JP2005288472A - ハイブリッド加工装置の軸合せ方法及びハイブリッド加工装置 - Google Patents

ハイブリッド加工装置の軸合せ方法及びハイブリッド加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸とを容易に一致させることが可能なハイブリッド加工装置1を提供する。
【解決手段】 加工開始前に、レーザ光Lをウォータジェット流Wに透過させ、その際に発生するラマン散乱光の強度を測定手段27によって測定する。
そのように測定手段27によってラマン散乱光の強度を測定しながら、軸移動手段30によってウォータジェット流Wの軸心を水平面のXY方向に移動させるとともに軸心の傾きを調整する。そして、測定手段27によって測定したラマン散乱光の強度が最大となったら、そこでウォータジェット流Wの移動を停止させる。その位置がウォータジェット流Wとレーザ光Lの光軸が一致した位置となる。
【選択図】 図3

Description

本発明はハイブリッド加工装置の軸合せ方法およびハイブリッド加工装置に関し、より詳しくは、例えば液体流を被加工物に噴射するとともに液体流内を透過させてからレーザ光を被加工物に照射して所要の加工を行うハイブリッド加工装置の軸合せ方法およびハイブリッド加工装置に関する。
従来、被加工物に高圧の液体流を噴射するとともに上記液体流内を透過させたレーザ光を被加工物に照射して所要の切断加工を行うようにしたハイブリッド加工装置は知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
こうした従来のハイブリッド加工装置では、高圧の液体をノズルへ供給し、ノズルの先端開口部から高圧の液体流を被加工物へ噴射し、この液体流内でレーザ光を案内して被加工物まで導いて照射するようにしている。こうした従来の装置においては、加工開始前に上記ノズルから噴射される液体流の軸心とレーザ光の光軸とを一致させるようにしている。つまり、液体流の軸心とレーザ光の光軸とを一致させることによって、液体流内から外部へのレーザ光の漏れ量を最も少なくしてエネルギーの損失を抑えるようにしている。
特公平2−1621号公報。 特開2001−321977号公報。
ところで、上述した従来の加工装置では、液体流の軸心とレーザ光の光軸が一致しているかどうかを調べるために、防水処理したエネルギーモニタを設置していた。しかしながら、従来の装置では、液体流の軸心とレーザ光の光軸が一致しているか否かを正確に測定することができず、しかも切断加工中に液体流の軸心とレーザ光の光軸とが一致しているか否かを測定することができないという欠点があった。
さらに、従来のハイブリッド加工装置における液体流の径は50μm程度に設定されて非常に細いために、被加工物の加工中の温度変化や振動などによって液体流の軸心とレーザ光の光軸とがずれ易いという欠点もあった。
上述した事情に鑑み、第1の本発明は、被加工物に向けて高圧の液体流を噴射するとともに、上記液体流内にレーザ光を透過させてから被加工物に照射するようにしたハイブリッド加工装置において、
上記液体流内をレーザ光が透過する際に生じるラマン散乱光の強度を測定し、上記ラマン散乱光の強度の変化をもとにして上記液体流の軸心とレーザ光の光軸とを一致させるようにしたものである。
また、第2の本発明は、ノズルから被加工物に向けて高圧の液体流を噴射するとともに、上記液体流内にレーザ光を透過させてから被加工物に照射するようにしたハイブリッド加工装置において、
上記液体流内をレーザ光が透過する際に生じるラマン散乱光の強度を測定する測定手段と、上記液体流の軸心とレーザ光の光軸を相対移動させる軸移動手段を設け、上記測定手段によって測定するラマン散乱光の強度が最大となるように上記軸移動手段によって液体流の軸心とレーザ光の光軸を相対移動させて、液体流の軸心とレーザ光の光軸を一致させるようにしたものである。
上述した本発明によれば、ラマン散乱光の強度を測定することで、液体流の軸心とレーザ光の光軸とを容易に一致させることができる。
したがって、従来と比較して、液体流の軸心とレーザ光の軸心との位置合せが容易なハイブリッド加工装置の軸合せ方法およびハイブリッド加工装置を提供できる。
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図3において、1はハイブリッド加工装置1であり、ウォータジェット流(液体流)Wとレーザ光Lにより被加工物2を所要形状に切断加工することができる。
ハイブリッド加工装置1は、薄板状の被加工物2を載置する加工テーブル3と、レーザ光Lを発振するレーザ発振器4と、被加工物2に向けてウォータジェット流Wを噴射するとともにレーザ光Lを照射する加工ヘッド5と、高圧水を加工ヘッド5へ給送する図示しないポンプを備えている。
上記加工テーブル3上の被加工物2に対して加工ヘッド5に設けたノズル6からウォータジェット流Wを噴射すると同時に、ノズル6からのウォータジェット流W内を透過させたレーザ光Lを被加工物2に照射し、その状態において加工テーブル3と加工ヘッド5とを水平面におけるXY方向に相対移動させることで、被加工物2を所要形状に切断加工できるようになっている。
本実施例においては、レーザ発振器4として、YAGレーザあるいは半導体レーザを発振させるレーザ発振器を用いている。また、被加工物2としては、半導体ウエハを想定していが、セラミックや金属などにも本発明を適用できるものである。
加工ヘッド5は、段付円筒状に形成されてレーザ光Lを集光する集光レンズ7を設けた第1ホルダ8と、段付円筒状に形成されて下端部中央にノズル6を設けた第2ホルダ11とを備えている。
第1ホルダ8は、水平面における直交方向のXY方向に移動される可動ベース12に連結されて鉛直方向に支持されており、レーザ発振器4からレーザ光Lが発振されると、該レーザ光Lは図示しない反射鏡等を介して第1ホルダ8の集光レンズ7に導かれて集光されたのち、下方側のノズル6に向けて照射されるようになっている。なお、レーザ光Lの光軸に対して集光レンズ7の位置を調整できるように集光レンズ7を設けた第1ホルダ8を可動ベース12に対して昇降自在に取り付けても良いし、また可動ベース12に対して水平面におけるXY方向に移動できるようにしても良い。
一方、ノズル6を設けた第2ホルダ11は、後述する位置調整手段13が備える支持部材14により鉛直方向に支持されている。後に詳述するが、位置調整手段13によって第2ホルダ11をレーザ光Lと直交するXY方向に移動させることにより、上記第1ホルダ8の集光レンズ7によって集光されるレーザ光Lの光軸と第2ホルダ11に設けたノズル6から噴射されるウォータジェット流Wの軸心とを一致させることができるようになっている。
第2ホルダ11の内部空間は、その下方内周部に嵌着した透明なガラス窓15によって上下の2区画に区分してあり、このガラス窓15よりも下方側となる第2ホルダ11の内部空間を給液通路16としている。2本の導管17を介して図示しないポンプから給液通路16内に高圧水を給送できるようになっている。この給液通路16内にノズル6の上端部を位置させてあるので、給液通路16に高圧水が給送されると、ノズル6の下端開口部から下方側の被加工物2に向けてウォータジェット流Wが液柱状となって噴射されるようになっている。
第2ホルダ11における上方側の内部空間に上記集光レンズ7を保持した第1ホルダ8の下端部を挿入している。集光レンズ7によって集光されたレーザ光Lはガラス窓15、給液通路16及びノズル6内の水、およびノズル6から噴射されるウォータジェット流Wを透過して被加工物2に照射されるようになっている。その際、図3に示すように、レーザ光Lはノズル6の内面で反射してノズル6の下端開口部を通過した後、ノズル6から噴射されたウォータジェット流Wにおける円筒状の境界面(大気とウォータジェット流Wとの境界)で繰り返し反射されつつ下方側へ案内されてから被加工物2に照射されるようになっている。
第2ホルダ11の上端部には概略長方形のフランジ部11Aを形成してあり、このフランジ部11Aよりも下方側の外周部を、支持部材14の貫通孔14Aに僅かに遊びを持たせて貫通させている。
上記フランジ部11Aにおける対角となる一対の角部にナット部材18を埋設してあり、それらナット部材18に上方側から調整ねじ21を螺合貫通させて、該調整ねじ21の下端部を支持部材14の上面に載置している。また、フランジ部11Aにおける角部の一箇所の下面に半球状の突起11Bを形成し、その突起11Bを支持部材14の上面に載置している。このようにして、支持部材14に第2ホルダ11を鉛直方向に支持している。
そして、各調整ねじ21,21を正逆に所要量だけ回転させることで、上記突起11Bの位置を支点として第2ホルダ11およびそれに設けたノズル6の軸心の傾きを調整できるようになっている。本実施例では、ナット部材18、調整ねじ21、突起11Bによってノズル6の軸心の傾きを調整する傾き調整手段22を構成している。
本実施例では、傾き調整手段22と位置調整手段13とによって、レーザ光Lの軸心とウォータジェット流Wの軸心とを相対移動させる軸移動手段30を構成している。
次に、位置調整手段13は、可動ベース12にX方向と平行に設けた固定部23Aと可動部23BとからなるX方向調整部材23と、このX方向調整部材23の可動部23B上にL字状のブラケット10を介して取付けられ、Y方向と平行に設けた固定部24Aと可動部24BからなるY方向調整部材24と、このY方向調整部材24の可動部24Bに水平に連結された上記支持部材14とから構成している。
X方向調整部材23の固定部23Aから可動部23Bにわたってマイクロメータと同様のメモリ付きの調整ねじ25を設けている。この調整ねじ25を正逆に所要量だけ回転させることで、可動部23B、Y方向調整部材24、支持部材14を介して第2ホルダ11に設けたノズル6をX方向に移動させることができる。また、Y方向調整部材24の固定部24Aから可動部24Bにわたって上記調整ねじ25と同様の調整ねじ26を設けている。この調整ねじ26を正逆に所要量だけ回転させることで、可動部24Bと支持部材14を介して第2ホルダ11に設けたノズル6をY方向に移動させることができる。
本実施例においては、上記位置調整手段13によって、第2ホルダ11に設けたノズル6を集光レンズ7によって集光されるレーザ光Lに対してそれと直交するXY方向に位置を調整できるようになっている。また、上述したように第2ホルダ11に設けた傾き調整手段22によって第2ホルダ11に設けたノズル6の傾斜を微調整できるようになっている。
軸移動手段30を構成する上記位置調整手段13と傾き調整手段22によってノズル6のXY方向の位置と傾きを調整することで、集光レンズ7からノズル6に向けて照射されるレーザ光Lの光軸に対して、ノズル6から噴射されるウォータジェット流Wの軸心とを一致させることができるようになっている。
しかして、ハイブリッド加工装置1による加工を行う前に、ノズル6から下方へ噴射されるウォータジェット流Wの軸心と、それを透過させるレーザ光Lの光軸を一致させる必要がある。
そこで、本実施例においては、上記第2ホルダ11の下端部に測定手段27を設けてあり、ウォータジェット流Wをレーザ光Lが透過する際に生じるラマン散乱光の強度をウォータジェット流Wの側方から測定手段27によって測定し、それをもとにして上記軸移動手段30によってウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸を一致させるようにしている。
図1〜図3に示すように、測定手段27は、第2ホルダ11の下端部に環状の取付部材28を介して先端部31Aを固定して取り付けた光ファイバー31と、この光ファイバー31の他端31Bに接続したフォトダイオード32とから構成している。光ファイバー31の先端部31Aは、ノズル6から噴射されるウォータジェット流Wの噴射方向に対して直交方向に支持され、かつノズル6の下端部から先端部31Aまでの距離が変動しないように、取付部材28に固定されている。
また、光ファイバー31の他端部31Bの端面には、フィルター33を設けてあり、先端部31Aから光ファイバー31内に複数の種類の光が入射したとしても、上記他端部に設けたフィルター33によってラマン散乱光以外の光がフォトダイオード32に入射するのを阻止している。つまり、ラマン散乱光だけがフォトダイオード32に入射するようになっている。
ところで、「ラマン散乱」とは、透明媒質中を光が通過する際に、その光の波長に対し長波長側にずれた波長の散乱光がみられる現象のことであり、ラマン散乱時の散乱光が「ラマン散乱光」と称されている。「ラマン散乱」および「ラマン散乱光」については公知である。本実施例においては、ノズル6からウォータジェット流Wを噴射している状態において、該透明で高圧の液体流であるウォータジェット流Wに上方からレーザ光Lを透過させると、「ラマン散乱光」が生じる。
そして、本願の発明者が行った実験において、ウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸とをXY方向に相対移動させた場合には、上記軸心と光軸が一致すると、ウォータジェット流Wからのレーザ光Lの漏れ量が最小となった。また、そのようにレーザ光Lの漏れ量が最小となると、ラマン散乱光の強度が最大になることを確認したものである。
このような知見をもとにして、本実施例においては、ラマン散乱光の強度を上記測定手段27によって測定しながら、上記位置調整手段13および傾き調整手段22によってノズル6をレーザ光Lの光軸に対してXY方向に移動させ、かつ必要であればノズル6の傾きを調整するようにしている。
そして、測定手段27によって測定するラマン散乱光の強度が最大となるようにノズル6を移動させて、ノズル6を保持させる。そこが、ウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸が一致した位置であり、レーザ光Lがウォータジェット流Wの内部を通過する際の外部への漏れ量が最も少なく、被加工物2まで到達するレーザ光Lのエネルギーが最大となる位置である。
本実施例においては、以上のようにしてウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸を一致させるようにしてあり、その後に被加工物2に対してハイブリッド加工装置1により所要の切断加工を行うようにしている。
本実施例においては、ウォータジェット流Wの側方から非接触状態で測定手段27によってラマン散乱光の強度を測定するようにしているので、切断加工中においても上記測定手段27によってラマン散乱光の強度を測定することができる。そして、切断加工中にラマン散乱光の強度が加工開始前の強度よりも小さくなったら、ウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸とがずれているものと判定することができる。その際には、一旦切断加工を中断してから、軸移動手段30を構成する位置調整手段13や傾き調整手段22によりノズル6のXY方向の位置や傾きを調整することで、ウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸を一致させてから加工を再開するようにしている。
上述した本実施例によれば、ラマン散乱光の強度を測定することで、液体流としてのウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸とを容易に一致させることができる。したがって、従来と比較して、液体流としてのウォータジェット流の軸心とレーザ光Lの軸心との位置合せが容易なハイブリッド加工装置の軸合せ方法とハイブリッド加工装置1を提供できる。
なお、上記本実施例においては、透明媒質として水が好適であり、レーザ発振器4としては、YAGレーザあるいは半導体レーザを発振するものを用いているが、透明媒質としての水に吸収されにくい種類のレーザ光を発振できるレーザ発振器であれば良い。なお、COレーザは水に吸収されやすいので、本実施例のレーザ発振器としては、COレーザを発振させるレーザ発振器は不適である。
また、水以外の透明媒質と、その透明媒質に吸収されにくいレーザ光との組み合わせであっても良い。
また、上記実施例においては、測定手段27は1つだけ設けているが、測定手段27を複数設けて、それらの光ファイバ−31の先端部31Aを取付部材28の下面に円周方向に90度位置をずらして、すなわち相互に直交する位置に固定したり、あるいは鉛直方向に複数設けるようにしても良い。このように、測定手段27を複数設けることで、ウォータジェット流Wの軸心とレーザ光Lの光軸とを一致させる際の精度を高めることができる。
また、ノズル6を設けた第2ホルダ11を昇降できるようにしても良い。
なお、上述した実施例においては、被加工物2を切断加工することを想定しているが、ハイブリッド加工装置1は切断加工に限らずレジスト除去などの洗浄や表面処理にも適用できるものである。
本発明の一実施例を示す要部を断面で示した正面図。 図1に示したハイブリッド加工装置1の底面図。 図1に示したハイブリッド加工装置1の要部を示す概略の構成図。
符号の説明
1…ハイブリッド加工装置 2…被加工物
6…ノズル 7…集光レンズ
13…位置調整手段 22…傾き調整手段
27…測定手段 30…軸移動手段
W…ウォータジェット流 L…レーザ光

Claims (5)

  1. 被加工物に向けて高圧の液体流を噴射するとともに、上記液体流内にレーザ光を透過させてから被加工物に照射するようにしたハイブリッド加工装置において、
    上記液体流内をレーザ光が透過する際に生じるラマン散乱光の強度を測定し、上記ラマン散乱光の強度の変化をもとにして上記液体流の軸心とレーザ光の光軸とを一致させることを特徴とするハイブリッド加工装置の軸合せ方法。
  2. 上記ラマン散乱光の強度が最大になるように液体流とレーザ光とを相対移動させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド加工装置の軸合せ方法。
  3. ノズルから被加工物に向けて高圧の液体流を噴射するとともに、上記液体流内にレーザ光を透過させてから被加工物に照射するようにしたハイブリッド加工装置において、
    上記液体流内をレーザ光が透過する際に生じるラマン散乱光の強度を測定する測定手段と、上記液体流の軸心とレーザ光の光軸を相対移動させる軸移動手段を設け、上記測定手段によって測定するラマン散乱光の強度が最大となるように上記軸移動手段によって液体流の軸心とレーザ光の光軸を相対移動させて、液体流の軸心とレーザ光の光軸を一致させるようにしたことを特徴とするハイブリッド加工装置。
  4. 上記軸移動手段はレーザ光の光軸に対して液体流の軸心を交差する方向に相対移動させる位置調整手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド加工装置。
  5. 上記軸移動手段はレーザ光の光軸に対して液体流の軸心の傾きを調整する傾き調整手段を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のハイブリッド加工装置。
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