JP2005296466A - 改良された樹脂被覆装飾釦及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 従来の樹脂被覆装飾釦に改良を施して、短時間かつ省工程で樹脂被覆の脱落を確実に防止することができる装飾釦とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 樹脂被覆装飾釦では、文字や図形が描かれるデザインシート２の表面側に透明合成樹脂３を充填固化することにより得られる従来の樹脂被覆装飾釦において、前記デザインシート２が敷設される金属製釦本体１の開口部12の枠縁13における内周面13aに溝14を刻設することとした。
【選択図】 図２

Description

本発明は、文字や図柄等のデザイン面に透明エポキシ樹脂をコーティングした装飾釦を改良したものと、その製造方法に関する。

従来の樹脂被覆装飾釦は、金属製などの平滑な釦本体表面に対して予め文字や図形が印刷されたデザインシートを貼着した後、デザインシートの表面に透明エポキシ樹脂を流し込んで固化させたものが主流となっている。夕暮時や夜間における通学児童の視認性向上を図るべくデザインシートに再帰性光反射材を用いるなど、デザインシートはバリエーションに富んだものが提供されていた。

例えば前記再帰性光反射材を用いた装飾釦として、亜鉛ダイキャスト製の釦本体に貼着する再帰性光反射材の外周端面に予めシール処理を施しておき、透明エポキシ樹脂が反射材に流入することを防止して光反射特性を維持したもの（特許文献１）、あるいは釦本体に貼着した再帰性光反射材上に透明板を配設し、両部材の全周部分のみを接着しつつ透明板上に対して透明エポキシ樹脂を流し込むことにより光反射特性を維持したもの（特許文献２）等が例示される。本発明者も、より簡易な構造でありながら文字等が浮き上がって見えるデザイン性の高い装飾釦を先に提案した（特許文献３）。

特開平５−３１７１０５号公報（特許請求の範囲） 特開平１１−２０５号公報（第５頁８欄、図６） 特開２００１−２３１６１０号公報（特許請求の範囲）

こうした装飾釦は、一般に、文字や図形等が描かれたデザインシートの表面に樹脂被覆されているので、デザインシートの汚れや変色が防止されて釦表面がいつまでも美しく、ドライクリーニングや家庭における洗濯への耐久性においても優れているという特徴があるものの、学生服のように長期間に亘って使用され、繰り返し洗濯されると、金属製である釦本体と樹脂製である被覆部分との膨張・収縮率の相違に起因して、希にではあるが樹脂被覆部分が釦本体から剥離してしまうことがあった。

この点、前記特許文献２においては、樹脂被覆部分の剥離予防を図るべく、釦本体の開口凹部における内周面に突条を設けたり、ホーニングやブラスト加工によって微細の凹凸を形成し、被覆した透明合成樹脂の外れ防止を図ることが提案されている。しかしながら、コスト軽減の観点からダイキャスト成形されるのが通例である釦本体の内周面に突条を形成するのは実質的には不可能であったし、微細の凹凸を設けるホーニング加工やブラスト加工では剥離防止効果が十分に得られない場合があった。

しかるに本発明では、従来の樹脂被覆装飾釦に改良を施して、短時間かつ省工程で樹脂被覆の脱落を確実に防止することができる装飾釦とその製造方法の提供を課題とするものである。

前記所期の課題解決を図るため、本発明に係る改良された樹脂被覆装飾釦では、デザインシートの表面側に透明合成樹脂を充填固化することにより得られる従来の樹脂被覆装飾釦において、前記デザインシートが敷設される金属製釦本体の開口部内周面に溝を刻設することとした。

樹脂被覆装飾釦における金属製釦本体は、通例はダイキャスト成形された亜鉛製であり、金属製や樹脂フィルム製（再帰性光反射フィルムの表面側に重ねる場合も含む）デザインシートの表面側にエポキシ樹脂等の透明合成樹脂を充填固化するために、表面側に開口部が設けられている。本発明では、この開口部の側壁とも言える内周面に溝を刻設することにしたのである。ここで、刻設される溝は、内周面を一周し連続する溝であってもよいし、分断された不連続の溝であってもよい。また、内周面の開口部端縁からデザインシート敷設面に至る幅広の溝であってもよいし、透明合成樹脂が充填される部分において細幅に刻設した溝であってもよい。さらに、溝の断面形状は凹形やＵ字形、テーパー形など様々な形状を採用しうる。

そして、本発明に係る前記改良された樹脂被覆装飾釦の製造方法は、デザインシート敷設面に直交する軸を回転軸として金属製釦本体を回転させながら、該釦本体の開口部内周面であって開口部端縁よりデザインシート敷設面寄りの位置に切削刃先を当接させることにより溝を刻設するものである。例えば、金属製釦本体の開口部を外に向けた状態で、モータに接続されたチャックにより金属製釦本体を保持させ、金属製釦本体を回転させながらその開口部内周面に切削刃を当接させることにより溝を刻設することにした。

本発明に係る改良された樹脂被覆装飾釦では、開口部内に充填固化させた透明合成樹脂の周縁が、金属製釦本体の開口部内周面に刻設した溝内に流入し、両者が完全に嵌合した状態となるので、洗濯等に際して膨張・収縮した際にも透明合成樹脂の剥離・脱落を防止することができ、いつまでも美しい装飾釦とすることができる。

また、本発明に係る前記改良された樹脂被覆装飾釦の製造方法によれば、金属製釦本体を回転装置にセットし、デザインシート敷設面に直交する軸を回転軸として金属製釦本体を回転させながら切削刃先を当接するだけでよいので、複雑な工程を要することなく短時間に必要な溝を刻設することができる。

以下、本発明に係る改良された樹脂被覆装飾釦等について、図面に従って詳細に説明する。図１は本発明による装飾釦本体の一例を示す縦断面図であり、図２は同装飾釦本体にデザインシートを敷設して透明合成樹脂を充填固化させた完成品の縦断面図である。また、図３は装飾釦本体に溝を刻設している状態を示す斜視図である。

樹脂被覆装飾釦につき、従来から一般的に用いられている亜鉛等の金属材料をダイキャスト成形してなる金属製釦本体１には、裏面側中央に被服等と縫着するための脚部11が延設されている一方、表面側には開口部12が設けられている。開口部12は略垂直に立ち上がった枠縁13により囲まれているので、本発明では、その枠縁13の内周面13aに溝14を刻設する。この溝14の深さや幅は、金属製釦本体１を破損しない程度で適宜決定しうる。なお、本例の溝14は、枠縁13を一周するように、その内周面13a全面に亘って連続して刻設されているが、既に述べたように、内周面13aの一部分のみに刻設することとしたり、断続的に刻設することとしたり、あるいは２重以上の溝として刻設することにしてもよい。

図２に示されるように、溝14が刻設された金属製釦本体１には、その開口部内にデザインシート２が敷設され、このデザインシート２の表面側に透明合成樹脂３が充填されることになる。透明合成樹脂３としては、汎用されているエポキシ樹脂が好適に用いられるが、充填した際に溝14内に流入させた状態で固化させることが肝要である。こうして固化した透明合成樹脂３は、その周縁部分が溝14と嵌合状態にあるので、透明合成樹脂３や金属製釦本体１の膨張・収縮によっても透明合成樹脂３の脱落を防止することができるわけである。

以上のような溝14は、切削刃を用いて簡単に刻設することができる。すなわち、図３に示される加工例では、金属製釦本体１を、その開口部12内にあるデザインシート敷設面121に直交する軸を回転軸として回転させながら（図３の例では、矢印で示した反時計回り方向）、金属製釦本体１の開口部12における内周面13aに対して切削刃先Ｂを当接させるのである。金属製釦本体１を回転させるには、モータに接続されたチャック等により金属製釦本体１を保持させればよく、回転方向は切削刃先Ｂの当接方向に合わせて設定すればよい。

このとき、切削刃先Ｂを当接させる部分としては、開口部12の枠縁13における枠縁13の内周面13aであって、開口部12の端縁、つまり枠縁13の上縁よりもデザインシート敷設面121寄りの位置であることが望ましいが、デザインシート敷設面121からは離隔しておくのが望ましい。開口部12の端縁に近づくと溝14の上縁が欠けてしまって透明合成樹脂３との嵌合が得られないおそれがある一方、デザインシート敷設面121に近接ないし連続してしまうとデザインシート２が溝14内に入ってしまって開口部12中心と整合せず、偏ってしまうおそれがあるからである。

本発明による装飾釦本体の一例を示す縦断面図である。 図１の装飾釦本体にデザインシートを敷設して透明合成樹脂を充填固化させた完成品の縦断面図である。 装飾釦本体に溝を刻設している状態を示す斜視図である。

符号の説明

１ 金属製釦本体
２ デザインシート
３ 透明合成樹脂
１１ 脚部
１２ 開口部
１３ 枠縁
１３ａ 内周面
１４ 溝
Ｂ 切削刃先

Claims (2)

1. デザインシートの表面側に透明合成樹脂を充填固化することにより得られる樹脂被覆装飾釦において、前記デザインシートが敷設される金属製釦本体の開口部内周面に溝が刻設されていることを特徴とする改良された樹脂被覆装飾釦。
2. デザインシート敷設面に直交する軸を回転軸として金属製釦本体を回転させながら、該釦本体の開口部内周面であって開口部端縁よりデザインシート敷設面寄りの位置に切削刃先を当接させることにより溝を刻設することとした請求項１記載の改良された樹脂被覆装飾釦の製造方法。

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