JP2005291000A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動輪トルクの変動をより小さくする車両の制御装置を提供する。
【解決手段】 要求駆動力を表す関数D(s)に対して、複素数演算子sに関する2次以上の関数である駆動力伝達系43の伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)を分子とし、複素数演算子sに関する2次以上の関数である遅れ要素の関数を分母とする関数F(s)を掛けた演算D(s)・関数F(s)を行って回転駆動源41を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転駆動源を電子制御する車両の制御装置に係り、駆動輪トルクの変動をより小さくする車両の制御装置に関する。
図4に示した車両は、回転駆動源41であるエンジンと、このエンジンが出力する駆動力を駆動輪42であるタイヤに伝達する駆動力伝達系43とを備える。駆動力伝達系43は、クラッチ、トランスミッション、プロペラシャフト、ディファレンシャルなどからなる。車両には、エンジンを制御するために図示しない制御装置(ECU)が搭載されている。例えば、ディーゼル車両の場合、燃料噴射量を電子制御するECUが搭載されている。
ECUでは、加減速時に駆動力伝達系43に生じる捩れ振動によるサージ(車体前後方向の動揺)を抑制するために、アクセルペダル踏み込み量とエンジン回転数とから求めたドライバ要求トルクか或いはエンジンに与えようとしている燃料噴射量に対して、なんらかの関数(フィルタ)を掛ける制御、いわゆる「なまし制御(なまし処理)」を行うことが知られている。
従来、なまし制御には、1次遅れ或いは1次進みと1次遅れが用いられている。
図5に示したECU50は、ペダルセンサ51から得られたアクセルペダル踏み込み量とエンジン回転センサ52から得られたエンジン回転数とによりドライバ要求トルクを演算する要求駆動力演算部53、アクセルペダル踏み込み量とエンジン回転数とにより要求が加速か減速かを判定してフィルタ係数を選択する加減速判定部54、そのフィルタ係数を用いてドライバ要求トルクをなまし処理して目標トルクを求めるなまし処理部55、なまし処理で得られた目標トルクがエンジンから出力されるよう燃料噴射量(噴射パルス)を決定してインジェクタ57を駆動するインジェクタ駆動部56からなる。
特許第3436182号公報(特開2000−303876号公報) 特開2002−54481号公報 特開2000−303893号公報
前述の1次遅れ或いは1次進み遅れによるなまし処理を行うことにより、ドライバ要求トルクが急激に、例えば、ステップ関数状に変化したときの駆動輪トルクの変動の振幅をある程度抑えることはできる。しかし、従来のなまし処理では駆動輪トルクの変動をなくすことはできない。このためサージが発生して運転者に不快感を与えてしまう。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、駆動輪トルクの変動をより小さくする車両の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、回転駆動源が出力する駆動力を駆動力伝達系を介して駆動輪に伝達する車両に搭載され、車両走行のための要求駆動力に基づいて上記回転駆動源の目標駆動力を演算して上記回転駆動源を制御する制御装置であって、上記要求駆動力を表す関数D(s)に対して、複素数演算子sに関する2次以上の関数である上記駆動力伝達系の伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)と複素数演算子sに関する2次以上の関数を分母に持つ遅れ要素とからなる関数F(s)を掛ける演算D(s)・関数F(s)を実行する演算部を備えたものである。
上記逆モデル関数1/G(s)をas2+bs+1(a,bは係数)とし、上記遅れ要素を1/(cs2+ds+1)(c,dは係数)とし、係数c及び係数dはd2≧4cを満たすようにしてもよい。
前記演算部が、入力された関数D(s)を第1の1次遅れ要素により遅延させる第1の一次遅れ器と、その第1の一次遅れ器の出力を第2の1次遅れ要素により遅延させる第2の一次遅れ器と、この遅延成分を関数D(s)から減算する第1加減算器と、この第1加減算器の出力を所定の利得で増幅する増幅器と、この増幅器の出力と前記遅延成分とを加算する第2加減算器と、前記遅延成分を微分する一階微分器と、その掛け算器の出力を所定の利得で増幅する増幅器と、前記第2加減算器の出力から前記増幅器の出力を引く第3加減算器とからなってもよい。
上記回転駆動源がディーゼルエンジンであって、該ディーゼルエンジンが目標駆動力を出力するよう燃料噴射を制御してもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)駆動輪トルクの変動をより小さくすることができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本発明の中心部分を説明する前に、本発明を実施する車両としてディーゼル車両を例に取り、エンジン制御に関わる主要部を図3を用いて説明する。
図3に示したエンジン制御主要部は、エンジンECU31と、各種センサ32と、各種アクチュエータ33と、燃料噴射系34と、車両ECU35と、車室内の各種入力系36とからなる。
各種センサ32が検出する内容は、図左下に示すように、カム角度(クランク角及び気筒判別)、吸気圧、吸気温、水温、エンジン回転数(Ne)などである。各種アクチュエータ33が駆動する対象は、EGR開度、スロットル開度、排気ブレーキなどである。
燃料噴射系34は、高圧の燃料を蓄えるコモンレール341と、コモンレール341の圧力を検出する圧力センサ342と、コモンレール341からの燃料を各燃焼室内に噴射する複数のインジェクタ343と、インジェクタ343の電磁弁344と、コモンレール341に高圧の燃料を供給する高圧ポンプ345と、高圧ポンプ345の高圧を調節する圧力コントロール弁346とからなる。エンジンECU31では、求めた燃料噴射量Qから、さらにコモンレール341の圧力等を考慮してインジェクタ343の開弁期間が決定される。この開弁期間に基づいて電磁弁344に開弁パルス(信号線は図示せず)が出力される。
エンジンECUは、主としてエンジン制御を行うものである。車両ECUは、主として車両制御を行うものである。エンジンECU31と車両ECU35とは車内LAN37によって相互に情報交換可能に結ばれている。車両ECU35には、自動変速を行うオートマチックトランスミッション(A/T)351、タイヤのロックを防止するアンチロックブレーキシステム(ABS)352、スリップを防止するトランクションコントロールシステム(ASR)353などが付加されている。
車室内の各種入力系36としては、アクセルペダルに設けられたアクセル開度センサ361、クルーズコントロールスイッチ362、ブレーキスイッチ363などがある。クルーズコントロールスイッチ362は、高速走行等においてアクセルペダルを踏まなくても一定速度を自動保持するオートクルーズを設定するスイッチであり、スイッチオフ時にはアクセル開度センサ361の示すアクセル開度が運転状態として作用するが、スイッチオン時には、アクセルペダルによらない自動アクセル開度が運転状態として作用することになる。ブレーキスイッチ363には、排気ブレーキ、リターダなどがあり、トルクベース制御においてはこれらの入力がドライバ要求トルクの算出に関係してくる。
本発明の制御装置は、エンジンECU31或いは車両ECU35の中に組み込むことができる。ここでは、エンジンECU31に本発明の制御装置が含まれている。エンジンECU31は、図5で説明したECUと同様に、ペダルセンサから得られたアクセルペダル踏み込み量とエンジン回転センサから得られたエンジン回転数とによりドライバ要求トルクを演算することができる。以下では、ドライバ要求トルクは複素数演算子sの関数D(s)で表す。また、図4に示した駆動力伝達系の伝達関数は複素数演算子sの関数G(s)で表す。
本発明の制御装置における演算部のブロック線図を図1、図2に示す。これらの演算部は、入力される関数D(s)に対して関数F(s)を掛けた演算D(s)・F(s)を行うためのものであり、このブロック線図は関数F(s)に等価である。これらの演算部は、図3のエンジンECU31内に、より詳しくは図5のECU50のなまし処理部55に含まれる。
まず、図2に示した演算は、3つの第1の一次遅れ器201と、3つの第2の一次遅れ器202と、加算若しくは減算を行う加減算器203,204,205と、微分を行う一階微分器206と、利得αを有する増幅器207と、利得βを有する増幅器208とにより実行される。すなわち、入力された関数D(s)は、第1の一次遅れ器201において係数c,dから導かれる係数g,hのうちの係数gを有する第1の1次遅れ要素により遅延された後、さらに係数hを有する第2の一次遅れ器202において第2の1次遅れ要素により遅延され、この遅延成分が第1加減算器203において関数D(s)から減算される。第1加減算器203の出力が増幅器208において係数a,cから導かれる利得βで増幅され、この増幅器208の出力と前記遅延成分とが第2加減算器204において加算される。一方、前記遅延成分を入力された一階微分器206の出力が増幅器207において係数b,g,h及び利得βから導かれる利得αで増幅される。第3加減算器205において、第2加減算器204の出力から増幅器207の出力が引かれて、演算結果、つまりD(s)・F(s)の値が得られる。
また、図1に示した演算は、1つの第1の一次遅れ器201と、1つの第2の一次遅れ器202と、加減算器203,204,205と、一階微分器206と、増幅器207と、増幅器208とにより実行される。図1の演算部は、図2の演算部においてそれぞれ共通な3つの第1の一次遅れ器201及び3つの第2の一次遅れ器202を一括したものであり、演算結果は図2の演算部と同じである。
以下、サージ抑制技術の基本から本発明までを順に説明していく。
車両加減速時に発生するサージは、主に図4に示した駆動力伝達系43のうちトランスミッションからタイヤまでの部位の捩れに起因して起こる。この捩れにはトランスミッションのバックラッシュ等の非線形要因も含まれるが、エンジン出力トルクと駆動輪トルクとの関係はおおむね2次減衰振動で近似できる。ディーゼルエンジンの場合、通常、燃料噴射量とエンジン出力トルクとがほぼ比例するので、燃料噴射量と駆動輪トルクとの関係も2次減衰振動で近似できる。この関係を式で表すと、エンジン出力トルクをE(s)、駆動輪トルクをT(s)、駆動力伝達系伝達関数をG(s)としたとき、
T(s)=E(s)・G(s) (1)
となる。
駆動力伝達系伝達関数G(s)は2次減衰振動関数で近似できるので、
Figure 2005291000
と表せる。但し、Kはゲイン(ギア比)、a,bはギアポジションごとに与える定数であり、b2<4a,a>0,b>0である。
エンジン出力トルクE(s)がドライバ要求トルクD(s)に対して、従来のなまし処理を加えて決定されるとすると、なまし処理の伝達関数をF(s)としたとき、
E(s)=D(s)・F(s) (3)
と表せ、駆動輪トルクT(s)は、
T(s)=D(s)・F(s)・G(s) (4)
であり、これは、
Figure 2005291000
と表せる。
従来のなまし処理伝達関数F(s)が1次遅れあるいは1次進みと1次遅れを与える関数(1次遅れ要素、1次進み遅れ要素)であることは既に述べた。そして、従来のなまし処理では、駆動輪トルクの変動を好適に抑えることができなかった。
駆動輪トルクT(s)がドライバ要求トルクD(s)の変化に対して振動しないようにするには、F(s)・G(s)を絶対収束するような関数とすればよい。そこで、第1の着想として、なまし処理伝達関数F(s)に駆動力伝達系伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)を用いるものとする。つまり、
F(s)=1/G(s)
=as2+bs+1 (6)
とする。これにより、
F(s)・G(s)≒K (7)
となり、駆動輪トルクT(s)は、
T(s)=KD(s) (8)
となり、駆動輪トルクT(s)は、遅れ無しにドライバ要求トルクD(s)の変化に応答し、振動も発生しないことになる。しかし、この演算は、一見、好ましいように思えるが、この演算はドライバ要求トルクD(s)の2階微分とドライバ要求トルクD(s)の1階微分とドライバ要求トルクD(s)の和をとるということなので、ドライバ要求トルクD(s)が変化した場合には、その変化以上にエンジン出力トルクE(s)が変化しなければならず、ドライバ要求トルクD(s)の変化が大きいと、エンジンの限界を超えてエンジン出力トルクE(s)を出さなければならないことになってしまう。特に、ドライバ要求トルクD(s)がステップ状に変化した場合には、エンジン出力トルクE(s)が一瞬、無限大(正のステップのとき)若しくは無限小(負のステップのとき)とならねばならず、このような動作は実際のエンジンでは実現不可能である。
また、一般に、信号の微分は高周波ほど信号中のノイズを増幅させる性質があり、2階微分ではなおさらその性質が強い。このため、ドライバ要求トルクD(s)に含まれるノイズ成分(アクセルペダル踏み込み量の信号ノイズ、エンジン回転数の信号ノイズ)が増幅されて燃料噴射制御に用いられることによって燃料噴射制御のS/N比が著しく悪化してエンジンが暴走する恐れがある。
このように、なまし処理伝達関数F(s)に駆動力伝達系伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)だけを用いることには問題がある。
そこで、本発明では、この問題を回避するために、第2の着想を用いた。すなわち、駆動力伝達系伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)に対して2次以上の遅れ要素(フィルタとも言う)を掛ければよいと考えた。ここでは、遅れ要素の次数が高いと演算が複雑になるので、必要最小限の次数を満足する2次関数を用いることにする。
つまり、ドライバ要求トルクD(s)に対して、駆動力伝達系伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)と2次以上の関数を分母に持つ遅れ要素とからなる関数F(s)を掛けることになる。遅れ要素は1/(cs2+ds+1)(c,dは係数;d2≧4c)と表す。よって、関数F(s)は、
Figure 2005291000
となる。
この場合、F(s)・G(s)は、
Figure 2005291000
となり、駆動輪トルクT(s)は、D(s)・F(s)・G(s)であるから、
Figure 2005291000
となる。
関数F(s)の定義(遅れ要素の定義)によりd2≧4cなので、駆動輪トルクT(s)はドライバ要求トルクD(s)の変化に対し絶対収束する。このように、2次以上の遅れ要素を追加することにより、駆動輪トルクT(s)を絶対収束させることができる。
これに対し、従来のなまし処理のない場合を考えると、
T(s)=D(s)・G(s) (12)
であり、
Figure 2005291000
かつ、b2<4aとなって、絶対収束しない。
してみると、本発明は、ドライバ要求トルクD(s)に対する駆動輪トルクT(s)の伝達関数が絶対収束となるように、(13)式のa,bをd2≧4cとなるようなc,dに置き換えるというものである。一般に、2次減衰振動系を表す式
Figure 2005291000
は、分母を構成する式=0とおいたときのその式の根(解)が実数であれば、絶対収束する。実数解を持つにはθ2≧4γとなればよい。言い換えると、本発明は、ドライバ要求トルクD(s)の変化に対して減衰振動を呈する駆動輪トルクT(s)を関数F(s)によって見かけ上2次遅れを呈するように制御するものである。
本発明のなまし処理によって、駆動輪トルクT(s)はドライバ要求トルクD(s)の2次遅れ関数となる。この2次遅れの遅れ特性は係数c,dの設定により定まる。また、エンジン出力トルクE(s)は、
E(s)=D(s)・F(s) (15)
であるから、
Figure 2005291000
となるが、ドライバ要求トルクD(s)の変化に対しエンジン出力トルクE(s)がドライバ要求トルクD(s)の変化以上に変化しないようにして実際のエンジンで実現可能にすることは係数c,dの設定により可能である。
ここでもう一度、従来技術を検討すると、従来のなまし処理伝達関数F(s)が1次遅れ要素である
Figure 2005291000
又は1次進み遅れ要素である
Figure 2005291000
であった。ただし、e,fはフィルタ設定値;e>0,f>0である。
このため、
Figure 2005291000
となって、e,fをどのような値にしても、駆動力伝達系伝達関数G(s)の2次減衰振動要素を相殺して駆動輪トルクT(s)を絶対収束させることはできない。
これに対し、本発明は、駆動輪トルクT(s)を絶対収束させることができるという優れた効果がある。
なお、係数a,bは、駆動力伝達系伝達関数G(s)の固有値であり、ギアポジションごとに一意的に定まる。しかし、前述した非線形性を考慮し、加減速度、車速、エンジン負荷、エンジン回転数などの運転状態諸量によってそれぞれ最適な値を設定しておき、これらの運転状態のセンサからの読み値によって係数a,bを異ならせるようにしてもよい。
一方、係数c,dは、本発明のなまし処理におけるなまし度合いを決める特性値であるが、やはり加減速度、車速、エンジン負荷、エンジン回転数などの運転状態諸量によってそれぞれ最適な値を設定しておき、これらの運転状態のセンサからの読み値によって係数c,dを異ならせるようにしておくとよい。
ところで、ECUは離散時間でしか演算できないので、本発明の演算をECUに実行させるには、
Figure 2005291000
を離散化しなければならない。
一般に、2次進み遅れ要素を離散化すると、関数F(s)の入力をxとし、出力をyとしたとき、
y(i)=Ax(i)+Bx(i−1)+Cx(i−1)
+Dy(i−1)+E(y−2) (22)
iは、時系列x,yのサンプル番号を表す自然数
A,B,C,D,Eは、係数a,b,c,dと
離散時間(演算周期)とにより求まる係数
となる。この(22)式は、(21)式を離散化(Z変換)したものに相当する。
係数A,B,C,D,Eを求める方法はいくつかあるが、係数a,b,c,dと離散時間の複雑な関数となるため、ECU上でその都度演算するのは演算負荷が大きくなり好ましくない。一方、あらかじめ机上で計算した係数A,B,C,D,Eをキャリブレーション定数又はテーブル又はマップにしてメモリ中に格納しておくこともできる。しかし、係数A,B,C,D,Eの大小となまし度合いとが直接結びつかないので、適合作業がやりにくくなる。ここで適合作業(キャリブレーション)とは、実機を試験して各係数の最適値を見つけだす作業のことである。
そこで、本発明では、従来技術の1次遅れ要素又は1次進み遅れ要素の組み合わせにより、(9)式を実現すると共に従来技術での適合手法が流用できるように、以下の方法を用いる。
(9)式において、βc=aとなる進み係数βを定義して分子に代入すると、
Figure 2005291000
となる。ここで、分子にβds+βを足し引きすると、
Figure 2005291000
が導かれる。ここで、定義によりc>0,d>0,d2≧4cなので、cs2+ds+1は正の実数で因数分解できる。そこで、g>0,h>0,gh=c,g+h=dとなる係数g,hを定義する。係数g,hは、時定数と呼ぶことができる。
(gs+1)(hs+1)=cs2+ds+1 (25)
であるから、(24)式は、
Figure 2005291000
と変形できる。ここで、α=β(g+h)−bとなる係数αを定義して分子に代入すると、
Figure 2005291000
となる。
(27)式をブロック線図で表すと、前述した図2のブロック線図が得られる。なお、係数α及び進み係数βは定義より、
Figure 2005291000
である。
図2において、3つの第1の一次遅れ器201が行う処理は互いに同じであり、3つの第2の一次遅れ器202が行う処理も互いに同じであるから、それぞれの遅延器201,202は1つにまとめることができ、図1が得られる。
遅延器201,202で行われる演算、すなわち
Figure 2005291000
は、1次遅れ要素を表している。
このようにして、2次進み遅れ要素を用いた(9)式が1次遅れ要素を組み合わせてなる(27)式で演算できるようになった。
次に、(27)式を離散化近似する方法を説明する。
1次遅れ要素の入力をxとし、出力をyとしたとき、
Figure 2005291000
と近似できる。
また、一階微分器206で行われる演算は、一階微分を表している。
一階微分器206の入力をxとし、出力をyとしたとき、
Figure 2005291000
と近似できる。
なお、これらの離散化近似方法は一般的な手法である。
時定数g,hは、g=hであってもよい。その場合、係数α及び進み係数βは定義より、
Figure 2005291000
である。
係数α及び進み係数βは、比較的簡単な式で係数a,b及び時定数g,hから求められるので、ECU上で演算しても大きな演算負荷とならない。もちろん、あらかじめ机上で計算した係数α及び進み係数βをキャリブレーション定数又はテーブル又はマップにしてメモリ中に格納しておくこともできる。
時定数g,hは、それぞれ1次遅れ要素の時定数なので、値を大きくすれば、なまし度合いも大きくなり、値を小さくすれば、なまし度合いも小さくなる。よって、適合作業がしやすい。
1次遅れ要素の離散化近似に(30)式を用いた場合、
Figure 2005291000
なので、KLを大きくすれば、なまし度合いも大きくなり、KLを小さくすれば、なまし度合いも小さくなる。
次に、本発明を従来技術と比較する。
ここでは、駆動輪トルクの変動が顕著に発生する条件であるドライバ要求トルクがステップ状に変化した場合について考察する。
図6に示した8つの時間波形は、ステップ状に変化するドライバ要求トルク、なまし処理出力、駆動輪トルクを示したものである。なお、エンジンは制御された通りに応答する、すなわち、なまし処理が無いときエンジン出力トルク=ドライバ要求トルクであり、なまし処理が有るときにはエンジン出力トルク=なまし処理出力であるものとする。
まず、一番左の上下2つの時間波形は、なまし処理が無い従来技術によるものである。上図;ステップ状に変化するドライバ要求トルクに対して、下図;駆動輪トルクには、駆動力伝達系伝達関数G(s)そのものによる結果として激しく振動する波形が表れている。この振動のために、車両にはサージが現れ、運転者に不快が生じることになる。
左から二番目の上下2つの時間波形は、1次遅れによるなまし処理を行う従来技術1によるものである。上図;なまし処理出力は、破線で示したステップ状に変化するドライバ要求トルクを前例に比べて滑らかに遅らせた波形(なました波形)となっている。このとき、下図;駆動輪トルクTは、なまし処理が無いときに見られた過剰な振幅の立ち上がりが解消されているものの、振動がなくなってはいない。つまり、上図で与えたなまし処理は、振動を防止するまでの効果を持たない。
左から三番目の上下2つの時間波形は、1次進み遅れによるなまし処理を行う従来技術2によるものである。上図;なまし処理出力は、従来技術1とは多少異なる形でなました波形となっている。このとき、下図;駆動輪トルクは、前例より振動が顕著になっている。つまり、1次進み要素を採用したことにより、加速レスポンスを向上させることはできたが、振動解消には逆効果である。
一番右の上下2つのグラフは、本発明によるものである。上図;なまし処理出力は、ステップ状に変化するドライバ要求トルクに対してなました波形となっているが、従来技術1,2でなました波形とは多少異なっている。このとき、下図;駆動輪トルクには、振動が全く見られず、滑らかで単調に増加する波形が現れている。
このように、本発明によれば、ステップ状に変化するドライバ要求トルクに対しても駆動輪トルクに全く振動を発生させないので、アクセルペダル踏み込みによるドライバ要求トルクのいかなる変化に対しても駆動輪トルクに全く振動を発生させず、サージの発生をなくすることができ、運転の快適さが向上する。
なお、上記実施の形態では、ディーゼル車両を例に取ったので、回転駆動源はディーゼルエンジンであったが、回転駆動源がモーターである電気自動車においても本発明は実施でき、回転駆動源がガソリンエンジンであっても本発明は適用可能である。また、上記実施の形態では、インジェクタによる燃料噴射量を制御したが、エンジンの種類により、所望する駆動力を得るための制御量はさまざまであり、本発明は、制御量の種類によらず有効であるのはもちろんである。
本発明の一実施形態を示す制御装置における演算のブロック線図である。 本発明の一実施形態を示す制御装置における演算のブロック線図である。 本発明をディーゼル車両に適用した場合のエンジン制御に関わる主要部の構成図である。 車両の駆動力伝達に関わる主要部の構成図である。 車両の制御装置の構成図である。 本発明と従来技術を比較するための時間波形図である。
符号の説明
41 回転駆動源
42 駆動輪
43 駆動力伝達系
50 制御装置(ECU)
201,202 一次遅れ器
203,204,205 加減算器
206 一階微分器
207,208 増幅器

Claims (4)

  1. 回転駆動源が出力する駆動力を駆動力伝達系を介して駆動輪に伝達する車両に搭載され、車両走行のための要求駆動力に基づいて上記回転駆動源の目標駆動力を演算して上記回転駆動源を制御する制御装置であって、上記要求駆動力を表す関数D(s)に対して、複素数演算子sに関する2次以上の関数である上記駆動力伝達系の伝達関数G(s)の逆モデル関数1/G(s)と複素数演算子sに関する2次以上の関数を分母に持つ遅れ要素とからなる関数F(s)を掛ける演算D(s)・関数F(s)を実行する演算部を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 上記逆モデル関数1/G(s)をas2+bs+1(a,bは係数)とし、上記遅れ要素を1/(cs2+ds+1)(c,dは係数)とし、係数c及び係数dはd2≧4cを満たすようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
  3. 前記演算部が、入力された関数D(s)を第1の1次遅れ要素により遅延させる第1の一次遅れ器と、その第1の一次遅れ器の出力を第2の1次遅れ要素により遅延させる第2の一次遅れ器と、この遅延成分を関数D(s)から減算する第1加減算器と、この第1加減算器の出力を所定の利得で増幅する増幅器と、この増幅器の出力と前記遅延成分とを加算する第2加減算器と、前記遅延成分を微分する一階微分器と、その掛け算器の出力を所定の利得で増幅する増幅器と、前記第2加減算器の出力から前記増幅器の出力を引く第3加減算器とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の車両の制御装置。
  4. 上記回転駆動源がディーゼルエンジンであって、該ディーゼルエンジンが目標駆動力を出力するよう燃料噴射を制御することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両の制御装置。
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