JP2005289716A - 水素製造装置および水素製造方法 - Google Patents

水素製造装置および水素製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来よりもコストを低減したうえで、水素を製造できる水素供給装置および水素供給方法を提供する。
【解決手段】 還元手段としての圧力容器18,30では、水素ガス(水素)と酸化鉄(金属酸化物)とを反応させて鉄(金属)と水蒸気とに分離した。こうして還元された鉄は、圧力容器18,30内でそのまま貯蔵する。さらに酸化手段としての圧力容器18,30では、水蒸気と鉄とを反応させて水素と酸化鉄とに分離することで水素を製造する。したがって、従来のように水素を圧縮するための圧縮機を必要とせず、圧力容器18,30は鉄が酸化されない程度に構成すればよいので、従来よりも低コストで実現することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素を製造するための装置および方法に関する。
従来は水素を製造するにあたって、製造または精製された水素を圧縮機で高圧に圧縮したうえで貯蔵装置に貯蔵しておき、貯蔵された高圧水素をディスペンサーで燃料電池自動車に充填していた(例えば特許文献1を参照)。
特開2003−118548号公報(第5−6頁,図2)
しかし、従来の技術では、貯蔵装置に水素を貯蔵するために圧縮機(すなわち動力源)や、高圧に圧縮された状態のままで水素を貯蔵できる貯蔵装置が必要であった。よって、水素を製造する設備に相当のコストを要していた。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、従来よりもコストを低減したうえで、水素を製造できるように構成した水素製造装置および水素製造方法を提供することを目的とする。
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、水素を製造する水素製造装置であって、水素と金属酸化物とを反応させて金属と水蒸気とに分離する還元手段と、前記還元手段によって分離された金属を貯蔵する貯蔵手段と、水蒸気と前記貯蔵手段に貯蔵された金属とを反応させて水素と金属酸化物とに分離する酸化手段とを有することを要旨とする。
解決手段1によれば、還元手段では第1温度(例えば350℃)で水素と金属酸化物とを反応させると、金属と水蒸気とに分離できる。分離できた金属は酸化されないように貯蔵手段で貯蔵する。酸化手段では、温度は任意であるものの望ましくは上記第1温度よりも低い第2温度(例えば250℃)で水蒸気と貯蔵した金属とを反応させると、水素と金属酸化物とに分離することで水素を製造できる。従来のように水素を圧縮するための圧縮機を必要とせず、貯蔵手段は水素と水蒸気の圧力に耐え得る程度の肉厚にして構成すればよいので、従来よりも低コストで実現することができる。
(2)解決手段2は、解決手段1に記載した水素製造装置であって、酸化手段は還元手段で用いる水素よりも高圧の水蒸気を用いて金属と反応させるように構成したことを要旨とする。
解決手段2によれば、例えば燃料電池などの燃料として水素を供給する際に当該水素を高圧にする必要がある場合には、高圧の水蒸気を用いて金属と反応させればよい。こうすれば反応によって発生する水素も高圧になるので、水素自体を圧縮する必要がない。水を昇圧するためのポンプと、水を熱するためのボイラーとが必要になる。しかし、水素を圧縮するための圧縮機と比べると、圧縮の際に動力を必要としないので安価で済む。したがって、全体としてみれば従来よりも低コストで実現することができる。
(3)解決手段3は、解決手段1または2に記載した水素製造装置であって、金属または金属酸化物として、ナノサイズ微粒子のものを用いることを要旨とする。
解決手段3によれば、金属または金属酸化物としてナノサイズ微粒子(すなわち粒径が数ナノメートルから数十ナノメートルの粒子)のものを用いる。当該ナノサイズ微粒子は、同じ重量の金属酸化物と比べて全体の表面積が格段に大きくなり、しかも金属内部まで全て酸化還元反応が可能となるので、貯蔵できる水素や発生させる水素の容量も格段に大きくなる。一定容量の水素に対して必要な金属の重量を少なくできるので、貯蔵に必要な貯蔵手段の容積をコンパクトにできる。
(4)解決手段4は、解決手段1から3のいずれか一項に記載した水素の製造装置であって、金属酸化物として酸化鉄を用いることを要旨とする。
解決手段4によれば、酸化鉄は鉄を酸化したものであるが、鉄自体が安価で提供されているので全体のコストを安く抑えることができる。
(5)解決手段5は、水素を製造する水素製造方法であって、水素と金属酸化物とを反応させて金属と水とに分離し、分離された金属を貯蔵し、水蒸気と貯蔵された金属とを反応させて水素と金属酸化物とに分離することを要旨とする。
解決手段5によれば、解決手段1と同様に水素を圧縮するための圧縮機を必要とせず、貯蔵手段は水素と水蒸気の圧力に耐え得る程度の肉厚にして構成すればよいので、従来よりも低コストで実現することができる。
本発明によれば、水素を圧縮するための圧縮機を必要とせず、貯蔵手段は金属が酸化されない程度で構成すればよい。そのため、従来よりもコストを低減したうえで、水素を製造することができる。
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。まず図1には、酸化鉄を用いた水素製造ステーションを模式的にブロック図で表す。
図1に示す水素製造ステーション10は、制御盤12や、圧力容器18,32、ボイラー16、冷却器22、貯水槽24、ポンプ26、ディスペンサー34などを有する。当該水素製造ステーション10は水素製造装置に相当する。圧力容器18,32は、鉄(または酸化鉄)を貯蔵する機能を果たす点で貯蔵手段に相当し、所定の条件下で鉄(または酸化鉄)と水蒸気とを反応させる。この場合の鉄は、ナノサイズ微粒子のものを用いる。制御盤12は、圧力容器18,32のうち一方の容器で還元反応を行い、他方の容器で酸化反応を行い、各反応を交互に切り換えて運転できるように、電磁弁14a,14b,20a,20b,28a,28b,30a,30bの開閉を個別に制御する。ポンプ26は貯水槽24に貯まっている水をボイラー16に送り、当該ボイラー16は水を水蒸気に熱して圧力容器18,32に送る。冷却器22は、圧力容器18,32から出た水蒸気を水に冷やして貯水槽24に送る。ディスペンサー34は、圧力容器18,32で発生させた水素を燃料電池自動車36に充填する。
上述した各要素を繋ぐ配管の構成例を簡単に説明する。まず、供給源と圧力容器18,32との間は、供給源から供給される水素ガスが電磁弁28a,28bを経て圧力容器18,32に送るように配管されている。圧力容器18,32と貯水槽24との間は、圧力容器18,32から貯水槽24に向かう第1系統と、貯水槽24から圧力容器18,32に向かう第2系統とに分かれる。第1系統では、圧力容器18,32で発生した水蒸気が電磁弁28a,28bと冷却器22を経て、貯水槽24に送るように配管されている。第2系統では、貯水槽24に貯まっている水をポンプ26で送り、ボイラー16で水蒸気になるように熱し、電磁弁14a,14bを経て圧力容器18,32に送るように配管されている。圧力容器18,32とディスペンサー34との間は、圧力容器18,32で発生させた水素ガスが電磁弁30a,30bを経て、ディスペンサー34に送るように配管されている。
図2,図3を参照して、供給源から供給される水素ガスを水素製造ステーション10で貯蔵し、燃料電池自動車36に供給するまでの工程について説明する。
まず図2では、図中「(還元)」で示すように圧力容器18で還元反応を行い、同じく図中「(酸化)」で示すように圧力容器32で酸化反応を行う。そのため制御盤12は、電磁弁14b,20a,28a,30bを開け、電磁弁14a,20b,28b,30aを閉めるように制御する。供給源から供給される水素ガスは、電磁弁28aを経て圧力容器18に送り込まれる。このときの圧力容器18の内部は、低圧(例えば大気圧程度)かつ高温(例えば350℃程度)の雰囲気に調整されている。貯蔵されている酸化鉄(具体的には四酸化三鉄)に対して送り込まれてきた水素ガスを接触させると、次に示す還元反応式に従って鉄(すなわち鉄元素)と水蒸気とに分離される。
〔還元反応式〕
4H2+Fe34→3Fe+4H2
この工程における圧力容器18は、酸化鉄を鉄に還元する点で還元手段に相当する。還元反応式に従って発生した水蒸気は、電磁弁20aから冷却器22を経て、再利用が可能となるように水の状態で貯水槽24に貯められる。したがって、供給源から供給された水素ガス(水素)は水の状態で貯水槽24に貯蔵することになる。
一方、貯水槽24に貯められている水はポンプ26によってボイラー16まで送られ、当該ボイラー16で加熱されて水蒸気になる。この水蒸気は電磁弁14bを経て圧力容器32に送り込まれる。このときの圧力容器32の内部は、還元反応を行なっている圧力容器18よりも低い温度(例えば250℃程度)の雰囲気に調整するのが反応を促進する点で望ましい。同じ温度下では水が水蒸気になると圧力が高まる。そのため、ボイラー16から供給される水蒸気は、圧力容器18と比べて高い圧力になり、圧力容器32内もこの圧力になる。還元され貯蔵された鉄と送り込まれてきた水蒸気とを接触させると、次に示す酸化反応式に従って酸化鉄と水素ガスとに分離される。
〔酸化反応式〕
3Fe+4H2O→4H2+Fe34
この工程における圧力容器32は、鉄を酸化鉄に酸化する点で酸化手段に相当する。酸化反応式に従って発生する水素ガスは、圧力容器32における圧力と同等の圧力となる。当該水素ガスは、電磁弁30bを経てディスペンサー34で行う充填により、燃料として燃料電池自動車36に供給される。
次に図3では、図中「(酸化)」で示すように圧力容器18で酸化反応を行い、同じく図中「(還元)」で示すように圧力容器32で還元反応を行う。そのため制御盤12は、電磁弁14a,20b,28b,30aを開け、電磁弁14b,20a,28a,30bを閉めるように制御する。供給源から供給される水素ガスは電磁弁28bを経て圧力容器32に送り込まれ、ボイラー16で加熱された水蒸気は電磁弁14aを経て圧力容器18に送り込まれる。図3では、圧力容器18と圧力容器32とでは図2の反応と入れ換えた反応が行われ、水素や水蒸気が通る配管の経路が異なるだけである。したがって、還元反応および酸化反応は図2と同様であるので説明を省略する。
上述した実施の形態によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
(1)還元手段(図2では圧力容器18,図3では圧力容器32)では、約350℃(第1温度)で水素ガス(水素)と酸化鉄(金属酸化物)とを反応させて鉄と水蒸気とに分離した〔第1工程〕。こうして還元された鉄は、圧力容器18,32内にそのまま貯蔵した〔第2工程〕。さらに酸化手段(図2では圧力容器32,図3では圧力容器18)では、約250℃(第2温度)で水蒸気と鉄とを反応させて水素と酸化鉄とに分離することで水素を製造した〔第3工程〕。したがって、従来のように水素を圧縮するための圧縮機を必要とせず、圧力容器18,32は水素と水蒸気の圧力に耐え得る程度の肉厚にして構成すればよいので、従来よりも低コストで実現することができる。
(2)還元反応を行うために圧力容器で発生する水蒸気の圧力と、酸化反応を行うためにボイラー16から送り込む水蒸気の圧力とでは、ポンプ26で水を昇圧し、ボイラー16で加熱する分だけ後者のほうが高い。こうすれば酸化反応によって発生する水素も高圧になるので、水素自体を圧縮する必要がない(もしくは少ない)。ポンプ26やボイラー16は、従来用いていた水素を圧縮するための圧縮機よりは圧縮の際に動力を必要としないので安価で済む。したがって、全体としてみれば従来よりも低コストで実現することができる。
(3)酸化還元反応で用いる鉄または酸化鉄はナノサイズ微粒子のものであるので、同じ重量の鉄と比べると全体の表面積が格段に大きい。鉄と水蒸気(水)との酸化還元反応は当該鉄の表面だけでなく、金属内部まで全て可能となるので、貯蔵できる水素や発生させる水素の容量も格段に大きくなる。一定容量の水素に対して必要な鉄の重量を少なくできるので、圧力容器18,32の容積をコンパクトにできる。
(4)鉄自体が安価で提供されているので、金属酸化物として酸化鉄を用いた。したがって、水素製造ステーション10全体のコストを安く抑えることができる。
〔他の実施の形態〕
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することが可能である。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
(1)上述した形態では、金属として鉄を適用した。この形態に代えて、他の金属を適用してもよい。例えば、アルファ鉄,ガンマ鉄,コバルト・マグネタイト鉄,超微粒子チタン,インジウム・錫(ITO),亜鉛,タングステン,電解二マンガンなどが該当する。他の金属を適用した場合であっても、還元反応および酸化反応を行わせることができる。また、水素を圧縮するための圧縮機を必要とせず、圧力容器18,32は金属が酸化されない程度で構成すれば足りる。そのため、従来よりもコストを低減したうえで、水素を製造することができる。
(2)上述した形態では、製造した水素を供給する対象として、燃料電池自動車36(すなわち水素を使用して動力を発生する車両)を適用した。この形態に代えて、水素を供給可能な対象物であれば、任意に適用できる。例えば、燃料電池鉄道車両や燃料電池船舶などの輸送用機器、化学プラントなどのように水素を資源として用いるプラント、水素ボンベなどが該当する。
(3)上述した形態では、水素製造ステーション10として二つの圧力容器18,32を備えた。この形態に代えて、貯蔵し供給する水素の容積に合わせて任意の数の圧力容器を備える構成としてもよい。この場合、制御盤12から電磁弁を制御することによって、使用する圧力容器の数を調整すれば、貯蔵し供給する水素の容積に見合う構成を弾力的に行うことが容易にできる。また、酸化反応と還元反応とをバッチ式で行う水素製造ステーションの場合では、一つの圧力容器のみを備える構成とすることができる。
(4)上述した形態では、還元反応を350℃程度で行い、酸化反応を250℃程度で行なった。この形態に代えて、反応媒体となる金属の材質によっては、酸化反応を行う温度(すなわち第2温度)が還元反応を行う温度(すなわち第1温度)とほぼ同じ温度か低い温度であれば、任意の温度で実現することができる。例えば、還元反応と酸化反応とを同じ温度(例えば250℃程度)で行うことも可能である。酸化還元温度が同じであれば、昇温や降温を行う必要がないので、そのための設備も必要としない。設備コストが安くなるので、水素の製造コストもさらに安くできる。
本発明の構成例を模式的に表すブロック図である。 水素ガスを貯蔵し供給する工程を説明する図である。 水素ガスを貯蔵し供給する工程を説明する図である。
符号の説明
10 水素製造ステーション(水素製造装置)
12 制御盤
14a,14b,20a,20b,28a,28b,30a,30b 電磁弁
16 ボイラー(加熱手段)
18,32 圧力容器(還元手段,酸化手段,貯蔵手段)
22 冷却器(冷却手段)
24 貯水槽
26 ポンプ
34 ディスペンサー(充填手段)
36 燃料電池自動車(水素を使用して動力を発生する車両)

Claims (5)

  1. 水素を製造する水素製造装置であって、
    水素と金属酸化物とを反応させて、金属と水蒸気とに分離する還元手段と、
    前記還元手段によって分離された金属を貯蔵する貯蔵手段と、
    水蒸気と前記貯蔵手段に貯蔵された金属とを反応させて、水素と金属酸化物とに分離する酸化手段とを有する水素製造装置。
  2. 請求項1に記載した水素製造装置であって、
    酸化手段は、還元手段で用いる水素よりも高圧の水蒸気を用いて金属と反応させるように構成した水素製造装置。
  3. 請求項1または2に記載した水素製造装置であって、
    金属または金属酸化物として、ナノサイズ微粒子のものを用いる水素製造装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載した水素製造装置であって、
    金属酸化物として酸化鉄を用いる水素製造装置。
  5. 水素を製造する水素製造方法であって、
    水素と金属酸化物とを反応させて金属と水とに分離し、
    分離された金属を貯蔵し、
    水蒸気と貯蔵された金属とを反応させて水素と金属酸化物とに分離する水素製造方法。
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