JP2005293914A - 電気光学装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電気光学素子を構成する発光層と発光層間に形成される隔壁との段差を小さくし、対向電極と発光層との電気的接続を良好にした電気光学装置の製造方法及びそのような電気光学装置の製造方法にて製造された電気光学装置を具備してなる電子機器を提供する。
【解決手段】 回路形成層Sb上の画素電極10以外の領域に、撥液性で且つゲル状の第1インク滴I1を配置した。また、画素電極10上に水溶性の分散液を配置した。そして、第1インク滴I1及び分散液が配置された状態で基板Sを乾燥させ、バンクB及び正孔注入層11を形成した。続いて、バンクBに、ゲル状の第1インク滴I1を配置し、また、正孔注入層11上に、水溶性の有機物発光材料である液状の赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを配置した。そして、第1インク滴I1、及び、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBが配置された状態で基板Sを乾燥させた。
【選択図】 図16

Description

本発明は、電気光学装置の製造方法及び電子機器に関するものである。
近年、軽量化・薄型化の観点から液晶素子やエレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置が注目されている。特に、エレクトロルミネッセンス素子の発光層が有機材料で構成された有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、有機ELディスプレイという)は、液晶素子を備えた表示装置と比べて広視野角・液晶装置に比べて高速応答化及び広視野角化が可能であるため、その開発が盛んに行われている。
この種の有機ELディスプレイの製造方法には、インクジェット法がある。インクジェット法は、例えば、高分子系有機材料を所定の溶媒に溶解または分散した溶液を液状若しくはゲル状に形成し、基板に形成された画素電極上へ吐出し、その後、溶媒を取り除いて高分子系有機材料からなる発光層を画素電極上に定着させる方法である。
このインクジェット法においては、例えば、フルカラー表示可能なディスプレイを製造する場合、赤色用発光層を構成する高分子系有機材料が溶解または分散した赤色用の溶液、緑色用発光層を構成する高分子系有機材料が溶解または分散した緑色用の溶液、青色用発光層を構成する高分子系有機材料が溶解または分散した青色用の溶液を予め別々に形成する。そして、所定の画素電極上に順次各色用の溶液を吐出させるようにしている。
このとき、隣接する画素電極上に異なった色用の溶液が混じり合わないようにさせるために、予め基板上に隣接する画素電極間に隔壁を形成するようにしている(例えば、特許文献1)。
特開平11−340129号公報
ところで、前記各色用の溶液中には、その溶液を構成する溶媒に対して高分子系有機材料は数%しか含まれていない。そのため、ある程度の膜厚を有する発光層を形成するためには、その膜厚に対応する量の溶液を吐出する必要がある。従って、1回の吐出によって発光層を形成するには、前記溶液の量が多くなるので、その溶液の量に応じて前記隔壁の高さも高くなる。すると、乾燥処理後では、所望の膜厚の発光層が得られるが、隔壁の高さが高くなっている分だけ、発光層と隔壁との段差が大きくなる。
従って、例えば、画素電極に対向する対向電極を各発光層及び隔壁上に渡って覆う構造を成したディスプレイにおいては、発光層と隔壁との大きな段差によって対向電極の付きまわりが悪くなったり、断線が生じたりしてしまうので、歩留まりが悪化してしまう。そのため、ある程度の膜厚を有する発光層を形成する場合は、各溶液の画素電極上への吐出と乾燥処理とを複数回に分けて行うようにすることで隔壁の高さをできるだけ低くし、発光層と隔壁との段差を小さくするようにしていた。
しかし、上記した、各溶液の画素電極上への吐出と乾燥処理とを複数回に分けて行う方法は、その分だけ工程数が多くなり、またコスト高になってしまうという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気光学素子を構成する発光層と発光層間に形成される隔壁との段差を小さくし、対向電極と発光層との電気
的接続を良好にした電気光学装置の製造方法及びそのような電気光学装置の製造方法にて製造された電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することにある。
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上の表示領域に液状若しくはゲル状のバンクを形成する工程と、前記バンクにて区画形成された各画素形成領域内に、液状若しくはゲル状の電気光学層を構成する薄膜材料を配置する工程と、前記液状若しくはゲル状のバンク、及び前記薄膜材料を乾燥させる工程とを含む。
これによれば、バンクは液状若しくはゲル状であり、その使用後は乾燥させるようにした。従って、バンクの高さを高くすることができるので、隣接する画素形成領域に薄膜材料が入り込むことなく、一度に多量の薄膜材料を所定の画素形成領域に配置させることができる。また、バンクは固形成分を含まない溶媒にて構成してもよい。また、使用後は乾燥させて固化することでその高さが低くなるので、画素形成領域上の段差を小さくすることができるため、電気光学層上に形成される、たとえば、電極層を同電気光学層上に密着して形成することができる。また、バンクによる段差が低減できるため、電気光学層上に形成される、たとえば、電極層を比較的平坦な面に形成できるので、電極層の断線なども低減できる。
また、バンクを形成した後、連続して薄膜材料を配置するので、従来のようなフォトリソグラフィー処理を行う必要はない。従って、電気光学装置の製造時間を短くすることができる。
この製造方法において、前記バンクは、前記薄膜材料よりもその比重が大きく、且つ薄膜材料に対して撥液性であってもよい。また、乾燥後は絶縁性を有する材料で構成されていてもよい。
これによれば、バンクは、前記薄膜材料よりもその比重が大きいので、配置された薄膜材料がバンクの下に潜り込んで隣接する画素形成領域に侵入し隣接する画素形成領域の薄膜材料と混合ことはない。また、前記バンクは、薄膜材料に対して撥液性であるで、配置された薄膜材料とバンクとが混合することはない。
この製造方法において、前記バンク及び前記薄膜材料を、同時に乾燥するようにしてもよい。
これによれば、前記バンク及び前記薄膜材料を、同時に乾燥するようにしたので、電気光学装置の製造時間をより短くすることができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記電気光学層は、発光層であってもよい。
これによれば、発光層を、たとえばインクジェット法によって形成する場合においては、一度に多量の薄膜材料を所定の画素形成領域に配置させることができるとともに、発光層上に形成される、たとえば、発光層を介して画素電極に対向する対向電極を同電気光学層上に密着して形成することができる。
本発明の電子機器は、上記記載の電気光学装置の製造方法を使用して製造された電気光学装置を備えている。
これによれば、電気光学装置の発光層上に形成される電極と発光層との電気的接続が良好であり、歩留まりが向上した電子機器を提供することができる。
以下、本発明の電気光学装置をフルカラー表示可能な有機ELディスプレイに適用した
実施形態を図面に従って説明する。尚、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の有機ELディスプレイの上面図である。図1に示すように、有機ELディスプレイ1は、ディスプレイ部DSと、該ディスプレイ部DSの下側(図1中反Y矢印方向側)に接続されたフレキシブル回路基板FCとから構成されている。図1に示すように、ディスプレイ部DSは、その略中央に表示領域Rを、また、表示領域Rを囲む表示領域R以外の領域に非表示領域Qをそれぞれ備えている。
表示領域Rには、図1中X,Y矢印方向にそれぞれ延設されたバンクBが設けられ、そのバンクBによって画素形成領域2が升目状に区画形成されている。各画素形成領域2は、1個の赤、緑または青色用画素3R,3G,3Bが形成される領域である。赤色用画素3Rからは赤色の光が、緑色用画素3Gからは緑色の光が、青色用画素3Bからは青色の光がそれぞれ出射される。
表示領域Rには、1行当りm個の赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bがそれぞれn行、また、1列当りn個の赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bがそれぞれm列形成されている。そして、赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bは、それぞれ図1中X矢印方向(行方向)に沿って赤色用画素3R→緑色用画素3G→青色用画素3B→赤色用画素3R→…→青色用画素3Bの順に繰り返して配置されている。また、赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bは、それぞれ図1中Y矢印方向(列方向)に沿って同色の画素3R,3G,3Bが配置されている。
また、図1中X矢印方向に互いに並んだ赤色用画素3R、緑色用画素3G及び青色用画素3Bで1組の画素3を形成している。
非表示領域Qには、表示領域Rを挟むようにして一対の走査線駆動回路4が形成されている。各走査線駆動回路4は、図示しない走査線を介して1行の各色用画素3R,3G,3B群毎に接続されている。そして、各走査線駆動回路4は、n行ある各色用画素3R,3G,3B群を1行毎に順次選択する走査信号を出力するための回路である。
また、非表示領域Q上であって、表示領域Rの上側(図1中Y矢印方向側)には検査回路5が形成されている。検査回路5は、各赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bと図示しない信号線を介して接続されている。そして、検査回路5は、有機ELディスプレイ1を出荷される前に駆動され、各赤、緑または青色用画素3R,3G,3Bが正常に駆動するか否かを検査するための回路である。
一方、フレキシブル回路基板FC上にはデータ線駆動回路6と制御回路7とが形成されている。データ線駆動回路6は、図示しないデータ線を介して1列の各色用画素3R,3G,3B毎に接続されている。そして、データ線駆動回路6は、前記走査線駆動回路4によって選択された各色用画素3R,3G,3Bに対応するデータ信号を出力するための回路である。このデータ信号は輝度情報がプログラムされた信号であって、赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bの発光輝度を決定する。
制御回路7は、各走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路6に図示しない制御線を介して接続され、各駆動回路4,6の駆動を制御するための各種制御信号を生成し、その生成した制御信号を各駆動回路4,6にそれぞれ出力するための回路である。
そして、前記制御回路7から出力される各種制御信号によって走査線駆動回路4が前記走査信号を出力するとともに、前記走査信号のタイミングでデータ線駆動回路6からデータ信号が出力される。このような構成により、赤、緑及び青色用画素3R,3G,3Bは
、出力されたデータ信号に応じた輝度で各色の光を出射し、その結果、表示領域R上に所望の画像が表示される。
図2は、ディスプレイ部DSの図1中a−a線での断面図である。ディスプレイ部DSは、光透過性を有するガラスや高分子フィルムで構成された基板Sを備えている。基板S上には、回路形成層Sbが形成されている。回路形成層Sbには、前記データ線駆動回路6(図1参照)からのデータ信号に応じた駆動電流を制御する薄膜トランジスタTFTといった各種回路素子が形成されている。また、回路形成層Sbには、前記走査線駆動回路4または検査回路5を構成する回路素子の一部または全部が形成されている。
回路形成層Sb上の略中央には前記表示領域Rが形成されている。表示領域R内の回路形成層Sb上には、それぞれが略矩形状を成した複数個(本実施形態では、3m×3n個)の画素電極10が配置されている。
画素電極10は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファスといった透明導電材料で構成されている。各画素電極10は、コンタクトホールHを介して対応する薄膜トランジスタTFTのドレインまたはソースに電気的に接続されている。そして、画素電極10には、薄膜トランジスタTFTから供給される前記駆動電流の電流密度に応じたキャリアが供給される。
また、前記表示領域R内の回路形成層Sb上には、図2中Z矢印方向にその断面形状が略台形状である前記バンクBが配置されている。
バンクBは、非極性溶媒すなわち親油性溶媒、または極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成されている。非極性溶媒すなわち親油性溶媒としては、たとえば、イソプロピルビフェニールが挙げられる。また、極性溶媒すなわち水溶性溶媒としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられる。また、バンクBは、これらの溶媒に対して溶解性を示す材料を溶解させてもよい。この材料としては、乾燥後は絶縁性を有する材料で構成されていてもよい。このような材料を混合させることにより、バンクBの粘性を調整することができ、基板Sの上層の所定の位置に、バンクBを留まらせることができると共に、後述の電気光学材料としての有機物電荷注入材料や有機物発光材料と交じり合わなくすることができる。
本実施形態のバンクBは、非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールで構成されている。そして、バンクBは、各画素電極10の周囲を囲むようにして配置されており、このバンクBによって、複数個(本実施形態では、3m×3n個)の画素形成領域2が区画形成される。
画素形成領域2内の各画素電極10上には、正孔注入層11が形成されている。前記バンクBが、非極性溶媒すなわち親油性溶媒で構成されている場合、正孔注入層11の形成材料(有機物電荷注入材料)としては、極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成されるようにしてもよい。また、前記バンクBが、極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成されている場合、正孔注入層11の形成材料(有機物電荷注入材料)としては、非極性溶媒すなわち親油性溶媒で構成するようにしていもよい。
正孔注入層11の形成材料(有機物電荷注入材料)としては、特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、即ち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。したがって、正孔注入層11の形成材料(有機物電荷注入材料)は、水溶性溶媒(極性溶媒)である。本実施形態のように、正孔注入層11が水溶性溶媒(極性溶媒)である場合には、前記バンク
Bは、非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールを用いる。
正孔注入層11上には、それぞれ、赤、緑または青色用発光層12R,12G,12Bが配置されている。各色用発光層12R,12G,12Bは、それぞれ、蛍光あるいは燐光を出射することが可能な有機物発光材料からなる。
各色用発光層12R,12G,12Bの形成材料(有機物発光材料)としては、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。これらの材料は一般的に、親油性溶媒(芳香族、やベンゼン系の溶媒、すなわち、非極性溶媒)に可溶である。したがって、発光層を形成する場合は、バンクBは極性溶媒すなわち水溶性溶媒としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコールを用いる。
そして、前記バンクBを構成する材料が非極性溶媒すなわち親油性溶媒で構成されている場合、各色用発光層12R,12G,12Bの形成材料(有機物発光材料)としては、極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成されるようにしてもよい。また、前記バンクBが、極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成されている場合、各色用発光層12R,12G,12Bの形成材料(有機物発光材料)としては、非極性溶媒すなわち親油性溶媒で構成するようにしていもよい。
また、バンクBを構成する材料と、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bを構成する有機物発光材料とは、その比重が異なっていることが好ましい。本実施形態においては、バンクBを構成する有機物絶縁材料は、その比重が、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bの形成材料(有機物発光材料)の比重より大きい材料である。本実施形態においては、前記バンクBが非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールで構成されている。従って、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bは、水溶性の有機物電荷注入材料であって、且つイソプロピルビフェニールより比重が大きなPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)で構成されていることが好ましい。
そして、赤色用発光層12Rは赤色の光を、緑色用発光層12Gは緑色の光を、青色用発光層12Bは青色の光をそれぞれ対応する画素電極10から注入されたキャリア密度に応じた輝度で出射する。出射された各色の光は、前記回路形成層Sb及び基板Sを介して外部へ出射される。
そして、図2に示すように、各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12B、正孔注入層11及び画素電極10の膜厚の総和は、バンクBの膜厚(高さ)と一致しており、各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bと、バンクBとは段差が無く平坦になっている。
また、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bを介して画素電極10と対向する位置には、画素電極10の対向電極としての陰極14が形成されている。陰極14は、各発光層12R,12G,12B及びバンクB上を覆うようにして非表示領域Qの回路形成層Sb上に至るまで形成されている。
陰極14は、1層からなる金属層であっても2層あるいは3層からなる金属層であってもよい。具体的には、陰極14は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)などの単体材料や、マグネシウム(Mg)−アルミニウム(Al)(Mg:Al=10:1)合金で構成されている。また、酸化リチウムLiO/アルミニウム(Al)、フッ化リチウム(LiF)/アルミニウム(Al)、フッ化マグネシウム(Mg)/アルミニウム(Al)といった積層膜が好適である。
そして、図2に示すように、バンクBと、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Gとの段差は無く平坦である。これにより、バンクBによる段差が低減できるため、赤、緑及び青色用発光層12R,12G、12B上に形成される陰極14を比較的平坦な面である。そして、陰極14は、バンクB及び赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Gに密着して接続されている。
このようにして、画素電極10、陰極14、前記画素電極10及び陰極14の間に形成された赤色用発光層12Rで赤色用画素3Rが構成されている。また、画素電極10、陰極14、前記画素電極10及び陰極14の間に形成された緑色用発光層12Gで緑色用画素3Gが構成されている。同様に、画素電極10、陰極14、前記画素電極10及び陰極14の間に形成された青色用発光層12Bで青色用画素3Gが構成されている。
また、前記回路形成層Sbの外周縁部には陰極14全面を覆うように、乾燥した空間Foを介して、エポキシ樹脂よりなる封止部材FBが接着されている。
次に、前記に示した構成を有する有機ELディスプレイ1の製造方法の一例について図3〜図14に従って説明する。図3〜図14は、それぞれ有機ELディスプレイ1の製造方法を説明するための図である。
図3(a)は、各画素形成領域2に画素電極10が形成された基板S(回路素子形成層Sb)の上面図であり、図3(b)は図3(a)中b−b線での断面図である。
まず、図3(b)に示すように、前記基板S上に、公知の方法を用いて薄膜トランジスタTFT等といった各種回路素子を形成し、続いて、その各種回路素子上にさらに光透過性を有する、たとえば二酸化珪素(SiO)からなる層間絶縁膜15を成膜する。その後、先に形成した薄膜トランジスタTFTのソースまたはドレインに至るまで開口するコンタクトホールHを形成して、回路形成層Sbを形成する。
続いて、図3(a),(b)に示すように、層間絶縁膜15上の表示領域R内であって、先に形成されたコンタクトホールH、及び、その下側(反Z矢印方向側)に薄膜トランジスタTFTが形成されていない領域(図2参照)に略矩形状の画素電極10を形成する。この画素電極10が形成された領域が前記画素形成領域2となる。
各画素電極10は、前記したインジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファスといった透明導電材料を、例えば化学気相成長法(CVD法)を用いてパターニングして形成する。このとき、画素電極10の一部がコンタクトホールH内に埋め込まれるようにして形成することで、画素電極10を薄膜トランジスタTFTのソースまたはドレインと電気的に接続させる。このようにして、回路形成層Sb上の表示領域R内に形成された各画素形成領域2に、複数個(本実施形態では、3m×3n個)の画素電極10が配置された基板S(回路素子形成層Sb)が形成される。
次に、図4に示すように、画素電極10が形成された回路形成層Sb上の表示領域R内であって、画素電極10が形成されていない、図4中左上隅の位置(ホームポジション)に第1のインクジェットヘッド16aを配置する。
第1のインクジェットヘッド16aは、図4中X矢印方向に沿って延設された第1ガイドレールG1に導かれて、表示領域R内を図4中X矢印方向に移動しながら、非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールで構成されているゲル状の第1インク滴I1を、そのノズル17(図5(b)参照)から吐出するインクジェットヘッドである。イソプロピルビフェニールは、水溶性の有機物発光材料に対して撥液性であり、且つ乾燥すると電気的絶縁性を有する材料である。
また、第1のインクジェットヘッド16aは、図4中X矢印方向に移動して画素電極10上に至ったときは、そのノズル17からは第1インク滴I1を吐出せずに画素電極10上をそのまま通り過ぎて移動するように予め設定されている。さらに、第1のインクジェットヘッド16aは、図4中X矢印方向に移動しながら一列分の第1インク滴I1を吐出し終えた後、図4中右隅の表示領域R内の同画素電極10が形成されていない位置に至ると、再度、左隅の表示領域R内の同画素電極10が形成されていない位置に戻る。そして、第1のインクジェットヘッド16aは、図示しないガイド部材に導かれて反Y矢印方向に所定量移動した後、再び、図4中X矢印方向に沿って延設された第1ガイドレールG1に導かれて移動しながら前記第1インク滴I1を吐出するように予め設定されている。
そして、第1のインクジェットヘッド16aを前記ホームポジションから第1ガイドレールG1に沿って移動させながら第1インク滴I1を吐出する。そして、一列分の第1インク滴I1を吐出し終えると、一旦ホームポジションに戻り、図示しないガイド部材に導かれて反Y矢印方向に所定量移動する。そして、再び、第1ガイドレールG1に導かれて移動しながら前記第1インク滴I1を吐出する。
また、第1のインクジェットヘッド16aから吐出される第1インク滴I1の量は、その回路形成層Sb上に配置されたときの第1インク滴I1の高さが、画素電極10の膜厚に比べて十分に高くなるような量となるように設定されている。
図5(a)は、回路形成層Sb上の一部に第1インク滴I1が配置された場合の基板S(回路形成層Sb)の上面図であり、図5(b)は、図5(a)中のc−c線での断面図である。
図5(a),(b)に示すように、回路形成層Sb上の表示領域R内であって画素電極10以外の領域に、第1インク滴I1が配置される。尚、図5(a)に示すように、インク滴I1が配置された領域を点ハッチングによって表わしている。
また、図5(b)に示すように、回路形成層Sb上に配置されたゲル状の第1インク滴I1は、回路形成層Sb上全面に濡れ広がらず局在し、且つ画素電極10の周囲を囲むように配置される。このとき、回路形成層Sb上に配置された第1インク滴I1の高さhが、画素電極10の膜厚Toに比べて十分に高くなっている。
その後、順次、第1のインクジェットヘッド16aがX矢印方向に移動しながら第1インク滴I1を回路形成層Sb上に吐出する。
図6(a)は、回路形成層Sb上に二列分の第1インク滴I1が配置された場合の基板S(回路形成層Sb)の上面図であり、図6(b)は図6(a)中のd−d線での断面図である。図6(a),(b)に示すように、各一列分の第1インク滴I1を吐出し終えると、第1のインクジェットヘッド16aは、前記と同様にして、一旦左隅に移動し、その後、図示しないガイド部材に導かれてさらに反Y矢印方向に所定量移動する。続いて、再び、第1ガイドレールG1に導かれて移動しながら前記第1インク滴I1を順次吐出する。
以降、前記と同様にして第1のインクジェットヘッド16aのノズル17から第1インク滴I1を吐出すると、図7に示すように、回路形成層Sb上の表示領域R内であって画素電極10以外の領域に第1インク滴I1が配置される。前記したように、第1インク滴I1はその高さhが、画素電極10の膜厚Toに比べて十分に高いので、各第1インク滴I1が各画素電極10を囲むようにして配置される。この結果、第1インク滴I1によって画素電極10が形成された前記画素形成領域2が区画形成される。
次に、図8(a)に示すように、回路形成層Sb上に配置された第1インク滴I1が未だゲル状の状態において、図8(a)中左端側に区画形成された画素形成領域2の画素電極10の上側(図8(b)中Z矢印方向側)に注入層形成用インクジェットヘッド11Hを配置する。
注入層形成用インクジェットヘッド11Hは、図8(a)中X矢印方向に沿って延設されたガイドレールFに導かれて、表示領域R内をX矢印方向に移動しながら、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、即ち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液Isを、そのノズル11aから画素電極10上へ吐出するインクジェットヘッドである。また、注入層形成用インクジェットヘッド11Hは、表示領域R内の画素電極10以外の領域上に至ったときは前記分散液Isを吐出しないように予め設定されている。
そして、注入層形成用インクジェットヘッド11Hは、図8(a)中左端側に形成された画素電極10上へ分散液Isを吐出した後、右隣に隣接する画素電極10上へ順次分散液Isを吐出してく。
図8(b)は、図8(a)中のe−e線での断面図である。図8(b)に示すように、注入層形成用インクジェットヘッド11Hは、左端側に形成された画素電極10上に分散液Isを吐出する。このとき、分散液Isが吐出された画素電極10は、その周囲が同画素電極10の膜厚Toに比べて高く配置された第1インク滴I1によって囲まれている。また、分散液Isは、極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成され、第1インク滴I1は、非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールで構成されている。これより、吐出された分散液Isは、第1インク滴I1とは混じり合わない。
従って、画素電極10上に配置された液状の分散液Isは、第1インク滴I1によって堰き止められ同画素電極10以外の領域に濡れ広がることはない。このようにして、第1インク滴I1は分散液Isに対して隔壁(バンク)として機能することになる。
図9(a)は、一列分の各画素電極10上に分散液Isを配置しているときの説明図であり、図9(b)は、図9(a)中のf−f線での断面図である。,
図9(a),(b)に示すように、隣接した画素電極10上へ分散液Isを順次吐出して、一列分の各画素電極10上に分散液Isを吐出し終えると、注入層形成用インクジェットヘッド11Hは、一旦左隅に移動する。そして、図示しないガイド部材に導かれてさらに反Y矢印方向に所定量移動する。続いて、再び、ガイドレールFに導かれて移動しながら前記分散液Isを順次吐出する。
以降、前記と同様にして注入層形成用インクジェットヘッド11Hが分散液Isを吐出すると、図10に示すように、全ての画素電極10上に分散液Isが順次配置される。
次に、表示領域R内の画素電極10以外の領域にゲル状の第1インク滴I1が、また、画素電極10上に液状の分散液Isが、それぞれ配置された状態で、その基板Sを乾燥させる。
図11は、基板Sを乾燥した後の状態を説明するための図である。図11に示すように、第1インク滴I1からその溶媒が取り除かれることで、表示領域R内の画素電極10以外の領域にイソプロピルビフェニールが定着しその断面が台形状を成す固形形態のバンクBが形成される。また、分散液Isからその溶媒が取り除かれることで、全ての画素電極10上に正孔注入層11が形成され、定着する。
次に、先に形成したバンクB上に、前記と同様にして、液状の第1インク滴I1を配置する。即ち、図12(a),(b)に示すように、前記第1のインクジェットヘッド16aを使用して、同インクジェットヘッド16aを図12中X矢印方向に移動させながら、正孔注入層11以外の表示領域R上の領域に第1インク滴I1を配置する。図12(a)は、回路形成層Sb上の一部に第1インク滴I1が配置された場合の基板S(回路形成層Sb)の上面図であり、図12(b)は図12(a)中のg−g線での断面図である。
図12(b)に示すように、回路形成層Sb上に配置されたゲル状の第1インク滴I1は、前記と同様に、回路形成層Sb上全面に濡れ広がらず局在し、且つ正孔注入層11の周囲を囲むように配置される。尚、図12(a)において、インク滴I1が配置された領域を点ハッチングによって表わしている。
次に、図13(a),(b)に示すように、バンクB上に配置された第1インク滴I1が未だゲル状の状態において、その第1インク滴I1によって区画形成された表示領域R内の正孔注入層11うち、図13(a)中左端側に形成された正孔注入層11の上側(図13中Z矢印方向側)に赤色用インクジェットヘッド16Rを配置する。
赤色用インクジェットヘッド16Rは、図13(a)中X矢印方向に沿って延設された第2ガイドレールG2に導かれて、表示領域R内をX矢印方向に移動しながら、本実施形態においては、赤色の光を発する水溶性の有機物発光材料であるPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)を所定の溶媒に溶解または分散させた液状の赤色用インク滴IRをそのノズル17Rから正孔注入層11上へ吐出するインクジェットヘッドである。また、赤色用インクジェットヘッド16Rは、表示領域R内の正孔注入層11以外の領域上に至ったときは赤色用インク滴IRを吐出しないように予め設定されている。
そして、赤色用インクジェットヘッド16Rは、図13(a)中左端側に形成された正孔注入層11上へ赤色用インク滴IRを吐出した後、隣接する2つの正孔注入層11を通り越して、左端側に形成された正孔注入層11から数えて4つ目の正孔注入層11上へ赤色用インク滴IRを再度吐出する。その後、赤色用インクジェットヘッド16Rは、その赤色用インク滴IRを吐出した正孔注入層11から数えて4つ目の正孔注入層11上へ赤色用インク滴IRを再度吐出する。つまり、赤色用インクジェットヘッド16Rは、図13(a)中左端側に形成された正孔注入層11から数えて3正孔注入層毎にその正孔注入層11上へ赤色用インク滴IRを吐出する。
図13(b)は、図13(a)中のh−h線での断面図である。図13(b)に示すように、赤色用インクジェットヘッド16Rは、左端側に形成された正孔注入層11上に赤色用インク滴IRを吐出する。このとき、赤色用インク滴IRが吐出された正孔注入層11は、その周囲が同正孔注入層11の膜厚に比べて十分高く配置された第1インク滴I1によって囲まれている。また、赤色用インク滴IRは、極性溶媒すなわち水溶性溶媒で構成された液状のインク滴である。従って、イソプロピルビフェニールで構成されたゲル状の第1インク滴I1とは混じり合わない。
また、第1インク滴I1を構成するイソプロピルビフェニールは、その比重が赤色用インク滴IRを構成するPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)に比べて大きい。これにより、赤色用インク滴IRが、第1インク滴I1と先に形成されたバンクBとの境界に染み込み、第1インク滴I1を同赤色用インク滴IR上に浮き上がらせることはない。
従って、正孔注入層11上に配置された液状の赤色用インク滴IRは、第1インク滴I1によって堰き止められ同正孔注入層11以外の領域に濡れ広がることはない。このようにして、第1インク滴I1は赤色用インク滴IRに対して隔壁(バンク)として機能することになる。
その後、前記したように、図13(a)中左端側に形成された画素電極10から数えて3画素電極毎にその画素電極10上へ赤色用インク滴IRを順次吐出して、図14(a),(b)に示すように、一列分の所定の正孔注入層11上に赤色用インク滴IRを吐出し終えると、赤色用インクジェットヘッド16Rは、一旦左隅に移動する。尚、図14(b)は、図14(a)中のi−i線での断面図である。
そして、図示しないガイド部材に導かれてさらに反Y矢印方向に所定量移動する。続いて、再び、第2ガイドレールG2に導かれて移動しながら前記赤色用インク滴IRを順次吐出する。
以降、前記と同様にして赤色用インクジェットヘッド16Rが赤色用インク滴IRを吐出すると、図15に示すように、左端側に形成された正孔注入層11から数えて3画素電極毎の正孔注入層11上に赤色用インク滴IRが順次配置され、その結果、赤色用インク滴IRが基板S(回路形成層Sb)上にストライプ状に配置される。
その後、前記と同様にして、図16(a)に示すように、緑色の光を出射する水溶性の有機物発光材料を所定の溶媒に溶解または分散させた液状の緑色用インク滴IGを、左端側に形成された正孔注入層11の1つ右隣にある正孔注入層11、及び、その正孔注入層11から数えて3正孔注入層毎の正孔注入層11上に順次吐出する。
また、同様にして、青色の光を出射する水溶性の有機物発光材料を所定の溶媒に溶解または分散させた液状の青色用インク滴IBを、左端側に形成された正孔注入層11の2つ右隣にある正孔注入層11、及び、その正孔注入層11から数えて3正孔注入層毎の正孔注入層11上に順次吐出する。
図16(b)は、図16(a)中のj−j線での断面図である。図16(b)に示すように、各緑及び青色用インク滴IG,IBが配置された正孔注入層11は、その周囲が同正孔注入層11の膜厚に比べて高くなるようにして配置された第1インク滴I1によって囲まれている。また、緑及び青色用インク滴IG,IBは、前記赤色用インク滴IRと同様に、水溶性の有機物発光材料である液状のインク滴であって、イソプロピルビフェニールで構成されたゲル状の第1インク滴I1と混じり合わない。
さらに、第1インク滴I1を構成するイソプロピルビフェニールは、その比重が緑及び青色用インク滴IG,IBを構成するPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)に比べて大きい。これにより、緑及び青色用インク滴IG,IBが、第1インク滴I1と回路形成層Sbとの境界に染み込み、第1インク滴I1を同緑及び青色用インク滴IG,IB上に浮き上がらせることはない。
従って、正孔注入層11上に配置された液状の緑及び青色用インク滴IG,IBは、前
記赤色用インク滴IRと同様に、第1インク滴I1によって堰き止められ同正孔注入層11以外の領域に濡れ広がることはない。このようにして、第1インク滴I1は、緑及び青色用インク滴IG,IBに対しても隔壁(バンク)として機能することになる。
次に、表示領域R内の画素電極10以外の領域にゲル状の第1インク滴I1が、画素電極10上に液状の赤、緑または青色用インク滴IR,IG,IBが配置された状態で、再度、その基板Sを乾燥させる。
図17は、基板Sを乾燥した後の状態を説明するための図である。図17に示すように、第1インク滴I1、赤、緑または青色用インク滴IR,IG,IBのそれぞれから各溶媒が取り除かれる。そして、第1インク滴I1からその溶媒が取り除かれることで、表示領域R内の画素電極10以外の領域にイソプロピルビフェニールが定着しバンクBが形成される。また、赤色用インク滴IRからその溶媒が取り除かれることで、所定の画素電極10上に赤色の光を出射するPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)からなる赤色用発光層12Rが定着する。同様に、緑色用インク滴IGからその溶媒が取り除かれることで、所定の画素電極10上に緑色の光を出射するPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)からなる緑色用発光層12Gが定着する。さらに、同様に、青色用インク滴IBからその溶媒が取り除かれることで、所定の画素電極10上に青色の光を出射するPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)からなる青色用発光層12Gが定着する。
また、第1インク滴I1、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBから各溶媒を取り除くことで、その各インク滴I1,IR,IG,IBの体積が小さくなるので、それに伴って、第1インク滴I1を乾燥して得られるバンクBの膜厚(高さ)は、インク滴I1の高さhに比べて低くなる。
このとき、バンクBの膜厚(高さ)が、各赤、緑または青色用発光層12R,12G,12Bの膜厚と正孔注入層11の膜厚との和に等しくなるように、第1インク滴I1に含まれるイソプロピルビフェニールの量を予め設定した。これにより、バンクBの膜厚(高さ)と、各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bと正孔注入層11との膜厚の総和とが、一致する。従って、各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bと、バンクBとの段差を無くし平坦にすることが可能となる。
このように、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを正孔注入層11上に配置させる際は、第1インク滴I1はゲル状であるので、その高さhは高くなるが、基板Sを乾燥させると、各溶媒が取り除かれるので赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBは高さhが低くなり、固化してバンクBとなる。このことから、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを吐出する際は、第1インク滴I1は隔壁(バンク)として機能し、一度に多量の赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを所定の画素形成領域2の正孔注入層11上に配置させることが可能である。
また、第1インク滴I1と赤、緑または青色用インク滴IR,IG,IBとを、同時に乾燥させることで、バンクBと各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bとを同時に形成する。この結果、バンクBと各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bとを別々に乾燥させて製造するようにした場合に比べてその製造時間がより短くなる。
その後、陰極14として、2nmのLiF層、20nmのCa層及び200nmのAl層を、例えば真空加熱蒸着で積層形成する。このとき、バンクBと各赤、緑または青色用発光層12R,12G,12Bとは平坦であるので、陰極14の付きまわりが悪くなったり、断線が生じたりせず、陰極14と、各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12
Bとが密着して接続される。従って、陰極14と、各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bとの電気的接続は良好となる。
その後、乾燥した空間Foを介して、最後にエポキシ樹脂で構成された封止部材FBにより封止を行う。これにより、ディスプレイ部DSが作製される。最後に、別途作製されたデータ線駆動回路6及び制御回路7を備えたフレキシブル回路基板FCをディスプレイ部DSに接続して、有機ELディスプレイ1を製造する。
こうして、陰極14と各赤、緑または青色用発光層12R,12G,12Bとの電気的接続が良好な有機ELディスプレイ1を製造することができた。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、回路形成層Sb上の表示領域R内であって画素電極10以外の領域に、非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールで構成されたゲル状の第1インク滴I1を配置した。また、画素電極10上に、水溶性の有機物発光材料である3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、即ち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液Isを配置した。従って、第1インク滴I1と、分散液Isとは、混じり合うことはないので、第1インク滴I1を隔壁(バンク)として使用して、分散液Isを配置された画素電極10上に局在させることができる。
そして、その第1インク滴I1及び分散液Isを同時に乾燥させることで、各画素電極10上に正孔注入層11を形成することができる。
(2)本実施形態によれば、回路形成層Sb上の表示領域R内であって正孔注入層11以外の領域に、非極性溶媒すなわち親油性溶媒であるイソプロピルビフェニールで構成されたゲル状の第1インク滴I1を配置した。また、正孔注入層11上に、水溶性の有機物発光材料であるPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene)で構成された液状の赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを配置した。従って、第1インク滴I1と、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBとは、混じり合うことはないので、第1インク滴I1を隔壁(バンク)として使用して、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを配置された画素電極10上に局在させることができる。
また、従来のように、リソグラフィー処理を行うことで固形の隔壁(バンク)を形成する必要はなく、隔壁(バンク)としての第1インク滴I1の配置に連続して赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを配置することができるので、有機ELディスプレイの製造時間を短くすることができる。
(3)本実施形態によれば、第1インク滴I1、及び、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBが配置された状態で乾燥させることで、第1インク滴I1をその高さが低いバンクBにさせて、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Gとの段差が無く平坦にさせることができる。これにより、バンクBによる段差が低減できるため、赤、緑及び青色用発光層12R,12G、12B上に形成される陰極14を比較的平坦な面に形成できる。この結果、陰極14をバンクB及び赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Gに密着させることができるので、陰極14と各赤、緑または青色用発光層12R,12G,12Bとの電気的接続を良好にさせることができる。
(4)本実施形態によれば、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを吐出する際は、第1インク滴I1の高さは高く、基板Sを乾燥させて赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12B上に陰極14を形成する際は、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBの高さが低くなりバンクBとして使用される。従って、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを吐出する際は、バンクの高さが高いので、隣接する画素形成領域2内の画素電極10上に赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBが入り込むことなく、一度に
多量の赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを所定の画素形成領域2の画素電極10上に配置させることができる。
(5)本実施形態によれば、第1インク滴I1を、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBの比重より大きな比重の材料で構成した。従って、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBが、第1インク滴I1と先に形成されたバンクBとの境界に染み込み、第1インク滴I1を各赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IB上に浮き上がらせることはない。この結果、画素電極10上に配置された液状の赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを、第1インク滴I1によって確実に堰き止めることができる。
(第2実施形態)
次に、第1実施形態で説明した電気光学装置としての有機ELディスプレイ1の電子機器の適用について図18に従って説明する。
図18は、電子機器の一例たる携帯電話の表示部に適用した例を示す携帯電話の斜視構成図である。図18において、この携帯電話60は、有機ELディスプレイ1を用いた表示ユニット64と、複数の操作ボタン61とを備えている。この場合でも、有機ELディスプレイ1を用いた表示ユニット64は、その陰極と発光層との電気的接続が良好である。従って、携帯電話60の歩留まりを向上させることができる。
尚、特許請求の範囲に記載の電気光学装置は、本実施形態においては、有機ELディスプレイ1に対応している。また、特許請求の範囲に記載のバンクは、本実施形態においては、第1インク滴I1に対応している。さらに、特許請求の範囲に記載の電気光学層または発光層は、本実施形態においては、赤色用発光層12R、緑色用発光層12G、または青色用発光層12Bに対応している。さらにまた、特許請求の範囲に記載の薄膜材料は、本実施形態においては、赤、緑または青色用インク滴IR,IG,IBに対応している。
尚、発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記各実施形態では、第1インク滴I1を撥液性有機物絶縁材料で構成し、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを水溶性の有機物発光材料で構成した。そうではなく、第1インク滴I1を水溶性有機物絶縁材料で構成し、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを撥液性の有機物発光材料で構成してもよい。要は、第1インク滴I1を構成する材料と、赤、緑及び青色用インク滴IR,IG,IBを構成する材料とが混じり合わないようにすればよい。
○上記各実施形態では、電気光学装置を有機ELディスプレイ1に適応したが、これ限定されるものではなく、インクジェット方式を用いて製造されるディスプレイであればどのようなものに適応してもよい。
本発明の有機ELディスプレイの上面図である。 ディスプレイ部の図1中a−a線での断面図である。 有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図3(a)中のb−b線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図5(a)中のc−c線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図6(a)中のd−d線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図8(a)中のe−e線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図9(a)中のf−f線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図12(a)中のg−g線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図13(a)中のh−h線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図14(a)中のi−i線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図であり、(b)は、図16(a)中のj−j線での断面図である。 同じく、有機ELディスプレイの製造方法を説明するための図である。 電子機器の一例たる携帯電話の表示部に適用した例を示す携帯電話の斜視構成図である。
符号の説明
I1…バンクとしての第1インク滴、IB…薄膜材料としての青色用インク滴、IG…薄膜材料としての緑色用インク滴、IR…薄膜材料としての赤色用インク滴、Is…電気光学層としての正孔注入層、R…表示領域、S…基板、1…電気光学装置としての有機ELディスプレイ、12R…電気光学層または発光層としての赤色用発光層、12G…電気光学層または発光層としての緑色用発光層、12B…電気光学層または発光層としての青色用発光層、60…電子機器としての携帯電話。

Claims (5)

  1. 電気光学装置の製造方法において、
    基板上の表示領域に液状若しくはゲル状のバンクを形成する工程と、
    前記バンクにて区画形成された各画素形成領域内に、液状若しくはゲル状の電気光学層を構成する薄膜材料を配置する工程と、
    前記液状若しくはゲル状のバンク、及び前記薄膜材料を乾燥させる工程と
    を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の電気光学装置の製造方法において、
    前記バンクは、前記薄膜材料よりもその比重が大きく、且つ薄膜材料に対して撥液性であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の電気光学装置の製造方法において、
    前記バンク及び前記薄膜材料を、同時に乾燥するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電気光学装置の製造方法において、
    前記電気光学層は、発光層であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電気光学装置の製造方法を使用して製造された電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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