JP2005298488A - 精製アルコールの製造方法 - Google Patents

精製アルコールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005298488A
JP2005298488A JP2005069776A JP2005069776A JP2005298488A JP 2005298488 A JP2005298488 A JP 2005298488A JP 2005069776 A JP2005069776 A JP 2005069776A JP 2005069776 A JP2005069776 A JP 2005069776A JP 2005298488 A JP2005298488 A JP 2005298488A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alcohol
compound
ring
hydrogenation
crude
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005069776A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4826709B2 (ja
Inventor
Hirobumi Ota
博文 大田
Hirotaka Kawasaki
弘貴 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005069776A priority Critical patent/JP4826709B2/ja
Publication of JP2005298488A publication Critical patent/JP2005298488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4826709B2 publication Critical patent/JP4826709B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 硫酸着色試験の結果の良好な精製アルコールを製造する方法を提供すること。
【解決手段】 アルデヒドをアルドール縮合及び脱水して対応する縮合物とする縮合工程、
該縮合物を水素添加して粗アルコールとする水添工程、及び
該粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る精製工程
の各工程を含むアルコールの製造方法において、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が200wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする精製アルコールの製造方法。具体的には、アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドであり、縮合物が2−エチルヘキセナールであり、アルコールが2−エチルヘキサノールである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルデヒドの縮合及び脱水反応によりその縮合体を製造し、これを水添することによりアルコールを製造する方法に関し、より詳細には、ノルマルブチルアルデヒド(NBD)の縮合及び脱水反応により2−エチルヘキセナール(EPA)を製造し、これを水添することにより2−エチルヘキサノール(2EH)を製造する方法に関する。
ノルマルブチルアルデヒド(NBD)からの2−エチルヘキサノール(2EH)の製造は、工業的に大規模に実施されている。このプロセスは、NBD2分子をアルドール縮合及び脱水して2−エチルヘキセナール(エチルプロピルアクロレイン、EPA)を得るNBD縮合工程、得られたEPAを水素と反応させて粗2EHを得るEPA水添工程、及び粗2EHを所望の純度まで精製して2EH製品を得る2EH精製工程から構成されている。粗2EHの精製は主として蒸留により行われている。
市場で取引される工業製品としての2EH等のアルコールは、高純度であることが要求されることはもちろんであるが、硫酸着色試験における着色が少ないことも要求されている。
従来、2EHの硫酸着色試験の成績を悪化させる物質としては、2−エチルヘキサナール(2HA)等のアルデヒドや2−エチルヘキセノール等の不飽和アルコールが知られている。例えば、特許文献1には、アルデヒドを気相で水素と反応させて、対応する飽和アルコールを製造する方法において、水素化触媒として、下記一般式(i)で表わされる成分を含有する触媒前駆体組成物の還元物を用いることによって、2EH中の不飽和アルコールを低減する方法が開示されている。
Figure 2005298488
(式中、Xは周期律表第8族又は第4A族の遷移金属を表し、a〜fは各成分を酸化物に変換した場合の含有量を表し、aは20〜50重量%、bは0〜50重量%、cは0〜50重量%、dは0.1〜5.0重量%、eは0.1〜5.0重量%、fは0.01〜3.0重量%を示す。)
しかしながら、アルデヒドや不飽和アルコールが除去された2EHでも、硫酸着色試験の成績が不良なことがある。従って本発明は、硫酸着色試験で良好な成績をおさめる精製アルコール(特に2EH)の製造方法を提供しようとするものである。
特開平8−3084号公報
本発明者らの検討によれば、ピラン環やジヒドロピラン環のようなヘテロ環内に炭素−炭素二重結合を有する化合物がアルコール中に存在していると、アルコールの硫酸着色試験の成績が悪化する。これらの化合物とアルコールとは蒸留により若干の分離は可能であるものの、通常の蒸留では極めて分離が困難であり、精製処理に供する粗アルコール中におけるこれらの化合物の存在量を低下させておくことが重要である。硫酸着色試験において良好な成績を示すアルコールを製品として取得するには粗アルコール中のこれらの化合物濃度を200wtppm以下、特に100wtppm以下にしておくのが望ましい。本発明者らの検討によれば、粗アルコール中におけるこれらの化合物の存在量を低下させる方法の一つは、アルデヒドの縮合・脱水により得られた反応生成物を蒸留して縮合物を留出物として取得することにより高沸点物を分離し、水添工程に供給することである。また、縮合物の水添を接触水添とこれとは異なる触媒を用いる接触水添の2段階で行っても、粗アルコール中のこれらの化合物の存在量を低下させることができる。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたもので、本発明の要旨は下記(1)〜(8)に存する。
(1) アルデヒドをアルドール縮合及び脱水して対応する縮合物とする縮合工程、
該縮合物を水素添加して粗アルコールとする水添工程、及び
該粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る精製工程
の各工程を含むアルコールの製造方法において、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が200wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする精製アルコールの製造方法。
(2) アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドであり、縮合物が2−エチルヘキセナールであり、アルコールが2−エチルヘキサノールである上記(1)に記載の製造方法。
(3) 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が100wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4) 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物がピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5) 縮合工程で得られた縮合物から高沸点物の含量を低減させたのち水添工程に供給することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6) 水添工程を少なくとも2種類の触媒を用いて行うことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7) 水添工程を気相水添工程と、これとは異なる触媒を用いた液相水添工程との2段階で行うことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(8) 精製工程により得られる精製アルコールの硫酸着色試験が30APHA以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、硫酸着色試験の結果の良好な精製アルコールを製造することができる。
本発明においては、まず、アルデヒドをアルドール縮合及び脱水反応させて縮合物とする。アルデヒドとしては、特に限定されるものではなく、少なくとも炭素数が3以上であり、通常は炭素数が3〜10の飽和アルデヒドが用いられる。飽和アルデヒドには直鎖状及び側鎖状アルデヒドが含まれ、具体的にはプロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、ノニルアルデヒド等が挙げられ、好ましくはブチルアルデヒド、バレルアルデヒドであり、特に好ましくはノルマルブチルアルデヒドである。また縮合物としては、前記アルデヒドの対応する縮合物が挙げられる。具体的には2−メチルペンテナール、2−エチルヘキセナール、2−プロピルヘプテナール等が挙げられ、好ましくは2−エチルヘキセナール、2−プロピルヘプテナールであり、特に好ましくは2−エチルヘキセナール(エチルプロピルアクロレイン)である。この縮合反応及び脱水は、公知の方法により行うことができ、通常は、アルカリ水溶液、例えば1〜5wt%の水酸化ナトリウム水溶液を触媒とし、通常80〜100℃で反応させることにより行われる。
反応液はアルカリ水溶液からなる水相と縮合物からなる油相に分離し、水相は触媒として循環使用する。
本発明者らの検討によれば、縮合工程で得られたアルコール中には、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物が含まれる。具体的には、出発アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドの場合、縮合工程で得られた2−エチルヘキセナール中には、3分子のNBDが縮合して生成したと考えられる下記(I)のアルデヒド化合物が含まれる。
Figure 2005298488
この化合物は、次いで行われる水添工程において、下記(II)のピラン環を有する化合物となり、さらに(II)の化合物の一部は、水添されて下記(III)のジヒドロピラン環を有する化合物となると推察される。そして、これらの化合物は極めて微量でもアルコールの硫酸着色試験の成績を著しく悪化させる。
Figure 2005298488
Figure 2005298488
環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(上記(II)、(III)の化合物)は水添により対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物に変化させることができる。そして生成したテトラヒドロピラン環を有する化合物はアルコールの硫酸着色試験の成績を悪化させない。しかし、通常の縮合物(2−エチルヘキセナール)の水添条件では、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物((II)、(III)の化合物)を完全にテトラヒドロピラン環を有する化合物まで水添することは困難である。従って、NBDの縮合反応及び脱水により得られた高沸物(上記(I)の化合物)を含む縮合物(2−エチルヘキセナール)をそのまま水添した場合には、生成する粗アルコール(2EH)中にはテトラヒドロピラン環にまで水添されなかった環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(上記(II)、(III)の化合物)が残留している。そしてこれらの化合物は通常の蒸留によってはアルコール(2EH)から分離され難いので、製品のアルコール(2EH)に混入し、その硫酸着色試験の成績を悪化させる。従って、精製工程に供給するアルコール(2EH)中の環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(ピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物)の合計濃度は200wtppm以下、好ましくは100wtppm以下、特に好ましくは50wtppm以下に低減しておくのが望ましい。
粗アルコール中の環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(ピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物)の濃度を低減させる方法としては、精留、フラッシュ蒸留、などの蒸留が挙げられる。具体的には、アルデヒドの縮合工程で得られた縮合物を蒸留して縮合により生成した高沸物(上記(I)の化合物)を他の高沸物と共に縮合物から分離し、高沸物の濃度が低減した縮合物を次の水添工程に供給する方法が挙げられる。蒸留は、例えば、段数が5〜20段程度の蒸留塔を用い、塔頂温度80〜200℃、塔頂圧力90mmHg〜常圧で行うことができるが、その際、還流比0.2〜10、好ましくは0.2〜5で行い、或いは、蒸留塔塔底から供給量の3%〜10%をパージすることにより、縮合工程で得られた縮合物から高沸点物の除去率を98%以上とすればよい。高沸物を含む縮合物を水添工程に供給すると、工程中において高沸物から環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(上記(II)、(III)の化合物)が生成する可能性があるが、高沸物の濃度を低減させた縮合物を水添に供給すると、水添工程において環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(上記(II)、(III)の化合物)が生成するのを回避することができる。
高沸物の濃度を低減させた縮合物の水添反応は、気相又は液相のいずれでも行うことができ、触媒としては、珪藻土、ゼオライト、アルミナ、活性炭などの担体に、ニッケル、クロム、銅、パラジウムなどの活性成分を担持したものを用いればよい。なかでも珪藻土にニッケルおよびクロムを担持させたものや、クロム、銅、亜鉛、マンガン、バリウムなどの酸化物を還元したものを用いるのが好ましい。反応の温度及び圧力は、40〜200℃、常圧〜15.0MPa程度の範囲から用いる触媒や反応方式に応じて選択すればよい。
粗アルコール中の環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(ピラン環又はジヒドロピラン環を有する化合物)の濃度を低減させる他の方法は、縮合物(2−エチルヘキセナール)の水添に際し、縮合により生成した高沸物(前記(I)の化合物)や環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(前記(II)、(III)の化合物)を対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物にまで水添することである。しかし、1種類の触媒を用いた水添で、縮合物(2−エチルヘキセナール)のアルコール(2EH)への水添と、縮合により生成した高沸物(前記(I)の化合物)や環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(前記(II)、(III)の化合物)の対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物への水添とを同時に効率よく行うのは困難である。従って、縮合物(2−エチルヘキセナール)の水添工程で縮合により生成した高沸物(前記(I)の化合物)や環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(前記(II)、(III)の化合物)を対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物にまで水添するには、縮合物(2−エチルヘキセナール)の水添に適した条件と、ピラン環やジヒドロピラン環を対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物にまで水添するのに適した条件になるように、それぞれ触媒、温度、圧力などの反応条件を設定すればよい。
上記の反応条件としては、例えば、第1段目の水添反応をCu−Cr系の触媒を用いて、100〜200℃、常圧〜15.0MPaで行い、引続き第2段目の水添反応をNi系の触媒を用いて、50〜150℃、2.0〜5.0MPaで行う方法や、第1段目の水添反応をNi−Cr系の触媒を用いて、100〜200℃、常圧〜15.0MPaで行い、引続き第2段目の水添反応をPd/Al系の触媒を用いて、50〜150℃、2.0〜5.0MPaで行う方法が挙げられる。第一段目、第二段目の水添反応は、それぞれ独立して気相水添であっても液相水添であってもよいが、具体的には「第一段目の水添反応が気相反応であり、第二段目の水添反応が気相反応である方法」、「第一段目の水添反応が液相反応であり、第二段目の水添反応が液相反応である方法」、「第一段目の水添反応が気相反応であり、第二段目の水添反応が液相反応である方法」等が挙げられ、熱回収の観点からは第1段目の水添反応を気相で行うほうが好ましく、副生物の生成の低減という観点からは第2段目の水添反応を液相のマイルドな条件で行うほうが好ましい。
なお、第2段目の水添反応は、反応器としては固定床を有する反応器を用い、触媒層の途中まで「縮合物を水添するのに適した条件」で水添反応を行い、触媒層の途中から「縮合により生成した高沸物(前記(I)の化合物)や環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物((II)、(III)の化合物)を対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物へ水添するのに適した条件」で水添反応を行う必要がある。具体的には、「縮合により生成した高沸物(前記(I)の化合物)や環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物((II)、(III)の化合物)を対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物へ水添するのに適した条件」にしなければならない位置における温度が、必要な温度になるように第2段目の反応器への供給温度を調整したり、「縮合により生成した高沸物(前記(I)の化合物)や環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物((II)、(III)の化合物)を対応するテトラヒドロピラン環を有する化合物へ水添するのに適した条件」となる部分での滞留時間が、必要な滞留時間を維持できるように触媒量を調整したりすることにより、達成できる。この操作により縮合物の水添率を上げ(具体的には98%以上)、かつ環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(ピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物)の濃度を目標値以下にすることが可能である。
なお、上記において「触媒層の途中」とは、具体的には縮合物の水添率が98%以上となり、その位置以降での触媒との接触時間が液相水添では5分以上、気相水添では0.3秒以上となるような位置である。上記の各々の水添に適した条件へのコントロールは、反応器入口の温度を調整したり、溶剤を追加して除熱を行ったりすればよい。
また、液相水添の場合には、反応器内での偏流を抑制する為に、反応器内の空塔線速度を10m/時以上にすることが好ましい。
上記いずれの方法による場合でも、水添により得られた粗アルコール(2EH)の環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(ピラン環又はジヒドロピラン環を有する化合物)の濃度は200wtppm以下、特に100wtppm以下にすることができる。本発明では、このような環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物(ピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物)の含有量の少ない粗アルコール(2EH)を蒸留して製品の精製アルコール(2EH)を取得する。本発明においては、この蒸留にかけられる前のアルコールを「粗アルコール」といい、粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る工程が、本発明における「精製工程」であり、蒸留により得られたアルコールが本発明における「精製アルコール」である。なお、本発明における蒸留とは、精留、フラッシュ蒸留等を挙げることができる。この蒸留は常法により行えばよく、例えば、段数20〜50段の蒸留塔を用い、塔頂圧力50mmHg〜常圧で、留出する精製2EHの純度が99.5%以上、好ましくは99.8%以上となるように行えばよい。ただし、この蒸留の操作圧力は、蒸留塔での副生成物の生成、またより安価な低圧蒸気を使用して蒸留を行うためには、より高真空下で行われるのが望ましい。
本発明によれば、硫酸着色試験による着色が30APHA以下、特に20APHA以下の精製2EHを容易に得ることができる。なお、硫酸着色試験は下記の方法によるものとする。
乾燥した300mlの共栓付平底フラスコに試料100mlを入れる。試料を攪拌しながら30℃以下の室温で98wt%の濃硫酸8mlを2ml/分の速度で加えた後、フラスコに栓をして98±2℃の水浴中に2時間浸しておく。水で室温まで冷却した後、試料100mlを内径25mm、高さ270mmの平底のガラス製比色管に入れ、同様の比色管に100mlのAPHA色標準液を入れたものと目視により比較し、試料と同じ色を示す色標準液のAPHA値を測定値とする。
なお、APHA色標準液は、以下に示す成分を蒸留水で溶解して正確に1000mlとしたものを作製し、これをAPHA500とする。
塩化白金酸カリウム(KPtCl) 1.245g
塩化コバルト(CoCl/6HO) 1.000g
98%濃硫酸 100ml
蒸留水でこのAPHA500の色標準液を希釈して、種々のAPHA値の色標準液を作製する。例えば、APHA500の色標準液を蒸留水を用いて容量を2倍にすると、APHA250の色標準液が得られる。
実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをオルダーショー10段の蒸留装置を用いて塔頂圧力200mmHg、還流比0.23の条件で蒸留を行い、高沸物の99%を除去した。この高沸物質が除去された2−エチルヘキセナールをNi−Cr系触媒存在下、温度120℃、圧力4.0MPaで液相水添することにより粗2EHを得た。この粗2EHには、8wtppmのジヒドロピラン化合物、0wtppmのピラン化合物が含まれていた。
この粗2EHをオルダーショー35段の蒸留装置を用いて塔頂圧力100mmHg、還流比7の条件にて蒸留することにより粗2EH中の軽沸成分を除去し、引き続いて、塔頂圧力100mmHgにて蒸留することにより粗2EH中の高沸成分を除去し精製を行った。得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は、1.4wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は5APHAであった。
<実施例2>
実施例1で得られた粗2EHを蒸留し、ジヒドロピラン化合物0wtppm、ピラン化合物0wtppmの精製2EHを得た。この精製2EHに種々の濃度になるように一般式(III)で示されるジヒドロピラン化合物を添加して、硫酸着色試験を行った。その結果を表−1に示す。
Figure 2005298488
表−1の結果から、図1を作成した。この図を用いれば2EH中の一般式(III)の化合物濃度から硫酸着色試験結果を求めることができる。
<実施例3>
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをCu−Cr−Mn−Ba−Ni系触媒(Ni含有量1%)存在下、温度190℃、圧力0.45MPaで気相水添し、約90%の2−エチルヘキセナールを反応させた。
この水添反応液を気化して、水素ガスと共にNi−Zr系触媒を充填した固定床反応器に供給し、触媒層の入口から4分の3の位置での温度が140℃になるように供給温度を調整し、圧力0.45MPaにて気相水添を行った。また、原料の供給速度は、入口から4分の3の位置以降の触媒層におけるガス空間速度(GHSV)が10000Hr−1以下になるように調整して反応を行った。この反応によって得られた粗2EH中のジヒドロピラン化合物濃度は129wtppm、ピラン化合物濃度は0wtppmであった。また、触媒層の入口から4分の3の位置のガスをサンプリングし、凝縮させた液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2−エチルヘキセナールは検出されず、100%水素添加されていた。また、ジヒドロピラン化合物濃度は1310wtppm、ピラン化合物濃度は0wtppmであった。
この粗2EHを実施例1と同一の方法によって蒸留し、精製した2EHを得る工程をシミュレーションし、精製した2EH中のピラン化合物、ジヒドロピラン化合物の濃度を求めた。この結果、得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は67wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は、図1より20APHAとなる。
<実施例4>
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをNi−Cr系触媒存在下、温度120℃、圧力4.0MPaで液相水添し、約90%の2−エチルヘキセナールを反応させた。
この水添反応液をさらに5%Pd/Al系触媒を充填した固定床反応器に供給し、触媒層の入口から4分の3の位置での温度が130℃になるように供給温度を調整し、圧力5.0MPaにて液相水添を行った。また、原料の供給速度は、入口から4分の3の位置以降の触媒層における滞留時間が10分以上になるように調整して反応を行った。この反応によって得られた粗2EHのジヒドロピラン化合物の濃度は0wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、触媒層の入口から4分の3の位置の液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2−エチルヘキセナールは検出されず、100%水素添加されていた。また、ジヒドロピラン化合物濃度は384wtppm、ピラン化合物濃度は0wtppmであった。
この粗2EHを実施例1と同一の方法によって蒸留し、精製した2EHを得る工程をシミュレーションし、精製した2EH中のピラン化合物、ジヒドロピラン化合物の濃度を求めた。この結果得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は0wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は、図1から5APHAとなる。
<実施例5>
ジヒドロピラン化合物を200wtppm、ピラン化合物0wtppmを含む粗2EHを実施例1と同一の方法によって蒸留し、精製した2EHを得る工程をシミュレーションし、精製した2EH中のピラン化合物、ジヒドロピラン化合物の濃度を求めた。この結果得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は105wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は、図1から30APHAとなる。
<比較例1>
ノルマルブチルアルデヒドを2wt%の水酸化ナトリウム水溶液と混合し、90℃で反応させた。反応液を静置して成層分離させて2−エチルヘキセナールを得た。
得られた2−エチルヘキセナールをNi−Cr系触媒存在下、温度120℃、圧力4.0MPaで液相水添することにより粗2EHを得た。この粗2EHには、878wtppmのジヒドロピラン化合物、0wtppmのピラン化合物が含まれていた。
この粗2EHを実施例1と同一の方法によって蒸留し、精製した2EHを得る工程をシミュレーションし、精製した2EH中のピラン化合物、ジヒドロピラン化合物の濃度を求めた。この結果得られた精製2EHの純度は99.9%、ジヒドロピラン化合物の濃度は359wtppm、ピラン化合物の濃度は0wtppmであった。また、この精製2EHの硫酸着色試験の結果は、図1から100APHA以上となる。
実施例2の結果を示す図

Claims (8)

  1. アルデヒドをアルドール縮合及び脱水して対応する縮合物とする縮合工程、
    該縮合物を水素添加して粗アルコールとする水添工程、及び
    該粗アルコールを蒸留して精製アルコールを得る精製工程
    の各工程を含むアルコールの製造方法において、環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が200wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする精製アルコールの製造方法。
  2. アルデヒドがノルマルブチルアルデヒドであり、縮合物が2−エチルヘキセナールであり、アルコールが2−エチルヘキサノールである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物の濃度が100wtppm以下の粗アルコールを精製工程に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 環内に炭素−炭素二重結合を有する含酸素へテロ環を有する化合物がピラン環またはジヒドロピラン環を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 縮合工程で得られた縮合物から高沸点物の含量を低減させたのち水添工程に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 水添工程を少なくとも2種類の触媒を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 水添工程を気相水添工程と、これとは異なる触媒を用いた液相水添工程との2段階で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  8. 精製工程により得られる精製アルコールの硫酸着色試験が30APHA以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
JP2005069776A 2004-03-16 2005-03-11 精製アルコールの製造方法 Active JP4826709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005069776A JP4826709B2 (ja) 2004-03-16 2005-03-11 精製アルコールの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004073958 2004-03-16
JP2004073958 2004-03-16
JP2005069776A JP4826709B2 (ja) 2004-03-16 2005-03-11 精製アルコールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005298488A true JP2005298488A (ja) 2005-10-27
JP4826709B2 JP4826709B2 (ja) 2011-11-30

Family

ID=35330459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005069776A Active JP4826709B2 (ja) 2004-03-16 2005-03-11 精製アルコールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4826709B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012520874A (ja) * 2009-03-19 2012-09-10 エルジー・ケム・リミテッド 高純度の2−エチルヘキサノール生産のための分離壁型蒸留塔及びこれを利用した分別蒸留方法
JP2013507409A (ja) * 2009-10-15 2013-03-04 エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング デセナールの水素化によるデカノールの製造法
JP2015510932A (ja) * 2012-03-21 2015-04-13 ピー2 サイエンス,インコーポレイティド ゲルベアルコール、並びにその調製方法及び使用
KR20190072568A (ko) * 2016-10-14 2019-06-25 존슨 매티 데이비 테크놀로지스 리미티드 2-알킬알칸올의 제조 방법
JP2020536099A (ja) * 2017-10-05 2020-12-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 3,5−ジエチル−2−プロピル−テトラヒドロピラン及び/又はその不飽和誘導体を含有する香料組成物

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02124839A (ja) * 1988-11-02 1990-05-14 Mitsubishi Kasei Corp 可塑剤用アルコールの色相改善法
JPH03120234A (ja) * 1989-09-28 1991-05-22 Hoechst Ag アルコールの二段階製造法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02124839A (ja) * 1988-11-02 1990-05-14 Mitsubishi Kasei Corp 可塑剤用アルコールの色相改善法
JPH03120234A (ja) * 1989-09-28 1991-05-22 Hoechst Ag アルコールの二段階製造法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9511306B2 (en) 2009-03-19 2016-12-06 Lg Chem, Ltd. Dividing wall distillation columns for production of high-purity 2-ethylhexanol and fractionation method using same
US8764946B2 (en) 2009-03-19 2014-07-01 Lg Chem, Ltd. Dividing wall distillation columns for production of high-purity 2-ethylhexanol and fractionation method using same
JP2012520874A (ja) * 2009-03-19 2012-09-10 エルジー・ケム・リミテッド 高純度の2−エチルヘキサノール生産のための分離壁型蒸留塔及びこれを利用した分別蒸留方法
JP2013507409A (ja) * 2009-10-15 2013-03-04 エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング デセナールの水素化によるデカノールの製造法
JP2018052975A (ja) * 2012-03-21 2018-04-05 ピー2 サイエンス,インコーポレイティド ゲルベアルコール、並びにその調製方法及び使用
US9840449B2 (en) 2012-03-21 2017-12-12 P2 Science, Inc. Guerbet alcohols and methods for preparing and using same
JP2015510932A (ja) * 2012-03-21 2015-04-13 ピー2 サイエンス,インコーポレイティド ゲルベアルコール、並びにその調製方法及び使用
KR20190072568A (ko) * 2016-10-14 2019-06-25 존슨 매티 데이비 테크놀로지스 리미티드 2-알킬알칸올의 제조 방법
JP2019532070A (ja) * 2016-10-14 2019-11-07 ジョンソン マッセイ デイヴィー テクノロジーズ リミテッド 2−アルキルアルカノールを製造するための方法
JP7046932B2 (ja) 2016-10-14 2022-04-04 ジョンソン マッセイ デイヴィー テクノロジーズ リミテッド 2-アルキルアルカノールを製造するための方法
KR102581790B1 (ko) 2016-10-14 2023-09-25 존슨 매티 데이비 테크놀로지스 리미티드 2-알킬알칸올의 제조 방법
JP2020536099A (ja) * 2017-10-05 2020-12-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 3,5−ジエチル−2−プロピル−テトラヒドロピラン及び/又はその不飽和誘導体を含有する香料組成物
JP7293210B2 (ja) 2017-10-05 2023-06-19 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 3,5-ジエチル-2-プロピル-テトラヒドロピラン及び/又はその不飽和誘導体を含有する香料組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4826709B2 (ja) 2011-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7663006B2 (en) Process for production of purified alcohols
TWI324991B (en) Process for producing alcohol
EP1948582B1 (en) Process for producing a mixture of acetol, propylene glycol and ethylene glycol from glycerol
US8252961B2 (en) Method of producing lower alcohols from glycerol
JP2002526520A (ja) 酢酸エチルの製造用プロセス
JP4826709B2 (ja) 精製アルコールの製造方法
TWI738889B (zh) 用於生產2-烷基烷醇之方法
JP2013526506A (ja) ネオペンチルグリコールの製造方法
KR100659913B1 (ko) 알콜의제조방법
EP2240429B1 (en) Method of producing lower alcohols from glycerol
JP4754058B2 (ja) イソプロピルアルコールの製造方法
JPH0673042A (ja) γ‐ブチロラクトンの製造方法
JPS60178834A (ja) 高純度エチレングリコール類の製造方法
KR20200137015A (ko) 알파-, 베타-디하이드록시 카르보닐 화합물의 탈수 및 락트산 및 기타 다른 생성물로의 분해
JP2005281255A (ja) 精製アルコールの製造方法
JP4075336B2 (ja) 粗アルコールの改質方法
US6693222B2 (en) Process for splitting water-soluble ethers
JP4779294B2 (ja) アルコールの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071011

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110128

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110627

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110817

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110830

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4826709

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350