無線電話装置や無線呼び出し装置は、携帯して持ち歩くものであることから、置忘れの恐れが有り、このような問題を解決する為、無線周波数の信号を受信し、中間周波数信号に変換して増幅し、その後ベースバンド信号に変換して受信処理を行う携帯無線装置の置忘れ防止方法において、上記中間周波数信号と同じ周波数帯の監視信号を送信する為の携帯無線装置とは別の筐体に収納された子機と、上記監視信号を受信する為の携帯無線装置に取り付けられた監視用アンテナとを設けると共に、携帯無線装置は、上記中間周波数信号と上記監視用アンテナから入力された監視信号を周期的に切替え、その切替えにより選択した方の信号をその後の増幅及びベースバンド信号への変換入力とし、上記監視信号が選択されてベースバンド信号に変換されている時に、その変換された監視信号をチェックし、異常があれば置忘れとみなして警報音を携帯無線装置に設けられたスピーカから出力することを特徴とする携帯無線装置の置忘れ防止の技術が提案(特開平8−265850)されている。そして、この技術によれば、子機は極めて簡単な小型の回路であり、これを身体又は身体周辺から離さないようにしていれば、本体から離れた時、警報音でそのことを知ることが出来、本体には簡単な切替え手段と制御機能とを付加するのみで済み、安価に置忘れ防止機能を提供できると謳われている。
又、PHS(パーソナル・ハンディホン・システム)と呼ばれるデジタル無線電話においては、PHS電話機は、何処でも手軽に持ち運んで通話できることから、紛失が多くなっており、そして紛失してしまうと、小型である為に探し出すことが困難であると言う問題が有り、このような問題を解決する為、即ち、PHS電話機を紛失した場合、その電話機の所在を的確に検出して報知する為、PHS基地局を収容する交換機と、PHS基地局に無線接続されるPHS電話機とからなるデジタル無線電話システムにおいて、PHS電話機を探索する為のサーチ呼出コマンドを交換機及びPHS基地局を介して送信する探索装置(センタ装置)を交換機に収容し、かつ、探索装置からのサーチ呼出コマンドを受信して応答信号を送信する応答信号送信手段をPHS電話機に備えたことを特徴とするデジタル無線電話システムが提案(特開平9−121384)されている。そして、この技術によれば、PHS電話機を紛失した場合は、探索装置からサーチ呼出コマンドがそのPHS電話機に送信されると共に、この時、この呼出コマンドがそのPHS電話機で受信できれば応答信号が返送される。この結果、この応答信号を検出するようにすれば、紛失したPHS電話機の所在を容易に確認することが出来ると謳われている。
又、携帯型情報通信機器を紛失した場合、紛失が携帯型情報通信機器に特に障害が起きていない状態で発生する為、オペレータは異常事態が発生したことをリアルタイムで認識することが出来ず、紛失した場合には、オペレータは紛失した携帯型情報通信機器本体の識別番号を基地局等の関係機関に届け出、該携帯型情報通信機器からの無線通信を無効にすることにより、不正使用を防ぐことしか出来ておらず、このようなことから、携帯型情報通信機器を紛失した旨をオペレータに即座に警告することが出来、かつ、携帯型情報通信機器本体の発見を迅速に行うことが出来るようにすることを目的として、一定時間間隔で追尾信号を送信する追尾信号送信手段を備える携帯通信端末と、前記携帯通信端末が一定時間間隔で送信する追尾信号を受信し、追尾信号を所定時間以上受信できなくなった時に前記携帯通信端末を無線通信網を介して鳴動させることにより異常事態発生を警告する追尾信号受信手段と、この追尾信号受信手段により追尾信号を所定時間以上受信できなくなった時に自身の位置座標を測定して異常事態発生のメッセージと共に基地局の統括コンピュータに送信する測位手段と、リモートコントロールによって電源の切断が可能な電源回路とを備える携帯型情報通信機器と、前記携帯型情報通信機器から異常事態発生のメッセージを受信した時に前記携帯型情報通信機器の位置座標を位置情報として前記携帯通信端末に送信すると共に前記携帯型情報通信機器に電源切断を指示する携帯型情報通信機器管理手段を備える基地局の統括コンピュータとを有することを特徴とする携帯型情報通信機器の探知方式が提案(特開平10−98770)されている。
又、一般的に、電子機器製品は所有者や使用者を選ばない為、通常、持ち出された製品は持ち出された先でも問題なく動作する。加えて、その持ち出されてしまった製品を探し出すことは、非常に困難である。一方、電話を利用することにより、遠隔地から製品を管理・操作する方法は、既に実現しており、例えば外出先から帰宅する時に電話で照明を点灯しておいたり、空調を制御して帰宅時には既に快適な室温が保たれているようにすることが知られている。しかし、このような遠隔制御方法は、製品本来の使用、いわゆる「主」制御方法ではなく、どちらかというと補助的、オプション的な、いわゆる「副」次的使用方法を提供するものに過ぎず、勝手に持ち出された製品の使用を妨げたり、又、紛失した製品の探索を行うような制御機能を有するものでない為に、以前として製品の勝手な持ち出しによる被害を食い止めることが出来ていない。又、近年、情報の重要性が取り上げられていて、情報の保護という点でパスワードで使用者を限定する方式は優れた秘密保持手段であるが、パスワードが盗まれてしまえば、誰にでも使用できる。更に、情報の保護という点では優れたパスワードであっても、製品本体の保守性には余り効果が無い。すなわち、パスワード方式は個人情報保護には役立っても、製品の使用には無役である。このような観点から、紛失した電子機器の探知及び電子機器の不正使用防止を目的として、紛失した電子機器の探知方法であって、予め電子機器にデータ送受信可能なPHS回路を組み込んでおき、前記PHS回路を組み込んだ電子機器が紛失した場合には、前記PHS回路と電話会社との間のデータ通信を中継するPHS中継局であって、前記PHS回路から最短距離の位置にあるPHS中継局を特定することにより、紛失した電子機器の位置の絞り込みを行う、特に、PHS中継局に移動可能なPHS中継局を用い、紛失した電子機器に取り付けたPHSからの最短距離の位置にあるPHS中継局の特定を行う紛失した電子機器の探知方法が提案(特開2000−125023)されている。
又、携帯電話機が普及しており、この普及に伴なって、携帯電話機を何処かに置き忘れてしまうことが多くなっている。しかしながら、紛失した携帯電話機は出て来ることが少なく、紛失した場所すら判らず、探すにも探せないという問題、又、拾った人も誰の携帯電話機なのかが判らず、返すことが出来ないという問題がある。更には、拾った人がその携帯電話機を使用してしまい、携帯電話機の正当な保持者が思いもしなかった電話料金を請求されたりする問題も発生している。従って、紛失した電話機の番号を携帯電話会社に通知し、その携帯電話機の発着信を禁止する処置が採られている。このような観点から、文字メッセージを受信できる携帯電話機において、携帯電話機の動作モードとして、携帯電話機の全てのキー入力を許容する通常モードと、携帯電話機のキー入力を制限する置き忘れモードを設け、通常モードで動作中に受信した文字メッセージの形式が予め定められた形式と一致していると、携帯電話機の動作モードを通常モードから置き忘れモードに切り替え、携帯電話機が置き忘れモードの動作中は、予め定められたキーの入力を制限すると共に、予め携帯電話機に登録してある置き忘れ用電話番号以外への発呼を禁止することを特徴とする置き忘れ機能付き携帯電話機が提案(特開2002−44230)されている。
特開平8−265850号公報
特開平9−121384号公報
特開平10−98770号公報
特開2000−125023号公報
特開2002−44230号公報
ところで、特開平8−265850号公報に記載の技術では、携帯電話機の置忘れを防止できても、例えば盗難により紛失した携帯電話機を探し出すことは出来ない。
特開平9−121384号公報に記載の技術によれば、紛失した携帯電話機を探し出せそうである。しかしながら、PHS電話機が自身の位置情報を交換機(基地局)に送信できるとしても、PHS電話機の正確な位置を提供できるものでも無く、例えば100m範囲内と言ったようなPHS基地局の圏内にしか過ぎない。従って、このような広い圏内でPHS電話機を探すと言っても、これは、殆ど不可能に近いとも言える。尚、格別に正確な位置情報を提供できるようにする為には、PHS電話機自体のコストが大幅にアップする。従って、格別に正確な位置情報を提供できる手段をPHS電話機に備えさせるのは現実的では無い。
特開平10−98770号公報に記載の技術によれば、紛失した携帯電話機を探し出せそうである。しかしながら、上記特開平9−121384号公報の場合に指摘した問題と同様な問題が有り、現実には採用できない。
特開2000−125023号公報に記載の技術によれば、紛失した携帯電話機を探し出せそうである。しかしながら、紛失した携帯電話機の位置情報は交信した基地局の圏内で有ると言うに過ぎず、これでは探し出すことは現実には不可能な故に、移動可能な基地局を用いて紛失した携帯電話機の位置の絞込みを行おうとするものである。この技術によれば、固定基地局の圏内より更に位置の絞込みが出来るものの、紛失した1個の携帯電話機の値段と、移動可能な基地局の値段や移動可能な基地局を移動させることによる探索コストとを対比すると、紛失した携帯電話機を探すよりも買い換えた方が費用は格段に安いであろうことを実感でき、この技術も、到底に、実現されるものではないであろうと確信される。
特開2002−44230号公報に記載の技術によれば、紛失した携帯電話機を探し出すことは出来ない。
従って、本発明が解決しようとする課題は、探索コストが低廉で、現実に実施可能な紛失した携帯電話機を探索できる技術を提供することである。
前記の課題は、携帯電話機と基地局とを備えた携帯電話システムにおける紛失した携帯電話機の探索システムであって、
前記基地局は、
前記紛失した携帯電話機に対して該基地局が送信している無線出力を低下させる無線出力低下手段を有する
ことを特徴とする携帯電話機の探索システムによって解決される。
特に、携帯電話機と基地局とを備えた携帯電話システムにおける紛失した携帯電話機の探索システムであって、
前記基地局は、
前記紛失した携帯電話機に対して該基地局が送信している無線出力を低下させる無線出力低下手段と、
紛失した携帯電話機に対して送信している該基地局の識別情報を変更する識別情報変更手段
とを有することを特徴とする携帯電話機の探索システムによって解決される。
尚、基地局は携帯電話機の現状情報を記憶するユーザ情報記憶手段を有しており、掛って来た携帯電話機が紛失した携帯電話機であるのか否かのチェックが可能なようになっていることが好ましい。
又、前記の課題は、携帯電話機と基地局とを備えた携帯電話システムにおける紛失した携帯電話機を探索する方法であって、
前記紛失した携帯電話機から基地局に情報の送信が行われる情報送信ステップと、
前記情報送信ステップを経て受信した情報を基にして、基地局は、該携帯電話機が紛失した携帯電話機に該当するか否かの検索を行う検索ステップと、
前記検索ステップにおいて、紛失した携帯電話機に該当することが判明した場合、該携帯電話機に対して該基地局が送信している無線出力を低下させる出力低下ステップ
とを有することを特徴とする携帯電話機を探索する方法によって解決される。
特に、携帯電話機と基地局とを備えた携帯電話システムにおける紛失した携帯電話機を探索する方法であって、
前記紛失した携帯電話機から基地局に情報の送信が行われる情報送信ステップと、
前記情報送信ステップを経て受信した情報を基にして、基地局は、該携帯電話機が紛失した携帯電話機に該当するか否かの検索を行う検索ステップと、
前記検索ステップにおいて、紛失した携帯電話機に該当することが判明した場合、該携帯電話機に対して該基地局が送信している無線出力を低下させる出力低下ステップと、
前記検索ステップにおいて、紛失した携帯電話機に該当することが判明した場合、該携帯電話機に対して該基地局が送信している該基地局の識別情報を変更する識別情報変更ステップ
とを有することを特徴とする携帯電話機を探索する方法によって解決される。
本発明によれば、紛失した携帯電話機を拾った者が使用しようとすると、先ず、携帯電話機よりの発信が行われる。この発信を基地局が受信すると、その基地局は、予め届けられている紛失した携帯電話機であるか否かの検索が行われる。そして、紛失した携帯電話機であることが判明すると、基地局は、無線出力を低下させる。
基地局からの出力が低下すると、交信している紛失携帯電話機は圏外状態となるから、該基地局と交信しようとして近づくか、他の基地局と交信しようとして遠ざかるようになる。そして、当初より交信している基地局に近づいて来たならば、基地局は更に出力を低下する。これを何回か繰り返すと、紛失した携帯電話機の使用者(保持者)は、益々、基地局に近づいて来る。従って、ある程度の範囲まで狭まった時点で、基地局は、該携帯電話機に対して警報音などが発されるような信号を送信してやれば、該携帯電話機より警報音が発せられる。この時、本来の所有者あるいは関係者が近くにいることから、簡単に、紛失した携帯電話機を発見できる。すなわち、交信している携帯電話機に対する無線出力を下げれば、該紛失携帯電話機の使用者は交信を続けようとするならば、基地局の近くまで行かざるを得ないことから、紛失した携帯電話機の発見が容易になる。
尚、紛失携帯電話機の使用者が基地局に近づくことがなければ、その紛失携帯電話機を発見することは出来ないものの、そうするならば該使用者は該紛失携帯電話機を使っての交信が出来ないことから、何時の日かには基地局に近づくことになり、その時点で紛失携帯電話機が発見されることになる。
尚、該携帯電話機に対して該基地局が送信している無線出力が低下すると、その基地局を介して交信している全ての携帯電話機が影響を受ける。この時、紛失携帯電話機以外の携帯電話機に対しては該基地局の識別コードが変更されていなければ、ハンドオーバーにて他の基地局と交信し、通話が継続できるから、無線出力の低下による悪影響は大きくない。
この時、紛失携帯電話機も同様なハンドオーバーにて他の基地局に移る恐れが有る。そして、ハンドオーバーして他の基地局に移ってしまったならば、また一からのやり直しになるので、出来れば、他の基地局に移ることが無いようにすることが好ましい。そして、そうする為には、現在、交信している基地局が他の基地局であると思わせるようにすれば良い。すなわち、紛失した携帯電話機に該当することが判明した場合、該携帯電話機に対して該基地局が送信している無線出力を低下させるだけでは無く、その時、該携帯電話機に対して該基地局が送信している該基地局の識別情報を変更するようにすれば良いのである。
図1〜図3は本発明になる携帯電話機の探索システムを示すもので、図1は携帯電話機の概略図、図2は基地局の概略図、図3は探索を説明する図である。
各図中、Aは携帯電話機である。この携帯電話機Aは、無線部1と、変復調部2と、周辺制御回路3と、スピーカ4と、受話部5と、送話部6と、表示部7と、入力部8と、CPU9と、ROM10と、RAM11とを有する。
ここで、無線部1は、基地局Bからの無線を受信するものである。又、無線部1は、変復調部2にて変調されたデータを送信するものである。変復調部2は、無線部1が受信したデータを復調するものである。又、変復調部2は、周辺制御回路3から送信されて来たデータを変調するものである。周辺制御回路3は、変復調部2で復調された無線部1が受信した無線をデータとしてCPU9に伝達する。そして、CPU9からの要求により、送信するデータを変復調部2に伝達する。又、CPU9からの要求により、着信音などを鳴動するデータをスピーカ4に伝達する。スピーカ4は、周辺制御回路3からの要求により着信音を鳴動するものである。受話部5は、周辺制御回路3からの要求により周辺制御回路3にてデコードされた無線部1が受信し変復調部2で復調したデータを鳴動するものである。送話部6は、利用者(ユーザ)などからの音声を拾い、周辺制御回路3に伝達するものである。表示部7は、周辺制御回路3からの要求により携帯電話機Aの状態やユーザの操作内容を表示するものである。入力部8は、ユーザからのキー操作内容を受付け、周辺制御回路3に入力するものである。ROM10は、CPU9が実行するプログラムや固定データなどを格納するものである。RAM11は、CPU9が実行するプログラムの状態などを保持するものである。
CPU9は、周辺制御回路3から伝達された内容をROM10に格納されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムに従って処理を実行するものである。そして、実行状態などをRAM11に格納し、処理としてデータを送信するよう周辺制御回路3に対して指示する。尚、携帯電話機Aの状態が置き忘れ・盗難などの紛失モードである場合、CPU9は、基地局Bからの無線を受信できる環境であっても、表示上および操作上では、圏外状態として動作する。尚、内部では、圏内状態して基地局Bからの無線を処理する。基地局Bからの無線が途切れた場合、携帯電話機Aは新しい基地局Cを探し、探し出した新しい基地局が新しい基地局Cであれば、位置登録を行い、待ち受ける。この時も、引き続き、表面上および操作上は圏外状態として動作する。基地局から着信を受けた場合、スピーカを介して鳴動するが、携帯電話機の状態に関わらず鳴動を継続する。通常であれば、入力部からのキー入力の伝達で、鳴動を停止し、通話に入るが、CPU9は、携帯電話機Aの状態が紛失モードである場合、入力部8からのキー入力を無視するようになっている。
Bは基地局である。この基地局Bは、無線部21と、変復調部22と、周辺制御回路23と、ユーザ情報部24と、入力手段(キーボード)25と、CPU26と、ROM27と、RAM28とを有する。
無線部21は、携帯電話機Aからの無線を受信して変復調部22に受け渡すものである。又、無線部21は、周辺制御回路23からの指示により、変復調部22が変調したデータを送信するものである。変復調部22は、無線部21が受信したデータを復調するものである。又、変復調部22は、復調したデータを周辺制御回路23に受け渡すものである。又、周辺制御回路23からの指示により送信するデータの変調を行い、無線部21に受け渡すものである。ユーザ情報部24は、携帯電話システムに加入しているユーザに関する状態を保持しており、ユーザから置き忘れ・盗難の申告があった場合に、該当ユーザの状態を紛失(置き忘れ・盗難)モードとして保持するものである。周辺制御回路23は、変復調部22が復調したデータをCPU26へ受け渡すものである。又、CPU26からの要求により送信するデータを変調するように変復調部22に指示する。キーボード等の入力手段25は、ユーザの申告内容を基にしてオペレータがユーザの情報の入力を受け付け、CPU26へ受け渡すものである。ROM27は、CPU26が実行するプログラムや固定データを格納するものである。RAM28は、CPU26が実行するプログラムの状態などを保持する。
CPU26は、周辺制御回路23から渡された変復調部22が復調したデータを処理し、必要に応じてデータを送信するよう周辺制御回路23に対して要求し、入力手段25から入力されたユーザの情報をユーザ情報部24に蓄積し、携帯電話機Aからの発信要求・位置登録要求・携帯電話装置に対する着信要求を処理する。
携帯電話機Aから位置登録要求が発生した場合、CPU26は、位置登録を要求した携帯電話機Aの状態を確認する。ここで、通常状態の場合は、位置登録を受付けて終了する。位置登録を要求した携帯電話機Aの状態が紛失モードの場合、基地局Bは、基地局Bが送信している無線の出力を弱め、かつ、基地局Bを識別する識別コードを変更する。
そして、CPU26からの指示により、無線の出力が弱められ、かつ、基地局Bを識別するコードが変更されると、その基地局Bで待ち受けている携帯電話機Aが、再度、位置登録を要求するようになる。
ここで、紛失モードの携帯電話機Aの位置が特定できる狭い範囲まで無線の出力を下げた場合、CPU26は、紛失モードの携帯電話機Aに対して着信操作を行い、大きな報知音を紛失モードの携帯電話機Aから発生させる。これにより、狭い範囲内で特定(紛失モード)の報知音が大きく鳴るから、紛失モードの携帯電話機Aがそこに在ることを発見することになる。
尚、紛失モードの携帯電話機Aが、無線の出力を下げた基地局Bに対して一定時間内に位置登録要求を行わない場合、基地局Bは下げた無線の出力を通常の状態まで戻す。
そして、無線の出力を下げると、その基地局Bを介して交信している他の携帯電話機に対しても影響を与える。しかしながら、基地局Bは無線の出力を少しずつ下げる為、通話をしている他の携帯電話機は、無線の受信レベルの低下からハンドオーバーにて新しい基地局に移り、通話を継続できる。従って、紛失モードにない携帯電話機には問題が起きない。
すなわち、CPU26は、ユーザ情報部24を用いて携帯電話機が紛失モードに在るものか否かを調べた後、紛失モードに在る特定の携帯電話機Aに対しては、ユーザからの通話開始の為などのキー操作を抑制し、そして基地局識別コードを変更すると共に無線出力を低減し、これにより再度の位置登録要求を行わせ、これを何回か行なわせることによって、紛失モードの携帯電話機を狭い領域内に位置させることが出来、紛失モードの携帯電話機の場所の特定が出来るようになり、発見が容易に出来るものとなる。
このことは図3によって理解される。図3は基地局の動作を説明するものである。先ず、キーボード25によって特定の携帯電話機Aが紛失した状態(紛失モード)にある旨の情報が入力されて、基地局Bのユーザ情報部24には携帯電話機Aの紛失モードの情報が登録されている。この状態で、基地局Bが携帯電話機Aからの位置登録要求を受け付けると、CPU26は、位置登録を要求した携帯電話機Aに関する情報をユーザ情報部24から読み出す。そして、位置登録要求した携帯電話機Aの状態を取得する。位置登録要求を行った携帯電話機Aの状態が通常状態の場合は、基地局Bは、特別、何もせず、処理を継続する。位置登録要求を行った携帯電話機Aが紛失モードに在る場合、CPU26は基地局Bが送信している無線の出力を一段階下げると共に、基地局Bを識別する識別コードを変更する。基地局Bが送信している無線の出力を一段階下げた後に、紛失モードの携帯電話機Aが、再度、位置登録を要求して来た場合、基地局Bが送信している無線の出力を更に一段階下げ、かつ、基地局Bを識別する識別コードを変更する。この動作を紛失モードの携帯電話機Aの場所が特定できるまで繰り返し行う。尚、図3では、簡単にする為、2回の繰り返しで特定できる場合で示している。そして、携帯電話機Aの場所の特定が可能なまで基地局Bからの無線の出力が低下させられた後、紛失モードの携帯電話機Aが位置登録を要求して来た時、基地局Bは紛失モードの携帯電話機Aに対して着信を仕掛けるのである。一方、基地局Bが無線の出力を変更してから一定時間内に紛失モードの携帯電話機Aが新たな位置登録要求を行わない場合には、基地局Bは下げた無線の出力を元の状態まで戻す。
ところで、上記基地局Bに対して紛失モードに在る携帯電話機Aの側からすると次のようになる。正当な保持者(ユーザ)などによって、携帯電話機Aは紛失モードに在ることが設定されると、該携帯電話機Aは、電話帳・発信履歴・着信履歴・メールなどのユーザ情報が登録されていても登録が無いように振る舞い、現在の保持者(非正当な保持者)に対して正当な保持者が登録しているユーザデータの観覧を抑制する。そして、紛失モードに設定された携帯電話機Aは、基地局Bからの無線を通常の状態と同様に受信するが、圏外に位置しているかのように振舞い、現在の保持者から発信要求を圏外の扱いで拒み、又、着信においては、紛失モードの携帯電話機Aを見つけ出す以外の着信は全て拒む。携帯電話機Aは、表面上は、圏外となっているが、基地局Bからの無線は通常の状態と同様に受信し続ける。移動などにより位置登録する基地局が変更となった場合は、通常通りに位置登録を行うが、この位置登録により、基地局は位置登録した携帯電話機が紛失モードの携帯電話機Aか否かを判断する。この判断にて、基地局Bが紛失モードの携帯電話機Aであると判断された場合、基地局Bは基地局Bから送信する無線の出力を下げると共に基地局Bを識別する識別コードを変更する。この基地局Bの無線の出力を下げることと、基地局を識別する識別コードを変更することとで、携帯電話機Aは新たな基地局を探し出し、位置登録することになる。紛失モードの携帯電話機Aが、無線の出力が低下すると共に基地局を識別する識別コードが変更された基地局に対して、再度、位置登録を行った時、その携帯電話機Aは基地局Bに更に近づいたことを意味する。基地局Bが無線の出力を下げる共に基地局を識別する識別コードを変更することで、携帯電話機Aは位置登録を繰り返すことになるが、無線の出力を下げ続けることにより、紛失モードの携帯電話機Aが位置している場所が狭まって(限られて)来る。携帯電話機Aが位置している場所が特定可能な所まで無線出力を下げた基地局Bは、紛失モードの携帯電話機Aに対して着信を入れる。この着信を受信した紛失モードの携帯電話機Aは、受信した着信の信号によって、通常の着信か、紛失モードの携帯電話機Aを発見するの為の着信かを識別し、通常の着信の場合はその着信を拒み、紛失モードの携帯電話機A発見の為の着信の場合は、携帯電話機Aの設定状態(マナーモードや無音鳴動などの設定)に拘わらず、最大音量で鳴動を行う。現在の保有者は、そのような鳴動を停止する為に、キーを押下して鳴動の停止を試みるものの、紛失モードの携帯電話機Aはこれを拒むようになっているので、鳴動を続ける。そして、この鳴動により、紛失モードの携帯電話機Aの発見が可能となる。尚、無線の出力を下げた基地局Bに対して、一定時間内に紛失モードの携帯電話機Aが位置登録を行わない場合、基地局Bは無線出力を通常の出力まで復旧し、通常の処理を継続する。そして、無線の出力を下げた基地局Bに対して、紛失モードの携帯電話機Aが、再度、位置登録を行うとは限らないものの、新たな基地局で同様に繰り返されることで、紛失モードの携帯電話機Aの場所が特定され、発見できるようになる。
尚、上記の例では、紛失モードの携帯電話機Aが無線の出力を下げた基地局Bに対して一定時間以内に位置登録を行わない場合は、基地局Bからの無線の出力を通常に戻すとしている。ところで、無線の出力を下げることは、基地局がカバーするエリアを狭めることになり、他のユーザに対して影響を与えることになる。そこで、無線の出力を下げた基地局B以外に紛失モードの携帯電話機Aが位置登録された場合には、この新たに位置登録された基地局から出力を下げた前の基地局Bに対して紛失モードの携帯電話機Aが位置登録されたことを通知するようにしておけば、無線の出力を下げた基地局Bは一定時間を待つこと無く、基地局Bの無線の出力を通常の出力まで速やかに戻すことが出来るようになる。