JP2005299045A - 易染性ポリエステル繊維とポリウレタン系繊維との混用品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 改質したポリエチレンテレフタレートとポリウレタン繊維と混用することにより、ナイロンに近いソフトでしなやかな風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ染色堅牢度性能に優れた混用染色品を提供する。
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状で下記の条件(1)を満足するポリエステル繊維であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が下記(2)で示される範囲にあることを特徴とする易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品。
(1) 2≦扁平度≦4
(2) 85℃≦(Tmax)≦105℃
【選択図】 なし

Description

本発明はポリエステル繊維とポリウレタン系繊維との混用品に関するものである。さらに詳しくは、易染性ポリエステルを混用することでポリウレタン系繊維を痛めずにポリウレタン繊維本来の伸縮弾性、物性を最大限に発揮し、ナイロンに近いソフトでしなやかな風合を有し、特に染色における色の再現性が良好なポリエステル繊維とポリウレタン系繊維との混用布帛の染色製品に関するものである。
ポリウレタン系繊維は優れた伸縮弾性を有することから、ポリアミド繊維等と混用されて、水着、スポーツニット、ソックス、等に幅広く使用されている。
この場合に使用されるポリアミド繊維は低ヤング率に起因するソフトな風合を有し、常圧染色にて良好な染色性が得られることからポリウレタン繊維と好ましく混用されている。
しかしながら、ポリアミド繊維は湿潤時に繊維膨潤があり、寸法安定性や形態安定性に劣り、貯蔵中に黄変しやすいことや染色性の変化が大きい、耐光堅牢度や湿潤堅牢度が低い、染色後のタンニン酸処理にてポリウレタン繊維の劣化が生じる等の問題点があった。
このためポリアミド繊維にかえてポリエステル繊維を使用した場合、ポリアミド繊維でのかかる問題点は解決されるが、ポリエステル繊維を用いた場合、通常の染色温度である130〜135℃の高温染色するとポリウレタン繊維の伸縮弾性、強度、伸度が大きく低下するという問題がある。また、染色温度を下げて常圧下でキャリヤー剤を用いて染色した場合には、ポリウレタン繊維がキャリヤー剤により脆化すること、繊維中の脱キャリヤーが困難なこと、キャリヤー臭による作業環境の低下等の問題がある。
そこで、ポリウレタン繊維の脆化を起こさせない温度領域で染色可能な常圧可染型ポリエステル繊維として、ナトリウムスルホイソフタル酸を5モル%以上共重合したカチオン染料可染型ポリエステル繊維の製造法が特許文献1、2に開示されている。しかしながら、染色性は高められるものの原糸強度が低く、伸縮回復性が乏しく、ソフトでしなやかな風合は得られず、耐薬品性が低く、カチオン染料の耐光堅牢度が乏しく、カチオン染料の染色機への汚染が大きい等の問題がある。
また、ポリエチレングリコールの共重合による易染性ポリエステル繊維の製造法が特許文献3に開示されている。しかしながら染色性は良好なものの原糸での沸水収縮率が高く、原糸使いにおいてはソフトでしなやかな風合が得られない、原糸が黄変しやすく淡色系における鮮明性が得られない等の問題がある。
さらに、5000〜8000m/分の高速紡糸により繊維内部構造をかえた易染性ポリエステル繊維の製造法が特許文献4、5に開示されている。これらの高速紡糸によるポリエステル繊維は従来のポリエステル繊維に比べ易染性になっているものの完全な常圧可染とはいいがたく、濃色に染色するには、110〜120℃の染色温度が必要であり、ポリウレタン繊維の脆化は免れなく、しかもソフトでしなやかな風合は得られない等の問題がある。
従って、現状ではポリエステルの発色性と混用するポリウレタン繊維の伸縮弾性、物性との兼ね合いから妥協点を見出した染色条件が採用され、分散染料での染色が行われているが、しかるに分散染料で染色した場合、ポリウレタン繊維に分散染料が過度に染着し、その染着性がコントロールが困難であることから染色時の色ブレが大きく、ポリエステル繊維の発色性が低くなる問題がある。しかも染色された混用布帛の染色堅牢度が著しく低下することから染色した布帛を還元洗浄によりポリウレタン繊維を汚染している分散染料を除去する必要があり、除去性を高めるため還元剤やアルカリ濃度を高くしたり、処理温度を高くする必要がある。ところが還元洗浄条件が強化されてもポリウレタン繊維中の分散染料を満足いく程度に除去することができず染色堅牢度性能は低く、洗浄条件の強化によりポリエステル繊維の発色性が大きく低下し、染色バッチごとの色のバラツキが大きく色の再現性が低い、品質の悪い染色製品しか得られていないのが実状である。
特公昭61−17939号公報 特開昭61−34022号公報 特開平3−174076号公報 特公平1−15610号公報 特開昭59−59911号公報
本発明は、改質されたポリエステル繊維とポリウレタン繊維を混用することにより、ポリエステル繊維の発色性が高く、染色における色の再現性が高く、ナイロンに近いソフトでしなやかな風合を有する混用染色製品を提供することを目的とする。
本発明者はポリウレタン繊維に混用するポリエステル繊維について鋭意研究を行った結果、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルを5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸したポリエステル繊維をポリウレタン繊維と混用した布帛が上記課題を解決することを見出し、更に検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状で、下記の条件(1)を満足するポリエステル繊維であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が、下記(2)で示される範囲にあることを特徴とする易染性ポリエステル繊維とポリウレタン系繊維との混用染である。
(1) 2≦扁平度≦4
(2) 85℃≦(Tmax)≦105℃
ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合した単糸の断面形状がW字状のポリエステルを5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸した易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維を混用することでポリエステル繊維の発色性が高く、染色における色の再現性が高く、ナイロン並にソフトでしなやかな風合を有する混用染色製品が得られるという効果を有する。
本発明について、以下に更に詳細に説明する。
本発明における共重合成分として用いるポリエチレングリコールは、ポリエステル繊維の非晶構造に適当な乱れを起こすし、染色性の向上に寄与するものである。
ポリエチレングリコールの分子量が300未満の場合には、本発明でいう動的粘弾性測定から求められる力学的損失正接(tanδ)のピーク温度(以下、Tmaxと称す)が106℃以上となりポリウレタン繊維と混用した時の風合としてソフトでしなやかさが得られない。また、ポリエステル繊維の発色性が低く、染色バッチごとの色の再現性が悪い。しかもポリエチレンテレフタレートは真空下での重合のため分子量が300未満のポリエチレングリコールの場合、一部がプロダクト系外に飛散する恐れがあり、ポリマー組成が不安定となる。一方、ポリエチレングリコールの分子量が2000を越えた場合、ブロック共重合に伴い超高分子成分が増大し、紡糸性が不良となるばかりか、染色堅牢度、耐光性の低下が顕在化するため好ましくない。
また、ポリエチレングリコールの共重合量が3重量%未満の場合には、Tmaxが106℃以上となりポリウレタン繊維と混用した時の風合としてソフトでしなやかさが得られない。またポリエステル繊維の発色性が低く、染色バッチごとの色の再現性が悪い。一方、8重量%を越える場合には、Tmaxが85℃未満となりポリウレタン繊維と混用した時の風合としてソフトでしなやかさは得られない。また、染色性は十分なもののポリマー色調が悪化し、5000m/分以上の巻き取り速度においては、糸切れや毛羽の発生が多くなり、紡糸安定生産が困難となる。また、製糸されたフィラメントは耐光堅牢度、染色堅牢度が悪化し好ましくない。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、その単糸の断面形状がW字状で、扁平度が2.0以上4.0以下が必要である。これはこの範囲で本発明が求めるナイロンに近いヌメリ感を有し、ソフトでしやなかな風合に優れた布帛が得られるからである。また常圧染色における発色性が向上するからである。扁平度が2.0未満の場合、比表面積が丸断面糸と近似するためソフトな風合は得られず、常圧染色における染料の吸尽速度が遅く発色性も不十分である。一方、扁平度が4.0を超えると単なる扁平糸に近くなり布帛の風合はペーパーライクとなり、イラツキ感のある光沢となり好ましくない。扁平度の好ましい範囲は2.5〜3.5の範囲である。
本発明では、W字状断面の各凹部の開口角度が100〜150度であることが好ましい。開口角度は、断面形状の鋭利さを意味し、角度が小さい程断面が鋭利であり、角度が大きい程鈍である。開口角度が100度未満では、延伸仮撚の際にW断面の変形が大きく、W断面形状の持つ溝の多くが潰れてしまい、ソフトな風合は得られず、発色性も不十分である。一方、開口角度が150度を越えても風合、発色性が不十分である。
ポリエステル繊維を高度に異型化し風合、染色性改善改善方法として単糸断面をY型断面、十字型断面、H型断面、星型断面等に異型化し、高度に異型化することで染色性は改善されるが、布帛の風合が硬いという致命的欠点が顕在化するのである。また、凹部を3個所以上持たせる方法もあるが、W断面同様に風合、染色性も改善されるが、凹部の増加により紡糸ノズルの吐出線速度が低下し、紡糸安定性が低下するので好ましくない。本発明では、単糸断面形状をW字断面とすることによりソフトでしなやかな風合が得られ、発色性が向上し、紡糸安定性に優れたポリエステル繊維が得られることを見出した。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、動的粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(Tmax)が85〜105℃であることが必要である。これは、この範囲で本発明が求めるナイロンに近いソフトでしなやかな風合が確保できるばかりか、染色性が高まり、ポリウレタン繊維への染着量が少なくなり、着色度が60以下にコントロールできることから染色バッチごとの色の再現性、染色堅牢度が良好となる。またTmaxは、非晶部の分子の移動性に対応するので、この値が小さくなるほど染料が非晶部に入りやすくなり染色性が高まる。Tmaxが85℃未満では原糸での力学物性、耐熱性の低下の問題があり、一方、Tmaxが105℃を越えると染色性が低下し、より高い温度での染色が必要となるのでポリウレタン繊維の脆化の問題が発生する。Tmaxの特に好ましい範囲は90〜100℃である。
また、Tmaxほど重要な条件ではないが、Tmaxにおける損失正接の値(tanδmax)は0.13〜0.22の範囲が好ましい。損失正接の値は非晶量に対応しており、この範囲から外れると本発明で得られる風合の悪化や染色性、染色堅牢度が悪化するばかりか色の再現性が悪くなる惧れがある。
次に本発明の易染性ポリエステル繊維の製造法について述べる。
本発明でいうポリエステル繊維とは構成単位の少なくとも90%以上がエチレンテレフタレートであり、前記のポリエチレングリコール成分以外にも5モル%以下の他の成分を共重合していてもよい。例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、ホウ酸等の鎖分岐剤を小割合重合したものであってもよい。
また、前記共重合成分の他に通常のエステル交換触媒、重合触媒、リン化合物、二酸化チタン等の艶消し剤、着色防止剤、酸化分解防止剤、消泡剤、ケイ光増白剤、顔料などを必要に応じて含有させてもよい。
本発明の易染性ポリエステル繊維を構成するポリマーの重合方法は、公知の方法を採用することができる。すなわち、ポリエチレングリコールは、テレフタル酸、エチレングリコール等と反応させてもよく、あるいはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応を行った後に反応させてもよく、ポリエステルの重合反応が完了する任意の段階で添加してもよい。また、現在工業生産が行われているバッチ重合法、連続重合法のいずれも適用できる。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸する高速紡糸法によってのみ得ることができる。5000m/分以下の巻き取り速度で得られた糸では製織製編工程において伸張が起こり、染斑や布帛の品質低下を頻発するため実用上の障害となる。一方、当該共重合ポリエステルを通常法や直延法を用いて繊維化しても動的粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(Tmax)が85〜105℃の範囲外となり、ポリウレタン繊維と混用した時の風合としてナイロンに近いソフトでしなやかさは得られない。また、染色バッチごとの色の再現性も不良となる。これは高速紡糸で得た繊維の非晶部分の配向が通常法や直延法で得た繊維のそれよりもはるかに小さいことに起因する。特に、本発明で用いるポリマーは非晶部分に適度に分子鎖の長いポリエチレングリコールを有するので、非晶部の配向が一層低下し、染色性が向上するばかりかソフトでしなやかな風合がいっそう助長され、しかも力学物性に優れた画期的な繊維となる。
本発明においてソフトでしなやかな風合を付与するため単糸形状をW断面とし、高速紡糸法において製糸した場合、糸切れ、毛羽が多発することが明らかとなった。この事態を回避するため発明者らは鋭意研究を重ねた結果、図1並びに図2に示す通り、紡口ランド部形状を楕円形とすることで、単糸断面形状がW字状であっても紡糸時の断糸、ケバ等欠点の少ない高品位のポリエステル繊維が得られることを見出した。糸切れ、毛羽が多発する原因は定かではないが、単糸形状がW断面で紡口ランド部形状が真円の場合、ランド部にて異常滞留が生じ、ポリマーの熱劣化による粘度低下物がフィラメントに混入し、糸切れ、毛羽が多発したものと考えられる。特に5000m/分以上の高速紡糸の場合、ポリマーの粘度変動や触媒、添加剤の凝集等の影響を受けやすいため、ポリマー重合段階および製糸工程において細心の注意をはらう必要がある。特に本発明の場合、易染性を付与するためにポリエチレングリコールを共重合しており、耐熱性においては通常ポリエチレンテレフタレートに比べ劣るため、重合工程および紡糸工程においては異常滞留を極力防止する必要がある。
紡口ランド部の楕円形状は、楕円に外接する長方形の長辺と短辺の比が1.2〜3.5の範囲にあることが必要となる。長辺と短辺の比が1.2未満あるいは3.5を超える場合は、本発明の狙いとする紡糸時の断糸、ケバ等欠点の少ない高品位なポリエステル繊維は得られない。原因は定かではないが、長辺と短辺の比が1.2未満あるいは3.5を越えた場合、紡口ノズル形状とランド部形状とが不均衡となりランド部にポリマー長期滞留箇所が生じ、長期滞留によるポリマー粘度低下物がフィラメントに混入するため断糸や毛羽が生ずるものと推察される。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、例えば図3に示す紡糸装置を用いて製造することができる。本発明に用いられる給糸用ノズルからなる収束ガイド、巻取装置、およびその他の溶融紡糸に必要な装置は、ポリエステル繊維の製造装置として公知のものを使用できる。また、本発明に用いる仕上油剤は、エマルジョンタイプ、ストレートタイプの何れでもよく、その成分は既知のものでよい。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、その単糸デシテックスを特に限定するものではないが0.1〜5デシテックス、より好ましくは0.5〜3デシテックス、また特に限定はしないがトータルデシテックスが10〜340デシテックスでの繊維が好ましく適用される。また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、単糸デシテックスが0.1〜5デシテックス程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸乃至は強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
なお本発明でいう混用品は、本発明の目的を損なわない範囲内でウール、綿、絹に代表される天然繊維やキュプラ、ビスコースレーヨン繊維、ポリアミド繊維等他の繊維を混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード空気噴射加工等の混用の手段による混用品であることができる。
本発明において、混用されるポリウレタン繊維は、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオールをジオール成分とし、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分とし、エチレンジアミン等をジアミン成分として得られるポリエーテル系ポリウレタン繊維やポリカプロラクトンやアジピン酸/1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコールからなるポリエステル等からなるポリエステルジオールとブタンジオール等の脂肪族ジオール等をジオール成分とし、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分として得られるポリエステル系ポリウレタン繊維などから適宜に選択されるポリウレタン系繊維である。ポリウレタン繊維には、必要に応じて、金属酸化物、金属水酸化物等の塩素水劣化防止剤、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト類化合物等を単独又は二種以上の混合物が添加量としては好ましくは0.1〜6.0重量%含まれていてよく、その他公知の安定剤、紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。
ポリウレタン繊維は、鮮明性の高いブライト糸、あるいは光沢を抑えたセミダル糸等から用途によって適宜選ばれる。
本発明の混用染色品における易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維の割合は、ポリウレタン繊維が概ね40重量%以下である。混用の割合は混用品の形態あるいは用途に応じて選択される。残りの混用成分である易染性ポリエステル繊維は、その他にウール、綿、絹、麻、キュプラ、ビスコースレーヨン、アセテート繊維等が混用されることもありうる。
本発明の易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品の形態は、糸条の形態であっても、布帛の形態であることもできる。糸条の形態の例としては、ポリウレタン繊維の裸糸すなわちベア糸(10〜500dtex)を易染性ポリエステル繊維で被覆した糸条、例えばいわゆるカバリングヤーン(シングル並びにダブルカバリング)、合撚糸、コアヤーン、交絡糸等の被覆糸などの形態が挙げられる。一方、布帛の形態の例としては、編物、織物、不織布並びにこれらの複合布帛(例えば積層布帛)が挙げられる。具体例として、いわゆる機上混用品があり、製編織時にポリウレタン繊維の裸糸(裸糸の場合は編成や製織時、2〜4倍程度に伸長させながら)又は被覆糸を機上にて易染性ポリエステル繊維と引き揃えて、又は合糸して混用して得られる編織物がある。
次に、本発明の易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品は、編成、製織後、リラックス精練してから染色することが好ましい。精練は40℃〜98℃の温度で、徐々に温度を上げながらできるだけ布帛をリラックスさせた状態で行うことが布帛の伸縮回復性を高めるなどの理由から好ましい。なお、染色前に形態固定を行いたい場合は170〜200℃の温度で乾熱でプレセットを行えばよい。
本発明の易染性ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品を染色する際には、通常ポリエステル繊維が分散染料にて染色されている染色条件であればいずれでも適用でき、染色助剤の種類とその使用濃度、染色pH、染色浴比、染色時間等は被染色品の種類、用いられる処理装置、染色法を勘案して適宜設定すればよい。分散染料としては、ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ、ナフタレンアゾ系)や複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリドンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾ等)に代表されるアゾ系分散染料の使用が色の再現性、染色堅牢度を高める上で好ましい。染色する際の染色温度は135℃以下が好ましく、特に120℃以下で染色することが色の再現性を高める上で好ましい。染色操作は、ウインス、ジッガー、ビーム染色機、液流染色機等の装置を用い、バッチ方式、連続方式のいずれによっても実施することができる。なお、浸染以外にパディング染色法、プリント法であっても実施することができる。染色後の後処理としては還元剤を用いた還元洗浄を実施する。
得られた混用染色品は、易染性ポリエステル繊維への分散染料の染着率を高め、染料の無駄を低減して発色性が高く、見栄えのよい混用品の染色物が得られ、染色バッチごとの色のバラツキを抑え染色機の操業率を向上させる。また、ポリウレタン繊維への分散染料の染着量が少なくなっていることから、還元洗浄における還元剤の濃度、アルカリ剤の濃度は、各々1〜2g/リットルの条件で充分であり、処理温度を高める必要がなく、還元洗浄条件の強化も必要をとせずに、還元洗浄バッチごとの色のバラツキの発生もなくせる。
次に還元洗浄後は、常法に従って仕上げればよいが、ファイナルセット温度はプレセット温度より10℃以上低くしてセットすると好ましい結果が得られる。また、必要に応じて染色前にアルカリ減量処理を実施しても構わない。アルカリ減量処理を施す場合は、連続方式(パッド方式)が減量率のコントロールが得やすいなどの理由より好ましい。
以下に本発明を実施例などにより更に具体的にに説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。尚、本発明で用いられる特性値の測定法を以下に示す。
(1)固有粘度[η](dl/g)
固有粘度[η](dl/g)は次式の定義に基づいて求められた値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義式中、ηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリマーの希釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されるものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
(2)強度・伸度
オリエンテック社製、引張試験機を用い、糸長20cm、引張速20cm/分の条件で測定した。
(3)扁平度
扁平度は、次式にて繊維の単糸横断面の外接長方形の長辺Aと短辺Bの比にて求めた。
扁平度=長辺A/短辺B
(4)損失正接
オリエンテック社製、レオバイブロンを用い、試料重量約0.1mg、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分、乾燥空気中にて測定を行い、各温度における力学的損失正接(tanδ)、および動的粘弾性(E’)を測定する。その結果から、tanδ−温度曲線が得られ、この曲線上でtanδが最大値を示す温度(℃)とそのときのtanδの極大値tanδmaxを求めた。
(5)吸尽率、発色性(K/S)測定:染色性の評価
試料は、糸を一口編地としスコアロール400を2g/リットル含む温水を用いて、70℃、20分間精錬処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次いで、ピンテンターを用いて、180℃、30秒間の熱セットを行ったものを用いた。
染料は、SumikaronBlue/S−3RF(住化ケムテックス(株)製、商品名)を布帛に対して5重量%使用し、さらに分散剤として、ニッカサンソルト7000(日華化学(株)製、商品名)0.5g/リットル、酢酸0.25ml/リットル、酢酸ナトリウム1.0g/リットルを添加してpHを5に調整して染液とした。浴比25倍の染浴中で95℃にて60分の染色後、吸尽率を求めた。吸尽率は、染料原液の吸光度をA、染色後の染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式に代入して求めた。吸光度は、当該染料の最大吸収波長である580nmでの値を採用した。
吸尽率=〔(A−a)/A〕×100(%)
発色性は、K/Sを用いて評価した。この値は、染色後のサンプル布帛の分光反射率Rを測定し、以下に示すKubelka−Munkの式から求めた。この値が大きいほど発色性が高い(表面濃度が高い)こと、すなはち、良く発色されていることを示す。当該染料の最大吸収波長である580nmでの値を採用した。
K/S=(1−R)2/2R
ちなみにレギュラーポリエステル繊維(56デシテックス/24f)を上記条件で130℃で60分染色後の吸尽率は94%で、K/S値は21であった。
(6)紡糸性の評価
1錘で24時間紡糸した場合の糸切れ回数で次のように評価した。糸切れ回数が1回以下を○、1〜3回までを△、3回を越える場合を×とした。
(7)風合い評価
検査者(30人)の触感によって布帛を次の基準で相対評価した。
◎:ソフト、しなやか感が非常によく、ナイロンに近い
○:ソフト、しなやか感はよい
△:ソフト、しなやか感はやや劣る
×:ソフト、しなやか感がない
(8)染色バッチ間色差:色ブレ評価
混用品10反を1バッチとし、10バッチ染色を繰り返し、各バッチの10反目を代表としてそれぞれについて、10バッチ間の色差を分光測色計(Kollmorgen社製、形式マクベスMS−2020)にて測定し、その平均値を用いた。
(9)汗アルカリ堅牢度
混用染色品について、JIS−L−0844に準じてアルカリ性人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度をそれぞれ変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
(10)ドライクリーニング液の汚染
混用染色品について、JIS−L−0860に準じてドライクリーニング試験を実施し、ドライクリーニング液とドライクリーニング試験後の汚れ液を磁性容器(20mm×40mm×10mm)に8cc採り、液汚染程度を汚染用グレースケールと比較してその色落ち度を判定した。色落ちの少ない良好なものを5級とし、順次1級(色落ちの大きいもの)に判定した。
(11)染色物中のポリウレタン繊維の着色度
布帛からポリウレタン繊維を抜き取り、その着色度をJIS−Z−8730に準拠し、分光測色計(Kollmorgen社製、形式マクベスMS−2020)使用し評価した。着色度Dは、染色前と染色仕上後のポリウレタン繊維の着色度差を示すものであり、Lab表色系において、下記の式により求めた。
D=(ΔL2+Δa2+Δb21/2
[実施例1、比較例1]
テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと称す)100部、エチレングリコール76部、エステル交換触媒として、酢酸マンガン4水和物塩0.04部を仕込み、150℃から240℃に加熱して3時間を要してメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、安定剤としてトリメチルフォスフェート0.04部、重合触媒として三酸化アンチモン0.05部、艶消し剤として二酸化チタン0.4部を添加した後、表1記載の分子量の及び添加量にてポリエチレングリコールと、熱安定剤としてイルガノックス245(チバガイギー社製)をポリエチレングリコールに対して3%となるように加え混合し添加した。その後、30分かけて常圧にて重縮合反応を行い、重合槽に移送した。移送完了後、徐々に減圧して、真空度0.5Torr、275℃で重縮合反応を行い、固有粘度[η]=0.73の改質ポリエステルを得た。これらポリマーを用いて、紡口ランド部形状が楕円形(長辺/短辺の比が2.0)でW型に穿孔された、紡糸孔30個有する紡口を使用して、紡糸温度280℃、巻取速度6000m/分で高速紡糸を行い、単糸断面形状がW断面を有した、56デシテックス/30フィラメントの繊維を得た。得られた易染性ポリエステル繊維のTmax、偏平率、強度、伸度、染色性、紡糸性評価結果を表1に記載した。
この糸条と311dtexのポリエーテル系ポリウレタン繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカSC)を用いて、通常の編成条件で6コースサテンネット編地(コース密度171ループ数/2.54cm。ウエル密度41ループ数/インチ。)を調整した。このポリウレタン繊維混用編地のポリウレタン繊維の混用率は21%であった。
この混用編地を拡布上で40℃、60℃、90℃と温度を変えながら精練リラックスしたのち190℃でプレセットを行い、下記の染色条件で10反を1バッチとし、10バッチ各々染色した。
染色条件
染料:C.I.ディスパースブルー(ベンゼンモノアゾ系分散染料)
79.1 4%omf
分散均染剤:ニッカサンソルト;RM−340(日華化学工業社製)
0.5g/リットル
酢酸: 0.5cc/リットル
酢酸ナトリウム: 1g/リットル
SR−1801Mコンク 4%omf
浴 比 : 1:15
染色温度、時間: 98℃、30分
染色完了後、染色機から染色残液を排出し、染色機に水を入れ温度を70℃まで昇温し、これに下記薬剤を添加して下記の濃度の還元洗浄浴を調整し、染色物に70℃、10分間の還元洗浄を施した。
二酸化チオ尿素: 2g/リットル
苛性ソーダー : 1g/リットル
ビスノールUP−10(一方社油脂社製):0.5g/リットル
浴 比 : 1:20
この還元洗浄後、残液を排出し、温湯および水により染色物を十分にすすぎ洗いした後、150℃で30秒間の乾熱セットで仕上げた。仕上げた染色物の風合、混用染色品の発色性、染色バッチ間色差、汗アルカリ堅牢度、ドライクリーニング液汚染、ポリウレタン繊維の着色度の評価結果を表1に示す。
表1の結果より、本発明の実施例1で得られた混用品は、いずれも比較例1比べ、ソフトでしなやかでナイロンに近い風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ堅牢度性能も良好で商品価値の高い混用品が得られることがわかる。
[実施例2、比較例2]
実施例1で製造された56dtex/30fの各々のポリエステル原糸、各2本をインターレース混繊し、S方向に300T/Mの追撚を行った。この混繊糸と33dtexのポリエーテル系ポリウレタン繊維(旭化成せんい〔株〕製、商品名:ロイカSC)を用い、24GGで天竺編物を作製した。ポリウレタン繊維の混用率は3.9%であった。
得られた各々の編地を実施例1と同様のリラックス精練後、180℃でプレセットを行い、8反を1バッチとし、実施例1と同様の条件にて10バッチ染色を実施した。
染色後は、実施例1と同様の条件にて還元洗浄、仕上げを行った。
仕上げた染色物の風合、混用染色品の発色性、染色バッチ間色差、汗アルカリ堅牢度、ドライクリーニング液汚染、ポリウレタン繊維の着色度の評価結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の実施例2で得られた混用品は、いずれも比較例2比べ、ソフトでしなやかでナイロンに近い風合を有し、発色性が高く、染色バッチごとの色のバラツキが少なく、色の再現性が高い染色物が得られ、かつ堅牢度性能も良好で商品価値の高い混用品が得られることがわかる。
Figure 2005299045
Figure 2005299045
本発明の混用品は特にインナー分野、スポーツ分野で好適に利用できる。
本発明で使用される易染性ポリエステル繊維の紡糸における紡口の断面概要図の例を示す。 本発明で使用される易染性ポリエステル繊維の紡糸における紡口のランド部平面概要図の例を示す。 本発明で使用される易染性ポリエステル繊維の紡糸生産工程例を示す。

Claims (1)

  1. ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状で、下記の条件(1)を満足するポリエステル繊維であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が下記(2)で示される範囲にあることを特徴とする易染性ポリエステル繊維とポリウレタン系繊維との混用品。
    (1) 2≦扁平度≦4
    (2) 85℃≦(Tmax)≦105℃
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