JP2005305317A - 積層塗膜および塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】派手さを抑制したモルフォ感を呈する積層塗膜および塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】被塗物10の表面に形成された下地層20,21と、下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層30と、着色塗膜層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40と、を少なくとも有する。
【選択図】 図1
【解決手段】被塗物10の表面に形成された下地層20,21と、下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層30と、着色塗膜層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40と、を少なくとも有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、派手さを抑制したモルフォ感を呈する新規な意匠性を備えた積層塗膜および塗膜形成方法に関する。
自動車ボディの上塗り塗装としては、着色顔料のみによって所定の色彩を呈するソリッド塗膜、着色顔料とアルミ顔料とを含有することで着色顔料による色彩に加えてアルミ顔料によるキラキラ感を呈するメタリック塗膜、着色顔料を含有するカラーベース塗膜上にマイカ(雲母)片を含有するマイカベース塗膜を形成することでそれぞれの塗膜で反射する光の干渉作用によりメタリック塗膜のキラキラ感よりも柔らかい反射光が得られるパールカラー塗膜などが実用化されている。
また、屈折率の異なる2種類のポリマー積層体による光の反射干渉作用を利用した特殊な透明光輝材を含有させ、モルフォ蝶の羽の発色に似た特殊な光輝感(本明細書にてモルフォ感ともいう。)を呈する上塗り塗装も提案されている(特許文献1)。
しかしながら、屈折率の異なる2種類のポリマー積層体による光の反射干渉作用を利用した特殊な透明光輝材を含有した上塗り塗膜は、確かに今までの上塗り塗膜にはない新規なモルフォ感を呈するが、その光輝感が派手過ぎ、採用して好ましい車種が限定されるといった問題があった。
特開2001−104871号公報
本発明は、派手さを抑制したモルフォ感を呈する積層塗膜および塗膜形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、被塗物の表面に形成された下地層と、前記下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、前記着色塗膜層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
上記目的を達成するために、本発明によれば、被塗物の表面に形成された下地層と、前記下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、前記着色塗膜層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
また、本発明によれば、被塗物の表面に形成された下地層と、前記下地層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層と、前記光輝材塗膜層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
また、本発明によれば、被塗物の表面に形成された下地層と、前記下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材と、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
また、本発明によれば、被塗物の表面に下地層を形成する工程と、前記下地層の表面に、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、前記着色塗膜層の表面に、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
また、本発明によれば、被塗物の表面に下地層を形成する工程と、前記下地層の表面に、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、前記光輝材塗膜層の表面に、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
また、本発明によれば、被塗物の表面に下地層を形成する工程と、前記下地層の表面に、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材と、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
本発明では、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層により光輝感を出す一方、着色塗膜層に平均粒子径が30nm〜300nmの微粒化着色材を用いることで彩度を高める。
そして、光輝材塗膜層が発色する様々な色相の光に対し,着色塗膜層の微粒化着色材がフィルタの役目を果たし、微粒化着色材と異なる色相系の光を殆ど吸収するとともに、微粒化着色材と同じ色相系の光を透過させる。たとえば、赤色の微粒化着色材は、赤色系、橙色系,黄色系の光を発色する光輝材塗膜層と組み合わされることで,橙色系、黄色系の光を殆ど吸収して赤色系の光を透過させる。これにより、派手さが抑制されて派手過ぎない、モルフォ感を呈する積層塗膜を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る積層塗膜及び塗膜形成方法は、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層とを有する積層塗膜、又は平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材と上記の透明光輝材を含有する着色塗膜層を有する積層塗膜であればよい。代表的な実施形態を以下に説明するが、本発明の積層塗膜及び塗膜形成方法はこれらの実施形態にのみ限定される趣旨ではなく、したがって、これらの実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
本発明に係る積層塗膜及び塗膜形成方法は、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層とを有する積層塗膜、又は平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材と上記の透明光輝材を含有する着色塗膜層を有する積層塗膜であればよい。代表的な実施形態を以下に説明するが、本発明の積層塗膜及び塗膜形成方法はこれらの実施形態にのみ限定される趣旨ではなく、したがって、これらの実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
第1実施形態(図1)および第2実施形態(図2)
図1は本発明の第1実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された着色塗膜層30と、この着色塗膜層30の表面に形成された光輝材塗膜層40とから構成されている。
図1は本発明の第1実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された着色塗膜層30と、この着色塗膜層30の表面に形成された光輝材塗膜層40とから構成されている。
被塗物10としては、鋼板やアルミニウム板などの各種金属材料製部材のほか、プラスチック製部材も適用することができる。この被塗物は、自動車ボディや自動車用部品のほか、家電製品としても利用することができる。
電着塗膜層20は、カチオン型電着塗料又はアニオン型電着塗料に被塗物10を浸漬し、所定の電圧を被塗物10と電着塗料との間に印加することで、電気泳動作用により未硬化塗膜が被塗物10の表面に形成され、これをたとえば160℃〜180℃で15分〜30分焼き付けることで硬化塗膜が形成される。被塗物10の種類や目的によっても相違するが、電着塗膜層20の膜厚はたとえば10〜40μmである。
中塗り塗膜層21は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて電着塗膜層20の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。被塗物の種類や目的によっても相違するが、中塗り塗膜層21の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
なお、図2は本発明の第2実施形態に係る積層塗膜を示す断面図であるが、この例では中塗り塗膜層21を省略し、電着塗膜層20の表面に直接、後述する着色塗膜層30を形成する。その他の構成、電着塗膜層20、着色塗膜層30および光輝材塗膜層40は第1実施形態と同じである。
このように、被塗物の種類や目的に応じて中塗り塗膜層21を省略することができる。またこれに代えて、電着塗膜層20を省略し、被塗物10の表面に直接中塗り塗膜層21を形成することもできる。
図1に戻り、着色塗膜層30は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
特に本実施形態に係る着色塗膜層30には、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材が含まれる。微粒化着色材の平均粒子径が30nmより小さいと、着色材の種類やグレードによっては耐候性に影響が生じるおそれがあり、また平均粒子径が300nmを超えると着色材としての鮮やかさや透明性が損なわれ高彩度化を実現することができない。
一般的に塗料に使用される着色材の平均粒子径は500nm〜10μmであり、塗膜に光が入射すると白色の拡散反射光が発生し、これが彩度を低下させる原因であると考えられる。そこで、こうした従来径の着色材を用いて彩度を高めるために、塗料に添加する着色材の濃度を低くすることが効果的であるが、着色材の濃度を低くすると膜厚変動に対する色差ΔEも大きくなり、膜厚管理がシビアになったり、いわゆる額縁現象(被塗物の端縁は一般面に比べて厚膜になるので一般面と端縁に色差が生じるといった現象)と称される問題が生じたりした。
この点につき、本実施形態に係る着色塗膜層30では、着色材の濃度を維持しつつ着色材の粒子径を小さくすることで彩度低下の原因となる拡散反射光の発生を抑制する。これにより、膜厚変動による色差の変動を小さくすることができるとともに、彩度を高めることができる。
また、本実施形態に係る着色塗膜層30には、上述した微粒化着色材が樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜20%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が20%を超えると着色塗膜層30が黒ずんで見える。なお、ここでいう重量比率とは樹脂固形分重量Aに対する微粒化着色材の重量B、すなわちB/A(%)をいう。
ちなみに、この着色塗膜層30に含まれる着色材は微粒化着色材にのみ限定されず、平均粒子径が300nmを超える着色材が着色塗膜層30の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%の範囲で含まれても良い。ただし、微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが必要とされる。平均粒子径が300nmを超える着色材が3重量%を超えたり、あるいは微粒化着色材の含有比が1.5倍未満であったりすると、本発明の目的とする高彩度塗膜を実現することができないからである。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、着色塗膜層30の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
光輝材塗膜層40は、後述するような屈折率の異なる少なくとも2種類のポリマーを交互、あるいは一定順序に繰り返して積層した多層構造を備えることによって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材401(図7参照)を所定濃度に含有する塗膜層であり、上述した着色塗膜層30の上に形成されたものである。このような着色塗膜層30と光輝材塗膜層40という積層塗膜構造を備えることによって、図6に示すように少なくとも光輝材塗膜層40の中に入射した光源スペクトルL1が当該光輝材塗膜層40中に散在する透明光輝材401により反射干渉して発色する干渉色Ciと、入射光源スペクトルL1が着色塗膜層30と直接作用して発色する第1の物体色Cb1と、透明光輝材401を透過した光源スペクトルL2が着色塗膜層30と作用して発色する第2の物体色Cb2とが混在することによって色相変化がもたらされることになる。
従来のパールマイカ顔料などにおいては、その隠蔽力を極力高めるために、基材である半透明あるいは不透明のマイカに二酸化チタンなどが被覆され、さらにこの上に金属層を設けたものが多く、半透明体のパールマイカ顔料の場合、入射した光の一部が吸収あるいは反射され、残りの部分が透過光としてパールマイカ顔料から射出されることになるが、その透過光は低強度で、しかも純度に劣ることになる。また、不透明体のパールマイカ顔料の場合には、入射した光が吸収あるいは反射され、透過光がほとんど発生しないので隠蔽力の高いものとなるが、干渉色としては弱いレベルとなる。なお、隠蔽力はパールマイカ顔料を透過する光の量が多いほど小さくなる。
本実施形態で用いられる透明光輝材401は、従来のように半透明体あるいは不透明体からなる基材に二酸化チタンなどを被覆することによって隠蔽力を高めるのではなく、隠蔽力を極力なくすという全く反対の思想に基づいたものであって、透明な少なくとも2種類のポリマーからなる交互多層積層構造を有し、光の反射干渉による発色(干渉色)と、反射干渉以外の光を透過光とした出射光による発色(透過色)の両方を最大限に利用することにより意匠性,装飾性の向上を図るものである。
このような透明光輝材401へ入射した光(入射光)L1は、概ね2つの光路に別れる。1つは透明光輝材401の多層積層部に入り込み、そこから反射干渉作用による干渉色Ci を発する。他の1つは、透明光輝材401自体が透明体であるために反射干渉以外の光が透明光輝材401を透過して、いわゆる純度の高い透過光L2となる。これら2つの光の作用が見る方向によって色相が変わり、しかも強い光沢感と深み感、透明感などの複合質感を呈する新規な積層塗膜構造を提供する役割を担っている。
このような透明光輝材401を含む光輝材塗膜層40を着色塗膜層30上に形成することにより、人が入射光源スペクトルL1の入射側に位置してこの光輝材塗膜層40を眺めた場合、入射光源スペクトルL1が透明光輝材401により反射干渉して発色する強い干渉色Ci 、入射光源スペクトルL1が直接着色塗膜層30と作用して発色する第1の物体色Cb1、さらに、前記透明光輝材401中に、後述するような透過光を完全吸収する迷光吸収層を設けていない場合には、当該透明光輝材401を透過した光源スペクトルL2と着色塗膜層30と作用して発色する第2の物体色Cb2などが全体の発色構成において混在することによって、従来にない独特な質感、すなわち透明感のある色相と強い光沢感、深み感などがもたらされる。また、透明光輝材401を構成する多層積層構造に基づく干渉効果により、見る方向によって色相が変化して見えることになる。なお実際には、これらの光源スペクトルによる発色の他に、透明光輝材401を透過した光源スペクトルがさらに別の透明光輝材401を透過したのち着色塗膜層30に反射するなど、透明光輝材401による反射干渉や透過、さらには着色塗膜層30からの反射を繰り返すことによって複雑な経路を経た出射光も混在することになり、これらによる発色が加わることによってさらに複雑な色相変化がもたらされることになるが、このような出射光は反射や干渉、透過のたびごとに減衰することから、色相変化への影響は比較的少なく、上記した干渉色Ci および第1,第2の物体色Cb1,Cb2の混在による色相変化が支配的なものとなる。
特に、本実施形態では、こうした光輝材塗膜層40の下地に平均粒子径が30nm〜300nmの微粒化着色材を含む着色塗膜層30が形成されているので、第1の物体色Cb1と第2の物体色Cb2などが一般的なカラーベースに比べて柔かな色相を醸し出し、透明光輝材401による干渉色Ciの派手さを緩和抑制することになる。したがって、ユーザ層や車種イメージに拘らず広い範囲の車両外板色に採用することができる。
透明光輝材401は、透過光や干渉光を単に発現するだけに止まらず、干渉光と干渉色以外の透過光とを制御する機能を備えている。すなわち、透明光輝材401を構成する交互の積層構造が強い干渉色を発現するようにしているので、透過光もまた強い透過色を発現することができる。なお、ここでいう制御とは、干渉光や透明光輝材401を透過してきた透過光の強度、言い換えると光透過率やピーク波長を任意に変化させるという意味であって、1種の光強度変換や波長変換機能を有するものであり、例えば、透明光輝材401の積層構造中に無彩色あるいは有彩色系色素を含む層を設けることによってこの機能がより顕著なものとなる。
また、透明光輝材401に色素などを使用しない場合には、入射光源スペクトルL1が透明光輝材401により反射干渉して干渉色特有の極めて透明感のある色味を発すると共に、干渉光以外の透過光L2においても上記干渉色Ci の補色に相当する透明感のある色味を発現し、着色塗膜層30との相互作用による独特の複合色を発現させることができるようになる。
透明光輝材401は、図7に示すような断面構造を有し、例えば2種類のポリマー402および403を交互に多層積層してなるものである。このとき、ポリマー402および403の屈折率をそれぞれna およびnb とし、層厚をda およびdb としたとき、所望の発色(波長λ1の干渉色)を得るためには、na≧1.3、1.01≦nb /na≦1.40の条件下で、一次反射ピーク波長λ1 がλ1 =2(na・da +nb・db )を満たすようにする必要がある。
このような条件を充たすようにλ1 を設計することにより、全色域(紫〜緑〜赤)にわたる色相を発現でき、しかも極めて強い干渉色Ci が得られることになる。
上記の条件のうち、na≧1.3の条件は、交互積層するポリマーの材料特性によるものである。また、1.01≦nb /na なる関係については、2つのポリマーの交互積層構造体を形成する上でのより実用的な製造条件、および可視光線領域において実際に人の目で色味として認識することのできるレベルに基づくものであり、nb /na≦1.40の条件についてはこれも2つのポリマーの交互積層構造体を形成する上での製造条件によるものである。特に、2つのポリマー層の光学的厚み(屈折率×層厚)が等しいとき、すなわちna・da =nb・dbのとき反射率Rが最も大きくなる。
本実施形態において、透明光輝材401を構成するポリマー402,403としては、例えばポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの単体樹脂、あるいはこれらの共重合体樹脂、さらには各種液晶ポリマー樹脂などを用いることができ、これらの中から屈折率の異なる2種類のポリマーを適宜選択して使用することになる。
透明光輝材401におけるポリマーの交互積層数としては、とくに限定されないが、反射・干渉効果および製造上の観点から、5層以上、とりわけ10〜150層の範囲が望ましい。なお、3種類以上のポリマーを用いる場合には、これら3種類以上のポリマーの順序を変えることなく所定の順序に繰り返し積層することが必要となる。
このような積層構造を備えた透明光輝材401を製造する方法としては、公知の各種薄膜形成法が適用可能であり、例えば真空蒸着や電子ビーム蒸着、イオンプレーティング、分子線エピタキシアルなどの物理蒸着法、キャスティングやスピンコート、プラズマ重合、ラングミュア・ブロジェット(LB)などの方法、あるいは溶融,湿式,乾式などの各種紡糸法などを用いることができる。これら、各種薄膜形成法の中でも特に溶融複合法は、紡糸交互積層構造を形成するための特殊な口金を備えた溶融複合紡糸装置を用いることにより、連続して安定かつ生産性良く発色構造体を得ることもでき、例えば、必要に応じて延伸処理を施すことによって所望の断面寸法としたのち、所定長さに切断して使用することができる。
本実施形態に係る積層塗膜構造において、透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40を形成するバインダー樹脂としては、透過性を有する樹脂系が望ましく、塗膜形成性ポリマーとして一般に知られているものを用いることができる。すなわち、塗膜形成ポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂などがある。硬化剤としては、例えばアルコキシメチロールメラミン樹脂、イソシアネート化合物またはブロックイソシアネート化合物、ポリ酸無水物、ポリエポキシ化合物などがある。また、上記ポリマーや硬化剤を溶解または分散させる溶剤も塗料用として使用されるものであって、例えばトルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが使用可能である。また、無溶剤系塗料として水を使用することもでき、とくに限定はない。
なお、本実施形態に係る積層塗膜構造においては、透明光輝材401に加え、従来のパールマイカ、あるいは各種の有機顔料,無機顔料などを併用することもでき、さらに分散剤,可塑剤,表面調整剤など、従来から用いられている添加剤を用いることも可能である。しかしながら、有機顔料や無機顔料などを用いると色相に濁りや曇りが生じる場合があるので、添加を避ける方がむしろ望ましい。
本実施形態に係る積層塗膜構造において、透明感のある色相と強い光沢感、深み感などが発現する理由については、現在のところ必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、図6において、光輝材塗膜層40に入射し、さらにこの光輝材塗膜層40中の透明光輝材401に入射した光(光源スペクトルL1 )は、反射干渉作用による発色(干渉色Ci )と、その反射干渉光以外の光を透過光(光源スペクトルL2 )として出射して、各種色相を有する着色塗膜層30に照射されることになる。ここで、透過光L2 は干渉光と同様に位相が制御された干渉色Ci の残光であり、干渉光と同様、極めて純度の高いものとなっている。この透過光L2 はカラーベースBにより一部が吸収されたのち反射され、物体色(第2の物体色Cb2)として光輝材塗膜層40から出射されることになる。一方、光輝材塗膜層40中に入射した光(光源スペクトルL1 )のうち、透明光輝材401に当たることなく直接着色塗膜層30に入射した光は、やはり着色塗膜層30で吸収および反射され、物体色Cb1として光輝材塗膜層40から出射される。このように、概ね3光路の光(干渉色Ci ,物体色Cb1,物体色Cb2)が発生することになるが、色相として人の目に認識されるのは、上記3光路の光の合成として色相を認識する場合と、3光路のうちの1光路の光、例えば干渉色Ci の刺激値が極めて大きければ、これがトリガーとなる色相として認識する場合である。光学的発色である干渉色は、物体色に較べて極めて反射率が高く、刺激値としても大きくなるため、キラキラ感もより発現しやすくなるものと考えられる。
本実施形態に係る積層塗膜構造においては、透明光輝材401の積層構造中に無彩色系色素あるいは有彩色系色素を含有する層を形成することができ、これによって透明光輝材を透過する光の強度(透過率)および波長をより大幅に制御することができるようになる。ここで、無彩色系とはいわゆる色相を持たない色、物体色で、白,灰色,黒の系列の色を意味し、色の3属性(色相,明度,彩度)のうちの明度のみを有している。これに対し、有彩色系とは無彩色系以外の色を指し、上記3属性を備えたものである。
図8は、その積層構造中に、無彩色系色素として透過光をほぼ100%吸収する黒色系色素を含む迷光吸収層を備えた透明光輝材401を用いた光輝材塗膜層40を有する積層塗膜構造およびその発色機構を示すものであって、入射光L1 の一部は透明光輝材401によって干渉光として反射され、干渉色Ci を呈し、干渉光以外の光は迷光吸収層により吸収される。着色塗膜層30に直接入射した光L1は着色塗膜層30の色素により一部の波長の光が吸収されて反射され、物体色Cb1を呈する。したがって、人には、概ねこれら2つの色の加法混色として知覚されることになるが、透明光輝材401間の干渉反射光の合成も若干の影響を及ぼす。
すなわち、迷光吸収層を透明光輝材401の積層構造中に加えることにより、透明光輝材401を透過する光L2 がほとんど遮断されることから、干渉色Ci が強調される結果、迷光吸収層がない場合に較べてより神秘的な色調、質感が得られることになる。
また、図9は、積層構造中に、有彩色系の色素を含む迷光吸収層を備えた透明光輝材401を用いた光輝材塗膜層40を有する積層塗膜構造の発色機構を示すものであって、透明光輝材401への入射光L1 の一部は干渉光を反射して、干渉色Ci を呈し、干渉光以外の光は色素を含む迷光吸収層で特定の波長が吸収され、残りは透過光L3 となり、着色塗膜層30により一部の波長の光が吸収されて反射され、物体色Cb3を呈する。着色塗膜層30に直接入射した光L1 は着色塗膜層30の色素で一部の波長の光が吸収されて反射され、同様に物体色Cb1を呈する。基本的には、これら3つの色の加法混色として人に認識されるが、透明光輝材401間の干渉反射光の合成も同様に認識される色相に若干の影響を及ぼす。
なお、有彩色系の色素に代えて、ある程度の透過性を有する無彩色系の例えば灰色の色素を用いることによって、透過光の波長を変えることなく、透過光の強度のみを調整するようになすことも可能である。
また、本実施形態において使用する透明光輝材401の形状としては特に限定されないが、図7に示すように、2種類のポリマー402および403からなる交互積層部の周囲に、両ポリマー402,403のうちのいずれか一方、あるいはこれらのポリマーとは異なる第3のポリマーからなるクラッド層404を設けることが積層部の剥離防止、耐摩耗性など機械的強度向上の観点から望ましい。また、これらポリマーの組合わせからなる2つのクラッド層、すなわちダブルクラッド層としてもよい。
このとき、透明光輝材の形状については、矩形断面を有し、断面における積層面に垂直な辺の長さAを1とするとき、積層面に平行な辺の長さBが0.8〜25の範囲であると共に、透明光輝材401の長さLが0.8〜4000の範囲とすることが望ましく、これによって、透明光輝材401の生産性や塗装時の塗装性を損なうことなく、反射干渉作用による発色効果が十分に発揮されることになる。すなわち、透明光輝材401の積層面に垂直な辺の長さAに対する水平な辺の長さBの比、および長さAに対する長さLの比が0.8よりも小さい場合には、透明光輝材401を含有する塗膜が被塗装物に付着した際に、構造発色する面が上にならない確率、つまり塗装された状態において透明光輝材401の積層面が光の当る側を向かない確率が増え、反射干渉作用による発色効果が不十分となり、積層面に垂直な辺の長さAに対する水平な辺の長さBの比が25よりも大きい場合には、透明光輝材401の製造時に問題が生じ、特定波長の光を反射する透明光輝材401を安定して得ることができなくなる。さらに、積層面に垂直な辺の長さAに対する透明光輝材401の長さLの比が4000を超えた場合には、塗装に際して塗料中の透明光輝材401が例えばスプレーガンに詰まり、適正な塗装を行うことができなくなる傾向があることによる。
本実施形態に係る積層塗膜構造における透明光輝材401の含有量としては、その反射干渉効果と塗膜性能との兼ね合いから、塗膜全体に対して重量比で0.1〜30%の範囲とすることが望ましい。すなわち、透明光輝材401の含有量が0.1%に満たない場合には、塗膜中に構造発色する要素が少なくなって、色相の変化や奥行き感、深み感が得にくくなり、逆に30%を超えると、顔料濃度が従来の塗膜の範疇を超えることになるため、塗膜の伸び性能などの塗膜物性に悪影響が生じる傾向があるので好ましくない。
こうした透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40は、その塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて着色塗膜層30の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
なお、上述した実施形態では、下地層である電着塗膜層20および中塗り塗膜層21,着色塗膜層30,光輝材塗膜層40の4層それぞれについて焼き付け硬化させたが、2つ以上の層をウェットオンウェットで塗装し、同時に複数の層を焼き付け硬化させても良い。たとえば、電着塗膜層20と中塗り塗膜層21、中塗り塗膜層21と着色塗膜層30、着色塗膜層30と光輝材塗膜層40、中塗り塗膜層21と着色塗膜層30と光輝材塗膜層40などをウェットオンウェット塗装として例示することができる。
本例の積層塗膜によれば、微粒化着色材を含有する着色塗膜層30の表面に、透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40が設けられているので、積層塗膜を正面から観察すると光輝材塗膜層40の透明光輝材401によってモルフォ感が感じられる一方で、積層塗膜を斜めから観察すると光輝材塗膜層40の透明光輝材401の間ないしはそれ自体を通過して下層の着色塗膜層30の色相が見えることになる。したがって、見る角度によって色相が異なる意匠であって、モルフォ感が派手過ぎない落ち着いたイメージを醸し出す意匠性を有する積層塗膜を得ることができる。
第3実施形態(図3)
図3は本発明の第3実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1実施形態および第2実施形態に係る積層塗膜は、光輝材塗膜層40の表面にクリヤ塗膜層を形成しない積層塗膜であるが、本発明の積層塗膜は、光輝材塗膜層40の表面に1層又は2層以上のクリヤ塗膜層50を有する積層塗膜に具現化することもできる。
図3は本発明の第3実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1実施形態および第2実施形態に係る積層塗膜は、光輝材塗膜層40の表面にクリヤ塗膜層を形成しない積層塗膜であるが、本発明の積層塗膜は、光輝材塗膜層40の表面に1層又は2層以上のクリヤ塗膜層50を有する積層塗膜に具現化することもできる。
すなわち、図3に示す本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された着色塗膜層30と、この着色塗膜層30の表面に形成された光輝材塗膜層40と、この光輝材塗膜層40の表面に形成されたクリヤ塗膜層50とから構成され、クリヤ塗膜層50が存在する点が上述した第1実施形態と相違する。なお、電着塗膜層20、中塗り塗膜層21、着色塗膜層30および光輝材塗膜層40については上述した第1実施形態と同じ構成であるためその詳細な説明は省略する。
本実施形態に係るクリヤ塗膜層50は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて、未硬化の光輝材塗膜層40の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
なお、図示する実施形態では、クリヤ塗膜層50を1層としたが、これを繰り返し塗装して、2層以上のクリヤ塗膜層50を形成しても良い。
また、上述した実施形態では、光輝材塗膜層40とクリヤ塗膜層50の2層をウェットオンウェットで塗装し、同時に複数の層を焼き付け硬化させたが、本発明の積層塗膜はこれにのみ限定されず、光輝材塗膜層40を焼き付け硬化させたのち、クリヤ塗膜層50を塗装し焼き付け硬化させても良い。
なお、図3に示す積層塗膜から中塗り塗膜層21を省略し、電着塗膜層20の表面に直接着色塗膜層30、光輝材塗膜層40およびクリヤ塗膜層50を形成してもよい。またこれに代えて、電着塗膜層20を省略し、被塗物10の表面に直接中塗り塗膜層21を形成し、その上に着色塗膜層30、光輝材塗膜層40およびクリヤ塗膜層50を形成してもよい。
第4実施形態(図4)
図4は本発明の第4実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1〜第3実施形態に係る積層塗膜は、着色塗膜層30の表面に光輝材塗膜層40を形成した積層塗膜であるが、本発明の積層塗膜は、これを逆にして光輝材塗膜層40の表面に着色塗膜層30とすることもできる。
図4は本発明の第4実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1〜第3実施形態に係る積層塗膜は、着色塗膜層30の表面に光輝材塗膜層40を形成した積層塗膜であるが、本発明の積層塗膜は、これを逆にして光輝材塗膜層40の表面に着色塗膜層30とすることもできる。
すなわち、図4に示す本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された光輝材塗膜層40と、この光輝材塗膜層40の表面に形成された着色塗膜層30とから構成され、着色塗膜層30と光輝材塗膜層40とが逆転している点が上述した第1実施形態と相違する。なお、電着塗膜層20、中塗り塗膜層21、着色塗膜層30および光輝材塗膜層40については上述した第1実施形態と同じ構成であるためその詳細な説明は省略する。
このように構成した第4実施形態に係る積層塗膜では、透明光基材401を含有する光輝材塗膜層40の表面に微粒化着色材を含有する着色塗膜層30が形成されているので、透明光輝材401による強い干渉色Ciが着色塗膜層30によってより抑制され、モルフォ感の派手さがより一層緩和されることになる。
なお、着色塗膜層30の表面に1層又は2層以上のクリヤ塗膜層50を形成してもよい。
第5実施形態(図5)
図5は本発明の第5実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1〜第4実施形態に係る積層塗膜は、微粒化着色材を含有する着色塗膜層30と透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40とを別の塗膜層で構成したが、一つの塗膜層に微粒化着色材と透明光輝材401とを含有させることもできる。
図5は本発明の第5実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1〜第4実施形態に係る積層塗膜は、微粒化着色材を含有する着色塗膜層30と透明光輝材401を含有する光輝材塗膜層40とを別の塗膜層で構成したが、一つの塗膜層に微粒化着色材と透明光輝材401とを含有させることもできる。
すなわち、図5に示す本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された光輝材塗膜層40と、この光輝材塗膜層40の表面に形成された着色塗膜層31と、この着色塗膜層31の表面に形成されたクリヤ塗膜層50とから構成され、着色塗膜層31に微粒化着色材と透明光輝材401が含まれている点と、クリヤ塗膜層50が存在する点が上述した第4実施形態と相違する。なお、電着塗膜層20、中塗り塗膜層21及びクリヤ塗膜層50については上述した第3実施形態と同じ構成であるためその詳細な説明は省略する。
本例の着色塗膜層31には、上述した微粒化着色材が樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜20%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が20%を超えると着色塗膜層30が黒ずんで見える。
また、透明光輝材401は、塗膜全体に対して重量比で0.1〜30%の範囲とすることが望ましい。透明光輝材401の含有量が0.1%に満たない場合には、塗膜中に構造発色する要素が少なくなって、色相の変化や奥行き感、深み感が得にくくなり、逆に30%を超えると、顔料濃度が従来の塗膜の範疇を超えることになるため、塗膜の伸び性能などの塗膜物性に悪影響が生じる傾向があるので好ましくない。
さらにこれら微粒化着色材と透明光輝材との含有比率については、透明光輝材401は、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが好ましい。透明光輝材の含有比率が1.5倍未満であると、所望の色相を有する充分なモルフォ感を呈することができない。
本例の積層塗膜においても、微粒化着色材による彩度の向上と透明光輝材401によるモルフォ感とが相俟って、また微粒化着色材による透明光輝材のモルフォ感の派手さの抑制機能によって、モルフォ感が派手過ぎない落ち着いたイメージを醸し出す意匠性を有する積層塗膜を得ることができる。
以下、本発明をさらに具体化して説明する。
実施例1
板厚0.8mm,大きさ70mm×150mmのダル鋼鈑を被塗物として、これにリン酸亜鉛処理を施してリン酸亜鉛皮膜を形成したのち、カチオン型電着塗料(日本ペイント社製パワートップU−600M)を用いて膜厚が20μmとなるように電着塗装を行い、160℃で30分焼き付け硬化させることで電着塗膜層を形成した。
板厚0.8mm,大きさ70mm×150mmのダル鋼鈑を被塗物として、これにリン酸亜鉛処理を施してリン酸亜鉛皮膜を形成したのち、カチオン型電着塗料(日本ペイント社製パワートップU−600M)を用いて膜厚が20μmとなるように電着塗装を行い、160℃で30分焼き付け硬化させることで電着塗膜層を形成した。
この電着塗膜層の表面に、中塗り塗料(日本油脂社製ハイエピコQX1)を用いて膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分焼き付け硬化させることで中塗り塗膜層を形成した。
アクリル樹脂(大日本インキ化学工業社製アクリディック)を100重量部、オレンジ顔料(クラリアント社製Permanent Orange 3RTN)を10重量部、分散剤(共栄化学社製フローレンG−700)を5重量部、酢酸エチル230重量部を混合したのち、350重量部の粒径1mmのアルミナビーズを加えて混合機(特殊機化工業社製TKオートホモミキサー)にて2時間の分散を行い、平均粒子径を150nmまで微細化した。この微粒化着色材(オレンジ色)をクリヤベース(日本ビーケミカル社製アクリル・メラミン系樹脂)に樹脂固形分に対する重量比率が4%になるように添加し、溶剤としてのシンナー(日本ビーケミカル社製T−536MB)にて希釈して得られた着色塗膜層を構成する着色塗料を、先に形成した中塗り塗膜層の表面に膜厚が20μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分焼き付け硬化させた。
透明光輝材401の交互積層を構成する第1のポリマー402として屈折率1.63のポリエチレンナフタレート(PEN)と、第2のポリマー403として屈折率1.53のナイロン6(Ny−6)を選択し、それぞれ30層ずつ積層すると共に、その周囲をポリエチレンナフタレートからなるクラッド層404で覆うことによって、図7に示すような構造を有し、第1のポリマー402の厚さda =0.072μm、第2のポリマー403の厚さdb =0.077μmの透明光輝材401(干渉色として青色発色する)を得た。このとき、透明光輝材401の寸法比は、両ポリマー402,403の積層面に垂直な辺の長さAを1とするとき、積層面に平行な辺の長さBが4〜5、透明光輝材の長さLが15〜20の範囲となるようにした。
このような構造および寸法の透明光輝材の15重量%(塗膜全体に対して)を2液アクリルウレタンベース塗料(日本ビーケミカル社製、商品名「R−241ベース」)に配合した塗料を得た。そして、このように配合した塗料をさらにアクリルウレタンシンナー(日本ビーケミカル社製、商品名「T−801シンナー」)で、フォードカップ#4で11〜12秒程度の粘度に希釈したのち、着色塗膜層の表面に膜厚が15〜20μmとなるように塗装し、80℃で20分間で焼き付けた。
得られた積層塗膜につき、光輝感を目視にて評価し、光輝感として派手さがなく意匠的に問題がないものを「○」、光輝感が派手過ぎて意匠的に問題があるものを「×」とした。
また、得られた積層塗膜につき、彩度を目視で評価し、従来塗膜に比べて著しく彩度が高いものを「◎」、彩度が高いものを「○」、同等のものを「×」とした。
また、着色塗膜層の膜厚20μmを中心にして、着色塗膜層の膜厚を25μmとしたテストピースと、同じく15μmとしたテストピースを別途作製し、着色塗膜層の膜厚が20μmのテストピースに対する、15μmのテストピースと25μmのテストピースの色差を目視にて評価した。膜厚変動による色差変動が著しく小さいものを「◎」、色差変動が小さいものを「○」、色差変動が大きいものを「×」とした。
さらに、得られた積層塗膜につき、JIS K5600−7−7の促進耐候性試験(XWOM:キセノンウェザオメータ法)を実施し、試験前の色相と試験後の色相とを目視にて評価し、色相変化が著しく小さいものを「◎」、色相変化が小さいものを「○」、色相変化が大きいものを「×」とした。
これら光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差の各評価を、主たる塗膜条件とともに表1に示す。
実施例2
着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を30nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を30nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例3
着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を300nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を300nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
比較例1
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層にオレンジ色の微粒化着色材を含有させない塗料を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層にオレンジ色の微粒化着色材を含有させない塗料を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
比較例2
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層にオレンジ色の微粒化着色材を含有させず、また透明光輝材の含有比率を40重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層にオレンジ色の微粒化着色材を含有させず、また透明光輝材の含有比率を40重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
比較例3
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を1000nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を1000nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
比較例4
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を10nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例1〜3の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を10nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
比較例5
実施例1の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の含有比率を40重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例1の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の含有比率を40重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
比較例6
実施例1の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の含有比率を20重量%にし、透明光輝材の含有比率を10重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
実施例1の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の含有比率を20重量%にし、透明光輝材の含有比率を10重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動による色差を評価した。この結果を表1に示す。
考 察
実施例1〜3および比較例1,2より、着色塗膜層に含有させる着色材の平均粒子径を30nmおよび300nmとしたときは、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動色差ともに良好であったが、比較例1及び2のように着色材を含有させないと派手さが抑制できずに光輝感に問題があり、また彩度も低くなって鮮やかな色相の塗膜が得られなかった。
実施例1〜3および比較例1,2より、着色塗膜層に含有させる着色材の平均粒子径を30nmおよび300nmとしたときは、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動色差ともに良好であったが、比較例1及び2のように着色材を含有させないと派手さが抑制できずに光輝感に問題があり、また彩度も低くなって鮮やかな色相の塗膜が得られなかった。
実施例1〜3および比較例5,6より、着色塗膜層に含有させる平均粒子径が150nmの微粒化着色材を重量比率で4%としたときは、光輝感、彩度、促進耐候性および膜厚変動色差ともに良好であったが、比較例5,6のように重量比率で21%や40%であると派手さが抑制できずに光輝感に問題があり、また黒ずんだ塗膜となった。
10…被塗物
20…電着塗膜層(下地層)
21…中塗り塗膜層(下地層)
30…着色塗膜層
40…光輝材塗膜層
50…クリヤ塗膜層
20…電着塗膜層(下地層)
21…中塗り塗膜層(下地層)
30…着色塗膜層
40…光輝材塗膜層
50…クリヤ塗膜層
Claims (32)
- 被塗物の表面に形成された下地層と、
前記下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、
前記着色塗膜層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。 - 被塗物の表面に形成された下地層と、
前記下地層の表面に形成され、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層と、
前記光輝材塗膜層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。 - 被塗物の表面に形成された下地層と、
前記下地層の表面に形成され、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材と、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。 - 前記光輝材塗膜層の表面に形成されたクリヤ塗膜層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の積層塗膜。
- 前記着色塗膜層の表面に形成されたクリヤ塗膜層をさらに有することを特徴とする請求項2又は3に記載の積層塗膜。
- 前記透明光輝材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.1〜30重量%含まれ、かつ前記透明光輝材は、前記平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることを特徴とする請求項3又は5に記載の積層塗膜。
- 前記微粒化着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜20重量%含まれることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記着色塗膜層に、平均粒子径が300nmを超える着色材が含まれることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記平均粒子径が300nmを超える着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%含まれ、かつ前記微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることを特徴とする請求項8に記載の積層塗膜。
- 前記透明光輝材は、前記光輝材塗膜層又は前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.1〜30重量%含まれることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記透明光輝材は、前記光輝材塗膜層又は前記着色塗膜層において、入射光源スペクトルの直接出射を許容する間隔をもって分散していることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記透明光輝材は、前記積層構造部分の周囲に前記少なくとも2種類のポリマーの何れか、あるいはこれらのポリマーの組み合わせ又はこれ以外のポリマーからなるクラッド層を有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記透明光輝材は、実質的に矩形の断面を有し、当該断面における積層面に垂直な片の長さを1とするときに、積層面に平行な片の長さが0.8〜25であるとともに、当該透明光輝材の長さが0.8〜4000であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記透明光輝材の積層構造中に、無彩色系又は有彩色系色素を含有する色素層を有することを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記下地層は、前記被塗物の表面に形成された電着塗膜層を有することを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の積層塗膜。
- 前記下地層は、前記電着塗膜層の表面に形成された中塗り塗膜層を有することを特徴とする請求項15に記載の積層塗膜。
- 被塗物の表面に下地層を形成する工程と、
前記下地層の表面に、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、
前記着色塗膜層の表面に、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。 - 被塗物の表面に下地層を形成する工程と、
前記下地層の表面に、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、
前記光輝材塗膜層の表面に、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。 - 被塗物の表面に下地層を形成する工程と、
前記下地層の表面に、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材と、屈折率が異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による干渉光と干渉光以外の透過光を制御する透明光輝材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。 - 前記光輝材塗膜層の表面にクリヤ塗膜層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記着色塗膜層の表面にクリヤ塗膜層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項18又は19に記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記透明光輝材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.1〜30重量%含まれ、かつ前記透明光輝材は、前記平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることを特徴とする請求項19又は21に記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記微粒化着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜20重量%含まれることを特徴とする請求項17〜22の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記着色塗膜層に、平均粒子径が300nmを超える着色材が含まれることを特徴とする請求項17〜23の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記平均粒子径が300nmを超える着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%含まれ、かつ前記微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることを特徴とする請求項24に記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記透明光輝材は、前記光輝材塗膜層又は前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.1〜30重量%含まれることを特徴とする請求項17〜25の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記透明光輝材は、前記光輝材塗膜層又は前記着色塗膜層において、入射光源スペクトルの直接出射を許容する間隔をもって分散していることを特徴とする請求項17〜26の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記透明光輝材は、前記積層構造部分の周囲に前記少なくとも2種類のポリマーの何れか、あるいはこれらのポリマーの組み合わせ又はこれ以外のポリマーからなるクラッド層を有することを特徴とする請求項17〜27の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記透明光輝材は、実質的に矩形の断面を有し、当該断面における積層面に垂直な片の長さを1とするときに、積層面に平行な片の長さが0.8〜25であるとともに、当該透明光輝材の長さが0.8〜4000であることを特徴とする請求項17〜28の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記透明光輝材の積層構造中に、無彩色系又は有彩色系色素を含有する色素層を有することを特徴とする請求項17〜29の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記下地層を形成する工程は、前記被塗物の表面に電着塗膜層を形成する工程を有することを特徴とする請求項17〜30の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
- 前記下地層を形成する工程は、前記電着塗膜層の表面に中塗り塗膜層を形成する工程を有することを特徴とする請求項31に記載の積層塗膜の形成方法。
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JP2004126426A JP2005305317A (ja) | 2004-04-22 | 2004-04-22 | 積層塗膜および塗膜形成方法 |
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JP2008296570A (ja) * | 2007-02-01 | 2008-12-11 | Sk Kaken Co Ltd | 積層体 |
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- 2004-04-22 JP JP2004126426A patent/JP2005305317A/ja active Pending
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