JP2005296142A - 医療用送液ライン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 医療用送液ライン(輸液セット1)を、点滴筒4、クレンメ7、および輸液チューブ3、5、6、弁10とで構成する。ポンプ駆動時において、薬液40にポンプ20の駆動力が作用している状態では、弁10の弁体150では、半紡錘部152のスリット153が変形して開放状態となり、薬液40が薬液バッグ2から下流側へ良好に流通させる。
そして、万が一薬液40に輸液ポンプ20の駆動力が作用しなくなった場合、輸液チューブ3、5、6を流れる薬液40には、輸液ポンプ20の駆動力が作用しなくなる。これにより弁10の弁体150では、開放状態にあった半紡錘部152のスリット153の形状が復元して閉止状態となり、薬液40の流通を止める。
【選択図】 図2
Description
図5(a)は、医療用送液ラインの一例として、一般的な輸液セットの構成例を示す図である。当図5(a)に示すように、当該輸液セットは、主として薬液を貯留する液貯留器としての薬液バッグと、これに接続したチューブ、そしてチューブに対して配設される送液用の輸液手段として輸液ポンプを備えている。さらにチューブ途中には、点滴筒、クレンメが配されることがある。
そして駆動時には、上記フィンガーの蠕動運動又はローラーを回転させることで、チューブの側面を扱くように押し潰し、チューブ内の薬液を一定方向へ流通する。
以上の構成を持つ輸液セットは、医療施設で利用される他、携帯型緊急医療器具としても利用され、また救急医療車両、人命救助ヘリコプター等にも搭載されて用いられる。
すなわち上記ペリスタルティック式ポンプを用いた輸液セットの例では、チューブがポンプのフィンガー又はローラーとポンプ筐体の間で挟持されることで輸液を行うが、フィンガー又はローラーからの押圧力を受けてチューブが所定の配設位置からずれることがある。そして、このようなチューブの位置ずれが次第に大きくなると、チューブはフィンガー又はローラーと接触した輸液ポンプ筐体から完全に外れてしまう。
当図5(b)に示すように、輸液ポンプからチューブが脱離すると、チューブにはローラーの押圧力が作用しなくなるので、チューブ内が完全に解放状態となる。このとき、薬液バッグが前記チューブ末梢側の患者や輸液ラインに対して高い位置に設けられていると、薬液バッグと前記チューブ末梢側の患者や輸液ラインの落差や圧力差によって、薬液バッグ中の薬液がチューブ内を自然落下して流れる、いわゆる「フリーフロー」が発生する。
また、医療用送液ラインを緊急医療車両や人命救助ヘリコプター等で使用する場合、移動中の振動やエンジンの振動によってもポンプからチューブが外れ、フリーフローが発生する場合がある。このような救急医療現場におけるフリーフローの発生は、緊急医療活動の求められる観点から特に防止すべきであり、特に早急な対応が望まれている。
さらに上記弁としては、頂部にスリットが形成された可撓性弁体を有するようにすれば、逆止弁としての機能が高まるので、より効果的に弁機能を得ることができる。
このときチューブに対して前記弁体の頂部がチューブ内で前記下流側に向くように配することによって、チューブ内の液にポンプの駆動力が作用するときには、前記スリットが容易に開いて薬液を流通させる一方、チューブ内の液にポンプの駆動力が作用しない時には、前記スリットが閉じてチューブ中の液の流通が確実に停止する。
1-1.輸液セットの全体構成
図1は、実施の形態1における輸液セット1の構成を示す図であるが、当該発明の医療用送液ラインは輸液セットに限定されることはなく、栄養剤や血液等の送液にも用いる栄養セットや輸液セット、補液セットとして構成可能である。
薬液バッグ2は液貯留器の一例であって、ポリエチレン等の可撓性樹脂材料を袋状に加工してなる。バッグ本体51には予め薬液40が所定量貯留され、密封されている。薬液バッグ2底部には止栓部として接続部52が形成されており、これに中空の瓶針30を穿刺して外部に薬液40を流出させるようになっている。
輸液チューブ3、5、6は可撓性材料から構成されている。このうち輸液チューブ3には一端に上記瓶針30が設けられており、他端31側は点滴筒4と接続されている。これにより、薬液バッグ2から薬液40が輸液チューブ3を通って点滴筒4へ輸液されるようになっている。
点滴筒4には輸液チューブ5が接続されており、当該輸液チューブ5によって薬液40が弁10まで流通するようになっている。
さらに弁10には輸液チューブ6が接続され、患者や送液ラインに薬液を流通させるようになっている。輸液チューブ6の他端側には、さらに注射針や所定のコックが配されている。
輸液チューブ6のクレンメ7より下流側は、輸液ポンプ20にセットされている。
輸液ポンプ20は医療用注入ポンプであり、いわゆるローラー式のペリスタルティック式ポンプであって、筐体201に、操作部210、表示部220、ペリスタルティックローラー230、およびチューブセット部240が備えられている。
操作部210は、電源スイッチ211や輸液流量、輸液予定量等の輸液条件を設定するための調節ボタン212、213等を備えている。ユーザがこれらのスイッチおよびボタン211〜213を適宜操作することで、当該輸液ポンプ20を起動し、設定条件(輸液条件)を入力することができる。入力された輸液条件は、上記制御回路に伝達され、一例としてマイクロコンピュータのメモリ部に格納されるようになっている。
ペリスタルティックローラー230は、ローラー本体232の周囲に、円柱状突起部(ローラー)231が複数個設けられてなり、その軸部232が筐体201側面に沿って回転自在になるように配されている。軸部232は筐体201に対し、筐体201内部のモータ軸の駆動力が伝達されるよう軸支されている。
このとき、図1に示すように輸液チューブ6は、ペリスタルティックローラー230のローラー231とチューブセット部240の間で部分的に挟持される。そして駆動時にはペリスタルティックローラー230が回転してローラー231の円柱側面が次々に輸液チューブ6を押し潰し、当該輸液チューブ6の側面を蠕動運動させる。
1-2.弁の構成について
図2は弁10の構成を示す図である。図2(a)は斜視図、図2(b)は一部断面図(弁体を説明上外見的に示している)をそれぞれ表す。
支持筒100は可撓性材料(例えば可塑化PVC(可塑剤部数60PHR))を筒状に形成した構成を有するものであって、互いに内径および外径の異なる大径部101および小径部102と、その接続部分において段差部103とを備えている。
なお弁10の支持筒100には可撓性材料を用いて構成していることから、これによって後述するように、ユーザによる弁10の押圧操作が可能になっている。しかしながら、このような押圧操作を行わず、輸液ポンプ20による弁10の操作を主として想定する場合には、支持筒100を硬質性材料で構成してもよい。
当該半紡錘部152としては、市販されている弁を利用する場合、例えばバーネイ社のダックビル型逆止弁を利用することができる。また、作製する場合は、シリコーン材料を用いてLIM成形法により作製する方法や、ディッピング法を利用してウレタンエラストマー或いはPVCペーストを半球状に成形し、その後にスリットを設ける工程が挙げられる。
大径部101には、その内径に合わせたサイズの輸液チューブ5が挿入され、その端部が弁体10のリブ151を押圧することで、弁体10の位置が固定され、弁体10の配設後に位置ずれを起こすことはない。一方、小径部102には、その外径に合わせたサイズの輸液チューブ6が挿入される。このような構成により、弁10は輸液チューブ5、6の接続部分に配設されるようになっている。
さらに、輸液チューブ5、6とこれに接続した弁10周辺の気密性を保つために、輸液チューブ5、弁10、輸液チューブ6の接続領域を別体のチューブで覆うようにしてもよい。
また支持筒100の構成は大径部101および小径部102、段差部103を備える構成に限定されない。例えば一対の支持筒の間に弁体10を挟み込み、前記一対の支持筒を互いに接着などで固定するようにしてもよい。
1-3.弁による効果について
以上の構成からなる輸液セット1によれば、使用時に先だって、まずユーザ(看護師)の操作によってプライミング処理を行う。このプライミング処理により、輸液作業の前に予め輸液経路(ここでは輸液チューブ3、点滴筒4、輸液チューブ5、弁体10、輸液チューブ6)中に存在する空気やガスを除去し、薬液40を満たす。
とはいえ、ユーザの押圧操作でも良好にスリット153が開くように設定するのが作業効率上から想定しても望ましいので、この理由から支持筒100はなるべく可撓性材料から構成するのが望ましい。
輸液チューブ3、5、6を流れる薬液40には、通常では輸液ポンプ20の駆動力(吸引力)が働く。これによって弁10の弁体150では、半紡錘部152のスリット153が変形して開放状態となり、薬液40が上流側から下流側へ良好に流通するようになる。薬液40はポンプ40に設定された輸液条件に基づき、正確な速度と時間で輸液される。
1-4.実施例
上記輸液セット1において、弁体としてバックフローが無い弁(バーネーラボラトリー社製規格2898-101)を備え、これを支持筒(可塑化PVC(可塑剤部数60PHR))で内包してなる弁を用い、実施例を作製した。薬液バッグ2には生食バッグ1000mLを用い、定法により装着した。
このプライミング処理後、弁から手を放すと、速やかに弁が閉状態となり、輸液チューブ末端側から生理的食塩水の流出は停止した。このことから実施例の医療用送液ラインでは、弁によって生理的食塩水は落差のみでは流出せず、フリーフローの発生が抑制されることが確認できた。
上記医療用送液ラインでは、ペリスタルティック式ポンプを用いる例を示したが、ポンプとしてはこれ以外の方式で駆動するものを用いてもよい。
また上記実施の形態1では、ペリスタルティック式ポンプを用いた構成において、ペリスタルティックローラーから輸液チューブが脱離する場合に弁が作用する場合について主に説明したが、上記ローラーの蠕動運動による駆動力に限らず、ポンプの駆動力(吸引力)が薬液に作用しなくなったとき全般において、本発明の弁を作動させ、フリーフローを防止することができる。
また、上記弁では、輸液チューブ内部の薬液にポンプの駆動力が作用しない場合、完全に閉状態となる構成としたが、完全に閉状態する構成に限定せず、使用条件に合わせて、適宜薬液の流速を減少させる構成としてもよい。この構成は、具体的には弁体のスリットに通常状態で若干隙間を持たせるようにすることで実現できる。
2 輸液バッグ
3、5、6 輸液チューブ
4 点滴筒
7 クレンメ
10 弁
20 輸液ポンプ
201 筐体
210 操作部
220 表示部
230 ペリスタルティックローラー
231 ローラー
232 ローラー本体
240 チューブセット部
Claims (4)
- 液貯留器に連結されるチューブを備え、当該液貯留器に貯留された液を下流側へ送液するポンプと接続される医療用送液ラインであって、
前記チューブの途中に弁が設けられており、
当該弁は、前記チューブ内の液に前記ポンプの駆動力が作用するときには開状態となり、
前記チューブ内の液に前記ポンプの駆動力が作用しない時には、前記チューブ内の液の流通を減少または停止させる状態となる
ことを特徴とする医療用送液ライン。 - 前記弁は、頂部にスリットが形成された可撓性弁体を有するとともに、前記チューブに対して前記弁体の頂部が前記チューブ内で前記下流側に向くように配されており、
前記チューブ内の液に前記ポンプの駆動力が作用するときには、前記スリットが開いて当該スリット中を液が流通し、
前記チューブ内の液に前記ポンプの駆動力が作用しない時には、前記スリットが閉じて前記チューブ中の液の流通が減少または停止する構成であることを特徴とする請求項1に記載の医療用送液ライン。 - 前記医療用送液ラインは、薬液を血管内に送液するためのものであることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用送液ライン。
- 前記ポンプは、前記チューブを外部より押圧して、前記チューブ内の液を送液させるペリスタルティック式ポンプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用送液ライン。
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