JP2006045462A - 塗料用光輝材、積層塗膜および塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高彩度かつ透明感のある新規な光輝感を備えた塗料用光輝材を提供する。
【解決手段】光輝材基体1の少なくとも一主面が、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含む着色材層2で被覆されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、彩度が高く透明感のある新規な光輝感を備えた塗料用光輝材、積層塗膜および塗膜形成方法に関する。
自動車ボディの上塗り塗装としては、着色顔料のみによって所定の色彩を呈するソリッド塗膜、着色顔料とアルミ顔料とを含有することで着色顔料による色彩に加えてアルミ顔料によるキラキラ感を呈するメタリック塗膜、着色顔料を含有するカラーベース塗膜上にマイカ(雲母)片を含有するマイカベース塗膜を形成することでそれぞれの塗膜で反射する光の干渉作用によりメタリック塗膜のキラキラ感よりも柔らかい反射光が得られるパールカラー塗膜などが実用化されている。
ところで、色相を表す指標のうち、色の鮮やかさ又は色の飽和度を彩度というが、自動車や家電製品などの塗膜についても、防錆性・防汚性・耐候性等の塗膜性能に加えて、彩度などの意匠性の向上が求められている。
高彩度塗膜を実現するための手法として、蛍光増白剤を添加した白色系塗膜(特許文献1)、高彩度顔料を用いた有色塗膜(特許文献2)、多層干渉小板により反射率を高めた塗膜(特許文献3)などが提案されている。
しかしながら、高彩度の顔料を用いる手法では実現できる色相に限界があり、全ての塗色について高彩度化することは容易でない。また、高彩度の顔料は下地塗膜の隠蔽性が悪く、見る角度によっては黒っぽい塗膜になったり、膜厚変動にともなう色差の変動が大きくなったりするという問題がある。一方、多層干渉小板により反射率を高める手法では干渉材によって色相が変動するおそれがある。
何れにしても従来の手法では彩度を高めることと下地の隠蔽性とを両立させることが困難であった。
さらに、光輝感に関しては、メタリック塗膜やパールカラー塗膜が実用化されているが、より彩度が高く、より透明感のある干渉系光輝材の開発が求められている。
特開平1−313575号公報 特開平7−286111号公報 特表平9−508172号公報
本発明は、高彩度かつ透明感のある新規な光輝感を備えた塗料用光輝材、積層塗膜および塗膜形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、光輝材基体の少なくとも一主面が、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含む着色材層で被覆されていることを特徴とする塗料用光輝材が提供される。
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、前記下地塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層と、前記ベース塗膜層の表面に形成され、着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
また、被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、前記下地塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層と、前記ベース塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層と、前記光輝材塗膜層の表面に形成され、着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
また、被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、前記下地塗膜層の表面に形成されたベース塗膜層と、前記ベース塗膜層の表面に形成され、着色材と請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が提供される。
また、被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、前記下地塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層と、前記光輝材塗膜層の表面に形成され、着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜が形成される。
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、前記下地塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層を形成する工程と、前記ベース塗膜層の表面に、着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
また、被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、前記下地塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層を形成する工程と、前記ベース塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、前記光輝材塗膜層の表面に、着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
また、被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、前記下地塗膜層の表面にベース塗膜層を形成する工程と、前記ベース塗膜層の表面に、着色材と請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
また、被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、前記下地塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、前記光輝材塗膜層の表面に着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法が提供される。
本発明に係る塗料用光輝材は、光輝材基体の少なくとも一主面が、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含む着色材層で被覆されているので、彩度低下の原因となる拡散反射光の発生を抑制することができ、彩度が高くなる。また、微粒化着色材を含む着色材層で被覆することにより、拡散反射光の発生に起因する白濁などの濁り現象も抑制され、透明感が呈される。
そして、こうした本発明に係る塗料用光輝材を、積層塗膜のベース塗膜層、光輝材塗膜層、着色塗膜層に含有させることにより、積層塗膜全体の彩度も高くなり、かつ透明感のある新規な光輝感を提供することができる。
しかも、本発明に係る積層塗膜においては、着色塗膜層にも平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材が含まれているので、本発明に係る塗料用光輝材の高彩度及び透明感と、着色塗膜層の高彩度が相俟って、さらに彩度が高く、しかも透明感のある新規な積層塗膜を得ることができる。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<塗料用光輝材>
図1は、本発明に係る塗料用光輝材の実施形態を示す断面図であり、光輝材基体1の両面が、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含む着色材層2で被覆されている。光輝材基体1は、光輝感を呈する金属箔、たとえばアルミニウム、チタン等を用いることができる。アルミニウムの場合は、粉砕アルミニウムや蒸着アルミニウムを用いることができる。
着色材層2は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに上述した微粒化着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であり、この塗料を溶剤で希釈したものを光輝材基体1の両面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
特に本実施形態に係る着色材層2には、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材が含まれる。微粒化着色材の平均粒子径が30nmより小さいと、着色材の種類やグレードによっては耐候性に影響が生じるおそれがあり、また平均粒子径が300nmを超えると着色材としての鮮やかさや透明性が損なわれ高彩度化を実現することができない。
着色材の平均粒子径が500nm〜10μmであると、塗膜に光が入射したときに白色の拡散反射光が発生し、これが彩度を低下させる原因となるが、本実施形態に係る着色材層2では、着色材の濃度を維持しつつ着色材の粒子径を300nm以下にまで小さくすることで、彩度低下の原因となる拡散反射光の発生を抑制する。これにより、膜厚変動による色差の変動を小さくすることができるとともに、彩度を高めることができる。
また、本実施形態に係る着色材層2には、上述した微粒化着色材が樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜50%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が50%を超えると着色材層2が黒ずんで見える。
ちなみに、この着色材層2に含まれる着色材は微粒化着色材にのみ限定されず、平均粒子径が300nmを超える着色材が着色材層2の樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜3%の範囲で含まれても良い。ただし、微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが必要とされる。平均粒子径が300nmを超える着色材が重量比率で3%を超えたり、あるいは微粒化着色材の含有比が1.5倍未満であったりすると、本発明の目的とする高彩度かつ透明感のある塗膜を得ることができないからである。
また、本実施形態の塗料用光輝材は、平均粒子径が1〜20μm,厚さが0.01〜0.5μmであることが好ましい。
本実施形態の塗料用光輝材を製造するには、たとえば、光輝材基体1であるアルミニウム箔をある程度の大きさに形成し、このアルミニウム箔1の両面に上述した微粒化着色材を含有する塗料を塗装し、乾燥させることにより着色材層2を形成する。このときの厚さが0.01〜0.5μmとなるように、アルミニウム箔1及び着色材層2の厚さを選択する。そして、このシートを平均粒子径が1〜20μmとなるように粉砕することで、本例の塗料用光輝材を得ることができる。
なお、本実施形態では光輝材基体1の両面に着色材層2を形成したが、光輝材基体1の少なくとも一主面に着色材層2を形成することで、本発明の効果を奏する。また、光輝材基体1の両面に着色材層2を形成する場合、微粒化着色材の色彩を同じにしても、また異なる色彩にしてもよい。異なる色彩の着色材層2を形成すると、互いの色彩が相俟ってさらに新規な意匠性を発揮することができる。
<積層塗膜>
本発明に係る積層塗膜及び塗膜形成方法は、上述した本発明に係る塗料用光輝材が含有された塗膜層と、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する着色塗膜層とを有する積層塗膜であればよい。このとき、上述した本発明に係る塗料用光輝材は着色塗膜層に含まれていても良い。代表的な実施形態を以下に説明するが、本発明の積層塗膜及び塗膜形成方法はこれらの実施形態にのみ限定される趣旨ではなく、したがって、これらの実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
第1実施形態(図2)
図2は本発明の第1実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成されたベース塗膜層30と、このベース塗膜層30の表面に形成された着色塗膜層40と、着色塗膜層40の表面に形成されたクリヤ塗膜層60とから構成されている。
被塗物10としては、鋼板やアルミニウム板などの各種金属材料製部材のほか、プラスチック製部材も適用することができる。この被塗物は、自動車ボディや自動車用部品のほか、家電製品としても利用することができる。
電着塗膜層20は、カチオン型電着塗料又はアニオン型電着塗料に被塗物10を浸漬し、所定の電圧を被塗物10と電着塗料との間に印加することで、電気泳動作用により未硬化塗膜が被塗物10の表面に形成され、これをたとえば160℃〜180℃で15分〜30分焼き付けることで硬化塗膜が形成される。被塗物10の種類や目的によっても相違するが、電着塗膜層20の膜厚はたとえば10〜40μmである。
中塗り塗膜層21は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて電着塗膜層20の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。被塗物の種類や目的によっても相違するが、中塗り塗膜層21の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
なお、本発明に係る積層塗膜において、被塗物の種類や目的に応じて中塗り塗膜層21を省略し、電着塗膜層20の表面に直接、後述するベース塗膜層30を形成しても良い。またこれに代えて、電着塗膜層20を省略し、被塗物10の表面に直接中塗り塗膜層21を形成することもできる。
ベース塗膜層30は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに上述した本発明に係る塗料用光輝材、着色材、添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
本実施形態に係るベース塗膜層30は、上述した平均粒子径が1〜20μm,厚さが0.01〜0.5μmの塗料用光輝材を、ベース塗膜層30の樹脂固形分に対して重量比率で1〜20%、より好ましくは1〜10%含まれる。光輝材の重量比率が20%を超えると塗膜密着性に悪影響を与えるおそれがあり、逆に1%未満であると光輝感が不充分となる。なお、ここでいう重量比率とは樹脂固形分重量Aに対する光輝材の重量B、すなわちB/A(%)をいう。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
なお、本例のベース塗膜層30には、着色材を含んでも又含まなくても良い。着色材を添加する場合には、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材、または平均粒子径が300nm以上の着色材を、たとえば樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜50%の範囲内で添加しても良い。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、ベース塗膜層30の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
着色塗膜層40は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いてベース塗膜層30の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
特に本実施形態に係る着色塗膜層40には、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材が含まれる。微粒化着色材の平均粒子径が30nmより小さいと、着色材の種類やグレードによっては耐候性に影響が生じるおそれがあり、また平均粒子径が300nmを超えると着色材としての鮮やかさや透明性が損なわれ高彩度化を実現することができない。
一般的に塗料に使用される着色材の平均粒子径は500nm〜10μmであり、塗膜に光が入射すると白色の拡散反射光が発生し、これが彩度を低下させる原因であると考えられる。そこで、こうした従来径の着色材を用いて彩度を高めるために、塗料に添加する着色材の濃度を低くすることが効果的であるが、着色材の濃度を低くすると膜厚変動に対する色差ΔEも大きくなり、膜厚管理がシビアになったり、いわゆる額縁現象(被塗物の端縁は一般面に比べて厚膜になるので一般面と端縁に色差が生じるといった現象)と称される問題が生じたりした。
この点につき、本実施形態に係る着色塗膜層40では、着色材の濃度を維持しつつ着色材の粒子径を小さくすることで彩度低下の原因となる拡散反射光の発生を抑制する。これにより、膜厚変動による色差の変動を小さくすることができるとともに、彩度を高めることができる。
また、本実施形態に係る着色塗膜層40には、上述した微粒化着色材が樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜50%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が50%を超えると着色塗膜層40が黒ずんで見える。
ちなみに、この着色塗膜層40に含まれる着色材は微粒化着色材にのみ限定されず、平均粒子径が300nmを超える着色材が着色塗膜層40の樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜3%の範囲で含まれても良い。ただし、微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが必要とされる。平均粒子径が300nmを超える着色材が重量比率で3%を超えたり、あるいは微粒化着色材の含有比が1.5倍未満であったりすると、本発明の目的とする高彩度塗膜を実現することができないからである。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、着色塗膜層40の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
本実施形態に係るクリヤ塗膜層60は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて、未硬化の着色塗膜層40の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
なお、本実施形態では、クリヤ塗膜層60を1層としたが、これを繰り返し塗装して、2層以上のクリヤ塗膜層60を形成しても良い。また、クリヤ塗膜層60を省略しても良い。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、クリヤ塗膜層60の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
ちなみに、上述した実施形態では、下地塗膜層である電着塗膜層20および中塗り塗膜層21,ベース塗膜層30,着色塗膜層40,クリヤ塗膜層60のうち着色塗膜層40とクリヤ塗膜層60をウェットオンウェットで塗装し、その他の塗膜層20,21,30の3層についてはそれぞれ焼き付け硬化させたが、これらの3層についてもウェットオンウェットで塗装し、同時に複数の層を焼き付け硬化させても良い。たとえば、電着塗膜層20と中塗り塗膜層21、中塗り塗膜層21とベース塗膜層30、ベース塗膜層30と着色塗膜層40、中塗り塗膜層21とベース塗膜層30と着色塗膜層40などをウェットオンウェット塗装として例示することができる。また、着色塗膜層40とクリヤ塗膜層60をそれぞれ焼き付け硬化させても良い。
本例の積層塗膜によれば、ベース塗膜層30に光輝材を含有するので、積層塗膜の外部から入射した光の一部は着色塗膜層40で反射するとともに他の一部は着色塗膜層40を通過してベース塗膜層30の光輝材により反射する。このとき、光輝材基体1は微粒化着色材を含有する着色材層2で被覆されているので、その反射光にも深みのある光輝感が生じる。この結果、積層塗膜に光の干渉作用が生じ、高彩度かつ透明感のある新規な光輝感を備えた、意匠性に富んだ積層塗膜を得ることができる。
第2実施形態(図3)
図3は本発明の第2実施形態に係る積層塗膜を示す断面図であり、上述した第1実施形態に係る積層塗膜のベース塗膜層30と着色塗膜層40との間に光輝材塗膜層50を介在させた例である。
本実施形態に係る光輝材塗膜層50は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに上述した本発明に係る塗料用光輝材、添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
本実施形態に係る光輝材塗膜層50は、上述した平均粒子径が1〜20μm,厚さが0.01〜0.5μmの塗料用光輝材を、光輝材塗膜層50の樹脂固形分に対して重量比率で1〜20%、より好ましくは1〜10%含まれる。光輝材の重量比率が20%を超えると塗膜密着性に悪影響を与えるおそれがあり、逆に1%未満であると光輝感が不充分となる。なお、ここでいう重量比率とは樹脂固形分重量Aに対する光輝材の重量B、すなわちB/A(%)をいう。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、ベース塗膜層30の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
その他の塗膜層、すなわち下地塗膜層である電着塗膜層20および中塗り塗膜層21,ベース塗膜層30,着色塗膜層40,クリヤ塗膜層60の構成は第1実施形態と同じである。
なお、本実施形態でもクリヤ塗膜層60を1層としたが、これを繰り返し塗装して、2層以上のクリヤ塗膜層60を形成しても良い。また、クリヤ塗膜層60を省略しても良い。
また、本実施形態では、下地塗膜層である電着塗膜層20および中塗り塗膜層21,ベース塗膜層30,光輝材塗膜層50,着色塗膜層40,クリヤ塗膜層60のうち着色塗膜層40とクリヤ塗膜層60をウェットオンウェットで塗装し、その他の塗膜層20,21,30,50の4層についてはそれぞれ焼き付け硬化させたが、これらの4層についてもウェットオンウェットで塗装し、同時に複数の層を焼き付け硬化させても良い。たとえば、電着塗膜層20と中塗り塗膜層21、中塗り塗膜層21とベース塗膜層30、ベース塗膜層30と光輝材塗膜層50、中塗り塗膜層21とベース塗膜層30と光輝材塗膜層50などをウェットオンウェット塗装として例示することができる。また、着色塗膜層40とクリヤ塗膜層60をそれぞれ焼き付け硬化させても良い。
本例の積層塗膜によれば、ベース塗膜層30及び光輝材塗膜層50の2層に光輝材を含有するので、積層塗膜の外部から入射した光の一部は着色塗膜層40で反射するとともに他の一部は着色塗膜層40を通過して光輝材塗膜層50及びベース塗膜層30のそれぞれの光輝材により反射し、より干渉作用を発揮する。このとき、光輝材基体1は微粒化着色材を含有する着色材層2で被覆されているので、その反射光にも深みのある光輝感が生じる。この結果、積層塗膜に光の干渉作用が生じ、高彩度かつ透明感のある新規な光輝感を備えた、意匠性に富んだ積層塗膜を得ることができる。
第3実施形態(図4)
図4は本発明の第3実施形態に係る積層塗膜を示す断面図であり、本実施形態に係る積層塗膜は、第1実施形態に係る積層塗膜のベース塗膜層30に含有させていた本発明に係る塗料用光輝材を着色塗膜層40に含有させた例である。
すなわち、本実施形態に係るベース塗膜層30は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材、添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
本例のベース塗膜層30に含まれる着色材は、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材、または平均粒子径が300nm以上の着色材であり、たとえば樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜50%の範囲内で添加することが好ましい。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、ベース塗膜層30の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
着色塗膜層40は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに上述した本発明に係る塗料用光輝材、着色材、添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いてベース塗膜層30の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
本実施形態に係る着色塗膜層40には、上述した平均粒子径が1〜20μm,厚さが0.01〜0.5μmの塗料用光輝材が、着色塗膜層40の樹脂固形分に対して重量比率で1〜20%、より好ましくは1〜10%含まれる。光輝材の重量比率が20%を超えると塗膜密着性に悪影響を与えるおそれがあり、逆に1%未満であると光輝感が不充分となる。なお、ここでいう重量比率とは樹脂固形分重量Aに対する光輝材の重量B、すなわちB/A(%)をいう。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
また本実施形態に係る着色塗膜層40には、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材が含まれる。微粒化着色材の平均粒子径が30nmより小さいと、着色材の種類やグレードによっては耐候性に影響が生じるおそれがあり、また平均粒子径が300nmを超えると着色材としての鮮やかさや透明性が損なわれ高彩度化を実現することができない。
この微粒化着色材は、着色塗膜層40の樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜50%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が50%を超えると着色塗膜層40が黒ずんで見える。
ちなみに、この着色塗膜層40に含まれる着色材は微粒化着色材にのみ限定されず、平均粒子径が300nmを超える着色材が着色塗膜層40の樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜3%の範囲で含まれても良い。ただし、微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが必要とされる。平均粒子径が300nmを超える着色材が重量比率で3%を超えたり、あるいは微粒化着色材の含有比が1.5倍未満であったりすると、本発明の目的とする高彩度塗膜を実現することができないからである。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、着色塗膜層40の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
その他の塗膜層、すなわち下地塗膜層である電着塗膜層20および中塗り塗膜層21,クリヤ塗膜層60の構成は第1実施形態と同じである。
本例の積層塗膜によれば、着色塗膜層40に光輝材を含有するので、積層塗膜の外部から入射した光の一部は着色塗膜層40で反射するとともに他の一部は当該着色塗膜層40の光輝材により反射する。このとき、光輝材基体1は微粒化着色材を含有する着色材層2で被覆されているので、その反射光にも深みのある光輝感が生じる。この結果、積層塗膜に光の干渉作用が生じ、高彩度かつ透明感のある新規な光輝感を備えた、意匠性に富んだ積層塗膜を得ることができる。
第4実施形態(図5)
図5は本発明の第4実施形態に係る積層塗膜を示す断面図であり、本実施形態に係る積層塗膜は、第2実施形態に係る積層塗膜のベース塗膜層30に含有させていた本発明に係る塗料用光輝材を省略した例である。ベース塗膜層30から本発明に係る塗料用光輝材を省略した以外は第2実施形態と同じである。
本例の積層塗膜によれば、光輝材塗膜層50に光輝材を含有するので、積層塗膜の外部から入射した光の一部は着色塗膜層40で反射するとともに他の一部は着色塗膜層40を通過して光輝材塗膜層50の光輝材により反射する。このとき、光輝材基体1は微粒化着色材を含有する着色材層2で被覆されているので、その反射光にも深みのある光輝感が生じる。この結果、積層塗膜に光の干渉作用が生じ、高彩度かつ透明感のある新規な光輝感を備えた、意匠性に富んだ積層塗膜を得ることができる。
以下、本発明をさらに具体化して説明する。
実施例1
板厚0.8mm,大きさ70mm×150mmのダル鋼鈑を被塗物として、これにリン酸亜鉛処理を施してリン酸亜鉛皮膜を形成したのち、カチオン型電着塗料(日本ペイント社製パワートップU−600M)を用いて膜厚が20μmとなるように電着塗装を行い、160℃で30分焼き付け硬化させることで電着塗膜層を形成した。
この電着塗膜層の表面に、中塗り塗料(日本油脂社製ハイエピコQX1)を用いて膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分焼き付け硬化させることで中塗り塗膜層を形成した。
ベース塗膜層を構成するベース塗料として、カラーベース(日本油脂BASFコーティングス社製ハイエピコQX1)を用いて膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分焼き付け硬化させた。
本発明に係る塗料用光輝材は、アルミベース(日本ビーケミカル社製)を用い、このアルミベースの両面に、下記の微粒化着色材を樹脂固形分に対する重量比率で5%含むクリヤベース(日本ビーケミカル社製アクリル・メラミン系樹脂)を塗装し、これを平均粒子径が15μm,厚さが1μmとなるように粉砕することで得た。
微粒化着色材は、アクリル樹脂(大日本インキ化学工業社製アクリディック)を100重量部、オレンジ顔料(クラリアント社製Permanent Orange 3RTN)を10重量部、分散剤(共栄化学社製フローレンG−700)を5重量部、酢酸エチル230重量部を混合したのち、350重量部の粒径1mmのアルミナビーズを加えて混合機(特殊機化工業社製TKオートホモミキサー)にて2時間の分散を行い、平均粒子径を30nmまで微細化することで得た。また、同じ方法で平均粒子径が500nm以上の着色材を作製した。
こうして得られた平均粒子径が15μm,厚さが1μmの本発明に係る塗料用光輝材を、クリヤベース(日本ビーケミカル社製アクリル・メラミン系樹脂)に、樹脂固形分に対する重量比率で5%添加し、さらに上述した微粒化着色材を、樹脂固形分に対する重量比率で4%、平均粒子径が500nm以上の着色材を0.5%添加し、溶剤としてのシンナー(日本ビーケミカル社製T−536MB)にて希釈した。この塗料をベース塗膜層の表面に膜厚20μmとなるように塗装し、140℃×30分で焼き付け硬化させた。
得られた積層塗膜につき、彩度を目視で評価し、従来塗膜に比べて著しく彩度が高いものを「◎」、彩度が高いものを「○」、同等のものを「×」とした。
また、得られた積層塗膜につき、光輝感を目視で評価し、従来塗膜に比べて著しく光輝感が高いものを「◎」、光輝感が高いものを「○」、同等のものを「×」とした。
また、得られた積層塗膜につき、JIS K5600−5−6の付着性試験(クロスカット法)を実施し、分類0〜1を「◎」、分類2を「○」、分類3〜5を「×」とした。
また、着色塗膜層の膜厚20μmを中心にして、着色塗膜層の膜厚を25μmとしたテストピースと、同じく15μmとしたテストピースを別途作製し、着色塗膜層の膜厚が20μmのテストピースに対する、15μmのテストピースと25μmのテストピースの色差を目視にて評価した。膜厚変動による色差変動が著しく小さいものを「◎」、色差変動が小さいものを「○」、色差変動が大きいものを「×」とした。
さらに、得られた積層塗膜につき、JIS K5600−7−7の促進耐候性試験(XWOM:キセノンウェザオメータ法)を実施し、試験前の色相と試験後の色相とを目視にて評価し、色相変化が著しく小さいものを「◎」、色相変化が小さいものを「○」、色相変化が大きいものを「×」とした。
これら彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性の各評価を、主たる塗膜条件とともに表1に示す。
実施例2
着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を30nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
実施例3
着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を300nmに調製したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
実施例4
着色塗膜層における微粒化着色材の重量比率を1.3%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
実施例5
着色塗膜層に含有させる本発明に係る塗料用光輝材の重量比率を1%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
実施例6
着色塗膜層に含有させる本発明に係る塗料用光輝材の重量比率を20%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の比較例として、着色塗膜層に含有させる光輝材を、特殊表面処理アルミペースト(東洋アルミ社製樹脂被覆タイプF,平均粒子径15μm,厚さ0.5μm)にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
比較例2
実施例2の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を10nmに調製したこと以外は実施例2と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
比較例3
実施例3の比較例として、着色塗膜層に含有させるオレンジ色の微粒化着色材の平均粒子径を500nmに調製したこと以外は実施例3と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
比較例4
実施例3の比較例として、着色塗膜層における平均粒子径が500nm以上の着色材の重量比率を3%にしたこと以外は実施例3と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
比較例5
実施例3の比較例として、着色塗膜層に含有させる本発明に係る塗料用光輝材の樹脂固形分に対する重量比率を25%としたこと以外は実施例3と同じ条件でテストピースを作製し、彩度、光輝感、付着性、膜厚変動による色差および促進耐候性を評価した。この結果を表1に示す。
Figure 2006045462
考 察
実施例1および比較例1より、着色塗膜層に本発明に係る塗料用光輝材を含有させると、彩度および光輝感ともに良好であった。
実施例2および比較例2より、着色塗膜層に含有させる平均粒子径を30nmの微粒化着色材としたときは、促進耐候性に問題はなかったが、比較例3のように平均粒子径を10nmとすると促進耐候性に問題が生じた。
実施例3および比較例3より、着色塗膜層に平均粒子径が300nmの微粒化着色材を含有させたときは、彩度に問題はなかったが、比較例3のように平均粒子径を500nmとすると、彩度が低く鮮やかなオレンジ色が現出できない。
実施例3および比較例4より、着色塗膜層に平均粒子径が500μm以上の着色材を重量比率で0.5%添加したときは、彩度および膜厚変動色差ともに良好であったが、比較例4のように重量比率で3%であると彩度が低くまた膜厚変動色差に問題があった。
実施例3および比較例5より、着色塗膜層に本発明に係る塗料用光輝材を重量比率で5%添加したときは、密着性に問題はなかったが、比較例5のように重量比率で25%であると密着性に問題があった。
本発明の実施形態に係る光輝材を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。
符号の説明
10…被塗物
20…電着塗膜層(下地塗膜層)
21…中塗り塗膜層(下地塗膜層)
30…ベース塗膜層
40…着色塗膜層
50…光輝材塗膜層
60…クリヤ塗膜層

Claims (27)

  1. 光輝材基体の少なくとも一主面が、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材を含む着色材層で被覆されていることを特徴とする塗料用光輝材。
  2. 前記微粒化着色材は、前記着色材層の樹脂固形分に対して0.05〜50重量%含まれることを特徴とする請求項1記載の塗料用光輝材。
  3. 平均粒子径が1〜20μm,厚さが0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料用光輝材。
  4. 被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、
    前記下地塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層と、
    前記ベース塗膜層の表面に形成され、着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。
  5. 被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、
    前記下地塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層と、
    前記ベース塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層と、
    前記光輝材塗膜層の表面に形成され、着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。
  6. 被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、
    前記下地塗膜層の表面に形成されたベース塗膜層と、
    前記ベース塗膜層の表面に形成され、着色材と請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。
  7. 被塗物の表面に形成された下地塗膜層と、
    前記下地塗膜層の表面に形成され、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層と、
    前記光輝材塗膜層の表面に形成され、着色材を含有する着色塗膜層と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。
  8. 前記ベース塗膜層に着色材が含有されていることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の積層塗膜。
  9. 前記着色材塗膜層に含有される着色材は、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材であることを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載の積層塗膜。
  10. 前記着色塗膜層に、平均粒子径が300nmを超える着色材が含まれていることを特徴とする請求項9記載の積層塗膜。
  11. 前記平均粒子径が300nmを超える着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%含まれ、かつ前記微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることを特徴とする請求項10に記載の積層塗膜。
  12. 前記微粒化着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜50重量%含まれることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の積層塗膜。
  13. 前記着色塗膜層の表面に形成されたクリヤ塗膜層をさらに有することを特徴とする請求項4〜12の何れかに記載の積層塗膜。
  14. 前記下地塗膜層は、前記被塗物の表面に形成された電着塗膜層を有することを特徴とする請求項4〜13の何れかに記載の積層塗膜。
  15. 前記下地塗膜層は、前記電着塗膜層の表面に形成された中塗り塗膜層を有することを特徴とする請求項14に記載の積層塗膜。
  16. 被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、
    前記下地塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層を形成する工程と、
    前記ベース塗膜層の表面に、着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。
  17. 被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、
    前記下地塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有するベース塗膜層を形成する工程と、
    前記ベース塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、
    前記光輝材塗膜層の表面に、着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。
  18. 被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、
    前記下地塗膜層の表面にベース塗膜層を形成する工程と、
    前記ベース塗膜層の表面に、着色材と請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。
  19. 被塗物の表面に下地塗膜層を形成する工程と、
    前記下地塗膜層の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の塗料用光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程と、
    前記光輝材塗膜層の表面に着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。
  20. 前記着色材塗膜層に含有される着色材は、平均粒子径30nm〜300nmの微粒化着色材であることを特徴とする請求項16〜19の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  21. 前記ベース塗膜層に着色材が含有されていることを特徴とする請求項16〜20の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  22. 前記着色塗膜層に、平均粒子径が300nmを超える着色材が含まれていることを特徴とする請求項21記載の積層塗膜の形成方法。
  23. 前記平均粒子径が300nmを超える着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%含まれ、かつ前記微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることを特徴とする請求項22に記載の積層塗膜の形成方法。
  24. 前記微粒化着色材は、前記着色塗膜層の樹脂固形分に対して0.05〜50重量%含まれることを特徴とする請求項20〜23の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  25. 前記着色塗膜層の表面に形成されたクリヤ塗膜層をさらに有することを特徴とする請求項16〜24の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  26. 前記下地塗膜層は、前記被塗物の表面に形成された電着塗膜層を有することを特徴とする請求項16〜25の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  27. 前記下地層は、前記電着塗膜層の表面に形成された中塗り塗膜層を有することを特徴とする請求項26に記載の積層塗膜の形成方法。

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