JP2005304388A - 新規なプラスチック分解酵素及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】これまでの無作為な生分解性プラスチック資化微生物のスクリーニングではなく、表層構造体として生分解性プラスチック様高分子を有する植物に感染する植物病原菌に着目し、それに由来する新規なプラスチック分解酵素を取得する。以下の (a)または(b)のエステラーゼ:(a) 特定のアミノ酸配列からなる蛋白質、(b) 特定のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質、それをコードするDNA、及びそれらの利用。
【選択図】図2
Description
(a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b) 配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質、に係る。
(a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b) 配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質;及び、以下の (a)または (b)のDNA:
(a) 配列番号1又は2に示される塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号1又は2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、に係る。
Ausubel et al., 1987))に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
Ausubel et al., 1987)に記載されている方法に従った。
1 x 106 個胞子 / ml となるようにイモチ菌マグナポルサ・グリゼア(M. grisea )70-15
胞子懸濁液を 3 L 容坂口フラスコ内の 1.5 L の Vogel-N 培地 (6 g Na3-citrate、 10 g KH2PO4・H2O、NH4NO3・H2O、pH 6.8、30 g スクロース、1 mM CaCl2、1 mM MgSO4、34
μg / ml クロラムフェニコール) に添加した。添加後 24℃、125 rpm、5 日間振盪培養した。菌糸体を MIRACROTH (CALBIOCHEM
(登録商標)) にて濾別・回収した。その菌糸体を 3 L 容坂口フラスコ内の 1.5 L の 1 % (w/v) PBSA 乳化液 (昭和高分子) を含み、唯一の炭素源としたVogel-N
培地 Vogel-N 培地 に移し、24℃、125 rpm、2 日間振盪培養し、目的の酵素の培養上清への誘導・分泌を行った。培養液を MIRACROTH
(CALBIOCHEM (登録商標)) にて濾過し、その濾液を 8000 g、4℃、20 分間遠心分離し得られた上清を粗酵素液とした。粗酵素を蒸留水に対して透析し、10
mM トリス、1 mM CaCl2 となるようにトリスと CaCl2 を加え、pH 8.0 となるように塩酸を用いて
pH を調整した。これを 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2 にて平衡化した
DEAE-Cellulofine A500 (生化学工業) に供し、吸着画分を 0-1 M NaCl の直線濃度勾配により溶出させた。
にて保温し、その濁度 (O.D. 630) の低下 (PLA分解活性) によって活性画分を追跡し、さらに別の方法として、分画した溶液に対して
10-50 倍量の 100 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0 を加え、そこに 0.5 mM となるように pNP-butyrate を添加し
37℃にて保温し、その吸光度 (A405) の上昇 (エステラーゼ活性) によって活性画分を追跡した (図1)。尚、エステラーゼ活性 (katal) は 37℃、pH 8.0 で 1 秒間に pNP 1 mol 相当量の 410 nm の吸光度を得るのに必要な酵素量とした。更に公知の方法として Lowry-Folin 法等によりタンパク質を測定し、エステラーゼ活性をタンパク質量で割ることにより比活性を算出した。
I を 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2 に対して透析し、再度 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH
8.0、1 mM CaCl2 にて平衡化した DEAE-Cellulofine A500 (生化学工業) に供し、吸着画分を 0-0.5
M NaCl の直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分に 30 % 飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、これを 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH
8.0、1 mM CaCl2、30 % 飽和硫酸アンモニウムにて平衡化した Phenyl-Sepharose CL4B (アマシャムバイオサイエンス) に供し、吸着画分を 30-0 % 硫酸アンモニウムの直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分に再度
30 % 飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、これを 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2、30 % 飽和硫酸アンモニウムにて平衡化した
Phenyl-Sepharose CL4B (アマシャムバイオサイエンス) に供し、吸着画分を 30-0 % 硫酸アンモニウムの直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分を
10 mM リン酸緩衝液、pH 6.8 に対して透析し、同緩衝液にて平衡化した GIGAPITE (生化学工業) に供し、非吸着画分として活性画分を得た。得られた活性画分を
10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2 に対して透析し、同緩衝液にて平衡化した HiTrapQ (アマシャムバイオサイエンス)
に供し、吸着画分を 0-0.3 M NaCl の直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分を再度 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM
CaCl2 に対して透析し、同緩衝液にて平衡化した HiTrapQ (アマシャムバイオサイエンス) に供し、吸着画分を 0-0.3 M
NaCl の直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分を SDS-PAGE に供し、活性画分が電気泳動的に均一であることを確認したので (図2)、ここで得られた活性画分を
PLA 分解酵素(エステラーゼ)精製標品とした。得られた活性画分の
pNP-butyrate に対する比活性は 126 mkatal/kg であった。
上記で得られた精製酵素溶液 500 μl に対して、250 μl の 100 % (w/v) 冷トリクロロ酢酸を加え、よく混合した後、氷中に
20 分間以上放置した。サンプルを 15000xg、4℃、20 分間遠心分離し、上清を完全に除いた後、沈澱を 15 μl の SDS 化溶液
{5 % (w/v) SDS、5 % (v/v) 2-メルカプトエタノール、0.12 M Tris-塩酸緩衝液 (pH 8.8)、0.05 %
(w/v) ブロモフェノールブルー、10 % (w/v) グリセロール} に溶解させた後、沸騰湯浴中に 5 分間放置し SDS 化を行い、これをサンプル溶液とした。サンプル溶液を
SDS-PAGE に供し、泳動後ゲル内のタンパク質を PVDF 膜に転写した。PVDF 膜上より目的のバンドを切り抜き、そのままアミノ末端アミノ酸配列の解析を行った。アミノ末端アミノ酸配列を解析した結果、アミノ末端より「TPDASLAPPT」であった。得られたアミノ酸配列に対して International Rice
Blast Genome Consortium (http://www.riceblast.org/) の BLAST 検索を利用して相同検索を行ったところ、機能未知の
hypothetical protein MG09840.4 の内部アミノ酸配列(下線部分)と一致した(図3)。
DEFINITION:hypothetical protein MG09840.4 [Magnaporthe grisea 70-15], ACCESSION: EAA53877(蛋白質), VERSION:EAA53877.1 GI:38107747,
DBSOURCE: accession AACU01001010.1(遺伝子)。
又、 マグナポルサ・グリゼア70-15はFGSC(Fungal
Genetics Stock Center: Department of Microbiology, University of Kansas,
Medical Center, Kansas City, Kansas 66160-7420 USA)で保管されており、その寄託状況についての情報は以下の通りである。
Strain number: 8958
Description:Wild
type from WICGR Magnaporthe genome project
Other
Collection # : 70-15
Depositor
:Ralph Dean
PLA 分解酵素をコードする cDNA を取得するために、1 x 106 個胞子
/ ml となるようにイモチ菌マグナポルサ・グリゼア 70-15 胞子懸濁液を 3 L 容坂口フラスコ内の 1.5 L の Vogel-N 培地 (6 g
Na3-citrate、 10 g KH2PO4・H2O、NH4NO3・H2O、pH 6.8、30 g スクロース、1 mM CaCl2、1
mM MgSO4、34 μg / ml クロラムフェニコール) に添加した。添加後 24℃、125 rpm、5 日間振盪培養した。菌糸体を
MIRACROTH (CALBIOCHEM (登録商標)) にて濾別・回収した。その菌糸体を 3 L 容坂口フラスコ内の 1.5 L の 1 % (w/v)
PBSA 乳化液 (昭和高分子) を含み、唯一の炭素源としたVogel-N 培地 Vogel-N 培地 に移し、24℃、125 rpm、2 日間振盪培養し、菌糸体を
MIRACROTH (CALBIOCHEM (登録商標)) にて濾別・回収した。得られた菌糸体の湿重量を計測した後、乳鉢中で液体窒素を注ぎながらパウダー状になるまで破砕した。湿重量の4倍量の
Sepasol-RNAISuper を入れた50 ml容チューブにパウダー状の菌体を移し、激しく撹拌後室温で5分間放置した。Sepasol-RNAISuperの1/5量のクロロホルムを加え、よく撹拌した後、室温で3分放置した。10,000×g、4℃で15分遠心した後、水層を15
ml容チューブに移し同量の水飽和酸性フェノール・クロロホルム(フェノール/クロロホルム = 1 / 1)を加え混合後、12,000×g、4℃で10分遠心し水層を別の15
ml容チューブに移した。等量のイソプロパノールを加え室温で放置10分間放置後12,000×g、4℃で10分遠心し、上清を捨て、10 mlの70%エタノールでリンスした。風乾後、適量のDEPC(diethylpirocarbonate)処理水に溶解させ、これをトータルRNA
溶液とした。
Maker 添付マニュアルに従った。以下、トータルRNA量 1 mg を用いた時の手順を示した。1 mg のトータルRNAを15 ml容チューブに1.8 mlにDEPC処理水を用いてフィルアップ(終濃度0.55
mg/ml)し、65℃で5分間インキュべート後、氷上にて急冷した。5 M NaCl を200μl加え、よく撹拌後oligo(dT)Cellulose
Suspension を1 ml添加し、よく混合した後、37℃で10分間インキュベートした。サンプルをシリンジに入れプランジャーで押し切った後、ディスポのカップに入れた3
mlのWash buffer 1 をシリンジで吸った。シリンジ中の液をよく懸濁し、液をプランジャーで押し切った。同様の操作を3 mlのWash buffer
2 で行なった。 次に65℃に保温しておいたDEPC処理水1 mlをシリンジで吸い上げ、よく懸濁後、15 mlチューブに押し出した。再度、DEPC処理水1
mlで溶出した後、溶出液を合わせ、1,2000×g、4℃で3分間遠心し、oligo(dT)Cellulose Suspensionを取り除いた。この上清約2
mlに対し、5 mg/ml のグリコーゲン溶液を20μl、7.5 M 酢酸アンモニウム(pH 5.2)を200μl加えて混合し、エッペンドルチューブ5本に分注し、2倍量の氷冷エタノールを加え、-20℃にて一晩エタノール沈殿を行なった。12,000×g、4℃で30分間遠心した後、上清を捨て75%エタノールでリンスした、風乾後、適量のDEPC処理水に溶解させ、これを
mRNA 溶液とした。
5 μl、oligo (dT) primer (0.5μg/μl) 1 μl、2.5 mM dNTP MIX (2.5 mM each) 4 μl、DEPC処理水2
μlを加え、70℃で10分間インキュベートした後氷上で1分間以上放置し、mRNAにoligo (dT) primerをアニーリングさせた。次に、この反応液に5×First
Strand Bufffer (250 mM Tris-HCl, pH 8.3、375 mM KCL 、15 mM MgCl2)4μl、0.1
M DTT 2μlを加え、42℃で5分間インキュベートした後、逆転写酵素Super Script II RT(200 U/μl)1μlを加えピペッティングによる撹拌後42℃で50分間インキュベートし、さらにSuper
Script II RT(200 U/μl)1μlを加えピペッティングによる撹拌後42℃で50分間インキュベートし逆転写反応させた。この溶液を70℃で15分間インキュベートすることで、逆転写酵素を失活させ、さらにRNaseH
(10 U/μl) 1 μlを加え、37℃ で20分間インキュベートすることで、未反応mRNAを分解した。この逆転写反応で得られた溶液をcDNAライブラリー溶液
とした。
5’-CGCGGCCCAGGATCCCGATGCG-3’(配列番号3) と 5‘-GCCCCCTCGGATCCTATGCGAGGAACG-3’(配列番号4)を合成した。この1組のプライマーセットを用い、cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行い、PLA 分解酵素遺伝子をコードする cDNA を増幅した。PCR用装置はPCR Thermal
Cycler PERSONAL(宝酒造)を用いた。cDNAライブラリーは上記のcDNAライブラリー溶液を1 μl用い、ポリメラーゼはEx taq
polymerase (宝酒造)を用いた。増幅反応は、95℃, 3 分間鋳型DNAを変性し、95℃, 1 分間、65℃,1 分間、72℃, 1 分 12 秒間保持するサイクルを
30 サイクルおこなった後、72℃、 1 分 12 秒間で完全伸長させ、4℃で保持した。得られたPCR増幅断片をアガロースゲル電気泳動に供したところ、およそ869塩基対からなる断片の増幅が確認された。
UV 照射下で 846 塩基対からなる断片を切り出した。ゲル中より prep A gene (BioRad) を用いて DNA を抽出し、これを挿入 DNA 断片とした。次に塩基配列中に
T7 プロモーター配列とシグナル配列 (OmpT-leader sequence) を有するプラスミド pET-12b DNA 5 μg をシグナル配列の直後にある制限酵素
BamH I 認識配列の位置で BamH I (宝酒造)で消化し、定法によりフェノール抽出、エタノール沈殿処理をおこなった後、アルカリフォスファターゼ(宝酒造)により
5’ 末端のリン酸を除去した。この反応液を定法によりフェノール抽出、エタノール沈殿処理をおこなった後 TE に溶解したものをベクター DNA 溶液とした。次に、ベクター
DNA 1 μg と挿入 DNA 断片 1.5 μg を T4 DNA ligase (宝酒造)により連結させ、連結 DNA 溶液を得た。
CaCl2, 0.5 M MgCl2)、7 μl の 30 (w/v %) PEG#6000、73 μl の滅菌水を混合し、100
μl の形質転換可能な大腸菌 DH5α(宝酒造)を加え、氷中に 20 分間、室温に 10 分間放置し形質転換大腸菌懸濁液を得た。次に
50 μg/ml のアンピシリンを含む LB 寒天培地上にに形質転換大腸菌懸濁液をまき、37℃で 16 時間培養した。培地上のコロニーを白金針にて拾い、LB 液体培地
(50 μg/ml アンピシリン) に移植し 37℃ にて 16 時間振盪培養した。培養液1.5 mlを1.5 ml容マイクロチューブに移し、15000xg,
1分間遠心分離し培地を除いた。菌体を100 μlのTEG (25 mMトリス-塩酸緩衝液, pH 8.0, 10 mM EDTA, 50 mMグルコース) で懸濁し、これに200
μlの1 % (w/v) SDS, 0.2 N NaOHを加え穏やかに混合し氷中に5分間放置した。さらに150 μlの3 M酢酸ナトリウム, pH 5.2を加え穏やかに混合し氷中に5分間放置した。これに10
M酢酸アンモニウムを150 μl加え穏やかに混合し、15000 g, 4℃, 10分間遠心分離し上清を新しい1.5 ml容マイクロチューブに移した。これに600
μlの2-プロパノールを加え、よく混合した後15000xg, 4℃, 10分間遠心分離し上清を除いた。70 %(v/v) エタノールでDNAを洗浄して15000xg,
4℃, 10分間遠心分離し上清を完全に除き沈殿を得た。沈殿を0.1 mlのTEで溶解し、これをプラスミドDNA溶液とし、大腸菌形質転換用プラスミド DNA を得た
(pET-MG09840)。このプラスミドDNA中の挿入cDNA 断片、T7 プロモーター配列及びシグナル配列を含む塩基配列をABI
PRISMTM 377 DNA sequencer Long Read (PE Biosystem) のプロトコールに従い、ABI
PRISMTM 377 DNA sequencing system (PE Biosystem) にて解析した (配列番号5)。
(3)で得られたプラスミド DNA (pET-MG09840) 1 μg を 用いて(3)と同様にして、大腸菌 BL21-SI (Invitrogen) を形質転換し、NaCl を含まない 50 μg/ml のアンピシリンを含む LB 寒天培地上にて各々の形質転換株を取得した。次に
PLA 分解酵素遺伝子が挿入されたプラスミド DNA を用いて形質転換された大腸菌形質転換株 (pET-MG09840) と、挿入されていない (pET-12b にて形質転換した) 大腸菌形質転換株のコロニーを白金針にて拾い、LB 液体培地 (50 μg/ml
アンピシリン、NaCl を含まない) にそれぞれ植菌した。植菌後 37℃, 16 時間振盪培養することで前培養とした。各々の前培養溶液 500 μl を
500 ml容坂口フラスコ内の50 mlのLB 培地 (0.5 % NaCl を含む) に添加した。 添加後 30℃ にて 12 時間振盪培養することで、目的の酵素タンパク質を培養上清中に誘導・発現させた。培養液50
mlを50 ml容マイクロチューブに移し、8000xg, 10分間遠心分離し培養上清を得た。得られた培養上清 16 μl を 1568 μl の
100 mM Tris-HCl 緩衝液 (pH 8.0) に添加し、そこに 16 μl の 50 mM pNP-butyrate を添加し、37℃で 410
nm の吸光度の上昇を測定することで、遊離する pNP 量を測定し、それをエステラーゼ活性とした。その結果、PLA 分解酵素遺伝子が挿入されたプラスミド
DNA により形質転換された大腸菌形質転換株の培養上清中にのみその活性の存在が認められた。その結果を表1に示す。
PLA 分解酵素遺伝子が挿入されたプラスミドDNAを用いて形質転換された大腸菌形質転換株
(pET-MG09840) のコロニーを白金針にて拾い、3 mlのLB 液体培地 (50 μg/ml アンピシリン、NaCl
を含まない) 5 本に植菌し、37℃で16 時間培養し、前培養液を得た。得られた前培養液 15 ml を3 L容坂口フラスコ内の1.5 L のLB 培地
(0.5 % NaCl を含む) に添加した。添加後30℃ にて12時間振盪培養することで、目的の酵素タンパク質を培養上清中に誘導・発現させた。培養液 l.5
L を500 ml容遠沈管3本に移し、8000 g, 10分間遠心分離し培養上清を得た。粗酵素液に対して30 %飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、これを
10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2、30 % 飽和硫酸アンモニウムにて平衡化した
Phenyl-Sepharose CL4B (アマシャムバイオサイエンス) に供し、吸着画分を 30-0 % 硫酸アンモニウムの直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分を10
mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2 に対して透析し、10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM
CaCl2 にて平衡化した DEAE-Cellulofine A500 (生化学工業) に供し、吸着画分を 0-0.5 M NaCl の直線濃度勾配により溶出させた。得られた活性画分を
10 mM MES-NaOH 緩衝液、pH 5.5、1 mM CaCl2 に対して透析し、10 mM MES-NaOH 緩衝液、pH
5.5、1 mM CaCl2 にて平衡化した S-Sepharose FF カラム(アマシャムバイオサイエンス)に供し、非吸着画分として活性画分を得た。得られた活性画分に対して再び
30 % 飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、これを 10 mM トリス-塩酸緩衝液、pH 8.0、1 mM CaCl2、30 % 飽和硫酸アンモニウムにて平衡化した
Phenyl-Sepharose CL4B (アマシャムバイオサイエンス) に供し、吸着画分を 30-0 % 硫酸アンモニウムの直線濃度勾配により溶出させ組換え体
PLA 分解酵素を得た。得られた酵素溶液を用いて、アミノ末端アミノ酸配列を解析した結果、アミノ末端より、「STDPD」であることが確認された。従って、この組換え体
PLA 分解酵素は配列番号5に示される OmpT leader sequenceの直後で大腸菌の有するシグナルペプチダーゼで限定分解されて活性体として発現されたものであることが確認された。
Claims (17)
- 以下の (a)または(b)のエステラーゼ:
(a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b) 配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質。 - 以下の (a)または(b)の蛋白質をコードするDNA:
(a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b) 配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質。 - 以下の (a)または (b)のDNA:
(a) 配列番号1又は2に示される塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号1又は2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ実質的に同等のエステラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。 - cDNAである、請求項2又は3記載のDNA。
- 請求項2〜4のいずれか一項に記載のDNAを含む組換え用DNA。
- 組換え用DNAがプラスミドベクターである、請求項5記載の組換え用DNA。
- 請求項5又は6記載の組換え用DNAを含む形質転換体。
- 形質転換体の宿主が原核微生物又は真核微生物であることを特徴とする、請求項7記載の形質転換体。
- 原核微生物がエシェリシア属、バチルス属、又はストレプトマイセス属であることを特徴とする、請求項8記載の形質転換体。
- 真核微生物が、酵母、又は、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、リゾプス属、メタリチウム属、モナスカス属、アクレモニウム属、及びムコール属からなる群から選択される真核糸状真菌であることを特徴とする、請求項8記載の形質転換体。
- 宿主がアスペルギルス・オリゼ又はアスペルギルス・ソーエであることを特徴とする、請求項10記載の形質転換体。
- 請求項7〜11のいずれか一項に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物からエステラーゼを採取することを含む、エステラーゼの製造法。
- 請求項1記載のエステラーゼ用いてプラスチックを分解する方法。
- 請求項7〜11のいずれか一項に記載の形質転換体をプラスチックに接触させることを含む、プラスチックを分解する方法。
- プラスチックがポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ナイロン、ポリスチレン、デンプンおよびそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項13又は14記載の方法。
- プラスチックが生分解性プラスチックであることを特徴とする、請求項13又は14記載の方法。
- 生分解性プラスチックがポリ乳酸、ポリブチレンコハク酸、ポリブチレンコハク酸・アジピン酸、脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン、又はポリハイドロキシ酪酸である、請求項16記載の方法。
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