JP2005287547A - 接触式センサ及び接触式センサ実装の計測システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 薄く小型化できるとともに、部品点数及び製作工数の低減でコストダウンを図りやすいものでありながらも、所定の水分測定性能を確保できるようにする。
【解決手段】 絶縁性基板1の表裏両面のうち一方の面1a側に静電容量センサ用電極2が形成されているとともに、他方の面1b側に測定増幅回路3が形成され、これら静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とを絶縁性基板1の表裏方向に貫通して設けられた導電部材5を介して電気的に接続してモノリシックな一体化構造に構成している。
【選択図】 図1
【解決手段】 絶縁性基板1の表裏両面のうち一方の面1a側に静電容量センサ用電極2が形成されているとともに、他方の面1b側に測定増幅回路3が形成され、これら静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とを絶縁性基板1の表裏方向に貫通して設けられた導電部材5を介して電気的に接続してモノリシックな一体化構造に構成している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば上顎部や舌等の口腔内の水分を測定して健康状態の判定や歯のう蝕罹患リスクの評価等を行なう口腔内水分計や、口腔内に差し入れて歯や皮膚などのpHを測定するpHセンサ、あるいは、人体皮膚の水分量を測定して皮膚の湿潤度や皮膚炎の症状等を計測する皮膚水分計などに使用される接触式センサ及びその接触式センサを用いて人体各部位の生理医学的な各種パラメータを測定し表示すべく構成してなる接触式センサ実装の計測システムに関する。
この種の接触式センサとして、従来、セラミック基板の表面上にくし形の静電容量センサ用電極を形成する一方、これとは別個にセラミック基板の表面側に測定増幅回路を形成し、それら二枚のセラミック基板を貼り合わせてなる積層構造の水分測定用の接触式センサが一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、接触式センサ実装の計測システムとして、従来、診察者の指に装着可能なゴム手袋の指腹部分に接触式センサとして複数の線状歪ゲージを並設し、ゴム手袋を装着した診察者の指先を被験者の腕等の橈骨動脈に沿って押圧することにより脈診を行えるようにした脈波計測システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−266777号公報
特開平6−197873号公報
しかし、上記した従来の接触式センサにおいては、二枚のセラミック基板の表面に電極及び測定増幅回路を精度よく形成するために個々の基板それぞれが歪んだり変形しないような必要最低限の剛性を確保し、かつ、センサ容量に対して回路の影響がないようにしなければならないために、各基板の薄肉化には自ずと限界がある。それゆえに、二枚の基板を貼り合わせた積層構造の従来の接触式センサは、全体厚みが大きくて大型化しやすい。したがって、特に、狭隘な口腔内に差し入れて用いられる口腔内水分計等の接触式センサとしては実用上好ましくない。また、二枚の基板を準備し、それら二枚の基板それぞれに対して個別に電極及び測定増幅回路を形成し、かつ、それらの形成後に二枚の基板を貼り合わせるといった具合に、多くの部品点数、製作工数を必要としてコストアップの原因となり、衛生面や感染症予防等の見地から望まれる使い捨て使用の実用化が困難になるという問題があった。
また、上記した従来の接触式センサ実装の計測システムは、専ら脈波の診断に特化されたものであって、口腔内の水分測定やpH測定など生理医学的な各種パラメータの測定及びその測定結果に基づく健康状態の判定や歯のう蝕罹患リスクの評価等といった総合的診察に応用することができないものであった。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、薄くて小型化できるとともに、部品点数及び製作工数の低減によりコストダウンを図りやすいものでありながらも、所定の測定性能を確保することができる接触式センサと、シンプルな構成の接触式センサを用いながら、人の指先が持つ鋭い感覚を利用して生理医学的な各種パラメータを迅速かつ精度よく測定し総合的診察を容易に実現することができる接触式センサ実装の計測システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1(以下、第1発明という)に係る接触式センサは、絶縁性基板の表裏両面のうち一方の面側に化学量及び/又は物理量のセンシング部が形成されているとともに、他方の面側に測定増幅回路が形成され、これら化学量及び/又は物理量のセンシング部と測定増幅回路とが前記絶縁性基板の表裏方向に貫通して設けられた導電部材を介して電気的に接続されていることを特徴としている。
また、本発明の請求項2(以下、第2発明という) に係る接触式センサは、絶縁性基板の表裏両面のうち一方の面側に静電容量センシング部が形成されているとともに、他方の面側に測定増幅回路が形成され、これら静電容量センシング部と測定増幅回路とが前記絶縁性基板の表裏方向に貫通して設けられた導電部材を介して電気的に接続されていることを特徴としている。
さらに、本発明の請求項6(以下、第3発明という)に係る接触式センサ実装の計測システムは、手袋の指先部またはその指先部に被冠装着可能なサック状薄膜部材の先端の外面に生理医学的パラメータを測定する接触式センサが取り付けられているとともに、その接触式センサによる測定データを送信するデータ送信手段及びその送信データを演算処理して測定結果を表示する表示手段が別個に設けられていることを特徴としている。
上記のような特徴構成を有する第1,第2発明の接触式センサは、一枚の絶縁性基板の表裏両面に化学量及び/又は物理量のセンシング部または静電容量センシング部と測定増幅回路が形成されたモノリシックな一体化構造とされているので、センシング部及び測定増幅回路の形成時に必要な剛性並びにセンサ容量に対して回路の影響がない厚さの一枚の基板を用いてセンシング部及び測定増幅回路を精度よく形成して所定どおりの測定性能を確保できるものでありながらも、センサ全体の厚みは薄くして小型化を図ることができて、特に、口腔内水分測定やpH測定用センサとして有効に使用することができる。しかも、モノリシックな一体化構造とすることで、部品点数及び製作工数を低減してコストダウンを図りやすく、衛生面や感染症予防等の見地から望まれる使い捨て使用の実用化を促進することができるという効果を奏する。
また、上記のような特徴構成を有する第3発明の接触式センサ実装の計測システムによれば、医師などの診察者あるいは被験者が装着した手袋の指先部またはその手袋の指先部に被冠装着したサック状薄膜部材の先端に接触式センサが取り付けられているので、人の指先が本来持っている鋭い感覚を巧みに利用してセンサを適正圧力、適正角度で被験者の測定部位に押し当てることができる。したがって、センサを適正圧力、適正角度で測定部位に押し当てるようにするために別個に圧力センサ等を付設する必要がなく、接触式センサの構造をシンプルかつ小型化、低コスト化しやすいものとしながら、水分やpHなど生理医学的な各種パラメータを迅速手軽かつ精度よく測定することができるだけでなく、その生理医学的な各種パラメータの測定結果に基づいて健康状態の判定や歯のう蝕罹患リスクの評価等といった総合的診察を容易に実現することができる。加えて、手袋の使用によって感染症の予防効果がある上に、接触式センサ自体もシンプルかつ低コストであるから、衛生面や感染症予防等の見地から望まれるセンサ及び手袋の使い捨て使用を実現しやすいという効果を奏する。
前記第1,第2発明の接触式センサにおける絶縁性基板として、請求項3に記載のように、シリコンウエハまたはプラスチックフィルムを使用することが望ましい。シリコンウエハを使用する場合は、その片面に例えばリンを打ち込んでN型半導体領域を作り、その内部にCMOS技術でリングオシレータ等の測定増幅回路をシリコンウエハの厚さ範囲に作り込むことが可能であり、センサ厚みを一層薄くできる。また、センシング部と測定増幅回路との電気的な接続のための導電部材の設置に必要な貫通孔(コンタクトホール)の形成にエッチング技術を駆使することが可能であり、センサの製作効率の向上を図り、製作コストを一層低減することができる。一方、プラスチックフィルムを使用する場合は、その片面に有機高分子薄膜印刷技術等を用いて測定増幅回路を容易かつ高精度に形成することが可能であり、センサの製作効率を高めコストダウンを図ることができる。特に、プラスチックに形状記憶ポリマーを用いる場合は、予め測定部位の曲面に合わせた形状に成形して記憶させておき、一旦、平坦に伸ばして電極及び測定増幅回路を形成した後、元の記憶形状に戻すことによって、例えば口腔内上顎部等のような複雑な曲率を有する測定部位に対するフィット性に優れ、水分測定など所定の測定性能の一層の向上が図れるセンサを得ることができる。
また、前記第1,第2発明の接触式センサにおいて、請求項4に記載のように、測定増幅回路にプリント基板が接続され、絶縁性基板の側面部及び前記測定増幅回路とプリント基板との接続部の外周部を絶縁樹脂材料で封止(モールド)する構成とすることにより、化学物理量センサまたはセンサ用電極と測定増幅回路を接続する導電部材の浮遊容量が温度や湿度など周囲の環境によって変動することを抑えて測定性能を高めることができるとともに、センサ角部が測定部位やその周辺に当接することによる違和感や痛みを少なくすることができる。
さらに、前記第1,第2発明の接触式センサにおいて、請求項5に記載のように、化学量及び/又は物理量のセンシング部あるいは静電容量センシング部及び測定増幅回路が形成された絶縁性基板を、演算部・表示部などを有する測定装置本体回路部まで一体に延設する構成を採用することにより、薄いセンサ部と本体回路部とを介してシート状に一体化して水分計等の測定器全体の小型化及び低コスト化を達成でき、例えば口腔内上顎部等のような曲線の多い測定部位に対するフィット性に優れ、測定精度の向上が図れるばかりでなく、経済性からも使い捨て使用が可能となり、使いまわしによる不衛生さの解消及び感染症の予防効果等が得られる。
また、前記第3発明の接触式センサ実装の計測システムにける表示手段としては、接触式センサが取り付けられた手袋と隔離させた、例えば診察机上等に設置可能な卓上型とし、接触式センサによる測定データを無線式のデータ送信手段を用いてその卓上型表示手段に送信可能としてもよいが、請求項7に記載のように、表示手段を手袋装着者の手首の回転に対して動きの少ない部分または手首の回転に関係ない部分に装着可能に構成することにより、診察者あるいは被験者が接触式センサを測定部位に押し当てて生理医学的な各種パラメータの測定を行っている態勢のままで、その測定結果を即座に読み取って把握することが可能であり、したがって、所定の診断を効率よく行なうことができる。
さらに、前記第3発明の接触式センサ実装の計測システムにおいて、手袋の指先部にサック状薄膜部材を被冠装着して用いる場合、請求項8に記載のように、そのサック状薄膜部材に、手袋の指先部への被冠装着状態からの脱落防止リングを取り付けておくことにより、例えば口腔内の水分測定時等にサック状薄膜部材が手袋から脱落して被験者が呑み込むなどの不測事態の発生を防止し、測定の安全性確保を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は第1,第2発明の接触式センサの第1実施例として、口腔内水分計に使用される水分測定用センサAの断面構造図であり、この水分測定用センサAは、絶縁性基板の一例であるシリコンウエハ1の表裏両面のうち一方の面1a上に、静電容量センシング部として、くし型の静電容量センサ用電極2が形成されているとともに、他方の面1b側に測定増幅回路3が形成され、これらセンサ用電極2と測定増幅回路3とが、前記シリコンウエハ1をその表裏方向に貫通するコンタクトホール4内に形成されたアルミ配線(導電部材となる)5を介して電気的に接続され、かつ、測定増幅回路3にハンダパンプ6によりプリント基板7が接続され、シリコンウエハ1の側面部及び測定増幅回路3とプリント基板7との接続部の外周部を絶縁樹脂材料8で封止(モールド)して構成されている。
図1は第1,第2発明の接触式センサの第1実施例として、口腔内水分計に使用される水分測定用センサAの断面構造図であり、この水分測定用センサAは、絶縁性基板の一例であるシリコンウエハ1の表裏両面のうち一方の面1a上に、静電容量センシング部として、くし型の静電容量センサ用電極2が形成されているとともに、他方の面1b側に測定増幅回路3が形成され、これらセンサ用電極2と測定増幅回路3とが、前記シリコンウエハ1をその表裏方向に貫通するコンタクトホール4内に形成されたアルミ配線(導電部材となる)5を介して電気的に接続され、かつ、測定増幅回路3にハンダパンプ6によりプリント基板7が接続され、シリコンウエハ1の側面部及び測定増幅回路3とプリント基板7との接続部の外周部を絶縁樹脂材料8で封止(モールド)して構成されている。
図2の(a)〜(f)は、図1に示す構成の水分測定用センサAの製作プロセスの概要を示すものであり、以下、その製作プロセスを順記する。
(a)シリコンウエハ(比誘電率ε=12程度のものを用いる)1の一方の面1a上にSiO2 膜9を成膜する。このとき、センサ用電極2と測定増幅回路3とのコンタクト部分1cにはSiO2 膜を成膜しない。なお、SiO2 膜の成膜に代えて、SiO2 基板を使用し、センサ用電極2(図1参照)と測定増幅回路3とのコンタクト部分のSiO2 を切除してもよい。
(b)SiO2 膜9が成膜されていないコンタクト部分1cからシリコンウエハ1にボロン等を打ち込んでセンサ用電極2(図1参照)と測定増幅回路3とのコンタクト部分1cに対応するシリコンウエハ1部分にP+領域10を作製する。
(c)シリコンウエハ1の他方の面1b側に、例えばリンを打ち込んでN型半導体領域11を作り、そのN型半導体領域11の内部にCMOS技術により測定増幅回路3を作り込む。その測定増幅回路3としては、図3の(a)に示すような構成のリングオシレータ等の自励式発振回路であっても、図3の(b)に示すようにバッファアンプとRC分圧回路やLC共振回路などの他励式測定回路のいずれの測定方式を用いてもよい。
(a)シリコンウエハ(比誘電率ε=12程度のものを用いる)1の一方の面1a上にSiO2 膜9を成膜する。このとき、センサ用電極2と測定増幅回路3とのコンタクト部分1cにはSiO2 膜を成膜しない。なお、SiO2 膜の成膜に代えて、SiO2 基板を使用し、センサ用電極2(図1参照)と測定増幅回路3とのコンタクト部分のSiO2 を切除してもよい。
(b)SiO2 膜9が成膜されていないコンタクト部分1cからシリコンウエハ1にボロン等を打ち込んでセンサ用電極2(図1参照)と測定増幅回路3とのコンタクト部分1cに対応するシリコンウエハ1部分にP+領域10を作製する。
(c)シリコンウエハ1の他方の面1b側に、例えばリンを打ち込んでN型半導体領域11を作り、そのN型半導体領域11の内部にCMOS技術により測定増幅回路3を作り込む。その測定増幅回路3としては、図3の(a)に示すような構成のリングオシレータ等の自励式発振回路であっても、図3の(b)に示すようにバッファアンプとRC分圧回路やLC共振回路などの他励式測定回路のいずれの測定方式を用いてもよい。
(d)測定増幅回路3側のシリコンウエハ面1bに保護膜12を形成する。このとき、測定増幅回路3とセンサ用電極2とのコンタクト部分1dには保護膜を形成しないで、そのコンタクト部分1dに対応するシリコンウエハ1部分を、例えばKOHを用いて前述したP+領域10に達するまでエッチングすることにより、シリコンウエハ1にコンタクトホール4を形成する。
(e)シリコンウエハ1のコンタクト部分1dからコンタクトホール4にボロンを打ち込んでホール内周のエッチング面にアルミが蒸着しやすくなるようなP+領域13を作製する。また、SiO2 膜9上にCr+Auをスパッタメッキして、くし型の静電容量センサ用電極2を作製する。
(f)保護膜12(図2の(d)参照)を剥がし、アルミ配線パターンを作りコンタクトホール4及びシリコンウエハ1の回路側の面1bにアルミ蒸着することにより、静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とを電気的に接続するアルミ配線5を作製する。また、くし型静電容量センサ用電極2上面の全域にPMMA(ポリメチルメタクリレート)の保護膜14を被覆形成する。
(e)シリコンウエハ1のコンタクト部分1dからコンタクトホール4にボロンを打ち込んでホール内周のエッチング面にアルミが蒸着しやすくなるようなP+領域13を作製する。また、SiO2 膜9上にCr+Auをスパッタメッキして、くし型の静電容量センサ用電極2を作製する。
(f)保護膜12(図2の(d)参照)を剥がし、アルミ配線パターンを作りコンタクトホール4及びシリコンウエハ1の回路側の面1bにアルミ蒸着することにより、静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とを電気的に接続するアルミ配線5を作製する。また、くし型静電容量センサ用電極2上面の全域にPMMA(ポリメチルメタクリレート)の保護膜14を被覆形成する。
その後、測定増幅回路3にハンダパンプ6によりプリント基板7を接続し、シリコンウエハ1の側面部及び測定増幅回路3とプリント基板7との接続部の外周部を絶縁樹脂材料8で封止(モールド)することにより、図1に示すような水分測定用センサAの製作を完了する。
上述したようなプロセスを経て製作された第1実施例による水分測定用センサAは、一枚のシリコンウエハ1の表裏両面に静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とが形成されたモノリシックな一体化構造であるので、電極2及び測定増幅回路3の形成時にはシリコンウエハ1により必要な剛性が保たれ、かつ、センサ容量に対して回路の影響がないために、それら電極2及び測定増幅回路3を精度よく形成して所定どおりの水分測定性能を確保できる。それでいて、センサA全体の厚みは薄くて小型化となり、特に、口腔内水分測定用センサとして有効に使用することができる。加えて、モノリシックな一体化構造とすることで、部品点数及び製作工数の低減が図れてコストダウンを実現でき、衛生面や感染症予防等から望まれる使い捨てセンサの実用化の促進に寄与することができる。
さらに、絶縁性基板としてシリコンウエハ1を使用しているので、前述したとおり、一方の面1bに例えばリンを打ち込んでN型半導体領域を作り、その内部にCMOS技術でリングオシレータ等の測定増幅回路3を作り込むことが可能であり、センサ厚みを一層薄くできる。また、静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3との電気的な接続のためのアルミ配線5の形成に必要なコンタクトホール4をエッチング技術を駆使して形成することが可能であり、センサAの製作効率の向上を図ることができる。
図4は第1,第2発明の接触式センサの第2実施例として、口腔内水分計に使用される水分測定用センサBの断面構造図であり、この水分測定用センサBは、絶縁性基板として厚さが数100μm程度で可撓性のある高絶縁プラスチックフィルム1’を使用し、この高絶縁プラスチックフィルム1’の表裏両面のうち一方の面1a’上に、静電容量センシング部として、くし型の静電容量センサ用電極2が形成されているとともに、他方の面1b’上に測定増幅回路3が形成され、これら静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とが、前記プラスチックフィルム1’をその表裏方向に貫通するコンタクトホール4内に詰め込まれた導電部材5’を介して電気的に接続された構成である。なお、この第2実施例の水分測定用センサBにおいても、第1実施例のものと同様に、測定増幅回路3にハンダパンプによりプリント基板を接続し、プラスチックフィルム1’の側面部及び測定増幅回路3とプリント基板との接続部の外周部を絶縁樹脂材料で封止(モールド)して構成してもよいこともちろんであるが、それについての図示は省略する。
図5の(a)〜(e)は、図4に示す構成の水分測定用センサBの製作プロセスの概要を示すものであり、以下、その製作プロセスを順記する。
(a)高絶縁プラスチックフィルム1’の長手方向両側にコンタクトホール4を穿孔形成する。なお、プラスチックフィルム1’は100℃以下で熱可塑性を有し、かつ、吸湿性の低いことが望ましい。
(b)高絶縁プラスチックフィルム1’の一方の面1a’上に、Au等の金属を蒸着メッキする、あるいは、導電性高分子材料をプリントして、くし型の静電容量センサ用電極2を作製する。
(c)高絶縁プラスチックフィルム1’の他方の面1b’上に、有機高分子薄膜印刷技術等により測定増幅回路3を形成する。この測定増幅回路3は、第1実施例と同様に、図3の(a)に示すような構成のリングオシレータ等の自励式発振回路であっても、図3の(b)に示すようにバッファアンプとRC分圧回路やLC共振回路などの他励式測定回路のいずれの測定方式を用いてもよい。
(a)高絶縁プラスチックフィルム1’の長手方向両側にコンタクトホール4を穿孔形成する。なお、プラスチックフィルム1’は100℃以下で熱可塑性を有し、かつ、吸湿性の低いことが望ましい。
(b)高絶縁プラスチックフィルム1’の一方の面1a’上に、Au等の金属を蒸着メッキする、あるいは、導電性高分子材料をプリントして、くし型の静電容量センサ用電極2を作製する。
(c)高絶縁プラスチックフィルム1’の他方の面1b’上に、有機高分子薄膜印刷技術等により測定増幅回路3を形成する。この測定増幅回路3は、第1実施例と同様に、図3の(a)に示すような構成のリングオシレータ等の自励式発振回路であっても、図3の(b)に示すようにバッファアンプとRC分圧回路やLC共振回路などの他励式測定回路のいずれの測定方式を用いてもよい。
(d)高絶縁プラスチックフィルム1’に形成したコンタクトホール4内に有機導電性材料を詰め込んで測定増幅回路3とセンサ用電極2とを電気的に接続する導電部材5’を作製する。
(e)くし型静電容量センサ用電極2上の全域にPMMA(ポリメチルメタクリレート)の保護膜14を被覆形成する。
(e)くし型静電容量センサ用電極2上の全域にPMMA(ポリメチルメタクリレート)の保護膜14を被覆形成する。
以上のプロセスを経て製作された第2実施例による水分測定用センサBは、一枚の高絶縁プラスチックフィルム1’の表裏両面に静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とが作製されたモノリシックな一体化構造であるので、第1実施例の水分測定用センサAと同様に、電極2及び測定増幅回路3をそれぞれ精度よく形成して所定どおりの水分測定性能を確保できるものでありながら、センサB全体の厚みを薄くして小型化が可能であり、特に、口腔内水分測定用センサとして有効に使用することができる。加えて、モノリシックな一体化構造とすることで、部品点数及び製作工数の低減が図れてコストダウンを実現でき、衛生面や感染症予防等から望まれる使い捨てセンサの実用化の促進に寄与することができる。
また、絶縁性基板としてプラスチックフィルム1’を使用しているので、前述したとおり、有機高分子薄膜印刷技術等を用いて測定増幅回路3を容易かつ高精度に形成することが可能であり、センサの製作効率を高めコストダウンを図ることができるとともに、高性能、高品質のセンサBを得ることができる。
図6は第2実施例の水分測定用センサBの適用製品の一例であって、センサ部Bにおける測定増幅回路3の表面を適当な保護膜(図示省略)で被覆したうえ、水分測定時に測定部位への押し圧を測定するためのシート状圧力センサ15を重ね合わせる一方、絶縁用基板であるプラスチックフィルム1’を一側方へ一体に延設し、その延設されたプラスチックフィルム1’の他端部側に演算部、測定知表示部等からなる測定装置本体回路部16を作製し、この測定装置本体回路部16と測定増幅回路3とをプラスチックフィルム1’上に印刷した配線パターンを介して接続して口腔内水分計Cを構成したものである。
このように構成された口腔内水分計Cは、上述のとおり、薄いセンサ部Bと本体回路部16とを可撓性のあるプラスチックフィルム1’を介してシート状に一体化して製作することが可能で、口腔内水分計C全体の小型化及び低コスト化を達成できる。したがって、例えば上顎部等のような曲線の多い測定部位に対するフィット性に優れ、測定精度の向上が図れるばかりでなく、経済性からも使い捨てが可能となるため、使いまわしによる不衛生さの解消及び感染症の予防効果等が得られる。
図7及び図8は第2実施例の水分測定用センサBの適用製品の他の例であって、絶縁用基板であるプラスチックフィルム1’裏面でセンサ部Bに対応する箇所にセンサ駆動増幅部17を、かつ、センサ部Bから一側方へ一体に延設されたプラスチックフィルム1’の他端部側の表裏面に演算処理部18、測定値表示部19、及び給電・通信アンテナ付きICチップからなる外部インターフェイス回路20をそれぞれ、有機膜回路印刷技術で形成するとともに、それら各部B,18,19及び回路20をプラスチックフィルム1’への導電膜パターン印刷により電気的に接続し、さらに、前記センサ駆動増幅部17、演算処理部18及び外部インターフェイス回路20を保護する保護膜21をプラスチックフィルム1’の裏面側に被覆形成して口腔内水分計Cを構成したものである。なお、第一実施例の水分測定用センサAの適用製品として、図7及び図8に示す構成を採用してもよいこともちろんである。
このように構成された口腔内水分計Cは、図6に示すものと同様に、小型化及び優れた測定精度を有するものでありながらも、有機膜回路印刷技術の応用によって非常に低コストに製作でき、使い捨て使用による衛生効果及び感染症予防効果の促進に寄与することができる。
また、図6や図7,図8に示す口腔内水分計Cと同様な着想を、例えば口腔内が虫歯にかかりやすい状態にあるか否かを判断するためのpHセンシングシステムやイオン濃度センシングシステムなどに応用することにより、それらシステム全体を安価に構成して、使い捨て使用を可能とすることができる。
また、絶縁性基板としてのプラスチックフィルム1’に形状記憶ポリマーを用いて、予め測定部位の曲面に合わせた形状に成形し記憶させておき、一旦、平坦に伸ばして電極2及び測定増幅回路3を形成した後、元の記憶形状に戻すことによって、口腔内上顎部のような複雑な曲率を有する測定部位に対するフィット性を高め、所定の水分測定性能の一層の向上を達成可能なセンサを得ることができる。
さらに、上記第1、第2実施例では、口腔内水分計に使用される水分測定用センサについて説明したが、人体皮膚の水分量を測定して皮膚の湿潤度や皮膚炎の症状等を計測する皮膚水分計やpHなど化学量もしくは物理量または化学物理量の計測に使用される接触式センサに適用してもよいこともちろんである。
図9及び図10は第3発明の接触式センサ実装の計測システムの第1実施例としての口腔内水分計測システムS1の側面図及び平面図であり、この口腔内水分計測システムS1は、医師や看護師などの診察者あるいは被験者自身が装着する手袋22の指先部(図面上では人差し指で示すが、中指であってもよい)22aの先端の外面(背腹面)に生理医学的パラメータの一つである口腔内水分を測定する接触式センサ23が接着等により手袋22から外れないように取り付けられているとともに、手袋装着者の手首の回転に対して動きの少ない部分、具体的には上腕部に近い箇所に、前記接触式センサ23による測定水分データを演算処理する演算処理部(図示省略)及び演算処理された測定結果を表示する表示部24aを有する表示器(表示手段)24が離脱可能に装着され、かつ、この表示器24と前記接触式センサ23との間には、前記接触式センサ23による測定水分データを表示器24に送信するデータ送信手段として可撓性の配線25が配設されている。
このように構成された第1実施例の計測システムS1においては、診察者あるいは被験者が自分自身の効き手に手袋22を装着する一方、上腕部に近い箇所に表示器24を装着し、かつ、接触式センサ23が取り付けられている手袋22の指先部22aのみを立てた状態で、その指先部22aを被験者の口腔内に差し入れて接触式センサ23を指先の感覚で上顎部などの測定部位に適正圧力、適正角度に押し当てることにより、その測定部位の水分を精度よく測定することができる。
そして、接触式センサ23により測定された水分データは配線25を経て表示器24に送信され、受信した水分データの演算処理により求められた水分率が表示部24aに表示されるので、診察者あるいは被験者は接触式センサ23を被験者の測定部位に押し当てて所定の水分測定を継続する態勢のままで、上腕部に近い箇所に装着されている表示器24に表示された測定結果、すなわち、水分率を即座に読み取って把握することが可能であり、したがって、所定の診断を効率よく行なうことができる。
なお、第1実施例の計測システムS1に用いる接触式センサ23としては、図1または図4で示したように、絶縁性基板1,1’の表裏両面に静電容量センサ用電極2と測定増幅回路3とを形成して全体が薄く小型化されたセンサAまたはBを用いることが望ましいが、これ以外に積層構造のセンサを用いてもよい。
また、第1実施例の計測システムS1として、図7に示したような構成の口腔内水分計Cを手袋22の所定位置に貼付ける、あるいは、手袋22の製造時に作り込んでもよい。
図11は第3発明の接触式センサ実装の計測システムの第2実施例としての口腔内水分計測システムS2の側面図であり、この口腔内水分計測システムS2は、診察者あるいは被験者が装着する手袋22の指先部(図面上では人差し指で示すが、中指であってもよい)22aの先端の外面(背腹面)に生理医学的パラメータの一つである口腔内水分を測定する接触式センサ23が接着等により手袋22から外れないように取り付けられているとともに、測定水分データを演算処理する演算処理部(図示省略)及び演算処理された測定結果を表示する表示部24aを有する表示器(表示手段)24’を手袋22とは完全に隔離して例えば診察机上等に据置可能な卓上型に構成し、この卓上型表示器24’と接触式センサ23との間に亘るデータ送信手段として、手袋22側に受電・送信アンテナ付きICタグ26を、また、表示器24側に受信・給電アンテナ付きICタグ27を取り付けて送受電及び測定水分データの送受信を無線式に行えるように構成したものである。
このように構成された第2実施例の計測システムS2の場合は、第1実施例の計測システムS1に比べて、センシング装置(手袋22及び接触式センサ23からなる)がコンパクトかつ軽量となり、診断者あるいは被験者の使用時の操作負担を軽減できるとともに、システム全体としてのコストダウンを見込むことができる。
図12は第3発明の接触式センサ実装の計測システムの第3実施例としての口腔内水分計測システムS3の要部の側面図であり、この計測システムS3では、手袋22の指先部(人差し指、中指のいずれであってもよい)22aに被冠装着可能なサック状薄膜部材28を用いるもので、同図の(a)に示すように、このサック状薄膜部材28の先端の外面に受電・送信アンテナを一体に組み込んだ接触式センサ23を取り付ける、または、同図の(b)に示すように、サック状薄膜部材28の先端の外面に接触式センサ23を取り付けるとともに、この接触式センサ23からリード線29を延ばしてサック状薄膜部材28の基端寄り箇所に受電・送信アンテナ付きICタグ30を取り付けて既述した卓上型表示器24と接触式センサ23との間に亘る送受電及び測定水分データの送受信を無線式に行えるように構成したものである。
また、サック状薄膜部材28の基端開口部の周辺には、手袋22の指先部22aへの被冠装着状態での使用時に該薄膜部材28が手袋22の指先部22aからの不測に抜けて脱落しないようにするための脱落防止リング31が組込まれており、これによって、例えば口腔内の水分測定時等にサック状薄膜部材28が手袋22から脱落し、それを被験者が呑み込むなどの不測事態の発生を防止するようにしている。
なお、脱落防止リング31に代えて、バンドやクリップ、マジックテープ等を用いてサック状薄膜部材28を手袋22の指先部22aにしっかりと止め付けて使用するようにしてもよい。
このように接触式センサ23を取り付けたサック状薄膜部材28を手袋22の指先部22aに被冠装着して測定使用可能とした第3実施例の計測システムの場合は、通常から診断用として保有している手袋をそのまま使用して所定の測定が行えるだけでなく、感染症予防等にとって有利な使い捨て使用に際して、サック状薄膜部材28のみを交換すればよいので、大勢の被験者を次々と診断する医師等の診察者側の消費に伴うランニングコストを可及的に低減することが可能である。
なお、上記各実施例に示した計測システムは、口腔内の水分測定に適用したもので説明したが、pH測定やCa2+、PO4 3- 等の各種イオン濃度測定など種々の生理医学的パラメータの計測システムにも適用可能である。
1 シリコンウエハ(絶縁性基板の一例)
1’ 高絶縁プラスチックフィルム(絶縁性基板の他の例)
1a,1a’ 一方の面
1b,1b’ 他方の面
2 静電容量センサ用電極
3 測定増幅回路
5 アルミ配線(導電部材の一例)
5’ 導電部材
7 プリント基板
8 絶縁樹脂材料
16 測定装置本体回路部
22 手袋
22a 指先部
23 接触式センサ
24,24’ 表示器(表示手段)
25 配線(データ送信手段の一例)
26 受電・送信アンテナ付きICタグ(データ送信手段の一方の要素)
27 受信・送電アンテナ付きICタグ(データ送信手段の他方の要素)
28 サック状薄膜部材
A,B 水分測定用センサ
C 口腔内水分計
S1〜S3 接触式センサ実装の計測システム
1’ 高絶縁プラスチックフィルム(絶縁性基板の他の例)
1a,1a’ 一方の面
1b,1b’ 他方の面
2 静電容量センサ用電極
3 測定増幅回路
5 アルミ配線(導電部材の一例)
5’ 導電部材
7 プリント基板
8 絶縁樹脂材料
16 測定装置本体回路部
22 手袋
22a 指先部
23 接触式センサ
24,24’ 表示器(表示手段)
25 配線(データ送信手段の一例)
26 受電・送信アンテナ付きICタグ(データ送信手段の一方の要素)
27 受信・送電アンテナ付きICタグ(データ送信手段の他方の要素)
28 サック状薄膜部材
A,B 水分測定用センサ
C 口腔内水分計
S1〜S3 接触式センサ実装の計測システム
Claims (8)
- 絶縁性基板の表裏両面のうち一方の面側に化学量及び/又は物理量のセンシング部が形成されているとともに、他方の面側に測定増幅回路が形成され、これら化学量及び/又は物理量のセンシング部と測定増幅回路とが前記絶縁性基板の表裏方向に貫通して設けられた導電部材を介して電気的に接続されていることを特徴とする接触式センサ。
- 絶縁性基板の表裏両面のうち一方の面側に静電容量センシング部が形成されているとともに、他方の面側に測定増幅回路が形成され、これら静電容量センシング部と測定増幅回路とが前記絶縁性基板の表裏方向に貫通して設けられた導電部材を介して電気的に接続されていることを特徴とする接触式センサ。
- 絶縁性基板がシリコンウエハまたはプラスチックフィルムから構成されている請求項1または2に記載の接触式センサ。
- 測定増幅回路にはプリント基板が接続され、絶縁性基板の側面部及び前記測定増幅回路とプリント基板との接続部の外周部は絶縁樹脂材料で封止されている請求項1〜3のいずれかに記載の接触式センサ。
- 化学量及び/又は物理量のセンシング部または静電容量センシング部及び測定増幅回路が作製された絶縁性基板が、演算部・表示部などを有する測定装置本体回路部まで一体に延設されている請求項1〜4のいずれかに記載の接触式センサ。
- 手袋の指先部またはその指先部に被冠装着可能なサック状薄膜部材の先端の外面に生理医学的パラメータを測定する接触式センサが取り付けられているとともに、その接触式センサによる測定データを送信するデータ送信手段及びその送信データを演算処理して測定結果を表示する表示手段が別個に設けられていることを特徴とする接触式センサ実装の計測システム。
- 表示手段が手袋装着者の手首の回転に対して動きの少ない部分または手首の回転に関係ない部分に装着可能に構成されている請求項6に記載の接触式センサ実装の計測システム。
- サック状薄膜部材には、手袋の指先部への被冠装着状態からの脱落防止リングが取り付けられている請求項6または7に記載の接触式センサ実装の計測システム。
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JP2004102704A JP2005287547A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 接触式センサ及び接触式センサ実装の計測システム |
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Family Applications (1)
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