JP2005292963A - 炎感知器 - Google Patents

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貴俊 山岸
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Abstract

【課題】 室内環境等において効率よく炎を検出することを可能にした炎感知器を提供する。
【解決手段】 赤外線センサ13と、赤外線センサ13の出力信号における炎のゆらぎ成分の周波数帯域を選択的に増幅する増幅部16とを備えた炎感知器において、増幅部16の選択的に増幅する周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzに設定した。
【選択図】 図1

Description

本発明は炎感知器に関し、特に、建物の室内や移動体の室内等の環境に設置される炎感知器に関する。
従来の炎感知器には、焦電センサの出力信号の内、数〜20Hz程度の炎の揺らぎ周波数成分をする増幅部が設けられており(例えば特許文献1)、その周波数成分の中心周波数は概ね6〜8Hz程度であった。
特開2001−356047号公報
近年、炎感知器を船舶等の移動体の室内環境に設置したいという要望があり、発明者らは、室内環境を想定した火災実験を行ったところ、炎の揺らぎ周波数のピークは、概ね2〜5Hz内の範囲内であることがわかり、そのため、増幅部の中心周波数を2〜5Hzとすれば、効率よく炎を検出可能であることがわかった。
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、室内環境等において効率よく炎を検出することを可能にした炎感知器を提供することを目的とする。
本発明に係る炎感知器は、赤外線センサと、該赤外線センサの出力信号における炎のゆらぎ成分の周波数帯域を選択的に増幅する増幅部とを備えた炎感知器において、前記増幅部の選択的に増幅する周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定したものである。
また、本発明に係る炎感知器の増幅部はバンドパスフィルタを備え、該バンドパスフィルタの周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定したものである。
また、本発明に係る炎感知器は、建物の室内、移動体の室内又は風速の小さな環境に配置される。なお、風速の小さな環境とは、建物の室内又は移動体の室内と同程度に風速が小さい環境をいうものとする。
室内等の環境では炎のゆらぎ周波数は燃焼径に概ね反比例する。そのような環境下で炎の検出に特化すると、つまり、本発明においては、増幅部が選択的に増幅する周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定したので、増幅部の増幅する周波数帯域を狭くしても感度に影響はない。そして、増幅部のノイズは周波数帯域の平方根に比例して増加するので、炎感知器のS/Nが従来のものに比べて向上する。また、赤外線センサ(焦電センサ)は圧電センサでもあり、振動が加わるとノイズを発生する。振動による加速度は、周波数の2乗に比例して大きくなるので、中心周波数を従来の6〜8Hzから2Hz〜5Hzにしたため、振動ノイズの影響を効果的に排除できる。特に、炎感知器を船舶等の移動体の室内に配置した場合にはその効果が顕著である。
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る炎感知器の構成を示すブロック図である。なお、この炎感知器は例えば建物の室内、船舶等の移動体の室内等の風速の小さな箇所に配置されるものとする。この炎感知器は、光学波長フィルタ11及び焦電センサ12からなる赤外線センサ13を備えており、この赤外線センサ13はCO2共鳴放射の波長帯域(例えば4.5μm)の赤外線を受光して電気信号に変換して増幅器14に出力する。この増幅器14及びそれに後続するバンドパスフィルタ15は増幅部16を構成しており、増幅器14で増幅された信号はバンドパスフィルタ15でフィルタ処理されて、後述のように、炎のゆらぎ成分の周波数帯域の信号が出力される。バンドパスフィルタ15の出力は半波整流器17により半波整流されてマイクロプロセッサ30に入力する。また、この炎感知器は、光学波長フィルタ21及び焦電センサ22からなる赤外線センサ23を備えており、この赤外線センサ23はCO2共鳴放射の波長帯域に隣接した帯域(例えば5.0μm)の赤外線を受光して電気信号に変換して増幅器24に出力する。この増幅器24及びそれに後続するバンドパスフィルタ25は増幅部26を構成しており、増幅器24で増幅された信号はバンドパスフィルタ25でフィルタ処理されて炎のゆらぎ成分の周波数帯域の信号が出力される。バンドパスフィルタ25の出力は半波整流器27により半波整流されてマイクロプロセッサ30に入力する。なお、増幅器14,24はその感度ゲインが複数段階に切替可能に構成されているものとする。
マイクロプロセッサ30は、A/D変換器31、CPU32、RAM33、ROM34、タイマ35、低速クロック36、高速クロック37及びI/O(入出力)回路38を備えており、半波整流器17,27の出力をA/D変換器31を介して取り込んで、後述のような各種の演算処理を行って炎が発生しているかどうかを検出し、炎判別する。マイクロプロセッサ30の高速クロック37は、後述のように、初期設定をするときと、サンプリング処理をするときにそれぞれオン制御される。マイクロプロセッサ30は、I/O回路38を介して感度設定部41、火災信号発生部42及びゲイン切替器43と接続されている。感度設定部41は増幅器14及び24のゲインの初期値を設定するためのものであり、火災信号発生部42は、CPU32が炎判別したときに、その検出信号を受信して火災信号を発生して出力するためのものである。また、ゲイン切替器43はCPU32の制御指令に従って増幅器14及び24のゲインを連動して切り替えるための処理をする。
なお、図1の赤外線センサ13,23は本発明の赤外線センサに相当し、増幅部16,26は本発明の増幅部に、バンドパスフィルタ15,25は本発明のバンドパスフィルタにそれぞれ相当する。
次に、図1の炎感知器の増幅部16,26の周波数特性について説明する。
図2は本実施形態1の増幅部16のゲインと従来の増幅部のゲインとの対比を示した特性図である。従来の増幅部は周波数に対して幅広なゲイン特性を有し、また、その中心周波数が概ね6Hz〜8Hzに設定されているが、本実施形態の増幅部16はその配置箇所が室内に特化されているので、そのゲイン特性は周波数に対して幅狭なゲイン特性となっており、また、その中心周波数が2Hz〜5Hzの範囲に設定されている。以下、このようなゲイン特性にした理由を説明する。
図3(a)(b)は室内での炎のパワースペクトル(焦電センサにより得られたゆらぎスペクトル)を示した特性図であり、同図(a)は7cmの火皿の例であり、同図(b)は0.1m2(直径33cm)の例である。これらの特性から比較的低い周波数においてピーク値(最大値)が現れることが分かる。
図4は炎の大きさとピーク値(最大値)が現れる周波数(ゆらぎピーク周波数)との関係を示した特性である。ゆらぎピーク周波数は、7cmの火皿から2m位までの火皿はその直径の1/2乗に反比例する。したがって、本実施形態1においては、増幅部16,26の周波数帯の中心周波数が2Hz〜5Hzの範囲に設定されている。具体的には、バンドパスフィルタ15,25のフィルタ特性の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定することにより実現している。
図5(a)(b)(c)は、火皿燃焼時のパワースペクトル、増幅部16のゲイン特性及び増幅部16の出力を示した特性図である。同図(a)に示されるように、火皿燃焼時のパワースペクトルのピーク値は周波数0Hz付近及び2.5Hz付近にそれぞれ現れるが、同図(b)に示されるようなゲイン特性の増幅部16により増幅することにより、同図(c)に示されるような特性が得られる。即ち、2.5Hz付近にピーク値のあるデータが得られる。なお、増幅部26のゲイン特性は上記の増幅部16のゲイン特性と同一である。
図6は増幅部16の出力波形を示したタイミングチャートである。赤外線センサ13,23の出力は、上述のように、増幅部16,26によりそれぞれ増幅された後に、半波整流器17,27により半波整流されてマイクロプロセッサ30に入力される。図6において、増幅部16の出力波形は上側が負電圧側であり、半波整流器17により負電圧側が整流されており、取り込みレベルよりも負電圧側のデータDAがA/D変換され、サンプリングされてデータDAとして取り込まれる。そして、取り込みレベルよりも負電圧側になり、次に取り込みレベルよりも正電圧側になる直前の1群のデータDAを波形データセットHDAとする。例えばデータDA1〜DA7、DA8〜DA14をそれぞれ波形データセットHDA1、HDA2とする。また、図示しないが、増幅部26の出力波形も、半波整流器27により負電圧側が整流されており、負電圧側のデータDBがA/D変換され、サンプリングされてデータDBとして取り込まれる。そして、各波形データセットHDA(例えば、HDA1、HDA2)に対応する同時刻の各1群のデータDB(例えば、データDB1〜DB7、DB8〜DB14)を各波形データセットHDB(例えば、HDB1、HDB2)とする。この各波形データセットHDA及びHDBをそれぞれデータの単位として後述のように、炎判別のためのデータとして用いる。
図7及び図8はCPU32による演算処理(データの取込・炎判別)の過程を示したフローチャートである。まず、CPU32は電源投入時に高速クロック37をオンし(S11)、各種の初期設定を行う(S12)。初期設定の内容としては、マイクロプロセッサ30の入出力ポートの設定、レジスタの初期化、RAM33のクリアなどである。初期設定が終わると、高速クロック37をオフにし(S13)、タイマ35にサンプリング時間(時間間隔)を設定する(S14)。次に、CPU32は低速クロック36をオンにし(S15)、タイマ35に設定されたサンプリングの時間が到来するのを待機する(S16)。タイマ35に設定されたサンプリング時間が到来すると、高速クロック37をオンにするとともに、A/D変換器31の電源をオンにする(S17)。これにより、A/D変換器31は半波整流器17,27により半波整流されて入力してきた信号をA/D変換し、CPU32はA/D変換器31によりA/D変換された信号(データDA,DB)をサンプリングして取り込んでRAM33に格納する(S18)。このとき、CPU32は高速クロック37に基づいて処理をするので、サンプリングして取り込んでRAM33に格納するまでの処理は短時間に終わる。次に、CPU32は、高速クロック37をオフにするとともにA/D変換器31の電源をオフにする(S19)。即ち、サンプリングが終了した後は低速クロック36によるクロックによって処理をすることになる。
CPU32は半波整流器17から取り込んだデータDAが飽和しているかどうかを判断する(S20)。ここで、半波整流器17からの入力電圧が負電圧側を整流したものであるので、データDAが第1の所定のレベル(飽和レベル)以下であるかどうかに基づいて判断することになる。データDAが飽和していると判断した場合には、増幅器14のゲインが下げられるかどうかを判断する(S21)。前記の判断(S21)において、増幅器14のゲインが下げられないという判断したときには、最低感度ゲインにおいてデータDA(レベル)が飽和しているとして、RAM33のフラグ(飽和)をセットする(S22)。また、増幅器14のゲインが下げられるという判断したとき、即ち、増幅器14(24)のゲインが最低感度ゲインにまだ設定されていない場合には、ゲイン切替器43に制御指令を送って増幅器14,24のゲインを1段階下げさせる(S23)。そして、そのデータDAは上記のように飽和しているので、そのデータDAが含まれる波形データセットHDA及びこの波形データセットHDAに対応する同時刻の波形データセットHDBを破棄する(S24)。
次に、CPU32は、そのデータDAが取り込みレベルにあるかどうかを判断する(S25)。ここでは、データDAが負電圧側を整流したものであるので、図6の取り込みレベル以下であるかどうかに基づいて判断することになる。CPU32は、そのデータDAが取り込みレベル以下ではないと判断すると、前回のサンプリングのデータDAが取り込み可能なレベルであったかどうかを判断し(S26)、前回も取り込み可能なレベルでないという判断をしたときには、次のサンプリング処理に移行するために、上記の処理(S16)に移行する。
CPU32は、前回は取り込み可能なレベルであったという判断をしたときには、このデータDA及びDBの段階で、波形データセットHDA及びHDBは完了する(S27)。図6の例では、例えばデータDA7を取得した後のデータDAを取得したときの処理がこれに該当する。なお、フラグ(飽和)のセット状態のときには、この波形データセットHDAに対してフラグ(飽和)のセット状態が記憶される。そして、その波形データセットHDA(例えばHDA1)が例えば第2の所定のレベルを超えているかどうかを判断する(S28)。即ち、ここではデータDAが負電圧側に整流したものであるので、第2の所定のレベルより正電圧側の値になっているかどうかを判断し、正電圧側の値になっている場合には、次に、増幅器14(24)のゲインがまだ上げられるかどうかを判断し(S29)、ゲインがまだ上られる状態の場合にはゲインを例えば1段階上げさせる(S30)。
また、上記の判断(S25)において、データDAが取り込みレベル以下であると判断された場合には、次に、このデータDAが波形の途中であるかどうかを判断する(S31)。波形の途中であるという判断をした場合には、そのデータDA及びDBを波形データセットHDA及びHDBに追記(追記記憶)する(S32)。図6の例では、例えばデータDA1を所得した後にDA2を所得したときが該当する。そして、次のサンプリング処理に移行するために、上記の処理(S16)に移行する。上記の判断(S31)において、波形の途中でないという判断をした場合には、新しい波形データセットHDA及びHDBを作成する(S33)。図6の例では、例えばデータDA1、DA8を所得したときが該当する。そして、RAM33に記憶された波形データセットHDA及びHDBの数が所定数を超えている場合には、一番古い波形データセットHDA及びHDBを破棄し、判断対象となる波形データセットHDA及びHDBの数を一定にする(S34)。そして、次のサンプリング処理に移行するために、上記の処理(S16)に移行する。
CPU32は、上記の処理(S28)〜(S30)が終了すると、つまり、波形データセットHDA及びHDBの取り込みが完了する度に、炎が発生したかどうか、即ち火災が発生したかどうかを波形データセット(HDA1、HDA2、…及びHDB1、HDB2…)に基づいて判断する(S35)。火災が起きていないという判断をしたときには上記の処理(S16)に移行する。なお、このときに、RAM33のフラグ(飽和)のセットを解除する。また、火災が起きたという判断をしたときには、火災信号をI/O回路38を介して火災信号発生部42に出力することになる(S36)。
CPU32は、火災が起きたかどうかを波形データセット(HDA1、HDA2、…及びHDB1、HDB2…)に基づいて判断するが(S35)、このときには例えば次のような判断処理を行う。
(1)CPU32は、上記のフラグ(飽和)がセットされてない(データDAが飽和していない)場合には、RAM33に記憶された同時刻における増幅部16及び増幅部26における波形データセットHDA及びHDBに対して、以下の(a)〜(c)に示す複数の炎判定条件による炎判定を行って、複数の炎判定条件を満たした場合に炎が発生したと判定する。
(a)増幅部16の波形データセットHDAの積分値が第1の所定のしきい値以上。なお、波形データセットHDAの積分値とは、例えば、波形データセットHDA1においては、この波形データセットHDA1を構成するデータDA1〜DA7の加算値である。
(b)増幅部16及び増幅部26における波形データセットHDA及びHDBの積分値の相対比が第2の所定のきい値以上。なお、波形データセットHDA及びHDBの積分値の相対比とは、例えば、波形データセットHDA1及びHDB1においては、この波形データセットHDA1を構成するデータDA1〜DA7の加算値と、この波形データセットHDB1を構成するデータDB1〜DB7の加算値との比である。
(c)増幅部16における波形データセットHDAのサンプリング個数が炎の揺らぎ周波数に相当する範囲内である。
(2)CPU32は、上記のフラグ(飽和)がセットされている(データDAが飽和している)場合には、RAM33に記憶された増幅部16の波形データセットHDAを用いて、その周期が炎の揺らぎ周波数に相当する範囲内であるか否かによって炎判定を行う。なお、波形データセットHDAの周期の算出には波形データセットHDAのサンプリング個数が用いられる。
以上のように本実施形態1によれば、増幅部16,26が選択的に増幅する周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定したので、室内等の環境での炎のゆらぎ周波数に対応したものとなっており、炎感知器のS/Nが従来のものに比べて向上しており、また、振動による加速度は周波数の2乗に比例して大きくなるが、中心周波数を従来の6〜8Hzから2Hz〜5Hzにしたので、振動の影響を効果的に排除でき、特に、炎感知器を船舶等の移動体の室内に配置した場合の効果は顕著である。
また、CPU32は増幅部16及び26を最低感度ゲインに切り換え制御したときに、その出力が飽和してしまった場合でも(前記した相対比が正確に算出できなくても)、波形データセットHDAの周期が炎の揺らぎ周波数の範囲内にあるかどうかに基づいて判別しているので、正確に炎判別できる。また、増幅部16の波形データセットHDAの周期を算出するのに、そのサンプリング個数を用いるだけなので、簡単な演算処理で済む。なお、従来の問題点、即ち炎特有のゆらぎ周波数の特徴を検出するために出力波形データの周波数解析を行う場合に、時系列の出力波形データが飽和により波形が歪んで正確に得られなくなるため、正確な周波数解析の結果が得られないという問題点に対して、本実施形態1によれば正確な結果を得ることが可能である。
また、本実施形態1においては、上記した(a)〜(c)に示される複数の炎判定条件による炎判定を行うので、高精度に炎判別できる。また、複数の炎判定条件を満たす波形データセットHDA及びHDBが例えば所定時間T(図6)内に所定数以上ある場合に、炎が発生していると判別するようにすれば、炎判別がより高精度にできる。またこのときに、前記複数の炎判定条件を満たす波形データセットHDAのサンプリング個数のそれぞれが炎の揺らぎ周波数に相当する範囲内でばらついていることにより、炎が発生していると判別することで、回転灯などの周期性誤報源と炎とを識別可能となる。
また、本実施形態1においては、マイクロプロセッサ30は、クロック供給源として、低速クロック36と高速クロック37とを備え、A/D変換動作時においては高速クロック37を用い、炎検出処理動作においては低速クロック36を用いるようにしている。A/D変換器31はそのA/D変換動作を行うときには、内蔵されている基準抵抗に流れる電流が大きいため消費電力が大きく、そのため、早急に終了させれば消費電力が低減できるので、本実施形態1においては、A/D変換動作時においては高速クロック37を用い、A/D変換動作を短時間で終了させるようにしており、低消費電力化を可能にしている。なお、マイクロプロセッサ30の消費電力はクロック周波数が高くなるにつれて増加するが、その増加分は、A/D変換器31の消費電力に比べれば、些細なものであり、高速クロック37を用いない場合と比べて消費電力を低減できる。また、炎検出処理動作においては低速クロック36を用いることで、マイクロプロセッサ30の消費電力を増加させないようにしている。したがって、上記のように消費電力が低減するので、システム当たりの接続台数を多くすることができる。
また、本実施形態1においては、マイクロプロセッサ30は、電源投入時には高速クロック37を用いて初期設定を行うようにしており、通常システムに決められているピーク電流許容時間内でイニシャル処理を終了することができるので、イニシャル処理時の信号線のピーク電流を火災信号として火災受信機側で誤検出するおそれがなくなっている。
実施形態2.
図9は本発明の実施形態2に係る炎感知器の構成を示したブロック図である。この炎感知器は、図1の増幅器14及び24がそれそれ複数の直列に接続された増幅器14a〜14c及び増幅器24a〜24cからそれぞれ構成されている。
マイクロプロセッサ30は、増幅器14a〜14c及び増幅器24a〜24cの出力を全て取り込んで、上述の実施形態1と同様な処理をしており、例えば増幅器14aの出力が飽和状態になっていない場合には、上記の実施形態1の例と同様にして処理される。なお、増幅器14a〜14cの出力と増幅器24a〜24cの出力とを対比する場合には同一段階の増幅器同士の値を対比することになる。また、増幅器14aの出力が飽和状態になった場合には上述の実施形態1と同様に、増幅器14aの波形データセットHDAを用いて、その周期が炎の揺らぎ周波数に相当する範囲内であるか否かによって炎判定を行う。この場合においても、波形データセットHDAの周期の算出には波形データセットHDAのサンプリング個数が用いられる。
本実施形態2においては、増幅器を複数個直列に接続して構成したので、ゲインの異なるデータDA及びDBを同時に取り込むことが可能になっており、炎の動きは確率的であり、ゆらぎにも変動があるが、その変動に迅速に対応できる。
実施形態3.
なお、上述の実施形態2においては増幅器を3個直列に配置した例について説明したが、その個数を複数個であれば任意である。また、ゲインの異なる増幅器を複数並列に配置してもよい。また、炎の判別方法についても上記の例に限定されるものではなく、赤外線センサ13及び/又は23の出力を用いて適宜判断すればよい。また、図6において、半波整流器17,27により負電圧側を整流した例について説明したが、正電圧側を整流してもよい。
本発明の実施形態1に係る炎感知器の構成を示すブロック図である。 本実施形態1の増幅部のゲインと従来の増幅部のゲインとの対比を示した特性図である。 室内での炎のパワースペクトル(焦電センサにより得られたゆらぎスペクトル)を示した特性図である。 炎の大きさとピーク値(最大値)が現れる周波数(ゆらぎピーク周波数)との関係を示した特性図である。 火皿燃焼時のパワースペクトル、増幅部のゲイン特性及び増幅部の出力を示した特性図である。 増幅部の出力波形を示したタイミングチャートである。 CPUによる演算処理の過程を示したフローチャート(その1)である。 CPUによる演算処理の過程を示したフローチャート(その2)である。 本発明の実施形態2に係る炎感知器の構成を示したブロック図である。
符号の説明
13 赤外線センサ、14 増幅器、15 バンドパスフィルタ、16 増幅部、17 半波整流器、23 赤外線センサ、24 増幅器、25 バンドパスフィルタ、26 増幅部、30 マイクロプロセッサ、31 A/D変換器、36 低速クロック、37 高速クロック、38 I/O回路、41 感度設定部、42 火災信号発生部、43 ゲイン切替器。

Claims (3)

  1. 赤外線センサと、該赤外線センサの出力信号における炎のゆらぎ成分の周波数帯域を選択的に増幅する増幅手段とを備えた炎感知器において、前記増幅手段の選択的に増幅する周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定したことを特徴とする炎感知器。
  2. 前記増幅手段はバンドパスフィルタを備え、該バンドパスフィルタの周波数帯域の中心周波数を2Hz〜5Hzの範囲に設定したことを特徴とする請求項1記載の炎感知器。
  3. 建物の室内、移動体の室内又は風速の小さな環境に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の炎感知器。
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