JP2005298685A - 異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステル樹脂系の耐熱性向上、耐衝撃性向上、さらには見かけの溶融粘度向上効果を期待し、かつ異形押出し成形性を向上させる異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物および成形品を提供する
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、グリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含むことを特徴とする異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物に関する。好ましくはポリカーボネート樹脂(I)の、ISO1133規格におけるメルトマスフローレイトが、10g/10分以上である上記異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物およびその成形品、およびこれを用いた成形品の製造方法に関する。詳しくは、ポリエステル樹脂系の耐熱性向上、耐衝撃性向上、さらには見かけの溶融粘度向上効果を期待し、かつポリエステル系樹脂の異形押出し成形品への光沢付与、異形押出し加工・吐出樹脂のサイジング金型付着性低減効果による異形押出し連続生産性の改良、異形押出し成形性の高速化、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させるためのポリエステル系樹脂組成物、およびこれを用いた成形品、製造方法である。
従来、建材製品としての窓枠や雨樋等をプラスチックスで製造する上で、異形押出し成形加工が採用されている。異形押出し成形に使用する樹脂には、使用環境に応じた耐熱性を持つこと、さらには、ダイの複雑な形状に追随し、寸法精度が良好である特性を要求される。これまではそれら両特性に加えてコスト面から塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂が一般に使用されてきた。特に接着性が必要とされる用途においては、一般的に各種接着剤との接着性が良くないポリオレフィンは使用し難く、塩化ビニルが主要な樹脂素材となっている。しかしながら近年の例えば環境影響の問題より塩化ビニル系樹脂を他の素材に代替しようとする動きがある。数ある代替素材の内、ポリエステル樹脂はその物理的性状、環境適性、接着特性、価格等の面より有力な素材である。しかし、異形押出し成形加工用に使用されている塩化ビニルをポリエステル樹脂系で代替するに当たっては大きな課題がある。
一般に、異形押出し成形加工の工程は、押出し工程から始まり、異形金型工程、サイジング工程、冷却工程、カッティング工程、二次加工工程の順序で進む。特にPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂に代表されるポリエステル樹脂をそれらの工程に適用した場合、特に問題となるのは、「押出し工程、異形金型工程を経た吐出樹脂が、非常に溶融粘度が低く粘着性を有するためサイジング金型に付着し、樹脂詰まり発生して連続生産を停止させる問題」で、これを防止するために押出し加工温度を低下させて、樹脂の軟化温度付近で成形した場合、「異形押出し成形品が無光沢となる問題」、「せん断発熱による吐出樹脂温度上昇による溶融粘度低下を抑えるためにスクリュー回転数を小さくしたことによる生産性の大幅低下問題」、さらには「サイジング工程で製品形状の寸法精度を悪化させる問題」、「サイジング金型での樹脂溶融特性が原因となり成形品表面にビビリ(進行方法に平行な筋)を発生させる問題」、「異形押出し成形進行方向に対して製品反りが発生する問題」等、ダイからサイジング金型加工過程での樹脂粘着性に関する問題が多く存在する。
異形押出成形加工においては通常の押出成形加工とは異なり、成形材料の形状が非常に複雑であるもの、比較的小さい形状で非常に精密な寸法設計のもの、さらには中空である場合、そしてこれら全ての場合を兼ね備えた製品である場合もある。異形押出製品の鋭いコーナー部あるいは開放部の端にはエッジ部を持つ場合が多く、粘着性のあるポリエステル系樹脂ではサイジング金型内のコーナー部、エッジ部で特に微細な寸法精度が要求される設計部分で、樹脂詰まり現象が顕在化しやすいため、長時間に亘る連続生産が困難となり、実質的に生産性が良好でかつ、高光沢で良質な寸法精度を持つ異形押出し製品を供給することが不可能となる。
また、ポリエステル樹脂系の耐熱性向上、耐衝撃性向上、さらには見かけの溶融粘度向上効果を期待して、例えば、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂を溶融混練する工程、およびこれらの混合物を直接異形押出し工程にて成形した場合、溶融加工温度下でのそれぞれの溶融粘度の差が大きい為に、樹脂のサージング現象が発生して、ペレット化工程では、生産安定性が悪く、良品率が大幅に低下する。また、異形押出し工程では、同様のサージング現象が発生して、上述した「押出し工程、異形金型工程を経た吐出樹脂が、非常に溶融粘度が低く粘着性を有するためサイジング金型に付着し、樹脂詰まり発生して連続生産を停止させる問題」で、これを防止するために押出し加工温度を低下させて、樹脂の軟化温度付近で成形した場合、「異形押出し成形品が無光沢となる問題」、「せん断発熱による吐出樹脂温度上昇による溶融粘度低下を抑えるためにスクリュー回転数を小さくしたことによる生産性の大幅低下問題」、さらには「サイジング工程で製品形状の寸法精度を悪化させる問題」、「サイジング金型での樹脂溶融特性が原因となり成形品表面にビビリ(進行方法に平行な筋)を発生させる問題」、「異形押出し成形進行方向に対して製品反りが発生する問題」を起こすことになる。
通常、本問題を解決するためには、サイジング工程にて多板サイジング方式、あるいは真空サイジング方式等を用いて、見かけの粘着性を低下させ、強制的に形状を整える対策が試みられてきた。しかし、この場合はポリマーを冷却中に強制的な変形を与えるため、製品中に残留応力が残り、製品が溶剤、溶剤蒸気、急激な温度変化によりストレスクラッキングが発生する問題がある。よって本問題を抑制するためには、通常の押出加工に比較して、ポリエステルの溶融状態における粘着性を改良または、サイジング金型等への滑性を付与することが求められる。
また、異形押出し成形加工では、異形金型からサイジング工程に向かう途中で、樹脂の溶融強度が不足するために樹脂のタレが生じ、次の工程に進めない、もしくは適切な形状を保つことができないという問題もあった。
この問題を解決するために例えば低せん断域〜高せん断域でポリエステル樹脂が高溶融粘度を保持させて、成形時の樹脂ダレを防止し、成形品の寸法精度を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながらこのような方策は、樹脂ダレを改善させることはできるが、高せん断域の溶融粘度が高すぎるため、低温での成形が困難となり、高温での成形が必須となる。このため、ポリエステルの熱分解、押出班の発生、ウエルドラインの発生が著しくなり、異形押出成形品の色調、形状、強度などが不良となるため、さらなる改善が望まれていた。
その他には、ポリマーを分岐状とし、ダイ中の高せん断域では樹脂の粘度を低下させ、押出後の無せん断域で粘度を回復させることによって溶融強度を保持させる方法が提案されている(特許文献3参照)。このような対策は確かにある程度の溶融強度の向上効果および樹脂ダレの改善効果を発現させることができるが、効果としてはまだ不足のためさらなる改善が望まれていた。
特開平9−290451号公報(第1〜3頁) 国際公開00/77096号パンフレット(第1〜10頁)
本発明の課題は、ポリエステル樹脂系の耐熱性向上、耐衝撃性向上、さらには見かけの溶融粘度向上効果を期待し、かつ異形押出し成形品への光沢付与、異形押出し加工・吐出樹脂のサイジング金型付着性低減効果による異形押出し連続生産性の改良、異形押出し成形性の高速化、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させる異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物および成形品を提供することにある。
本発明者らは上記問題を達成すべく鋭意研究した結果、ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含むことを特徴とする異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物を異形押出し成形加工することにより上記課題を全て解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下の異形押出し成形加工用ポリエステル樹脂系組成物と成形品である。
(1)ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、グリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含むことを特徴とする異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(2)ポリカーボネート樹脂(I)が5〜90重量%、ポリエステル樹脂(II)が5〜90重量%、グリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)が0.01〜40重量%含むことを特徴とする異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(3)ポリカーボネート樹脂(I)の、ISO1133規格におけるメルトマスフローレイトが、10g/10分以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(4)ポリエステル樹脂(II)が非晶性であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(5)ポリエステル樹脂(II)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物単位をポリエステルの酸成分および/またはグリコール成分の0.001〜5モル%含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(6)非晶性ポリエステルが、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを酸成分とグリコール成分それぞれの50モル%以上含むことを特徴とする(4)に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(7)炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸および/またはイソフタル酸であることを特徴とする(6)に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(8)炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする(6)に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(9)反応性化合物(III)が、重量平均分子量200以上50万以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(10)反応性化合物(III)が、(X)20〜99重量%のビニル芳香族モノマー、(Y)1.0〜80重量%のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはグリシジルアルキル(メタ)アクリレート、および(Z)0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物を異形押出し成形加工して得られた成形品。
(12)一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を150〜220℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が200〜270℃となるように製造されることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物の製造方法。
(13)一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度170〜230℃に設定して、吐出溶融体の表面温度が200〜250℃となるように製造されることを特徴とする(11)に記載の異形押出し成形加工品の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂系組成物は異形押出し成形品への光沢付与、異形押出し加工・吐出樹脂のサイジング金型付着性低減効果による異形押出し連続生産性の改良、異形押出し成形性の高速化(生産性向上)、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させることができるものである。
本発明は、ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含む異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物である。
つまり、ポリカーボネート樹脂(I)とポリエステル樹脂(II)およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含有させることにより、微細な寸法確定に必要な樹脂流動性を保持した状態で、サイジング金型をスムーズに通過させることが可能となる。この結果、サイジング金型への付着性を軽減できている為、連続生産を可能とし、サイジング金型内での樹脂流動性に優れる為、微細な寸法精度を実現し、樹脂粘着性軽減効果による優れたサイジング金型滑性により製品表面平滑性を実現、さらにはサイジング金型壁面への均一化かつ軽減された樹脂濡れ性、粘着性の効果から製品反り問題を解消することができる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(I)は、芳香族ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのエステル交換法により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂である。かかるポリカーボネート樹脂は分岐構造を有していても良い。
ポリカーボネート樹脂(I)の製造に用いる代表的な芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類、4,4'−ジヒドロキシビフェニル−3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、好ましくはビスフェノールA(以下、「BPA」と略記することがある。)が挙げられる。
代表的な炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することもある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
これら炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸のエステルを含む。以下同じ。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、過剰に用いられる。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して1.001〜1.3、好ましくは1.01〜1.2の範囲内のモル比で用いられる。モル比が1.001より小さくなると、製造 されたポリカーボネートの末端OH基が増加して、熱安定性、耐加水分解性が悪化し、また、モル比が1.3より大きくなると、ポリカーボネートの末端OH基は減少するが、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望の分子量のポリカーボネートの製造 が困難となる傾向がある。本発明においては、末端OH基含有量が50〜1000ppmの範囲に調整したポリカーボネートを使用するのが良い。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、必要に応じてフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよい。その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
通常の方法で製造したポリカーボネート中には、通常、原料モノマー、触媒、エステル交換反応で副生する芳香族ヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が残存していることがある。なかでも、原料モノマーと芳香族ヒドロキシ化合物は、残留量が多く、耐熱老化性、耐加水分解性等の物性に悪影響を与えるので、製品化に際して除去されることが好ましい。
それらを除去する方法は、特に制限はなく、例えば、ベント式の押出機により連続的に脱気してもよい。その際、樹脂中に残留している塩基性エステル交換触媒を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体を添加し、失活させておくことにより、脱気中の副反応を抑え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物を除去することができる。
添加する酸性化合物又はその前駆体には特に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はその前駆体のうち、スルホン酸化合物又はそのエステル化合物、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が特に好ましい。
これらの酸性化合物又はその前駆体の添加量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度20℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、16,000〜30,000、好ましくは18,000〜26,000の範囲から選ばれることが好ましい。粘度平均分子量が上記範囲を超える場合、組成物の流動性が十分でなく、一方、上記範囲を満たさない場合は、衝撃強度等靱性あるいは耐薬品性が不十分となり、好ましくない。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(I)は、ISO1133規格におけるメルトマスフローレイトが、10g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは、15g/10分以上、最も好ましくは、20g/10分以上である。10g/10分未満であるとポリエステル樹脂(II)と相溶しにくくなったり、ポリエステル樹脂(II)と反応性化合物(III)の反応する最適な温度で溶融することが難しくなったりして、異形押出し加工時の製品精度の問題が解決しにくくなることがある。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(II)はジカルボン酸成分とグリコール成分よりなるものであればあらゆるものが使用可能である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(II)としては非晶性であることが好ましい。ポリエステル樹脂が非晶性であれば、サイジング金型内での結晶化収縮が起こりにくいため、寸法安定性に優れた性能を発揮することができる。尚ここで言う非晶性とは示差走査型熱量計(DSC)を用いて、−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温し、次に−100℃まで50℃/minで降温し、続いて−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温する二度の昇温過程においてどちらにも融解ピークを示さないものを指す。逆に結晶性とはどちらかの昇温過程に明確な融解ピークを示すものを指す。
本発明に用いるポリエステル樹脂(II)としては、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分とすることが望ましい。ここでいう主成分とは全酸成分及びグリコール成分をそれぞれ100モル%としたとき、両成分それぞれが50モル%以上、好ましくは60モル%、さらに好ましくは65モル%以上である。両成分が50モル%未満になると異形押出し成形品の伸度及び機械的物性が低下することがある。
さらにはポリエステル樹脂のうち炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸および/またはイソフタル酸であることが望ましい。これらのジカルボン酸を使用すると異形押出し成形品の伸度及び機械的物性がさらに向上する。好ましくはテレフタル酸を50モル%以上、さらには60モル%以上含むものであることが好ましく、テレフタル酸とイソフタル酸の両方をふくむものも好ましい。
ポリエステル樹脂は、上記のテレフタル酸、イソフタル酸以外の他の多価カルボン酸を共重合しても良く、例えばオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが使用できる。
本発明に用いるポリエステル樹脂には炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分とすることが、さらには該炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが原料入手の汎用性やコストの面で好ましい。また、エチレングリコールを50モル%以上、さらには60モル%以上含むものは、成形品の耐衝撃性を向上させる傾向にあり好ましい。
好適な非晶性ポリエステルの組み合わせは、具体的には、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール=90〜70/10〜30//100モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,2−プロピレングリコール=100//80〜50/20〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/1,3−プロピレングリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/1,4−ブタンジオール=95〜70/5〜30//90〜50/10〜50モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=100//60〜80/40〜20モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=95〜80/5〜20//70〜90/30〜10モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//85〜60/15〜40モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=100//75〜50/25〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=95〜80/5〜20//90〜75/10〜25モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=100//80〜60/20〜40モル%が挙げられる。
さらには、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//85〜60/15〜40モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=100//75〜50/25〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=95〜80/5〜20//90〜75/10〜25モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=100//80〜60/20〜40モル%であることがさらに好ましい。
この中でもエチレングリコールとネオペンチルグリコール(60/40〜90/10(モル比))、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノール(60/40〜90/10(モル比))の組み合わせは、異形押出し加工性と成形品の透明性を両立させやすく、さらにはエチレングリコールとネオペンチルグリコールの組み合わせであれば最も好ましい。
ポリエステル樹脂は、上記のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール以外の他の多価アルコール成分が共重合されていても良く、例えば1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が使用できる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(II)にはカルボキシル基、ヒドロキシル基またはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物(例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、トリメチロールプロパン等)をポリエステルの酸成分、グリコール成分それぞれの0.001〜5モル%含有することが異形押出し成形性を高める上で好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(II)の数平均分子量は、好ましくは15000〜40000、より好ましくは18000〜35000、さらに好ましくは20000〜35000である。数平均分子量が15000未満であると、樹脂凝集力不足のために成形品の強伸度が不足し、脆くなって使用できないことがある。一方、40000を越えると溶融粘度が上がり過ぎるために、異形押出し加工するのに最適な温度も上がってしまい、結果的に異形押出し性を悪くしてしまう虞がある。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(II)の酸価は、好ましくは100当量/106g以下、より好ましくは50当量/106g以下、さらに好ましくは40当量/106g以下である。一方下限は低ければ低いほど好ましい。酸価が100当量/106gを越えると、異形押出し加工時に樹脂を加熱する際、加水分解がより促進され、できあがった成形品の機械的強度が低下する。また、樹脂の分解が進むことにより、サイジング金型内の樹脂粘着性も進行・悪化する虞がある。
本発明の樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)の他にグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を用いる。反応性化合物(III)はポリエステル樹脂との反応による分子量増加に依存する「溶融強度増強効果」を発現させるための加工条件管理幅を広げ、溶融強度調整が可能であるように制御することと、製品の耐折り曲げ白化性及び未反応物の製品表層へのブリードアウト抑制を満足するために、重量平均分子量が200以上50万以下、好ましい下限は500以上、より好ましくは700以上、最も好ましくは1000以上である。一方好ましい上限は30万以下、より好ましくは10万以下、最も好ましくは5万以下である反応性化合物をさらに配合することが好ましい。反応性化合物の重量平均分子量が200未満であると未反応の反応性化合物が製品の表面にブリードアウトし、製品の接着性低下、表面の汚染をひきおこす可能性がある。一方50万を越えると折り曲げでも、溶融強度向上剤と非晶性ポリエステル間の相溶性が悪いためかボイドが発生し、折り曲げ白化する可能性が大きくなる。
本発明に用いられる反応性化合物(III)は、ポリエステルの持つヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と反応し得る官能基が分子内1分子あたり2個以上持つことが樹脂全体に一部架橋を導入する点で好ましい。反応性化合物の効果により、溶融押出時においてポリエステルの持つヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と反応性化合物の反応物が生成する際、一部が架橋生成物となることによって溶融強度向上効果を得ることができるのである。
反応性化合物(III)の持つ官能基の具体例としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボジイミド基、グリシジル基等の官能基、さらにはラクトン、ラクチド、ラクタム等ポリエステル末端と開環付加する官能基が挙げられるが、溶融押出時にヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と反応するものであればいかなるものでも良い。また、1分子中に異なった種類の官能基を持つことも差し支えない。このうち、好ましい官能基としては、反応の速さよりグリシジル基あるいはイソシアネート基が挙げられる。
反応性化合物(III)中の官能基の形態はいかなるものでも可能である。例えばポリマーの主鎖に官能基が存在するもの、側鎖に存在するもの、末端に存在するもの全てが可能である。
具体例としては、スチレン/メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、ビスフェノールA型やクレゾールノボラック、フェノールノボラック型のエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等があるがこれらのいかなるものでもよく、またこれらを混合して使用することももちろん可能である。
特に、上述の反応性化合物としては、(X)20〜99重量%のビニル芳香族モノマー、(Y)1.0〜80重量%のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアルキル(メタ)アクリレート、および(Z)0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体が好ましい。さらに好ましくは、(X)が25〜90重量%、(Y)が10〜75重量%、(Z)が0〜35重量%からなる樹脂で、最も好ましくは、(X)が30〜85重量%、(Y)が15〜70重量%、(Z)が0〜30重量%からなる樹脂である。これらの組成は、ポリエステル樹脂系との反応に寄与する官能基濃度に影響する為、上述のように適切に制御する必要がある。上述の組成から外れる場合、ポリエステル樹脂との反応性が低下し、成形時に樹脂ダレを起こす虞がある。
本発明は、ポリカーボネート樹脂(I)が、5〜90重量%、ポリエステル樹脂(II)が、5〜90重量%、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)が、0.01〜40重量%含むことが好ましく、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂(I)が、10〜80重量%、ポリエステル樹脂(II)が、10〜80重量%、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)が、0.1〜30重量%、最も好ましくは、ポリカーボネート樹脂(I)が、15〜70重量%、ポリエステル樹脂(II)が、15〜70重量%、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)が、0.5〜20重量%含むものである。ポリカーボネート樹脂(I)が5重量%未満、ポリエステル樹脂(II)が90重量%を超えると耐熱性に対する効果が薄れることがあり、ポリカーボネート樹脂(I)が90重量%を超えたり、ポリエステル樹脂(II)が5重量%未満になったり、反応性化合物(III)が0.01重量%未満になると異形押出し加工・吐出樹脂のサイジング金型付着性低減効果による異形押出し連続生産性、異形押出し成形性の高速化、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上などの点で劣る可能性がある。
反応性化合物(III)の添加法に関しては溶融押出し時にポリエステル樹脂中に圧入する方法、押出し前にポリエステル樹脂のペレットに添加してブレンドする方法、一旦ポリエステル樹脂に添加混練しておき、再度押出す方法等が考えられるが、いかなる方法で実施することも可能である。
本発明のポリエステル樹脂系組成物の内、ポリエステル樹脂(I)が非晶性ポリエステル樹脂である場合、220℃、剪断速度100sec-1のときの溶融粘度は、好ましくは6000〜600000dPa・sec、より好ましくは7000〜100000dPa・sec、さらに好ましくは8000〜50000dPa・secである。溶融粘度が6000dPa・sec未満だと加工時の樹脂ダレが悪化する場合がある。一方600000dPa・secを越えると溶融粘度が高すぎて、生産性が低下するため実用的でないことがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、加工時のポリエステル樹脂の熱劣化を抑制する(熱劣化による樹脂の着色や樹脂ダレの発生を防止する)ために酸化防止剤を配合して使用するのが望ましい。当該酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機亜リン酸エステル系化合物等が好適である。
本発明で使用するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキジフェニル)プロパン、ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルフィド、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)スルフィド、ビス(3−tert−ブチル5−エチル−2−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、エチレンビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラ−ト]、ビス[2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル5−メチルベンジル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、4−メトキシフェノール、シクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−tert−ブチルピロカテコール、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、セチルガレート、β−ナフトール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)ベンゼン、1,6−ビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]ヘキサン、テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]スルフィド、n−オタタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルアミノ]ヘキサン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール、ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート、トリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
該フェノール系酸化防止剤の配合量は、好ましい上限は1.0重量部以下、特に好ましくは0.8重量部以下、一方好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、1.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない。
本発明で使用する有機亜リン酸エステル系化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(メチルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス[デシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ(デシル)チオホスファイト、トリイソデシルチオホスファイト、フェニル・ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、テトラデシルポリ(オキシエチレン)・ビス(エチルフェニル)ホスファト、フェニル・ジシクロヘキシルホスファイト、フェニル・ジイソオクチルホスファイト、フェニル・ジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソオクチルホスファイト、ジフェニル・2−エチルヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルフェニルホスファイト、ジフェニル・(トリデシル)チオホスファイト、ノニルフェニル・ジトリデシルホスファイト、フェニル・p−tert−ブチルフェニル・ドデシルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ビス[オタデシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト,オクチルポリ(オキシプロピレン)・トリデシルポリ(オキシプロピレン)ホスファイト、モノイソプロピルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、モノイソオクチルホスファイト、ジドデシルホスファイト、モノドデシルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、モノシクロヘキシルホスファイト、モノドデシルポリ(オキシエチレン)ホスファイト、ビス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、モノシクロヘキシル・フェニルホスファイト、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトライソオクチル・4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトラキス(ノニルフェニル)・ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・プロピレンオキシプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキシルジホスファイト、ペンタキス(ノニルフェニル)・ビス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]トリホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]ペンタホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス(4,4’−イソプロピリデンジフェニル)ペンタホスファイト、デカキス(ノニルフェニル)・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、ビス(ブトキシカルボエチル)・2,2−ジメチレン−トリメチレンジチオホスファイト、ビス(イソオクトキシカルボメチル)・2,2−ジメチレントリメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・エチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・ヘキサメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・2,2’−オキシジエチレンジチオホスファイト、ペンタドデシル・ジ(ヘキサメチレン)トリチオホスファイト、ジフェニルホスファイト、4,4’−イソプロピリデン−ジシクロヘキシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェニル・アルキル(C12〜C15)ホスファイト、2−tert−ブチル−4−[1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)イソプロピル]フェニルジ(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ヘキサトリデシル・4,4’,4”−1,1,3−ブタントリイル−トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)トリホスファイト、トリドデシルチオホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタボスファイト、ジブチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジオクチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト並びにこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルジウム、バリウム、亜鉛及びアルミニウムの金属塩が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
有機亜リン酸エステル系化合物の配合量は、好ましい上限は3.0重量部以下、特に好ましくは2.0重量部以下であり、好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、3.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない。
なお、フェノール系酸化防止剤と有機亜リン酸エステル系化合物とを併用すると熱劣化の抑制効果がより向上し、好ましい。
本発明においては、ポリエステル樹脂組成物において、グリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物の1種または、2種以上含むことが好ましい。つまり、グリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物の1種または、2種以上含有させることにより、溶融状態でポリエステル組成物に対して非常に相溶性が良好で、かつ押出機のシリンダ内における樹脂間の摩擦を低下させることから、樹脂のせん断発熱を防止することができる。このとき、上述の添加剤を配合しない場合に比べて、ダイから吐出される樹脂温度が低くなる為、樹脂のみかけの溶融強度が向上する。従って、ダイから吐出される樹脂のドローダウンを防止できるレベルにおいて、シリンダ先端・ダイ部分のみの温度設定を上げ、押出し成形品の表面光沢付与することが可能となる。また、ダイから吐出される樹脂温度が低くなるため、溶融時の樹脂粘着性が低減される。
さらに、溶融状態でポリエステル系樹脂組成物に対して非常に相溶性が良好であることと、樹脂のせん断発熱を抑制できたことの相乗効果によって、スクリュートルク低下や、吐出量の増大が実現できる。
この結果、サイジング金型への付着性を軽減できている為、連続生産を可能とし、生産量も増大した。また、サイジング金型内での樹脂流動性に優れる為、微細な寸法精度を実現し、樹脂粘着性軽減効果による優れたサイジング金型滑性により製品表面平滑性を実現、さらにはサイジング金型壁面への均一化かつ軽減された樹脂濡れ性、粘着性の効果から製品反り問題を解消することができる。
本発明に用いられるグリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物、高級アルコール系化合物としては、特に限定されないが、グリセリン有機酸エステル、ポリグリセリン有機酸エステル、ソルビタン有機酸エステル、プロピレングリコール有機酸エステル、高級アルコール有機酸エステルであることが好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステルであることがさらに好ましい。また、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステルは、炭素数40未満の脂肪酸から誘導されるものであることが最も好ましい。
上記の添加剤のうち、好ましい化合物の具体例としては、ステアリン酸モノグリセライド、クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド、ソルビタンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、ポリグリセリンステアレートである。
本発明における、上記の添加剤配合量は、ポリエステル系樹脂組成物100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部未満である。好ましくは、添加剤配合量が、0.05重量部以上3重量部未満、さらに好ましくは、0.05重量部以上2重量部未満、最も好ましくは、0.08重量部以上1重量部未満である。
この処方によって「押出し工程、異形金型工程を経た吐出樹脂がサイジング金型に付着し、樹脂詰まり発生して連続生産を停止させる問題」、「サイジング工程で製品形状の寸法精度を悪化させる問題」、「サイジング金型での樹脂溶融特性が原因となり成形品表面にビビリ(進行方法に平行な筋)を発生させる問題」、「異形押出し成形進行方向に対して製品反りが発生する問題」等をさらに高いレベルで改良することができる。
本発明においては、さらにポリエステル樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、表面平滑性、剛性、その他機械特性等を改良する為に、以下のような樹脂を添加することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、または、エラストマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などの共役ジエン系重合体;該共役ジエン系重合体の水素添加物;エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノシロキサン;熱可塑性エラストマー;エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基等を有する熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらは1種または、2種以上で使用される。中でも、アクリル系ゴム、共役ジエン系共重合体または共役ジエン系共重合体の水素添加物が好ましい。さらには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−エチルデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4ヘキサジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−1,4ヘキサジエン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体(NCR)、スチレン−クロロプレン共重合体(SCR)、ブタジエン−スチレン共重合体(BS)、エチレン−プロピレンエチリデン共重合体、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体(α−MES−B−α−MES)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体等の樹脂、エラストマー、または多層構造重合体粒子をポリエステル系樹脂組成物に添加することもできる。
本発明においては、上述の樹脂のうち、多層構造重合体粒子を配合することが特に効果的である。
本発明で言う多層構造重合体粒子とは、コア/シェルと称されている層構造すなわち、外層により内層が覆われている内層/外層構造を一般的に有しており、2層または3層で構成されるものが多いが4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場合は、ゴム層(中心層)/硬質層(最外層)の構成であるものが好ましく、3層構造の場合は、硬質層(中心層)/ゴム層(中間層)/硬質層(最外層)、ゴム層(中心層)/硬質層(中間層)/硬質層(最外層)またはゴム層(中心層)/ゴム層(中間層)/硬質層(最外層)の構成のものが好ましく、4層構造の場合は、例えば、ゴム層(中間層)/硬質層(中間層)/ゴム層(中間層)/硬質層(最外層)の構成であるものが好ましい。ただし、多層構造重合体粒子は、上記のものに限定されるものではなく、内層が部分的に外層に包まれている態様、内層中または粒子中に微小空隙(マイクロボイド、ボイド、キャビティーを包含する)を1つ以上有するような態様、内層中または粒子中に微小空隙を一つ以上有し、該空隙が粒子の外側の空間と連結する通路を1つ以上有する態様等をも包含する。なお、本明細書において用いられる用語「粒子」は、高分子化学において用語「粒子」が一般的に有する概念を完全に包含している。
本発明に用いられる多層構造重合体粒子の内層はゴムであることがサイジング加工性を向上させる上で好ましい。ゴム層を構成する重合体については、特に限定されないが、好ましい重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などの共役ジエン系重合体;該共役ジエン系重合体の水素添加物;エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノシロキサン;熱可塑性エラストマー;エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基等を有する熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらは1種または、2種以上で使用される。このうち、アクリル系ゴム、共役ジエン系共重合体または共役ジエン系共重合体の水素添加物が好ましく用いることができる。上記のアクリル系ゴムを得るために重合で用いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プルピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。
上記のアクリル酸ゴム、または共役ジエン系重合体を得るためのアクリル酸エステルおよび/または共役ジエン系化合物からなる単量体系の重合において、他の単官能性の重合性単量体を共重合させることができる。共重合できる他の重合性単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等が挙げられる。これらの他の単官能性の重合性単量体の量は、ゴム層を形成する重合性単量体全体の20重量%以下であることが望ましい。
上記の多層構造重合体粒子の一部を構成するゴム層は、ゴム弾性を発現させるために架橋した分子鎖構造を持っていることが好ましく、またゴム層の分子鎖とそれに隣接する層中の分子鎖が化学結合によりグラフトされてもよい。そのためには、ゴム層を形成させるための単量体系の重合において、少量の多官能性の重合性単量体を架橋剤またはグラフト剤として併用することが望ましい場合がある。多官能性の重合性単量体は、分子内に炭素−炭素間二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸とアリルアルコール、メタクリルアルコール等の不飽和アルコールまたはエチレングリコール、ブタンジオール等のグリコールとのエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコールとのエステルなどが包含され、具体的にはアクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等が例示される。なお、前記の用語「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジアクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味する。多官能性の重合性単量体は、単独でも、複数種を組み合わせても用いることができる。これらの中でも、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、メタクリル酸アリルなどが好ましく用いられる。ただし、多官能性の重合性単量体を使用する場合、多官能性の重合性単量体の量が多すぎると、多層構造重合体粒子におけるゴムとしての性能を低下させ、ひいては、異形押出しサイジング金型加工過程におけるポリエステル樹脂のサイジング金型付着性低減処方による異形押出し連続生産性の向上、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させる効果が少なくなることがあるので、多官能性の重合性単量体の使用量は、ゴム層を形成する重合性単量体全体の10重量%以下に止めることが好ましい。なお、共役ジエン系化合物を主成分とする重合性単量体を用いる場合には、それ自体が架橋点あるいはグラフト点として機能するため、必ずしも多官能性の重合性単量体を併用しなくてもよい。
本発明に用いられる、多層構造重合体粒子のスキン層を構成する重合体は、Tgが25℃より高い温度となる限りにおいて特に限定されるものではないが、スキン層を形成させるために使用されうる重合性単量体として一般的なものは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸イソボニル等のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等である。これらの重合性単量体の中でも、メタクリル酸メチルもしくはスチレンを1種で、またはその一方を主成分とする2種以上のラジカル重合性単量体の組み合わせの形で使用するのが好ましい。上記多層構造重合体粒子におけるゴム層の含量は、必ずしも限定されるものではないが、25〜90重量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80重量%の範囲内である。ゴム層を形成する重合体部分の量が少なすぎると柔軟性が不足し、ポリエステル系樹脂組成物にした場合における、サイジング金型加工性改良、すなわち金型付着性低減効果が不足して、連続生産性が劣ることがある。また、最外層を形成する硬質重合体の量が少なすぎると、ポリエステル樹脂系への相溶性が低下し、ポリマーマトリックス中で均一分散が難しく、偏在して異形押出し製品の表面平滑性を悪化させる虞がある。
本発明における、上述の多層構造重合体粒子を製造するための重合法について特に制限はなく、例えば、通常の乳化重合法により、球状の多層構造重合体粒子を得ることができる。乳化重合法においては、公知の手段に従って、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等の連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。なお、乳化重合後、ポリマーラテックスからの多層構造重合体粒子の分離取得は公知の方法に従って、例えば凝固乾燥によって行うことができる。また、製造される多層構造重合体粒子の形態については、特に限定されるものではなく、例えば、相互に最外層部分で融着した状態のペレット状でもよく、パウダー状またはグラニュー状でもよく、いずれの場合であっても本発明のポリエステル樹脂組成物の製造に使用可能である。
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物には、用途に応じて他の成分も適宜添加することができる。例えば、耐衝撃性向上剤、充填剤、紫外線吸収剤、表面処理剤、滑剤、光安定剤、顔料、帯電防止剤、抗菌剤、架橋剤、イオウ系酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤等があげられる。
本発明の樹脂組成物を異形押し出しする条件としては、ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含み、溶融状態下で混合する必要があるため、溶融体の混合効果があるものが必要である。具体的には1軸式の押出機、2軸式の押出機等があるが、これらの樹脂が充分混合されていれば良い。さらに、まずポリカーボネート樹脂(I)とポリエステル樹脂(II)、場合によっては、反応性化合物を添加混練しておき、混練後のポリマーを再度異形押出し成形加工する手段も問題なく使用できる。また、温度条件としては、押出に用いるポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂が溶融流動できる範囲であればいかなる温度でも問題ないが、樹脂の性質上、100℃以上350℃以下と考えられ、より好ましくは150℃以上300℃以下が好適である。温度が低すぎるとポリマーを送り出しできないかまたは押出機に過大な負荷がかかり、逆に温度が高すぎるとポリマーが熱劣化を起こすため、好ましくない。異形押出における吐出量、その他の条件に関しては、機台の適正条件に適宜調整することで設定可能である。
特に本発明の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物は、一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を150〜220℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が200〜270℃となるように製造されることが好ましく、より好ましくは、一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を160〜210℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が205〜260℃、最も好ましくは、一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を170〜205℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が210〜250℃となるように製造されることである。
また本発明の異形押出し成形加工品は、一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を170〜230℃に設定して、吐出溶融体の表面温度が200〜250℃となるように製造されることが好ましく、より好ましくは、一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を180〜225℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が205〜240℃、最も好ましくは、一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を190〜220℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が210〜230℃となるように製造される。
本発明を更に詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。合成例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
重量平均分子量、数平均分子量:溶剤としてテトラヒドロフランおよび検定標準としてポリスチレンを用いるウオーターズ(Waters)ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した。
樹脂組成:ポリエステル樹脂の組成は、重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
ガラス転移温度、融点:セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、昇温速度20℃/分にて測定することにより求めた。
酸価:クロロホルム30mlに樹脂1gを溶解し、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
メルトマスフローレイト:0.01重量%以下の水分率に乾燥したポリカーボネート樹脂を用いてISO1133規格に準じて行った。
吐出溶融体の表面温度:赤外放射温度計ハンディータイプ型式:IT2-80 (キーエンス社製)にて測定した。ただし放射率は0.85で行った。
ポリカーボネート樹脂は市販の製品を乾燥して用いた。実施例中ポリカーボネート(a)は商品名ユーピロンH−3000(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 )であり、ポリカーボネート(b)は商品名ユーピロンH−4000(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)である。ポリカーボネート(a)のメルトマスフローレイトは30g/10分であり、ポリカーボネート(b)のメルトマスフローレイトは72g/10分であった。
<結晶性ポリエステル樹脂(A)の合成例>
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸530重量部、イソフタル酸85重量部、アジピン酸203重量部、1,4−ブタンジオール928重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から250℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)を得た。
ポリエステル樹脂(A)はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸63モル%、イソフタル酸10モル%、アジピン酸27モル%、ジオール成分は1,4−ブタンジオール100モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は−6℃、数平均分子量は35000、酸価28当量/106gであった。
ポリエステル樹脂(B)、(C)は、ポリエステル樹脂(A)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表1に示す。(数値は樹脂中のモル%)
<非晶性ポリエステル(D)の合成例>
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸ジメチル960重量部、エチレングリコール527重量部、ネオペンチルグリコール156重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、非晶性ポリエステル(D)を得た。
非晶性ポリエステル(D)はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸100モル%、ジオール成分はエチレングリコール80モル%、ネオペンチルグリコール20モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は78℃、数平均分子量は28000、酸価30当量/106gであった。
非晶性ポリエステル(E)〜(K)は、非晶性ポリエステル(D)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表1に示す。(数値は樹脂中のモル%)
Figure 2005298685
<反応性化合物(L)の合成例>
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器にメチルエチルケトン 50部をいれ70℃に昇温した後、スチレン36.4重量部、グリシジルメタクリレート37.3重量部、メチルメタクリレート 26.3重量部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル 2部を 50部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を 1.2ml/minで反応器中のメチルエチルケトンに滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。その後、減圧することにより、メチルエチルケトンを反応器中から除去し、反応性化合物(L)を得た。
この反応性化合物(L)はNMR分析の結果、モノマー成分はスチレン40モル%、グリシジルメタクリレート30モル%、メチルメタクリレート30モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は50℃、重量平均分子量は25000であった。
<反応性化合物(M)の合成例>
撹拌機、冷却器および加熱マントルを具備した3リットル丸底フラスコ中で乳化重合によって製造した。フラスコには最初に脱イオン水1800部、酢酸0.4部、FeSO40.01部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩2水和物0.12部からなる溶液を充填した。溶液に窒素ガスを散布して75℃に加熱した。75℃において、水150部中でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.4部を用いて乳化させたスチレン366.1部、ヒドロキシエチルメタクリレート14.4部、およびブチルメタクリレートモノマー95.5部をフラスコに加え、次に過硫酸ナトリウム0.45部を開始剤として加えた。次に反応をそのまま約2時間、または固形物含有量の調査によってモノマーの99.9%以上が置換されるまで進行させた。反応遂行後にエマルジョンを室温に冷却し次いで噴霧乾燥して白色の粉末を得た。
この反応性化合物(M)はNMR分析の結果、モノマー成分はスチレン77モル%、ヒドロキシエチルメタクリレート3モル%、ブチルメタクリレート20モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は50℃、重量平均分子量は20万あった。
<反応性化合物(N)の合成例>
反応性化合物(M)と同様の方法によって合成し、NMR分析の結果、モノマー成分は、スチレン75モル%、グリシジルメタクリレート4モル%、ブチルメタクリレート21モル%の組成を有していた。また、重量平均分子量は30万であった。
<実施例1>
ポリカーボネート(a)25重量%、ポリエステル(D)を73重量%、反応性化合物(L)2重量%、タルク10重量部、安定剤としてビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート0.3重量部、グリセリンモノステアリン酸エステル0.1重量部を混合し、該混合物を、回転数30rpm、全バレル温度180℃に設定した押出機(L/D=30、スクリュー径=20mm、フルフライト、圧縮比2.0)で混練した。このとき溶融体の吐出温度は245℃であった。 次に混練した樹脂組成物を、単軸押し出し機(L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)に図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付け、次に冷却水槽の先端に異形押出し製品の最終寸法を決定するサイジング金型を取り付け、水槽を経由して、引取機を装備した異形押出し成形設備により、全バレル温度200℃に設定した押出機で成形した。このとき溶融体の吐出温度は225℃であった。その成形品のサイジング金型加工状況、製品寸法精度、表面平滑性、製品反りの有無、耐熱性、耐衝撃性を評価した。
なお、サイジング金型加工状況と製品精度、表面平滑性の評価基準は以下に従った。
サイジング金型加工状況(連続生産性):
○:「サイジング金型内での樹脂の付着性もなく加工性はスムーズなものであり、ダイ〜サイジング間での成形品のエッジ形状精度が高いものであった。」、
×:「サイジング金型内での樹脂付着が生じ、サイジング工程へ移ることができなかった。または、サイジング工程で加工性が悪く、成形品のエッジ精度が低く、連続生産性を悪化させる」とした。
製品寸法精度:図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付けた異形押出し成形し、その成形品の製品寸法精度を評価した。
○:製品の寸法が設計通りである
△:製品の寸法が設計値から0.3mm未満でズレる
×:製品の寸法が設計値より0.5mm以上ズレる
表面平滑性:成形品の外側表面凹凸状態を超深度表面形状測定顕微鏡(キーエンス製VK−8500)を用いて測定し、以下の評価を行なった。
○:凹凸面最大高さが100μm未満
△:凹凸面最大高さが100μm以上200μm未満
×:凹凸面最大高さが200μm以上
製品反り評価:異形押出し製品の押出し成形方向に対して、上下・左右の反りの有無について以下のように評価した。
有:押出し成形方向に対して、上下・左右の反りの有
無:押出し成形方向に対して、上下・左右の反りの無
耐熱性評価(熱変形温度):本発明のポリエステル樹脂、樹脂組成物を用いて試験片を作製し、ISO75規格にて1.80MPa荷重下のたわみ温度を測定した。
◎:荷重たわみ温度70℃以上
○:荷重たわみ温度65℃以上70℃未満
×:荷重たわみ温度65℃以下
耐衝撃性試験:ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D−256)
試験温度23℃
○:50J/m以上
△:30J/m以上50J/m未満
×:30J/m未満
樹脂の溶融強度の評価結果と併せて、表2、3に示す。
<実施例2>
ポリカーボネート(a)30重量%、ポリエステル(D)を65重量%、反応性化合物(L)5重量%、タルク5重量部、安定剤としてビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート0.3重量部、グリセリンモノステアリン酸エステル0.1重量部をドライブレンド(ペレット同志をブレンド)して、該混合物を単軸押し出し機(L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)に図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付け、次に冷却水槽の先端に異形押出し製品の最終寸法を決定するサイジング金型を取り付け、水槽を経由して、引取機を装備した異形押出し成形設備により、全バレル温度200℃に設定した押出機で成形した。このとき溶融体の吐出温度は225℃であった。その成形品のサイジング金型加工状況、製品寸法精度、表面平滑性、製品反りの有無、耐熱性、耐衝撃性を、実施例1と同様に評価した。
<実施例3〜12、比較例1〜13>
表2、3に記載した原料を用いて、それぞれの表に記載した条件で実施例1と同様にして成形を行った。
尚、表2、3に記載された安定剤、滑剤は以下の化合物を意味する。
O:タルク
P:ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート
Q:グリセリンモノステアリン酸エステル
また表中の配合比については{ポリカーボネート樹脂+ポリエステル樹脂+反応性化合物}を100重量%比とし、安定剤、添加剤はその100重量%比に対する添加量として表した。
Figure 2005298685
Figure 2005298685
表2、3から分かるように、実施例1〜12は、耐熱性、耐衝撃性、異形押出し加工・吐出樹脂のサイジング金型付着性低減効果による異形押出し連続生産性の改良、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させることに優れている。
一方、比較例1〜5、12、13は、グリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含んでいないため、本発明の範囲外である。また、比較例6、7、10は、ポリカーボネート樹脂、または、ポリエステル樹脂のみであるため、本発明の範囲外である。比較例8、11は、成型性が良好であるが、耐熱性が不足している。比較例9は、ポリカーボネート樹脂特有の溶融時粘着性が影響して、サイジング金型付着性が高まり、異形押出し連続生産が不可能であった。また、サイジング金型での樹脂流動性が安定しないため、異形押出し製品の寸法精度・表面平滑性が悪化し、さらには製品反りの問題が発生し、異形押出し製品として不適切な状態となった。
以上説明したように、ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、およびグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含有させることにより、ポリエステル樹脂系の耐熱性向上、耐衝撃性向上、さらには見かけの溶融粘度向上効果の実現、異形押出し加工・吐出樹脂のサイジングによる異形押出し連続生産性の改良、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度向上を発現させることができるものである。
異形押出成形品の断面図である。中空状の成形品を示す。

Claims (13)

  1. ポリカーボネート樹脂(I)、ポリエステル樹脂(II)、グリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)を含むことを特徴とする異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート樹脂(I)が5〜90重量%、ポリエステル樹脂(II)が5〜90重量%、グリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子あたり2個以上含有する反応性化合物(III)が0.01〜40重量%含むことを特徴とする異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂(I)の、ISO1133規格におけるメルトマスフローレイトが、10g/10分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  4. ポリエステル樹脂(II)が非晶性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  5. ポリエステル樹脂(II)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物単位をポリエステルの酸成分および/またはグリコール成分の0.001〜5モル%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  6. 非晶性ポリエステルが、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを酸成分とグリコール成分それぞれの50モル%以上含むことを特徴とする請求項4に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  7. 炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸および/またはイソフタル酸であることを特徴とする請求項6に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  8. 炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項6に記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  9. 反応性化合物(III)が、重量平均分子量200以上50万以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  10. 反応性化合物(III)が、(X)20〜99重量%のビニル芳香族モノマー、(Y)1.0〜80重量%のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはグリシジルアルキル(メタ)アクリレート、および(Z)0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物を異形押出し成形加工して得られた成形品。
  12. 一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度を150〜220℃に設定し、吐出溶融体の表面温度が200〜270℃となるように製造されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の異形押出し成形加工用ポリエステル系樹脂組成物の製造方法。
  13. 一軸式の押出機、または二軸式の押出機シリンダ温度170〜230℃に設定して、吐出溶融体の表面温度が200〜250℃となるように製造されることを特徴とする請求項11に記載の異形押出し成形加工品の製造方法。
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