JP2005298488A - 精製アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アルデヒドをアルドール縮合及び脱水して対応する縮合物とする縮合工程、
該縮合物を水素添加して粗アルコールとする水添工程、及び
該粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る精製工程
の各工程を含むアルコールの製造方法において、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が200wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする精製アルコールの製造方法。具体的には、アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドであり、縮合物が2−エチルヘキセナールであり、アルコールが2−エチルヘキサノールである。
【選択図】 なし
Description
従来、2EHの硫酸着色試験の成績を悪化させる物質としては、2−エチルヘキサナール(2HA)等のアルデヒドや2−エチルヘキセノール等の不飽和アルコールが知られている。例えば、特許文献1には、アルデヒドを気相で水素と反応させて、対応する飽和アルコールを製造する方法において、水素化触媒として、下記一般式(i)で表わされる成分を含有する触媒前駆体組成物の還元物を用いることによって、2EH中の不飽和アルコールを低減する方法が開示されている。
しかしながら、アルデヒドや不飽和アルコールが除去された2EHでも、硫酸着色試験の成績が不良なことがある。従って本発明は、硫酸着色試験で良好な成績をおさめる精製アルコール(特に2EH)の製造方法を提供しようとするものである。
(1) アルデヒドをアルドール縮合及び脱水して対応する縮合物とする縮合工程、
該縮合物を水素添加して粗アルコールとする水添工程、及び
該粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る精製工程
の各工程を含むアルコールの製造方法において、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が200wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする精製アルコールの製造方法。
(3) 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が100wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(5) 縮合工程で得られた縮合物から高沸点物の含量を低減させたのち水添工程に供給することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(7) 水添工程を気相水添工程と、これとは異なる触媒を用いた液相水添工程との2段階で行うことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(8) 精製工程により得られる精製アルコールの硫酸着色試験が30APHA以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
本発明者らの検討によれば、縮合工程で得られたアルコール中には、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物が含まれる。具体的には、出発アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドの場合、縮合工程で得られた2−エチルヘキセナール中には、3分子のNBDが縮合して生成したと考えられる下記(I)のアルデヒド化合物が含まれる。
また、液相水添の場合には、反応器内での偏流を抑制する為に、反応器内の空塔線速度を10m/時以上にすることが好ましい。
乾燥した300mlの共栓付平底フラスコに試料100mlを入れる。試料を攪拌しながら30℃以下の室温で98wt%の濃硫酸8mlを2ml/分の速度で加えた後、フラスコに栓をして98±2℃の水浴中に2時間浸しておく。水で室温まで冷却した後、試料100mlを内径25mm、高さ270mmの平底のガラス製比色管に入れ、同様の比色管に100mlのAPHA色標準液を入れたものと目視により比較し、試料と同じ色を示す色標準液のAPHA値を測定値とする。
塩化白金酸カリウム(K2PtCl6) 1.245g
塩化コバルト(CoCl2/6H2O) 1.000g
98%濃硫酸 100ml
蒸留水でこのAPHA500の色標準液を希釈して、種々のAPHA値の色標準液を作製する。例えば、APHA500の色標準液を蒸留水を用いて容量を2倍にすると、APHA250の色標準液が得られる。
<実施例1>
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをオルダーショー10段の蒸留装置を用いて塔頂圧力200mmHg、還流比0.23の条件で蒸留を行い、高沸物の99%を除去した。この高沸物質が除去された2−エチルヘキセナールをNi−Cr系触媒存在下、温度120℃、圧力4.0MPaで液相水添することにより粗2EHを得た。この粗2EHには、8wtppmのジヒドロピラン化合物、0wtppmのピラン化合物が含まれていた。
実施例1で得られた粗2EHを蒸留し、ジヒドロピラン化合物0wtppm、ピラン化合物0wtppmの精製2EHを得た。この精製2EHに種々の濃度になるように一般式(III)で示されるジヒドロピラン化合物を添加して、硫酸着色試験を行った。その結果を表−1に示す。
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをCu−Cr−Mn−Ba−Ni系触媒(Ni含有量1%)存在下、温度190℃、圧力0.45MPaで気相水添し、約90%の2−エチルヘキセナールを反応させた。
この水添反応液を気化して、水素ガスと共にNi−Zr系触媒を充填した固定床反応器に供給し、触媒層の入口から4分の3の位置での温度が140℃になるように供給温度を調整し、圧力0.45MPaにて気相水添を行った。また、原料の供給速度は、入口から4分の3の位置以降の触媒層におけるガス空間速度(GHSV)が10000Hr−1以下になるように調整して反応を行った。この反応によって得られた粗2EH中のジヒドロピラン化合物濃度は129wtppm、ピラン化合物濃度は0wtppmであった。また、触媒層の入口から4分の3の位置のガスをサンプリングし、凝縮させた液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2−エチルヘキセナールは検出されず、100%水素添加されていた。また、ジヒドロピラン化合物濃度は1310wtppm、ピラン化合物濃度は0wtppmであった。
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをNi−Cr系触媒存在下、温度120℃、圧力4.0MPaで液相水添し、約90%の2−エチルヘキセナールを反応させた。
この水添反応液をさらに5%Pd/Al2O3系触媒を充填した固定床反応器に供給し、触媒層の入口から4分の3の位置での温度が130℃になるように供給温度を調整し、圧力5.0MPaにて液相水添を行った。また、原料の供給速度は、入口から4分の3の位置以降の触媒層における滞留時間が10分以上になるように調整して反応を行った。この反応によって得られた粗2EHのジヒドロピラン化合物の濃度は0wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、触媒層の入口から4分の3の位置の液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2−エチルヘキセナールは検出されず、100%水素添加されていた。また、ジヒドロピラン化合物濃度は384wtppm、ピラン化合物濃度は0wtppmであった。
ジヒドロピラン化合物を200wtppm、ピラン化合物0wtppmを含む粗2EHを実施例1と同一の方法によって蒸留し、精製した2EHを得る工程をシミュレーションし、精製した2EH中のピラン化合物、ジヒドロピラン化合物の濃度を求めた。この結果得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は105wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は、図1から30APHAとなる。
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをNi−Cr系触媒存在下、温度120℃、圧力4.0MPaで液相水添することにより粗2EHを得た。この粗2EHには、878wtppmのジヒドロピラン化合物、0wtppmのピラン化合物が含まれていた。
この粗2EHを実施例1と同一の方法によって蒸留し、精製した2EHを得る工程をシミュレーションし、精製した2EH中のピラン化合物、ジヒドロピラン化合物の濃度を求めた。この結果得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は359wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は、図1から100APHA以上となる。
Claims (8)
- アルデヒドをアルドール縮合及び脱水して対応する縮合物とする縮合工程、
該縮合物を水素添加して粗アルコールとする水添工程、及び
該粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る精製工程
の各工程を含むアルコールの製造方法において、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が200wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする精製アルコールの製造方法。 - アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドであり、縮合物が2−エチルヘキセナールであり、アルコールが2−エチルヘキサノールである、請求項1に記載の製造方法。
- 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が100wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物がピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 縮合工程で得られた縮合物から高沸点物の含量を低減させたのち水添工程に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 水添工程を少なくとも2種類の触媒を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 水添工程を気相水添工程と、これとは異なる触媒を用いた液相水添工程との2段階で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 精製工程により得られる精製アルコールの硫酸着色試験が30APHA以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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