JP2007105602A - 積層塗膜および塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】増膜しなくても高平滑性が確保できる、構造発色を発現する大粒径の着色材または光輝材を使用した積層塗膜を提供する。
【解決手段】被塗物10の表面に直接的または間接的に形成され、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層30と、塗膜層30の表面に形成され、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層40と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、構造発色を発現する大粒径の着色材または光輝材を使用した積層塗膜および塗膜形成方法に関する。
自動車ボディの上塗り塗装としては、着色顔料のみによって所定の色彩を呈するソリッド塗膜、着色顔料とアルミ顔料とを含有することで着色顔料による色彩に加えてアルミ顔料によるキラキラ感を呈するメタリック塗膜、着色顔料を含有するカラーベース塗膜上にマイカ(雲母)片を含有するマイカベース塗膜を形成することでそれぞれの塗膜で反射する光の干渉作用によりメタリック塗膜のキラキラ感よりも柔らかい反射光が得られるパールカラー塗膜などが実用化されている。これらの着色材や光輝材は何れも15μmより小さい粒径であることから、これら着色材や光輝材の配向乱れによって塗膜の平滑性が低下するといった問題はさほど生じない。
これに対して、屈折率の異なる2種類のポリマー積層体による光の反射干渉作用を利用した特殊な透明光輝材を含有させ、モルフォ蝶の羽の発色に似た特殊な光輝感(本明細書にてモルフォ感ともいう。)を呈する上塗り塗装も提案されている(特許文献1)。構造発色を利用した斬新な意匠を提供することができる。
しかしながら、この種の構造発色を発現させる透明光輝材は20〜250μm程度の大粒径であることから、この透明光輝材を含有する塗膜層において透明光輝材の配向乱れが生じると、塗膜の平滑性が著しく低下し、平滑性を向上させるために上層のクリヤ塗膜層の膜厚を、通常は30〜50μmであるところを70μm以上にまで大幅に増加させる必要があった。
特開2004−358385号公報
本発明は、増膜しなくても高平滑性が確保できる、構造発色を発現する大粒径の着色材または光輝材を使用した積層塗膜および塗膜形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の積層塗膜は、被塗物の表面に直接的または間接的に形成され、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層と、前記塗膜層の表面に形成され、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層と、
を少なくとも有することを特徴とする。
また、本発明の積層塗膜の形成方法は、被塗物の表面に、直接的または間接的に、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層を形成する工程と、前記塗膜層の表面に、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
本発明では、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層の表面に粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層を形成するので、大粒径の着色材または光輝材を塗膜層に対して実質的に平行に配向させることができ、その結果、積層塗膜の平滑性が向上する。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る積層塗膜及び塗膜形成方法は、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層と、前記塗膜層の表面に形成された粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層とを有する積層塗膜であればよい。代表的な実施形態を以下に説明するが、本発明の積層塗膜及び塗膜形成方法はこれらの実施形態にのみ限定される趣旨ではなく、したがって、これらの実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
《第1実施形態》
図1は本発明の第1実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された光輝材塗膜層30と、この光輝材塗膜層30の表面に形成された緩衝塗膜層40と、この緩衝塗膜層40の表面に形成されたクリヤ塗膜層50とから構成されている。
被塗物10としては、鋼板やアルミニウム板などの各種金属材料製部材のほか、プラスチック製部材も適用することができる。この被塗物は、自動車ボディや自動車用部品のほか、家電製品としても利用することができる。
電着塗膜層20は、カチオン型電着塗料又はアニオン型電着塗料に被塗物10を浸漬し、所定の電圧を被塗物10と電着塗料との間に印加することで、電気泳動作用により未硬化塗膜が被塗物10の表面に形成され、これをたとえば160℃〜180℃で15分〜30分焼き付けることで硬化塗膜が形成される。被塗物10の種類や目的によっても相違するが、電着塗膜層20の膜厚はたとえば10〜40μmである。
中塗り塗膜層21は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて電着塗膜層20の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。被塗物の種類や目的によっても相違するが、中塗り塗膜層21の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
なお、被塗物の種類や目的に応じて中塗り塗膜層21を省略することができる。またこれに代えて、電着塗膜層20を省略し、被塗物10の表面に直接中塗り塗膜層21を形成することもできる。
光輝材塗膜層30は、最大粒径が15μm以上の光輝材を含有する塗膜層であるが、こうした大粒径の光輝材の一例として、図6に示すように、光透過性を有し、屈折率の異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による発色機能を発現する光輝材401がある。この光輝材401を含有する光輝材塗膜層30と、その下層の中塗り塗膜層21という積層塗膜構造を備えることによって、図7に示すように少なくとも光輝材塗膜層30の中に入射した光源スペクトルL1が当該光輝材塗膜層30中に散在する光輝材401により反射干渉して発色する干渉色Ciと、入射光源スペクトルL1が中塗り塗膜層21と直接作用して発色する第1の物体色Cb1と、透明光輝材401を透過した光源スペクトルL2が中塗り塗膜層21と作用して発色する第2の物体色Cb2とが混在することによって色相変化がもたらされることになる。
従来のパールマイカ顔料などにおいては、その隠蔽力を極力高めるために、基材である半透明あるいは不透明のマイカに二酸化チタンなどが被覆され、さらにこの上に金属層を設けたものが多く、半透明体のパールマイカ顔料の場合、入射した光の一部が吸収あるいは反射され、残りの部分が透過光としてパールマイカ顔料から射出されることになるが、その透過光は低強度で、しかも純度に劣ることになる。また、不透明体のパールマイカ顔料の場合には、入射した光が吸収あるいは反射され、透過光がほとんど発生しないので隠蔽力の高いものとなるが、干渉色としては弱いレベルとなる。なお、隠蔽力はパールマイカ顔料を透過する光の量が多いほど小さくなる。
本実施形態で用いられる光輝材401は、従来のように半透明体あるいは不透明体からなる基材に二酸化チタンなどを被覆することによって隠蔽力を高めるのではなく、隠蔽力を極力なくすという全く反対の思想に基づいたものであって、透明な少なくとも2種類のポリマーからなる交互多層積層構造を有し、光の反射干渉による発色(干渉色)と、反射干渉以外の光を透過光とした出射光による発色(透過色)の両方を最大限に利用することにより意匠性,装飾性の向上を図るものである。
このような光輝材401へ入射した光(入射光)L1は、概ね2つの光路に別れる。1つは光輝材401の多層積層部に入り込み、そこから反射干渉作用による干渉色Ci を発する。他の1つは、光輝材401自体が透明体であるために反射干渉以外の光が光輝材401を透過して、いわゆる純度の高い透過光L2となる。これら2つの光の作用が見る方向によって色相が変わり、しかも強い光沢感と深み感、透明感などの複合質感を呈する新規な積層塗膜構造を提供する役割を担っている。
光輝材401は、透過光や干渉光を単に発現するだけに止まらず、干渉光と干渉色以外の透過光とを制御する機能を備えている。すなわち、光輝材401を構成する交互の積層構造が強い干渉色を発現するようにしているので、透過光もまた強い透過色を発現することができる。なお、ここでいう制御とは、干渉光や光輝材401を透過してきた透過光の強度、言い換えると光透過率やピーク波長を任意に変化させるという意味であって、1種の光強度変換や波長変換機能を有するものであり、例えば、光輝材401の積層構造中に無彩色あるいは有彩色系色素を含む層を設けることによってこの機能がより顕著なものとなる。
また、光輝材401に色素などを使用しない場合には、入射光源スペクトルL1が光輝材401により反射干渉して干渉色特有の極めて透明感のある色味を発すると共に、干渉光以外の透過光L2においても上記干渉色Ci の補色に相当する透明感のある色味を発現し、中塗り塗膜層21との相互作用による独特の複合色を発現させることができるようになる。
光輝材401は、図6に示すような断面構造を有し、例えば2種類のポリマー402および403を交互に多層積層してなるものである。このとき、ポリマー402および403の屈折率をそれぞれna およびnb とし、層厚をda およびdb としたとき、所望の発色(波長λ1の干渉色)を得るためには、na≧1.3、1.01≦nb /na≦1.40の条件下で、一次反射ピーク波長λ1 がλ1 =2(na・da +nb・db )を満たすようにする必要がある。
このような条件を充たすようにλ1 を設計することにより、全色域(紫〜緑〜赤)にわたる色相を発現でき、しかも極めて強い干渉色Ci が得られることになる。
上記の条件のうち、na≧1.3の条件は、交互積層するポリマーの材料特性によるものである。また、1.01≦nb /na なる関係については、2つのポリマーの交互積層構造体を形成する上でのより実用的な製造条件、および可視光線領域において実際に人の目で色味として認識することのできるレベルに基づくものであり、nb /na≦1.40の条件についてはこれも2つのポリマーの交互積層構造体を形成する上での製造条件によるものである。特に、2つのポリマー層の光学的厚み(屈折率×層厚)が等しいとき、すなわちna・da =nb・dbのとき反射率Rが最も大きくなる。
本実施形態において、光輝材401を構成するポリマー402,403としては、例えばポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの単体樹脂、あるいはこれらの共重合体樹脂、さらには各種液晶ポリマー樹脂などを用いることができ、これらの中から屈折率の異なる2種類のポリマーを適宜選択して使用することになる。
光輝材401におけるポリマーの交互積層数としては、とくに限定されないが、反射・干渉効果および製造上の観点から、5層以上、とりわけ10〜150層の範囲が望ましい。なお、3種類以上のポリマーを用いる場合には、これら3種類以上のポリマーの順序を変えることなく所定の順序に繰り返し積層することが必要となる。
このような積層構造を備えた光輝材401を製造する方法としては、公知の各種薄膜形成法が適用可能であり、例えば真空蒸着や電子ビーム蒸着、イオンプレーティング、分子線エピタキシアルなどの物理蒸着法、キャスティングやスピンコート、プラズマ重合、ラングミュア・ブロジェット(LB)などの方法、あるいは溶融,湿式,乾式などの各種紡糸法などを用いることができる。これら、各種薄膜形成法の中でも特に溶融複合法は、紡糸交互積層構造を形成するための特殊な口金を備えた溶融複合紡糸装置を用いることにより、連続して安定かつ生産性良く発色構造体を得ることもでき、例えば、必要に応じて延伸処理を施すことによって所望の断面寸法としたのち、所定長さに切断して使用することができる。
本実施形態に係る積層塗膜構造において、光輝材401を含有する光輝材塗膜層30を形成するバインダー樹脂としては、透過性を有する樹脂系が望ましく、塗膜形成性ポリマーとして一般に知られているものを用いることができる。すなわち、塗膜形成ポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂などがある。硬化剤としては、例えばアルコキシメチロールメラミン樹脂、イソシアネート化合物またはブロックイソシアネート化合物、ポリ酸無水物、ポリエポキシ化合物などがある。また、上記ポリマーや硬化剤を溶解または分散させる溶剤も塗料用として使用されるものであって、例えばトルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが使用可能である。また、無溶剤系塗料として水を使用することもでき、とくに限定はない。
なお、本実施形態に係る積層塗膜構造においては、光輝材401に加え、従来のパールマイカ、あるいは各種の有機顔料,無機顔料などを併用することもでき、さらに分散剤,可塑剤,表面調整剤など、従来から用いられている添加剤を用いることも可能である。しかしながら、有機顔料や無機顔料などを用いると色相に濁りや曇りが生じる場合があるので、添加を避ける方がむしろ望ましい。
本実施形態に係る積層塗膜構造においては、光輝材401の積層構造中に無彩色系色素あるいは有彩色系色素を含有する層を形成することができ、これによって光輝材を透過する光の強度(透過率)および波長をより大幅に制御することができるようになる。ここで、無彩色系とはいわゆる色相を持たない色、物体色で、白,灰色,黒の系列の色を意味し、色の3属性(色相,明度,彩度)のうちの明度のみを有している。これに対し、有彩色系とは無彩色系以外の色を指し、上記3属性を備えたものである。
また、本実施形態において使用する光輝材401の形状としては特に限定されないが、図6に示すように、2種類のポリマー402および403からなる交互積層部の周囲に、両ポリマー402,403のうちのいずれか一方、あるいはこれらのポリマーとは異なる第3のポリマーからなるクラッド層404を設けることが積層部の剥離防止、耐摩耗性など機械的強度向上の観点から望ましい。また、これらポリマーの組み合わせからなる2つのクラッド層、すなわちダブルクラッド層としてもよい。
このとき、光輝材401の形状については、矩形断面を有し、断面における積層面に垂直な辺の長さAを1とするとき、積層面に平行な辺の長さBが0.8〜25の範囲であると共に、光輝材401の長さLが0.8〜4000の範囲とすることが望ましく、これによって、光輝材401の生産性や塗装時の塗装性を損なうことなく、反射干渉作用による発色効果が十分に発揮されることになる。すなわち、光輝材401の積層面に垂直な辺の長さAに対する水平な辺の長さBの比、および長さAに対する長さLの比が0.8よりも小さい場合には、光輝材401を含有する塗膜が被塗装物に付着した際に、構造発色する面が上にならない確率、つまり塗装された状態において光輝材401の積層面が光の当る側を向かない確率が増え、反射干渉作用による発色効果が不十分となり、積層面に垂直な辺の長さAに対する水平な辺の長さBの比が25よりも大きい場合には、光輝材401の製造時に問題が生じ、特定波長の光を反射する光輝材401を安定して得ることができなくなる。さらに、積層面に垂直な辺の長さAに対する光輝材401の長さLの比が4000を超えた場合には、塗装に際して塗料中の光輝材401が例えばスプレーガンに詰まり、適正な塗装を行うことができなくなる傾向があることによる。
本実施形態に係る積層塗膜構造における光輝材401の含有量としては、その反射干渉効果と塗膜性能との兼ね合いから、塗膜の樹脂固形分に対して重量比で0.1〜50%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜30%である。すなわち、光輝材401の含有量が0.1%に満たない場合には、塗膜中に構造発色する要素が少なくなって、色相の変化や奥行き感、深み感が得にくくなり、逆に50%を超えると、顔料濃度が従来の塗膜の範疇を超えることになるため、塗膜の伸び性能などの塗膜物性に悪影響が生じる傾向があるので好ましくない。
こうした光輝材401を含有する光輝材塗膜層30は、その塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、光輝材塗膜層30の光輝材401が存在していない部分の樹脂層の膜厚は、たとえば2〜20μmである。したがって、光輝材塗膜層30自体は、通常、光輝材401により凹凸を有する塗膜層となる。
このとき、繊維素系樹脂により構成される、セルロースプロピオネート樹脂、セルロースアセテート樹脂、硝化綿、メチルセルロース樹脂などの粘性調整材を塗膜の樹脂固形分に対して重量比で0.5〜50%添加すると光輝材401の配向性が良好となり好ましい。ただし、0.5重量%未満であると配向性の向上が不充分であり、逆に50重量%を超えると粘度が上がり過ぎて塗装作業性および塗膜の平滑性が悪化する。
また、光輝材401を含有する塗料をスプレー塗装する際の塗料粘度は1〜500mPa・sとすることが塗装作業性、塗膜の平滑性の点で好ましい。
図1に戻り、緩衝塗膜層40は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などの基材樹脂に、ガラスビーズ、有機ビーズ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよびシリカからなる群より選択される1種または2種以上の粒状緩衝材や粘性調整材などを含有する熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて光輝材塗膜層30の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
粒状緩衝材の平均粒径は0.01〜30μmであることは好ましく、塗膜の樹脂固形分に対して重量比で0.1〜50%、より好ましくは10〜30%含有される。粒状緩衝材の平均粒径が0.01μm未満であると、下地の光輝材塗膜層30の凹凸を平滑化する作用が充分に発揮されず、逆に30μmを超えると緩衝塗膜層40自体の平滑性が悪化する。また、粒状緩衝材の含有量が0.1重量%未満であると、下地の光輝材塗膜層30の凹凸を平滑化する作用が充分に発揮されず、逆に50重量%を超えると緩衝塗膜層40自体の平滑性や塗膜性能が悪化する。
また、緩衝塗膜層40にも、繊維素系樹脂により構成される、セルロースプロピオネート樹脂、セルロースアセテート樹脂、硝化綿、メチルセルロース樹脂などの粘性調整材を塗膜の樹脂固形分に対して重量比で0.5〜50%添加することが、粒状緩衝材の流動が良好となる点で好ましい。ただし、0.5重量%未満であると流動性の向上が不充分であり、逆に50重量%を超えると粘度が上がり過ぎて塗装作業性および塗膜の平滑性が悪化する。
緩衝塗膜層40の膜厚は、被塗物の種類や目的によっても相違するが、たとえば5〜25μmである。
本実施形態に係るクリヤ塗膜層50は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて、未硬化の光輝材塗膜層40の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
なお、図示する実施形態では、クリヤ塗膜層50を1層としたが、これを繰り返し塗装して、2層以上のクリヤ塗膜層50を形成しても良い。
また、上述した実施形態では、下地層である電着塗膜層20および中塗り塗膜層21,光輝材塗膜層30,緩衝塗膜層40の4層それぞれについて焼き付け硬化させたが、2つ以上の層をウェットオンウェットで塗装し、同時に複数の層を焼き付け硬化させても良い。たとえば、電着塗膜層20と中塗り塗膜層21、中塗り塗膜層21と光輝材塗膜層30、光輝材塗膜層30と緩衝塗膜層40、光輝材塗膜層30と緩衝塗膜層40とクリヤ塗膜層50などをウェットオンウェット塗装として例示することができる。
本例の積層塗膜によれば、大粒径の光輝材401を含有する光輝材塗膜層30の表面に、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層40が設けられているので、光輝材塗膜層30の凹凸が緩衝塗膜層40によって平滑化され、その結果、クリヤ塗膜層50を増膜しなくても積層塗膜の平滑性を確保することができる。
《第2実施形態》
図2は本発明の第2実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1実施形態に係る積層塗膜は、最大粒径が15μm以上の大粒径の光輝材401を含有する光輝材塗膜層30の表面に、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層40を形成した積層塗膜であるが、本発明の積層塗膜は、光輝材以外の着色材を含有する着色塗膜層31の表面に、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層40を形成した積層塗膜に具現化することもできる。
すなわち、最大粒径が15μmの大粒径であれば、光輝材以外の着色材であっても、緩衝塗膜層40の平滑化作用が発揮され、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することになる。
着色塗膜層31は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに最大粒径が15μm以上の着色材や、必要に応じて添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
《第3実施形態》
図3は本発明の第3実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第1および第2実施形態に係る積層塗膜は、最大粒径が15μm以上の大粒径の光輝材を含有する光輝材塗膜層30と、同じく大粒径の着色材を含有する着色塗膜層31とを別の塗膜層で構成したが、一つの塗膜層に着色材と光輝材とを含有させることもできる。
すなわち、図3に示す本実施形態に係る積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された光輝材含有着色塗膜層32と、この光輝材含有着色塗膜層32の表面に形成された緩衝塗膜層40と、この緩衝塗膜層40の表面に形成されたクリヤ塗膜層50とから構成され、光輝材含有着色塗膜層32に着色材と光輝材が含まれている点が上述した第1および第2実施形態と相違する。なお、電着塗膜層20、中塗り塗膜層21、緩衝塗膜層40及びクリヤ塗膜層50については上述した第1および第2実施形態と同じ構成であるためその詳細な説明は省略する。
光輝材含有着色塗膜層32は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材、光輝材、必要に応じて添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて、中塗り塗膜層21の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
本例の着色材および光輝材の少なくとも一方が、最大粒径が15μm以上の大粒径であればよい。
たとえば、光輝材として第1実施形態で述べた大粒径の光輝材401を用いる一方で、着色材として平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材を用いることができる。
一般的に塗料に使用される着色材の平均粒子径は500nm〜10μmであり、塗膜に光が入射すると白色の拡散反射光が発生し、これが彩度を低下させる原因であると考えられる。そこで、こうした従来径の着色材を用いて彩度を高めるために、塗料に添加する着色材の濃度を低くすることが効果的であるが、着色材の濃度を低くすると膜厚変動に対する色差ΔEも大きくなり、膜厚管理がシビアになったり、いわゆる額縁現象(被塗物の端縁は一般面に比べて厚膜になるので一般面と端縁に色差が生じるといった現象)と称される問題が生じたりした。
この点につき、本実施形態に係る光輝材含有着色塗膜層32では、着色材の濃度を維持しつつ着色材の粒子径を小さくすることで彩度低下の原因となる拡散反射光の発生を抑制することができ、これにより、膜厚変動による色差の変動を小さくすることができるとともに、彩度を高めることができる。
本実施形態に係る光輝材着色塗膜層32には、上述した微粒化着色材が樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜20%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が20%を超えると光輝材含有着色塗膜層32が黒ずんで見える。
ちなみに、この光輝材含有着色塗膜層32に含まれる着色材は微粒化着色材にのみ限定されず、平均粒子径が300nmを超える着色材が塗膜の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%の範囲で含まれても良い。ただし、微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが必要とされる。平均粒子径が300nmを超える着色材が3重量%を超えたり、あるいは微粒化着色材の含有比が1.5倍未満であったりすると、目的とする高彩度塗膜を実現することができないからである。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、光輝材含有着色塗膜層32の光輝材が存在しない部分の樹脂層の膜厚は、たとえば2〜20μmである。
《第4〜第5実施形態》
図4は本発明の第4実施形態に係る積層塗膜を示す断面図、図5は本発明の第5実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。上述した第3実施形態に係る積層塗膜は、最大粒径が15μm以上の大粒径の光輝材を含有するとともに、平均粒子径が30nm〜300nmの微粒化着色材を含有する光輝材含有着色塗膜層32を有するが、これら大粒径の光輝材を含有する塗膜層と微粒化着色材を含有する塗膜層を別の塗膜層で構成することもできる。
すなわち、図4に示す積層塗膜は、被塗物10の表面に形成された電着塗膜層20と、この電着塗膜層20の表面に形成された中塗り塗膜層21と、この中塗り塗膜層21の表面に形成された、光輝材401を含有する光輝材塗膜層30と、この光輝材塗膜層30の表面に形成された、微粒化着色材を含有する着色塗膜層33と、この着色塗膜層33の表面に形成された緩衝塗膜層40と、この緩衝塗膜層40の表面に形成されたクリヤ塗膜層50とから構成されている。
また、図5に示す積層塗膜は、図4に示す光輝材塗膜層30と着色塗膜層31の積層順序を逆にした実施形態であり、電着塗膜層20、中塗り塗膜層21、光輝材塗膜層30、緩衝塗膜層40及びクリヤ塗膜層50については上述した第1および第2実施形態と同じ構成であるためその詳細な説明は省略する。
図4および図5に示す着色塗膜層33は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂などを主成分とし、これに着色材や添加剤を添加してなる熱硬化型塗料又は常温硬化型塗料もしくは2液硬化型塗料であって、この塗料を溶剤で希釈したものをスプレー塗装ガンなどの塗装機を用いて光輝材塗膜層(図4)または中塗り塗膜層21(図5)の表面に塗装し、熱硬化型塗料であればたとえば80℃〜160℃で10分〜60分焼き付けることで形成される。
添加剤としては、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、分散剤などを例示することができ、溶剤としては、水または芳香族炭化水素系溶剤もしくは炭化水素系溶剤(エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤など)を例示することができる。
特に本実施形態に係る着色塗膜層33には、平均粒子径が30nm〜300nm、より好ましくは30nm〜200nmの微粒化着色材が含まれる。微粒化着色材の平均粒子径が30nmより小さいと、着色材の種類やグレードによっては耐候性に影響が生じるおそれがあり、また平均粒子径が300nmを超えると着色材としての鮮やかさや透明性が損なわれ高彩度化を実現することができない。
一般的に塗料に使用される着色材の平均粒子径は500nm〜10μmであり、塗膜に光が入射すると白色の拡散反射光が発生し、これが彩度を低下させる原因であると考えられる。そこで、こうした従来径の着色材を用いて彩度を高めるために、塗料に添加する着色材の濃度を低くすることが効果的であるが、着色材の濃度を低くすると膜厚変動に対する色差ΔEも大きくなり、膜厚管理がシビアになったり、いわゆる額縁現象(被塗物の端縁は一般面に比べて厚膜になるので一般面と端縁に色差が生じるといった現象)と称される問題が生じたりした。
この点につき、本実施形態に係る着色塗膜層33では、着色材の濃度を維持しつつ着色材の粒子径を小さくすることで彩度低下の原因となる拡散反射光の発生を抑制する。これにより、膜厚変動による色差の変動を小さくすることができるとともに、彩度を高めることができる。
また、本実施形態に係る着色塗膜層33には、上述した微粒化着色材が樹脂固形分に対して重量比率で0.05〜20%含まれている。微粒化着色材の重量比率が0.05%未満であると充分な着色効果が得られず、また微粒化着色材の重量比率が20%を超えると着色塗膜層33が黒ずんで見える。なお、ここでいう重量比率とは樹脂固形分重量Aに対する微粒化着色材の重量B、すなわちB/A(%)をいう。
ちなみに、この着色塗膜層33に含まれる着色材は微粒化着色材にのみ限定されず、平均粒子径が300nmを超える着色材が着色塗膜層33の樹脂固形分に対して0.05〜3重量%の範囲で含まれても良い。ただし、微粒化着色材は、当該平均粒子径が300nmを超える着色材に対して固形分比で1.5倍以上含まれることが必要とされる。平均粒子径が300nmを超える着色材が3重量%を超えたり、あるいは微粒化着色材の含有比が1.5倍未満であったりすると、目的とする高彩度塗膜を実現することができないからである。
被塗物の種類や目的によっても相違するが、着色塗膜層33の膜厚は、たとえば15〜45μmである。
以下、本発明をさらに具体化して説明する。以下の実施例は図1に示す積層塗膜構成によるものである。
《実施例1》
板厚0.8mm,大きさ70mm×150mmのダル鋼鈑を被塗物10として、これにリン酸亜鉛処理を施してリン酸亜鉛皮膜を形成したのち、カチオン型電着塗料(日本ペイント社製パワートップU−600M)を用いて膜厚が20μmとなるように電着塗装を行い、160℃で30分焼き付け硬化させることで電着塗膜層20を形成した。
この電着塗膜層の表面に、中塗り塗料(日本油脂社製ハイエピコQX1)を用いて膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分焼き付け硬化させることで中塗り塗膜層21を形成した。
平均粒径(幅)が80μmの光輝材(帝人社製MORPHTEX)をクリヤベース(日本ビーケミカル社製アクリル・メラミン系樹脂)の樹脂固形分に対して15重量%配合し、さらに粘性調整材としてのセルロースアセテートブチレート樹脂(イーストマンケミカル社製381−0.5)をクリヤベースの樹脂固形分に対して10重量%配合し、溶剤としてのシンナー(日本ビーケミカル社製T−536MB)にて粘度が100mPa・sになるよう希釈した。この塗料を中塗り塗膜層21の表面に膜厚3μmとなるように塗装し、140℃×30分で焼き付け硬化させることで光輝材塗膜層30を形成した。
粒状緩衝材としてのアクリル樹脂ビーズ(東洋紡績社製タフチックAR−650S,平均粒径=10μm)をクリヤベース(日本ビーケミカル社製アクリル・メラミン系樹脂)の樹脂固形分に対して20重量%配合し、さらに粘性調整材としてのセルロースアセテートブチレート樹脂(イーストマンケミカル社製381−0.5)をクリヤベースの樹脂固形分に対して20重量%配合し、溶剤としてのシンナー(日本ビーケミカル社製T−536MB)にて粘度が100mPa・sになるよう希釈した。この塗料を光輝材塗膜層30の表面に膜厚15μmとなるように塗装することで緩衝塗膜層40を形成し、さらにこの緩衝塗膜層40の表面にウェットオンウェットで、クリヤ塗料(日本ビーケミカル社製2Kクリヤ)を膜厚45μmとなるように塗装し、140℃×30分で焼き付け硬化させることでクリヤ塗膜層50を形成した。
得られた積層塗膜につき、積層塗膜の平滑性(意匠性)を目視にて評価し、平滑性が良好で意匠的に問題がないものを「○」、積層塗膜の表面に小さな凹凸が観察されるものを「△」、積層塗膜の表面に凹凸が観察されて意匠的に問題があるものを「×」とした。
また、得られた積層塗膜の生産性につき、クリヤ塗膜層の膜厚を評価し、クリヤ塗膜層の膜厚が30〜50μmで問題がないもの「○」、51〜70μmでやや厚いものを「△」、71μmで厚いものを「×」とした。
これら平滑性(意匠性)および生産性の各評価を、主たる塗膜条件とともに表1に示す。
《実施例2》
緩衝塗膜層40におけるアクリル樹脂ビーズ(粒状緩衝材)の平均粒径を20μmにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《実施例3》
光輝材塗膜層30における光輝材の含有濃度を20重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《実施例4》
光輝材塗膜層30におけるセルロースアセテートブチレート樹脂(粘性調整材)の含有濃度を20重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《実施例5》
緩衝塗膜層40におけるアクリル樹脂ビーズ(粒状緩衝材)の平均粒径を30μmにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《実施例6》
光輝材塗膜層30における光輝材の含有濃度を50重量%にしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《比較例1》
緩衝塗膜層40を形成しなかったことと、クリヤ塗膜層50の膜厚を120μmにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《比較例2》
光輝材塗膜層30にセルロースアセテートブチレート樹脂(粘性調整材)を添加しなかったことと、クリヤ塗膜層50の膜厚を60μmにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《比較例3》
光輝材塗膜層30における光輝材の含有濃度を60重量%にしたことと、クリヤ塗膜層50の膜厚を80μmにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《比較例4》
光輝材塗膜層30における光輝材の平均粒径を40μmにしたことと、クリヤ塗膜層50の膜厚を80μmにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
《比較例5》
光輝材塗膜層30の粘度を1000mPa・sにしたこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製し、平滑性(意匠性)および生産性を評価した。この結果を表1に示す。
Figure 2007105602
《考 察》
実施例1〜6および比較例1より、緩衝塗膜層40を形成すると、クリヤ塗膜層50の膜厚を通常の45μmにしても良好な平滑性を得ることができた。逆に、緩衝塗膜層40を形成しないと、クリヤ塗膜層50の膜厚を120μmまで増膜しないと平滑な塗膜が得られなかった。
実施例1〜6および比較例2より、光輝材塗膜層30に粘性調整材を添加すると、クリヤ塗膜層50の膜厚を通常の45μmにしても良好な平滑性を得ることができた。逆に、光輝材塗膜層30に粘性調整材を添加しないと、クリヤ塗膜層50の膜厚を60μmまで増膜しないと平滑な塗膜が得られなかった。
実施例1〜6および比較例3より、光輝材塗膜層30に添加する光輝材の濃度を15〜20重量%にすると、クリヤ塗膜層50の膜厚を通常の45μmにしても良好な平滑性を得ることができた。逆に、光輝材塗膜層30に添加する光輝材の濃度を25重量%にすると、クリヤ塗膜層50の膜厚を80μmまで増膜しないと平滑な塗膜が得られなかった。
実施例1〜6および比較例4より、緩衝塗膜層40に添加する粒状緩衝材の平均粒径を10〜20μmにすると、クリヤ塗膜層50の膜厚を通常の45μmにしても良好な平滑性を得ることができた。逆に、緩衝塗膜層40に添加する粒状緩衝材の平均粒径を40μmにすると、クリヤ塗膜層50の膜厚を80μmまで増膜しないと平滑な塗膜が得られなかった。
実施例1〜6および比較例5より、光輝材塗膜層30の粘度を100mPa・sにすると、クリヤ塗膜層50の膜厚を通常の45μmにしても良好な平滑性を得ることができた。逆に、光輝材塗膜層30の粘度を1000mPa・sまで高くすると45μmのクリヤ塗膜層50では平滑性に問題があった。
本発明の第1実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る積層塗膜を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る透明光輝材を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る積層塗膜の発色原理を説明するための塗膜断面図である。
符号の説明
10…被塗物
20…電着塗膜層(下地層)
21…中塗り塗膜層(下地層)
30…光輝材塗膜層
31,33…着色塗膜層
32…光輝材含有着色塗膜層
40…緩衝塗膜層
50…クリヤ塗膜層

Claims (24)

  1. 被塗物の表面に直接的または間接的に形成され、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層と、
    前記塗膜層の表面に形成され、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層と、
    を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜。
  2. 前記粒状緩衝材は、ガラスビーズ、有機ビーズ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよびシリカからなる群より選択される1種または2種以上の粒状緩衝材であることを特徴とする請求項1記載の積層塗膜。
  3. 前記粒状緩衝材は、前記緩衝塗膜層の樹脂固形分に対して0.1〜50重量%含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の積層塗膜。
  4. 前記粒状緩衝材の平均粒径が、0.01〜30μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層塗膜。
  5. 前記最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層に、粘性調整材が含まれていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の積層塗膜。
  6. 前記最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材は、前記塗膜層の樹脂固形分に対し0.1〜50重量%含まれることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の積層塗膜。
  7. 前記塗膜層は、最大粒径が15μm以上の着色材を含有する着色塗膜層を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の積層塗膜。
  8. 前記塗膜層は、最大粒径が15μm以上の光輝材を含有する光輝材塗膜層を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層塗膜。
  9. 前記塗膜層は、最大粒径が15μm以上の着色材と光輝材を含有する着色光輝材塗膜層を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の積層塗膜。
  10. 前記緩衝塗膜層の表面に形成されたクリヤ塗膜層をさらに有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の積層塗膜。
  11. 前記最大粒径が15μm以上の着色材または光輝材は、光透過性を有し、屈折率の異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による発色機能を発現する着色材または光輝材であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の積層塗膜。
  12. 被塗物の表面に、直接的または間接的に、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層を形成する工程と、
    前記塗膜層の表面に、粒状緩衝材を含有する緩衝塗膜層を形成する工程と、
    を少なくとも有することを特徴とする積層塗膜の形成方法。
  13. 前記粒状緩衝材は、ガラスビーズ、有機ビーズ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよびシリカからなる群より選択される1種または2種以上の粒状緩衝材であることを特徴とする請求項12記載の積層塗膜の形成方法。
  14. 前記粒状緩衝材は、前記緩衝塗膜層の樹脂固形分に対して0.1〜50重量%含まれることを特徴とする請求項12または13に記載の積層塗膜の形成方法。
  15. 前記粒状緩衝材の平均粒径が、0.01〜30μmであることを特徴とする請求項12〜14の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  16. 前記最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗膜層に、粘性調整材が含まれていることを特徴とする請求項12〜15の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  17. 前記最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材は、前記塗膜層の樹脂固形分に対し0.1〜50重量%含まれることを特徴とする請求項12〜16の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  18. 前記塗膜層の形成工程は、最大粒径が15μm以上の着色材を含有する着色塗膜層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項12〜17の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  19. 前記塗膜層の形成工程は、最大粒径が15μm以上の光輝材を含有する光輝材塗膜層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項12〜18の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  20. 前記塗膜層の形成工程は、最大粒径が15μm以上の着色材と光輝材を含有する着色光輝材塗膜層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項12〜19の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  21. 前記緩衝塗膜層の表面にクリヤ塗膜層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項12〜20の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  22. 前記最大粒径が15μm以上の着色材または光輝材は、光透過性を有し、屈折率の異なる少なくとも2種類のポリマーを交互に積層した構造を有し、当該積層構造によって得られる光の反射干渉作用による発色機能を発現する着色材または光輝材であることを特徴とする請求項12〜21の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  23. 前記緩衝塗膜層を形成する工程において、1〜500mPa・sの粘度に調製した粒状緩衝材を含有する緩衝塗料を塗装することを特徴とする請求項12〜22の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。
  24. 前記塗膜層を形成する工程において、1〜500mPa・sの粘度に調製した、最大粒径が15μm以上の着色材および/または光輝材を含有する塗料を塗装することを特徴とする請求項12〜23の何れかに記載の積層塗膜の形成方法。

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