は180〜450℃程度、圧力は0.01〜100kPa程度である。
次に、本発明を実施例および比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるデセンオリゴマー水素化物の物性測定は、以下の基準に従って評価した。
(1)40℃/100℃の動粘度および粘度指数:JIS K 2283
(2)引火点: JIS K 2265
(3)流動点: JIS K 2269
実施例1
(1)デセンのオリゴマー化
内容積5リットルの三つ口フラスコに、不活性ガス気流下、デセンモノマー(出光石油化学(株)製:リニアレン10)4リットル(21.4モル)を仕込み、更に、トルエンに溶解したビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド(錯体質量1168mg:4ミリモル)と同じくトルエンに溶解したメチルアルモキサン(Al換算:40ミリモル)を添加した。これらの混合物を40℃に保ち、20時間攪拌を行った後、メタノール20mlを添加してオリゴマー化反応を停止させた。次いで、反応混合物をオートクレーブから取出し、これに5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液4リットルを添加し、室温で強制攪拌を4時間した後、分液操作を行なった。上層の有機層を取出し、未反応のデセンおよび副反応生成物のデセン異性体をストリッピングして除去した。
(2)デセンオリゴマーの水素化
内容積5リットルのオートクレーブに、窒素気流下、(1)で製造したデセンオリゴマー3リットルを入れ、トルエンに溶解させたコバルトトリスアセチルアセトナート(触媒重量3.0g)とトルエンで希釈したトリイソブチルアルミニウム(30ミリモル)を添加した。添加後、水素で系内を2回置換してから、昇温し、反応温度80℃で、水素圧を0.9MPaに保持した。水素化は発熱を伴いながら直ちに進行し、反応開始後4時間の時点で降温し、反応を停止した。その後、脱圧し、内容物を取出してから、反応生成物を単蒸留し、留出温度240〜270℃、圧力530Paの留分を分離した。得られたデセントリマー水素化物の収量は120mlであり、原料のデセンモノマーに対する収率は3質量%である。
得られたデセントリマー水素化物を物性測定した結果を第1表に示す。また、該デセントリマー水素化物をガスクロマトグラフで分析した結果を図1に示す。このチャートから、得られたデセントリマー水素化物は、高純度のほぼ単一な化合物であることが分かる。
比較例1
特許文献4の実施例1の方法により、触媒にBF3を用いてデセンモノマー(出光石油化学(株)製:リニアレン10)をオリゴマー化した。 得られた反応混合物を上記の(2)と同様の方法で水素化した後、反応生成物を単蒸留し、実施例1と同様に、留出温度240〜270℃、圧力530Paの留分を分離した。
得られたデセントリマー水素化物を物性測定した結果を第1表に示す。また、該デセントリマー水素化物をガスクロマトグラフで分析した結果を図2に示す。このチャートから、得られたデセントリマー水素化物は、無数の化合物からなる混合物であることが分かる。
Figure 2005306957
実施例1及び比較例1で製造したデセントリマー水素化物の動粘度、粘度指数、引火点及び流動点を測定した結果を示す第1表より、実施例1で得られたデセントリマー水素化物は、比較例1で得られたデセントリマー水素化物と比較して、低温での動粘度が低く、かつ、粘度指数の良い性質を有する潤滑油であり、且つ、低温で低粘度であるにも拘らず、引火点が高く、低温流動性にも優れていることが分かる。
実施例1で得られたデセントリマー水素化物をガスクロマトグラフで分析した結果のチャートを示す。 比較例1で得られたデセントリマー水素化物をガスクロマトグラフで分析した結果のチャートを示す。

Claims (6)

  1. (A)40℃における動粘度が16mm2/s以下、(B)引火点が225℃以上、(C)流動点が−50℃以下であるデセンオリゴマー水素化物からなることを特徴とする潤滑油用基油。
  2. デセンオリゴマー水素化物の90質量%以上がデセントリマー水素化物である請求項1に記載の潤滑油用基油。
  3. 基油として、請求項1又は2に記載の潤滑油用基油を用いたことを特徴とする潤滑油組成物。
  4. (a)触媒として周期律表第4族元素を含有し共役炭素5員環を有する錯体を、助触媒として酸素含有有機アルミニウム化合物を使用して、デセンをオリゴマー化する工程、
    (b)オリゴマー化物をアルカリで処理する工程、
    (c)オリゴマーを200℃以下の温度で水素化処理する工程および、
    (d)水素化処理されたオリゴマーを蒸留する工程
    を有することを特徴とするデセンオリゴマー水素化物の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法で得られたことを特徴とするデセンオリゴマー水素化物。
  6. デセンオリゴマー水素化物が、請求項5に記載のデセンオリゴマー水素化物である請求項1又は2に記載の潤滑油用基油。

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