JP2005289860A - ポリアミン−ポリフェノールハイブリッドを含有する抗菌性歯科用組成物 - Google Patents

ポリアミン−ポリフェノールハイブリッドを含有する抗菌性歯科用組成物 Download PDF

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主恩 鄭
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Abstract

【課題】耐性菌を発生させることがなく、生体親和性に優れるとともに、抗菌効果を恒久的に持続させることが可能な抗菌性歯科用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る抗菌性歯科用組成物は、ポリアミンとポリフェノールとを酵素触媒存在下で反応させることにより得られるポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)、重合性単量体(B)および重合開始剤(C)、さらに必要に応じて充填剤(D)および分子中に酸性基を有する単量体(E)を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミン−ポリフェノールハイブリッドを含有する抗菌性歯科用組成物に関し、特に、歯科用コンポジットレジン、歯科用接着材、歯科用コート材、歯科用合着セメント、小窩裂溝填塞材および義歯床用レジンなどに好適な抗菌性歯科用重合性組成物に関する。
口腔外科領域の二大疾患である齲蝕および歯周病は、いずれも口腔内細菌により発症していることが近年の研究で明らかになっている。その齲蝕発症の原因としては、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)に代表される齲蝕病原性菌(mutans Streptococci)が
挙げられている。
齲蝕進行のメカニズムは、まず上記齲蝕病原性菌が、菌体表面の付着性タンパク抗原により歯面に付着し、そこにスクロース(ショ糖)が供給されると、不溶性グルカンが生成されて歯面に強固に付着する。このように不溶性グルカンが歯面に形成されると、付着能のない細菌、たとえば乳酸桿菌などの細菌も、不溶性グルカンを足がかりにして歯面に付着可能となり、プラークが成熟してゆく。この不溶性グルカンは、プラーク中で産生された乳酸などの有機酸の拡散性を防ぐとともに、唾液の緩衝作用を回避するため、あるpH以下になると歯質が脱灰され齲蝕となる。一般に、プラーク内のpHが6.2程度以下になると象牙質が脱灰され、5.7程度以下になるとエナメル質が脱灰されはじめる。
一方、歯周病は、Porphyromonas gingivalis などの歯周病原性細菌が産生する内毒素
(エンドトキシン)によって歯周組織が崩壊されることによって発症する。
以上のことから、齲蝕および歯周病の発症を予防するためには、齲蝕病原性菌や歯周病原性細菌の増殖を抑制することが最も効果的な方法である。そのため、このような細菌の増殖を抑制するために、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、メトロニダゾールなどの抗菌剤を配合した歯科用組成物がこれまでに数多く報告されている。
しかしながら、このような抗菌剤はいずれも低分子量であるため、口腔内のような湿潤下においては材料から短期間に漏出してしまい、抗菌もしくは制菌効果の持続性の点で満足のいくものではなかった(特許文献1参照)。また、グルコン酸クロルヘキシジンは、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があることも指摘されている。
一般に、抗生物質や殺菌剤は長期連用には不適であり、口腔内細菌を無差別に死滅させて常在菌叢の均衡を崩して菌交代症などを引き起こすことがあり、また連用方法によっては耐性菌を出現させる危険性も有している。このような問題に対して、材料中に抗菌性銀イオンを配合する試みが行われているが、耐性菌の発生は抑制されるものの、抗菌性銀イオンがすべて溶出した後は、抗菌性が失われるという同様の問題点を有していた。
特開平3−118309号公報 特開2003−137925号公報
本発明の課題は、耐性菌を発生させることがなく、生体親和性に優れるとともに、抗菌効果を恒久的に持続させることが可能な抗菌性歯科用組成物を提供することにある。
本発明者らは、このような状況に鑑みて上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリフェノールと同様に、優れた抗酸化性、抗ガン活性、抗菌性、抗炎症性、抗ウイルス性などの種々の生理活性を有するポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(特許文献2参照)に着目し、これを含有させることにより、耐性菌の危険性がなく生体親和性に優れるとともに、抗菌効果を長期間持続させることができる抗菌性歯科用組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る抗菌性歯科用組成物は、ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)、重合性単量体(B)および重合開始剤(C)、さらに必要に応じて充填剤(D)および分子中に酸性基を有する単量体(E)を含有することを特徴とする。
前記ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表わされる構造を少なくとも1つ有することが好ましい。
Figure 2005289860
(式中、X1〜X5は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示し、X1〜X5のうち少なくとも2個は水酸基である。)
Figure 2005289860
(式中、X6〜X8は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示す。)
Figure 2005289860
(式中、X9〜X12は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基または
その他の置換基を示す。)
前記ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)は、下記一般式(4)で表わされる構造を有するポリアミンと、下記一般式(5)で表されるポリフェノールとを酵素触媒存在下で反応させることにより得られる。
Figure 2005289860
(式中、Y1およびY2は、それぞれ独立に水素原子またはその他の脱離基を示す。)
Figure 2005289860
(式中、X13〜X17は、それぞれ独立に水素原子、水酸基またはその他の脱離性原子団を含む置換基を示し、X13〜X17のうち少なくとも2個は水酸基であり、Rは、水素原子、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示す。)
本発明によれば、耐性菌の危険性がなく生体親和性に優れるとともに、抗菌効果を長期間持続させることができる抗菌性歯科用組成物が得られる。
また、分子量の異なるポリアミンにポリフェノールを共有結合させることにより、ハイブリッドの分子量を任意に調整でき、その水溶性も制御することができるため、歯科用組成物からのハイブリッドの徐放性を制御することができる。
したがって、例えば、歯周病疾患の程度が異なる患者に対し、個々人の治療に最適とされる一定の有効濃度でのハイブリッドの徐放が可能となる。
さらに、ハイブリッドを高分子量化して徐放させずに材料表面に担持させることにより
、恒久的に抗菌効果を持続させることができる。
以下、本発明に係る抗菌性歯科用組成物について詳細に説明する。
(A)ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド
本発明の抗菌性歯科用組成物は、ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)(以下、単に「ハイブリッド(A)」ともいう。)を含有し、該ハイブリッド(A)は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ有する。
Figure 2005289860
式(1)中、X1〜X5は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示し、X1〜X5のうち少なくとも2個は水酸基である。
Figure 2005289860
式(2)中、X6〜X8は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示す。
Figure 2005289860
式(3)中、X9〜X12は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基
またはその他の置換基を示す。
上記式(1)〜(3)における、その他の置換基としては、本発明の目的を損なわない置換基であれば特に限定されないが、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アリル基、アリール基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、アルデヒド基、アミド基などが挙げられる。
すなわち、本発明で用いられるハイブリッド(A)は、ポリアミンとポリフェノールが、上記一般式(1)〜(3)のいずれかで表わされる構造で結合していればよく、式(1)〜(3)で表わされる構造群のうち、1種類の構造のみを有していてもよく、2種以上の構造を有していてもよい。また、2種以上の構造を有している場合、それぞれの構造の比率は特に限定されない。
このようなハイブリッド(A)は、下記一般式(4)で表わされる構造を有するポリアミンと、下記一般式(5)で表わされるポリフェノールとを、酵素触媒存在下で反応させることにより得ることができる。
Figure 2005289860
式(3)中、Y1およびY2はそれぞれ独立に、水素原子またはその他の脱離基を示す。前記その他の脱離基としては、ポリフェノールとポリアミンとの結合反応の際に脱離する基であれば特に限定されないが、たとえば、アルキル基などが挙げられる。
Figure 2005289860
式(4)中、X13〜X17は、それぞれ独立に水素原子、水酸基またはその他の脱離性原子団を含む置換基を示し、X13〜X17のうち少なくとも2個は水酸基であり、Rは、水素原子、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示す。前記その他の脱離性原子団を含む置換基とは、ポリフェノールとポリアミンとの結合反応の際に、脱離する原子団を含む置換基であれば特に限定されないが、たとえば、アルキル基などが挙げられる。
上記ハイブリッド(A)を製造する際に用いられるポリアミンは、上記一般式(4)で表わされるポリマーであれば特に限定されないが、ポリフェノールと酵素反応によって生じるキノン中間体に対する高い反応性という観点から、一級および/または二級アミノ基を含むポリマーを用いることが好ましい。また、アミノ基はポリマー主鎖、側鎖、末端のいずれに導入されていてもよい。
このようなポリアミンとしては、たとえば、分岐ポリエチレンイミン、ポリアリルアミ
ン、ポリビニルアミン、ポリリジン、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、キチン部分加水分解物、ポリアミンデンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマーなどが挙げられる。
上記ポリアミンの分子量は特に限定されないが、通常、500〜10,000,000、好ましくは500〜5,000,000である。ポリアミンの分子量が上記範囲であることにより、ハイブリッド(A)の分子量を任意に調整でき、その水溶性も制御することができるため、歯科用組成物からのハイブリッド(A)の徐放性を制御することができる。
上記ハイブリッド(A)を製造する際に用いられるポリフェノールは、上記一般式(5)で表わされる化合物であれば特に限定されないが、ハイブリッドの生医学分野での応用に必要な水溶性付与という観点から、分子中にフェノール性水酸基を4つ以上含む化合物が好ましい。また、ハイブリッド(A)への高い抗酸化性付与という観点から、フラボノイド骨格を有するポリフェノール、すなわち、式(5)において、ベンゼン環にクロマン(chroman)骨格系置換基が結合したポリフェノールが特に好ましい。
前記クロマン骨格には水酸基(好ましくは3,5,7位)を有していること、2,3位が不飽和化され4位がケトン化されていることが好ましい。クロマン骨格系置換基の基本構造であるクロマン環を下記式(6)に示す。
Figure 2005289860
本発明で用いられるポリフェノールの好適な具体例としては、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、クエルセチン、ヘスペシジン、タンニン酸、テアフラビン、プロシアニジン、ロイコアントシアニジン、ルチンなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ハイブリッド(A)において、式(2)、(3)に示すようにポリフェノール部位の酸化が進み、ベンゼン環構造が変性してキノイド骨格を有しているものでもよい。
上記ハイブリッド(A)を製造する際に用いられる酵素触媒とは、酵素を利用した触媒のことを意味し、たとえば、酸化酵素、加水分解酵素、転移酵素、脱離酵素、異性化酵素などが挙げられる。これらの中では、ポリフェノール類の酸化触媒機能という観点から、酸化酵素が好ましい。
上記酸化酵素としては、フェノール類の酸化を起こすのに十分な酸化能を有するものであれば特に限定されないが、たとえば、チロシナーゼ(EC 1.14.18.1)、フェノラーゼ、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼなどが挙げられる。これらの酸化酵素は、種々の起源のものが使用でき、特に限定されないが、たとえば、植物由来、細菌由来、坦子菌類由来の酸化酵素が挙げられる。このような酸化酵素の中では、チロシナーゼ、特にマッシュルーム由来のチロシナーゼが、酸化能が高く、しかも量産されて比較的安価であることから、好ましく使用することができる。
酵素量は、ポリアミン1gに対して1ユニット〜1,000,000ユニット、好まし
くは3ユニット〜500,000ユニット、さらに好ましくは5ユニット〜200,000ユニットである。
反応溶媒としては、ポリアミン、ポリフェノールおよび酵素触媒のいずれもが溶解するものが好ましく、水または有機溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。水は、蒸留水や脱イオン水でもよく、また水の代わりに緩衝液を用いてもよい。緩衝液を用いる場合はpH2〜12の範囲が望ましい。緩衝液の種類としては、特に限定されないが、たとえば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液などが挙げられる。
混合溶媒を用いる場合の有機溶媒としては、水と相溶するものが好ましい。水と相溶する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ピリジン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、有機溶媒と水の混合比(有機溶媒:水)は、ポリアミン、ポリフェノールおよび酵素触媒のいずれもが溶解するのであれば特に限定されないが、通常、0.01:99.99〜90:10、好ましくは1:99〜80:20の範囲である。
反応温度は、酵素触媒が不活性化しない温度、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜60℃の範囲が望ましい。反応温度が高い場合、一般的に酵素は失活するが、混合溶媒系によっては酵素を安定化するので、その場合は高い反応温度を採用してもよい。
上記のような方法によって得られるハイブリッド(A)におけるポリフェノール含有量は、原料ポリアミンのアミノ基に対して0.01モル%〜100モル%、好ましくは0.05〜100モル%、より好ましくは0.1〜100モル%の範囲である。ポリフェノールが上記範囲で含有されていることにより、優れた抗菌効果が得られる。
本発明の歯科用組成物におけるハイブリッド(A)の配合量は、成分(A)および(B)の合計100重量%に対して、通常、0.1〜60重量%、好ましくは1〜40重量%の範囲である。上記範囲で配合されていることにより、耐性菌の危険性がなく生体親和性に優れるとともに、抗菌効果を長期間持続させることができる抗菌性歯科用組成物が得られる。
(B)重合性単量体
本発明の抗菌性歯科用組成物において、重合性単量体(B)としては、ラジカル重合開始剤によって重合する単量体であれば特に限定されず、たとえば、単官能、二官能または三官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、使用目的等に応じて適宜選択される。このような重合性単量体を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両者を意味し、「(メタ)アクリレート」等についても同様である。
(i)単官能重合性単量体としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状アルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート等の酸素原子などを含む複素環(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のさらに塩素などのハロゲンを有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(ii)二官能重合性単量体としては、
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−
ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状のポリもしくはモノアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(iii)多官能重合性単量体としては、
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のようなトリメチロールアルカントリ(メタ)アクリレートなどの三官能重合性単量体;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能重合性単量体;
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのポリ(メタ)アクリレート
などの五官能以上の重合性単量体が挙げられる。
二官能以上の重合性単量体においては、たとえば、トリエチレングリコールアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレートジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートジメタクリレートのように、メタクリレート基とアクリレート基を1分子中に併せ持つ化合物も含まれる。
このような重合性単量体(B)の配合量は、成分(A)および(B)の合計100重量%に対して、通常、40〜99.9重量%、好ましくは60〜99重量%の範囲である。
(C)重合開始剤
本発明の抗菌性歯科用組成物において、重合開始剤(C)としては、熱または光重合開始剤などの公知の重合開始剤が用いられる。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物、ジアゾ系化合物などが好ましく用いられる。重合を短時間で効率よく行いたい場合には、80℃での分解半減期が10時間以下である化合物が好ましい。
このような有機過酸化物としては、たとえば、
イソブチルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のようなアルキルパーオキサイド;
アセチルパーオキサイド等のような過酸化カルボン酸無水物;
ベンゾイルパーオキサイド等のような芳香族系過酸化カルボン酸無水物;
スクシン酸パーオキサイド等のようなポリカルボン酸の過酸化無水物;
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のような直鎖状または分枝状脂肪族系および/または芳香族系パーオキシジカーボネート;
tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカネート、クメンパーオキシネオデカネート等のような直鎖状または分枝状脂肪族系および/または芳香族系過酸化エステル;
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等のようなカルボン酸とスルホン酸の過酸化無水物などが挙げられる。
また、ジアゾ系化合物としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−
ジメトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリ
ル)などが挙げられる。
上記重合開始剤の中では、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリルがより好ましい。また、レドックス開始剤としてアミン等の還元剤を併用することもできる。
光重合開始剤としては、光増感剤単独で用いても、光増感剤と光重合促進剤とを組み合わせて用いてもよい。
上記光増感剤としては、たとえば、
α−ジケトン化合物、カンファーキノン等のようなカンファーキノン系化合物;
α−ナフチル等のようなナフチル系化合物;
ベンジル、p,p’−ジメトキシベンジル等のようなベンジル系化合物;
ペンタジオン等のようなβ−ジケトン化合物;
1,4−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のようなキノン化合物;
ジフェニルトリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド等のようなベンゾイルフォスフィンオキシド系化合物
などが挙げられる。これらは、可視光または紫外光照射によって励起されて重合を開始する公知の化合物類であり、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、カンファーキノンが好ましく使用される。
上記光重合促進剤としては、たとえば、
アシルホスフィンオキサイドまたはその誘導体;
N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン等のN,N−ジアルキル(又は芳香族)アニリン;
N,N−ジメチル−p−トルイジン等のN,N−ジアルキル(又は芳香族)−p−トルイジン;
p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸、p−N,N
−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸メチル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸もしくはそのアルキルエステル;
p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド等のp−N,N−ジアルキルアミノベンズアルデヒド;
p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル等のp−N,N−ジアルキルアミノ安息香酸のアルコ
キシアルキルエステル;
p−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル、p−N,N−ジエチルアミノベンゾニトリル等のp−N,N−ジアルキルアミノベンゾニトリル;
p−N,N−ジヒドロキシエチルアニリン等のp−N,N−ジヒドロキシアルキルアニリン;
p−ジメチルアミノフェネチルアルコール等のp−ジアルキルアミノフェネチルアルコール;
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のN,N−ジアルキルアミノエチルメタクリレート;
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、N−エチルエタノールアミン等の第三級アミン類;
前記第三級アミンとクエン酸、リンゴ酸、2−ヒドロキシプロパン酸との組み合わせ;
5−ブチルアミノバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;
ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物
などが挙げられる。
上記光重合促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの
ように芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミン、または重合性基を有する脂肪族第三級アミンアシルホスフィンオキシドもしくはその誘導体が好ましく用いられる。
硬化を速やかに終了させるには、光増感剤と光重合促進剤との組み合わせが好ましく、カンファーキノンと、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物との組み合わせ、またはアシルホスフィンオキシドとの組み合わせが好ましく用いられる。
上記重合開始剤(C)の配合量は、組成物全体に対して、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
<歯科用組成物の用途>
本発明の抗菌性歯科用組成物を用いた歯科材料としては、たとえば、歯科用複合充填材料、義歯床用材料、歯冠用材料および合着用材料等の歯科用コンポジットレジン、歯列矯正用接着剤、歯牙裂溝封鎖材および窩洞塗布用接着剤等の歯科用接着剤などが挙げられる。
(D)充填剤
本発明の抗菌性歯科用組成物を用いて歯科用コンポジットレジンを作製する場合、上記成分(A)〜(C)の他に、さらに充填材(D)が配合される。このような充填材としては、無機充填材または複合充填材が好ましく、これらを同時に歯科用組成物に配合してもよい。
前記複合充填材とは、下記の無機充填材と重合性単量体とを混合した後、重合開始剤を加えて重合させた硬化物を、所望の粒子径になるまで粉砕した粉砕物のことをいう。複合充填材に用いられる重合性単量体として、上記ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)を使用してもよい。
無機充填材としては公知のものが使用でき、たとえば、周期律第I、II、III、IV族の
遷移金属およびそれらの酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、珪酸塩、これらの混合物、複合塩などが挙げられる。具体的には、二酸化珪素、ストロ
ンチウムガラス、ランタンガラス、バリウムガラス等のガラス粉末、石英粉末、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、バリウム塩、ガラスビーズ、ガラス繊維、フッ化バリウム、鉛塩、タルクを含有するガラスフィラー、コロイダルシリカ、シリカゲル、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、炭素繊維、その他のセラミックス粉末などが挙げられる。
無機充填材の平均粒子径としては、通常0.01〜5μmの範囲であり、歯科用コンポジットレジンの硬化表面に光沢性および透明性を付与させたい場合には、好ましくは0.01〜3μmで、より好ましくは0.01〜1μm、特に好ましくは0.01〜0.1μmである。
上記利点を発揮させようとすると、日本アエロジル(株)製のR972、R972V、R972CF、RX200、RY200、R202、R805、R976、R812、R812S等の疎水性アエロジルや、OX−50等の親水性アエロジルと呼ばれているシリカが好適である。これらは高純度の二酸化珪素エアロゾルの疎水化品が市販されているため敢えて表面改質する必要がなく、さらに平均粒子径が0.05μm以下と可視光線の波長よりも粒子が小さいために、これを配合した硬化物は可視光線が乱反射し難く、透明感のある硬化物が得られる。これらの中では、R972、R812、R812S、R805が好適である。
また、これらの無機充填材に対しては、目的に応じてシランカップリング剤などの表面処理剤による表面処理が実施される場合がある。このような表面処理剤としては、たとえば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤、またはこれらに相当するジルコニウムカップリング剤、チタニウムカップリング剤などが挙げられる。このような表面処理剤は、無機充填剤に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で使用される。
上記充填剤(D)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、組成物全体に対して、通常5〜90重量%の範囲である。また、充填材の形状としては、球状体であっても不定形体であってもよく、粒子径とともに適宜選択される。
(E)酸性基を有する重合性単量体
本発明の抗菌性歯科用組成物を歯科用接着剤として使用する場合には、接着促進単量体として、分子中に酸性基を有する重合性単量体(E)がさらに配合される。前記酸性基を有する重合性単量体とは、酸性基および重合性基を同一分子中に有する化合物である。このような酸性基としては、たとえば、リン酸残基、カルボン酸残基、ピロリン酸残基、スルホン酸残基、チオリン酸残基などが挙げられ、重合性基としては、たとえばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基などを有する化合物が挙げられる。
リン酸残基を有する重合性単量体としては、たとえば、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルコシルジハイドロジェンホスフェート;
1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート等
のポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルジハイドロジェンホスフェート;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルフェニルリン酸;および、
これらの酸塩化物などが挙げられる。
カルボン酸残基を有する重合性単量体としては、たとえば、
2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルフタル酸;
5−(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸等の(メタ)アクリロイルアミノアルキルカルボン酸;
11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等の(メタ)アク
リロイルオキシアルキルジカルボン酸;
およびこれらの酸塩化物、酸無水物などが挙げられる。
ピロリン酸残基を有する重合性単量体としては、たとえば、ピロリン酸ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)等のピロリン酸ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキル)およびこれらの酸塩化物などが挙げられる。
スルホン酸残基を有する重合性単量体としては、たとえば、
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸;
スチレンスルホン酸またはその誘導体;
2−スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
チオリン酸残基を有する重合性単量体としては、たとえば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンジチオホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルハイドロジェンジチオホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルジハイドロジェンチオホスフェートおよびこれらの酸塩化物などが挙げられる。
上記酸性基を有する重合性単量体は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよく、配合量は、組成物全体に対して、通常0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の範囲であり、さらに該組成物に水または有機溶剤が配合される場合には、0.1〜30重量%の範囲で好適に用いられる。
(F)その他の成分
本発明の抗菌性歯科用組成物には、保存安定性を付与するために、ハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン等のハイドロキノン化合物類や、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール類を重合禁止剤として一種以上配合することが好ましい。特に、ハイドロキノンモノメチルエーテルおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
の組み合わせが好ましく用いられる。
また、本発明の抗菌性歯科用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、水または有機溶剤等の溶媒、チタンホワイト、チタンイエロ−等の顔料、紫外線吸収剤、染料、酸化防止剤なども配合してもよい。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されることはない。
<ポリアミン−ポリフェノールハイブリッドの製造>
[合成例1](a)ポリアミン−カテキンハイブリッド
50mLナスフラスコに、ポリアミン(ポリリジン、分子量4000)0.82gを取り、10mLの蒸留水を加えて室温で撹拌し、1規定水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整した後、0.145gのカテキンを溶解させたメタノール溶液3mLを加えた。次いで、5ユニットのカビ由来のラッカーゼを溶解させた水溶液100μLを加えて反応を開始させた。反応液を緩やかに4時間撹拌した後、6規定塩酸を数滴加え、分子量500の透析膜を用いて未反応のカテキンや塩類を除去し、凍結乾燥によりポリマーを単離してポリアミン−カテキンハイブリッド(a)を0.56g得た。
[合成例2](b)ポリアミン−エピガロカテキンガレートハイブリッド
50mLナスフラスコに、合成例1で用いたポリアミン0.82gを取り、10mLの蒸留水を加えて室温で撹拌し、1規定水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整した後、0.229gのエピガロカテキンガレートを溶解させたメタノール溶液3mLを加えた。次いで、5ユニットのカビ由来のラッカーゼを溶解させた水溶液100μLを加えて反応を開始させた。反応液を緩やかに4時間撹拌した後、6規定塩酸を数滴加え、分子量500の透析膜を用いて未反応のエピガロカテキンガレートや塩類を除去し、凍結乾燥によりポリマーを単離してポリアミン−エピガロカテキンガレートハイブリッド(b)を0.66g得た。
[合成例3](c)ポリアミドアミンデンドリマー−カテキンハイブリッド
10%ポリアミドアミンデンドリマー(第四世代)メタノール溶液3.0g、カテキン0.087g、蒸留水10mL、メタノール3mL、チロシナーゼ1000ユニットを用いて、合成例1の調製法と同様の操作を行った。なお、反応液のpHは8に調整した。反応後、カットオフ分子量500の透析膜を用いて未反応のカテキンや塩類を除去し、凍結乾燥によりポリマーを単離してポリアミドアミンデンドリマー−カテキンハイブリッド(c)を0.40g得た。
[合成例4](d)ポリエチレンイミン−ルチンハイブリッド
30%分岐ポリエチレンイミン(分子量7万)水溶液1.7g、変性ルチン(G−ルチン:東洋精糖(株)製)0.44g、チロシナーゼ1000ユニット、蒸留水10mLを用いて、合成例1の調製法と同様の操作を行った。48時間反応を行い、ポリエチレンイミン−ルチンハイブリッド(d)を0.85g得た。なお、前記変性ルチンは、下記化学式(7)で表わされる化合物と、下記化学式(8)で表わされる化合物との混合物(93:7モル%)である。
Figure 2005289860
Figure 2005289860
<抗菌性試験>
ヒト口腔内細菌をカルチュレットにて採取し、直ぐにリン酸緩衝溶液中に分散させ所定量を嫌気性菌用羊血液寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン(株)製)に塗抹した。次に、下記のポリアミン−ポリフェノールハイブリッド群および比較群に示した各サンプルを、オートクレーブにて滅菌処理した水を用いて、0.5、3、17、27%水溶液に調製した。これらの水溶液をペーパーディスク(直径8mm、厚さ1.5mm)に染み込ませて寒天培地上に置き、嫌気性下で37℃にて24時間培養させた。24時間後のペーパーディスク周辺の菌の発育状況を観察し、下記に示す基準で判定を行った。結果を表1に示す。
ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド群
(a)ポリアミン−カテキンハイブリッド
(b)ポリアミン−エピガロカテキンハイブリッド
(c)ポリアミドアミンデンドリマー−カテキンハイブリッド
(d)ポリエチレンイミン−ルチンハイブリッド
比較群
(e)カテキン(合成例1で用いたもの)
(f)ポリアミン(合成例1で用いたもの)
(g)ポリアミドアミンデンドリマー(第四世代)(合成例3で用いたもの)
(h)変性ルチン(合成例4で用いたもの)
発育阻止斑の発現状況
− :ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が全く認められない。
± :ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が幅約1mm未満のリング状で認められる。
+ :ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が幅約1〜2mmのリング状で認められる。
++:ペーパーディスク周囲に菌の発育阻止斑が幅約2mmを超えるリング状で認められる。
Figure 2005289860
[実施例1]
4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(4−META)20重量部、ウレタンジメタクリレート(UDMA)20重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレー
ト(HEMA)2重量部、カンファーキノン(CQ)0.2重量部、アセトン40重量部、精製水17.2重量部、N−フェニルグリシンナトリウム0.3重量部、スルフィン酸ナトリウム塩0.3重量からなる溶液100重量部に対し、ハイブリッド(A)として合成例2で得られたポリアミン−エピガロカテキンガレートハイブリッド(b)10重量部を添加した。得られた組成物をペーパーディスク(直径8mm、厚さ1.5mm)に75μL染み込ませ、抗菌性試験を上記と同様に行った。その結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、ポリアミン−エピガロカテキンガレート(b)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、得られた組成物について抗菌性試験を上記と同様に行った。その結果を表2に示す。
Figure 2005289860
表1に示したように、ポリアミン−ポリフェノールハイブリッドは、ポリアミンやカテキン単独と比較して、齲蝕の原因となるヒト口腔内細菌の発育を阻止する効果が高い。また、表2に示したように、ポリアミン−ポリフェノールハイブリッドを含有した歯科用組成物についても同様の効果が得られている。さらに、ポリアミンの分子量を調整することにより、ハイブリッドの徐放性を制御することができる。

Claims (8)

  1. ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)、重合性単量体(B)および重合開始剤(C)を含有することを特徴とする抗菌性歯科用組成物。
  2. 前記ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表わされる構造を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌性歯科用組成物。
    Figure 2005289860
    (式中、X1〜X5は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示し、X1〜X5のうち少なくとも2個は水酸基である。)
    Figure 2005289860
    (式中、X6〜X8は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示す。)
    Figure 2005289860
    (式中、X9〜X12は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、クロマン骨格系置換基または
    その他の置換基を示す。)
  3. 前記一般式(1)〜(3)で表わされる構造が、クロマン骨格系置換基を有することを特徴とする請求項2に記載の抗菌性歯科用組成物。
  4. 前記ポリアミン−ポリフェノールハイブリッド(A)が、下記一般式(4)で表わされる構造を有するポリアミンと、下記一般式(5)で表されるポリフェノールとを酵素触媒
    存在下で反応させることにより得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性歯科用組成物。
    Figure 2005289860
    (式中、Y1およびY2は、それぞれ独立に水素原子またはその他の脱離基を示す。)
    Figure 2005289860
    (式中、X13〜X17は、それぞれ独立に水素原子、水酸基またはその他の脱離性原子団を含む置換基を示し、X13〜X17のうち少なくとも2個は水酸基であり、Rは、水素原子、クロマン骨格系置換基またはその他の置換基を示す。)
  5. 充填材(D)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性歯科用組成物。
  6. 分子中に酸性基を有する単量体(E)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性歯科用組成物。
  7. 歯科用コンポジットレジンに用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌性歯科用組成物。
  8. 歯科用接着剤に用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌性歯科用組成物。
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