JP2005294042A - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可視光域で無色透明であって、光電変換効率に優れ、また意匠性にも優れた光電変換素子及び該光電変換素子を簡単なプロセスで効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】基体411に薄膜電極412が形成された第1の電極基板40上に、チタン酸化物からなる薄膜413、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜414を積層してなる積層体41と、基体に薄膜電極412が形成された第2の電極基板42とで、電解液45を挟持してなる光電変換素子であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上であり、クロマティクネス指数a*及びb*が((a*)2+(b*)2)1/2<5を満たす無色透明の光電変換素子である。
【選択図】図4
【解決手段】基体411に薄膜電極412が形成された第1の電極基板40上に、チタン酸化物からなる薄膜413、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜414を積層してなる積層体41と、基体に薄膜電極412が形成された第2の電極基板42とで、電解液45を挟持してなる光電変換素子であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上であり、クロマティクネス指数a*及びb*が((a*)2+(b*)2)1/2<5を満たす無色透明の光電変換素子である。
【選択図】図4
Description
本発明は、ポルフィリン誘導体を光励起電子供与体として用いる光電変換素子及びその製造方法に関する。
光を電気に変換する素子としては、有機材料、無機材料を用いた各種の構成を有する素子が知られており、特にエネルギーを供給するとの観点から、シリコンを用いた太陽電池が実用化されている。一方、製造コストの面や環境の観点から有機材料を用いた、いわゆる、色素増感型太陽電池も広く研究されており、色素増感型太陽電池としては、グレッツェルらの報告を挙げることができる(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、このグレッツェル型色素増感型太陽電池は、ルテニウム色素を使用するために、製造コストが高く、また材料供給の安定性の点で問題がある。さらに可視光域で無色透明でないために、使用場所が限定されるという問題もある。
しかしながら、このグレッツェル型色素増感型太陽電池は、ルテニウム色素を使用するために、製造コストが高く、また材料供給の安定性の点で問題がある。さらに可視光域で無色透明でないために、使用場所が限定されるという問題もある。
一方、色素増感型太陽電池を構成する構造としては、その他種々のものが提案されており、その中のひとつとして、透明電極上に電子ドナーと電子アクセプターの二元系を配したものが知られている。特に電子ドナーとしてポルフィリン誘導体を用い、電子アクセプターとしてフラーレン誘導体を用いた系が、有望なものとして提案されており、フラーレン誘導体を用いない系と比較して、10〜30倍の光電流発生の量子収率が得られるという報告もなされている(特許文献、表1参照)。しかしながら、特許文献1に開示される系では、フラーレン誘導体とポルフィリン誘導体の両者を含む二元化合物をあらかじめ合成する必要があり、その工程は煩雑である。
これに対し、フラーレン誘導体をカリックスアレーンで包接することにより、フラーレン部位とポルフィリン部位を、個別に素子状に形成する方法が提案されている(特許文献2、特許請求の範囲参照)。しかしながら、特許文献2に開示される系では、電子ドナーと電子アクセプターを連結させた分子を合成する必要はないものの、カリックスアレーンといった高価な原料を用いるために量産には適していない。
本発明者の一人は、上記問題点を解決するものとして、インジウムスズ酸化物(以下「ITO」という)を電極とし、その上に電子ドナーとしてポルフィリン誘導体を用いることで無色透明な光電変換素子を得、さらに電子アクセプターとして、フラーレン誘導体をチタニアの酸化物で結合した複合体を配した素子によって、高効率の素子となることを見出した(非特許文献2参照)。
これに対し、フラーレン誘導体をカリックスアレーンで包接することにより、フラーレン部位とポルフィリン部位を、個別に素子状に形成する方法が提案されている(特許文献2、特許請求の範囲参照)。しかしながら、特許文献2に開示される系では、電子ドナーと電子アクセプターを連結させた分子を合成する必要はないものの、カリックスアレーンといった高価な原料を用いるために量産には適していない。
本発明者の一人は、上記問題点を解決するものとして、インジウムスズ酸化物(以下「ITO」という)を電極とし、その上に電子ドナーとしてポルフィリン誘導体を用いることで無色透明な光電変換素子を得、さらに電子アクセプターとして、フラーレン誘導体をチタニアの酸化物で結合した複合体を配した素子によって、高効率の素子となることを見出した(非特許文献2参照)。
本発明は、上記非特許文献2に開示される技術を応用して、光電変換素子を得るものであり、可視光域で無色透明であって、光電変換効率に優れ、また意匠性にも優れた光電変換素子及びより簡単なプロセスで効率よく該光電変換素子を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基体に薄膜電極が形成された電極基板上に、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層してなる積層体と、基体に薄膜電極が形成された他の電極基板とで電解液を挟持した光電変換素子、好ましくは電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を有する無色透明の光電変換素子が、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基体に薄膜電極が形成された第1の電極基板上に、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜を積層してなる積層体と、基体に薄膜電極が形成された第2の電極基板とで、電解液を挟持してなる光電変換素子であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上であり、クロマティクネス指数a*及びb*が下記式(I)を満たす無色透明の光電変換素子、
(2)前記チタン酸化物からなる薄膜の膜厚が、1〜10nmである上記(1)に記載の光電変換素子、
(3)第1の電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、さらにフラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を有する上記(1)又は(2)に記載の光電変換素子、
(4)前記フラーレン誘導体の修飾部位の炭素数が、2〜20である上記(3)に記載の光電変換素子、
(5)前記アルカンチオール誘導体が、炭素数2〜20の直鎖状炭化水素部位を有し、前記フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜は、該直鎖状炭化水素部位を介して、前記第1の電極に接合する上記(3)又は(4)に記載の光電変換素子、
(6)前記チタン酸化物からなる薄膜とポルフィリン誘導体からなる薄膜の積層の繰り返し数が1〜100である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換素子、
(7)一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が75%以上である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子、
(8)前記電解液が水系である上記(7)に記載の光電変換素子、
(9)基体に電極材料を成膜した第1の電極基板上に、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層し、ポルフィリン誘導体からなる薄膜との間に空間部を設けるように、基体に電極材料を成膜した第2の電極基板を配し、該空間部に電子メディエータを含有する電解液を注入する光電変換素子の製造方法であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上である光電変換素子の製造方法、
(10)チタン酸化物からなる薄膜の厚みを1〜10nmとする上記(9)に記載の光電変換素子の製造方法、
(11)第1の電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、さらにフラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を積層させる上記(9)又は(10)に記載の光電変換素子の製造方法、
(12)アルカンチオール誘導体として炭素数2〜20の直鎖状炭化水素部位を有するものを用い、該直鎖状炭化水素部位とチタン酸化物を結合させる上記(11)に記載の光電変換素子の製造方法、
(13)チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層させる工程を、1〜100回繰り返す上記(9)〜(12)のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法、及び
(14)電解液として水系のものを用いる上記(9)〜(13)のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(1)基体に薄膜電極が形成された第1の電極基板上に、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜を積層してなる積層体と、基体に薄膜電極が形成された第2の電極基板とで、電解液を挟持してなる光電変換素子であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上であり、クロマティクネス指数a*及びb*が下記式(I)を満たす無色透明の光電変換素子、
(3)第1の電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、さらにフラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を有する上記(1)又は(2)に記載の光電変換素子、
(4)前記フラーレン誘導体の修飾部位の炭素数が、2〜20である上記(3)に記載の光電変換素子、
(5)前記アルカンチオール誘導体が、炭素数2〜20の直鎖状炭化水素部位を有し、前記フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜は、該直鎖状炭化水素部位を介して、前記第1の電極に接合する上記(3)又は(4)に記載の光電変換素子、
(6)前記チタン酸化物からなる薄膜とポルフィリン誘導体からなる薄膜の積層の繰り返し数が1〜100である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換素子、
(7)一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が75%以上である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子、
(8)前記電解液が水系である上記(7)に記載の光電変換素子、
(9)基体に電極材料を成膜した第1の電極基板上に、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層し、ポルフィリン誘導体からなる薄膜との間に空間部を設けるように、基体に電極材料を成膜した第2の電極基板を配し、該空間部に電子メディエータを含有する電解液を注入する光電変換素子の製造方法であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上である光電変換素子の製造方法、
(10)チタン酸化物からなる薄膜の厚みを1〜10nmとする上記(9)に記載の光電変換素子の製造方法、
(11)第1の電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、さらにフラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を積層させる上記(9)又は(10)に記載の光電変換素子の製造方法、
(12)アルカンチオール誘導体として炭素数2〜20の直鎖状炭化水素部位を有するものを用い、該直鎖状炭化水素部位とチタン酸化物を結合させる上記(11)に記載の光電変換素子の製造方法、
(13)チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層させる工程を、1〜100回繰り返す上記(9)〜(12)のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法、及び
(14)電解液として水系のものを用いる上記(9)〜(13)のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、可視光域で無色透明であって、光電変換効率に優れ、また意匠性にも優れた光電変換素子が得られ、また簡単なプロセスで効率よく該光電変換素子を製造する方法が得られる。
本発明の光電変換素子の基本的構成について、図1を用いて以下詳細に説明する。なお、図1に示す構成は本発明の一例であり、本発明は図1に示される構成に限定されるものではない。
基体111上に薄膜電極112が形成された第1の電極基板10上に、チタン酸化物からなる薄膜113、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜114が積層され、積層体11が構成される。該積層体11に対向する形で、基体121上に薄膜電極122が形成された第2の電極基板12が配され、積層体11と第2の電極基板12の間に、電解液15を充填した構成をとる。該素子を電池として使用する場合には、通常引き出し電極等により外部の負荷18と接続できるように構成される。
基体111上に薄膜電極112が形成された第1の電極基板10上に、チタン酸化物からなる薄膜113、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜114が積層され、積層体11が構成される。該積層体11に対向する形で、基体121上に薄膜電極122が形成された第2の電極基板12が配され、積層体11と第2の電極基板12の間に、電解液15を充填した構成をとる。該素子を電池として使用する場合には、通常引き出し電極等により外部の負荷18と接続できるように構成される。
ここで、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上であることを必須とする。このことによって、ポルフィリン誘導体を、光励起できる波長域に対して50%以上の透過率を持たせることが可能となり、本発明の効果を達成できる。
また、本発明の光電変換素子は、クロマティクネス指数a*及びb*が下記式(I)を満たし、無色透明であって、意匠性の高い光電変換素子である。以下、(a*)2+(b*)2の平方根の値を「色度」と表現する。本発明では色度が5未満であり、さらには3未満であることが好ましい。
また、本発明の光電変換素子は、クロマティクネス指数a*及びb*が下記式(I)を満たし、無色透明であって、意匠性の高い光電変換素子である。以下、(a*)2+(b*)2の平方根の値を「色度」と表現する。本発明では色度が5未満であり、さらには3未満であることが好ましい。
ここで、クロマティクネス指数a*及びb*は、JIS Z 8729に準拠して測定及び計算されたものをいい、次のようにして行う。
(クロマティクネス指数a*及びb*の測定・計算方法)
(1)透過率の測定;分光光度計などで波長380〜780nmの光の分光透過率τ(λ)を測定する。
(2)三刺激値XYZの計算;分光透過率から以下の式によって、三刺激値XYZをそれぞれ計算する。
(クロマティクネス指数a*及びb*の測定・計算方法)
(1)透過率の測定;分光光度計などで波長380〜780nmの光の分光透過率τ(λ)を測定する。
(2)三刺激値XYZの計算;分光透過率から以下の式によって、三刺激値XYZをそれぞれ計算する。
なお、本発明においては、分光透過率として波長5nmごとの値を用いたため、dλは5である。
(3)クロマティクネス指数a*及びb*の計算;以下の計算式により求める。ここで、Xn、Yn、及びZnは完全拡散反射面のXYZ系における三刺激値である。
(3)クロマティクネス指数a*及びb*の計算;以下の計算式により求める。ここで、Xn、Yn、及びZnは完全拡散反射面のXYZ系における三刺激値である。
上記透過率を達成するためには、少なくとも第1の電極基板10を構成する基体111及び薄膜電極112が透明であるか、または第2の電極基板12を構成する基体121及び薄膜電極122が透明であることを必要とする。透明な基体としては、ガラス板、樹脂板など種々のものが挙げられる。該基体の厚さは特に制限されないが、取り扱いやすさ、光電変換素子の軽量化等を考慮すると、0.1〜20mm程度であることが好ましい。また、薄膜電極を構成する透明電極も特に制限されるものではなく、透明電極として周知であるITO又は酸化スズが好適に使用できる。
基体111及び基体121上に薄膜電極を形成する方法としては、特に限定されず、従来用いられる化学的蒸着法(CVD)や物理的蒸着法(PVD)など公知の方法を用いることができ、例えばスパッタリング法等を好適に使用することができる。
基体111及び基体121上に薄膜電極を形成する方法としては、特に限定されず、従来用いられる化学的蒸着法(CVD)や物理的蒸着法(PVD)など公知の方法を用いることができ、例えばスパッタリング法等を好適に使用することができる。
第1の電極基板10と第2の電極基板12は、いずれかが透明で、波長380〜780nmの可視光の透過率が70%以上であればよいが、両者が透明であると、窓ガラスとして好適に用い得るため好ましい。また、第1の電極基板10と第2の電極基板12は、同一であっても異なってもよいが、光電変換素子の生産効率の観点からは、同一のものを用いることが好ましい。
図1に示した構成の素子では、基板111又は基板121を透過して素子中に照射された光エネルギーを、ポルフィリン誘導体からなる薄膜114が吸収し、これにより、ポルフィリン誘導体中の電子が励起される。励起された電子は、まず、チタン酸化物からなる薄膜113に移動し、その後、第1の電極10を構成する電極112に移動する。このとき、電極112と第2の電極基板12を構成する電極122とが外部で閉回路を形成していれば、電流を取り出すことができる。
図1に示した構成の素子では、基板111又は基板121を透過して素子中に照射された光エネルギーを、ポルフィリン誘導体からなる薄膜114が吸収し、これにより、ポルフィリン誘導体中の電子が励起される。励起された電子は、まず、チタン酸化物からなる薄膜113に移動し、その後、第1の電極10を構成する電極112に移動する。このとき、電極112と第2の電極基板12を構成する電極122とが外部で閉回路を形成していれば、電流を取り出すことができる。
本発明の光電変換素子における、チタン酸化物からなる薄膜113の膜厚は、1〜10nmであることが好ましい。該膜厚が1nm以上であるとピンホールが認められることがなく、10nm以下であると、電極−ポルフィリン誘導体間の電子の流れがスムーズになる。
チタン酸化物からなる薄膜113を成膜するための原料としては特に制限はないが、容易で緻密な膜を成膜し得ることから、チタンのアルコキシドを使用することが好ましい。チタンのアルコキシドは、溶媒に溶解して使用しても、またそのまま使用してもよい。溶媒に溶解して使用する場合、溶媒としては芳香族系化合物、アルコールなどを用いることが好ましく、この場合のチタンアルコキシドの濃度は、10mmol/L〜10mol/Lであることが好ましく、さらには、100mmol/L〜1mol/Lの範囲が好ましい。
チタン酸化物からなる薄膜の製造方法としては、特に制限されず、チタンのアルコキシド溶液に電極基板を浸漬させる方法、該溶液を塗布する方法等があるが、作業性等を考慮すると浸漬法が好ましい。
チタン酸化物からなる薄膜113を成膜するための原料としては特に制限はないが、容易で緻密な膜を成膜し得ることから、チタンのアルコキシドを使用することが好ましい。チタンのアルコキシドは、溶媒に溶解して使用しても、またそのまま使用してもよい。溶媒に溶解して使用する場合、溶媒としては芳香族系化合物、アルコールなどを用いることが好ましく、この場合のチタンアルコキシドの濃度は、10mmol/L〜10mol/Lであることが好ましく、さらには、100mmol/L〜1mol/Lの範囲が好ましい。
チタン酸化物からなる薄膜の製造方法としては、特に制限されず、チタンのアルコキシド溶液に電極基板を浸漬させる方法、該溶液を塗布する方法等があるが、作業性等を考慮すると浸漬法が好ましい。
次に、ポルフィリン誘導体からなる薄膜114は、光増感剤として知られるポルフィリン誘導体によって構成されるもので、可視光を有効に吸収して、他の物質に電子、正孔を移動させる化合物である。ここでポルフィリン誘導体とは、ポルフィリン骨格を有する化合物を指し、例えば、ポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、ピケットフェンスポルフィリン、エチオポルフィリン、ポルフィリンの金属錯体などが挙げられる。
本発明で用いられるポルフィリン誘導体の原料としては、カルボキシル基またはヒドロキシル基を有することが好ましく、テトラカルボキシフェニルポルフィリンが特に好適に用いられる。また、ポルフィリン誘導体の薄膜を成膜する際の溶媒としては、種々のものが挙げられるが、芳香族やアルコールが好適であり、取り扱いの安全性や価格の面からエタノールのような低級アルコールが特に好適に用いられる。
ポルフィリン誘導体を溶媒に溶かしたときの濃度については、膜厚に応じて適宜選定することができ、例えば単分子膜を形成する場合には、1〜20mmol/Lの範囲が好適である。
また、ポルフィリン誘導体からなる薄膜114の厚さとしては、本発明の効果を奏する範囲で特に制限はないが、1〜10nmであることが好ましい。1nm以上であると、ピンホールがなくなり、10nmを超えても光電変換効率の向上はそれ以上認められない。
ポルフィリン誘導体からなる薄膜の製造方法としては、特に制限されず、ポルフィリン誘導体の溶液に、チタン酸化物からなる薄膜が設けられた電極基板を浸漬させる方法、該溶液を塗布する方法等があるが、作業性等を考慮すると浸漬法が好ましい。
本発明で用いられるポルフィリン誘導体の原料としては、カルボキシル基またはヒドロキシル基を有することが好ましく、テトラカルボキシフェニルポルフィリンが特に好適に用いられる。また、ポルフィリン誘導体の薄膜を成膜する際の溶媒としては、種々のものが挙げられるが、芳香族やアルコールが好適であり、取り扱いの安全性や価格の面からエタノールのような低級アルコールが特に好適に用いられる。
ポルフィリン誘導体を溶媒に溶かしたときの濃度については、膜厚に応じて適宜選定することができ、例えば単分子膜を形成する場合には、1〜20mmol/Lの範囲が好適である。
また、ポルフィリン誘導体からなる薄膜114の厚さとしては、本発明の効果を奏する範囲で特に制限はないが、1〜10nmであることが好ましい。1nm以上であると、ピンホールがなくなり、10nmを超えても光電変換効率の向上はそれ以上認められない。
ポルフィリン誘導体からなる薄膜の製造方法としては、特に制限されず、ポルフィリン誘導体の溶液に、チタン酸化物からなる薄膜が設けられた電極基板を浸漬させる方法、該溶液を塗布する方法等があるが、作業性等を考慮すると浸漬法が好ましい。
本発明の光電変換素子で用いる電解液15としては特に制限はなく、水系のもの、有機溶媒系のもの等が使用可能であるが、電極基板10及び12の接着面等からの揮発蒸発することがなく、透明であり、また無害であって、取り扱いやすいという点から水系であることが好ましい。
本発明で用いる電解液中には、電子メディエータを含むことが好ましい。電子メディエータとは、溶液中の酸化還元物質と電極との間の電子移動を仲介する物質であり、電解液中に溶存する酸素、ビオローゲン類、アミン類、フラーレン類、キノン類、アスコルビン酸類などが挙げられる。本発明において、電子メディエータの濃度は、1〜500mmol/Lが好ましい。1mmol/L以上であると、十分な発電量の増加が得られ、500mmol/L以下であると、副反応が生じることがない。
なお、本発明においては、上述のように、電解液として透明のものが使用でき、また電子メディエータも同様に、透明のものが使用できることから、透明な光電変換素子を製造することができる。
本発明で用いる電解液中には、電子メディエータを含むことが好ましい。電子メディエータとは、溶液中の酸化還元物質と電極との間の電子移動を仲介する物質であり、電解液中に溶存する酸素、ビオローゲン類、アミン類、フラーレン類、キノン類、アスコルビン酸類などが挙げられる。本発明において、電子メディエータの濃度は、1〜500mmol/Lが好ましい。1mmol/L以上であると、十分な発電量の増加が得られ、500mmol/L以下であると、副反応が生じることがない。
なお、本発明においては、上述のように、電解液として透明のものが使用でき、また電子メディエータも同様に、透明のものが使用できることから、透明な光電変換素子を製造することができる。
本発明の光電変換素子は、外周を樹脂等の接着剤171で封止される。該接着剤としては、封止が完全に行われることを条件に特に限定されず、例えばエポキシ系の接着剤等が好適に用いられる。
本発明の光電変換素子は、電流方向をより制御し、高効率を得るとの観点から、第1の電極基板と、チタン酸化物からなる薄膜の間に、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を有することが好ましい。以下、図4を用いて詳細に説明する。
図4に示される本発明の好ましい態様である光電変換素子は、第1の電極基板40とチタン酸化物からなる薄膜413の間に、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜49が設けられている。図4に示す構成では、フラーレン誘導体が電子を受け取り易いため、ポルフィリン誘導体からなる薄膜414に生じた励起電子は、チタン酸化物からなる薄膜413を経て、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜49に、速やかに移動し、薄膜電極412に供給される。
図4に示される本発明の好ましい態様である光電変換素子は、第1の電極基板40とチタン酸化物からなる薄膜413の間に、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜49が設けられている。図4に示す構成では、フラーレン誘導体が電子を受け取り易いため、ポルフィリン誘導体からなる薄膜414に生じた励起電子は、チタン酸化物からなる薄膜413を経て、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜49に、速やかに移動し、薄膜電極412に供給される。
本発明で使用可能なフラーレン誘導体を構成するフラーレンとしては、特に制限はなく、炭素原子の六員環20個を12個の五員環ができるように集めたサッカーボール状の形状を有しているC60フラーレンを初め、C70、C76、C78、C82等を使用することが可能である。本発明では、これらのうち合成の容易性等を考慮すると、C60フラーレンが好ましい。ここでフラーレン誘導体とは、フラーレンそのもの、もしくはこれを修飾した修飾部位を有するものを含む概念であり、修飾部位は主に薄膜電極412との結合に寄与するものである。従って、該修飾部位としては、薄膜電極412と結合し得るものであれば、特に制限されないが、チオールまたはジスルフィド基を有するものが、薄膜電極412との結合が容易に行われるため好ましい。
また、該修飾部位は、末端がチオールまたはジスルフィド基であるとともに、炭素数2〜20程度のメチレン鎖からなる基であることが好ましい。この程度の長さであると、ポルフィリン誘導体によって生じる励起電子の移動が容易に行えるからである。上記観点から、5〜20程度のメチレン鎖からなる基であることがさらに好ましい。
フラーレン誘導体を薄膜化する際の溶媒としては、特に制限はなく、例えば芳香族化合物が挙げられる。これらの芳香族化合物のうち、特にベンゼン、トルエン、キシレンが好適に用いられる。この際のフラーレン誘導体の濃度は、0.1〜500mmol/Lが好適である。
また、該修飾部位は、末端がチオールまたはジスルフィド基であるとともに、炭素数2〜20程度のメチレン鎖からなる基であることが好ましい。この程度の長さであると、ポルフィリン誘導体によって生じる励起電子の移動が容易に行えるからである。上記観点から、5〜20程度のメチレン鎖からなる基であることがさらに好ましい。
フラーレン誘導体を薄膜化する際の溶媒としては、特に制限はなく、例えば芳香族化合物が挙げられる。これらの芳香族化合物のうち、特にベンゼン、トルエン、キシレンが好適に用いられる。この際のフラーレン誘導体の濃度は、0.1〜500mmol/Lが好適である。
次に、フラーレン誘導体とチタン酸化物は結合しにくいので、薄膜49において、アルカンチオール誘導体をフラーレン誘導体と並存させることが好ましい。該アルカンチオール誘導体とチタン酸化物とを結合させることにより、チタン酸化物からなる薄膜413と第1の電極基板40は密着する。本発明で用いられるアルカンチオール誘導体は、チタン酸化物との結合を考慮すると、カルボキシル基を有する修飾部位を有することが好ましく、該修飾部位は、末端がカルボキシル基であるとともに、炭素数2〜20程度のメチレン鎖からなる基であることが好ましい。この程度の長さであると、ポルフィリン誘導体によって生じる励起電子の移動が容易に行えるからである。上記観点から、炭素数5〜20程度のメチレン鎖からなる基であることがさらに好ましい。
また、アルカンチオール誘導体の薄膜化に際し、アルカンチオール誘導体を溶解する溶媒として、芳香族化合物やアルコールが好適に挙げられ、特に低級アルコール類が好適である。なお、アルカンチオール誘導体の溶液中の濃度は0.1〜500mmol/Lが好ましい。
また、アルカンチオール誘導体の薄膜化に際し、アルカンチオール誘導体を溶解する溶媒として、芳香族化合物やアルコールが好適に挙げられ、特に低級アルコール類が好適である。なお、アルカンチオール誘導体の溶液中の濃度は0.1〜500mmol/Lが好ましい。
次に、修飾部位を有するフラーレン誘導体、及びアルカンチオール誘導体と、薄膜電極及びチタン酸化物からなる薄膜との結合状態について、これらを模式的に示した図5を用いて、具体的に説明する。
チオールまたはジスルフィド基を末端に有するフラーレン誘導体591の修飾部位は、薄膜電極512と結合して、該薄膜電極に固定される。また、該修飾部位は5〜20程度のメチレン鎖からなる基であり、この程度の長さであると、ポルフィリン誘導体によって生じる励起電子の移動が容易に行われると考えられる。
一方、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオール誘導体592は、チタン酸化物と酸素を介して共有結合し、チタン酸化物からなる薄膜と接着される。ここで、アルカンチオール誘導体も、フラーレン誘導体の修飾部位と同程度の5〜20程度のメチレン鎖からなる基であり、チタン酸化物とフラーレン誘導体を近接させ、電子の移動を容易にする。
以上のように、本発明の好ましい態様である、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体が並存する薄膜を有する光電変換素子は、フラーレン誘導体の修飾部位が、薄膜電極512との接着性を高め、アルカンチオール誘導体がチタン酸化物からなる薄膜との接着性を高めることで、全体として、第1の電極基板と、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜との接着性を高めるものである。
しかも、フラーレン誘導体の修飾部位の長さ、及びアルカンチオール誘導体の分子の長さを制御することで、ポルフィリン誘導体で励起された電子の移動を容易とするものである。
チオールまたはジスルフィド基を末端に有するフラーレン誘導体591の修飾部位は、薄膜電極512と結合して、該薄膜電極に固定される。また、該修飾部位は5〜20程度のメチレン鎖からなる基であり、この程度の長さであると、ポルフィリン誘導体によって生じる励起電子の移動が容易に行われると考えられる。
一方、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオール誘導体592は、チタン酸化物と酸素を介して共有結合し、チタン酸化物からなる薄膜と接着される。ここで、アルカンチオール誘導体も、フラーレン誘導体の修飾部位と同程度の5〜20程度のメチレン鎖からなる基であり、チタン酸化物とフラーレン誘導体を近接させ、電子の移動を容易にする。
以上のように、本発明の好ましい態様である、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体が並存する薄膜を有する光電変換素子は、フラーレン誘導体の修飾部位が、薄膜電極512との接着性を高め、アルカンチオール誘導体がチタン酸化物からなる薄膜との接着性を高めることで、全体として、第1の電極基板と、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜との接着性を高めるものである。
しかも、フラーレン誘導体の修飾部位の長さ、及びアルカンチオール誘導体の分子の長さを制御することで、ポルフィリン誘導体で励起された電子の移動を容易とするものである。
また、本発明の光電変換素子は、図3に示すように、チタン酸化物からなる薄膜313A、313B及び313Cと、ポルフィリン誘導体からなる薄膜314A、314B及び314Cからなる積層の繰り返しが、複数あってもよく、該繰り返し数は、100回以下であることが好ましい。すなわち、チタン酸化物からなる薄膜とポルフィリン誘導体からなる薄膜で構成される積層体の繰り返し数は、1〜100であることが好ましい。この繰り返し数が1の場合には、電子の移動がしやすいという利点がある一方、ポルフィリン誘導体を励起することなくポルフィリン誘導体からなる薄膜を透過してしまう光エネルギーが無駄になるというデメリットがある。一方、繰り返し数を多くすると、無駄になる光エネルギーは少なくなるが、電子の移動が妨げられる場合が生じる。従って、使用する環境、特に素子に照射できる光エネルギーの量や、用途に応じて、1〜100の範囲で適宜、最適なものを選択することが好ましい。通常は、繰り返し数1〜10がより望ましい。
本発明の光電変換素子は、第1の電極基板と第2の電極基板の間における、波長380〜780nmの可視光の透過率が75%以上であることが好ましい。ポルフィリン誘導体の十分な光電変換効率が得られ、しかも意匠性の高い光電変換素子が得られる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)可視光の透過率
各実施例で製造した光電変換素子について、可視光の透過率を、分光光度計(日立製作所製)を用いて測定した。用いた可視光の波長範囲は380〜780nmである。
(2)光電特性
(2−1)各実施例によって製造した光電変換素子について、表面に直径6mmの円形部分をくりぬいた遮蔽板を置き、有効面積を明確にしたうえで光電特性を評価した。光は約400〜500nmの波長分布を持つ光ファイバーを用いて照射し、光量は約300mWであった。ポテンシオスタット28(扶桑製作所製)を用いて電流と電圧を測定した。
(2−2)実施例3によって製造した光電変換素子については、トリエタノールアミン、メチルビオローゲンを電子メディエータとして、3極式電解セルにより光電変換特性を評価した。
(3)色度
各実施例によって製造した光電変換素子について、上述した測定方法によって、色度を測定した。
(評価方法)
(1)可視光の透過率
各実施例で製造した光電変換素子について、可視光の透過率を、分光光度計(日立製作所製)を用いて測定した。用いた可視光の波長範囲は380〜780nmである。
(2)光電特性
(2−1)各実施例によって製造した光電変換素子について、表面に直径6mmの円形部分をくりぬいた遮蔽板を置き、有効面積を明確にしたうえで光電特性を評価した。光は約400〜500nmの波長分布を持つ光ファイバーを用いて照射し、光量は約300mWであった。ポテンシオスタット28(扶桑製作所製)を用いて電流と電圧を測定した。
(2−2)実施例3によって製造した光電変換素子については、トリエタノールアミン、メチルビオローゲンを電子メディエータとして、3極式電解セルにより光電変換特性を評価した。
(3)色度
各実施例によって製造した光電変換素子について、上述した測定方法によって、色度を測定した。
実施例1
図2に基づいて、実施例1に係る本発明の光電変換素子について説明する。
(1)第1の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板211(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法で透明電極用のITOを約100nm成膜した(図2中212)。
(2)チタン酸化物からなる薄膜の形成
トルエンとエタノールを容量割合で1:1となるように混合し、これにチタンブトキシドをその濃度が0.1mol/Lとなるように溶解し、ガラス基板へのチタン酸化物膜材塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO212を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板211をディップし、3分間浸漬した後、溶液から引き上げ、エタノールでガラス基板211の表面を洗浄することにより、余分な前記チタンブトキシドを取り除いた。その後、表面を純水で洗い流し、乾燥のために常温で20分間放置した。
(3)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成
テトラカルボキシポルフィリンをその濃度が1mmol/Lとなるようにエタノールに溶解し、ポルフィリン誘導体塗布溶液を準備した。この溶液に、先にチタン酸化物をコートしたガラス基板211をディップし、10分間浸漬した後に引き上げ、エタノールでガラス基板211の表面を洗浄することにより、余分な前記テトラカルボキシポルフィリンを取り除いた。乾燥のために常温で放置した後、ガラス面に張られていた耐有機溶剤テープを剥がし、積層体21を得た。
(4)第2の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板221(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法でITOを100nm成膜し(図2中222)、ガラス基板221に、ITOを成膜していない側の面から1mm程度の孔23を一カ所にあけて、第2の電極基板22とした。
(5)光電変換素子の製造
積層体21と第2の電極基板22の間にスペーサ24を塗布し、外周をエポキシ樹脂製の接着剤271で封止した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、第2の電極基板22を上側にし、該第2の電極基板22に形成された孔23の周囲に接着剤を用いて高さ2mm程度の土手を築き(図示せず)、その中に電解液(0.1mol/Lの過塩素酸ナトリウム水溶液)25を入れ、真空容器内で減圧し、積層体21と第2の電極基板22の間に存在していた空気を脱気した後、前記真空容器を常圧に戻すことで、積層体21と第2の電極基板22の間を前記電解液25で満たした。
その後、第2の電極基板22に形成した孔23を覆うに足る大きさのガラス基板26で、孔23を塞ぎ、外周をエポキシ系の接着剤272で封止した。該エポキシ系の接着剤272は常温で24時間放置することにより十分硬化させた。
製造した光電変換素子について、上記評価を実施したところ、可視光の最低透過率は86%(波長425nm)であり、色度は1.74であって、上記式(I)を満足するものであった。また、光電特性については、短絡光電流(Isc)が140ナノアンペア/cm2、開放電圧(Voc)が70mVであった。
図2に基づいて、実施例1に係る本発明の光電変換素子について説明する。
(1)第1の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板211(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法で透明電極用のITOを約100nm成膜した(図2中212)。
(2)チタン酸化物からなる薄膜の形成
トルエンとエタノールを容量割合で1:1となるように混合し、これにチタンブトキシドをその濃度が0.1mol/Lとなるように溶解し、ガラス基板へのチタン酸化物膜材塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO212を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板211をディップし、3分間浸漬した後、溶液から引き上げ、エタノールでガラス基板211の表面を洗浄することにより、余分な前記チタンブトキシドを取り除いた。その後、表面を純水で洗い流し、乾燥のために常温で20分間放置した。
(3)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成
テトラカルボキシポルフィリンをその濃度が1mmol/Lとなるようにエタノールに溶解し、ポルフィリン誘導体塗布溶液を準備した。この溶液に、先にチタン酸化物をコートしたガラス基板211をディップし、10分間浸漬した後に引き上げ、エタノールでガラス基板211の表面を洗浄することにより、余分な前記テトラカルボキシポルフィリンを取り除いた。乾燥のために常温で放置した後、ガラス面に張られていた耐有機溶剤テープを剥がし、積層体21を得た。
(4)第2の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板221(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法でITOを100nm成膜し(図2中222)、ガラス基板221に、ITOを成膜していない側の面から1mm程度の孔23を一カ所にあけて、第2の電極基板22とした。
(5)光電変換素子の製造
積層体21と第2の電極基板22の間にスペーサ24を塗布し、外周をエポキシ樹脂製の接着剤271で封止した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、第2の電極基板22を上側にし、該第2の電極基板22に形成された孔23の周囲に接着剤を用いて高さ2mm程度の土手を築き(図示せず)、その中に電解液(0.1mol/Lの過塩素酸ナトリウム水溶液)25を入れ、真空容器内で減圧し、積層体21と第2の電極基板22の間に存在していた空気を脱気した後、前記真空容器を常圧に戻すことで、積層体21と第2の電極基板22の間を前記電解液25で満たした。
その後、第2の電極基板22に形成した孔23を覆うに足る大きさのガラス基板26で、孔23を塞ぎ、外周をエポキシ系の接着剤272で封止した。該エポキシ系の接着剤272は常温で24時間放置することにより十分硬化させた。
製造した光電変換素子について、上記評価を実施したところ、可視光の最低透過率は86%(波長425nm)であり、色度は1.74であって、上記式(I)を満足するものであった。また、光電特性については、短絡光電流(Isc)が140ナノアンペア/cm2、開放電圧(Voc)が70mVであった。
実施例2
図3に基づいて、実施例2に係る本発明の光電変換素子について説明する。
(1)第1の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板311(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法で透明電極用のITOを約100nm成膜した(図3中312)。
(2)チタン酸化物からなる薄膜の形成
トルエンとエタノールを容量割合で1:1となるように混合し、これにチタンブトキシドをその濃度が0.1mol/Lとなるように溶解し、ガラス基板へのチタン酸化物膜材塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO312を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板311をディップし、5分程度浸漬下後、溶液から引き上げ、エタノールでガラス基板311の表面を洗浄することにより、余分な前記チタンブトキシドを取り除いた。その後、表面を純水で洗い流し、乾燥のために常温で20分間放置した。
(3)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成
テトラカルボキシポルフィリンをその濃度が1mmol/Lとなるようにエタノールに溶解し、ポルフィリン誘導体塗布溶液を準備した。この溶液に、先にチタン酸化物をコートしたガラス基板311をディップし、10分間浸漬した後に引き上げ、エタノールでガラス基板311の表面を洗浄することにより、余分な前記テトラカルボキシポルフィリンを取り除いた。その後、乾燥のために常温で放置した。
(4)多層化
上記手順(2)チタン酸化物からなる薄膜の形成と、(3)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成の工程をさらに交互に2回ずつ行った。その後、ガラス面に張られていた耐有機溶剤テープを剥がし、積層体31を得た。
(5)第2の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板321(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法でITOを100nm成膜し(図2中322)、ガラス基板に、ITOを成膜していない側の面から1mm程度の孔33を一カ所にあけて第2の電極基板32とした。
(6)光電変換素子の製造
積層体31と第2の電極基板32の間にスペーサ34を塗布し、外周をエポキシ樹脂製の接着剤371で封止した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、前記第2の電極基板32を上側にし、第2の電極基板32に形成された孔33の周囲に接着剤を用いて高さ2mm程度の土手を築き(図示せず)、その中に電解液(0.1mol/Lの過塩素酸ナトリウム水溶液)35を入れ、真空容器内で減圧し、積層体31と第2の電極基板32の間に存在していた空気を脱気した後、前記真空容器を常圧に戻すことで、積層体31と第2の電極基板32の間を前記電解液35で満たした。
その後、前記対極基板に形成した孔33を覆うに足る大きさのガラス基板36で、孔33を塞ぎ、外周をエポキシ系の接着剤372で封止した。該エポキシ系の接着剤372は常温で24時間放置することにより十分に硬化させた。
製造した光電変換素子について、上記評価を実施したところ、可視光の最低透過率は82%(波長425nm)であり、色度は1.90であって、上記式(I)を満足するものであった。また、光電特性については、短絡光電流(Isc)が1400ナノアンペア/cm2、開放電圧(Voc)が450mVであった。
図3に基づいて、実施例2に係る本発明の光電変換素子について説明する。
(1)第1の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板311(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法で透明電極用のITOを約100nm成膜した(図3中312)。
(2)チタン酸化物からなる薄膜の形成
トルエンとエタノールを容量割合で1:1となるように混合し、これにチタンブトキシドをその濃度が0.1mol/Lとなるように溶解し、ガラス基板へのチタン酸化物膜材塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO312を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板311をディップし、5分程度浸漬下後、溶液から引き上げ、エタノールでガラス基板311の表面を洗浄することにより、余分な前記チタンブトキシドを取り除いた。その後、表面を純水で洗い流し、乾燥のために常温で20分間放置した。
(3)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成
テトラカルボキシポルフィリンをその濃度が1mmol/Lとなるようにエタノールに溶解し、ポルフィリン誘導体塗布溶液を準備した。この溶液に、先にチタン酸化物をコートしたガラス基板311をディップし、10分間浸漬した後に引き上げ、エタノールでガラス基板311の表面を洗浄することにより、余分な前記テトラカルボキシポルフィリンを取り除いた。その後、乾燥のために常温で放置した。
(4)多層化
上記手順(2)チタン酸化物からなる薄膜の形成と、(3)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成の工程をさらに交互に2回ずつ行った。その後、ガラス面に張られていた耐有機溶剤テープを剥がし、積層体31を得た。
(5)第2の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板321(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法でITOを100nm成膜し(図2中322)、ガラス基板に、ITOを成膜していない側の面から1mm程度の孔33を一カ所にあけて第2の電極基板32とした。
(6)光電変換素子の製造
積層体31と第2の電極基板32の間にスペーサ34を塗布し、外周をエポキシ樹脂製の接着剤371で封止した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、前記第2の電極基板32を上側にし、第2の電極基板32に形成された孔33の周囲に接着剤を用いて高さ2mm程度の土手を築き(図示せず)、その中に電解液(0.1mol/Lの過塩素酸ナトリウム水溶液)35を入れ、真空容器内で減圧し、積層体31と第2の電極基板32の間に存在していた空気を脱気した後、前記真空容器を常圧に戻すことで、積層体31と第2の電極基板32の間を前記電解液35で満たした。
その後、前記対極基板に形成した孔33を覆うに足る大きさのガラス基板36で、孔33を塞ぎ、外周をエポキシ系の接着剤372で封止した。該エポキシ系の接着剤372は常温で24時間放置することにより十分に硬化させた。
製造した光電変換素子について、上記評価を実施したところ、可視光の最低透過率は82%(波長425nm)であり、色度は1.90であって、上記式(I)を満足するものであった。また、光電特性については、短絡光電流(Isc)が1400ナノアンペア/cm2、開放電圧(Voc)が450mVであった。
実施例3
図4に基づいて、実施例3に係る本発明の光電変換素子について説明する。
(1)第1の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板411(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法で透明電極用のITOを約100nm成膜した(図4中412)。
(2)フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜の形成
ジチオウンデカン酸とウンデカンチオールの修飾部位を有するフラーレンC60をトルエンに1mmol/Lの濃度となるように溶解し、触媒量のアンモニアを添加してフラーレン誘導体塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO412を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板411をディップし、24時間浸漬した後、トルエンで洗浄して余分なフラーレン誘導体塗布液を洗い流した。その後、常温で2時間放置し乾燥させた。
末端にカルボキシル基を備えたジアルキルジスルフィドである11,11’−ジ(チオウンデカン酸)をエタノールに0.5mmol/Lの濃度となるように溶解し、アルカンチオール塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、先にフラーレン誘導体を塗布した基板を2時間浸漬した。その後、この基板を塗布溶液から取り出し、エタノールで余分な塗布溶液を洗い落とし、常温で2時間放置して乾燥させた。
(3)チタン酸化物からなる薄膜の形成
トルエンとエタノールを容量割合で1:1となるように混合し、これにテトラブトキシチタンをその濃度が0.1mol%となるように溶解し、ガラス基板へのチタン酸化物膜材塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO412を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板411をディップし、5分程度浸漬下後、溶液から引き上げ、エタノールでガラス基板411の表面を洗浄することにより、余分なテトラブトキシチタンを取り除いた。その後、表面を純水で洗い流し、乾燥のために常温で20分間放置した。
(4)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成
テトラカルボキシポルフィリンをその濃度が1mmol/Lとなるようにエタノールに溶解し、ポルフィリン誘導体塗布溶液を準備した。この溶液に、先にチタン酸化物をコートしたガラス基板411をディップし、10分間浸漬した後に引き上げ、エタノールでガラス基板411の表面を洗浄することにより、余分なテトラカルボキシポルフィリンを取り除いた。その後、乾燥のために常温で放置した。その後、ガラス面に張られていた耐有機溶剤テープを剥がし、積層体41を得た。
(5)第2の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
次に、50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板421(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法でITOを100nm成膜し(図4中422)、ガラス基板に、ITOを成膜していない側の面から1mm程度の孔43を一カ所にあけて第2の電極基板42とした。
(6)光電変換素子の製造
積層体41と第2の電極基板42の間にスペーサ44を塗布し、外周をエポキシ樹脂製の接着剤471で封止した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、第2の電極基板42を上側にし、第2の電極基板42に形成された孔43の周囲に接着剤を用いて高さ2mm程度の土手を築き(図示せず)、その中に電解液(0.1mol/Lの過塩素酸ナトリウム水溶液)45を入れ、真空容器内で減圧し、積層体41と第2の電極基板42の間に存在していた空気を脱気した後、前記真空容器を常圧に戻すことで、積層体41と第2の電極基板42の間を前記電解液45で満たした。
その後、前記対極基板に形成した孔43を覆うに足る大きさのガラス基板46で、孔43を塞ぎ、外周をエポキシ系の接着剤472で封止した。該エポキシ系の接着剤472は常温で24時間放置することにより十分に硬化させた。
製造した光電変換素子について、上記評価を実施したところ、可視光の最低透過率は81%(波長425nm)であり、色度は2.05であって、上記式(I)を満足するものであった。また、光電特性については、短絡光電流(Isc)が750ナノアンペア/cm2、開放電圧(Voc)が600mVであった。また、上記評価方法(2−2)に基づく光電特性の評価については、70nA/cm2の光電流が発生した。これは、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体を用いない場合と比較して、3〜7倍の光電変換効率である。
図4に基づいて、実施例3に係る本発明の光電変換素子について説明する。
(1)第1の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板411(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法で透明電極用のITOを約100nm成膜した(図4中412)。
(2)フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜の形成
ジチオウンデカン酸とウンデカンチオールの修飾部位を有するフラーレンC60をトルエンに1mmol/Lの濃度となるように溶解し、触媒量のアンモニアを添加してフラーレン誘導体塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO412を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板411をディップし、24時間浸漬した後、トルエンで洗浄して余分なフラーレン誘導体塗布液を洗い流した。その後、常温で2時間放置し乾燥させた。
末端にカルボキシル基を備えたジアルキルジスルフィドである11,11’−ジ(チオウンデカン酸)をエタノールに0.5mmol/Lの濃度となるように溶解し、アルカンチオール塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、先にフラーレン誘導体を塗布した基板を2時間浸漬した。その後、この基板を塗布溶液から取り出し、エタノールで余分な塗布溶液を洗い落とし、常温で2時間放置して乾燥させた。
(3)チタン酸化物からなる薄膜の形成
トルエンとエタノールを容量割合で1:1となるように混合し、これにテトラブトキシチタンをその濃度が0.1mol%となるように溶解し、ガラス基板へのチタン酸化物膜材塗布溶液とした。このようにして調製された溶液に、ITO412を成膜していない面を耐有機溶剤テープでマスキングしたガラス基板411をディップし、5分程度浸漬下後、溶液から引き上げ、エタノールでガラス基板411の表面を洗浄することにより、余分なテトラブトキシチタンを取り除いた。その後、表面を純水で洗い流し、乾燥のために常温で20分間放置した。
(4)ポルフィリン誘導体からなる薄膜の形成
テトラカルボキシポルフィリンをその濃度が1mmol/Lとなるようにエタノールに溶解し、ポルフィリン誘導体塗布溶液を準備した。この溶液に、先にチタン酸化物をコートしたガラス基板411をディップし、10分間浸漬した後に引き上げ、エタノールでガラス基板411の表面を洗浄することにより、余分なテトラカルボキシポルフィリンを取り除いた。その後、乾燥のために常温で放置した。その後、ガラス面に張られていた耐有機溶剤テープを剥がし、積層体41を得た。
(5)第2の電極基板の製造(透明導電膜の形成)
次に、50mm×50mm×3mmtの無アルカリガラス基板421(NHT社製「NA−35」)にスパッタ法でITOを100nm成膜し(図4中422)、ガラス基板に、ITOを成膜していない側の面から1mm程度の孔43を一カ所にあけて第2の電極基板42とした。
(6)光電変換素子の製造
積層体41と第2の電極基板42の間にスペーサ44を塗布し、外周をエポキシ樹脂製の接着剤471で封止した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、第2の電極基板42を上側にし、第2の電極基板42に形成された孔43の周囲に接着剤を用いて高さ2mm程度の土手を築き(図示せず)、その中に電解液(0.1mol/Lの過塩素酸ナトリウム水溶液)45を入れ、真空容器内で減圧し、積層体41と第2の電極基板42の間に存在していた空気を脱気した後、前記真空容器を常圧に戻すことで、積層体41と第2の電極基板42の間を前記電解液45で満たした。
その後、前記対極基板に形成した孔43を覆うに足る大きさのガラス基板46で、孔43を塞ぎ、外周をエポキシ系の接着剤472で封止した。該エポキシ系の接着剤472は常温で24時間放置することにより十分に硬化させた。
製造した光電変換素子について、上記評価を実施したところ、可視光の最低透過率は81%(波長425nm)であり、色度は2.05であって、上記式(I)を満足するものであった。また、光電特性については、短絡光電流(Isc)が750ナノアンペア/cm2、開放電圧(Voc)が600mVであった。また、上記評価方法(2−2)に基づく光電特性の評価については、70nA/cm2の光電流が発生した。これは、フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体を用いない場合と比較して、3〜7倍の光電変換効率である。
本発明の光電変換素子は、可視光域で無色透明であって、光電変換効率に優れ、また意匠性にも優れたものである。また本発明の製造方法によれば、上記性能の高い光電変換素子が簡単なプロセスで効率よく製造することができる。
1,2,3,4:光電変換素子
10,40:第1の電極基板
11,21,31,41:積層体
111,121,211,221,311,321,411,421,511:基体
112,122,212,222,312,322,412,422,512:薄膜電極
113,213,313A,313B,313C,413:チタン酸化物からなる薄膜
114,214,314A,314B,314C,414:ポルフィリン誘導体からなる薄膜
12,22,32,42:第2の電極基板
15,25,35,45:電解液
171,271,272,371,372,471,472:接着剤
18,28,38,48:外部の負荷
23,33,43:孔
24,34,44:スペーサー
26,36,46:ガラス基板
49:フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜
591:フラーレン誘導体
592:アルカンチオール誘導体
10,40:第1の電極基板
11,21,31,41:積層体
111,121,211,221,311,321,411,421,511:基体
112,122,212,222,312,322,412,422,512:薄膜電極
113,213,313A,313B,313C,413:チタン酸化物からなる薄膜
114,214,314A,314B,314C,414:ポルフィリン誘導体からなる薄膜
12,22,32,42:第2の電極基板
15,25,35,45:電解液
171,271,272,371,372,471,472:接着剤
18,28,38,48:外部の負荷
23,33,43:孔
24,34,44:スペーサー
26,36,46:ガラス基板
49:フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜
591:フラーレン誘導体
592:アルカンチオール誘導体
Claims (14)
- 前記チタン酸化物からなる薄膜の膜厚が、1〜10nmである請求項1に記載の光電変換素子。
- 第1の電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、さらにフラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を有する請求項1又は2に記載の光電変換素子。
- 前記フラーレン誘導体の修飾部位の炭素数が、2〜20である請求項3に記載の光電変換素子。
- 前記アルカンチオール誘導体が、炭素数2〜20の直鎖状炭化水素部位を有し、前記フラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜は、該直鎖状炭化水素部位を介して、前記第1の電極に接合する請求項3又は4に記載の光電変換素子。
- 前記チタン酸化物からなる薄膜とポルフィリン誘導体からなる薄膜の積層の繰り返し数が1〜100である請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
- 一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が75%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記電解液が水系である請求項7に記載の光電変換素子。
- 基体に電極材料を成膜した第1の電極基板上に、チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層し、ポルフィリン誘導体からなる薄膜との間に空間部を設けるように、基体に電極材料を成膜した第2の電極基板を配し、該空間部に電子メディエータを含有する電解液を注入する光電変換素子の製造方法であって、一方の電極から他方の電極に向けて波長380〜780nmの可視光を照射した際の透過率が70%以上である光電変換素子の製造方法。
- チタン酸化物からなる薄膜の厚みを1〜10nmとする請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
- 第1の電極基板とチタン酸化物からなる薄膜の間に、さらにフラーレン誘導体及びアルカンチオール誘導体からなる薄膜を積層させる請求項9又は10に記載の光電変換素子の製造方法。
- アルカンチオール誘導体として炭素数2〜20の直鎖状炭化水素部位を有するものを用い、該直鎖状炭化水素部位とチタン酸化物を結合させる請求項11に記載の光電変換素子の製造方法。
- チタン酸化物からなる薄膜、及びポルフィリン誘導体からなる薄膜をこの順に積層させる工程を、1〜100回繰り返す請求項9〜12のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 電解液として水系のものを用いる請求項9〜13のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
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