JP2005290795A - 便器洗浄水生成装置 - Google Patents

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尚幸 小野寺
Makoto Hatakeyama
真 畠山
Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
Shuji Nishiyama
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Abstract

【課題】 銀イオンの生成効率を十分に上げることが可能な便器洗浄水生成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくともいずれかが銀を含む一対の電極を有し、便器に流すべき洗浄水の少なくとも一部を前記一対の電極の間に流した状態で前記一対の電極の間に通電することにより銀イオンを放出可能とした銀電解槽と、前記銀電解槽に電力を出力する電力出力手段と、を備え、前記便器に流すべき前記洗浄水の流量を毎分25リッターとしたときに、前記一対の電極の間におけるレイノルズ数が3000以下であることを特徴とする便器洗浄水生成装置を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、便器洗浄水生成装置に関し、特に、銀(Ag)イオンを含有した洗浄水を生成し、水洗便器などに流すことができる便器洗浄水生成装置に関する。
水洗便器は、使用者のボタン操作等による手動洗浄、あるいは、便器の前に人が立ったことを検出し便器の使用が終了した時点で自動的に上水又は中水を流す自動洗浄により清浄度が維持される。しかし、単に水を流すのみでは、便器や排水管に、「水アカ」や「ぬめり」が蓄積したり臭気が発生することを防止することが容易でない。また、小便器においては、「尿石」が配管内に付着して排水の通過路を狭くしたり、便器の表面に付着して外観を損ね、細菌繁殖の温床となって臭気を放つようになる。一旦付着してしまった尿石は、通常の清掃では除去することは難しく、ブラシで強く擦らないと取れない。このため、尿石の除去は、専門の業者に依頼する必要があり、大きな負担となっている。
この問題に対して、本発明者らは、洗浄水の水流エネルギーを利用して発電し、この電気エネルギーを用いて洗浄水に銀イオンを含有させる殺菌装置を発明した(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
これらの発明によれば、銀イオンが有する殺菌作用によって、水アカ、ぬめり、尿石などの発生を抑制できる。また、銀イオンを生成するための電気エネルギー源として水力発電を利用すれば、家庭用100ボルト電源などの商用電源が不要となり、停電や感電なども問題を解消し、低ランニングコストの便器殺菌装置を提供できる。
特開2000−27262号公報 特開2001−232369号公報
しかし、水力発電、あるいは1次電池や2次電池などの蓄電手段を電源として用いる場合には、銀イオンの生成効率を十分に高くしてシステムの消費電力を下げる必要がある。また、銀電極の消耗を抑制して長期間に亘るメンテナンスフリーを実現するためにも、銀イオンの生成効率を十分に高くする必要がある。
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、銀イオンの生成効率を十分に上げることが可能な便器洗浄水生成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、少なくともいずれかが銀を含む一対の電極を有し、便器に流すべき洗浄水の少なくとも一部を前記一対の電極の間に流した状態で前記一対の電極の間に通電することにより銀イオンを放出可能とした銀電解槽と、前記銀電解槽に電力を出力する電力出力手段と、を備え、前記便器に流すべき前記洗浄水の流量を毎分25リッターとしたときに、前記一対の電極の間におけるレイノルズ数が4000以下であることを特徴とする便器洗浄水生成装置が提供される。
上記構成によれば、レイノルズ数を3000以下にすることにより、電極の間の流れが層流またはより層流に近い状態となる。すると、境界層の厚さが厚くなるので、主流から境界層を介しての塩素イオンClの供給も小さくなり、塩化銀AgClの生成が抑制され、銀イオンAgの生成効率が大幅に改善される。
その結果として、銀電極の消耗を抑制し、銀電解槽の耐用期間を大幅に延ばすことができる。また、銀電解槽に洗浄水の一部のみを流すので、洗浄水の圧力損失を低減できる。その結果として、水洗便器の洗浄のために必要な水圧を確保でき、十分な水圧で高い洗浄効果が得られる。
ここで、前記便器に流すべき前記洗浄水を第1の流路と第2の流路とに分ける分流手段をさらに備え、前記第1の流路を流れる洗浄水の少なくとも一部が前記一対の電極の間を流れるものとすれば、分流により銀電解槽を流れる水量を制限することにより、電極間に供給される塩素イオンClの絶対量が低下するために、塩化銀AgClの生成が抑制される。このため、銀イオンAgの損失が低下して、銀イオンの生成効率がさらに改善される。
また、前記一対の電極の上流側及び下流側の少なくともいずれかにおいて、前記一対の電極との間で流路の断面積を不連続に変化させない助走区間が設けられたものとすれば、電極の表面における水流の乱れを低減し、境界層の厚みを増すことかできるので、塩素イオンClの供給も小さくなり、塩化銀AgClの生成が抑制され、銀イオンAgの生成効率が大幅に改善される。
また、前記一対の電極の上流側及び下流側の少なくともいずれかにおいて、前記一対の電極との間で流路の断面積の変化が実質的に生じない助走区間が設けられたものとすれば、電極の表面における水流の乱れを低減し、境界層の厚みを増すことかできるので、塩素イオンClの供給も小さくなり、塩化銀AgClの生成が抑制され、銀イオンAgの生成効率が大幅に改善される。
また、前記助走区間及び前記一対の電極の少なくともいずれかを複数の流路に分割する仕切板をさらに備えたものとすれば、仕切板が整流板として作用し、水流の乱れを抑止するので、電極表面への塩素イオンの供給を抑制できる。その結果として、銀イオンの生成効率をさらに高くすることができる。
また、前記助走区間を複数の流路に縦横に分割する整流手段をさらに備えたものとすれば、整流手段によって水流の乱れを抑止するので、電極表面への塩素イオンの供給を抑制できる。その結果として、銀イオンの生成効率をさらに高くすることができる。
また、前記一対の電極の少なくともいずれかの側方において前記電極に隣接して設けられ、その境界において、前記電極の表面と略同一平面を形成してなる流路壁を有するものとすれば、流路壁と電極との境界において、水流の乱れの発生を防ぎ、塩素イオンの供給を抑制できる。その結果として、銀イオンの生成効率をさらに高くすることができる。
また、前記電力出力手段は、前記洗浄水の水流により電力を生成する発電手段を有するものとすれば、発電手段により生成される限られた電力を有効に活用することができる。
また、前記電力出力手段は、蓄電手段を有するものとすれば、蓄電手段の消耗を防ぎ、交換や再充電などの頻度を下げることができる。
なお、本願明細書において、銀イオンの「放出」とは、銀電極の表面から銀イオンが遊離することを意味し、銀イオンの「溶出」とは、放出された銀イオンが洗浄水中にイオンしてとどまることをいうものとする。
本発明によれば、銀イオンの生成効率を大幅に上げることができ、システムの消費電力を抑えるとともに、銀電極の寿命も延ばし、しかも洗浄水の圧力損失も低減できる便器洗浄水生成装置を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の要部構成を例示する模式図である。すなわち、本実施形態の便器洗浄水生成装置10は、制御手段100と、分流手段300と、助走区間310及び320と、これらの間に設けられた銀電解槽400と、を有する。このような便器洗浄水生成装置10は、同図に例示した如く、開閉弁200と、水洗便器600との間に設けることができる。
上水や中水などの水道水Wは、開閉弁200によりその流路が開閉される。開閉弁200は手動式であってもよく、または後に詳述するように、制御手段100により自動開閉されるものであってもよい。開閉弁200の開動作により流路を開いて、水道水Wを下流側に流すことができる。開閉弁200の下流には、分流手段300が設けられている。分流手段300は、水道水Wを第1の水流W1と第2の水流W2とに分流する役割を有する。これら水流のうちで、第1の水流W1のみが助走区間310を介して銀電解槽400に供給され、銀イオンが添加される。銀電解槽400から流出した水流W1は、助走区間320を介して第2の水流W2と合流し、水洗便器600に洗浄水として供給される。
助走区間310、320は、銀電解槽400に供給される水流を整流する役割を有する。本実施形態においては、水洗便器600に流すべき洗浄水の一部のみを分流し、助走区間310、320により整流して銀電解槽400に供給することにより、銀イオンの生成効率を大幅に上げることができる。
図2は、銀電解槽400における銀イオンの生成を説明するための概念図である。
すなわち、銀電解槽400は、一対の電極420a、420bを有し、その間隙を水が流れる構造を有する。これら電極420a、420bのうちで、陽極(アノード)となる少なくともいずれかの電極は、銀(Ag)または銀を含有する金属からなる。ただし、後に詳述するように、通常は、これら電極420a、420bのいずれも銀により形成し、印加電圧の極性を適宜反転させることが望ましい。そこで、以降、これら電極420a、420bをいずれも、「銀電極」と呼ぶこととする。但し、本発明はこれには限定されず、電極420a、420bのいずれかが銀以外の電極により形成されているものも包含する。
銀電極420a、420bの間に電圧を印加すると、陽極側の銀電極420bから銀イオンが放出される。放出された銀イオンは水の流れW1にのって水洗便器600に流入し、殺菌作用や除菌作用などを発揮する。すなわち、銀イオンが添加された洗浄水を水洗便器600に流すと、水洗便器600及びその排水管の防汚性という点で秀逸な効果を発揮する。水洗便器への尿石の付着のメカニズムは、次のようなものと考えられる。
水洗便器600に排尿をすると、水洗便器の表面に尿が付着するとともに、水洗便器内のトラップ部に尿が滞留する。一般に、水洗便器には、多数の細菌が存在する。尿には、多量の尿素が含有されているが、水洗便器の表面やトラップ部の滞留水に細菌が存在すると、尿素は細菌の有する酵素ウレアーゼの作用によりアンモニアと二酸化炭素に分解される。この時生成するアンモニア量が多いと、臭気の一因となる。また、アンモニアが生成すると、水洗便器の表面に付着した液体やトラップ部の滞留水に溶解し、その液体のpH(ペーハー)が上昇する。pHが上昇すると、水洗便器の表面に付着した液体やトラップ部の滞留水に含まれるカルシウムイオンが炭酸塩やリン酸塩へと変化して析出し、「尿石」として便器や排水管に付着し、着色汚れや詰まりの原因となる。
これに対して、本発明に係る便器洗浄水生成装置10を水洗便器600に適応した態様では、銀イオンを含有した殺菌効果の高い洗浄水を水洗便器600に流すことにより、水洗便器600やその排水管内に存在する細菌を効果的に殺菌することができる。その結果として、尿石付着の原因が排除され、水洗便器は常に清浄な状態に保たれて美観を損ねることもなく、尿石の配管内への付着による汚水通過路の狭小化が防止され、また、アンモニア等による臭気の発生も防止される。
本発明者は、水洗便器600に流す洗浄水に含まれる銀イオンの濃度と殺菌効果について調査検討を行った。その結果、銀イオンの添加量が少ないと殺菌効果が十分に得られず、一方、銀イオンの添加量が多すぎると、システムの消費電力が大きいのみならず、銀電極の消耗も激しく、また、銀イオンと同時に発生する塩化銀が便器の陶器面に付着することにより「黒ずみ」などの変色が生ずる場合があることを知得した。そして、これらの観点から、洗浄水に対する銀イオンの添加量は、1〜50ppbの範囲内とすることが望ましいことが分かった。従って、銀イオンの添加量がこの範囲内において、できるだけ銀イオンの生成効率を高くする必要がある。
これに対して、本実施形態によれば、分流手段300を設けて銀電解槽400に供給する水流を制限するとともに、助走区間310、320を設けて電極420a、420bにおける水の流れを整流することにより、銀イオンの生成効率を大幅に上げることができる。
図3は、本実施形態において用いることができる分流手段300、助走区間310、320及び銀電解槽400の一例を表す一部切断斜視図である。
すなわち、この具体例の場合、洗浄水Wの流路を規定する配管の管壁寄りに分流路が設けられ、この分流路において、助走区間310、銀電極420a及び420b、助走区間320がこの順に設けられている。これら助走区間310、320は、銀電極420a、420bと略同一の表面を有し、これら電極間の流路の断面積と連続的且つほぼ同一の流路断面積を有する。
配管内に分流路を設けることにより、洗浄水Wが、水流W1とW2とに分流される。そして、水流W1のみが助走区間310を介して銀電極420a、420bの間を通水し、残りの水流W2は銀電解槽400を介することなく流れる。これら水流W1及びW2は、助走区間320の後端において合流し、水洗便器600に供給される。
このように、分流手段300により分流させ、さらに助走区間310、320を設けて、銀電極420a、420bの間に流れる水流を整流させると、銀イオンの生成効率を大幅に上げることができる。
図4は、分流による銀イオンの生成効率の改善を説明するための模式図である。
すなわち、銀イオンAgは、陽極(アノード)側の電極420bから放出される。しかし、プラスの電圧を印加された陽極側の電極420bの表面には、電極近傍の境界層BL内にあるマイナスの電荷をもつ塩素イオンClが引き寄せられる。この状態で銀電極420bの表面で銀イオンAgが生成されても、境界層BLを介して拡散してきた塩素イオンClと結合して塩化銀(AgCl)が生成され、銀イオンとしての効果が得られない。すなわち、溶出した銀イオンの損失が大きい状態が形成されてしまう。
また、銀電解槽400内を流れる水量W1が多いと流速が大きくなるため、流れが乱流またはより乱流に近い状態となる。この場合、主流の流速が大きくなり、かつ境界層の厚さが薄くなるので主流から境界層BLを通しての塩素イオンの供給(物質移動)も大きくなり、塩化銀が生成しやすい。
これに対して、分流手段300を設けて水の流れを分岐させ、銀電解槽400を流れる水量W1を下げると、銀電極420a、420bの間の流速が低下するので、流れが層流またはより層流に近い状態となる。すると、主流の流速が低下し、かつ境界層BLの厚さが厚くなるので、主流から境界層BLを介しての塩素イオンClの供給(物質移動)も小さくなり、塩化銀AgClの生成が抑制され、銀イオンAgの生成効率が大幅に改善される。
またさらに、分流により銀電解槽400を流れる水量を制限すると、電極間に供給される塩素イオンClの絶対量が低下するために、塩化銀AgClの生成が抑制される。このため、銀イオンAgの損失が低下して、銀イオンの生成効率がさらに改善される。
以上説明したように、本実施形態によれば、分流手段300により水流を分流し銀電解槽400を流れる水量を制限することにより、流れがより層流に近づくので、銀イオンの生成効率を上げることができる。
ところで、図4に関して前述したように、銀イオンの生成効率を上げるためには、銀電極420a、420bの表面への塩素イオンClの供給をできるだけ制限することが重要である。このためには、電極420a、420bの表面における乱流の発生を抑制し、また、境界層BLの厚みを増すことが効果的である。この要求に対して、本実施形態においては、助走区間310、320設けることにより、高い整流効果が得られ、電極表面での乱流の発生を抑制し、境界層BLの厚みを増すことができる。
図5は、本実施形態における助走区間310、320の配置関係を例示する模式図である。
すなわち、洗浄水の水流Wの中に助走区間310、銀電極420a及び420b、助走区間320がこの順に配置されている。水流WのうちのW1が分流され、助走区間310を介して銀電極420a、420bの間を流れる。電極間を流れた水流W1は、助走区画320を介して水流W2と合流する。
図6は、比較例として助走区間が設けられていない構成を例示する模式図である。本比較例の場合、銀電極420a、420bが水流Wの中に設けられている。水流Wは、これら銀電極によって水流W1とW2とに分流され、銀電極の後端において再び合流する。
図7は、図6に表した比較例の銀電極420bの表面に形成される水流を表す模式図である。
すなわち、水流Wは銀電極420bの先端において分流され、水流W1が銀電極420bの表面を流れる。しかし、この場合、銀電極420bの先端付近においては境界層BLが十分には発達せず、その厚みが薄い遷移領域が存在する。このように境界層BLの厚みが薄い部分においては、塩素イオンClが迅速に銀電極420bの表面に拡散し、銀イオンAgと結合して塩化銀AgClを形成する。つまり、境界層BLの厚みが薄いために塩素イオンClの供給量が増加し、銀イオンの損失が増大してしまう。
また、比較例の場合、銀電極420bの後端においても、流路が急に拡大し、水流W1とW2とが合流するために、流れの乱れが発生しやすい。このため、銀電極420bの後端付近においても境界層BLが不安定となり、塩素イオンClが電極表面に移動しやすくなる。その結果として、銀イオンAgの損失が増加する。
図8は、助走区間310、320の作用を説明するための模式図である。
すなわち、本実施形態においては、銀電極420bの上流に助走区間310を設けることにより、境界層BLの厚みが不十分な遷移領域を銀電極420bから遠ざけることができる。また、銀電極420bの下流に助走区間320を設けることにより、流れW1とW2とが合流して流れが不安定となる領域を銀電極420bから遠ざけることができる。
つまり、助走区間310、320を設けることにより、銀電極420bの上に厚みのある境界層BLを安定的に形成し、電極表面への塩素イオンClの供給を十分に低下させることができる。その結果として、銀イオンの損失を最小限に抑制し、生成効率を大幅に上げることが可能となる。
水流の乱れや境界層BLの厚みに関連したパラメータとして、「レイノルズ数」がある。レイノルズ数Reは、次式により定義される。

Re=vd/ν

ここで、vは流速、dは長さの代表値、νは動粘度である。一般にレイノルズ数が、ある値以上になると層流であったものが乱流に変化する。また、境界層BLの厚みは、レイノルズ数が小さいほど厚くなる。つまり、レイノルズ数が小さいほど、水流の乱れが小さく、境界層BLの厚みが厚いといえる。
本発明者は、銀電極420a、420bの表面における水流の状態を定量的に評価するために、電極間隔や銀イオン濃度を種々に変えた実験を実施した。
図9は、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。すなわち、同図の横軸は、長さの代表値dとして電極間距離を用いた場合のレイノルズ数Reを表し、縦軸は、銀イオンの添加量を5ppbとするために必要な銀電解槽400の消費電力(ミリワット)をそれぞれ表す。またここで、銀電極420a、420bの電極間距離は10ミリメータ、電極の対向面積は10ミリメータ×10ミリメータとし、水の総流量は毎分25リッターとした。
図9から、レイノルズ数Reが約3000を境にして、消費電力が急に低下することが分かる。すなわち、レイノルズ数Reが3000よりも高い場合には、レイノルズ数を変化させても消費電力の変化は比較的小さいが、レイノルズ数が3000を下回ると、レイノルズ数Reを下げるに従って消費電力も顕著に小さくなることが分かる。例えば、レイノルズ数Reが4167の場合の消費電力は1315ミリワットであるのに対して、レイノルズ数Reを800に低下させると消費電力は280ミリワットと、およそ4.7分の1にまで低下する。
なお、図9においてレイノルズ数Reが4126のデータは、銀電極420a、420bに助走区間310、320を設けず、毎分25リッターの洗浄水の全量を電極間に通水させた場合に対応する。これに対して、洗浄水の一部のみを分流して電極間に流すことにより、レイノルズ数Reを順次下げたものが、図9における他のデータに対応する。
つまり、分流手段300を設け、さらに助走区間310、320を適宜設けて銀電極420a、420bの間を流れる水流のレイノルズ数Reを下げると、銀イオンの生成効率を上げることができる。
図10は、銀イオンの添加量を4ppbとする場合のレイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。この場合にも、レイノルズ数Reが約3000乃至3500を境にして、消費電力が急に低下することが分かる。
図11及び図12は、電極間距離を5ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。すなわち、図11は、銀イオンの添加量を5ppbとした場合を表し、図12は、銀イオンの添加量を4ppbとした場合を表す。 図11から、やはりレイノルズ数Reがおよそ3500を下回ると、消費電力が顕著に下がることが分かる。また、図12においても、傾向はやや小さいものの、レイノルズ数Reがおよそ3500を下回ると、消費電力が下がることが分かる。
図13及び図14は、電極間距離を3ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。すなわち、図13は、銀イオンの添加量を5ppbとした場合を表し、図14は、銀イオンの添加量を4ppbとした場合をそれぞれ表す。図13及び図14においても、やはりレイノルズ数Reが3000乃至3500を下回ると、消費電力が確実に下がることが分かる。
以上、図9乃至図14に表した結果から、分流手段300や助走区間310、320などを設けて銀電極420a、420bを流れる水流のレイノルズ数Reを3000以下に低下させると、銀イオンの生成効率が上昇することが分かる。この理由は、図4に関して前述したように、分流により銀電解槽400を流れる水量を下げると、供給される塩素イオンClの絶対量が低下するために、塩化銀AgClの生成が抑制されるからである。このため、銀イオンAgの損失が低下して、銀イオンの生成効率が改善される。その結果として、システムの消費電力を低減するとともに、銀電極の消耗を抑制することができる。
また、図8に関して前述したように、助走区間310、320を設けることにより、銀電極420bの上に厚みのある境界層BLを安定的に形成し、電極表面への塩素イオンClの供給を十分に低下させることができる。その結果として、銀イオンの損失を最小限に抑制し、生成効率を大幅に上げることが可能となる。
なお、図9乃至図14は毎分25リッター流した場合のデータであるが、実際に便器に洗浄水を流す場合、毎分25リッターとは限らない。例えば、便器洗浄水生成装置に毎分14リッターの洗浄水を流して使用する場合であっても、その便器洗浄水生成装置に毎分25リッターの洗浄水を流した場合に、前記一対の電極の間におけるレイノルズ数Reが3000以下となれば、本発明の範囲に包含される。
以下、本発明において、助走区間310、320と銀電極420a、420bにより形成される分流構造について具体例を挙げて説明する。
図15は、分流構造の具体例を表す斜視切断図である。
また、図16は、水流Wの方向に切断した模式断面図である。
本具体例の場合、洗浄水の水路の中央付近に、分流流路が設けられ、助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320がこの順に配置されている。銀電極420a、420bは、それぞれ配管の外側に延出した接続端子410a、410bに接続されている。
この分流構造は、洗浄水Wが流れる配管の中心付近に設けられた一対の助走区間310、310により挟持された第1の流路と、これら一対の助走区間310、310により挟持されない配管周囲の第2の流路と、を有する。この具体例は、配管の内径と同程度の比較的大きなサイズの銀電極420a、420bを配置できる点で自由度が大きい構造であるといえる。
次に、図17に表した分流構造の場合、図3に表したものと同様に、洗浄水の配管の管壁寄りに、助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320が配置されている。銀電極420a、420bは、それぞれ配管の外側に延出した接続端子410a、410bに接続されている。
このように配管の管壁に近づけると電極間の通水量をさらに下げることができる。つまり、レイノルズ数Reをさらに下げることができ、銀イオンの生成に有利となる。
図18は、配管内を流れる水流Wの流速分布を例示する模式図である。すなわち、配管の中に形成される水流Wの流速は、中央部では速く、管壁に近づくに従って遅くなる分布を有する。従って、本具体例の如く配管の管壁寄りに助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320を配置すると、電極間の流速が遅く、通水量を小さくできる点で有利である。またさらに、図4に関して前述したように、流速を遅くすることにより、レイノルズ数Reを下げて銀電極の表面に形成される境界層BLの厚みを厚くできる。その結果として、銀電極の表面近傍への塩素イオンClの供給を抑制し、塩化銀AgClの生成を抑制して、銀イオンの損失を低減できる。
次に、図19に表した分流構造の場合、図17に表した分流構造と同様に、助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320は配管の管壁寄りに配置され、さらに、一対の助走区間320、320の下流側の端部に絞り孔360が設けられている。つまり、銀電極420a、420bの間を流れる水の出口として、絞り孔360を設けることにより、電極間の通水量をさらに抑制し、銀イオンの生成効率をさらに上げることが可能となる。また同時に、流速を低下させることによりレイノルズ数Reを下げてアノード電極の表面に形成される境界層の厚みを厚くできる。その結果として、塩素イオンの供給を抑制し、銀イオンの損失を抑制できる。
特に、本具体例の分流構造によれば、このような絞り孔360を用いて通水抵抗を形成すれば、電極の設計条件を変更せずに電極間の通水量を容易に下げることができる点で有利である。
次に、図20は、配管の一部を切り取ってその内壁側から眺めた斜視図である。同図に表した分流構造の場合、助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320が配管の管壁から略垂直方向にそれぞれ突出するように設けられている。この構造の場合も、図18に関して前述したように、銀電極を管壁に近づけることにより通水量や流速を低下させレイノルズ数Reを下げることができる。さらに、本具体例の場合、配管内への突出部を最小限に抑えることにより、配管を流れる洗浄水に対する管路抵抗の増大も最小限に抑えることが可能である。つまり、洗浄水の圧力損失を低減させて、その下流に設けられる発電機の発電効率や吐水ノズルの洗浄効果を改善することができる。
次に、図21に表した分流構造の場合、配管は屈曲部を有し、助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320は、この屈曲部の内周側に寄せて配置されている。屈曲部において形成される水流は、同図に矢印で表したように、外周において流速が速く、内周において流速が遅くなる分布を有する。従って、屈曲部の内周に寄せて銀電極を配置することにより、電極間の流速及び通水量を低下させ、レイノルズ数Reを下げて銀イオンの生成効率を上げることができる。
次に、図22は、分岐流路を離間させた分流構造を表す模式図である。すなわち、同図(a)はその外観を表す斜視図であり、同図(b)はその断面図である。
本具体例においても、洗浄水Wの水路は、2つに分岐されている。第1の水路を流れる水流W1は助走区間310を介して銀電極420a、420bの間を流れ、第2の水路を流れる水流W2はこれら銀電極を介することなく流出する。つまり、洗浄水Wのうちの一部の水流W1のみが銀電極420a、420bの間を通水するように助走区間310が配置されている。そして、助走区間320の下流において、第1及び第2の水流W1、W2が合流して水洗便器600に供給される。
以上、本発明において用いることができる分流構造について具体例を挙げつつ説明した。 次に、助走区間310、320と銀電極420との配置関係について詳細に説明する。
図23は、本発明における助走区間と銀電極との配置関係を例示する斜視図である。
すなわち、銀電極420の上流側には助走区間310が設けられ、下流側には助走区間320が設けていられる。さらに、銀電極420の側方、すなわち、水流Wに対して銀電極420の横方向に、助走区間330を設けることができる。これら助走区間310〜330は、図24及び図25に断面図として表したように、銀電極420の表面と略同一の平面を構成するように設けることが望ましい。銀電極420の表面における水流の乱れを防ぐためである。すなわち、銀電極420の周囲を、略同一平面となるように助走区間310〜320により取り囲むことにより、高い整流効果が得られる。その結果として、銀電極420の表面において水流の乱れを防ぎ、厚い境界層を形成することができる。
また、銀電極420の上流側に設けられる助走区間310の先端は、図26に断面図として表したように、曲面により形成することができる。このようにすれば、先端における水流Wの乱れを低減し、この乱れが下流側の銀電極420に及ぼす影響を抑制できる。 同様の理由から、助走区間310の先端は、図27に断面図として表したように、水流Wに対して鋭角に形成してもよい。図26及び図27に例示したもの以外にも、助走区間310の先端を各種の多角形状や、各種の曲面の組合せとしてもよい。すなわち、助走区間310の先端における流れの急な変化を低減できる形状とすれば、水流の乱れを低減でき、銀電極420に与える影響を低減できる。
図28は、本発明における助走区間と銀電極との配置関係の第2の具体例を例示する模式図である。すなわち、同図(a)はその平面図であり、同図(b)はそのA−A線断面図である。
本具体例においても、銀電極420a、420bの上流側及び下流側には助走区間310、320がそれぞれ電極と略同一平面を形成するように設けられている。さらに、これら電極420a、420bの横方向には、助走区間330が電極面と略同一平面を形成するように設けられ、対向する助走区間330同士が滑らかな曲面により連結されて管状流路を形成している。
このように滑らかな内壁面を有する管状流路を形成すれば、銀電極420a、420bの表面における水流の乱れを低減でき、高い整流効果が得られる。
図29は、本発明における助走区間の第3の具体例を例示する斜視模式図である。すなわち、本具体例においては、銀電極420の上流側に設けられた助走区間310に仕切板340が設けられている。仕切板340は、助走区間310に対して略垂直に設けられ、水流に対して整流板として作用する。このような仕切板340を設けることにより、整流効果が高まり、銀電極420における水流の乱れをさらに効果的に抑制できる。
図30は、本発明における助走区間の第4の具体例を例示する斜視模式図である。すなわち、本具体例においては、銀電極420の下流側に設けられた助走区間320に仕切板340が設けられている。この仕切板340も、助走区間320に対して略垂直に設けられ、水流に対して整流板として作用する。銀電極420の下流側においてこのような仕切板340を設けても、整流効果を高めて、銀電極420における水流の乱れをさらに効果的に抑制できる。
なお、図29に例示した具体例と図30に例示した具体例とを組み合わせてもよい。すなわち、銀電極420の上流側と下流側にそれぞれ仕切板340を設けることにより、整流効果をさらに高めることが可能である。
図31は、本発明における助走区間の第5の具体例を例示する斜視模式図である。すなわち、本具体例においては、銀電極420の上流側の助走区間310に格子状に仕切板340、350が設けられている。すなわち、仕切板340は、助走区間310に対して略垂直に設けられ、仕切板350は助走区間310に対して略水平に設けられている。これら仕切板340、350は、水流を複数の流路に分割する整流手段として作用する。このような仕切板340、350を設けることにより、整流効果がさらに高まり、銀電極420における水流の乱れをさらに効果的に抑制できる。なお、これら仕切板340、350は、例えば、ハニカム状などに設けてもよい。
図32は、本発明における助走区間の第6の具体例を例示する斜視模式図である。すなわち、本具体例においては、銀電極420の下流側の助走区間320に格子状に仕切板340、350が設けられている。これら仕切板340、350も、水流を複数の流路に分割する整流手段として作用する。その結果として、整流効果がさらに高まり、銀電極420における水流の乱れをさらに効果的に抑制できる。これら仕切板340、350も、例えば、ハニカム状などに設けてもよい。
図33は、本発明における助走区間の第7の具体例を例示する斜視模式図である。 また、図34は、本具体例の平面図である。
すなわち、本具体例においては、銀電極420の上に仕切板340が設けられている。このように仕切板340を設けても、整流効果が高まり、銀電極420における水流の乱れをさらに効果的に抑制できる。このように仕切板340を設けると、銀電極420における水流の乱れが特に大きい場合や、電極の上流側あるいは下流側において十分なスペースがなく、助走区間を効果的に設けることができない場合などにも、整流効果を得ることができる。なお、仕切板340の数は配置間隔などは、銀電極420のサイズなどに応じて適宜決定することができる。
以上、本発明における助走区間及び銀電極の構造や配置関係について詳述した。
次に、本発明の便器洗浄水生成装置の全体構成について、具体例を挙げて説明する。
図35は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第1の具体例を表す模式図である。すなわち、本具体例の便器洗浄水生成装置は、制御手段100として、制御部110、開閉弁電磁駆動部120、電流供給部130、電源部140及びセンサ160などの回路要素を備える。
上水や中水などの水道水Wは、例えば、プランジャ式ラッチング・ソレノイド・バルブからなる開閉弁200によりその流路が開閉される。開閉弁200の下流には分流手段300が設けられ、水道水の流路は助走区間310を介して銀電解槽400に供給される水流W1と、それ以外の水流W2とに分岐される。これら水流W1及びW2は、助走区間320の下流で再び合流し、水洗便器600に洗浄水として供給される。これら助走区間310、銀電解槽400、助走区間320については、図1乃至図34に関して前述した各種のものを適宜用いることができる。
制御手段100の回路要素について説明すると、まず、制御部110は、他の回路要素の動作を管理し、制御する役割を有する。開閉弁電磁駆動部120は、例えば開閉弁200を開状態にするための電圧を出力することにより開閉弁200を駆動させる。
電流供給部130は、銀電解槽400に対して銀イオン溶出のための電流を供給する。電源部140は、交流100ボルトや交流200ボルトなどの商用電源からの電力を直流電力に変換する役割を有する。センサ160は、例えば、水洗便器600の上方または前面などに配置され、赤外線などにより使用者の存在を検知する。センサ160からの検知情報に基づいて、制御部110は、開閉弁電磁駆動部120を動作させ、開閉弁200を開閉させて、便器600に洗浄水を適宜流すことができる。
図36は、電流供給部130の構成を例示する模式図である。すなわち、電流供給部130は、例えば、電気伝導度検出回路132、定電流回路133、極性反転回路134を有する。前述したように、洗浄水の殺菌効果を高め、同時に便器の変色などを防ぐためには、銀イオンの添加量を所定の範囲内とすることが望ましい。従って、水道水の電気伝導度に応じて、銀電解槽400に流す電流を調節する必要がある。電気伝導度検出回路132は、このために水道水の電気伝導度を検出する役割を有する。なお、水の電気伝導度の検出は、例えば、定電流回路133により銀電解槽400の電極間に一定電流を流し、その時の電極間電圧を電気伝導度検出回路132で測定することによって実施できる。
一方、定電流回路133は、銀イオンを溶出させるために最適な電流値を制御して出力する役割を有する。
また、極性反転回路134は、銀電解槽400に出力する電流の極性を適宜反転させる役割を有する。すなわち、図2に例示したような銀電解槽400の電極420a、420bの間に直流電流を流して電気分解を行うと、カソード(陰極)側の電極の表面に炭酸カルシウムなどのスケールが付着し、電気抵抗が上昇するという問題がある。なお、アノード(陽極)側の電極の表面には、主に塩化銀(AgCl)などが析出する。また、銀イオンの溶出に伴い、アノード(陽極)側の電極は消耗していくので、一対の電極420a、420bを均等に消耗させることが望ましい。そこで、極性反転回路134により電流の極性を適宜反転させて出力する。極性の反転は、例えば、一回の洗浄水の生成毎とすることができる。
以上説明したような便器洗浄水生成装置において、分流手段300、助走区間310、銀電極420、助走区間320として、図1乃至図34に関して前述したものを用いることにより、銀イオンの生成効率を大幅に高めることができる。その結果として、銀電極420の消耗を抑制し、銀電解槽400の耐用期間を大幅に延ばすことができる。
また、本発明においては、銀電解槽400に洗浄水の一部のみを流すので、洗浄水の圧力損失を低減できる。その結果として、水洗便器600の洗浄のために必要な水圧を確保でき、十分な水圧で高い洗浄効果が得られる。
図37は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第2の具体例を表す模式図である。同図については、図1乃至図36に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本具体例においては、発電手段500が設けられている。すなわち、分流手段300により分岐された水流W2は発電手段500に供給される。銀電解槽400と発電手段500とをそれぞれを通過した水は、再び合流し、水洗便器600に洗浄水として供給される。
図38は、本具体例における分流手段300、助走区間310、銀電解槽400、助走区間320、発電手段500を含むユニットを表す模式図である。すなわち、同図(a)はその外観を表す斜視図であり、同図(b)はその内部構造を表す断面図である。
このユニットは、同図(a)に表したように、側面に突出した一体の接続端子410a、410bと、発電機510と、を有する。その内部を見ると、分流手段300は、2つに分岐した流路を形成し、その一方の流路には、助走区間310を介して、銀電解槽400の銀電極420a、420bが対向して設けられている。これら銀電極420a、420bは、接続端子410a、410bにそれぞれ接続されている。
一方、分流手段300により分岐した他方の流路には、水車520が設けられている。水車520は、水流W2により回転し、その回転運動が発電機510の駆動軸に伝達される。すると、水道水の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されて、電力が発生する。銀電解槽400と発電手段500とをそれぞれ通過した水は、助走区間320の下流において再び合流し、水洗便器に洗浄水として供給される。
再び図37に戻って説明を続けると、本具体例の場合、制御手段100には、蓄電部140と整流部150が設けられている。
蓄電部140は、発電手段500により発電された電力を蓄積する役割を有し、例えば、電圧変換回路と、キャパシタなどの蓄電手段と、を有する。整流部150は、発電手段500により発電された交流電力を整流して直流電流に変換する。
図39は、銀電解槽400に対して、発電手段500から電力が供給される経路を例示する模式図である。このように、発電手段500において得られた電力を蓄電部140に蓄電することなく、銀電解槽400に対して直接、供給することができる。
すなわち、蓄電部140においては、内蔵するキャパシタなどの特性に応じて、電圧を適宜変換し、電力を蓄積する必要がある。従って、電圧の変換やキャパシタへの電荷の蓄積、あるいは蓄積された電荷の取り出しや、電圧変換などの過程で一定の損失が生ずる。
これに対して、本実施形態によれば、発電手段500により発電された電力を蓄電部140に蓄電することなく、オン・デマンド的に銀電解槽400に供給することによって、損失を抑制し、限られた発電力を効率的に銀イオンの生成に利用することができる。
そして、本発明によれば、分流手段300、助走区間310、銀電極420、助走区間320として、図1乃至図34に関して前述したものを用いることにより、銀イオンの生成効率を大幅に高めることができる。その結果として、発電手段500の限られた発電電力を用いて十分な濃度の銀イオンを含有させた洗浄水を生成することができる。例えば、図38に関して前述したような発電手段500を用いた場合、発電手段500における圧力損失を0.01メガパスカル、回転数を毎分1000回転とすると、水洗便器600に流す小用洗浄水による発電量は概ね500ミリワット程度である。これに対して、本発明によれば、図5乃至図10から明らかなように、このような限られた電力で十分な濃度の銀イオンを添加した洗浄水を生成できる。
さらに、本具体例においても、図37に関して前述した具体例と同様に、銀電極420の消耗を抑制し、銀電解槽400の耐用期間を大幅に延ばすことができる。
図40は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第3の具体例を表す模式図である。
また、図41は、本実施形態における分流手段300、助走区間310、銀電解槽400、助走区間320、発電手段500を含むユニットを表す模式図である。すなわち、同図(a)はその外観を表す斜視図であり、同図(b)はその内部構造を表す断面図である。これらの図についても、図1乃至図39に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本具体例においては、銀電解槽400の下流に発電手段500が配置されている。すなわち、本変形例においては、図3に関して前述したものと同様の分流手段、助走区間310、銀電極420、助走区間320が設けられている。そして、その下流において、洗浄水Wの全量が通水するように水車520が配置されている。
図4に関して前述したように、銀イオンの生成効率の観点からは、銀電解槽400に対しては低流速が有利である一方、発電量の確保の観点からは、水車520に対して高速流が有利である。このような要求に対して、本具体例の場合、配管方向の長さはやや長くなるものの、銀電解槽400と発電手段500とをそれぞれ流れる水流を上述のような条件にすることが容易であるという利点が得られる。また、発電手段500の上流側に銀電解槽400を設けると、発電手段500を殺菌水が流れるので、発電手段500において雑菌の付着による汚れを防ぐこともできる。
なお、図40及び図41に表したものとは逆に、銀電解槽400の上流に発電手段500を設けると、洗浄開始の際の突入流れに対して、銀電解槽400への通水に応じて遅延することなく銀電解槽400に電力を供給することができる。
図42は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第4の具体例を表す模式図である。
すなわち、本具体例においては、分流手段380により水流を分岐させ、その一方の分岐路に分流手段300を設けて水流をさらに分岐させてその一方に助走区間310を介して銀電解槽400を配置している。このようにすると、銀電解槽400に供給される水量を顕著に低下させ流速を低下させることが容易となる。その結果として、銀イオンの生成効率を大幅に改善できる。また、分流手段300により分岐された2つの水流を助走区間320の下流側で合流させて発電手段500に通水させることにより、流速と水流を発電手段500の要求特性に適合させ、発電量を確保することも容易となる。
図43は、本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第5の具体例を表す模式図である。
すなわち、本具体例においては、発電手段の代わりに電池700が設けられている。この生成装置においては、銀電解槽400や、制御手段100の各回路要素に対して、電池700から電力が供給される。この場合の電池は、乾電池などの1次電池でもよく、または、ニッケル・カドミウム電池や燃料電池などの2次電池であってもよい。
本具体例においても、図1乃至図34に関して前述した分流手段300、助走区間310、銀電極420、助走区間320を適宜用いることにより、銀イオンの生成効率を大幅に改善し、電池700の寿命を大幅に伸ばすことが可能となる。また同時に銀電極の寿命も大幅に延ばすことができる。その結果として、電池交換と銀電極の交換のメインテナンス頻度を下げることができ、経済性・利便性の高い水洗便器洗浄装置を提供できる。
以上、本発明を水洗便器について用いた具体例について説明したが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明は、大便器の洗浄水の生成に用いても同様の作用効果が得られる。この場合、フラッシュバルブ式の大便器についても、ロータンク式の大便器についても、本発明を適用できる。
また、本発明は、便器以外にも、例えば、手洗器や台所用水洗、浴室水洗などに用いて銀イオン水による同様の殺菌効果が得られる。
図44は、自動水栓の手洗器に本発明を適用した具体例を表す模式図である。すなわち、手洗器800は、赤外線などのセンサ160を内蔵し、使用者が手を近づけると、開閉弁200を開いて自動的に水を吐出させる。そして、この吐水に銀イオンを溶出させることにより、優れた殺菌作用が得られる。
一方、センサ160が使用者を検知すると、開閉弁200を開くとともに銀電解槽400に通電して銀イオンの溶出を開始する。銀電解槽400に対する電力の供給は、発電手段500から直接行うことができる。
そして、本具体例においても、図1乃至図34に関して前述したように、分流手段300、助走区間310、320を適宜設けることにより、銀イオンの生成効率を大幅に上げて、消費電力を低減させ、銀電極の寿命を大幅に延ばすことができる。その結果として、銀電極の交換のメインテナンス頻度を下げることができ、商用電源が不要な自己発電型、あるいは電池交換頻度が極めて低い自動水栓・殺菌水吐水型の手洗器が実現できる。
その他、開閉弁、銀電解槽、発電手段、分流手段、制御手段、センサ、蓄電手段をはじめとする各要素について当業者が適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の要部構成を例示する模式図である。 銀電解槽400における銀イオンの生成を説明するための概念図である。 本実施形態において用いることができる助走区間310、320及び銀電解槽400の一例を表す一部切断斜視図である。 分流による銀イオンの生成効率の改善を説明するための模式図である。 本実施形態における助走区間310、320の配置関係を例示する模式図である。 比較例として助走区間が設けられていない構成を例示する模式図である。 図12に表した比較例の銀電極420bの表面に形成される水流を表す模式図である。 助走区間310、320の作用を説明するための模式図である。 電極間距離を10ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。 銀イオンの添加量を4ppbとする場合のレイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。 電極間距離を5ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。 電極間距離を5ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。 電極間距離を3ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。 電極間距離を3ミリメータとした時の、レイノルズ数Reと銀電解槽の消費電力との関係を表すグラフ図である。 分流構造の具体例を表す斜視切断図である。 水流Wの方向に切断した模式断面図である。 洗浄水の配管の管壁寄りに、助走区間310、銀電極420a、420b、助走区間320が配置されている分流構造を表す模式図である。 配管内を流れる水流Wの流速分布を例示する模式図である。 絞り孔360が設けられた分流構造を表す模式図である。 配管の一部を切り取ってその内壁側から眺めた斜視図である。 屈曲部を有する配管の内周側に寄せて配置された分流構造を表す模式図である。 分岐流路を離間させた分流構造を表す模式図であり、同図(a)はその外観を表す斜視図であり、同図(b)はその断面図である。 本発明における助走区間と銀電極との配置関係を例示する斜視図である。 図23の断面図である。 図23の断面図である。 本発明における助走区間の先端形状を例示する断面図である。 本発明における助走区間の先端形状を例示する断面図である。 本発明における助走区間と銀電極との配置関係の第2の具体例を例示する模式図である。 本発明における助走区間の第3の具体例を例示する斜視模式図である。 本発明における助走区間の第4の具体例を例示する斜視模式図である。 本発明における助走区間の第5の具体例を例示する斜視模式図である。 本発明における助走区間の第6の具体例を例示する斜視模式図である。 本発明における助走区間の第7の具体例を例示する斜視模式図である。 第7具体例の平面図である。 本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第1の具体例を表す模式図である。 電流供給部130の構成を例示する模式図である。 本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第2の具体例を表す模式図である。 本発明の具体例における分流手段300、助走区間310、銀電解槽400、助走区間320、発電手段500を含むユニットを表す模式図である。 銀電解槽400に対して、発電手段500から電力が供給される経路を例示する模式図である。 本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第3の具体例を表す模式図である。 本発明の実施形態における分流手段300、助走区間310、銀電解槽400、助走区間320、発電手段500を含むユニットを表す模式図である。 本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第4の具体例を表す模式図である。 本発明の実施の形態にかかる便器洗浄水生成装置の第5の具体例を表す模式図である。 自動水栓の手洗器に本発明を適用した具体例を表す模式図である。
符号の説明
10 便器洗浄水生成装置
100 制御手段
110 制御部
120 開閉弁電磁駆動部
130 電流供給部
132 電気伝導度検出回路
133 定電流回路
134 極性反転回路
140 蓄電部(電源部)
150 整流部
160 センサ
200 開閉弁
300 分流手段
310〜330 助走区間
340、350 仕切板
360 絞り孔
380 分流手段
400 銀電解槽
410a、410b 接続端子
420、420a、420b 銀電極
500 発電手段
510 発電機
520 水車
600 水洗便器
700 電池
800 手洗器
BL 境界層

Claims (9)

  1. 少なくともいずれかが銀を含む一対の電極を有し、便器に流すべき洗浄水の少なくとも一部を前記一対の電極の間に流した状態で前記一対の電極の間に通電することにより銀イオンを放出可能とした銀電解槽と、
    前記銀電解槽に電力を出力する電力出力手段と、
    を備え、
    前記便器に流すべき前記洗浄水の流量を毎分25リッターとしたときに、前記一対の電極の間におけるレイノルズ数が3000以下であることを特徴とする便器洗浄水生成装置。
  2. 前記便器に流すべき前記洗浄水を第1の流路と第2の流路とに分ける分流手段をさらに備え、
    前記第1の流路を流れる洗浄水の少なくとも一部が前記一対の電極の間を流れることを特徴とする請求項1記載の便器洗浄水生成装置。
  3. 前記一対の電極の上流側及び下流側の少なくともいずれかにおいて、前記一対の電極との間で流路の断面積を不連続に変化させない助走区間が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の便器洗浄水生成装置。
  4. 前記一対の電極の上流側及び下流側の少なくともいずれかにおいて、前記一対の電極との間で流路の断面積の変化が実質的に生じない助走区間が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の便器洗浄水生成装置。
  5. 前記助走区間及び前記一対の電極の少なくともいずれかを複数の流路に分割する仕切板をさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の便器洗浄水生成装置。
  6. 前記助走区間を複数の流路に縦横に分割する整流手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の便器洗浄水生成装置。
  7. 前記一対の電極の少なくともいずれかの側方において前記電極に隣接して設けられ、その境界において、前記電極の表面と略同一平面を形成してなる流路壁を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の便器洗浄水生成装置。
  8. 前記電力出力手段は、前記洗浄水の水流により電力を生成する発電手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の便器洗浄水生成装置。
  9. 前記電力出力手段は、蓄電手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の便器洗浄水生成装置。
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