JP2005290833A - 地盤等への貫入体送り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さな振幅で高い振動数の振動を生起可能とし、穿孔効率及び杭貫入効率の効率化を図るとともに、ビットへの負担を小さくし長寿命化を図ること、さらに軸受け部分の破損等を無くすとともに、振動による騒音発生を実質的に極小とした地盤貫入体の送り装置を提供する。
【解決手段】ガイドセル2に沿って前後進自在に搭載され、保持した穿孔ロッドRに推進力と共に、回転力と振動を与えながら、地盤中に貫入させるための送り装置3であって、前記送り装置3における起振手段として、リニアモータ方式を採用し、前記送り装置内において地盤貫入体Rと中間部材を介して連結されている加振用駆動体16を軸線方向に微小幅で往復移動させて振動を生起する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガイドセルに沿って前後進自在に搭載され、保持した穿孔ロッド、杭などの貫入体を地盤、コンクリート、道路路盤等に貫入させるための送り装置に係り、詳しくは推進力と共に、回転力と振動を与えながら貫入体を地盤等へ貫入させる、所謂ロータリーバイブレーション方式の送り装置に関する。
地盤改良工事、トンネル掘削における装薬孔、アンカー設置工事、基礎杭の造成工事等の土木工事においては、地盤中に薬液注入孔や、アンカー設置孔などの穿孔を形成するため、或いは杭を地盤中に打設する等のために、穿孔機又は杭打ち機等が用いられる。この穿孔機又は杭打ち機は、基本的には、ガイドセル上に前後進自在にドリフターと呼ばれる送り装置を搭載し、この送り装置の前面側にシャンクロッドや接続アダプターなどの連結材を介して穿孔ロッドや杭体を保持し、前記送り装置による前進による推進力と共に回転力を与え、更には削孔効率を上げるために、打撃を与えたり、振動を与えたりしながら、前記地盤貫入体を地盤に挿入している。前者の回転と共に打撃を与える方式はロータリーパーカッションと呼ばれる方式であり、後者の回転と共に振動を与える方式はロータリーバイブレーションと呼ばれる方式である。
前記ロータリーパーカッション方式は、回転により摩擦低減を図りながら、打撃により硬質土層を破壊することで地盤反力の低減を図れる利点があり、貫入効率が高いため、従来より多用されているが、騒音が大きく、特に住宅地や市街地若しくはその隣接地域では採用し得ないなどの問題があった。
一方、前記ロータリーバイブレーション方式は、送り装置の内部に起振装置を備え、地盤貫入体に回転と共に振動を与えるものであり、低騒音化が可能である、回転のみの場合よりも高い穿孔効率が得られるなどの利点から近年、採用され始めている方式である。
前記ロータリーバイブレーション方式による先行文献としては、例えば下記特許文献1〜3を挙げることができる。下記特許文献1では、ロッドを軸方向に振動させるために、フレームに軸線方向に偏倚自在に設けられたロータハウジングと、このロータハウジング内に収容され、所定の周波数で回転して起振力を発生させる複数枚の偏心ロータと、前記ロッドの後端を前記ロータハウジングに回転自在に連結するための連結手段とからなる振動発生装置が開示されている。また、下記特許文献2では、1台の電動機と、その電動機を中心として対称に同軸に配置される2体の偏心ロータとから構成された振動モータを用いた加振機を取り付けた杭打ち機が開示されている。さらに、下記特許文献3では、一対の偏心ロータを備えた振動モータを起振装置を備える送り装置において、前記振動モータの外側に振動を吸収する防振体を設けることにより騒音の低減を図った地盤穿孔装置が開示されている。
特許第2527674号公報 特開平10−298988号公報 特開2002−97883号公報
前記ロータリーバイブレーション方式は、ロータリーパーカッション方式と比べると、小さな振幅の振動を加えることで、すなわち小さな打撃力を小刻みに加えることにより、ハンマーを無くし低騒音化を実現するものであるが、実際に市場に提供されている穿孔機及び杭打ち機の性能を比較してみると、上記特許文献1〜3に記載されるような、偏心ロータの回転による振動を発生させる起振装置の場合の振動数は、概ね500〜3600cpm程度であり、一方前記ロータリーパーカッションによる打撃回数も2000〜3500bpmであり、両者には有意差は無く、ロータリーバイブレーション方式は、推進力と共に回転力のみを与えるロータリー方式に比べると穿孔効率又は杭貫入効率は高いが、ロータリーパーカッション方式に比べると、打撃力が弱い分、どうしても穿孔効率又は杭貫入効率が劣るという問題があり、ロータリーバイブレーションの利点を最大限に生かすには、現状の振動数では不十分で、より高い振動数の振動を与えることができる起振装置が強く望まれている。
また、前記ロータリーバイブレーション方式では、穿孔効率又は杭貫入効率を高めるため、振幅を大きくして、より大きな衝撃力を作るようにしているが、ビットに掛かる負担が大きくなるため、硬岩ではビットが破損する場合があった。この点を改良するには、より小さな振幅で高い振動数の振動を与えるようにすればよいことになるが、従来の偏心ロータによる起振装置では、モータを駆動源としているため、機構的に振動数に限界があった。
また、偏心ロータを回転させる従来の起振装置の場合には、機械的駆動であるため、軸受けのベアリングが破損するなどの問題があるとともに、寸法及び重量が嵩むようになる、さらには振動が起振装置を介して穿孔機又は杭打ち機全体に伝わる、特に斜め掘りの場合には、重力との合成で穿孔機全体が振動し易いなどの問題があった。
さらに、より低騒音化を図るには、上記特許文献2のように起振部の周囲に防振体を介在させる方法が提案されているけれども、振動による騒音を極小にすることはできず、かつ送り装置の構造も複雑化するなどの問題があった。
一方、前記ロータリーバイブレーション方式の起振装置の起振力は、振動体の自重、振幅、振動数の二乗に比例する関係にある。偏心ロータを回転させる従来の起振装置は、偏心ロータが振動体の自重に含まれる。そのため、起振力を大きくするために偏心ロータを大きくすると自重が増えることになり、両者の関係がイタチごっことなり、振動数に制限を受けるなどの問題があった。
他方、環境関連での土のサンプリングにおいては、穿孔ロッドの打撃ではサンプリング地盤を破壊する、発熱により変質するという問題があり、ロータリーバイブレーション方式はロータリーパーカッション方式と比べると、打撃力が弱くてもサンプリング地盤の破壊低減、発熱の低減の利点はある。しかし、更に打撃力を小さくても、振動数を多くし加速度を大きくすることにより、サンプリング地盤の破壊低減、発熱の低減を図りながら、効率的な削孔を実現可能とする方法が求められている。
そこで、本発明の主たる課題は、小さな振幅で高い振動数の振動を生起可能とし、穿孔効率及び杭貫入効率等の効率化を図るとともに、ビットへの負担を小さくし長寿命化を図ることにある。また、軸受け部分の破損等、振動生起による機器の破損を無くすことが可能であるとともに、振動による騒音発生を実質的に極小とし、更に装置のコンパクト化及び軽量化が図れるようにするなど、前述した偏心ロータを用いた起振装置の問題点を一掃するとともに、更に地盤の破壊、変質させることなく地盤のサンプリングを効率的に行い得る地盤等への貫入体送り装置を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、ガイドセルに沿って前後進自在に搭載され、保持した貫入体に推進力と共に、回転力と振動を与えながら、地盤等に貫入させるための送り装置であって、
前記送り装置における起振手段として、リニアモータ方式を採用し、前記送り装置内において前記貫入体と中間部材を介して連結されている加振用駆動体を軸線方向に微小幅で往復移動させて振動を生起するようにしたことを特徴とする地盤等への貫入体送り装置が提供される。
上記請求項1記載の本発明においては、起振手段として、リニアモータ方式を採用し、前記送り装置内において加振用駆動体を軸線方向に微小幅で往復移動させて振動を生起するようにした。
起振手段として、リニアモータ方式を採用することにより、振幅や振動数に制限がなくなり、任意に設定することができるようになる。貫入体に小さな振幅で高い振動数の振動を与えることにより、穿孔効率及び貫入効率の効率化を図るとともに、ビットへの負担を小さくし長寿命化を図ることが可能となる。
また、往復運動を行う加振用駆動体は、周囲と非接触であるため、軸受け部分の破損等、振動生起による機器の破損を無くすことが可能であるとともに、振動による騒音発生を実質的に極小とできるようになる。
さらに、構造が単純化できるため、装置のコンパクト化及び軽量化が図れるようになるなど、従来の偏心ロータを用いた起振装置の問題点を一掃できるようになる。また、更には地盤の破壊、変質させることなく地盤のサンプリングを効率的に行い得るようになる。
請求項2に係る本発明として、前記貫入体に与える振動は、振幅が0を超え10mm以内、振動数が0を超え12000cpm以内とする請求項1記載の地盤等への貫入体送り装置が提供される。より具体的には、前記貫入体に与える振動は、振幅が0を超え10mm以内、好ましくは0.01〜3mm、振動数が0を超え12000cpm以内、好ましくは10〜10000cpmとするのが望ましい。
請求項3に係る本発明として、前記貫入体が穿孔ロッド又は杭体である請求項1,2いずれかに記載の地盤等への貫入体送り装置が提供される。
請求項4に係る本発明として、前記加振用駆動体をバネ定数を可変とした弾発体によって支持した請求項1〜3いずれかに記載の地盤等への貫入体送り装置が提供される。
起振力を大きくしたい場合には、推進力の大きなリニアモータを選定することになるが、リニアモータの推力は磁気の当たり面積(極板面積)に比例するため、過大なリニアモータが必要となってしまう。そこで、加振用駆動体を支持するためにバネ定数を可変とした弾発体を組み込み、バネ定数を共振する周波数(固有振動数)近傍に設定すると、起振力とバネ定数とが相殺されることになり、このバネによって起振補助力が生起され、前記加振用駆動体をコンパクトなリニアモータによって振動させ得るようになる。バネ定数を可変とする具体的方法としては、例えば板バネの加重作用点を移動させる方法、空気バネの空気圧を制御する方法などがある。
なお、バネ定数が一定の場合には、種々の条件に対応して共振する周波数(固有振動数)近傍に設定することができないため好ましくない。
請求項5に係る本発明として、前記貫入体の貫入対象物が地盤、コンクリート、道路路盤などである請求項1〜4いずれかに記載の地盤等への貫入体送り装置が提供される。
以上詳説のとおり本発明によれば、小さな振幅で高い振動数の振動を生起可能となるため、穿孔効率及び杭貫入効率の向上が図れるようになるとともに、ビットへの負担が小さくなるため長寿命化を図ることが可能となる。また、軸受け部分の破損等、振動生起による機器の破損を無くすことが可能であるとともに、振動による騒音発生を実質的に極小とできるようになる。更には、装置のコンパクト化及び軽量化が図れるなど、前述した偏心ロータを用いた起振装置の問題点を一掃できるようになる。また、地盤の破壊、変質させることなく地盤のサンプリングが可能となるなどの利点がもたらされるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る穿孔機1を支持したクローラー式走行台車Mの側面図であり、図2はガイドセル2に搭載された送り装置3(ドリフター)を示す、(A)は正面側からの縦断面図、(B)は(A)のB−B線矢視図である。
前記クローラー式走行台車Mは、クローラーにより走行自在とした重機であり、ガイドセル2をブーム5により支持している。前記ブーム5は、基端側において鉛直軸回りに回動自在、複数の油圧シリンダーによってガイドセル2を伏仰自在、そして先端部でガイドセル2を水平軸回りに回動自在に支持しており、図示例では前記ガイドセル2を地盤に向けて鉛直に保持している。当然に、斜め方向の穿孔、水平方向の穿孔も可能である。
前記ガイドセル2には、該ガイドセル2の部材方向に沿って前後進自在に送り装置3が搭載されている。前記送り装置3の推進手段としては、例えば駆動モーターによりスプロケットを介して駆動されるフィードチェーンによって走行する構造とされ、保持した穿孔ロッドRをガイドセル2に沿って前進又は後退させ、保持された穿孔ロッドRを地盤Gへ向けて貫入及び/又は地盤から引抜きできるようになっている。
前記送り装置3は、穿孔ロッドRを保持するとともに、前記穿孔ロッドRを軸方向に微小幅で往復移動させ、振動を生起するための振動発生装置7と、前記穿孔ロッドRを軸芯回りに回転させる回転駆動装置6とを含み、前記ロッドRに回転と共に、振動を与えながら穿孔ロッドRを地盤に貫入させる、所謂ロータリーバイブレーション方式の送り装置である。
前記回転駆動装置6は、図2に示されるように、回転部ハウジング11内に、内歯と外歯とを備えるリングギア12がベアリングを介して回転自在に収容されている。そして、主軸を構成するシャンクロッド9が、前記回転部ハウジング11内を貫通して設けられるとともに、中間のスプライン13が前記リングギア12の内歯に噛合するように配置され、前記スプライン13の形成範囲内で軸線方向に移動可能となっている。
また、前記回転部ハウジング11の上面には、複数の、図示例では左右両側に夫々駆動モーター14,14…が固定され、各出力軸14a、14a…を前記主軸ハウジング11内に臨ませ、前記出力軸14aの先端に設けられたピニオン15,15…がリングギア12の外歯と噛合するようになっており、前記シャンクロッド9が軸芯回りに回転駆動されるようになっている。
前記回転駆動装置6の上部側に設けられた振動発生装置7は、振動部ハウジング17と、この振動部ハウジング17の内部に、穿孔ロッドRの軸方向に所定範囲で往復動可能に加振用駆動体16が設けられている。また、前記加振用駆動体16の上端には軸部16aが突出して設けられるとともに、振動ハウジング17側に前記軸部16aが貫入される受け筒17aが設けられ、前記加振用駆動体16の振動をガイドするようになっている。また、前記加振用駆動体16の下端には、連結部材18が回転自在に軸受けによって支持され、この連結部材18の下端に形成された雌ネジ孔18aに、前記シャンクロッド9の上端部が螺合接続されている。また、前記シャンクロッド9の先端側にはアダプター8が接続され、穿孔ロッドRが前記アダプター8を介して接続されるようになっている。
本送り装置3においては、前記振動発生装置7の起振手段として、リニアモータ方式が採用されている。
前記振動部ハウジング17の内部側両側面には、長手方向に沿ってリニアモータ4、4が、図2(B)に示されるように、振動方向に沿って直線状に設けられている。このリニアモータ4が本発明に係る穿孔機1における振動発生源とされる。
前記リニアモータ4は、振動用ハウジング16側に固定された二次側コア19Bと、前記加振用駆動体17に対して、前記二次側コア19Bに対向させるようにして振動部ハウジング17に固定された一次側コア19Aとから構成されている。
前記二次側コア19Bは、図6に示されるように、往復移動方向に沿って所定ピッチで凹部と凸部とが交互に並んだ歯部19d、19d…が形成された固定側に設けられる導体であり、前記一次側コア19Aは、一次側磁束発生部として往復動作する移動体側に設けられる部材(一次側コイル部材)である。
従来より、前記リニアモータ4の構造について種々の構造が提供されている。例えば、図6に示されるリニアモータ4Aについて詳述すると、一次側コア19Aには、略中央部に大きな凹部19aが設けられており、この凹部19aを挟んで長手方向両部に夫々永久磁石20,20が設けられている。前記永久磁石20,20は、双方で同じ面側が同じ磁極とならないように配設されている。すなわち、図示の例では、左側の永久磁石20は、上面側にS極、下面側にN極が位置するように設けられ、右側の永久磁石20は、上面側にN極、下面側にS極が位置するように設けられている。前記永久磁石20,20が設けられた範囲内において、略中央部の二次側コア19Bとの対峙面側に凹部19b、19cが夫々設けられており、凹部19bを挟んで磁極Aおよび磁極A’が、凹部19cを挟んで磁極Bおよび磁極B’が夫々形成されている。さらに、前記磁極A,A’及び磁極B、B’にはそれぞれ鉛直軸回りにコイル21が巻回されている。
前記リニアモータ4Aにおいては、前記コイル21に所定の励磁力で極性が反転するパルス電流を流すと、図中矢印で示される磁束Φが得られて歯部19dと各磁極との間に発生する推力ベクトルが変化して一次側コア19Aが二次側コア19Bに沿って移動するようになっている。また、本発明に従って、加振用駆動体16を振動させるには、励磁シーケンスで前記パルス電流の方向を高速で交互に反転させるようにして、前記一次側コア19Aが固定された加振駆動体16を穿孔ロッドRの方向に往復移動させて振動を生起するようにする。
また、図7に示されるリニアモータ4Bは、前述したリニアモータ4Aと比べて倍の推力が得られるようにした公知のリニアモータである。特に、リニアモータを振動発生手段として用いる送り装置3の場合には、極力大きな推力が得られた方が望ましいため、図7に示されるリニアモータ構造とするのが望ましい。
前記リニアモータ4Bは、一次側コア19Aの中央部に、溝深の浅い中央凹部19eが設けられており、この中央凹部19eを挟んで図中左側に磁極Aが、同右側に磁極A’が形成されており、各磁極にはコイル21,21…が巻回されている。また、前記各磁極には、二次側コア19Bとの対峙面側に一定間隔で空隙溝19f、19f…が形成されるとともに、この各空隙溝19fに永久磁石20が夫々埋め込まれている。この永久磁石20は、隣り合う磁石同士で対峙面が同じ磁極となるように配置されている。図示例では磁極A、磁極A’共に、左からN、S、S、N、N、Sの順序となるように永久磁石20が配置されている。なお、二次側コア19Bは、歯部19dの形状は大きいものの、基本的には構成は変わらない。
前記リニアモータ4Bの場合には、コイル21に電流を流すと、磁極Aにおいて図中左側方向(同図矢印方向)に一次側コイル19Aが移動するような磁束Φが得られるとともに、磁極A’側においても、図中左側方向(同図矢印方向)に一次側コイル19Aが移動するような磁束Φが得られるため、両極共に推力の発生に寄与できるので、より大きな推進力を得ることができるようになっている。
前記振動発生装置7により発生させる振動は、振幅が0を超え10mm以内、好ましくは0.01〜3mm、振動数が0を超え12000cpm以内、好ましくは10〜10000cpmとするのが望ましい。
ところで、前記送り装置3においては、図3に示されるように、前記加振用駆動体16をバネ定数を可変とした弾発体22によって支持するようにするのが望ましい。図示の弾発体22は、ゴム中空体の内部へ空気などの流体を供給/引抜き制御することによりバネ定数を可変としたものである。他の例としては、例えば板バネの加重作用点を移動させる方法などを挙げることができる。前記加振用駆動体16を支持するためにバネ定数を可変とした弾発体22を組み込み、バネ定数を共振する周波数(固有振動数)近傍に設定すると、このバネ作用によって起振補助力が生起され、前記加振用駆動体16をコンパクトなリニアモータによって振動させ得るようになる。なお、前記弾発体22は、加振用振動体16の上部側に設けるようにしてもよいし、上下部両方に設けるようにしてもよい。
前記穿孔機1により穿孔を行うには、シャンクロッド9に、回転駆動装置6より回転力が付与されるとともに、前記振動発生装置7より連結部材18及びシャンクロッド9を介して穿孔ロッドRに振動が付与され、穿孔ロッドRを効率的に地盤中に貫入させることができる。
なお、上記説明では穿孔機の送り装置3として使用する場合について詳述したが、杭打ち機の場合にも、前記穿孔ロッドRに代えて杭体が送り装置3に対してチャック手段等を介して保持されるだけの相違であり、送り装置3としては同じ構造のものが使用されるため、振動発生装置7としてリニアモータを利用した本送り装置3をそのまま使用することが可能である。
〔他の形態例〕
(1)上記例では、振動発生装置7において、加振駆動体16の両側部に夫々リニアモータ4、4を設けるようにしたが、前記リニアモータ4Aは、図4に示されるように、片側にのみ設けることとしてもよいし、4辺それぞれに設けるようにしてもよい(図示せず)。さらには、図5に示されるように、加振駆動体16の周方向に連続して環状に設けることとしてもよい。
(2)上記例では、穿孔機1を搭載する台車をクローラー式走行車Mとした場合について詳述したが、穿孔機1を支持する構造体は何でもよい。例えば、タイヤ式走行車、架台(ジャンボ)等であってもよい。
(3)本発明に係る振動発生装置7は、地盤貫入体のための送り装置3として利用した場合について詳述したが、前記振動発生装置7は単独で使用可能な起振装置とすることも可能である。用途として、例えば型枠外面に装着されコンクリートを締め固める際に用いる型枠振動機等、加振手段全般に適用することができる。
(4)上記形態例では、地盤を対象としているが、貫入対象はコンクリートや道路路盤等であってもよい。
本発明に係る穿孔機1を支持したクローラー式走行台車Mの側面図である。 ガイドセル2に搭載された送り装置3(ドリフター)を示す、(A)は正面側からの縦断面図、(B)は(A)のB−B線矢視図である。 加振用振動16をバネ定数を可変とした弾発体22によって支持した送り装置の正面側縦断面図である。 リニアモータ4における一次側コア19Aと二次側コア19Bの他の配置例を示す断面図である。 リニアモータ4における一次側コア19Aと二次側コア19Bの他の配置例を示す断面図である。 リニアモータ4Aの作動原理を説明するための図である。 リニアモータ4Bの作動原理を説明するための図である。
符号の説明
1…穿孔機、2…ガイドセル、3…送り装置、4…リニアモータ、6…回転駆動装置、7…振動発生装置、8…アダプター、9…シャンクロッド、19A…一次側コア、19B…二次側コア

Claims (5)

  1. ガイドセルに沿って前後進自在に搭載され、保持した貫入体に推進力と共に、回転力と振動を与えながら、地盤等に貫入させるための送り装置であって、
    前記送り装置における起振手段として、リニアモータ方式を採用し、前記送り装置内において前記貫入体と中間部材を介して連結されている加振用駆動体を軸線方向に微小幅で往復移動させて振動を生起するようにしたことを特徴とする地盤等への貫入体送り装置。
  2. 前記貫入体に与える振動は、振幅が0を超え10mm以内、振動数が0を超え12000cpm以内とする請求項1記載の地盤等への貫入体送り装置。
  3. 前記貫入体が穿孔ロッド又は杭体である請求項1,2いずれかに記載の地盤等への貫入体送り装置。
  4. 前記加振用駆動体をバネ定数を可変とした弾発体によって支持した請求項1〜3いずれかに記載の地盤等への貫入体送り装置。
  5. 前記貫入体の貫入対象物が地盤、コンクリート、道路路盤などである請求項1〜4いずれかに記載の地盤等への貫入体送り装置。
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