JP2005292208A - 樹脂製シームレスベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】張力をかけた状態における伸びが小さく、フルカラー画像形成装置に使用した場合でも特許文献1に記載のシームレスベルトよりもさらに色ズレが起こりにくく、鮮明な画像を得ることができる樹脂製シームレスベルトを提供する。
【解決手段】ポリエーテルサルホン(PES)とポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を樹脂成分とし、導電性成分を含有し、前記PES/PEEK=95/5〜5/95(重量比)である樹脂製シームレスベルトとする。導電性成分は、カーボンブラックであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真の基本原理を使用した複数種のカラートナーを使用するカラー複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ並びにこれらの複合された機能を有するOA機器等の電子写真方式による画像形成装置において使用される中間転写ベルト、搬送転写ベルト等に好適に使用できる樹脂製シームレスベルトに関するものである。本発明の樹脂製シームレスベルトは、感光体上ないし転写ベルト上等の像担持体表面に形成されたトナー画像を普通紙等に転写する工程において使用される転写ベルト等にも使用することができる。
電子写真方式による画像形成装置において、転写機能と用紙送り機能を併せ持たせ、転写画像を鮮明にすると共に部品点数の減少を図ることを目的として、特にカラー画像形成装置においては複数色のトナーを使用してフルカラー画像を形成することを目的として、転写ベルト、中間転写ベルト等が採用されつつある。
電子写真方式を利用した画像形成装置は、無機光導電性材料または有機光導電性材料で構成された感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーにより静電潜像を現像して可視化されたトナー像とする現像装置と、このトナー像を直接転写するか、あるいは中間転写体を介して、用紙等の記録媒体に転写することにより所要の再生画像を得る転写装置と、該再生画像を定着する定着装置とを備えている。
係る画像形成装置において中間転写ベルト、搬送転写ベルト等として使用する樹脂製シームレスベルトとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)を使用したシームレスベルトが公知である。しかるにこれらの樹脂製シームレスベルトは、張力をかけるとベルトにクリープによる永久伸びが発生するという問題を有しており係る問題を解決する技術として、ポリエーテルサルホンを使用し、必要に応じて導電性充填剤としてカーボンブラック等を配合した導電性ないし半導電性を有する樹脂製シームレスベルトが提案されている(特許文献1)。
特開平11−115066号公報
特許文献1に開示されたシームレスベルトは、初期弾性率が高く、張力をかけた状態を持続しても初期弾性率からの低下が小さく、伸びが小さいためにフルカラー画像形成装置に使用した場合でも色ズレが起こりにくく、鮮明な画像を得ることができる。また難燃性に優れたベルトが形成されるために、OA機器類の部品に要求される難燃性の要請を満たすものである。
しかし、ポリエーテルサルホンを使用したシームレスベルトは耐屈曲疲労性が十分ではなく、耐久性に問題を有する。またポリエーテルサルホンにて形成されたシームレスベルトは、従来のフッ素系樹脂ないしポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂を使用したシームレスベルトと比較して張力をかけた状態における伸びが小さいものではあるが、それでもなお色ズレが発生するという問題を有するものであり、さらに改善が求められている。
本発明の目的は、張力をかけた状態における伸びが小さく、フルカラー画像形成装置に使用した場合でも特許文献1に記載のシームレスベルトよりもさらに色ズレが起こりにくく、鮮明な画像を得ることができる樹脂製シームレスベルトを提供することを目的とする。
本発明の樹脂製シームレスベルトは、ポリエーテルサルホン(PES)とポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を樹脂成分とし、導電性成分を含有し、前記PES/PEEK=95/5〜5/95(重量比)であることを特徴とする。
係る構成の樹脂製シームレスベルトは、張力をかけた状態における伸びが小さく、フルカラー画像形成装置に使用した場合でも従来よりもさらに色ズレが起こりにくいという特徴を有する。また係る構成の樹脂製シームレスベルトは、OA機器部品として求められる難燃性の要請をも満足するものである。
PES/PEEKが95/5を超えてPESが多い場合には、耐屈曲疲労性が十分ではなくなり、PES/PEEKが5/95よりもPEEKが多くなるとベルトの寸法安定性が低下し、またカーボンブラックの分散性が低下してミクロな電気抵抗のばらつきが大きくなって画質が低下するという問題も発生する。
上述の樹脂製シームレスベルトは、体積抵抗率が104 〜1012Ω・cmのいわゆる半導電性の範囲にあることが好ましい。ベルトの体積抵抗率を半導電性の範囲とすることにより、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、転写ベルトとして好適な電気特性を有するベルトとなる。ベルトの体積抵抗率は、使用する機種の仕様により上記範囲の中で選択される所定の値に適宜設定される。ベルトの体積抵抗率は、電極を当てて測定した値のばらつきが、最大値と最小値の比にて10以下であることが好ましい。
樹脂製シームレスベルトの体積抵抗率を半導電性の範囲とするためには、導電性成分としてカーボンブラックを使用することが好ましい。
PES/PEEK混合系の熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加して半導電性シームレスベルトとすると、ミクロな電気抵抗のばらつきが小さく、係る半導電性シームレスベルトを使用すると優れた画質の画像形成装置を得ることができる。その理由は明らかではないが、PESとPEEKの相溶性が良好であることやこれらの混合樹脂とカーボンブラックとの親和性が良く、カーボンブラックが均一に分散することが1因であると推定される。
本発明の樹脂製シームレスベルトは、張力をかけた状態における伸びが小さく、フルカラー画像形成装置に使用した場合でも従来よりもさらに色ズレが起こりにくく、画質が向上するという利点を有する。
本発明の樹脂製シームレスベルトに添加して電気特性、特に体積抵抗率を所定値に調整するための導電性成分としては、公知の導電性材料(充填剤ないし添加剤)が限定なく使用可能である。具体的には、銀粉、銅粉、ニッケル粉等の金属材料、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の金属酸化物、金属をコーティングしたマイカ等の無機材料、カーボンブラックやグラファイト、炭素繊維等の炭素化合物、チオシアン酸アンモニウム等のイオン性導電材料が例示される。これらの導電性材料は、必要に応じて2種以上を併用する。
上記の導電性材料の中でも、補強効果も併せて得られることから、カーボンブラックの使用が特に好ましい。カーボンブラックとしては、具体的には、ケッチェンブラックEC等のEC(Extra Conductive)カーボン、ECF(Extra Conductive Furnace)カーボン、SCF(Super Conductive Furnace)カーボン、CF(Conductive Furnace)カーボン、アセチレンブラック、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のカーボンブラックが例示される。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもかまわない。
上述の導電性成分の添加量は、導電性成分の電気特性や粒子形状等により適宜設定されるが、樹脂成分100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましい。
導電性成分の添加量が樹脂成分100重量部に対して1重量部未満では、十分な導電性が得られないか、得られたとしてもミクロな電気抵抗のばらつきが発生し、画像精度が低下する。50重量部を超えると所定の電気抵抗値が得られたとしてもベルトにクラックが入りやすくなって耐久性が低下する。
導電性成分としてカーボンブラックを使用する場合、より好ましい添加量は、樹脂成分100重量部に対して3〜30重量部である。
本発明のシームレスベルトは、公知のチューブ状樹脂フィルムの製造方法を限定なく使用して製造することができる。具体的には、少なくとも樹脂成分としてPESとPEEKを含む熱可塑性組成物を、例えば押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、インフレーション成形法によりチューブ状に成形して所定長さに裁断する方法が例示される。これらの中でも、ベルトとしたときの寸法精度が優れている点で押出成形法が好ましい。
押出成形によるシームレスベルトの製造方法は、マンドレル供給部、及び前記マンドレルの外周面に熱可塑性樹脂組成物層を形成するダイス部とを備えたヘッドを装着した押出機を使用し、
前記マンドレルを前記ヘッドに供給し、前記マンドレルの外周面にPES/PEEKを含む熱可塑性樹脂組成物層を押出成形により形成する押出工程を有するマンドレル方式であることが好ましい。
少なくとも樹脂成分としてPESとPEEKを含む熱可塑性組成物は、PES及びPEEK、導電性成分、並びに他の必要に応じて添加する成分を一軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて熱可塑性樹脂組成物とする。これらの中でも、均一に分散して安定した導電性を有する樹脂製シームレスベルト用の熱可塑性樹脂組成物が得られることから、二軸混練押出機に各成分を所望の比率で供給し、混練してペレット状にコンパウンド化する方法が特に好ましくい。
樹脂製シームレスベルトの厚みは1〜1000μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。
図1には、クロスヘッドを備えた熱可塑性樹脂押出機40にマンドレル5を連設して供給し、ホッパー42からペレット状にて供給される熱可塑性樹脂組成物をヘッド44により、供給されるマンドレル5上に押出成形してシームレスベルト14を形成したマンドレル5kとする例を示した。シームレスベルト14を形成したマンドレル5kは、連設部Dで基材14を裁断して製品を得る。図1においては、マンドレル5は垂直に上方から下方に移動するように供給されているが、水平方向などに移動する構成であってもよい。
図2にはマンドレル5の外周にシームレスベルト14が形成されたマンドレル5kを断面図にて示した。マンドレル5は連設してヘッドに供給可能であり、長さ方向端部に凹状部と凸状部を備えたものである。即ち、マンドレル5には一端側に凸状の嵌合部10が、他端側に凹状の嵌合部12がそれぞれ形成されており、1個のマンドレル5の凸状嵌合部10を他のマンドレルの凹状嵌合部12に嵌合させることにより、直線状に連設可能に形成されている。係る構成のマンドレルの使用により、所定サイズの樹脂製シームレスベルトを簡便な方法で製造することができる。
裁断は、マンドレル5の接合位置に対応する切断位置Dにて、例えばヒートカッターを使用して行う。
(実施例1)
PES/PEEK=50/50(混合物)を樹脂成分とし、樹脂成分100重量部に対してカーボンブラックとしてシースト3(東海カーボン製)を30重量部添加、混合して体積抵抗率を2×1010Ω・cmに調整した半導電性熱可塑性樹脂を使用し、図1に示した装置を使用して直径150mm、長さ266mm、厚さ150μmの半導電性の樹脂製シームレスベルトを作製した。
(比較例1)
PESのみを樹脂成分とした以外は、実施例1と同様にして樹脂製シームレスベルトを作製した。
(比較例2)
PEEKのみを樹脂成分とした以外は、実施例1と同様にして樹脂製シームレスベルトを作製した。
<評価>
市販のカラープリンターLP−3000C(エプソン社製)に実施例1で得られたベルトを装着し、画像形成テストを行い、得られた画像を拡大レンズを用いて観察し、トナーの位置ズレ、画質の評価を行った。評価結果は表1に示した。トナーの位置ズレについては、位置ズレがほとんどなく画質の良好なものを◎、位置ズレ、画質が比較的良好なものを○、位置ズレが若干認められ、画質の若干劣るものを△として表示した。
屈曲疲労性は、JIS P 8115に準拠して評価を行った。また難燃性はUL94に規定された薄手材料垂直燃焼試験方法にて評価を行った。
Figure 2005292208
表1の結果より、本発明の半導電性シームレスベルトを転写ベルトとして使用した場合には、トナーの位置ズレがなく優れた画像が形成され、耐屈曲疲労性に優れたものであることも分かる。これに対してPESのみを使用したベルトは、画質は比較的良好であるが、耐屈曲疲労性が十分ではない。またPEEKのみを使用したベルトは、画質が十分ではなかった。
マンドレル外周面に樹脂製シームレスベルトを押出成形により形成する製造工程を例示した図 長さ方向に直線状に連設可能であり、樹脂製シームレスベルトを形成したマンドレルの構成を例示した断面図

Claims (1)

  1. ポリエーテルサルホン(PES)とポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とを樹脂成分とし、導電性成分を含有し、前記PES/PEEK=95/5〜5/95(重量比)である樹脂製シームレスベルト。
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JP2015011061A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 株式会社リコー ベルト部材、画像形成装置及びベルト部材の製造方法

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