JP2005295996A - 薬剤揮散装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した薬剤揮散性能を奏し、かつシンプルで使いやすい薬剤残量表示機能を備えたタイプの薬剤揮散装置の提供。
【課題の解決手段】薬剤を担体に担持させてなる薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ、遠心力が作用する状況下で前記薬剤担持体から前記薬剤を揮散させる薬剤揮散装置において、前記担体が昇華性物質又はゲル形成体であり、使用経過に伴う前記薬剤担持体の消失状態を目視することによって、前記薬剤の揮散終点を認知できるようにした薬剤揮散装置。
【選択図】図1
【課題の解決手段】薬剤を担体に担持させてなる薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ、遠心力が作用する状況下で前記薬剤担持体から前記薬剤を揮散させる薬剤揮散装置において、前記担体が昇華性物質又はゲル形成体であり、使用経過に伴う前記薬剤担持体の消失状態を目視することによって、前記薬剤の揮散終点を認知できるようにした薬剤揮散装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、薬剤担持体を回転させ遠心力の作用によって薬剤を揮散させるタイプの薬剤揮散装置の改良に関するものである。
害虫、例えば蚊や蚋などを駆除するために、薬剤を閉鎖空間(室内や自動車の車内、アウトドアスポーツにおけるテント内など)全体に揮散、放出させる薬剤揮散方法として、熱エネルギーを利用した蚊取線香や電気蚊取マット、液体式電気蚊取(リキッド)が一般的であるが、常温でファン等の風力を利用して薬剤を揮散、放出させる方法も実用化されている。後者の方法は必ずしも交流電源を必要とせず、持ち運びが可能であることから携帯用として有用であり、本発明者らも特開2001−247406号公報において、薬剤含浸体を収納するカートリッジをモーターで回転させ薬剤をより効率的に揮散、放出させる薬剤揮散方法を開示した。
しかしながら、特開2001−247406号公報に開示のものを含め、従来のファン式薬剤揮散装置は、薬剤含浸体を収納するカートリッジの使用期限を知らせる機能が十分満足のいくものとは言えない。例えば、薬剤含浸体に有効成分量と連動する色素などを配合して色の変化を利用する方法があるが、終点が不明瞭であるし、またカートリッジの使用期限と乾電池の寿命を同一に設定する方法にしても、乾電池の性能が多岐にわたることから一致させることは難しい。
最近、液晶表示を用いた製品が市販されているが、電気的制御機構を必要とするため装置が複雑で、コスト高を余儀なくされている。
最近、液晶表示を用いた製品が市販されているが、電気的制御機構を必要とするため装置が複雑で、コスト高を余儀なくされている。
ところで、薬剤残量表示のインジケーターとして昇華性物質やゲル形成体を利用する提案はいくつか知られている。例えば、特開平7−149601号公報には、常温揮散性防虫薬剤と昇華性物質とを組み合わせた錠剤を、通気性材料からなる包装容器内に収納し、昇華性物質の消失状態によって防虫薬剤の残存状態を認知し得ることが記載されている。また、特開昭63−222104号公報には、同様に常温揮散性防虫薬剤とゲル形成体を組み合わせたゲル型防虫剤が開示されている。
しかしながら、これらの提案の防虫剤は、タンス等で静置して使用した際、昇華性物質やゲル形成体の消失が気温等の環境条件によって著しく左右されるという問題を有する。このため、昇華性物質やゲル形成体のインジケーターへの応用は、明瞭な終点表示が要求されない防虫剤に留まっているのが現状である。
特開2001−247406号公報
特開平7−149601号公報
特開昭63−222104号公報
しかしながら、これらの提案の防虫剤は、タンス等で静置して使用した際、昇華性物質やゲル形成体の消失が気温等の環境条件によって著しく左右されるという問題を有する。このため、昇華性物質やゲル形成体のインジケーターへの応用は、明瞭な終点表示が要求されない防虫剤に留まっているのが現状である。
本発明は、安定した薬剤揮散性能を奏し、かつシンプルで使いやすい薬剤残量表示機能を備えたタイプの薬剤揮散装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、次のような構成を採用する。
(1)薬剤を担体に担持させてなる薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ、遠心力が作用する状況下で前記薬剤担持体から前記薬剤を揮散させる薬剤揮散装置において、前記担体が昇華性物質又はゲル形成体であり、使用経過に伴う前記薬剤担持体の消失状態を目視することによって、前記薬剤の揮散終点を認知できるようにした薬剤揮散装置。
(2)昇華性物質が、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、又はアダマンタンである(1)記載の薬剤揮散装置。
(3)ゲル形成体が、N−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤を含む(1)記載の薬剤揮散装置。
(4)薬剤が、一般式(I)
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種である(1)ないし(3)のいずれかに記載の薬剤揮散装置。
(5)薬剤担持体を、通気孔を有するプラスチックフィルム袋又は成型体によって収納している(1)記載の薬剤揮散装置。
(1)薬剤を担体に担持させてなる薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ、遠心力が作用する状況下で前記薬剤担持体から前記薬剤を揮散させる薬剤揮散装置において、前記担体が昇華性物質又はゲル形成体であり、使用経過に伴う前記薬剤担持体の消失状態を目視することによって、前記薬剤の揮散終点を認知できるようにした薬剤揮散装置。
(2)昇華性物質が、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、又はアダマンタンである(1)記載の薬剤揮散装置。
(3)ゲル形成体が、N−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤を含む(1)記載の薬剤揮散装置。
(4)薬剤が、一般式(I)
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種である(1)ないし(3)のいずれかに記載の薬剤揮散装置。
(5)薬剤担持体を、通気孔を有するプラスチックフィルム袋又は成型体によって収納している(1)記載の薬剤揮散装置。
本発明の薬剤揮散装置は、薬剤担持体をモーターの如き回転駆動装置によって回転させるタイプであって、薬剤が効率的に揮散して優れた殺虫効力を奏するとともに、かつシンプルで使いやすい薬剤残量表示機能を備えるので、その実用性は極めて高い。
本発明で用いられる薬剤としては、揮散性に優れた殺虫成分、殺ダニ成分、忌避成分、抗菌成分、消臭成分、芳香成分等があげられる。殺虫成分としては、エムペントリンやテフラメトリンの外、特に一般式(I)
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた常温揮散性殺虫成分が好適である。これらの化合物は、従来のアレスリン、フラメトリン及びプラレトリンに比べて蒸気圧が高く、蚊、ハエ、ブユ、ユスリカなどの害虫に対する殺虫効力も優れている。なお、化合物の酸成分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた常温揮散性殺虫成分が好適である。これらの化合物は、従来のアレスリン、フラメトリン及びプラレトリンに比べて蒸気圧が高く、蚊、ハエ、ブユ、ユスリカなどの害虫に対する殺虫効力も優れている。なお、化合物の酸成分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以後、化合物Aと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Bと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Cと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以後、化合物Dと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Eと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Fと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以後、化合物Gと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Hと称す)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Iと称す)、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Jと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Kと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Lと称す)、又は4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート(以後、化合物Mと称す)をあげることができる。
また、他の薬剤としては、例えば、ディート、ジメチルフタレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の忌避成分、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネート等の抗菌成分、シトロネラ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、ユズ油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分等があげられる。
本発明は、前記薬剤の担体として昇華性物質又はゲル形成体を用いることを特徴とする。これは、本発明者らの新たな知見、すなわち、静置状態における昇華性物質又はゲル形成体の消失速度は、環境条件に大きく左右され安定しないが、遠心力が作用する状況下では、昇華性物質又はゲル形成体は薬剤の揮散を伴ってほぼ一定速度で消失するという試験結果に基づくものである。
昇華性物質としては、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン[商品名:サンサブリ(小川香料株式会社製)]、アダマンタン、トリシクロドデカン[商品名:アイサワーD(出光石油化学株式会社製)]、2−ヒドロキシカンファー(慣用名:ボルネオール)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(慣用名:ネオペンチルグリコール)、などがあげられ、なかでも、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサンやアダマンタンが使いやすい。
昇華性物質の形状は任意であるが、板状、棒状、円盤状、ドーナツ状などに成形された錠剤が一般的である。また、昇華性物質(通常0.5〜5g、好ましくは1〜3g)に対する薬剤担持量は、20〜150mg、好ましくは30〜80mgが適当である。薬剤の担持量が20mgより少ない場合、効力(特に殺虫効力)の持続性に不足を生じる場合があり、一方、担持量の最大量は、担体の吸液能等を考慮して150mg以下が好ましい。
薬剤を担持させるに際しては、必要に応じ溶剤、界面活性剤、分散剤などを用いて薬剤を成形された昇華性物質に含浸させてもよいし、あるいは薬剤と昇華性物質の混合物を溶融後冷却するか、もしくは加圧機を用いて錠剤状に成形することができる。
薬剤を担持させるに際しては、必要に応じ溶剤、界面活性剤、分散剤などを用いて薬剤を成形された昇華性物質に含浸させてもよいし、あるいは薬剤と昇華性物質の混合物を溶融後冷却するか、もしくは加圧機を用いて錠剤状に成形することができる。
一方、ゲル形成体としては、N−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤、2−エチルヘキサン酸のアルミニウム塩、12−ヒドロキシステアリン酸などのゲル化剤を用いて形成したものがあげられるが、ゲル形成性や保形性、あるいは薬剤の揮散性等の点からN−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤を含むタイプが好ましい。
N−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤には、N−アシルアミノ酸エステル、N−アシルアミノ酸アミド及びN−アシルアミノ酸アミン塩があるが、例えば、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミド[味の素株式会社製、商品名:油ゲル化剤GP−1](以降、ゲル化剤Aと称す)が安全性も高く使いやすい。
N−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤には、N−アシルアミノ酸エステル、N−アシルアミノ酸アミド及びN−アシルアミノ酸アミン塩があるが、例えば、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミド[味の素株式会社製、商品名:油ゲル化剤GP−1](以降、ゲル化剤Aと称す)が安全性も高く使いやすい。
ゲル化剤Aと共に用いられる溶剤としては、パラフィン系もしくは芳香族系炭化水素類、脂肪族もしくは芳香族系エステル類等を使用できる。かかる具体例を例示すれば、中央化成株式会社製のデオトミゾールS、ネオチオゾールS、日本石油化学株式会社製のソルベトH、日鉱石油化学株式会社製のSH−NP、出光石油化学株式会社製のIPソルベント−2835、エクソン化学株式会社製のアイソパーVなどの炭素数が13〜16のパラフィン系溶剤や、フタール酸、フマール酸、マレイン酸、あるいはアジピン酸等の低級アルキルエステル類などがあげられる。
ゲル化剤Aを用いた薬剤担持体における各成分の配合比率は、薬剤1重量部当たりゲル化剤Aが0.1〜10重量部、溶剤が10〜50重量部が適当である。そして、薬剤担持体は、前記溶剤に所定量のゲル化剤Aを添加して溶解温度以上(約70〜150℃)で加熱溶解した後、薬剤の所定量を加えて静置冷却することによって容易に調製できる。
ゲル化剤Aを用いた薬剤担持体における各成分の配合比率は、薬剤1重量部当たりゲル化剤Aが0.1〜10重量部、溶剤が10〜50重量部が適当である。そして、薬剤担持体は、前記溶剤に所定量のゲル化剤Aを添加して溶解温度以上(約70〜150℃)で加熱溶解した後、薬剤の所定量を加えて静置冷却することによって容易に調製できる。
本発明で用いる薬剤担持体には、安定剤、香料、着色剤、帯電防止剤などを適宜配合してもよい。色彩の付加は、商品価値を高めるだけでなく、薬剤の揮散終点を明瞭に視認させえることから特に好ましい。
本発明は、昇華性物質又はゲル形成体の消失状態を目視することによって、薬剤の揮散終点、すなわち薬剤担持体の使用終点と、回転駆動装置の使用時間を認知できるようにしたものであり、液晶表示器のような電気的制御機構を必要としないので安価で使いやすく、しかも回転駆動装置の使用時間をほぼ正確に知らせることができる。
本発明では、担体の一部として昇華性物質又はゲル形成体以外のものを使用することもできる。例えば紙、パルプ、ビスコースなどのセルロース系担体、エチレン−酢酸ビニール系樹脂、ポリエステル、オレフィンポリマーなどの合成樹脂担体、ケイ酸カルシウムなどの無機質担体などがあげられる。ただし、これらの担体は薬剤の揮散にのみ関与し、表示機能は昇華性物質又はゲル形成体に委ねられることは勿論である。
薬剤担持体は、砕れた場合に散逸するのを防止したり、昇華性物質又はゲル形成体の消失速度を調整するために、例えば適当な通気孔を有するプラスチックフィルム袋や成型体に収納されるのが好ましい。プラスチックの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリアミド(PA)、ポリアセタール、ポリカーボネート、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどがあげられるがこれらに限定されない。内容物を吸着しない点で、ポリエステル、ポリアミドなどが好ましいが、揮散性に支障を来たさない限りにおいて、例えばシーラントとしてポリエチレン、ポリプロピレン使用しても構わない。
本発明では、薬剤担持体の安定した回転を得るために、プラスチックフィルム袋や成型体に収納された薬剤担持体の上下両側面それぞれ上側部分及び下側部分によって囲み、外側周囲を複数個の保持枠によって囲み、かつ中心位置にある軸受が、回転駆動装置の回転軸と嵌合し得るカートリッジに収容してもよい。
カートリッジの形状や大きさも任意に決定することができ、例えば、円盤状、かご状あるいは断面矩形の環状中空構造体があげられる。また、保持枠の形状や数は特に限定されている訳ではないが、設計上の便宜をも考慮し、例えば上下両面には板状、また周囲には断面が丸形、三角形又は四角形状のものを複数個設けるのが適当である。
カートリッジの形状や大きさも任意に決定することができ、例えば、円盤状、かご状あるいは断面矩形の環状中空構造体があげられる。また、保持枠の形状や数は特に限定されている訳ではないが、設計上の便宜をも考慮し、例えば上下両面には板状、また周囲には断面が丸形、三角形又は四角形状のものを複数個設けるのが適当である。
本発明の薬剤揮散装置は、薬剤担持体に遠心力が作用して薬剤の揮散効率を高め得るものであるが、例えばカートリッジに収容する場合、その内周側もしくは外周側にファンを一体的に装てんして、ファンによる風力を付与する構成を採用しても構わない。なお、ファンの形状や大きさは特に限定されないが、揮散性能の点からシロッコファンが適している。
更に、前記カートリッジの周囲に、スリット状、メッシュ状などの保護バーを装着し、手指などが回転するカートリッジに触れないような構成を採用することができる。この際に前記カートリッジを収納する薬剤揮散装置の一部に前記保護バーの機能を持たせてもよい。また、使用前に、カートリッジに収容した薬剤担持体から薬剤が揮散することを防止するため、カートリッジの通気部に遮蔽部材(例えば、シールテープなど)を貼付してもよく、かかる遮蔽部材は、通常使用直前に剥離される。
更に、前記カートリッジの周囲に、スリット状、メッシュ状などの保護バーを装着し、手指などが回転するカートリッジに触れないような構成を採用することができる。この際に前記カートリッジを収納する薬剤揮散装置の一部に前記保護バーの機能を持たせてもよい。また、使用前に、カートリッジに収容した薬剤担持体から薬剤が揮散することを防止するため、カートリッジの通気部に遮蔽部材(例えば、シールテープなど)を貼付してもよく、かかる遮蔽部材は、通常使用直前に剥離される。
本発明で回転駆動装置として用いるモーターの仕様は、DC1.5V〜6.0V駆動で、200〜2000rpmの回転数を与えるものが適当である。また、電源としては、装置のシンプル化から乾電池駆動が好ましいが、100V交流電源と共用可能にしたり、太陽電池を用いた構成にすることもできる。100V交流電源を利用する場合、ACアダプターを用いて電圧ドロップ、整流した後モーター用電源回路に供給される。ACアダプターは、薬剤揮散装置に内蔵してもよいが、コンセントプラグと一体化すると、プラグと薬剤揮散装置間の電源コードを軽量化できるというメリットを有する。
本発明は、薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ遠心力が作用する状況下での昇華性物質又はゲル形成体の消失速度が、静置状態における消失速度よりも格段に高く安定していることを利用したものである。すなわち、昇華性物質又はゲル形成体の消失速度は、回転駆動装置の使用期間にほぼ相関するので、昇華性物質又はゲル形成体の消失をもって薬剤揮散装置の使用終了時点を知らしめることが可能となる。また、通気性プラスチックフィルム袋や成型体の通気度を変えたり、薬剤担持体を数個に分割してその表面積を変えたりして昇華性物質又はゲル形成体の消失速度を調整し、80時間用、120時間用、240時間用、360時間用など各種用途に適合させることもできる。
更に、成型体の形状も任意に設計することができ、例えばコマ状にすれば、使用終期に近づくにつれ、薬剤担持体の外径が徐々に小さくなるので表示機能はより明瞭になる。
更に、成型体の形状も任意に設計することができ、例えばコマ状にすれば、使用終期に近づくにつれ、薬剤担持体の外径が徐々に小さくなるので表示機能はより明瞭になる。
本発明の薬剤揮散装置は、シンプルで操作が簡単なことを特徴とするが、もちろん製造性やコスト面で許す限り種々の機能を付加しても構わない。
例えば、薬剤担持体の回転と休止のサイクルを繰り返し、薬剤を間欠的に揮散せしめるようにしてもよいし、スイッチオンを示すパイロットランプを別途装填してもよい。
例えば、薬剤担持体の回転と休止のサイクルを繰り返し、薬剤を間欠的に揮散せしめるようにしてもよいし、スイッチオンを示すパイロットランプを別途装填してもよい。
こうして得られた本発明の薬剤揮散装置は、薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ、この遠心力の作用、好ましくはこの遠心力とファンによる風力のダブル効果によって、薬剤を効率的に揮散、放出させ、屋内又は屋外において、蚊や蚋、ハエ、ユスリカなどの各種害虫、あるいはイガ、カツオブシムシなどの衣料害虫に対してすぐれた殺虫、防虫効果を奏する。そして、薬剤担持体の消失状態を目視するだけで簡単に、薬剤担持体の交換時期とモーターの使用時間を認知できるので、極めて有用かつ実用的である。
更に、薬剤残量表示機能が薬剤担持体自体に基づくため、乾電池の電池残量と無関係に、薬剤担持体を取替えて新たに使用できるという利点を有する。
更に、薬剤残量表示機能が薬剤担持体自体に基づくため、乾電池の電池残量と無関係に、薬剤担持体を取替えて新たに使用できるという利点を有する。
次に、具体的実施例ならびに試験例に基づいて、本発明の薬剤揮散装置を更に詳細に説明する。
図1は本発明の薬剤揮散装置の一例の開蓋状態の斜視図を、図2はその蓋を閉じた状態の断面図を示す。
薬剤揮散装置1は、薬剤担持体2を収納するカートリッジ3とこの内側に配設されたシロッコファン4と、これらを回転させて薬剤担持体2に担持させた薬剤を揮散させるモーター5と、電源としての乾電池6を備えている。なお、カートリッジ3は断面矩形の環状中空構造体で、3ケ所に薬剤担持体2の収納用分室7(上面は目視可能なように透明プラスチック板)を有し、側面に高さ方向ほぼ全長に幅2mmの開口スリットを3mmおきに具備している。モーター5を回転させると、遠心力とシロッコファン4による風力が生じ、上面吸気口8から流入した空気はカートリッジ3の内部を通り開口スリットから排気口9を経て流出するが、この空気の流れにのって薬剤担持体2に含浸させた薬剤は空中に放散される。
薬剤揮散装置1は、薬剤担持体2を収納するカートリッジ3とこの内側に配設されたシロッコファン4と、これらを回転させて薬剤担持体2に担持させた薬剤を揮散させるモーター5と、電源としての乾電池6を備えている。なお、カートリッジ3は断面矩形の環状中空構造体で、3ケ所に薬剤担持体2の収納用分室7(上面は目視可能なように透明プラスチック板)を有し、側面に高さ方向ほぼ全長に幅2mmの開口スリットを3mmおきに具備している。モーター5を回転させると、遠心力とシロッコファン4による風力が生じ、上面吸気口8から流入した空気はカートリッジ3の内部を通り開口スリットから排気口9を経て流出するが、この空気の流れにのって薬剤担持体2に含浸させた薬剤は空中に放散される。
本実施例では、120時間用として、化合物E[4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]15mgを、厚さ7mmで略扇型状のサンサブリ(青色に着色)1.0gに担持させ薬剤担持体2を得た。これを、厚さ30μのポリエステル成型体(図示せず:1mm2あたりφ0.4mmの孔を穿ち通気性を付与)に収納後、外径6.5cm、内径4cm、高さ2cmの環状カートリッジ3の分室(7)3ケ所に収容した。なお、モーター5として回転数が1400rpm仕様のものを用い、乾電池6は1.5Vの単4電池1個を使用した。
本薬剤揮散装置1にカートリッジ3を装着後スイッチをオンにし、腰に下げて6時間庭仕事に従事した。使用中、蚊やブユに悩まされることがなく、十分な防虫効果が認められた。また、使用経過とともに青色のサンサブリが徐々に減少し、延べ約120時間使用時点で全て消失した。本薬剤揮散装置1は、操作が簡便で薬剤残量表示機能もわかりやすく、極めて実用的であった。
厚さ8mmで外径2.8cmの円盤状のアダマンタン(緑色に着色)4.2gに、化合物B[2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]40mgと香料5mgを担持させた薬剤担持体2を通気性の不織布で包んだ。カートリッジ3として、外径3.8cm、高さ1.5cmの中空円盤状で、その中央下部にモーター5の回転軸と嵌合し得る軸受を備えたものを用い、モーター5や乾電池6の仕様等は実施例1に準じて、100時間用の本薬剤揮散装置1を作製した。
本薬剤揮散装置1を玄関に置いて使用したところ、約100時間にわたり蚊や各種害虫の虫よけに有効であった。約100時間使用後、緑色のサンサブリが消失し、カートリッジの交換時期を明瞭に認識することができた。
側周面に通気性の不織布を張った断面矩形の環状中空成型体(外径3.4cm、内径2.0cm、高さ0.8cm)の蓋を外し、化合物M[4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート]80mgを入れた。フタール酸ジメチル(3g)にゲル化剤A(0.4g)及び青色色素を添加して加熱溶解後、これを前記成型体に注ぎ込み放冷した。蓋を閉め、得られた薬剤担持体2を、一回り大き目のかご状カートリッジ(ファンなし)3に収納し、モーター5や乾電池6の仕様等は実施例1に準じて、200時間用の本薬剤揮散装置1を作製した。
本薬剤揮散装置1をペット小屋で使用したところ、約200時間にわたり、犬は蚊や各種害虫に悩まされることはなかった。約200時間使用後、青色のゲル形成体がほとんど消失し、カートリッジの交換時期の表示は明瞭であった。
実施例1に準じ、薬剤担持体を収納するファン付きカートリッジ(断面矩形の環状中空構造体)と、乾電池で駆動するモーターを備えた240時間用の各種薬剤揮散装置を作製し、性能試験を行った。なお、殺虫効力は、dl,d−シス/トランス−アレスリン(ピナミンフォルテ)を含有する蚊取マットを発熱体放熱板温度160℃の条件で蒸散させた時の初期仰転効果を1.00として相対有効比で示した。
本発明の薬剤揮散装置は、240時間の長期にわたり優れた殺虫効力を保持し、昇華性物質又はゲル形成体の消失によって使用期間の終点を容易に認知することができ、薬剤残量表示機能としてもすぐれていた。
これに対し、比較例1のように、電気的制御機構による液晶表示を具備したものは、終点の表示は正確であるが装置が複雑でコスト高が免れなかった。一方、比較例2の如く、薬剤担持体中の薬剤残量と連動する染料を使用し、色の変化を終点表示に利用するタイプは、240時間後の時点で色調の幅があり、不明瞭であった。
従って、本発明の有用性が確認された。
これに対し、比較例1のように、電気的制御機構による液晶表示を具備したものは、終点の表示は正確であるが装置が複雑でコスト高が免れなかった。一方、比較例2の如く、薬剤担持体中の薬剤残量と連動する染料を使用し、色の変化を終点表示に利用するタイプは、240時間後の時点で色調の幅があり、不明瞭であった。
従って、本発明の有用性が確認された。
1:薬剤揮散装置
2:薬剤担持体
3:カートリッジ
4:シロッコファン
5:モーター
6:乾電池
7:収納用分室
8:吸気口
9:排気口
2:薬剤担持体
3:カートリッジ
4:シロッコファン
5:モーター
6:乾電池
7:収納用分室
8:吸気口
9:排気口
Claims (5)
- 薬剤を担体に担持させてなる薬剤担持体を回転駆動装置によって回転させ、遠心力が作用する状況下で前記薬剤担持体から前記薬剤を揮散させる薬剤揮散装置において、前記担体が昇華性物質又はゲル形成体であり、使用経過に伴う前記薬剤担持体の消失状態を目視することによって、前記薬剤の揮散終点を認知できるようにしたことを特徴とする薬剤揮散装置。
- 昇華性物質が、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、又はアダマンタンであることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
- ゲル形成体が、N−アシルアミノ酸誘導体系ゲル化剤を含むことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
- 薬剤担持体を、通気孔を有するプラスチックフィルム袋又は成型体によって収納していることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004298040A JP2005295996A (ja) | 2003-11-10 | 2004-10-12 | 薬剤揮散装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2004072214 | 2004-03-15 | ||
JP2004298040A JP2005295996A (ja) | 2003-11-10 | 2004-10-12 | 薬剤揮散装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005295996A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009011239A (ja) * | 2007-07-05 | 2009-01-22 | Fumakilla Ltd | 着用型薬剤拡散装置 |
JP2013501521A (ja) * | 2009-08-14 | 2013-01-17 | エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド | ウェアラブルケミカルディスペンサ |
WO2016070306A1 (zh) * | 2014-11-03 | 2016-05-12 | 创天昱科技(深圳)有限公司 | 芳香油挥发装置 |
-
2004
- 2004-10-12 JP JP2004298040A patent/JP2005295996A/ja active Pending
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JP2013501521A (ja) * | 2009-08-14 | 2013-01-17 | エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド | ウェアラブルケミカルディスペンサ |
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