JP2005290892A - 高齢者介護用建物の設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高齢者が安心して利用や入居することができると共に、構造的に、痴呆症などの障害の進行を抑制することのできる高齢者介護用建物の設計方法を提供する。
【解決手段】 高齢者介護用建物1の設計方法として、高齢者介護用建物1における高齢者が利用する居室24やトイレ室25などの部屋は、部屋の室外に設けられ、部屋の出入り口を開閉し、床面より170〜190cmの高さの位置に小窓33を有した引き戸32を備えるように設計する。
【選択図】 図1
【解決手段】 高齢者介護用建物1の設計方法として、高齢者介護用建物1における高齢者が利用する居室24やトイレ室25などの部屋は、部屋の室外に設けられ、部屋の出入り口を開閉し、床面より170〜190cmの高さの位置に小窓33を有した引き戸32を備えるように設計する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高齢者が入居したり訪問したりして介護サービスなどを受けるための高齢者介護用建物の設計方法に関するものである。
従来より、高齢者に対して種々の施設を設け、その施設を利用することで種々のサービスが受けられるようになっている。そのサービスの受け方として、自宅等に居住しながら、サービスを受ける時だけ施設を利用する所謂、デイサービスと、サービスを受ける施設に入居する、入居型のサービスとがある。これらのサービスは利用者の心身的な状態に応じて異なっており、その心身的状態としては、例えば、脳梗塞等の後遺症による身体的障害、痴呆等による生活障害、等がある。そして、これら障害の種類や障害の度合に応じて、介護サービスの内容が異なるものとなっており、蓋然的に、施設もその介護サービスの内容によって異なるものとなっている。
例えば、入居型の施設として、介護サービスを必要としない場合は、「ケアハウス」、「軽費老人ホーム」、「有料老人ホーム(以下、特定施設と称す)」等があり、介護サービスが必要で治療の必要のない場合は、「特別養護老人ホーム」、治療や看護が常時必要な場合は、「介護療養施設(老人病院)」、その他として、特に痴呆性の高齢者を対象とした、「痴呆性高齢者グループホーム」、等のように施設が分かれており、夫々の施設で行われる介護サービスの内容に対応した機能を有するように夫々の施設の建物が設計されていた。
出願人は、本願出願時において、以上の従来技術が記載されている文献を特に知見していない。
しかしながら、従来の介護施設の建物では、介護する側や、建物を建てる側に都合の良い様に設計されており、建物を利用したり、建物に入居したりする高齢者の視点に基づいた設計とはなっていなかった。そのため多くの介護用建物において、例えば、高齢者が入居する居室は、その出入り口の扉が、開き戸、或いは、居室の室内側や壁の中にスライドする引き戸とされており、開き戸の場合、高齢者の症状によっては、扉の開閉が困難であったり、出入り口の開口面積が狭くなる問題があり、室内側の引き戸の場合は、室内側から引き戸に物があたったり、故意に当てたりすることで、引き戸が開閉できなくなり、高齢者の症状によっては、混乱をきたしたり、介護施設の職員などの入室が困難となるなどにより、重大な問題が発生する恐れがあった。
また、従来の介護施設の建物において高齢者が使用するトイレ室は、便器や手摺など個々に使い易さを追求したものとしてはいるが、全体としては、例えば、その出入り口と便器の向きの関係が区々で、使用者に無駄な動き強いていたり、また、廊下に居室と並んでトイレ室を設置した場合、夜間などの暗いときには、トイレ室の場所が判り辛く、トイレ室を探さなければならず、高齢者に不要な負担をかけていた。また、痴呆性高齢者の場合、昼間など明るいときでもトイレ室との認識が低下し、特に、暗くなると廊下の状況が昼間と変化することで、さらにトイレ室が判らなくなり、トイレ室を探しているうちに失禁したり、トイレ室以外の場所で排泄するなどの二次的な症状を起す問題があった。特に、失禁などをしてしまった場合、その排泄物により本人や他の高齢者が滑って転倒したりすることで、怪我をする恐れがある。
さらに、従来の介護施設の建物では、高齢者の入居する居室や、居間や食堂など高齢者や職員などの共有空間からは、施設や共有空間に出入りする人が直接見えるようになっているので、人の出入りの際の動きや音などにより、高齢者に落ち着いた雰囲気を与えられなかったり、高齢者によっては帰宅願望を誘発したりしていた。特に、入居間もない痴呆性高齢者は、住み慣れた家に戻りたくなる心理状態となり易く、人の出入りを察知すると、家族を探したりして、帰宅願望を誘発し易くなっていた。
また、従来の建物では、照明、エアコン、給湯器など施設に備えられた種々の設備機器におけるスイッチ類の高さが、一般的には110〜130cmとされ、なかには、高齢者などが操作し易いように90〜100cmとされたものなどが知られているが、高齢者自身が操作し易いようにしているため、職員に無断で操作して予期せぬ事故が発生する恐れがあった。特に、痴呆性高齢者の場合、スイッチを操作したか否かが判らなくなり精神状態が不安定になったり、スイッチ自体を理解できなくなり、破壊してしまったり、設定を変更してしまったりして、高齢者に種々の症状を誘発したり、設定が変更されることで事故などが発生する恐れがあった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、高齢者が安心して利用や入居することができると共に、構造的に、痴呆症などの障害の進行を抑制することのできる高齢者介護用建物の設計方法の提供を課題とするものである。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、「高齢者介護用建物における高齢者が利用する部屋は、該部屋の室外に設けられ、該部屋の出入り口を開閉し、床面より170〜190cmの高さの位置に小窓を有した引き戸とする」設計とするものである。
ここで、高齢者介護用建物とは、建家の他に、建家に付随する庭、駐車場、などの外構も含むものとする。また、高齢者が利用する部屋としては、入居するための居室、トイレ室、洗面室、更衣室、脱衣室、浴室、居間、食堂、台所、などを例示することができる。
本発明によると、高齢者が利用する部屋の扉を、その部屋の室外側に設けた引き戸とすると共に、床面より170〜190cmの高さの位置に小窓を設けたもので、これにより、引き戸に、室内側から物などが当たって引き戸が開閉不能となるのを防止することができ、引き戸が開かないことで、高齢者が混乱したり、介護施設の職員などの入室が困難となり室内の高齢者に重大な問題が発生するのを回避することが可能となる。
また、引き戸には、小窓が高齢者の視線に入り難い高い位置に設けられているので、高齢者に対して監視されているような圧迫感を与えるのを抑制することができる。さらに、小窓から室内の明かりが確認できるので、職員が部屋の使用の有無や、電灯などの消し忘れなどを容易に確認することができる。
なお、小窓の高さを床面より170cm以上としたのは、これよりも低いと高齢者の視線に入り易く圧迫感を与える恐れがあるためであり、高さを190cm以下としたのは、引き戸の高さを勘案し、これ以上高くする必要がないためである。
また、本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、上記の構成に加えて、「前記部屋は、前記引き戸の設けられた壁と対向する前記部屋内の壁面に、ワイヤレスリモコンにより操作可能な前記部屋内の空調を行うエアコンのリモコン受信部を設け、前記引き戸が、前記部屋の出入り口を閉鎖した状態で、該部屋の室外から、前記ワイヤレスリモコンの送信信号を、前記引き戸の前記小窓を介して、前記部屋内の前記受信部に受信させて前記エアコンを操作可能とする」設計とすることもできる。
ここで、従来の介護施設の建物における空調は、各部屋ごとエアコンが備えられている場合、そのエアコンの操作は、その室内に入って行わなければならず、職員などが操作のために部屋に入室することで、その部屋の高齢者に対して不快感などを与えることがあった。
そこで、本発明によると、引き戸と対向した壁面にエアコンのリモコン受信部を備えたもので、これにより、室外から引き戸の小窓を介してエアコンを操作することが可能となる。そのため、エアコンを操作するために職員が部屋に入室する必要がなく、入室により部屋の高齢者に対して不快感を与えるのを回避することができる。
さらに、本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、上記の構成に加えて、「前記部屋は、高齢者が使用するトイレ室とし、該トイレ室は、該トイレ室の室内に設けられた便器を、前記トイレ室への出入り方向に対して略90度回転した方向に使用方向を向ける」設計とするものである。
本発明によると、トイレ室の便器の使用方向が、トイレ室の出入り方向に対して略90度回転した方向とするもので、これにより、上記の作用効果に加えて、高齢者がトイレを使用する際に、90度向きを変えるだけで便器を使用することができるので、少ない動作で用を足すことが可能となり、高齢者の負担を軽減させることができる。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、「夜間、若しくは、暗闇時に、高齢者が使用するトイレ室外の出入り口近傍を照明手段により照らす」設計とすることもできる。ここで、照明手段としては、蛍光灯、白熱灯、ELなどを用いることができる。
本発明によると、夜間などの暗がり時に、照明手段によりトイレ室の出入り口近傍を照らすもので、これにより、高齢者に対してトイレ室の場所を認知させることが可能となり、トイレ室を探すことで高齢者に負担をかけたり、失禁や他の場所で排泄するなどの二次的な症状を引き起こしたりするのを抑制することができる。また、失禁などを防ぐことができるので、排泄物により本人や他の高齢者が滑って怪我などをするのを防止することもできる。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、「高齢者介護用建物は、高齢者および職員の共有空間の出入り口から所定距離離間した位置に透光性を有した遮蔽手段を備えて、前記共有空間内の高齢者の視界に直接前記出入り口が見えるのを遮蔽する」設計とすることもできる。ここで、共有空間としては、居間、食堂、厨房、ロビー、治療室、診察室など、高齢者と職員の何れもが利用する空間である。また、遮蔽手段としては、障子、格子、御簾などを例示することができる。
本発明によると、共有空間の出入り口から所定距離離間した位置に、共有空間内の高齢者の視界から出入り口を遮蔽する遮蔽手段を備えたもので、これにより、共有空間の出入り口での人の動きや音などが遮蔽手段により遮蔽されので、共有空間内の高齢者の視線や意識が出入り口に集中するのを防ぎ、帰宅願望が誘発するのを抑制することができる。また、出入り口側からも、共有空間内の高齢者が見えないので、高齢者のプライバシーを保護することができる。
また、透光性を有した遮蔽手段としているので、共有空間内が暗くなるのを抑制すると共に、高齢者に対して圧迫感や閉塞感を与え難くすることが可能となり、共有空間内を落ち着いた雰囲気とすることもできる。なお、ここでいう透光性とは無色透明なものを除くものである。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、上記の構成に加えて、「前記遮蔽手段は、床面から60〜185cmの高さにおいて高齢者の視界を遮蔽する」設計とすることもできる。
本発明によると、床面から60〜185cmの高さにおいて高齢者の視界を遮蔽するもので、これにより、高齢者が椅子や座敷などに座っている時や、立っている時でも、その視界に直接出入り口などが入るのを防ぐことができると共に、その上下が開放されているので、閉塞感を与えるのを抑制することができる。なお、床面から60cm以上としたのは、それより下を遮蔽しても、上記のような効果を得られないからであり、また、床面から185cm以下としたのは、それ以上高くすると閉塞感が増加するためである。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、上記の構成に加えて、「前記高齢者介護用建物は、建物内の壁面に設けられた、照明、給湯器、エアコンを含む設備機器の操作スイッチの高さを、床面から170〜190cmの高さとする」設計とすることもできる。
本発明によると、施設内の壁面に設けられた、照明、給湯器、エアコンなどの設備機器の操作スイッチの高さを、床面から170〜190cmとしたもので、従来のようにその高さを低くして高齢者にスイッチの操作をし易くするのとは逆に、スイッチの高さを高くして、高齢者がスイッチの操作をし辛くしたものである。これにより、高齢者が職員に無断で操作して予期せぬ事故が発生するのを防止することができる。また、高齢者の視界に入り難いため、それらスイッチの操作は職員などが行うものとの認識をもたせることも可能となり、特に、痴呆性高齢者の場合、周辺症状や事故などを誘発するのを防止することができる。
なお、スイッチの高さを170cm以上としたのは、これよりも低いと高齢者の視界に入り易くなると共に、高齢者が操作してしまう恐れがあるためであり、また。高さを190cm以下としたのは、これ以上高くすると職員が操作し辛くなるためである。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法によると、上記の構成に加えて、「前記高齢者介護用建物は、建物への出入口となるエントランスゾーンと、該エントランスゾーンに隣接し、該エントランスゾーンから出入りすると共に、該エントランスゾーンを通過する人を視認可能とし、建物の管理及び事務的な業務を行うマネージメントゾーンと、該エントランスゾーン及び前記マネージメントゾーンとに隣接し、前記エントランスゾーンを通過して出入りする、建物の職員及び入居した高齢者の共有空間となるパブリックゾーンと、該パブリックゾーンと隣接し、該パブリックゾーンから出入りすると共に、前記エントランスゾーン及び前記マネージメントゾーンとは、直接出入り不能とされ、入居した高齢者の個人的な空間となるプライベートゾーンとから構成する」設計とすることもできる。
ここで、エントランスゾーンとしては、所謂、玄関に相当するものである。また、マネージメントゾーンとしては、施設や高齢者の管理などを行う事務所や、相談室、職員の休憩室、等を含めることができる。
また、「エントランスゾーンを通過する人を視認可能」とは、エントランスゾーンとマネージメントゾーンとの間を仕切る壁に窓等を設けて、マネージメントゾーンからエントランスゾーンを通過する人を視認することができるものであれば、特に限定するものではない。
さらに、パブリックゾーンとは、職員と高齢者の共有の共有空間であって、例えば、居間、座敷、台所、食堂、浴室、脱衣室、トイレ室、洗面所、倉庫、厨房、通路、等の他、デイサービス等を行うための部屋も含めることができる。また、プライベートゾーンとしては、例えば、居室、トイレ室、洗面所、通路、浴室、脱衣室、等を含めることができ、入居した高齢者の個人的な空間であり、無用に職員が出入することのない空間である。
本発明によると、高齢者介護用建物の建物を、エントランスゾーン、マネージメントゾーン、パブリックゾーン及び、プライベートゾーンとで構成するもので、外部から、或いは建物内から外部へ向かうには、必ずエントランスゾーンを通らなければならず、さらに、マネージメントゾーンからはエントランスゾーンを通る人を視認することができるので、マネージメントゾーンの職員は、建物に出入する人を視認することができ、それを管理することができる。これにより、建物(施設)に関係ない人が建物内に入ることを防止することができる。また、高齢者が、無断で建物の外へ出て行くことを防止することができる。特に、痴呆性高齢者等の記憶障害がある場合は、職員の介護なしに外出すると帰れなくなることがあるので、高齢者の出入を管理することで、職員の介護なしに外出することを防止することができる。
また、エントランスゾーンからマネージメントゾーンへ出入りするようにしているので、マネージメントゾーンへ用事のある業者や、入居している高齢者の関係者等が、パブリックゾーンやプライベートゾーンに入ることがないので、高齢者は、安心してパブリックゾーンやプライベートゾーンにいることができる。なお、エントランスゾーンとパブリックゾーンとの出入り口に扉を設けて、パブリックゾーンからはエントランスゾーンにいる人等を見れなくすることで、特に、痴呆性高齢者に対して、混乱や帰宅願望を引き起こして、周辺症状を誘発するのを防止することができる。
ここで、「周辺症状」とは、痴呆の中核的な障害である「記憶障害」「見当障害」「認知障害」があり、これらの障害にともなって現れてくる症状のことを言い、周辺症状として、「抑うつ」、「せん妄」、「幻覚」、「妄想」、「暴言」、「暴力」、「徘徊」、「異食」等の症状が挙げられる。
なお、エントランスゾーン、マネージメントゾーン、パブリックゾーン及び、プライベートゾーンとで一つのユニットを構成した場合、施設全体にまとまりを持たすことができ、施設や建物の規模を比較的小規模なものとすることができる。そのため、都心部や住宅地等の広い用地の確保が難しい場所でも建設することができるので、高齢者が長年住みなれた地域内に建設することで、入居に伴なう高齢者の戸惑いや不安を抑制することができ、住み易い環境に設計することができる。
本発明の高齢者介護用建物の設計方法は、上記の構成に加えて、「前記プライベートゾーンの空調を行う空調機器の噴出し口を、少なくとも前記パブリックゾーンと前記プライベートゾーンとの出入り口近傍とする」設計とすることもできる。
本発明によると、パブリックゾーンとプライベートゾーンとの出入り口近傍に、空調機器の噴出し口を備えたもので、これにより、プライベートゾーンに対して効率よく空調を行うことが可能となる。詳しくは、プライベートゾーンはパブリックゾーンからしか出入りすることができないため、その出入り口に噴出し口を備えることで、空調された調和空気がプライベートゾーンから逃げ難くなるので、空調効率を高めることができる。
上記のように本発明によると、高齢者が安心して利用や入居することができると共に、構造的に、痴呆症などの障害の進行を抑制することのできる高齢者介護用建物の設計方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態である高齢者介護用建物の設計方法について、図1乃至図5に基づき説明する。図1は、本発明の高齢者介護用建物の設計方法を適用したグループホームの平面図である。図2は、図1における居室の要部断面図である。図3(A)は、図1におけるトイレ室の出入り口近傍を示す斜視図であり、(B)は、図1における浴室内を風呂スイッチと共に示す斜視図である。また、図4(A)は遮蔽手段を示す斜視図であり、(B)はその正面図である。
図1に示す、高齢者介護用建物1は、外構の一部であり建家2との通路となるアプローチゾーンEと、建家2への出入口となるエントランスゾーンAと、事務的な業務を行なうマネージメントゾーンBと、職員と入居した高齢者の共有空間となるパブリックゾーンCと、高齢者の個人的な空間となるプライベートゾーンDとで一つのユニットを構成した形態とされている。なお、本例では、高齢者介護用建物1としてグループホームに適用したものについて説明する。
本例の高齢者介護用建物1は、一階と二階(図示しない)とが夫々独立したユニットされており、図中符号A1が一階のエントランスゾーンであり、符号A2が二階のエントランスゾーンに夫々相当している。なお、一階と二階とは略同じ構成とされているので、一階のみ説明し二階の説明は省略する。
アプローチゾーンEは、エントランスゾーンAからは直接外の景色や人などが視認できない、或いは、視認し辛いようにするための外部遮蔽手段40が備えられていると共に、この外部遮蔽手段により曲がった通路となっている。なお、外部遮蔽手段40は、例えば、塀、柵、トレリス、生垣、などにより構成するものである。
エントランスゾーンAは、ポーチ3、玄関4、ポーチ3と玄関4とを仕切る玄関扉5、及び、玄関ホール6などが備えられており、玄関扉5が建家2への出入口となっている。
マネージメントゾーンBは、エントランスゾーンAに隣接した位置に設けられ、事務室7、トイレ室8、倉庫9などが備えられている。このマネージメントゾーンBには、エントランスゾーンAの玄関ホール6から出入りするようになっている。また、マネージメントゾーンBの事務室7と、エントランスゾーンAのポーチ3、玄関4や玄関ホール6との間の壁には、エントランスゾーンAを通過する人を視認可能な小窓10が備えられている。
パブリックゾーンCは、エントランスゾーンAを通過することで出入り可能とされ、エントランスゾーンAとの出入り口となる扉11と、食堂12、台所13、厨房14、居間15、座敷16、庭などが備えられており、施設の職員と入居している高齢者の共有空間となっている。このパブリックゾーンでは、食堂12にはテーブル17や椅子18が、また、居間15にはテレビ19やソファー20が備えられている。
また、パブリックゾーンCには、食堂12において、エントランスゾーンAとの出入り口である扉11から所定距離離間した位置に遮蔽手段21が備えられている。この遮蔽手段21は、図4(A)に示すように、格子状に形成された部材の一方の面に障子紙22が貼られた形態のもので、障子紙22は、上下方向の所定範囲内、詳しくは、床面から60〜185cmの範囲内(同図(B)中、H4とH5とで示す範囲内)にのみ貼られている。なお、本例の遮蔽手段21には、マガジンラック23が備えられている。
プライベートゾーンDは、パブリックゾーンCからのみ出入り可能とされ、入居した高齢者のための居室24、トイレ室25、脱衣室26、浴室27、洗濯室28、などが備えられている。その他に、廊下29の隅には洗面化粧台30が設けられている。本例では、プライベートゾーンDとパブリックゾーンCとの出入り口が一箇所とされ、その出入り口近傍にプライベートゾーンDの廊下などを空調するための図示しない空調機器の噴出し口31がプライベートゾーンDの方向に向けて備えられている。
プライベートゾーンD及びパブリックゾーンCにおいて、居室24やトイレ室25など高齢者が利用する部屋の出入り口の扉は、すべて部屋の室外に設けられた引き戸32とされていると共に、図2及び図3に示すように、その引き戸32には床面より170〜190cmの高さ(図2中、H1で示す)の位置に小窓33が備えられている。また、プライベートゾーンD及びパブリックゾーンCにおいては、図3(B)に示すように、照明や給湯器などのスイッチ34が、床面から170〜190cmの高さ(図3(B)中、H3で示す)に設けられている。
プライベートゾーンDの居室24は、図2にその断面を示すように、居室24の出入り口と対向する室内の壁面には、リモコン受信部35を備えたエアコン36が取り付けられており、居室24の引き戸32を閉めた状態で、廊下29側からリモコン41を操作し、引き戸32の小窓33を介して、エアコン36を操作できるようになっている。なお、居室24の窓37は、掃き出し窓ではなく、床面から60〜200cmの範囲内の高さ(図2中、H2で示す)に備えられ窓37であり、窓37の外から居室24内に容易に侵入し難くすることで、入居している高齢者に対して侵入者に対する不安感を緩和させることができる。
また、プライベートゾーンDなどのトイレ室25は、図1に示すように、その室内の便器38の使用方向が、トイレ室25の出入り方向に対して略90度回転した方向とされている。なお、本例では、洋風便器を示したが、和風便器及び小用便器においても同様である。さらに、図3(A)に示すように、トイレ室25の出入り口近傍を照らす照明手段39が備えられており、本例では、廊下29の天井に埋め込まれたダウンライトとされている。
さらに、プライベートゾーンDなどの洗面化粧台30は、板状の天板に洗面ボウルを取り付けた形態とされ、その下側には、キャスタを備えたキャビネット(図示しない)が収容されており、必要に応じてキャビネットを移動させることができるようになっている。
次に、本例の高齢者介護用建物1の作用について説明する。本例の建物1への出入りは、アプローチゾーンE、エントランスゾーンAを通って行うようになっており、エントランスゾーンAを通る人は、マネージメントゾーンBの事務室7の小窓10から視認できるようになっている。そして、事務室7に用事のある業者などは、エントランスゾーンAからマネージメントゾーンBへと出入りし、パブリックゾーンCへ入る必要がないようになっている。
職員及び入居している高齢者は、エントランスゾーンAから扉11を通ってパブリックゾーンBへと出入りする。この扉11の備えられたパブリックゾーンBの食堂12には、遮蔽手段21が備えられており、食堂12の椅子18に座っている高齢者や、座敷16にいる高齢者から、エントランスゾーンAとの出入り口となる扉11が、遮蔽手段21の格子や障子紙22などに遮られ、直接視界入るのを抑制している。なお、障子紙22として丈夫で破れ難いものが望ましく、例えば、ワーロン紙を用いても良い。
パブリックゾーンCの居間15に設置されたテレビ19とソファー20は、テレビ19を見ている高齢者の視線が、エントランスゾーンAとの出入り口である扉11とは逆の方向に向くように配置されている。また、座敷16は、その床面が居間15などよりも高くしてあり、生活障害のある高齢者にも段差を確実に認識させて、転倒などによる怪我を防ぐようになっている。
プライベートゾーンDでは、図示するように廊下29が、回廊状とすると共に、袋小路を設けて、パブリックゾーンCとの出入り口を一箇所としているので、職員の目の届かない箇所ができ、高齢者に対して監視されているような感じを緩和させることができる。また、夜間、痴呆性高齢者が徘徊しても、立ち止まって考えさせることができると共に、プライベートゾーンDから外に出難いようになっている。
このように、本実施形態の設計方法によると、高齢者の利用する居室24やトイレ室25などの部屋の出入り口の扉を、部屋の外側に設けられた引き戸32とし、さらに、床面より170〜190cmの高さに小窓33を設けたもので、これにより、引き戸32に、室内側から物などが当たって引き戸32が開閉不能となるのを防止することができ、引き戸32が開かないことで、高齢者が混乱したり、施設の職員などの入室が困難となり室内の高齢者に重大な問題が発生するのを回避することが可能となる。
また、引き戸32の小窓33は、高齢者の視線に入り難い高い位置に設けられているので、高齢者に対して監視されているような圧迫感を与えるのを抑制することができる。さらに、小窓33から室内の明かりが確認できるので、職員が部屋の使用の有無や、電灯などの消し忘れなどを容易に確認することができる。
さらに、引き戸32と対向した壁面にリモコン受信部35を備えたエアコン36が設けられており、これにより、廊下29側から引き戸32の小窓33を介してエアコン36を操作することが可能となり、エアコン36を操作するために職員が部屋に入室する必要がなく、入室により部屋の高齢者に対して不快感を与えるのを回避することができる
また、トイレ室25の便器38の使用方向が、トイレ室25の出入り方向に対して略90度回転した方向となっているので、高齢者がトイレ室25を使用する際に、90度向きを変えるだけで便器38を使用することができ、少ない動作で用を足すことが可能となり、高齢者の負担を軽減させることができる。
また、夜間などの暗がり時に、照明手段39によりトイレ室25の出入り口近傍を照らすので、高齢者に対してトイレ室25の場所を認知させることが可能となり、トイレ室25を探すことで高齢者に負担をかけたり、失禁や他の場所で排泄するなどの二次的な症状を引き起こしたりするのを抑制することができる。また、失禁などを防ぐことができるので、排泄物により本人や他の高齢者が滑って怪我などをするのを防止することもできる。
パブリックゾーンCにおいて、エントランスゾーンAとの出入り口である扉11から所定距離離間した位置に遮蔽手段21を備えたことにより、扉11での人の動きや音などが遮蔽手段21により遮蔽されので、パブリックゾーンC内の高齢者の視線や意識が出入り口である扉11に集中するのを防ぎ、帰宅願望が誘発するのを抑制することができる。
また、遮蔽手段21を格子や障子紙22などで構成しているので、パブリックゾーンC内が暗くなるのを抑制すると共に、高齢者に対して圧迫感や閉塞感を与え難くすることが可能となり、パブリックゾーンC内を落ち着いた雰囲気とすることもできる。
さらに、建家2内の壁面に設けられた、照明、給湯器、エアコン36などスイッチ34の高さを、床面から170〜190cmとしているので、高齢者がスイッチ34の操作をし辛くすることができ、これにより、高齢者が職員に無断で操作して予期せぬ事故が発生するのを防止することができる。また、高齢者の視界に入り難いため、それらスイッチ34の操作は職員などが行うものとの認識をもたせることも可能となり、特に、痴呆性高齢者の場合、周辺症状や事故などを誘発するのを防止することができる。
また、高齢者介護用建物1を、アプローチゾーンE、エントランスゾーンA、マネージメントゾーンB、パブリックゾーンC及び、プライベートゾーンDとで構成することで、パブリックゾーンCやプライベートゾーンDには、職員か入居している高齢者しか入ることができないので、高齢者が安心して入居することができる。さらに、高齢者が痴呆性高齢者となっても、建家2(建物)の構造により、その症状の進行を抑制したり、緩和させたりすることができるので、高齢者に周辺症状などが誘発するのを抑制すると共に、介護する職員の負担を軽減させることができる。
また、アプローチゾーンEの外部遮蔽手段40により、エントランスゾーンAにいる高齢者の視線に外の景色や人などが見えるのを防止することで、高齢者に帰宅願望が誘発されるのを抑制すると共に、高齢者がエントランスゾーンAから外へ出てしまっても、外部遮蔽手段40により通路が曲がっているので、その曲がり角で立ち止まらせたり、速度を遅くさせることができるので、その間に職員が高齢者を保護することが可能となり、高齢者が建家2や施設の外に無断で出てしまって、帰れなくなったり、事故などに遭うのを防止することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態の設計方法では、高齢者介護用建物1として痴呆性高齢者を対象とするグループホームに適用したものを示したが、これに限定するものではなく、図5に示すような、グループホームとデイサービスとの両方のサービスを提供できる高齢者介護用建物50にも適用することもできる。これにより、デイサービスを利用する高齢者に対しても上記と同様の効果を奏することができる。この例の高齢者介護用建物50では、パブリックゾーンCが、グループホーム側のパブリックゾーンC1と、デイサービス側のパブリックゾーンC2とで構成されており、通常は、利用する高齢者が両パブリックゾーンC1,C2間を勝手に行き来できないようになっている。なお、構成の同じものについては、同一の符号を付し、説明は省略する。また、この例のグループホームは、図示は省略するが、プライベートゾーンDが一階と二階に分割された形態となっている。
また、本実施形態の設計方法では、グループホームの高齢者介護用建物1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、特定施設やケアハウスなどの高齢者に介護を行うための建物の他に、将来的にグループホームや特定施設などの高齢者介護用建物となることを前提とした、住宅やマンション、アパートなどにも適用することができる。
さらに、本実施形態の設計方法では、リモコン受信部35を備えたエアコン36を、居室24の出入り口と対向する壁面に取り付けたものを示したが、これに限定するものではなく、リモコン受信部35が対向する壁面に取り付けられていれば良い。
また、本実施形態では、照明手段39としてダウンライトのものを示したが、これに限定するものではなく、スポットライト、ELなど種々のライトとすることができ、夜間などにトイレ室25の出入り口近傍を照らして、高齢者にトイレ室25の場所が判るようなものであれば良い。
また、本実施形態では、トイレ室25の便器38を洋風便器のものを示したが、これに限定するものではなく、和風便器や小用便器とすることもでき、それらの使用方向をトイレ室の出入り方向に対して略90度回転した方向とすることで、上記と同様の効果を奏し、高齢者にとって使い易いものとすることができる。
1 高齢者介護建物
A エントランスゾーン
B マネージメントゾーン
C パブリックゾーン
D プライベートゾーン
5 玄関扉(出入り口)
10 小窓
11 扉(出入り口)
21 遮蔽手段
24 居室
25 トイレ室
31 噴出し口
32 引き戸
33 小窓
34 スイッチ
35 リモコン受信部
36 エアコン
38 便器
39 照明手段
41 リモコン
50 高齢者介護用建物
A エントランスゾーン
B マネージメントゾーン
C パブリックゾーン
D プライベートゾーン
5 玄関扉(出入り口)
10 小窓
11 扉(出入り口)
21 遮蔽手段
24 居室
25 トイレ室
31 噴出し口
32 引き戸
33 小窓
34 スイッチ
35 リモコン受信部
36 エアコン
38 便器
39 照明手段
41 リモコン
50 高齢者介護用建物
Claims (9)
- 高齢者介護用建物における高齢者が利用する部屋は、
該部屋の室外に設けられ、該部屋の出入り口を開閉し、床面より170〜190cmの高さの位置に小窓を有した引き戸とすることを特徴とする高齢者介護用建物の設計方法。 - 前記部屋は、
前記引き戸の設けられた壁と対向する前記部屋内の壁面に、ワイヤレスリモコンにより操作可能な前記部屋内の空調を行うエアコンのリモコン受信部を設け、
前記引き戸が、前記部屋の出入り口を閉鎖した状態で、該部屋の室外から、前記ワイヤレスリモコンの送信信号を、前記引き戸の前記小窓を介して、前記部屋内の前記受信部に受信させて前記エアコンを操作可能とすることを特徴とする請求項1に記載の高齢者介護用建物の設計方法。 - 前記部屋は、高齢者が使用するトイレ室とし、
該トイレ室は、
該トイレ室の室内に設けられた便器を、前記トイレ室への出入り方向に対して略90度回転した方向に使用方向を向けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高齢者介護用建物の設計方法。 - 夜間、若しくは、暗闇時に、高齢者が使用するトイレ室外の出入り口近傍を照明手段により照らすことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の高齢者介護用建物の設計方法。
- 高齢者介護用建物は、
高齢者および職員の共有空間の出入り口から所定距離離間した位置に透光性を有した遮蔽手段を備えて、前記共有空間内の高齢者の視界に直接前記出入り口が見えるのを遮蔽することを特徴とする高齢者介護用建物の設計方法。 - 前記遮蔽手段は、
床面から60〜185cmの高さにおいて高齢者の視界を遮蔽することを特徴とする請求項5に記載の高齢者介護用建物の設計方法。 - 前記高齢者介護用建物は、
建物内の壁面に設けられた、照明、給湯器、エアコンを含む設備機器の操作スイッチの高さを、床面から170〜190cmの高さとすることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか一つに記載の高齢者介護用建物の設計方法。 - 前記高齢者介護用建物は、
建物への出入口となるエントランスゾーンと、
該エントランスゾーンに隣接し、該エントランスゾーンから出入りすると共に、該エントランスゾーンを通過する人を視認可能とし、建物の管理及び事務的な業務を行うマネージメントゾーンと、
該エントランスゾーン及び前記マネージメントゾーンとに隣接し、前記エントランスゾーンを通過して出入りする、建物の職員及び入居した高齢者の共有空間となるパブリックゾーンと、
該パブリックゾーンと隣接し、該パブリックゾーンから出入りすると共に、前記エントランスゾーン及び前記マネージメントゾーンとは、直接出入り不能とされ、入居した高齢者の個人的な空間となるプライベートゾーンとから構成することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか一つに記載の高齢者介護用建物の設計方法。 - 前記プライベートゾーンの空調を行う空調機器の噴出し口を、少なくとも前記パブリックゾーンと前記プライベートゾーンとの出入り口近傍とすることを特徴とする請求項8に記載の高齢者介護用建物の設計方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2004109177A JP2005290892A (ja) | 2004-04-01 | 2004-04-01 | 高齢者介護用建物の設計方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2004109177A JP2005290892A (ja) | 2004-04-01 | 2004-04-01 | 高齢者介護用建物の設計方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2005290892A true JP2005290892A (ja) | 2005-10-20 |
Family
ID=35324134
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2004109177A Pending JP2005290892A (ja) | 2004-04-01 | 2004-04-01 | 高齢者介護用建物の設計方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2005290892A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012026185A (ja) * | 2010-07-26 | 2012-02-09 | Keiichi Aoyama | 高齢者介護ブロックユニット、及びその設計方法 |
| JP2020084639A (ja) * | 2018-11-28 | 2020-06-04 | 積水ハウス株式会社 | 玄関ユニット及び集合住宅 |
-
2004
- 2004-04-01 JP JP2004109177A patent/JP2005290892A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012026185A (ja) * | 2010-07-26 | 2012-02-09 | Keiichi Aoyama | 高齢者介護ブロックユニット、及びその設計方法 |
| JP2020084639A (ja) * | 2018-11-28 | 2020-06-04 | 積水ハウス株式会社 | 玄関ユニット及び集合住宅 |
| JP7212842B2 (ja) | 2018-11-28 | 2023-01-26 | 積水ハウス株式会社 | 玄関ユニット及び集合住宅 |
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