JP2005295897A - 抗生物質yl−02729s物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 抗生物質YL−02729S物質の生産菌の培養液に含まれる類縁物質を除去し、精製されたYL−02729S物質の工業的生産方法の確立。
【解決手段】 抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製されたYL−02729S物質の製造方法。好ましくは抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、その後強酸を加えてpH1〜3に調整する工程、次いで強塩基を加えて再度pH12〜13に調整する工程、更に塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、請求項1記載の精製されたYL−02729S物質の製造方法。
【解決手段】 抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製されたYL−02729S物質の製造方法。好ましくは抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、その後強酸を加えてpH1〜3に調整する工程、次いで強塩基を加えて再度pH12〜13に調整する工程、更に塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、請求項1記載の精製されたYL−02729S物質の製造方法。
Description
本発明は、精製された抗生物質YL−02729S物質の新規製造方法に係るものである。
抗生物質YL−02729S物質は、化学名1−ヒドロキシ−2−(2−trans−ノネニル)−3−メチル−4(1H)−キノロンであり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やヘリコバクター・ピロリ菌に対する抗菌活性が知られている有用な医薬化合物である(例えば、特許文献1、2参照)。
精製された抗生物質YL−02729S物質の製造方法として特許文献1の実施例1には、生産菌株であるアルスロバクター エスピー YL−02729S株(国際寄託番号FERM BP−6326)の培養液を遠心分離して得た上清液(pH7)に酢酸エチルを加えて振盪して目的物質を抽出し、得られた粗抽出物をシリカゲル薄層プレートを用いて精製する方法が記載されている。また、特許文献1の実施例2及び非特許文献1には、この粗抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーとODS−HPCLで精製する方法が記載されている。
一方、特許文献3には、YL−02729S物質とは異なる1−ヒドロキシ−3−メチル−4(1H)−キノロン誘導体を生産するアルスロバクター エスピー YL−02729S株の変異株XI−511株の培養液を、硫酸でpH2.0に調整して滅菌した後、水酸化ナトリウムを加えてpH9.0に調整してダイヤイオンHP21に吸着にさせた後、HP21をカラムに移してメタノール溶出し、これを繰り返して目的物質を精製する方法が記載されている。
精製された抗生物質YL−02729S物質の製造方法として特許文献1の実施例1には、生産菌株であるアルスロバクター エスピー YL−02729S株(国際寄託番号FERM BP−6326)の培養液を遠心分離して得た上清液(pH7)に酢酸エチルを加えて振盪して目的物質を抽出し、得られた粗抽出物をシリカゲル薄層プレートを用いて精製する方法が記載されている。また、特許文献1の実施例2及び非特許文献1には、この粗抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーとODS−HPCLで精製する方法が記載されている。
一方、特許文献3には、YL−02729S物質とは異なる1−ヒドロキシ−3−メチル−4(1H)−キノロン誘導体を生産するアルスロバクター エスピー YL−02729S株の変異株XI−511株の培養液を、硫酸でpH2.0に調整して滅菌した後、水酸化ナトリウムを加えてpH9.0に調整してダイヤイオンHP21に吸着にさせた後、HP21をカラムに移してメタノール溶出し、これを繰り返して目的物質を精製する方法が記載されている。
YL−02729S物質の工業生産方法を検討する過程で、アルスロバクター エスピー YL−02729S株及びその変異株の培養液中に2−(2−trans−ノネニル)−3−メチル−4(1H)−キノリン(以下「NH体」と称する)や1−ヒドロキシ−2−(2−trans−ノネニル)−4(1H)−キノロン(以下「DM体」と称する)等の類縁物質が存在すること、及び、精製されたYL−02729S物質を得るためにはこれらの類縁物質の除去が必要であり、特に培養液中にYL−02729S物質に次いで多量に存在するNH体の除去が必要であることが判明した。
本発明者は、YL−02729S物質がpH12〜13の強塩基性環境において最も溶解性が高く(溶解度2mg/ml)しかも安定であること、強塩基性環境で溶解したYL−02729S物質は類縁物質と分離し易く、特にNH体など強塩基性環境において不溶な類縁物質とは容易に分離できることを見出して発明を完成させた。
即ち、本発明は、抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製された抗生物質YL−02729S物質の製造方法に関する。
即ち、本発明は、抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製された抗生物質YL−02729S物質の製造方法に関する。
更に、この培養液を強塩基性にした際に菌体の殺菌・分解により高粘性となるが、一旦pH1〜3に調整することで粘度が低下すること、更に再度pH12〜13とすることで低粘性のまま抗生物質YL−2729S物質の溶解液を得ることができるので、菌体を分離する為の遠心分離やろ過等の操作が不要であることを見出し、発明を完成させた。
即ち、本発明は、抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、その後強酸を加えてpH1〜3に調整する工程、次いで強塩基を加えて再度pH12〜13に調整する工程、更に塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製された抗生物質YL−02729S物質の製造方法に関する。工業的製造方法として好ましくは、遠心分離やろ過等の培養液中の菌体を分離する工程を含まない。
即ち、本発明は、抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、その後強酸を加えてpH1〜3に調整する工程、次いで強塩基を加えて再度pH12〜13に調整する工程、更に塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製された抗生物質YL−02729S物質の製造方法に関する。工業的製造方法として好ましくは、遠心分離やろ過等の培養液中の菌体を分離する工程を含まない。
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程としては、例えば陰イオン交換型樹脂や多孔性吸着樹脂を用いる方法が挙げられる。陰イオン交換型樹脂は、溶解したYL−02729S物質を直接吸着させてNH体など不溶性の類縁物質の除去に適している。多孔性吸着樹脂は、バッチ吸着のみならず、多孔性吸着樹脂を充填したカラムにYL−02729S物質の溶解液を通液することにより吸着させることができ、溶出条件によりDM体など溶解性の類縁物質の除去に用いることができる。従って、陰イオン交換型樹脂と多孔性吸着樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。
培養液中のYL−02729S物質の溶解により、多孔性吸着樹脂やイオン交換樹脂を用いて容易に類縁物質を除去することができる。また、菌体を分離する為の遠心分離やろ過操作を必要としない点でも工業的生産方法として優れている。
以下、本発明の各工程につき詳述する。
YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物として好適なものとしては、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されているアルスロバクター エスピー YL−02729S株(受託番号FERM BP−6326号)及びXI−511株(受託番号FERM P−17705号)等その変異株が挙げられるが、これらに限らず、YL−02729S物質の生産菌であればよい。YL−02729S物質の生産菌の培養は特許文献1、特許文献3、非特許文献1に記載された方法、又は一般微生物の培養方法に準じて行うことができる。
即ち、生産菌の栄養源を含有する培地に接種し、好気的に発育させることにより、YL−02729S物質を含む培養物が得られる。培養法としては、静置培養、振盪培養等の液体培養が用いられるが、工業的生産には特に通気攪拌培養が好ましい。培養温度は15℃〜37℃の範囲、培地のpHは4〜9の範囲、培養時間は通常10時間〜168時間の範囲で各々適宜変更できる。アルスロバクター エスピー YL−02729S株の場合に好ましいのは、培養温度は約28〜32℃、培地のpHは6〜8、培養時間は24時間〜96時間の範囲である。
YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物として好適なものとしては、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されているアルスロバクター エスピー YL−02729S株(受託番号FERM BP−6326号)及びXI−511株(受託番号FERM P−17705号)等その変異株が挙げられるが、これらに限らず、YL−02729S物質の生産菌であればよい。YL−02729S物質の生産菌の培養は特許文献1、特許文献3、非特許文献1に記載された方法、又は一般微生物の培養方法に準じて行うことができる。
即ち、生産菌の栄養源を含有する培地に接種し、好気的に発育させることにより、YL−02729S物質を含む培養物が得られる。培養法としては、静置培養、振盪培養等の液体培養が用いられるが、工業的生産には特に通気攪拌培養が好ましい。培養温度は15℃〜37℃の範囲、培地のpHは4〜9の範囲、培養時間は通常10時間〜168時間の範囲で各々適宜変更できる。アルスロバクター エスピー YL−02729S株の場合に好ましいのは、培養温度は約28〜32℃、培地のpHは6〜8、培養時間は24時間〜96時間の範囲である。
こうして得られた培養液又はその処理液に強塩基を加えてpH12〜13に調整してYL−02729S物質を溶解する。強塩基としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。培養液を直接強塩基性環境にして30分〜2時間程度攪拌する操作によって、菌体を死滅、分解することができる。
この操作によって培養液の粘度が上昇するので、強酸を添加してpH1〜3付近に調整し、30分〜2時間程度攪拌する操作によって粘度を低下させることが望ましい。強酸としては、塩酸、硫酸又は硝酸が用いられる。その後強塩基を添加して再度pH12〜13に調整することにより、YL−02729S物質を溶解する。こうして得られたYL−02729S物質の溶解液は低粘度であり、類縁物質との分離工程の前に遠心分離やろ過操作は不要である。
この操作によって培養液の粘度が上昇するので、強酸を添加してpH1〜3付近に調整し、30分〜2時間程度攪拌する操作によって粘度を低下させることが望ましい。強酸としては、塩酸、硫酸又は硝酸が用いられる。その後強塩基を添加して再度pH12〜13に調整することにより、YL−02729S物質を溶解する。こうして得られたYL−02729S物質の溶解液は低粘度であり、類縁物質との分離工程の前に遠心分離やろ過操作は不要である。
類縁物質とは、培養液中に存在するYL−02729S物質以外のキノロン骨格を有する化合物である。代表的にはNH体とDM体であるが、その他に含まれる類縁物質は生産菌によって異なる。例えば、XI−511株の培養液には特許文献3に記載された1−ヒドロキシ−3−メチル−4(1H)−キノロン誘導体が含まれる。
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程には、例えば多孔性吸着樹脂を用いる工程(以下「HP工程」と称する)と陰イオン性交換樹脂を用いる工程(以下「SA工程」と称する)が挙げられる。SA工程によって主としてNH体等の塩基性環境で不溶性類縁物質を除去することができ、HP工程によって主としてDM体等の塩基性環境で溶解性の類縁物質を除去することができる。
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程には、例えば多孔性吸着樹脂を用いる工程(以下「HP工程」と称する)と陰イオン性交換樹脂を用いる工程(以下「SA工程」と称する)が挙げられる。SA工程によって主としてNH体等の塩基性環境で不溶性類縁物質を除去することができ、HP工程によって主としてDM体等の塩基性環境で溶解性の類縁物質を除去することができる。
(HP工程)
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を多孔性吸着樹脂に吸着させて、含水有機溶媒の濃度差によってYL−02729S物質と類縁物質を分離する工程である。多孔性吸着樹脂としては、スチレン系吸着型樹脂として市販されているものを用いることが可能であり、このような市販品としてダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、ダイヤイオンSP207、ダイヤイオンSP850、ダイヤイオンSP900(いずれも商品名、三菱化学)やアンバーライトXAD−2(商品名、ローム・アンド・ハース)等が用いられる。タンク中で多孔性吸着樹脂とYL−02729S物質溶解液を1〜10時間攪拌するバッチ吸着でもよいが、多孔性吸着樹脂を充填したカラムにYL−02729S物質の溶解液をSV=1〜5(SV:空間速度、1時間当たりの通液量をレジン量で除した値)の速度で通液することにより、YL−02729S物質を多孔性吸着樹脂に吸着することができる。その後、水や40〜50%のアセトン水(硫酸酸性:pH2)をSV=2〜10の速度でカラムに通液する操作により洗浄を行い不純物を流去する。YL−02729S物質の溶出は、含水有機溶媒が好適であり、その有機溶媒濃度を設定することにより、YL−02729S物質が溶離可能なものであればよい。このような水に可溶な有機溶媒としては、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられる。中でもアセトン、メタノール、水の混合溶媒が好適に用いられる。YL−02729S物質の溶出条件は、類縁体の分離条件を適宜選択設定して行うが、例えば、50〜80%アセトン水(アセトン/メタノール/水=50〜80/45〜15/5)を用いる場合はSV=2〜3の速度で溶出するのが好適である。
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を多孔性吸着樹脂に吸着させて、含水有機溶媒の濃度差によってYL−02729S物質と類縁物質を分離する工程である。多孔性吸着樹脂としては、スチレン系吸着型樹脂として市販されているものを用いることが可能であり、このような市販品としてダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、ダイヤイオンSP207、ダイヤイオンSP850、ダイヤイオンSP900(いずれも商品名、三菱化学)やアンバーライトXAD−2(商品名、ローム・アンド・ハース)等が用いられる。タンク中で多孔性吸着樹脂とYL−02729S物質溶解液を1〜10時間攪拌するバッチ吸着でもよいが、多孔性吸着樹脂を充填したカラムにYL−02729S物質の溶解液をSV=1〜5(SV:空間速度、1時間当たりの通液量をレジン量で除した値)の速度で通液することにより、YL−02729S物質を多孔性吸着樹脂に吸着することができる。その後、水や40〜50%のアセトン水(硫酸酸性:pH2)をSV=2〜10の速度でカラムに通液する操作により洗浄を行い不純物を流去する。YL−02729S物質の溶出は、含水有機溶媒が好適であり、その有機溶媒濃度を設定することにより、YL−02729S物質が溶離可能なものであればよい。このような水に可溶な有機溶媒としては、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられる。中でもアセトン、メタノール、水の混合溶媒が好適に用いられる。YL−02729S物質の溶出条件は、類縁体の分離条件を適宜選択設定して行うが、例えば、50〜80%アセトン水(アセトン/メタノール/水=50〜80/45〜15/5)を用いる場合はSV=2〜3の速度で溶出するのが好適である。
(SA工程)
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を陰イオン性交換樹脂に吸着させて、樹脂に吸着しない類縁物質を分離した後、YL−02729S物質を溶出する工程である。陰イオン性交換樹脂としては、市販されているSA12A、SA10A,SA11A,SA20A,SA21A、PA316、PA418、PA306、PA308、PA312、PA318、PA406,PA408、PA412、PA416等が挙げられる。カラム吸着も可能であるが、通常、陰イオン性交換樹脂にYL−02729S物質の溶解液を接触させ、1〜10時間攪拌することにより、YL−02729S物質を陰イオン性交換樹脂に吸着させるバッチ吸着が用いられる。その後、陰イオン性交換樹脂を水で洗浄する。YL−02729S物質はアセトン、メタノール又はエタノールの20〜80%水溶液にNaClを1〜5%添加した溶媒により溶出することができ、溶出条件を適宜選択設定して行う。例えば、陰イオン性交換樹脂としてSA12Aを用いる場合は80〜90%メタノール水(3.8%NaCl)で溶出するのが好適である。
塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を陰イオン性交換樹脂に吸着させて、樹脂に吸着しない類縁物質を分離した後、YL−02729S物質を溶出する工程である。陰イオン性交換樹脂としては、市販されているSA12A、SA10A,SA11A,SA20A,SA21A、PA316、PA418、PA306、PA308、PA312、PA318、PA406,PA408、PA412、PA416等が挙げられる。カラム吸着も可能であるが、通常、陰イオン性交換樹脂にYL−02729S物質の溶解液を接触させ、1〜10時間攪拌することにより、YL−02729S物質を陰イオン性交換樹脂に吸着させるバッチ吸着が用いられる。その後、陰イオン性交換樹脂を水で洗浄する。YL−02729S物質はアセトン、メタノール又はエタノールの20〜80%水溶液にNaClを1〜5%添加した溶媒により溶出することができ、溶出条件を適宜選択設定して行う。例えば、陰イオン性交換樹脂としてSA12Aを用いる場合は80〜90%メタノール水(3.8%NaCl)で溶出するのが好適である。
こうして得られたYL−02729S物質の溶出液は濃縮、結晶化、乾燥することにより、精製されたYL−02729S物質を高純度高収率で取得することができる。また、加熱や強塩基性条件での分液抽出等の常法により更に純粋に精製することもできる。
以下に実施例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。以下の実施例等において、「NH体」とは2−(2−trans−ノネニル)−3−メチル−4(1H)−キノリンを意味し、「DM体」とは(1−ヒドロキシ−2−(2−trans−ノネニル)−4(1H)−キノロンを意味する。
実施例1
特開2001−226355号の実施例1と同様の方法で得られた培養液4800Lに25%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH=13に調整した後、1時間攪拌した。得られた処理液の品質は以下の通りであった。
(pH13ブロス処理液)
YL−02729S物質 1923g
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=19.4%、DM体=11.8%
特開2001−226355号の実施例1と同様の方法で得られた培養液4800Lに25%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH=13に調整した後、1時間攪拌した。得られた処理液の品質は以下の通りであった。
(pH13ブロス処理液)
YL−02729S物質 1923g
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=19.4%、DM体=11.8%
上記ブロス処理液に1200Lの水を加え希釈し、35%硫酸溶液を用いてpH2.0に調整した後、1時間攪拌した。次に25%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH=13に調整した後、水を加えて7000Lとした。
得られた培養液の処理液を、レジンHP21(250L)を充填したをカラムに、0.25m3〜0.75m3/hrで通液し、YL−02729S物質を吸着した。次に、2500Lの水を用いて、0.5〜2.0m3/hrで水洗した。次に40%アセトン水(硫酸酸性:pH2)750Lを用いて、0.5〜0.75m3/hrで洗浄した。次に、1250Lの水を用いて、0.5〜2.0m3/hrで水洗した。次に、80%アセトン水(アセトン/メタノール/水=80/15/5)500Lを用いて、0.5m3/hrで溶出し、主留分200〜400Lを分取した。得られた溶出液の品質及び収率は以下の様になった。
(HP21溶出液)
YL−02729S物質 1682g(ブロス処理液からの収率=87.5%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=17.5%、DM体=10.2%
得られた培養液の処理液を、レジンHP21(250L)を充填したをカラムに、0.25m3〜0.75m3/hrで通液し、YL−02729S物質を吸着した。次に、2500Lの水を用いて、0.5〜2.0m3/hrで水洗した。次に40%アセトン水(硫酸酸性:pH2)750Lを用いて、0.5〜0.75m3/hrで洗浄した。次に、1250Lの水を用いて、0.5〜2.0m3/hrで水洗した。次に、80%アセトン水(アセトン/メタノール/水=80/15/5)500Lを用いて、0.5m3/hrで溶出し、主留分200〜400Lを分取した。得られた溶出液の品質及び収率は以下の様になった。
(HP21溶出液)
YL−02729S物質 1682g(ブロス処理液からの収率=87.5%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=17.5%、DM体=10.2%
得られたレジンHP21溶出液を45〜55℃で蒸留濃縮した後、濃縮残量と同容量のアセトニトリルを加え、10時間以上攪拌し結晶を析出させた。次に、得られた結晶を遠心分離装置を用い回収した後、40℃で10時間乾燥した。結晶の品質及び収率は以下の様になった。
(結晶)
YL−02729S物質 1590g(ブロス処理液からの収率=82.7%)
結晶純度 70.3%
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=13.6%、DM体=11.3%
(結晶)
YL−02729S物質 1590g(ブロス処理液からの収率=82.7%)
結晶純度 70.3%
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=13.6%、DM体=11.3%
実施例2
実施例2−1
特開2001−226355号の実施例1と同様の方法で得られた培養液4800Lに25%水酸化ナトリウムを加えpH=13に調整した後、30分間攪拌した。得られた処理液の品質は以下の通りであった。
(pH13ブロス処理液)
YL−02729S物質 4160g
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=41.4%、DM体=15.1%
実施例2−1
特開2001−226355号の実施例1と同様の方法で得られた培養液4800Lに25%水酸化ナトリウムを加えpH=13に調整した後、30分間攪拌した。得られた処理液の品質は以下の通りであった。
(pH13ブロス処理液)
YL−02729S物質 4160g
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=41.4%、DM体=15.1%
上記ブロス処理液に35%硫酸溶液を用いてpH2.0に調整した後、30分間攪拌した。次に、25%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH=13に調整した。
次に、得られた培養液の処理液を、レジンSA12A(600L)を充填したタンクに入れ、3〜6時間攪拌しYL−02729S物質を吸着した。次に、培養液の処理液を排出した後、2500Lの水を加え、10分間攪拌しレジンを水洗した。この水洗操作を5回行った。次に、90%メタノール水(3.8%NaCl)1200Lを用いて、3時間以上攪拌を行い、YL−02729S物質を溶出した後、溶出液を分離する(溶出液(1))。
次に80%メタノール水(2.5%NaCl)1200Lを用いて、3時間以上攪拌を行いYL−02729S物質を溶出した後、溶出液を分離した(溶出液(2))。溶出液(1)と溶出液(2)を合わせて得られた溶出液の品質及び収率は、以下の様になった。
(SA12A溶出液)
YL−02729S物質 3380g(ブロス処理液からの収率=81.3%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=4.5%、DM体=25.8%
次に、得られた培養液の処理液を、レジンSA12A(600L)を充填したタンクに入れ、3〜6時間攪拌しYL−02729S物質を吸着した。次に、培養液の処理液を排出した後、2500Lの水を加え、10分間攪拌しレジンを水洗した。この水洗操作を5回行った。次に、90%メタノール水(3.8%NaCl)1200Lを用いて、3時間以上攪拌を行い、YL−02729S物質を溶出した後、溶出液を分離する(溶出液(1))。
次に80%メタノール水(2.5%NaCl)1200Lを用いて、3時間以上攪拌を行いYL−02729S物質を溶出した後、溶出液を分離した(溶出液(2))。溶出液(1)と溶出液(2)を合わせて得られた溶出液の品質及び収率は、以下の様になった。
(SA12A溶出液)
YL−02729S物質 3380g(ブロス処理液からの収率=81.3%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=4.5%、DM体=25.8%
得られた溶出液2400Lに、水を加えて7200Lに希釈した後、HP21(200L)を充填したカラムに、0.8〜1.2m3/hrで通液しYL−02729S物質を吸着した。次に、2000Lの水を用いて、0.8〜2.0m3/hrで水洗した。次に、50%メタノール水(硫酸酸性:pH2)400Lを用いて、0.4〜0.6m3/hrで洗浄した。次に、1000Lの水を用いて、0.4〜2.0m3/hrで水洗した。次に、50%アセトン水(アセトン/メタノール/水=50/45/5)1000Lを用いて、0.4〜0.6m3/hrで溶出し、YL−02729S物質の主留分800Lを分取した。得られた溶出液の品質及び収率は以下の様になつた。
(HP21溶出液)
YL−02729S物質 2940g(ブロス処理液からの収率=70.7%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=11.3%、DM体=21.0%
(HP21溶出液)
YL−02729S物質 2940g(ブロス処理液からの収率=70.7%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=11.3%、DM体=21.0%
実施例2−2
アルスロバクター エスピー YL−02729S株を、特開2001−226355号に記載の方法で培養し、得られた培養液13m3を、実施例1と同様に精製した。培養液、SA12A溶出液及びHP21の溶出液の品質と収率は以下の様になった。
(pH13ブロス処理液)
YL−02729S物質 6850g
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=32.7%、DM体=17.7%
(SA12A溶出液)
YL−02729S物質 5600g(ブロス処理液からの収率=81.8%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=5.8%、DM体=24.9%
(HP21溶出液)
YL−02729S物質 4630g(ブロス処理液からの収率=67.6%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=10.1%、DM体=19.4%
アルスロバクター エスピー YL−02729S株を、特開2001−226355号に記載の方法で培養し、得られた培養液13m3を、実施例1と同様に精製した。培養液、SA12A溶出液及びHP21の溶出液の品質と収率は以下の様になった。
(pH13ブロス処理液)
YL−02729S物質 6850g
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=32.7%、DM体=17.7%
(SA12A溶出液)
YL−02729S物質 5600g(ブロス処理液からの収率=81.8%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=5.8%、DM体=24.9%
(HP21溶出液)
YL−02729S物質 4630g(ブロス処理液からの収率=67.6%)
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=10.1%、DM体=19.4%
実施例2−3
実施例2−1と実施例2−2で得られたHP21溶出液を合わせ、45〜55℃で蒸留濃縮した後、濃縮残量と同容量のアセトニトリルを加え、10時間以上攪拌し結晶を析出させた。次に、得られた結晶を遠心分離装置を用い回収した後、40℃で10時間乾燥した。結晶の品質及び収率は以下の様になった。
(結晶)
YL−02729S物質 7260g(ブロス処理液からの収率=65.9%)
結晶純度=65.3%
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=5.5%、DM体=19.4%
実施例2−1と実施例2−2で得られたHP21溶出液を合わせ、45〜55℃で蒸留濃縮した後、濃縮残量と同容量のアセトニトリルを加え、10時間以上攪拌し結晶を析出させた。次に、得られた結晶を遠心分離装置を用い回収した後、40℃で10時間乾燥した。結晶の品質及び収率は以下の様になった。
(結晶)
YL−02729S物質 7260g(ブロス処理液からの収率=65.9%)
結晶純度=65.3%
不純物の含有量(液体クロマトグラフィー法面積百分率)
NH体=5.5%、DM体=19.4%
本発明によれば、精製された抗生物質YL−02729S物質を高純度、高収率で得ることができる。
Claims (5)
- 抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、精製されたYL−02729S物質の製造方法。
- 抗生物質YL−02729S物質を生産する能力を有する微生物の培養液又はその処理液に、強塩基を加えてpH12〜13に調整する工程と、その後強酸を加えてpH1〜3に調整する工程、次いで強塩基を加えて再度pH12〜13に調整する工程、更に塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を類縁物質と分離する工程を含む、請求項1記載の精製されたYL−02729S物質の製造方法。
- 培養液中の菌体を分離する工程を含まない、請求項1又は2記載の精製されたYL−02729S物質の製造方法。
- 塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を陰イオン交換型樹脂に直接吸着させて、不溶性の類縁物質と分離する工程を含む請求項1乃至3記載の精製されたYL−02729S物質の製造方法。
- 塩基性環境で溶解したYL−02729S物質を多孔性吸着樹脂を充填したカラムに通液、吸着させて、溶出することにより、類縁物質と分離する工程を含む請求項1乃至4記載の精製されたYL−02729S物質の製造方法。
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JP2004117228A JP2005295897A (ja) | 2004-04-12 | 2004-04-12 | 抗生物質yl−02729s物質の製造方法 |
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