JP2005292596A - レンチキュラーレンズシートおよびその製造方法 - Google Patents

レンチキュラーレンズシートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、感光性粘着剤層を用いて遮光部が形成されたレンチキュラーレンズシートであって、長期に使用した場合に感光性粘着剤層が黄変することがなく、かつ高精細な遮光部を形成することが可能な感光性粘着剤層を有するレンチキュラーレンズシートを提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、片面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートと、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に配置された感光性粘着剤層と、上記感光性粘着剤層上に形成されたストライプ状の遮光部と、上記遮光部上に配置された支持体とを有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートであって、上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするレンチキュラーレンズシートを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、感光性粘着剤を使用した透過型スクリーン用レンチキュラーレンズシートおよびその製造方法に関するものであり、特にLCD(Liquid Crystal Display)等の単光源に対応したファインピッチのレンチキュラーレンズシートおよびその製造方法に関するものである。
従来より、プロジェクションテレビ用等の透過型スクリーン用拡散シートにおいては、その表面をレンズ形状に加工することが行われている。このような透過型スクリーン用拡散シートでは、通常、透明ないし半透明の材料から形成されたシートの片方の面をレンチキュラー加工するとともに、シートのもう片方の面にはストライプ状の遮光部が形成されており、これによりシート内で発生する迷光等を遮光して、得られる画像のコントラストを向上させている。
このようなレンチキュラーレンズシートの遮光部を形成する方法としては、感光性粘着剤層上に遮光性トナーまたは黒インキを塗付し非露光部に粘着させ、露光によって粘着力が低下した部分を水洗するウェットプロセスが、例えば、特許文献1、特許文献2等に開示されている。しかしながら、これらの手法ではプロセスが煩雑であり、量産には不向きであった。一方、簡便なドライプロセス法としては、例えば、特許文献3、特許文献4.および特許文献5等に感光性樹脂を使用した方法が記載されている。
しかしながら、上記手法はいずれも光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を利用しており、残留開始剤及びその分解物に起因する着色や長期信頼性低下が問題になりやすい状況であった。
特開平8−254756号 特開平9−96871号 特許第3353659号 特開平9−120102号 特開2002−311578号
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、感光性粘着剤層を用いて遮光部が形成されたレンチキュラーレンズシートであって、長期に使用した場合に感光性粘着剤層が黄変することがなく、かつ高精細な遮光部を形成することが可能な感光性粘着剤層を有するレンチキュラーレンズシートを提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、片面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートと、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に配置された感光性粘着剤層と、上記感光性粘着剤層上に形成されたストライプ状の遮光部と、上記遮光部上に配置された支持体とを有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートであって、上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするレンチキュラーレンズシートを提供する。
本発明においては、感光性粘着剤層が光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有しているので、感光性粘着剤層自体に光重合開始剤を含有する必要がないことから、長期使用により感光性粘着剤層が黄変する恐れがなく、また低分子量物である光重合開始剤を用いる必要がないので、遮光層形成時に開始剤が表面にブルームすることによる粘着性の低下といった不具合が生じる可能性が少ない。さらに、比較的細い遮光部を形成する場合、露光量を増大させる必要があるが、露光量を増大させた場合でも良好な遮光部のパターニング性を維持することができる。
上記発明においては、上記感光性粘着剤層が、実質的に光重合開始剤を含有していないことが好ましい。上述したような作用効果を奏するには、光重合開始剤が実質的に含有されていないことが好ましいからである。
また、上記発明においては、上記光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物が、マレイミド骨格含有化合物であることが好ましい。
さらに、本発明においては、一方の表面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートを形成するシリンドリカルレンズシート形成工程と、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に感光性粘着剤層を形成する感光性粘着剤層形成工程と、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された面側からコリメーション角度10°以内の光を照射し、上記シリンドリカルレンズにより集光された光により露光された部分の上記感光性粘着剤層の粘着力を低下させる露光工程と、上記露光された感光性粘着剤層表面に、一方の表面に遮光部形成用層が形成された遮光部転写シートの遮光部形成用層側を密着させた後、剥離させることにより、前項感光性粘着剤層表面にストライプ状の遮光部を形成する遮光部形成工程と、上記遮光部上に支持体を配置する支持体形成工程とを有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供する。
本発明においては、このように上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有しているので、露光工程において、露光量を増大させた場合であっても、高精細に遮光部を形成することが可能である。
本発明においては、長期使用により感光性粘着剤層が黄変する恐れがなく、また遮光層形成時に開始剤が表面にブルームすることによる粘着性の低下といった不具合が生じる可能性が無い。さらに、露光量を増大させた場合でも良好な遮光部のパターニング性を維持することができるといった効果を奏する。
以下、本発明のレンチキュラーレンズシートおよびその製造方法について詳細に説明する。
A.レンチキュラーレンズシート
まず、本発明のレンチキュラーレンズシートについて説明する。本発明のレンチキュラーレンズシートは、片面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートと、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に配置された感光性粘着剤層と、上記感光性粘着剤層上に形成されたストライプ状の遮光部と、上記遮光部上に配置された支持体とを有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートであって、上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするものである。
図1は、このようなレンチキュラーレンズシートの一例を示すものである。この例のレンチキュラーレンズシートは、シリンドリカルレンズ1が形成されたシリンドリカルレンズ層2と上記シリンドリカルレンズ1が形成されていない側のシリンドリカルレンズ層2上に形成された基材フィルム層3とからなるシリンドリカルレンズシート4を有する。このシリンドリカルレンズシート4の基材フィルム層3側の表面には、感光性粘着剤層5が形成されている。そして、この感光性粘着剤層5上には、ストライプ状に遮光部6が形成されており、この感光性粘着剤層5および遮光部6上には、接着剤層7を介して支持体8が配置されている。
本発明においては、上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有している点に特徴を有するものである。本発明においては、このように感光性粘着剤層に光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有するものであるので、原則的には感光性粘着剤層に光重合開始剤を含有させる必要がない、もしくは含有量を少なくすることができる。このため、以下のような効果を有する。
すなわち、まず感光性粘着剤層に光重合開始剤が含有されていない、もしくは含有量が少ないことから、長期間使用した場合でも黄変の度合いを極めて低くすることができる。レンチキュラーレンズシートの感光性粘着剤層において、遮光部が形成されていない部分は、上記シリンドリカルレンズにより光が集光される部分である。したがって、レンチキュラーレンズシートが使用に供された場合、かなりの強度の光を随時受けることになる。感光性粘着剤層が光重合開始剤を含有しており、かつこのような高い強度の光を多量に受けた場合はその部分が黄変する恐れがあり、画像品質に問題が生じる可能性が残されていた。本発明においては、上述したように光重合開始剤を用いる必要性が無く、光重合開始剤を含有しない、もしくは含有量が少ないことから、このような黄変の可能性を少なくすることができる。
次に、光重合開始剤は比較的低分子のものであり、これらを感光性粘着剤層に含有させる場合は、光重合開始剤の種類にもよるが、表面にブルームしてしまい粘着性に悪影響を及ぼすものもある。このような場合は、遮光部を形成するために感光性粘着剤層に別途形成された遮光部転写シートの遮光部形成用層を密着させた場合に、十分な粘着性が得られず、結果的に精度の良好な遮光部のパターニングができない可能性があった。本発明においては、上述したように光重合開始剤を用いる必要がないことから、このような粘着性に悪影響を及ぼすといった不具合も防止することができ、高精細で良好な遮光部のパターンを得ることができる。
また、感光性粘着剤層に光重合開始剤を含有する場合は、露光量を増加させた場合に遮光部のパターニングができなくなる場合があった。後述するように、遮光部のパターンは感光性粘着剤層の粘着性の有無のパターンを用いて形成されるものである。そして、この感光性粘着剤層の粘着性の有無のパターンは、シリンドリカルレンズシート側から光を露光することにより光を感光性粘着剤層表面に集光させ、露光された部分の粘着性を落とすことにより行われる。したがって、遮光部パターンにおける遮光部の線幅等の調整は、露光量を調整することにより行われる。しかしながら、従来の光重合開始剤を含有する感光性粘着剤層を用いた場合は、遮光部の線幅を細くするためにある程度露光量を増大させると、感光性粘着剤層全体の粘着性が低下してしまい、遮光部のパターンを形成することができなくなってしまうといった問題があった。本発明においては、光重合開始剤を用いる必要性が無いことから、遮光部の線幅を細くするために、露光量を増大させた場合でも、感光性粘着剤層の全体の粘着性が低下するといった不具合がなく、細い線幅を有する遮光部のパターンを形成することができるのである。
以下、このような本発明のレンチキュラーレンズシートについて、各部材毎に詳細に説明する。
1.感光性粘着剤層
本発明の特徴は、感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有している点にある。この感光性粘着剤層は、上記図1の例においても示されるように、シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成されていない側に設けられるものである。通常は、感光性粘着剤を溶媒に溶解もしくは分散させた感光性粘着剤層形成用塗工液を塗布し、感光させることにより形成される。
本発明に用いられる感光性粘着剤層は、特に限定されるものではないが、通常は感光性粘着剤より構成されるものである。この感光性粘着剤は、少なくとも粘着性樹脂、光重合性化合物、およびその他の添加剤等から構成されるものであり、この光重合性化合物が光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物である点に特徴を有するものである。
以下、このような本発明に用いられる感光性粘着剤に含まれる各構成について説明する。
(1)光重合性化合物
本発明に用いられる光重合性化合物は、上述したように光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物である。
このような光照射により光重合を開始する自己重合性の重合反応としては、ドナー/アクセプター光重合系を利用することができる。ドナー/アクセプター光重合では、ドナー化合物とアクセプター化合物の電荷移動錯体形成により1:1で反応が進行し、従来の光重合系のように光重合開始剤を必要としない。
ドナー化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、p−カルボメトキシフェニルマレイミド、N,N’−アルキレンジマレイミド、N,N’−オキシアルキレンジマレイミド等のマレイミド類、ジメチルフマレート、ジアリルマレイネート、ジメチルマレイネート等が例示される。また、アクセプター化合物としては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル、4−プロペニルオキシメチル−1,3,2−ジオキソラノン等のビニルエーテル類、N−ビニルピロリドン等が例示される。マレイミド類とビニルジオキソラン類の組み合わせでは、重合収縮が少なく有用と考えられる。
また、ドナー化合物で例示しているマレイミド化合物は、マレイミド同士の重合も進行することが知られている。
本発明においては、特に光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物として、ジマレイミド骨格含有化合物を用いることが好ましい。
ジマレイミド骨格含有化合物としては、具体的には、下記の化学式で示されるポリアエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル(商品名:MIA200;大日本インキ化学工業製)を挙げることができる。
Figure 2005292596
上記ジマレイミド骨格含有化合物の推定重合メカニズムは、紫外線により励起されたマレイミド基が、α位の水素あるいはエーテル鎖の水素を引き抜き、ラジカル重合を開始させる活性種が生成され、重合が進行すると考えられている。
これらの化合物は1種もしくは2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明においては、光重合性化合物として添加される光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物の配合量としては、後述する粘着性樹脂100重量部に対して0.1〜200重量部、特に10〜150重量部の範囲内で添加されることが好ましい。
また、上記光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物と混合して、各種光ラジカル重合性化合物を使用することができる。
光ラジカル重合性化合物としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。
具体例として脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーを挙げる。アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレンなどが例示される。
また、特開昭61−72748号公報に開示されている、硫黄含有アクリル化合物を使用することもでき、例えば、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
メタクリル酸エステルとしては、上記アクリル酸エステル化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、「アクリロイル」が「メタクリロイル」になる化合物が具体例として例示される。
上記光ラジカル重合性化合物を用いる場合は、上記光重合を開始する自己重合性を有する化合物100重量部に対して0.1重量部〜200重量部の範囲内、特に50重量部〜150重量部の範囲内で用いられることが好ましい。
(2)粘着性樹脂
本発明に用いられる粘着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が例示されが、耐久性及び接着性に優れるアクリル系樹脂からなるアクリル系粘着剤が好適に用いられる。
アクリル系粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルと他の単量体と官能性単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合樹脂を主成分とする。
アクリル酸アルキルエステルは、そのアルキル基の炭素数が4〜15のものであり、例えばアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル等が挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用されてもよい。
他の単量体としては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用してもよい。
また、官能性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチルなどが挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用されてもよい。
また、側鎖に光反応性基、例えば不飽和二重結合を有するアクリル系共重合樹脂を使用することもでき、具体的には特開2000−355678記載の光反応性基含有樹脂を使用することができる。
アクリル系共重合樹脂におけるアクリル酸アルキルエステルと他の単量体と官能性単量体との構成比(重量%)は、70〜99:0〜20:0.01〜20、好ましくは80〜95:0〜10:0.1〜15であり、アクリル系共重合樹脂の重量平均分子量は20万〜120万、好ましくは40万〜100万のものである。
アクリル系粘着剤は、上記のアクリル系共重合樹脂の他に、凝集力を向上させるために室温架橋型または加熱架橋型架橋剤、粘着力やタック、粘弾性を改質するために粘着付与剤等を含有させることもできる。
室温架橋型架橋剤としては、アクリル系粘着剤を室温条件下でのエージング処理による架橋処理を可能とするものであり、具体的には、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物及びこれらポリイソシアネート化合物の3量体、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー、これらのポリイソシアネート化合物、これらポリイソシアネート化合物の3量体が挙げられる。多価イソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。また、架橋剤としてアルミニウムやチタン等の金属キレート化合物や多官能エポキシ化合物を用いてもよい。
室温架橋型架橋剤は、アクリル系共重合樹脂100重量部に対して0.005〜20重量部、特に0.01〜10重量部の割合で添加されるとよい。
加熱架橋型架橋剤は、アクリル系粘着剤を100℃以上、好ましくは130℃以上、加熱時間1分〜30分で加熱することにより、架橋作用を示すものであり、具体的には、ホルムアルデヒドと、メラミン、尿素等を反応させて得られるメチロール基含有化合物、及びそれらのメチロール基の一部または全部を脂肪族アルコールでエーテル化したもの等が挙げられる。
加熱架橋型架橋剤としては、アクリル系共重合樹脂100重量部に対して、0.01〜25重量部、特に0.1〜20重量部の割合で添加されるとよい。
粘着付与剤は、アクリル系粘着剤に粘着性の向上を目的として所望により添加され、例えばロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられ、アクリル系粘着剤中、0重量%〜50重量%、好ましくは0重量%〜40重量%である。
(3)その他の添加剤
本発明においては、上述したように光重合を開始する自己重合性を有する化合物を用いていることから、光重合開始剤を用いる必要性はないが、感度を向上させるため、少量添加して使用してもよい。
このような場合に用いられる光重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が例示される。
また、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物等も使用することができ、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、上述したように感光性粘着剤には、特に光重合開始剤を用いる必要性がない。しかしながら感度を向上させる等のため、少量添加して使用してもよい。具体的には、感光性粘着剤を100重量部とした場合、0.25重量部以下、特に0.1重量部以下の範囲内で添加されていてもよい。しかしながら、上述した本発明の作用効果を得るためには、感光性粘着剤層中に実質的に光重合開始剤が含まれていないことが好ましい。
ここで、実質的に光重合開始剤が含まれていないとは、光重合開始剤が全く含有されていない場合と、光重合開始剤としての作用を奏し得ない程度以下の量が含まれている場合とを含むものであり、具体的には感光性粘着剤を100重量部とした場合、残留光重合開始剤として、0.05重量部以下含有されている場合をも含むものである。
また、感光性粘着剤層を感光させるために使用する露光光源波長への感度を向上させることを目的として、更に増感色素を使用することもできる。具体的には、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、シアニン系色素、キノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、キサントン系色素、チオキサントン系色素、ローダミン系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素を挙げることができる。
これらの増感色素は、上記粘着性樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で配合される。
その他、粘着力の制御や後述するコーティング適性改良を目的として、各種可塑剤、界面活性剤等を使用することもできる。
(4)感光性粘着剤層
本発明における感光性粘着剤層の膜厚は、1μm〜50μmの範囲内、特に5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。感光性粘着剤層の膜厚が、上記範囲より小さいと、未露光部の十分な粘着力が得られず、後述する遮光部形成材料の転写性が悪くなり、逆に上記範囲より大きいと、製品端部より感光性粘着剤がはみ出しやすくなり、不良品となる可能性が高まるからである。
また、本発明における感光性粘着剤層は、その露光後の粘着力が、露光前の粘着力に対して、50%以上低下するようにすることが好ましい。露光部と未露光部の粘着力差が大きくなり、ストライプ状の遮光部が良好に形成できるようになるためである。
また、さらには、遮光層形成材料の種類や遮光層形成条件にもよるが、露光後の粘着力が20gf/インチ以下となるようにすると、より好ましい。
2.シリンドリカルレンズシート
本発明のレンチキュラーレンズシートにおいては、上記感光性粘着剤層は、シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成されていない側に形成されるものである。このようなシリンドリカルレンズシートは、上記図1に例示するようにシリンドリカルレンズ層2上に形成された基材フィルム層3とからなるものであってもよく、シリンドリカルレンズ層のみから構成されるものであってもよい。以下、シリンドリカルレンズ層と基材フィルム層とに分けて説明する。
(1)シリンドリカルレンズ層
本発明のシリンドリカルレンズ層は、一方の面にシリンドリカルレンズが形成されたものである。このシリンドリカルレンズの形状は、光源に応じ適宜決定することができるが、単光源画素とのモアレを考慮し150μm以下のピッチが望ましく、特に100μm以下のファインピッチとすることが、高画質が得られる点で好ましい。なお、このシリンドリカルレンズのピッチの下限としては、特に限定されるものではないが、成形性の観点等から、5μm以上とされる。
このようなシリンドリカルレンズ層を形成する樹脂としては、各種の紫外線や電子線等の電離放射線硬化型樹脂、熱可塑性樹脂を使用することができる。
電離放射線硬化型樹脂としては、透明性、強度および耐久性が良好である樹脂を使用することが好ましい。このような樹脂は、少なくとも光重合性化合物、光重合開始剤からなる組成物とされる。光重合性化合物としては、各種モノマー、オリゴマー、ポリマータイプを使用することができ、重合方式別として、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物等が挙げられる。
光ラジカル重合性化合物としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。具体例として脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーを挙げることができ、例えばアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを用いることができる。
アクリル酸エステルとしては、「1.感光性粘着剤層」の「(1)光重合性化合物」で例示したものと同様のものを挙げることができる。
また、特開昭61−72748号公報に開示されている、硫黄含有アクリル化合物を使用することもでき、例えば、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、エポキシ変性アクリレート、ウレタン変性アクリレート等の各種変性アクリレートも使用することができる。
また、分子量が数千程度である、いわゆるオリゴマータイプの各種アクリレート類を使用しても良い。
メタクリル酸エステルとしては、上記アクリル酸エステル化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、「アクリロイル」が「メタクリロイル」になる化合物が具体例として例示される。
光カチオン重合性化合物としては、エネルギー照射を受け、後述する光カチオン重合開始剤の分解により発生したブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合する化合物である。例えば、エポキシ環やオキセタン環等の環状エーテル類、チオエーテル類、ビニルエーテル類等を挙げることができる。
上記エポキシ環を含有する化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド等が例示される。
また、分子量が数千程度の、いわゆるオリゴマータイプの各種エポキシ化合物を使用することも良い。
光重合開始剤としては、使用する光重合性化合物の反応形式により適宜選択されるものである。
光ラジカル重合開始剤としては、電離放射線によって、活性ラジカルを生成し、上記光ラジカル重合性化合物を重合させることが可能な開始剤であれば、特に限定されるものではない。具体的には、「1.感光性粘着剤層」の「(3)その他の添加剤」で例示したものを用いることができる。
光カチオン重合開始剤としては、エネルギー照射によりブレンステッド酸やルイス酸を発生し、上記光カチオン重合性化合物を重合させるものであれば、特に限定されるものではない。
具体的には、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示される。さらに、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等も使用することができる。
上記組成からなる感光性組成物を、下記に示す基材フィルム上に塗布し、シリンドリカルレンズ形状を賦型後、所定の紫外線、電子線等の電離放射線を照射して硬化し、目的とするシリンドリカルレンズシートを得ることができる。
一方、シリンドリカルレンズを形成する熱可塑性樹脂としては、透明性、強度および耐久性が良好であると共に、押出し賦形する際の安定性、操作性が良好であるものを使用することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、四フッ化エチレン(PTFE)、ポリルロピレン(PP)等およびこれらの樹脂の少なくとも一種を含む共重合樹脂を例示することができる。
(2)基材フィルム
本発明に用いられる基材フィルムとしては、光学用シートの基材として必要な特性、例えば透明性、強度、耐久性等を有していれば、各種の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を用いて構成することができる。ここで、本発明で使用できる熱可塑性樹脂の具体例として特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、四フッ化エチレン(PTFE)等である。
基材フィルムの膜厚としては、通常50〜250μmの範囲内であり、特に100〜200μmの範囲内であることが好ましい。
3.遮光部
本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、上記ストライプ状の遮光部の幅のレンズピッチに対する比率は、好ましくは50〜90%の範囲内とすることができる。本発明によれば、このような狭いピッチで遮光部が得られるので、高品質の画像表現が可能な光学用シートを容易に製造することができる。
上記遮光部の厚みとしては、一般的には、0.1μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜5μmである。また、遮光部の光学濃度(OD)は、2以上、好ましくは3以上となるようにすることが好ましい。
このようなパターン状に形成された遮光部の形成方法、および材料等に関しては、後述する「B.レンチキュラーレンズシートの製造方法」の欄で説明するものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
4.支持体
本発明のレンチキュラーレンズシートに用いられる支持体の材料としては、透過型スクリーン用のレンチキュラーレンズシートの機能・特性等に実質的に悪影響を及ぼすことがなく、形態を保持する機能を有していれば特に限定されるものではない。
具体的には、メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、メタクリル樹脂、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ブタジエン・スチレン共重合樹脂等を使用することができる。
また、必要に応じて光拡散性能、反射防止性能、帯電防止性能、汚染防止性能、傷つき防止性能等を付与することが出来る。
ストライプ状の遮光部を形成したレンズシートと支持体とに接着性がない場合には、接着剤を使用して貼り合わせることができる。接着剤層は、支持体と遮光部および感光性粘着剤層との間に十分な接着強度が得られ、本発明透過型スクリーン用のレンチキュラーレンズシートの機能・特性等に実質的に悪影響を及ぼすことがなく、支持体と本発明透過型スクリーン用レンチキュラーレンズシートの他の部分を十分接着保持ものであるならば、任意のものを使用することができる。
接着剤層の具体的内容および厚さは、支持体と遮光部及び粘着剤層の材質および必要な接着強度等を考慮して定めることができ、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等によって、形成することができ、接着の機構としてもホットメルト、熱硬化、電離放射線硬化、粘着等任意に選択できる。また必要に応じて光拡散剤を配合することもできる。
B.レンチキュラーレンズシートの製造方法
次に、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法について説明する。本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、一方の表面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートを形成するシリンドリカルレンズシート形成工程と、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に感光性粘着剤層を形成する感光性粘着剤層形成工程と、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された面側からコリメーション角度10°以内の光を照射し、上記シリンドリカルレンズにより集光された光により露光された部分の上記感光性粘着剤層の粘着力を低下させる露光工程と、上記露光された感光性粘着剤層表面に、一方の表面に遮光部形成用層が形成された遮光部転写シートの遮光部形成用層側を密着させた後、剥離させることにより、前項感光性粘着剤層表面にストライプ状の遮光部を形成する遮光部形成工程と、上記遮光部上に支持体を配置する支持体形成工程とを有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
上記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするものである。
図2は、本発明のレンチキュラーシートの製造方法の一例を示すものである。この例においては、まず基材フィルム3上にシリンドリカルレンズ層2が形成されてシリンドリカルレンズシート4が形成される(図2(a):シリンドリカルレンズシート形成工程)。この例では、感光性組成物を、基材フィルム3上に塗布し、シリンドリカルレンズ形状を賦型後、所定の電離放射線を照射して硬化して、シリンドリカルレンズシート4を得ているが、熱可塑性樹脂等を用いる場合は、上記基材フィルム3を用いない場合もある。
次に、このシリンドリカルレンズシート4上に感光性粘着剤層5を形成する(図2(b):感光性粘着剤層形成工程)。通常は、感光性粘着剤層形成用塗工液をダイコータ等を用いて塗布し、乾燥させることにより形成される。
さらに、形成された感光性粘着剤層5に対し、コリメーション角度が10°以下の紫外線10を照射する(図2(c):露光工程)。この紫外線10は、シリンドリカルレンズ1側から照射されるので、シリンドリカルレンズ1により収束され、感光性粘着剤層5の一部に照射されることになる。この際、シリンドリカルレンズ1の形状から、感光性粘着剤層5に対して、ストライプ状に露光が行われることになり、露光された領域は粘着性が低下して非粘着性領域11となり、露光されていない領域はそのまま粘着性領域12として残る。
そして、上記粘着性領域12に遮光部6を粘着させることにより、ストライプ状に遮光部6を形成する(図2(d):遮光部形成工程)。この際、図示していないが、一方の表面に遮光部形成用層が形成された遮光部転写シートが用いられ、この遮光部転写シートの遮光部形成用層を、上記非粘着性領域11と粘着性領域12とが形成された感光性粘着剤層5表面に密着させて剥がすことにより、粘着性領域12上のみに遮光部6が形成される。
最後に、この遮光部6上に接着剤層7を介して支持体8を貼り合わせることによりレンチキュラーレンズシート13が形成される(図2(e):支持体形成工程)。
以下、このような本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法について、各工程毎に詳細に説明する。
1.シリンドリカルレンズシート形成工程
本発明においては、まず、一方の表面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートを形成するシリンドリカルレンズシート形成工程が行われる。
本工程は、シリンドリカルレンズシートの材料が硬化性樹脂か、熱可塑性樹脂かにより、その製造工程が異なる。例えば感光性樹脂等の硬化性樹脂の場合は、未硬化の状態において硬化性樹脂をシリンドリカルレンズ形状に金型等により賦型後、紫外線等を照射することにより樹脂を硬化させて形成する。一方、熱可塑性樹脂の場合は、金型等による賦型が可能な程度まで樹脂の温度を上昇させ、シリンドリカルレンズ形状に賦型後、冷却することにより形成することができる。
シリンドリカルレンズ形状とする賦型方法としては、特に限定されるものではないが、押圧ロールと型ロールとを用い、これらのロールの圧着点を賦型される樹脂シートが通過することにより、樹脂に対してシリンドリカルレンズ形状に賦形されることが、効率的である点で好ましい。
本工程において用いられるシリンドリカルレンズ層および必要に応じて用いられる基材フィルム層の材料については、上記「A.レンチキュラーレンズシート」において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.感光性粘着剤層形成工程
次に、感光性粘着剤層形成工程について説明する。本発明における感光性粘着剤層形成工程は、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に感光性粘着剤層を形成する工程である。
本工程においては、まず、感光性粘着剤層を形成するための感光性粘着剤層形成用塗工液を調製する。この感光性粘着剤層形成用塗工液は、粘着性樹脂、光重合性化合物、およびその他の添加剤を溶媒に溶解もしくは分散させることにより調製される。用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール等を挙げることができる。また、感光性粘着剤層形成用塗工液中の固形分は、15〜50重量%、好ましくは20〜35重量%となるように調整される。なお、粘着性樹脂、光重合性化合物、およびその他の添加剤等の混合物が液状の場合は、溶剤に溶解せず、そのままコーティングしてもよい。
このようにして調製された感光性粘着剤層形成用塗工液は、上記シリンドリカルレンズシート形成工程により形成されたシリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に、直接コーティングされる。この際のコーティング方法としては、公知の各種コーティング方法が利用でき、例えば、ダイコーター、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等のコーティング方法を挙げることができる。
この際の膜厚は、乾燥後の膜厚が1μm〜50μm、好ましくは5μm〜30μmとなるように調整する。塗布後は、加熱乾燥等を行うことにより固化させて感光性粘着剤層とされる。なお、添加剤として室温架橋型または加熱架橋型架橋剤が添加されている場合は、室温架橋型にあっては室温条件下でのエイジング処理により、また、加熱架橋型にあっては、必要な温度に加熱することにより架橋処理される。
一方、直接コーティングする方法以外の方法として、転写方式を用いてもよい。この場合は、上記感光性粘着剤層形成用塗工液を剥離性基材表面にコーティングする。この際用いられる剥離性基材としては、通常使用される剥離紙の他に、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面をフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤により離型処理された離型性フィルムを使用することができる。また、剥離性基材の感光性粘着剤層が形成される側と反対側の面が、コーティングされた感光性粘着剤層のはみ出しによるブロッキングを避けるために離型処理されていてもよい。
このような剥離性基材上に上記感光性粘着剤層形成用塗工液を塗布し、上述した直接コーティングする方法と同様にして固化した後、シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に転写することにより感光性粘着剤層を形成することができる。
本発明においては、この感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするものであるが、感光性粘着剤層を構成する感光性粘着剤の材料等に関しては、上記「A.レンチキュラーレンズシート」において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.露光工程
本発明における露光工程は、上記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された面側からコリメーション角度10°以内の光を照射し、上記シリンドリカルレンズにより集光された光により露光された部分の上記感光性粘着剤層の粘着力を低下させる工程である。
本工程においては、シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された面側から露光するものであるので、図2(c)に例示するように、シリンドリカルレンズシート4のシリンドリカルレンズ1が形成された面側からコリメーション角度10°以内の光を照射するものである。したがって、照射された紫外線10は、このシリンドリカルレンズ1の作用により集光される。これにより、露光されることにより感光性粘着剤層5の粘着性が低下した非粘着性領域11と、未露光領域であり感光性粘着剤層の粘着性を保持している粘着性領域12とのパターンが形成される。
この際、シリンドリカルレンズにより集光されて露光される領域は、シリンドリカルレンズの形状よりストライプ状であることから、上記非粘着性領域も同様のストライプ状となる。
本工程において用いられる光は、特に限定されるものではなく、感光性粘着剤層の材料により適宜決定される。また、コリメーション角度10°以内、好ましくは5°以内の光線が用いられる。ここで、コリメーション角度は、遮光部の所望の幅、感光粘着剤の露光感度等にしたがって求められたものである。
本発明においては、上述したように感光性粘着剤層の材料が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有しているので、通常の感光性粘着剤層ではパターニングすることができなかった露光量であってもパターニングすることができるという利点を有する。すなわち、従来の感光性粘着剤層では、所定の値以上の露光量となると、上記粘着性領域と非粘着性領域とのストライプ状のパターンを形成することができないといった不具合があった。これは露光量により非粘着性領域の幅を調整する上述した露光工程を有する方法を用いる製造方法においては、後述する遮光部形成工程において遮光部の幅が限定されてしまい、設計の自由度を阻害するといった問題点を有するものであった。
本発明においては、露光量が多量の場合であっても粘着性領域と非粘着性領域とのストライプ状のパターンを形成することができることから、遮光部の幅の自由度が大幅に増大するといった効果を奏するものである。
このように、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法において、パターニング可能な露光量としては、感光性粘着剤層を構成する材料の種類および膜厚等により大幅に異なるものではあるが、一般的には100mJ〜1000mJの範囲内、少なくとも100mJ〜600mJの範囲内であれば、十分な露光マージンが得られ、遮光部の幅制御の自由度が大幅に増大する効果を得ることができるからである。
4.遮光部形成工程
本発明における遮光部形成工程は、上記露光された感光性粘着剤層表面に、一方の表面に遮光部形成用層が形成された遮光部転写シートの遮光部形成用層側を密着させた後、剥離させることにより、前項感光性粘着剤層表面にストライプ状の遮光部を形成する工程である。
本工程で用いられる遮光部転写シートは、遮光部転写シート基材の一表面に遮光部形成用層が積層されてなるものである。
この遮光層転写シート基材としては、機械的強度に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性などがあれば、種々の材料を用いることができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、セルロース系フィルム、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができる。
上記遮光層転写シート基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。樹脂フィルムは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。この遮光層転写シート基材の厚さは、通常は5μm〜200μmが適用でき、10μm〜100μmが好適である。厚さが5μm未満であると機械的強度が不足する。
このような遮光層転写シート基材の一表面に形成される遮光部形成用層は、少なくとも遮光性顔料とバインダー樹脂を含んでなるものである。上記バインダー樹脂としては膜切れがよく、高解像度な転写性を考慮すると熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂を挙げることができる。一方、遮光性顔料としては遮光性があればよく、特に限定されないが、カーボンブラックが好ましい。
遮光部形成用層の形成方法としては、バインダー樹脂、遮光性顔料、および必要に応じて機能に影響のない範囲で分散剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えて、溶剤などで稀釈して低粘度の組成物(インキ)とし、上記遮光層転写シート基材の一表面に塗布し乾燥して層を形成する。この際の塗布方法としては、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート(グラビア印刷)、グラビアリバースコート、コンマコート、又はスクリーン印刷などの公知の印刷または塗布法を用いることができる。
また、膜切れがよく高解像度な転写性を考慮すると、遮光顔料に対するその他の乾燥固形分の比が少なくとも1.5倍以上であることが好ましい。
本工程においては、このような遮光部転写シートの遮光部形成用層を、上記露光工程において露光され、非粘着性領域と粘着性領域とからなるストライプ状のパターンが形成された感光性粘着剤層に密着させた後、剥離する。これにより、上記粘着性領域には遮光部形成用層が密着した状態で残り遮光部となり、上記非粘着性領域では遮光部形成用層は剥離され、開口部となる。これにより、ストライプ状の遮光部が形成される。
5.支持体形成工程
最後に、上記遮光部上に支持体を配置する支持体形成工程が行われる。本工程においては、支持体と遮光部および感光性粘着剤層とが接着性を有さない場合は、別途接着剤層を設け、この接着剤層を介して支持体を形成するようにしてもよい。
本工程に用いられる支持体および接着剤層については、上記「A.レンチキュラーレンズシート」において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
(1)シリンドリカルレンズシート形成工程
軟化温度98℃のメタクリル−ブタジエン−スチレン共重合(MBS)ペレットを、押出しエンボス成型装置のホッパーに投入した。
この装置の六分割されたバレルの各分割部の温度を、ポッパーに近い順に165℃→205℃→225℃→250℃→250℃→250℃に順次昇温設定し、ダイス部の温度は250℃に設定した。このダイスより溶融したMBSを、ピッチ140μmのシリンドリカル型状が彫刻された金型ロールとニップロールの間に押出し、型押しを実施した。この時、型ロール温度は80℃に設定した。その際、引取り速度は3m/minにて実施した。
この条件により成形を実施することにより、片面にピッチが140μm、高さ40μmのシリンドリカルレンズ形状を有する、厚みが170μmのシリンドリカルレンズシートを製造した。
(2)感光性粘着剤層形成工程
上記で得られた片面にシリンドリカルレンズ形状を有するシリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された面と反対側の面に、下記組成からなるアクリル系感光性粘着剤組成物を、コンマコーターにより乾燥後膜厚20μmとなるように塗布し、乾燥後セパレートフィルムを感光粘着材面に貼り合わせた。
<アクリル系粘着剤組成物>
・アクリル酸エステル系粘着性樹脂溶液(商品名SW−2B;綜研化学(株)製)
100重量部
・イソシアネート系架橋剤(商品名L−45;綜研化学(株)製) 2重量部
・ビスマレイミド骨格含有化合物(商品名MIA−200;大日本インキ化学工業(株)製) 18重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名THE330;日本化薬(株)製) 18重量部
・トルエン 25重量部
・メチルエチルケトン 25重量部
なお、この感光性粘着剤の剥離強度を下記手法により測定した結果、未露光状態で190gf/インチ、露光後で17gf/インチであった。
また、露光後の感光性粘着剤のイエローネスインデックス(△YI)を、色彩色差計(ミノルタ製CR−221)により、下記の方法により計算したところ、3.1であった。
<剥離強度測定方法>
1.感光性粘着剤を100μmの片面コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理面側に、乾燥後膜厚20μmとなるように塗布し、乾燥後、表面離型処理PETフィルムをラミネートし、室温で1週間エイジングする。
2.JIS−Z0237に基づき、サンプル片(1インチ幅)をSUS304に貼り合わせ、室温で24時間放置後、未露光状態及び300mJ/cm露光後の剥離強度を測定する。剥離強度の測定には、INSTRON製万能試験機5565を使用し、室温、剥離速度300mm/min、180°剥離方向の条件で測定した。
<イエローネスインデックス評価方法>
1.上記剥離強度測定方法の1にある通りに、測定サンプルである感光性粘着剤層が形成されたフィルムを作製する。
2.サンプルが無い状態であるブランクのDX、DY、DZ値を色彩色差計により測定し、下記式よりYIを算出する。
YI(ブランク)=100*(1.28*10−DX−1.06*10−DZ)/10−DY
3.サンプルのDX、DY、DZ値を色彩色差計により測定し、上記式よりYI(サンプル)を算出し、さらに下記式により、評価対象となる△YIを計算する。
△YI=YI(サンプル)−YI(ブランク)
(3)遮光部転写シートの作製
下記組成からなる遮光層形成用溶液を準備した。
・アクリル系樹脂 10重量部
・カーボンブラック 20重量部
・分散剤 2重量部
・トルエン 34重量部
・メチルエチルケトン 34重量部
この溶液を、厚み25μmのコロナ処理PET(東洋紡製E5107)のコロナ処理面に、グラビアリバースコートにより、乾燥後膜厚が1μmとなるように塗工し、遮光部転写シートを得た。
(4)露光工程
上記感光性粘着剤層形成工程で得られたシートのシリンドリカルレンズ面側よりコリメーション角度5°で365nmの波長を含む紫外線を300mJ相当露光した。シリンドリカルレンズ形状の効果により集光した紫外線が、上記感光性粘着剤の塗布層中を光路として通過した部位のみ粘着力が低下して非粘着性領域となり、未露光部は粘着性を有した状態で保持され、粘着性領域となった。
(5)遮光層転写
次いで、セパレートフィルム剥離後、感光性粘着剤層表面に(3)で作製した遮光部転写シートを80℃の温度にて5kg/cmの圧力条件でラミネートした。ラミネート物を室温とした後に遮光部転写シートを剥離した。
その結果、遮光層形成材料は、粘着性を有する感光性粘着剤未露光部(粘着性領域)に転写し、切れ性(ストライプエッジの直線性)良好なストライプ状の遮光層が形成された。
また、開口部(非粘着性領域)は、感光性粘着剤層の着色がなく、透明性に優れ、良好な光学特性を示した。
(6)支持体形成工程
さらに、得られたシートの上記遮光部面側に、アクリル系接着剤を50μmの厚みとなるように塗布し、次いで、支持体(厚さ2mm)を積層することによって、本発明の透過型スクリーン用レンチキュラーレンズシートを製造した。なお、この支持体は、MS材料の表面に傷つき防止、及び反射防止処理をしたものである。
(実施例2)
また、上記露光工程における紫外線露光量を450mJ、600mJとした以外は、実施例1と同様にしてレンチキュラーレンズシートを作成した。いずれのレンチキュラーレンズシートも良好なストライプ状の遮光部が形成されており、300〜600mJでパターニング可能であることが分かり、パターニング可能な露光量範囲は300mJ以上と広く、遮光部の制御幅の自由度が大きいことが分かった。
(比較例1)
感光性粘着剤組成物を下記に変更した以外は実施例1と同様にして、感光性粘着剤層を形成した。露光後の感光性粘着剤のイエローネスインデックス(YI)を、色彩色差計(ミノルタ製CR−221)により測定したところ、YIは7.72となり、黄色度が非常に高いものとなった。
<アクリル系粘着剤組成物>
・アクリル酸エステル系粘着性樹脂溶液(商品名SW−2B;綜研化学(株)製)
100重量部
・イソシアネート系架橋剤(商品名L−45;綜研化学(株)製) 2重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名THE330;日本化薬(株)製)
36重量部
・ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 7重量部
・2,4−ジエチルチオキサントン 3重量部
・トルエン 25重量部
・メチルエチルケトン 25重量部
(比較例2)
感光性粘着剤組成物を比較例1のものと同様とし、露光量を50mJ〜600mJまで変化させた以外は実施例1と同様にして、レンチキュラーレンズシートを形成した。露光量が75mJでは、ストライプ状の遮光部が形成できたが、50mJおよび150mJ〜600mJの範囲内の露光量では、遮光部のパターニングができず、パターニング可能な露光量範囲は100mJ前後でしかなく、狭いことが分かった。
本発明のレンチキュラーレンズシートの一例を示す概略断面図である。 本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法の一例を示す工程図である。
符号の説明
1 … シリンドリカルレンズ
4 … シリンドリカルレンズシート
5 … 感光性粘着剤層
6 … 遮光部
8 … 支持体

Claims (4)

  1. 片面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートと、前記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に配置された感光性粘着剤層と、前記感光性粘着剤層上に形成されたストライプ状の遮光部と、前記遮光部上に配置された支持体とを有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートであって、前記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするレンチキュラーレンズシート。
  2. 前記感光性粘着剤層が、実質的に光重合開始剤を含有していないことを特徴とする請求項1に記載のレンチキュラーレンズシート。
  3. 前記光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物が、マレイミド骨格含有化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンチキュラーレンズシート。
  4. 一方の表面にシリンドリカルレンズが形成されたシリンドリカルレンズシートを形成するシリンドリカルレンズシート形成工程と、
    前記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された側と反対側の表面に感光性粘着剤層を形成する感光性粘着剤層形成工程と、
    前記シリンドリカルレンズシートのシリンドリカルレンズが形成された面側からコリメーション角度10°以内の光を照射し、前記シリンドリカルレンズにより集光された光により露光された部分の前記感光性粘着剤層の粘着力を低下させる露光工程と、
    前記露光された感光性粘着剤層表面に、一方の表面に遮光部形成用層が形成された遮光部転写シートの遮光部形成用層側を密着させた後、剥離させることにより、前項感光性粘着剤層表面にストライプ状の遮光部を形成する遮光部形成工程と、
    前記遮光部上に支持体を配置する支持体形成工程と
    を有する透過型スクリーンに用いられるレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
    前記感光性粘着剤層が、光照射により光重合を開始する自己重合性を有する化合物を含有していることを特徴とするレンチキュラーレンズシートの製造方法。
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