JP2005298718A - 表面改質されたフッ素系樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フッ素系樹脂表面が改質され、特に濡れ性の改善されたフッ素系樹脂成形品、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 フッ素系樹脂成形品に親水基を有する無機化合物水溶液を接触させた状態で放射線を照射する。
【選択図】 図1
【解決手段】 フッ素系樹脂成形品に親水基を有する無機化合物水溶液を接触させた状態で放射線を照射する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、表面改質されたフッ素系樹脂成形品、及びその製造方法に関する。更に詳しくは、プリンタ、複写機等の画像形成装置に使用されるロール又はベルト、パラボラアンテナの表面材、同軸ケーブルシールド部のメッキ、家電・自動車・航空・船舶等の表面保護、及び建築物外皮等に使用されるフッ素系樹脂成形品のうち、表面改質されたフッ素系樹脂成形品及びその製造方法に関する。
フッ素系樹脂は耐薬品性、耐熱性、耐久性、及び耐候性等に優れ、更には電気絶縁性が高い等の優れた特性を持つ高分子材料である。この為、該樹脂は幅広い産業分野において多くの需要がある材料であるが、一方で、表面の濡れ性が乏しいという性質も併せ持っている。樹脂の濡れ性は、一般に接着性を規定する際の重要な因子である。フッ素系樹脂もこの例に洩れず、乏しい濡れ性に因り、接着剤や塗料等の塗布が困難なだけでなく、フッ素系樹脂が用いられた複合材料では他の材料との接着界面が剥れやすい、という問題も生じている。
このような問題を解決するために、従来、フッ素系樹脂の表面改質をして濡れ性を向上させる、フッ素系樹脂の表面改質方法が種々提案されている。
例えば、(a)アルカリ金属を液体アンモニアに溶かした、液体アンモニア溶液による還元処理方法、(b)プラズマによる方法、(c)B(CH3)3ガスやB2H5とNH3との混合ガス等の雰囲気中に置かれたフッ素系フィルム等の表面にエキシマレーザー照射によってF基をCH3基、NH2基に置換して改質する方法(特開平2−196834号公報)等が挙げられる。
しかしながら、これらの改質法には次のような問題点がある。方法(a)の場合には、アルカリ金属を使用しているため、処理中、水に直接触れると爆発する危険性がある。又、液体アンモニア溶液も不安定であるため、作業衛生上問題があるだけでなく、更に太陽光や高温にさらされると改質表面の接着性等が大幅に低下する、という欠点がある。方法(b)には、処理面の化学組成が変化しない為に高い接着強度が得難く、又、減圧処理が必要である、という欠点がある。方法(c)の場合には、処理設備を実用化するのに高いコストを要し、又、毒性の強い特殊ガスを使用しなければならず、更にはフッ素系樹脂成形品がチューブ形状である場合には内面の連続処理は期待出来ない、という欠点がある。
このような問題を解決するために、従来、フッ素系樹脂の表面改質をして濡れ性を向上させる、フッ素系樹脂の表面改質方法が種々提案されている。
例えば、(a)アルカリ金属を液体アンモニアに溶かした、液体アンモニア溶液による還元処理方法、(b)プラズマによる方法、(c)B(CH3)3ガスやB2H5とNH3との混合ガス等の雰囲気中に置かれたフッ素系フィルム等の表面にエキシマレーザー照射によってF基をCH3基、NH2基に置換して改質する方法(特開平2−196834号公報)等が挙げられる。
しかしながら、これらの改質法には次のような問題点がある。方法(a)の場合には、アルカリ金属を使用しているため、処理中、水に直接触れると爆発する危険性がある。又、液体アンモニア溶液も不安定であるため、作業衛生上問題があるだけでなく、更に太陽光や高温にさらされると改質表面の接着性等が大幅に低下する、という欠点がある。方法(b)には、処理面の化学組成が変化しない為に高い接着強度が得難く、又、減圧処理が必要である、という欠点がある。方法(c)の場合には、処理設備を実用化するのに高いコストを要し、又、毒性の強い特殊ガスを使用しなければならず、更にはフッ素系樹脂成形品がチューブ形状である場合には内面の連続処理は期待出来ない、という欠点がある。
したがって、本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決し、フッ素系樹脂表面が改質され、特に濡れ性の改善されたフッ素系樹脂成形品、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、フッ素系樹脂成形品に親水基を有する無機化合物水溶液を接触させた状態で放射線を照射することにより、上記の課題を一挙に解決するに至った。
上記の構成を採る本発明によれば、以下のような顕著な作用・効果が奏される。
a.危険な薬品を使用することがないため、処理中、引火などの危険が無く安全である。
b.フッ素系樹脂成形品に安全な環境下で親水基が導入される。その結果、該成形品の濡れ性が改善され、これにより接着性が向上する。
c.ランニングコストが安価である。
d.放射線はフッ素系樹脂を透過する為、フッ素系樹脂成形品のあらゆる箇所、すなわち所望の表面に照射できる。したがって、連続処理が可能となる為工業的に格段に有利である。
a.危険な薬品を使用することがないため、処理中、引火などの危険が無く安全である。
b.フッ素系樹脂成形品に安全な環境下で親水基が導入される。その結果、該成形品の濡れ性が改善され、これにより接着性が向上する。
c.ランニングコストが安価である。
d.放射線はフッ素系樹脂を透過する為、フッ素系樹脂成形品のあらゆる箇所、すなわち所望の表面に照射できる。したがって、連続処理が可能となる為工業的に格段に有利である。
以下、本発明にしたがって表面改質されたフッ素系樹脂成形品について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、上記表面改質されたフッ素系樹脂成形品の一例としてのフッ素系樹脂チューブを製造する一連の工程を示すブロック図である。
図2は、上記のフッ素系樹脂チューブの内側表面(内壁面)を表面改質する工程で使用する装置の一例を示す概略側面図である。
図1を参照するに、表面改質されたフッ素系樹脂チューブは、以下の工程を経て得られる。
フッ素系樹脂を押出機に投入して、チューブ状に押出成形する工程;
長尺物チューブの供給リールを準備する工程;
押出されたチューブの一定長さに亘ってその内部に親水基を有する無機化合物の水溶液(以下、“処理液”と称する)を充填する工程;
上記の充填状態で、チューブ外方から、処理液が接触したチューブ内部に向けて放射線を照射する工程;
照射後のチューブ内部を洗浄する工程;及び
洗浄されたチューブを巻き取る工程。
図2において、1は未処理チューブ供給リール、2はフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ、3、5、及び7はピンチロール(閉塞部材)、4は、チューブ2の内部に充填された処理液、6は、チューブ2の内部に充填された洗浄液、8は処理チューブ巻取りリール、そして、Aは処理(放射線照射)帯域である。
この図においては、未処理のフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ2の内壁面は以下の手順で表面処理される。
先ず、未処理チューブ供給リール1から取り出したチューブ2を、ピンチロール3、5、及び7の順に通し、その際、ピンチロール3は閉塞状態、ピンチロール5及び7は開放状態に維持する。この状態でチューブ2の先端から処理液を入れ、ピンチロール3とピンチロール5との間のチューブ2に処理液が充填された時点でピンチロール5を閉塞させる。これにより、処理液は、ピンチロール3と5との間に封入される。次いで、ピンチロール5以降に滞留していた処理液を取り除いてから、同様の手順で洗浄液を入れ、ピンチロール5とピンチロール7との間のチューブ2に洗浄液が充填された時点でピンチロール7を閉塞させる。これにより、洗浄液はピンチロール5と7との間に封入される。最後に、チューブ2の先端を処理チューブ巻取りリール8に巻き取る。
この状態で、処理チューブ巻取りリール8を一定の速度で回転駆動させてチューブ2を走行させながら、処理帯域Aで放射線をチューブ2の外方から照射し、引き続き洗浄してから、処理チューブ巻取りリール8に連続的に巻き取っていく。
上記の態様について更に詳細に述べる。
処理液4に関して、親水基を有する無機化合物としては、炭酸、更には水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属の水酸化物、または水酸化カルシウムに代表されるアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。
このような無機化合物の水溶液濃度は0.1N〜10Nの範囲にあるのが好ましい。処理液4をチューブ2の内壁面に接触させるにあたっては、表面付着程度のレベルから浸漬のレベルまであり得るが、好ましくは、図示したような過剰レベル(充填状態)である。特に、チューブ処理の場合、完全充填状態が好ましく、この為には、ピンチロール3(又は5)に対してピンチロール5(又は3)を高い位置に設置して、ロール間に傾斜をつけるのが有用である。
処理液4が接触した成形体表面に照射する放射線の照射線量は30〜200kGyの範囲にあればよく、好ましくは50〜100kGyの範囲にあればよい。照射線量が30kGyより小さいと、処理斑が生じる懸念があり他方、200kGyを超えると、フッ素系樹脂の分子鎖が崩壊して樹脂強度が低下する懸念がある。この放射線により該チューブ表面で局所的な脱フッ素が生じ、この脱フッ素箇所が該処理液中の親水基で置換される。この置換された親水基によってフッ素系樹脂成形品の表面に濡れ性が付与される。放射線の例としては、電子線、中性子線、α線、β線、γ線、X線、及び紫外線等が挙げられるが、安全性、特に工業的に望ましい常温・常圧下で連続製造を勘案すると、電子線を採用するのが好ましい。
洗浄液6については、水、アセトン、或いはそれらの混合液等が採用される。
フッ素系樹脂成形品の形状としては、上述のチューブ状成形品以外に、シート状、フィルム状、及びフォイル状等の種々の成形品が挙げられる。それらの肉厚は、特に0.001〜10mmの範囲にあるのが好ましい。上記シート状、フィルム状、或いはフォイル状成形品の処理にあたっては、これらを処理液4中に含浸させた状態で放射線を照射すればよい。この場合、放射線の電圧を調整して該放射線がフッ素系樹脂を透過しないようにすれば、片面処理となり、透過するようにすれば、両面処理となる。
尚、チューブ状成形品とは、可撓性チューブの他、非可撓性の中空円筒体などを総称する。このことから、本発明でいう成形品の“表面”とは、外側表面、及び内部乃至内壁面等の内側表面を包含する。
上記の成形品を構成するフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等の一種、又は二種以上のブレンド体が挙げられる。
図1は、上記表面改質されたフッ素系樹脂成形品の一例としてのフッ素系樹脂チューブを製造する一連の工程を示すブロック図である。
図2は、上記のフッ素系樹脂チューブの内側表面(内壁面)を表面改質する工程で使用する装置の一例を示す概略側面図である。
図1を参照するに、表面改質されたフッ素系樹脂チューブは、以下の工程を経て得られる。
フッ素系樹脂を押出機に投入して、チューブ状に押出成形する工程;
長尺物チューブの供給リールを準備する工程;
押出されたチューブの一定長さに亘ってその内部に親水基を有する無機化合物の水溶液(以下、“処理液”と称する)を充填する工程;
上記の充填状態で、チューブ外方から、処理液が接触したチューブ内部に向けて放射線を照射する工程;
照射後のチューブ内部を洗浄する工程;及び
洗浄されたチューブを巻き取る工程。
図2において、1は未処理チューブ供給リール、2はフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ、3、5、及び7はピンチロール(閉塞部材)、4は、チューブ2の内部に充填された処理液、6は、チューブ2の内部に充填された洗浄液、8は処理チューブ巻取りリール、そして、Aは処理(放射線照射)帯域である。
この図においては、未処理のフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ2の内壁面は以下の手順で表面処理される。
先ず、未処理チューブ供給リール1から取り出したチューブ2を、ピンチロール3、5、及び7の順に通し、その際、ピンチロール3は閉塞状態、ピンチロール5及び7は開放状態に維持する。この状態でチューブ2の先端から処理液を入れ、ピンチロール3とピンチロール5との間のチューブ2に処理液が充填された時点でピンチロール5を閉塞させる。これにより、処理液は、ピンチロール3と5との間に封入される。次いで、ピンチロール5以降に滞留していた処理液を取り除いてから、同様の手順で洗浄液を入れ、ピンチロール5とピンチロール7との間のチューブ2に洗浄液が充填された時点でピンチロール7を閉塞させる。これにより、洗浄液はピンチロール5と7との間に封入される。最後に、チューブ2の先端を処理チューブ巻取りリール8に巻き取る。
この状態で、処理チューブ巻取りリール8を一定の速度で回転駆動させてチューブ2を走行させながら、処理帯域Aで放射線をチューブ2の外方から照射し、引き続き洗浄してから、処理チューブ巻取りリール8に連続的に巻き取っていく。
上記の態様について更に詳細に述べる。
処理液4に関して、親水基を有する無機化合物としては、炭酸、更には水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属の水酸化物、または水酸化カルシウムに代表されるアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。
このような無機化合物の水溶液濃度は0.1N〜10Nの範囲にあるのが好ましい。処理液4をチューブ2の内壁面に接触させるにあたっては、表面付着程度のレベルから浸漬のレベルまであり得るが、好ましくは、図示したような過剰レベル(充填状態)である。特に、チューブ処理の場合、完全充填状態が好ましく、この為には、ピンチロール3(又は5)に対してピンチロール5(又は3)を高い位置に設置して、ロール間に傾斜をつけるのが有用である。
処理液4が接触した成形体表面に照射する放射線の照射線量は30〜200kGyの範囲にあればよく、好ましくは50〜100kGyの範囲にあればよい。照射線量が30kGyより小さいと、処理斑が生じる懸念があり他方、200kGyを超えると、フッ素系樹脂の分子鎖が崩壊して樹脂強度が低下する懸念がある。この放射線により該チューブ表面で局所的な脱フッ素が生じ、この脱フッ素箇所が該処理液中の親水基で置換される。この置換された親水基によってフッ素系樹脂成形品の表面に濡れ性が付与される。放射線の例としては、電子線、中性子線、α線、β線、γ線、X線、及び紫外線等が挙げられるが、安全性、特に工業的に望ましい常温・常圧下で連続製造を勘案すると、電子線を採用するのが好ましい。
洗浄液6については、水、アセトン、或いはそれらの混合液等が採用される。
フッ素系樹脂成形品の形状としては、上述のチューブ状成形品以外に、シート状、フィルム状、及びフォイル状等の種々の成形品が挙げられる。それらの肉厚は、特に0.001〜10mmの範囲にあるのが好ましい。上記シート状、フィルム状、或いはフォイル状成形品の処理にあたっては、これらを処理液4中に含浸させた状態で放射線を照射すればよい。この場合、放射線の電圧を調整して該放射線がフッ素系樹脂を透過しないようにすれば、片面処理となり、透過するようにすれば、両面処理となる。
尚、チューブ状成形品とは、可撓性チューブの他、非可撓性の中空円筒体などを総称する。このことから、本発明でいう成形品の“表面”とは、外側表面、及び内部乃至内壁面等の内側表面を包含する。
上記の成形品を構成するフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等の一種、又は二種以上のブレンド体が挙げられる。
以下、チューブを例にとり、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
先ず、未処理のフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ2を以下のようにして形成した。
PFA樹脂「451HP−J」(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を用意し、通常の横型押出機にて押出成形して、長さ1000m、外径φ20mm、厚さ0.05mmのチューブを供給リール1に巻き取った。
次に、得られた長尺物チューブ2の内壁面を図2に示した装置にて処理した。このときのピンチロール3と5の間の距離及びピンチロール5と7の間の距離は、夫々100cm及び100cmとした。そして、処理液4としては5Nの水酸化ナトリウム水溶液を、又、洗浄液6としては水を用いた。更に、放射線照射帯域Aでは、電子線を照射し、その際の照射線量は100kGyとした。処理されたチューブは巻取りリール8に1m/分の線速度で巻き取った。
先ず、未処理のフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ2を以下のようにして形成した。
PFA樹脂「451HP−J」(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を用意し、通常の横型押出機にて押出成形して、長さ1000m、外径φ20mm、厚さ0.05mmのチューブを供給リール1に巻き取った。
次に、得られた長尺物チューブ2の内壁面を図2に示した装置にて処理した。このときのピンチロール3と5の間の距離及びピンチロール5と7の間の距離は、夫々100cm及び100cmとした。そして、処理液4としては5Nの水酸化ナトリウム水溶液を、又、洗浄液6としては水を用いた。更に、放射線照射帯域Aでは、電子線を照射し、その際の照射線量は100kGyとした。処理されたチューブは巻取りリール8に1m/分の線速度で巻き取った。
[比較例1]
実施例1の、未処理のフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ2を比較サンプルとした。
実施例1の、未処理のフッ素系樹脂からなる長尺物チューブ2を比較サンプルとした。
このようにして得られた2つのフッ素系樹脂チューブを、内壁面の接触角を測定することによって濡れ性の比較をした。その結果を表1に示す。ここで、接触角とは、表面と水滴との接触している角度のことで、この接触角が大きいほど濡れ性が悪く、接触角が小さいほど濡れ性が良い、と言える。尚、接触角の測定に使用した液体は、メチルアルコールである。
表1より、実施例の方が比較例と比べてその接触角が格段に小さく、濡れ性に優れている結果となった。このことから、フッ素系樹脂成形品に親水基を有する無機化合物水溶液を接触させた状態で放射線を照射することによって、該成形品の表面改質が格段に進行するのが確認された。
本発明の表面改質されたフッ素系樹脂成形品は、プリンタ、複写機等の画像形成装置に使用されるロール又はベルト、パラボラアンテナの表面材、同軸ケーブルシールド部のメッキ、家電・自動車・航空・船舶等の表面保護、及び建築物外皮等に使用されるフッ素系樹脂成形品として特に有用である。
1 未処理チューブ供給リール
2 フッ素系樹脂からなる長尺物チューブ
3 ピンチロール(閉塞部材)
4 処理液
5 ピンチロール
6 洗浄液
7 ピンチロール
8 処理チューブ巻取りリール
A 放射線照射帯域
2 フッ素系樹脂からなる長尺物チューブ
3 ピンチロール(閉塞部材)
4 処理液
5 ピンチロール
6 洗浄液
7 ピンチロール
8 処理チューブ巻取りリール
A 放射線照射帯域
Claims (12)
- フッ素系樹脂成形品の所望の表面に親水基を有する無機化合物水溶液を接触させた状態で、該接触部に放射線を照射することによって得られたことを特徴とする表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該親水基が水酸基である、請求項1に記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該無機化合物水溶液の濃度が0.1〜10Nである、請求項1又は2に記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該放射線が電子線である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該放射線の照射線量が5〜300kGyである、請求項1〜4のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該フッ素系樹脂成形品がチューブ状成形品である、請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該チューブ状成形品の内側表面に親水基を有する無機化合物水溶液を接触させた状態で、該チューブの外方から、該水溶液を接触せしめた内側表面に向けて放射線を照射することによって得られた、請求項6に記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該チューブ状成形品の厚さが0.001〜10mmである、請求項6又は7に記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該チューブ状成形品が定着機用ロール部材である、請求項6〜8のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。
- 該フッ素系樹脂成形品が、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、およびパーフルオロアルコキシアルカン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1〜9のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品。 - フッ素系樹脂からなる長尺物チューブの供給リールを準備する工程、該リールから引き出されて走行するチューブの内側表面に無機化合物水溶液を接触させる工程、該チューブの外方から、該水溶液を接触せしめた内側表面に向けて放射線を照射して該内側表面の濡れ性を改善する工程、及び該濡れ性の改善されたチューブを連続的に巻き取る工程を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品の製造方法。
- 該放射線として電子線を採用し、該フッ素系樹脂成形品の表面改質処理を常温常圧下で行うことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の表面改質されたフッ素系樹脂成形品の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013209670A (ja) * | 2007-06-20 | 2013-10-10 | Sumitomo Electric Fine Polymer Inc | フッ素樹脂チューブの製造方法、フッ素樹脂チューブおよびフッ素樹脂複合材 |
US11826975B2 (en) * | 2016-08-16 | 2023-11-28 | Daikin Industries, Ltd. | Molded article and manufacturing method for molded article |
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2004
- 2004-04-14 JP JP2004118735A patent/JP2005298718A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013209670A (ja) * | 2007-06-20 | 2013-10-10 | Sumitomo Electric Fine Polymer Inc | フッ素樹脂チューブの製造方法、フッ素樹脂チューブおよびフッ素樹脂複合材 |
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