JP2005300486A - 質量流量センサー - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来技術における問題点を解決し、高温での経年変化が少なく且つ高感度であって製造コストの安い質量流量センサーの提供。
【解決手段】 本発明の質量流量センサーは、少なくとも一部が金属で構成されるチューブ(1)と、同チューブ上に設けられた少なくとも1個の抵抗コイル(2a,2b)と、前記チューブと抵抗コイルとの間を電気的に絶縁し且つ同チューブと抵抗コイルとを密着させるように設けられた樹脂(3)と、前記抵抗コイルに通電して前記チューブを加熱するための手段(5)とを含み、前記樹脂の少なくとも一部に熱伝導率が高い電気的絶縁性の粒子を混入させたことを特徴としている。混入する粒子としては、構造的に安定し熱伝導率の高いダイヤモンド微粒子、フラーレン、酸化アルミニュウム紛等を使用することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の質量流量センサーは、少なくとも一部が金属で構成されるチューブ(1)と、同チューブ上に設けられた少なくとも1個の抵抗コイル(2a,2b)と、前記チューブと抵抗コイルとの間を電気的に絶縁し且つ同チューブと抵抗コイルとを密着させるように設けられた樹脂(3)と、前記抵抗コイルに通電して前記チューブを加熱するための手段(5)とを含み、前記樹脂の少なくとも一部に熱伝導率が高い電気的絶縁性の粒子を混入させたことを特徴としている。混入する粒子としては、構造的に安定し熱伝導率の高いダイヤモンド微粒子、フラーレン、酸化アルミニュウム紛等を使用することができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、半導体製造プロセスにおいて用いられるプロセスガスやその他の流体の質量流量計測に使用される質量流量センサーに関する。
半導体製造装置等のプロセスガスの計測制御用の質量流量センサーとしてはサーマルセンサーが広く使用されている。一般的なサーマルセンサーは、外径1mm以下の肉薄の金属チューブに絶縁被覆を施した細い抵抗線が巻かれた構造を有している。この抵抗線は、通電されることにより加熱される。センサーチューブ内にガスが流されるとチューブ上の温度分布が変化し、抵抗線の抵抗値が変化する。この抵抗線の抵抗値変化を計測することにより、その抵抗温度係数からセンサーチューブの温度の変化が検出でき、この温度変化からセンサーチューブ内を流れる流体の流量を検出することが出来る。
このような構造のサーマルセンサーにおいては、通常は、例えば米国特許第3,938,384号に記載されているように、外部の温度変化の影響を避けるために、チューブ上の2箇所に互いに近接させて抵抗線をコイル状に巻き、これら各コイルの抵抗の差から流量を検出するようになされている(特許文献1参照)。しかしながら、このような抵抗値の差は、各コイル抵抗値のせいぜい1%程度であるので、センサーの精度は、コイルの抵抗値の経年変化等に影響を受け易く、各コイル抵抗値の経年変化を少なくし精度を長期間保つのは至難の技であった。また、この方法では、コイルは100°C程度に加熱され、熱による細い抵抗線の芯線及び絶縁被覆の機械的な歪等による抵抗値の変化を無くすことは困難であった。更に、図1に示すように、従来の抵抗コイルでは、コイルとセンサーチューブとの間に示す空隙部分Aのために、コイルの発熱がセンサーチューブに有効に伝わらず、センサーチューブ中を流れるガス流量の検出感度及び応答性に問題があった。
そのための一つの改善法として、特許第2124981号公報(特開平4−366725号)に記載されているように、コイルの加熱温度を比較的低い一定値に保ち、それぞれのコイルに印加される電力の差から流量を検出する方法がある(特許文献2参照)。この方法は、熱的な負荷が減少するために有効である。
一方、前記プロセスガスの中には、150°C程度に加熱する必要があるものが増えている。このような条件では、必然的に前記コイル温度も200度前後必要になるため、この温度で抵抗値が安定しているコイルが求められる。米国特許第5,398,549号には、セラミックに白金を蒸着して構成した抵抗コイルが記載されている。このコイルは、高温で抵抗値が極めて安定しているが、製造設備にコストがかかるという問題があった(特許文献3参照)。
米国特許第3,938,384号
特許第2124981号公報
米国特許第5,398,549号
本発明は、上記従来技術における問題点を解決し、高温での経年変化が少なく且つ高感度であって製造コストの安いサーマルセンサーを提供することを目的とする。
本発明の質量流量センサーは、少なくとも一部が金属で構成されるチューブと、同チューブ上に設けられた少なくとも1個の抵抗コイルと、前記チューブと抵抗コイルとの間を電気的に絶縁し且つ同チューブと抵抗コイルとを密着させるように設けられた樹脂と、前記抵抗コイルに通電して前記チューブを加熱するための手段とを含み、前記樹脂の少なくとも一部に熱伝導率が高い電気的絶縁性の粒子を混入させたことを特徴としている。
本発明の質量流量センサーは、以下のようにして形成される。まず、被覆導線が、金属製のセンサーチューブの長手方向中央近くに、互いに近接させた2個の抵抗コイルを構成するように巻かれる。巻き線が終了した後、各抵抗コイルに、溶剤により濃度を下げ且つ熱伝導性の高い粒子を混入した電気絶縁性の樹脂を塗布して染み込ませる。その後熱硬化させてセンサーチューブと一体化させる。樹脂の溶剤は熱硬化時に揮発するので、最終的に得られるものは、隣合う巻線とセンサーチューブの間に熱伝導性の高い粒子が分散された電気絶縁性の樹脂が充填された構造となる。
各コイルを巻くピッチは、各抵抗線間にも上記樹脂が十分充填されるように、完全な蜜巻きではなく若干の隙間を持って巻かれるのが好ましい。別の方法として、繊維径の細い筆で前記樹脂を塗布しながら被覆導線を蜜巻にし、その後熱硬化させても良い。
また、樹脂としては、電気的絶縁性の樹脂であれば良いが、ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の電気絶縁性の熱硬化性樹脂が好ましい。また、混入する粒子としては、構造的に安定し熱伝導率の高いダイヤモンド微粒子、フラーレン(Fullerene:60個以上の炭素原子で構成された球状あるいはチューブ状の閉じた構造の物質)、酸化アルミニュウム紛等を使用することができる。粒子を均一に樹脂に混入させるために粒径は100ナノメートル(nm)以下であるのが好ましい。
センサーチューブの材質としては、SUS316Lの耐食性の高いNi合金が好ましいが、これと同等の耐食性を有する他の材質を使用することも可能である。また、チューブ内表面または外表面にクロム酸化物、ダイヤモンドライクカーボン等の薄膜を設けて、耐食性の向上、熱伝導率の改善等を計っても良い。
更に、抵抗コイルとセンサーチューブ間及び導線被覆に熱伝導率を改善した樹脂を適用することが好ましいが、抵抗コイルとセンサーチューブ間及び導線被覆のいずれかにこの様な樹脂を適用するだけでも、従来のセンサーに比べて良好な結果が得られる。
上記の様な構成のコイルをセンサーチューブの上に配置した構成の本発明のセンサーによれば、従来空隙であった隣合う巻線とセンサーチューブとの間の隙間及び巻線間が樹脂で充たされ、センサーが構造的に強化され、構造の経年変化が低減される。従って、各コイル抵抗値の経年変化も低減され、長期に亘り安定したセンサー特性が得られる。
更に、上記樹脂には熱伝導率の高い粒子が混入されているので、樹脂の熱伝導率が改善され、コイルの熱が有効にセンサーチューブに伝達されるため、感度の高いセンサーが実現できる。
以下、図面を参考にして本発明の実施形態を詳細に説明する。
図2は、本発明の質量流量センサーの一実施形態の構成を示す断面図である。図2から明らかなように、本発明の質量流量センサーは、内部をプロセスガスが流通するセンサーチューブ1の外径に2つの抵抗コイル2a、2bが巻かれた構造を有している。図3は、図2の質量流量センサーの一部の拡大図である。センサーチューブ1は、長さ60mm、外径0.5mm、内径0.3mmの耐食性の高いNi合金ステンレス(SUS316L)製の管によって構成されている。抵抗コイルは、被覆導線3をセンサーチューブ1の長手方向中央近くに互いに近接させた2個の抵抗コイル2a、2bが構成されるように巻くことによって形成されている。被覆導線3は、温度係数が4000ppmで芯線外径が20ミクロンのNi/Fe細線に、ダイヤモンド微粒子を混入したポリイミド樹脂を混ぜたポリイミド樹脂をコーティングした後、熱硬化させ、数ミクロンの絶縁被覆を芯線に施して構成されたものである。被覆導線3は、完全な蜜巻きではなく若干の隙間を持って巻かれるのが好ましい。図3に示されているように、巻き線が終了した後、被覆巻線3とセンサーチューブ1との間及び各被覆巻線間に、溶剤により濃度を下げ且つダイヤモンド微粒子を混入したポリイミド樹脂4が塗布して染み込ませた後熱硬化されて一体化されている。ポリイミド樹脂の溶剤は熱硬化時に揮発するので、最終的に得られたものは、隣合う巻線とセンサーチューブの間にダイヤモンド微粒子が分散されたポリイミド樹脂が充填された構造となっている。
図2は、本発明の質量流量センサーの一実施形態の構成を示す断面図である。図2から明らかなように、本発明の質量流量センサーは、内部をプロセスガスが流通するセンサーチューブ1の外径に2つの抵抗コイル2a、2bが巻かれた構造を有している。図3は、図2の質量流量センサーの一部の拡大図である。センサーチューブ1は、長さ60mm、外径0.5mm、内径0.3mmの耐食性の高いNi合金ステンレス(SUS316L)製の管によって構成されている。抵抗コイルは、被覆導線3をセンサーチューブ1の長手方向中央近くに互いに近接させた2個の抵抗コイル2a、2bが構成されるように巻くことによって形成されている。被覆導線3は、温度係数が4000ppmで芯線外径が20ミクロンのNi/Fe細線に、ダイヤモンド微粒子を混入したポリイミド樹脂を混ぜたポリイミド樹脂をコーティングした後、熱硬化させ、数ミクロンの絶縁被覆を芯線に施して構成されたものである。被覆導線3は、完全な蜜巻きではなく若干の隙間を持って巻かれるのが好ましい。図3に示されているように、巻き線が終了した後、被覆巻線3とセンサーチューブ1との間及び各被覆巻線間に、溶剤により濃度を下げ且つダイヤモンド微粒子を混入したポリイミド樹脂4が塗布して染み込ませた後熱硬化されて一体化されている。ポリイミド樹脂の溶剤は熱硬化時に揮発するので、最終的に得られたものは、隣合う巻線とセンサーチューブの間にダイヤモンド微粒子が分散されたポリイミド樹脂が充填された構造となっている。
図4は、図2及び3に示した本発明の質量流量センサーが使用される流量測定回路を示す回路図である。各抵抗コイル2a、2bは、2個の基準抵抗Rs1、Rs2とブリッジ回路を構成するように接続され、定電流源5により駆動されて、センサーチューブ1を所定の温度に加熱する。ガスがセンサーチューブ1内を流れると、センサーチューブ1上の温度分布が変化するので、各抵抗コイル2a、2bは、その温度分布に応じた抵抗値を示す。これらの抵抗値の差が、前記ブリッジ回路に接続された増幅器6を介して電圧として検出される。この様な構成によれば、検出された電圧は流れるガスの質量流量に応じて変化するので、流量の検出ができる。
図5は、この様にして作製した質量流量センサーの出力特性を示すグラフであり、従来の質量流量センサーの出力特定と比較して示されている。それぞれ出力は異なるので最大値に基づいて正規化されている。グラフから明らかなように、本発明による質量流量センサーの出力特性(発明品1および2)は、従来のセンサーに比べて応答時間が20乃至40%改善されている。発明品1および2では、樹脂に混入させた粒子濃度が異なる。
以上に説明した図2及び3の実施形態の構成においては、抵抗コイルとセンサーチューブ間にダイヤモンドの微粒子を混入したポリイミド樹脂を使用したことにより、コイルから、センサーチューブへの熱の伝達が改善され、流量検出感度及び応答性が改善される。
また、従来のセンサーにおいては、細い導線の外周被覆のほんの一部のみがセンサーチューブに接触していたためコイルを巻くテンションがこの部分に集中し、構造的な安定性に問題があり長期間一定のコイル抵抗を維持するのが困難であったが、本発明の質量流量センサーにおいては、樹脂の使用により構造の安定性が確保されて長期間安定した抵抗値が得られるので、精度の高い流量検出が可能となる。
また、上記の実施形態においては、樹脂としてポリイミド樹脂を用いたが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等のその他の電気絶縁性の樹脂も同様に用いることができる。また、混入する粒子として、構造的に安定し熱伝導率の高いダイヤモンド微粒子を使用したが、フラーレン(Fullerene:60個以上の炭素原子で構成された球状およびチューブ状の閉じた構造の物質)、粒径が数100nm以下の酸化アルミニュウム紛等でも同様の効果がある。表1は、各物質の熱伝導率を示したものであり、炭素(ダイヤモンド)が熱伝導率の点で極めて優れていることがわかる。
更に、被覆導線を巻く別の方法として、繊維径の細い筆で前記のポリイミド樹脂を塗布しながら被覆導線を蜜巻にし、その後熱硬化させても良い。
また、上記の実施形態においては、センサーチューブの材質としてSUS316Lの耐食性の高いNi合金が使用したが、これと同等の耐食性を有する他の材質を使用することも可能である。また、チューブ内表面または外表面にクロム酸化物、ダイヤモンドライクカーボン等の薄膜を設けて、耐食性の向上、熱伝導率の改善等を計っても良い。
また、上記の実施形態においては、センサーチューブの材質としてSUS316Lの耐食性の高いNi合金が使用したが、これと同等の耐食性を有する他の材質を使用することも可能である。また、チューブ内表面または外表面にクロム酸化物、ダイヤモンドライクカーボン等の薄膜を設けて、耐食性の向上、熱伝導率の改善等を計っても良い。
更に、本実施形態では、抵抗コイルとセンサーチューブとの間及び導線被覆に熱伝導率を改善した樹脂を適用することによって抵抗コイルとセンサーチューブ間の熱の伝達および構造的な改善をはかったが、抵抗コイルとセンサーチューブとの間及び導線被覆のいずれかにこの様な樹脂を適用するだけでも、従来の絶縁被覆された導線をセンサーチューブに巻いたものに比べて良好な結果が得られる。
本発明は、ガスの流量計測制御だけでなく、ガス以外例えば純水等の液体の流量計測に有効に用いることもできる。
1 センサーチューブ、 2a、2b 抵抗コイル、
3 被覆導線、 4 樹脂、
5 定電流源、 6 増幅器、
3 被覆導線、 4 樹脂、
5 定電流源、 6 増幅器、
Claims (6)
- チューブの中を流れる流体の質量流量を検出する質量流量センサーであって、
少なくとも一部が金属で構成されるチューブと、
同チューブ上に設けられた少なくとも1個の抵抗コイルと、
前記チューブと抵抗コイルとの間を電気的に絶縁し且つ同チューブと抵抗コイルとを密着させるように設けられた樹脂と、
前記抵抗コイルに通電して前記チューブを加熱するための手段とを含み、
前記樹脂の少なくとも一部に熱伝導率が高い電気的絶縁性の粒子を混入させたことを特徴とする、質量流量センサー。 - 請求項1に記載の流量センサーであって、
前記粒子が、粒径100ナノメートル以下のダイヤモンド又はフラーレンを含むことを特徴とする、質量流量センサー。 - 請求項1に記載の質量流量センサーであって、
前記粒子が、粒径100ナノメートル以下の酸化アルミニュウムを含むことを特徴とする、質量流量センサー。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか一の項に記載の質量流量センサーであって、
前記樹脂が熱硬化系樹脂であることを特徴とする、質量流量センサー。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか一の項に記載の質量流量センサーであって、
前記樹脂が少なくとも一部がポリイミド系樹脂であることを特徴とする、質量流量センサー。 - チューブの中を流れる流体の質量流量を検出する流量センサーであって、
少なくとも一部が金属で構成されるチューブと、
絶縁被覆を施された導線を前記チューブにコイル状に巻いて形成された少なくとも1個の抵抗コイルと、
同抵抗コイルに通電して前記チューブを加熱するための手段と、を含み、
前記絶縁被覆が、粒径100ナノメートル以下の熱伝導率の高い電気的絶縁性粒子が分散された電気的絶縁性樹脂によって構成されていることを特徴とする、質量流量センサー。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019027823A (ja) * | 2017-07-26 | 2019-02-21 | 東京電力ホールディングス株式会社 | 流量計および流量計測方法 |
-
2004
- 2004-04-16 JP JP2004121048A patent/JP2005300486A/ja active Pending
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