JP2005283823A - 電気光学装置、その駆動回路および駆動方法、ならびに電子機器 - Google Patents

電気光学装置、その駆動回路および駆動方法、ならびに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 定電圧駆動方式のもとでも所期の電流を自発光素子に精度よく流す。
【解決手段】 走査線駆動回路20は、複数の走査線11の各々を水平走査期間ごとに順次に選択する。データ線駆動回路30は、各水平走査期間において複数のデータ線13の各々にデータ電圧を印加する駆動回路330を有する。各駆動回路330は、各水平走査期間にてOLED素子15に実際に流れた電流と当該OLED素子の画像データDgに対応した電流I0との差分に基づいて第1補正値を特定する第1補正値設定回路U1を有し、画像データDgに対応した基本電圧を第1補正値に基づいて補正したデータ電圧をデータ線13に印加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機発光ダイオード素子(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode)素子」という)などの自発光素子を利用して画像を表示する電気光学装置、その駆動回路および駆動方法、ならびに電気光学装置を用いた電子機器に関する。
自発光素子を利用した電気光学装置の駆動方式として定電流駆動方式が従来から提案されている。この方式は、表示すべき階調に応じた電流を定電流源によって生成し、この電流をデータ線から各自発光素子に供給する方式である。しかしながら、電流駆動方式のもとでは、データ線に付随する寄生容量の充放電に時間を要するため、各自発光素子に供給される電流を表示階調に応じた目標値に到達させるためには比較的長い時間を確保しなければならない。このため、定電流駆動方式を採用した電気光学装置においてはフレームレートを向上させるのが困難であるという問題がある。
この問題を解決するための駆動方式として定電圧駆動方式がある。この方式は、例えば特許文献1に開示されているように、表示すべき階調に応じた電圧を定電圧源によって生成し、この電圧をデータ線に印加する方式である。定電圧駆動方式によれば、データ線の寄生容量に対する充放電は問題とならないから、定電流駆動方式と比較してフレームレートを容易に向上させ得るといった利点がある。
特開2001−13923号公報(段落0030および図1)
しかしながら、定電圧駆動方式においては、走査線やデータ線における電圧降下によって各自発光素子への印加電圧にばらつきが生じたり、温度の変化に応じて自発光素子の電気的特性(特に抵抗値)にばらつきが生じたりするため、定電流駆動方式と比較して、表示階調に応じた電流を精度よく各自発光素子に流すことが困難であるという問題がある。特にOLED素子などの自発光素子の輝度はこれに流れる電流に比例するから、各自発光素子への印加電圧のばらつきは表示ムラなど表示品位の低下の原因となる。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、定電圧駆動方式のもとでも所期の電流を自発光素子に精度よく流すことができる駆動回路および駆動方法、これを用いた電気光学装置、ならびに電子機器を提供することを解決課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る電気光学装置の駆動回路は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に配置された自発光素子を具備する電気光学装置に用いられ、複数の走査線の各々を水平走査期間ごとに順次に選択する選択手段と、各水平走査期間において複数のデータ線の各々にデータ電圧を印加する電圧供給手段とを具備し、電圧供給手段は、各自発光素子の表示階調を示す画像データに対応した基本電圧を特定する電圧設定手段と、各水平走査期間にて自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分に基づいて第1補正値を特定する第1補正値設定手段と、一の走査線に対応する自発光素子について電圧設定手段が特定した基本電圧を、当該一の走査線よりも前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について第1補正値設定手段が特定した第1補正値に基づいて補正し、この補正後の電圧をデータ電圧としてデータ線に印加する補正手段とを有することを特徴とする。なお、本発明における自発光素子の典型例は有機EL(ElectroLuminescent)や発光ポリマーなどのOLED素子であるが、他の種類の自発光素子も採用され得る。
この構成によれば、各自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分に基づいて第1補正値が特定される一方、一の走査線に対応する自発光素子について特定された基本電圧が、この走査線よりも前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正される。したがって、各自発光素子の電気的特性が変化したとしても、この特性の変化を補償して所期の電流を精度よく自発光素子に流すことができる。
本発明の望ましい態様において、記第1補正値設定手段は、自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分を求める減算手段と、この差分を自発光素子に実際に流れた電流によって除算して第1補正値を定める除算手段とを有する。この態様によれば、自発光素子に実際に流れた電流と画像データに対応した電流との差分が実際に流れた電流により除算されることによって第1補正値が規格化されるから、より適切に基本電圧を補正することができる。
ところで、複数の自発光素子が配列された表示領域内において各自発光素子の温度は連続的に分布すると考えられるから、各自発光素子について生成された基本電圧は、その自発光素子に近接する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正されることが望ましい。そこで、複数の走査線の各々がその配列の順番にて選択される構成を前提とすると、本発明の望ましい態様においては、補正手段が、一の走査線に対応する自発光素子について特定された基本電圧を、その走査線の直前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正する。
もっとも、例えば複数の走査線のうち特定の走査線(例えば複数の走査線の配列方向における端部にある走査線)については、その前に何れの走査線も選択されていない場合や、その直前に選択された走査線が離間しているために、これらの各走査線に属する自発光素子の電気的特性の相関性が低い場合もあり得る。そこで、より望ましい態様においては、複数の走査線のうち特定の走査線に対応した自発光素子について第1補正値を記憶する記憶手段が設けられる一方、補正手段は、複数の走査線のうち特定の走査線以外の各走査線に対応する自発光素子については第1補正値設定手段が特定した第1補正値に基づいて基本電圧を補正する一方、特定の走査線に対応する自発光素子については記憶手段に記憶された第1補正値に基づいて基本電圧を補正する。この態様において、選択手段が垂直走査期間ごとに複数の走査線の各々を所定の順番にて選択するのであれば、選択手段によって各垂直走査期間の最初に選択される走査線が特定の走査線とされることが望ましい。あるいは、選択手段が、複数の走査線の各々を選択する順番を、相前後する各垂直走査期間にて逆転させる構成とすれば、各垂直走査期間の境界においても、例えば温度の分布は順次に選択される各走査線について近似することとなるから、特定の走査線について第1補正値を記憶するための構成は不要となる。
さらに他の態様において、前記電圧供給手段は、前記データ線における電圧降下および前記走査線における電圧降下に応じた第2補正値を、前記走査線の抵抗値と前記データ線の抵抗値とに基づいて自発光素子ごとに特定する第2補正値設定手段を有し、補正手段は、電圧設定手段により特定された基本電圧を第1補正値と第2補正値設定手段により設定された第2補正値とに基づいて補正する。この態様においては、各自発光素子自体の特性の変化に加えて、走査線およびデータ線における電圧降下も補償されるから、より精度よく各自発光素子に所期の電流を流すことが可能となる。
また、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、走査線とデータ線との各交差に配置された自発光素子と、上述した各態様の駆動回路とを具備することを特徴とする。この電気光学装置によれば、定電圧駆動方式によりフレームレートを容易に向上させることができるとともに、自発光素子に対して所期の電流を精度よく供給することができる。本発明の電気光学装置は、各種の電子機器の表示装置として採用される。このような電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末、モニタ、デジタルスチルカメラ、ビューファインダ等がある。
なお、本発明は、電気光学装置を駆動するための方法としても特定され得る。この駆動方法は、複数の走査線の各々を水平走査期間ごとに順次に選択する一方、各自発光素子の表示階調を示す画像データに対応した基本電圧を特定し、各水平走査期間にて自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分に基づいて第1補正値を特定し、一の走査線に対応する自発光素子について特定された基本電圧を、当該一の走査線よりも前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正し、この補正後の電圧をデータ電圧としてデータ線に印加することを特徴とする。この方法によれば、上述した駆動回路と同様の理由により、定電圧駆動方式の採用によりフレームレートの向上に寄与するとともに、自発光素子に対して所期の電流を精度よく供給することが可能となる。
本発明における駆動方法においても、上記駆動回路について列挙した各態様が採用され得る。例えば、一の走査線に対応する自発光素子について特定された基本電圧が、当該一の走査線の直前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正される。また、各走査線を選択する順番と各自発光素子の特性の分布とを考慮すれば、複数の走査線のうち特定の走査線以外の各走査線に対応する自発光素子については特定された第1補正値により基本電圧が補正される一方、特定の走査線に対応する自発光素子については記憶手段に記憶された第1補正値により基本電圧が補正される。あるいは、各走査線を選択するときに、複数の走査線の各々を選択する順番を、相前後する各垂直走査期間にて逆転させる。
また、この駆動方法において、前記選択された走査線における電圧降下および前記データ線における電圧降下に対応した第2補正値を前記走査線の抵抗値と前記データ線の抵抗値とに基づいて自発光素子ごとに特定し、前記特定された基本電圧を前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて補正すれば、各自発光素子自体の特性の変化に加えて、走査線およびデータ線における電圧降下も補償することができる。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示されるように、電気光学装置1は、表示領域10、走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30を有する。このうち表示領域10には、X方向に延在する合計m本の走査線11と、X方向に直交するY方向に延在する合計n本のデータ線13とが形成されている(mおよびnはともに自然数)。各走査線11および各データ線13は帯状の電極であり、各々が相互に対向する部分にはOLED素子15が介挿されている。この構成のもと、データ線13はOLED素子15の陽極として機能し、走査線11はOLED素子15の陰極として機能する。このように、本実施形態に係る電気光学装置1は、各OLED素子15が画素として縦m行×横n列のマトリクス状に配列されたパッシブマトリクス方式の表示装置である。
走査線駆動回路20は、複数の走査線11の各々を順次に選択するための走査信号S1、S2、S3、…、Smを生成する手段である。図2に示されるように、これらの走査信号S1、S2、…、Smは、走査線11の配列の順番(すなわち第1行目から第m行目に向かう順番)にて水平走査期間(1H)ごとに順次に接地電位たる電圧Gndとされ、それ以外の期間においては電圧Vhに維持される。第i(iは1≦i≦mを満たす整数)行目の走査線11に供給される走査信号Siが電圧Gndになると、この走査線11が選択されたことを示す。例えば図1においては、第2行目の走査線11が選択された状態が示されている。第1行目から第m行目までの走査線11の選択は垂直走査期間(1F)ごとに繰り返される。
図1に示されるデータ線駆動回路30は、走査線駆動回路20が選択した走査線11に対応する1行分のOLED素子15の各々に対して画像データDgに応じた電圧(以下「データ電圧」という)のデータ信号D1、D2、…、Dnを供給する手段である。画像データDgは、各OLED素子15の階調(輝度)を指定するデータであり、図示しない上位装置からデータ線駆動回路30に供給される。本実施形態におけるデータ線駆動回路30は、走査線駆動回路20が選択した走査線11に対応する1行分(n個)の画素に対して一斉にデータ信号D1、D2、…、Dnを供給する線順次駆動を実行する。
このデータ線駆動回路30は、電流設定回路31と駆動回路群33とを有する。このうち電流設定回路31は、各OLED素子15に流されるべき電流値(以下「設定電流値」という)I0を画像データDgに基づいてOLED素子15ごとに特定する手段である。さらに、電流設定回路31は、各々が異なるデータ線13に対応する合計n個の第2補正値設定回路U2を有する。各第2補正値設定回路U2は、走査線11およびデータ線13における電圧降下に応じた第2補正値h2を特定する手段であるが、その詳細な構成については後述する。一方、駆動回路群33は、各々が異なるデータ線13に対応する合計n個の駆動回路330を含んでいる。各駆動回路330は、対応するデータ線13に対してデータ電圧を印加する手段である。
図3は、第j(jは1≦j≦nを満たす整数)列目の駆動回路330の構成を示すブロック図である。同図に示されるIVテーブル333は、設定電流値I0に対応した電圧値(以下「基本電圧値」という)V0を特定する手段である。さらに詳述すると、IVテーブル333は、画像データDgから特定される設定電流値I0とデータ線13に印加されるべき基本電圧値V0とが対応付けられたテーブルであり、電流設定回路31から供給される設定電流値I0に対応付けられた基本電圧値V0を出力する。第2補正値保持回路332は、前段に位置する第j列目の第2補正値設定回路U2によって特定された第2補正値h2を保持(ラッチ)する回路であり、1水平走査期間の周期を有する水平同期信号HSYNCに同期して第2補正値h2を出力する。
電流検出回路338は、データ電圧の印加に伴なってOLED素子15に実際に流れた電流の電流値(以下「検出電流値」という)Idを検出して出力する手段である。図4に示されるように、本実施形態におけるOLED素子15は、その発光に伴なって発生する熱や電気光学装置1が使用される環境の温度に応じて電気的特性(特に抵抗値)が変化する。すなわち、OLED素子15に対して所期の電流を流すために必要となる電圧(すなわちデータ電圧)は、このOLED素子15の温度が基準値たる室温である場合と、これよりも高い温度である場合とで相違する。図3に示される第1補正値設定回路U1は、このOLED素子15の特性の変化を補償するための第1補正値h1を特定する手段である。すなわち、第1補正値設定回路U1は、電流検出回路338から出力される検出電流値Idと電流設定回路31から出力される設定電流値I0との差分(すなわち所期の電流値に対する実際の電流値のずれ)に基づいて第1補正値h1を特定する。
補正回路335は、第1補正値設定回路U1によって設定された第1補正値h1と第2補正値保持回路332から出力された第2補正値h2とに基づいて、IVテーブル333が特定した基本電圧値V0を補正する手段である。さらに詳述すると、補正回路335は、第1補正値h1と第2補正値h2とを基本電圧値V0に加算することによって補正電圧値V1を算定する。補正回路335の後段にはトランジスタ337が配置されている。このトランジスタ337は、データ線13の一端と高位側電源Vddとの間に介挿されるとともにゲート電極が補正回路335の出力端に接続されたスイッチング素子であり、補正回路335が算定した補正電圧値V1に応じたデータ電圧を第j列目のデータ線13に印加する手段として機能する。走査線駆動回路20によって選択された走査線11に対応する第j列目のOLED素子15には、このトランジスタ337によってデータ線13に印加されたデータ電圧に応じた電流が流れる。上述した電流検出回路338は、このときの電流を検出して検出電流値Idを出力する。このように本実施形態においては、電流検出回路338が特定した検出電流値Idを第1補正値h1にフィードバックするループが構成されている。なお、図3に示されるトランジスタ337に代えて、補正電圧値V1に応じたデータ電圧をデータ線13に印加するボルテージフォロワ型のオペアンプを採用してもよい。
上述したように第1補正値h1はOLED素子15に実際に流れた電流の検出電流値Idと画像データDgから一意に特定される設定電流値I0との差分に基づいて算定されるから、第1補正値h1は温度変化に伴なうOLED素子15の電気的特性の変化を反映した数値となる。ここで、各OLED素子15の温度は表示領域10内にて連続的に分布すると考えられるから、各OLED素子15の温度はこれに近接する他のOLED素子15の温度と近似している。そこで、本実施形態においては、各水平走査期間にて各列のデータ線13に印加されるデータ電圧が、その水平走査期間の直前の水平走査期間における検出電流値Idから特定された第1補正値h1に基づいて補正されるようになっている。上述したように各走査線11は第1行目から第m列目に向かう順番に選択されるから、各OLED素子15に印加されるデータ電圧は、そのOLED素子15の上方に隣接するOLED素子15に実際に流れた検出電流値Idに基づいて補正される。
図5は、この補正を実現するための第1補正値設定回路U1の構成を示すブロック図である。同図に示される遅延回路511および512には水平同期信号HSYNCが供給される。このうち遅延回路511は、設定電流値I0を水平同期信号HSYNCの1周期である1水平走査期間だけ遅延させて出力する。同様に、遅延回路512は、検出電流値Idを1水平走査期間だけ遅延させて出力する。減算回路52は、遅延回路511から出力される設定電流値I0と遅延回路512から出力される検出電流値Idとの差分ΔI(=I0−Id)を水平同期信号HSYNCに同期して順次に算定する手段である。一方、除算回路53は、減算回路52によって算定された差分ΔIを遅延回路511から出力される設定電流値I0にて除算して第1補正値h1(=ΔI/I0)を算定する手段である。
ここで、第2行目から第m行目までの各OLED素子15が駆動されるときのデータ電圧はその1行前のOLED素子15の検出電流値Idによって適正に補正され得るが、各垂直走査期間の最初に選択される第1行目の各OLED素子15が駆動されるときのデータ電圧については同様の方法によって適正に補正されない場合がある。第1行目のOLED素子15とその直前の水平走査期間にて選択される第m行目のOLED素子15とは相互に離間しているため、第1行目のOLED素子15の電気的特性と第m行目のOLED素子15の電気的特性とが必ずしも近似しないからである。そこで、本実施形態においては、第1行目の第1補正値h1が初期値設定回路54によって特定されるようになっている。この初期値設定回路54は、第1行目の走査線11が選択される水平走査期間における検出電流値Idから減算回路52および除算回路53が特定した第1補正値h1を記憶する手段である。初期値設定回路54には、水平同期信号HSYNCと1垂直走査期間に相当する周期を有する垂直同期信号VSYNCとが入力される一方、除算回路53によって算定された第1補正値h1(第1行目から第m行目までの走査線が選択される各水平走査期間にて算定された第1補正値h1)が水平走査期間ごとに順次に入力される。初期値設定回路54は、垂直同期信号VSYNCによって示される1垂直走査期間のうち第2番目の水平走査期間において除算回路53から入力される第1補正値h1を記憶する。ここで記憶される第1補正値h1は、第1行目のOLED素子15の検出電流値Idに基づいて算定された補正値である。
一方、選択回路55は、除算回路53から出力される第1補正値h1と初期値設定回路54により設定される第1補正値h1との何れかを選択する手段である。すなわち、選択回路55は、垂直同期信号VSYNCと水平同期信号HSYNCとから特定される1垂直走査期間の最初の水平走査期間においては初期値設定回路54からの第1補正値h1を選択して出力する一方、それ以外の水平走査期間(第2行目から第m行目までの走査線11が選択される各水平走査期間)においては除算回路53から出力される第1補正値h1を選択して出力する。この構成によれば、第2行目から第m行目までの各行のOLED素子15を駆動するためのデータ電圧はその1行前のOLED素子15の検出電流値Idによって補正される一方、第1行目のOLED素子15に対応したデータ電圧は、その1垂直走査期間前に当該OLED素子15自身に実際に流れた検出電流値Idに基づいて補正されることとなる。
選択回路55の後段には、所定の周波数を下回る帯域成分のみを選択的に通過させるローパスフィルタ(LPF)561と、ローパスフィルタ561の出力信号の位相を調整する位相調整回路562と、位相調整回路562の出力信号のゲインを調整するゲイン調整回路563とが配置されている。これらの各回路は、検出電流値Idを第1補正値h1にフィードバックさせるループ系の動作を安定化させるための手段である。ゲイン調整回路563から出力された第1補正値h1は図3に示した補正回路335に供給される。なお、ローパスフィルタ561、位相調整回路562およびゲイン調整回路563の一部または全部は適宜に省略され得るまた、ローパスフィルタ561に積分器を付加してもよい。
図6は、表示領域10における行方向(Y方向)の温度分布と各行について算定される第1補正値h1との関係を示すグラフである。同図に示す各グラフにおいては走査線11の番号(すなわち行方向の位置)が各々の選択の順序に従って横軸に示されている。また、同図のうち上方のグラフにおいては各行の温度が縦軸に示され、下方のグラフにおいては各行について算定された第1補正値h1が縦軸に示されている。
いま、図6の上方のグラフに示されるように、第1行目の温度が最も低く、行方向に沿って下方に進むにつれて温度が上昇するとともに中央部よりもやや下方にて最も高い温度となり、そこから下方に進むにつれて温度が下降する場合を想定する。この場合、第1補正値h1は、理想的には図6の下方のグラフに破線で示された特性Tのように温度の分布に完全に追従するように変化することが望ましい。しかしながら、実際の第1補正値h1は、表示が開始された直後の垂直走査期間のうち第1番目の水平走査期間においてゼロであり、ここから時間が経過するに従って理想的な第1補正値h1に近づいていくことになる。一方、次の垂直走査期間の最初の水平走査期間においては、最初の垂直走査期間において算定されて初期値設定回路54に記憶された第1補正値h1が適用される。この第1補正値h1は、実際の温度のもとで算定された検出電流値Idに基づいて算定されたものであるから、同図に示されるように理想値に近い数値となる。
以上の第1補正値設定回路U1により、温度に応じたOLED素子15の電気的特性の変化は補償されるが、本実施形態においては、さらに走査線11およびデータ線13における電圧降下を補償するための第2補正値h2が第2補正値設定回路U2によって算定されるようになっている。この第2補正値設定回路U2の構成の説明に先立ち、走査線11およびデータ線13にて生じる電圧降下について検討する。
図7は、表示領域10の電気的な構成を示す等価回路図であり、図8は、第i行第j列のOLED素子15を図7から抽出した等価回路図である。これらの図においては、データ線13の抵抗を行ごとに区分した各々が抵抗Rd(抵抗値rd)とされ、走査線11の抵抗を列ごとに区分した各々が抵抗Rs(抵抗値rs)とされている。なお、図7および図8に示された各走査線11の最も左方に位置する抵抗Rsは、走査線11のうち走査線駆動回路20から表示領域10まで引き廻された部分(以下「引き廻し部分」という)の抵抗であるが、ここでは便宜的に表示領域10内の各抵抗Rsの抵抗値rsに等しいものとして取り扱う。また、これらの図に示された容量Cは、データ線13と走査線11との結合容量である。
本実施形態においては、データ線13に設定電流値I0が流れたと仮定したときにデータ線13および走査線11にて生じる電圧降下を予測し、これらの電圧降下が補償されるように基本電圧値V0に第2補正値h2が加算される。したがって、第2補正値h2が示す電圧値は、以下の式(1)に示されるように、データ線13における電圧降下と走査線11における電圧降下とを加算したものとなる。
(第2補正値h2が示す電圧値)=(データ線13における電圧降下)+(走査線11における電圧降下) ……(1)
ここで、上式(1)のうちデータ線13における電圧降下について検討する。図7および図8に示されるように、第j列目のデータ線13に設定電流値I0[j]の電流が流れるとすれば、この電流が第i行目のOLED素子15に到達するまでに通過する抵抗Rdの個数は、走査線11の番号に相当する「i」個である。したがって、上式(1)のうちデータ線13における電圧降下は、以下の式(2)によって表される。
(データ線13における電圧降下)=i×rd×I0[j] ……(2)
次に、第i行目の走査線11における電圧降下について検討する。図8に示されるように、各データ線13に流れる電流(電流値I0[1]、I0[2]、…、I0[n])は、OLED素子15および走査線11を経由して走査線駆動回路20における低位側電源Gndに流れ込む。このため、走査線11のうち引き廻し部分における抵抗Rs(図8の走査線11のうち左から第1番目に位置する抵抗Rs)には、第1列目から第n列目までの総てのデータ線13の電流が到達することになる。したがって、この抵抗Rsにおいては、第1列目から第n列目までの総てのデータ線13の電流値の総和(I0[1]+I0[2]+…+I0[n])と抵抗値rsとの乗算値に相当する電圧降下が生じる。次に、走査線11における左から第2番目の抵抗Rsには、第1列目を除く第2列目から第n列目までの各データ線13の電流が流れ込む。したがって、第2番目の抵抗Rsにおいては、第2列目から第n列目までのデータ線13の電流値の総和(I0[2]+I0[3]+…+I0[n])と抵抗値rsとの乗算値に相当する電圧降下が生じる。以後の抵抗Rsについても同様に考えると、上式(1)のうち走査線11における電圧降下は以下の式(3)によって表される。
(走査線11における電圧降下)=(I0[1]+I0[2]+…+I0[n])×rs+(I0[2]+I0[3]+…+I0[n])×rs+…+(I0[j]+…+I0[n])×rs ……(3)
以上の式(1)ないし(3)に基づく演算によって第2補正値h2を算定するために、本実施形態における各第2補正値設定回路U2は図9の構成を有する。同図に示される部分Aは、上式(3)に基づいて走査線11における電圧降下を算定するための部分であり、部分Bは、上式(2)に基づいてデータ線13における電圧降下を算定するための部分である。上式(1)に示したように、部分Aにより算定された電圧降下と部分Bにより算定された電圧降下とを加算回路581が加算することによって第2補正値h2が算定される。
部分Bのカウンタ611は、第2補正値h2の算定の対象となる走査線11の番号iを特定するための手段である。さらに詳述すると、カウンタ611は、水平同期信号HSYNCに同期して計数値(すなわち走査線11の番号)iをインクリメントする一方、この計数値iを垂直同期信号VSYNCに同期して各垂直走査期間の始点にてリセットする。メモリ612は、データ線13に付随する抵抗Rdの抵抗値rdを予め記憶する手段である。乗算回路613は、カウンタ611による計数値iと、メモリ612に記憶された抵抗値rdと、画像データDgから特定された第j列目の設定電流値I0[j]とを乗算し、この乗算により得られた数値を加算回路581に出力する。上式(2)に示したように、部分Bから出力される数値はデータ線13における電圧降下に相当する。
一方、部分Aの設定回路631は、各行に属するn個のOLED素子15の設定電流値I0の総和(I0[1]+I0[2]+…+I0[n])を算定する手段である。この総和(以下「電流積算値」という)は、画像データDgから算定される各OLED素子15の設定電流値I0を加算することによって各行ごとに得られる。この設定回路631によって算定された合計m行分の電流積算値のうち第2補正値h2の算定の対象となる行の電流積算値は水平走査期間の始点においてメモリ632に格納される。
減算回路633には、第2補正値h2の算定の対象となる行の第1列目から第n列目までの計n個の設定電流値I0がドットクロックDCKに同期して1水平走査期間内に順番に供給される。このドットクロックDCKは、1水平走査期間をn等分した時間長に相当する周期のクロック信号である。減算回路633は、こうして順次に供給される設定電流値I0をメモリ632に格納されている数値から減算し、この減算により得られた数値をメモリ632に上書きする。したがって、メモリ632に格納される数値は、水平走査期間の最初に電流積算値とされた後、この電流積算値からドットクロックDCKの1周期ごとに設定電流値I0だけ順次に減少していく。
メモリ634は、走査線11に付随する抵抗Rsの抵抗値rsを予め記憶する手段である。乗算回路635は、メモリ632からドットクロックDCKに同期して順次に出力される数値とメモリ634に記憶された抵抗値rsとを乗算して出力する。この乗算回路635から順次に出力される数値は、上述した式(3)に含まれる各項に相当する。累算回路636は、乗算回路635から順次に出力される数値のうち1水平走査期間の最初に出力される数値「(I0[1]+I0[2]+…+I0[n])×rs」から第j番目の数値「(I0[j]+…+I0[n])×rs」まで累積的に加算し、この累算値を出力する手段である。上式(3)に示したように、累算回路636から出力される累算値は走査線11における電圧降下に相当する。以上のようにして部分Aにより算定された電圧降下と部分Aにより算定された電圧降下とが加算回路581にて加算されることによって第2補正値h2が算定されるのである。各水平走査期間にて加算回路581から図3の第2補正値保持回路332に出力された第2補正値h2は、この次の水平走査期間にて補正回路335に出力される。
以上に説明したように、本実施形態においては、各OLED素子15の検出電流値Idと当該OLED素子15の設定電流値I0との差分に対応した第1補正値h1に基づいてデータ電圧が補正されるから、画像データDgによって指定される電流が精度よく各OLED素子15に供給される。したがって、温度変化に伴なう各OLED素子15の電気的特性の変化が補償されて良好な表示品位が実現される。しかも、本実施形態においては、第2行目から第m行目までの各OLED素子15を駆動するときのデータ電圧が、その上方に隣接するOLED素子15に実際に流れた検出電流値Idに基づいて補正されるから、各OLED素子15に供給される電流を各水平走査期間にてリアルタイムに補正することができる。また、温度変化を補償するとは言っても各OLED素子15の温度を検出する温度センサは不要であるから、温度センサによる検出結果に応じてデータ電圧を補正する構成と比較して構成の簡素化および製造コストの低減が図られる。
加えて、走査線11およびデータ線13における電圧降下が第2補正値h2により補償されるから、第1補正値h1のみによってデータ電圧を補正する構成と比較して、より高い精度で各OLED素子への電流を補正することができる。もっとも、走査線11やデータ線13が抵抗率の低い導電体によって形成された場合など、OLED素子15への印加電圧に対する電圧降下の影響が無視できるほど小さい場合には、第2補正値h2による補正を省略することも可能である。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置1について説明する。上記第1実施形態においては、図4に示したように、OLED素子15に所期の電流を流すための電圧値が温度変化に伴なって変化する(すなわち特性曲線が温度変化に伴なって電圧方向に移動する)場合を例示した。これに対し、本実施形態においては、図10に示されるように、OLED素子15に特定の電圧を印加したときに当該OLED素子15に流れる電流値が温度変化に伴なって変化する(すなわち特性曲線が温度変化に伴なって電流方向に移動する)場合を想定する。なお、本実施形態における電気光学装置のうち上記第1実施形態の電気光学装置1と同様の要素については共通の符号を付してその説明を適宜に省略する。
図11は、本実施形態における各駆動回路330の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、本実施形態の駆動回路330は、IVテーブル333と補正回路335との間に乗算回路339が介挿されるとともに、第1補正値設定回路U1によって算定された第1補正値h1が乗算回路339に入力される構成となっている。この乗算回路339は、第1補正値h1と基本電圧値V0とを乗算する手段である。換言すると、基本電圧値V0は、第1補正値h1が示す利得にて増幅されたうえで補正回路335に入力される。
図11に示される駆動回路330のうち第1補正値設定回路U1は、図5の構成に代えて図12に示す構成となる。図12に示される第1補正値設定回路U1のうち遅延回路511および512からゲイン調整回路563までの要素は図5に示した構成と共通するが、本実施形態における第1補正値設定回路U1においてはゲイン調整回路563の後段に加算回路581が配置されている。この加算回路581は、ゲイン調整回路563から出力された第1補正値h1に対してメモリ582に記憶された数値「1」を加算する手段である。この加算を行なうのは、乗算回路339における利得を、「1」を基準として変化させるためである。例えば、設定電流値I0と検出電流値Idとが一致する場合(すなわち第1補正値h1による補正が不要である場合)にはゲイン調整回路563から出力される第1補正値h1はゼロとなるが、これをそのまま乗算回路339に供給すれば基本電圧値V0がゼロに変換されて補正回路335に入力されることになる。これに対し、図12に示されるように加算回路581によって数値「1」が加算された第1補正値h1を乗算回路339に入力すれば、同様の場合に基本電圧値V0がそのままの数値を維持して乗算回路339から補正回路335に入力されるから、OLED素子15の特性を適正に反映させたデータ電圧がデータ線13に印加されることになる。
以上に説明したように、本実施形態においても、検出電流値Idと設定電流値I0との差分に対応した第1補正値h1に基づいてデータ電圧が補正されるから、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態においては、基本電圧値V0に対して第1補正値h1が乗算されるから、図10に示したようなOLED素子15の特性の変化を精度よく補償することができる。
<3.変形例>
上記各実施形態に対しては種々の変形が施される。具体的な変形の態様は以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上記各実施形態においては、垂直走査期間ごとに第1行目から第m行目に向かって各走査線11が選択される構成を例示したが、相前後する垂直走査期間において走査線11を選択する順序が逆転する構成も採用され得る。すなわち、図13に示されるように、ある垂直走査期間Faにおいては上記第1実施形態と同様に第1行目から第m行目に向かう順番(S1→S2→…→Sm)にて各走査信号Siが電圧Gndとされる一方、その直後の垂直走査期間Fbにおいては垂直走査期間Faとは逆に、第m行目から第1行目に向かう順番(Sm→Sm-1→…→S1)にて各走査信号Siが電圧Gndとされる。上記各実施形態においては、走査線駆動回路20による選択の対象が各垂直走査期間の境界において第m行目の走査線11から第1行目の走査線11に切り替わるときに温度分布が不連続となることを考慮して、第1行目の走査線11が選択されるときの第1補正値h1を初期値設定回路54により特定する構成を採用した。これに対し、本変形例においては、図14に示されるように、各垂直走査期間の境界においても温度分布が連続することになるから、上記各実施形態に示した初期値設定回路54および選択回路55は不要である。すなわち、本変形例においては、何れの走査線11が選択されているかに拘わらず、除算回路53から出力された第1補正値h1が補正回路335(第2実施形態においては乗算回路339)に出力される。
(2)上記各実施形態においては、各OLED素子15が駆動されるときのデータ電圧をその1行分だけ上方にあるOLED素子15が駆動されたときの検出電流値Idから算定される第1補正値h1に基づいて補正する構成を例示したが、第1補正値h1を算定するための基礎となる検出電流値Idはこれに限られない。例えば、各OLED素子15に対応する第1補正値h1が、その2行分だけ上方にあるOLED素子15が駆動されたときの検出電流値Idから算定される構成としてもよい。要するに、ある水平走査期間にて駆動される各OLED素子15に対応した第1補正値h1が、その水平走査期間からみて過去の水平走査期間にて他のOLED素子15が駆動されたときの検出電流値Idから算定される構成であれば足りる。ただし、第1補正値h1の算定の対象となるOLED素子15と検出電流値Idの対象となるOLED素子15との距離が離れるほど各OLED素子15の温度の相関性(換言すれば各OLED素子15の電気的特性の近似性)が低減していくから、より望ましくは上記各実施形態に示したように、各OLED素子15に対応する第1補正値h1がその直近に隣接するOLED素子15の検出電流値Idに基づいて算定される。
(3)上記各実施形態においては、走査線11のうち走査線駆動回路20から表示領域10に至るまでの引き廻し部分の抵抗値を便宜的に表示領域10内の抵抗値rsと等しいものと仮定したが、この部分の実際の抵抗値(あるいは実際の抵抗値の近似値)rs0を第2補正値h2に反映させる構成としてもよい。すなわち、図9におけるメモリ634に抵抗値rsと抵抗値rs0とを記憶しておき、各水平走査期間の始点においては抵抗値rs0が乗算回路635に読み出される一方、この始点からドットクロックDCKの1周期が経過した後には抵抗値rsが乗算回路635に読み出される構成としてもよい。この構成においては、部分Aから出力される数値(すなわち走査線11における電圧降下)が以下の式(3a)によって表されることになる。
(走査線11における電圧降下)=(I0[1]+I0[2]+…+I0[n])×rs0+(I0[2]+I0[3]+…+I0[n])×rs+…+(I0[j-1]+…+I0[n])×rs ……(3a)
この構成によれば、走査線11の引き廻し部分における電圧降下を忠実に反映させた第2補正値h2を算定することができる。
また、上記各実施形態においてはデータ線13のうちデータ線駆動回路30から表示領域10に至るまでの引き廻し部分の抵抗を省略したが、上記各実施形態や本変形例において走査線11の引き廻し部分について説明したのと同様の構成によって当該部分の抵抗値をデータ電圧の補正に反映させてもよい。すなわち、抵抗値rd(または引き廻し部分の抵抗値rd0)と設定電流値I0との乗算値を乗算回路613による出力値に加算する加算回路を図9の乗算回路613の後段に配置してもよい。この場合に部分Bから出力される数値(すなわちデータ線13における電圧降下)は以下の式(2a)または(2b)によって表される。
(データ線13における電圧降下)=rd×I0[j]+i×rd×I0[j] ……(2a)
(データ線13における電圧降下)=rd0×I0[j]+i×rd×I0[j] ……(2b)
(4)上記各実施形態においては、図6に示したように、表示が開始されてから最初の水平走査期間における第1補正値h1がゼロとされる構成を例示したが、第1補正値h1の初期値を予め初期値設定回路54に保持しておき、表示が開始されてから最初の水平走査期間においては当該初期値が加算回路581に出力される構成としてもよい。
(5)OLED素子以外の自発光素子を用いた電気光学装置にも本発明は適用され得る。例えば、熱陰極素子や冷陰極素子などの電子放出源と当該電子放出源から放出された電子が衝突する蛍光体とからなる自発光素子を用いて画像を表示する電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などの電気光学装置にも上記各実施形態と同様に本発明が適用され得る。
<4.応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を適用した電子機器について説明する。図15に、上記各実施形態に係る電気光学装置1を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置1と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この電気光学装置1はOLED素子15を用いるので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
図16に、上記各実施形態に係る電気光学装置1を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示ユニットとしての電気光学装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1に表示される画面がスクロールされる。
図17に、上記各実施形態に係る電気光学装置1を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示ユニットとしての電気光学装置1を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置1に表示される。
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図15から図17に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 走査線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。 データ線駆動回路の駆動回路の構成を示すブロック図である。 OLED素子の電気的特性が温度に応じて変化する様子を示すグラフである。 第1補正値設定回路の構成を示すブロック図である。 各行の温度の分布と第1補正値との関係を示すグラフである。 表示領域とその近傍の電気的構成を示す等価回路図である。 第i行第j列のOLED素子に関する電気的構成を示す等価回路図である。 第2補正値設定回路の構成を示すブロック図である。 第2実施形態におけるOLED素子の電気的特性を示すグラフである。 同実施形態における駆動回路の構成を示すブロック図である。 同実施形態における第1補正値設定回路の構成を示すブロック図である。 変形例における走査線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。 変形例における各行の温度の分布と第1補正値との関係を示すグラフである。 本発明を適用したパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。 本発明を適用した携帯情報端末の構成を示す斜視図である。
符号の説明
1……電気光学装置、11……走査線、13……データ線、15……OLED素子(自発光素子)、20……走査線駆動回路(選択手段)、30……データ線駆動回路(電圧供給手段)、U1……第1補正値設定回路(第1補正値設定手段)、U2……第2補正値設定回路(第2補正値設定手段)、330……駆動回路、332……第2補正値保持回路、333……IVテーブル(電圧設定手段)、335……補正回路(補正手段)、338……電流検出回路、511,512……遅延回路、52……減算回路(減算手段)、53……除算回路(除算手段)、54……初期値設定回路(記憶手段)、55……選択回路。

Claims (15)

  1. 複数の走査線と複数のデータ線との各交差に配置された自発光素子を具備する電気光学装置の駆動回路であって、
    前記複数の走査線の各々を水平走査期間ごとに順次に選択する選択手段と、
    各水平走査期間において前記複数のデータ線の各々にデータ電圧を印加する電圧供給手段とを具備し、
    前記電圧供給手段は、
    前記各自発光素子の表示階調を示す画像データに対応した基本電圧を特定する電圧設定手段と、
    各水平走査期間にて自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分に基づいて第1補正値を特定する第1補正値設定手段と、
    一の走査線に対応する自発光素子について前記電圧設定手段が特定した基本電圧を、当該一の走査線よりも前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について前記第1補正値設定手段が特定した第1補正値に基づいて補正し、この補正後の電圧を前記データ電圧として前記データ線に印加する補正手段と
    を有することを特徴とする電気光学装置の駆動回路。
  2. 前記第1補正値設定手段は、自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分を求める減算手段と、この差分を前記自発光素子に実際に流れた電流によって除算して前記第1補正値を定める除算手段とを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動回路。
  3. 前記補正手段は、一の走査線に対応する自発光素子について前記電圧設定手段が特定した基本電圧を、当該一の走査線の直前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動回路。
  4. 前記複数の走査線のうち特定の走査線に対応した自発光素子について第1補正値を記憶する記憶手段を具備し、
    前記補正手段は、前記複数の走査線のうち前記特定の走査線以外の各走査線に対応する自発光素子については前記第1補正値設定手段が特定した第1補正値に基づいて基本電圧を補正する一方、前記特定の走査線に対応する自発光素子については前記記憶手段に記憶された第1補正値に基づいて基本電圧を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
  5. 前記選択手段は、垂直走査期間ごとに前記複数の走査線の各々を所定の順番にて選択し、
    前記特定の走査線は、前記選択手段によって各垂直走査期間の最初に選択される走査線である
    ことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の駆動回路。
  6. 前記選択手段は、前記複数の走査線の各々を選択する順番を、相前後する各垂直走査期間にて逆転させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動回路。
  7. 前記電圧供給手段は、
    前記選択手段によって選択された前記データ線における電圧降下および前記走査線における電圧降下に応じた第2補正値を、前記走査線の抵抗値と前記データ線の抵抗値とに基づいて自発光素子ごとに特定する第2補正値設定手段を有し、
    前記補正手段は、前記電圧設定手段により特定された基本電圧を前記第1補正値と前記第2補正値設定手段により設定された第2補正値とに基づいて補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動回路。
  8. 前記自発光素子は有機発光ダイオードであることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の電気光学装置の駆動回路。
  9. 複数の走査線と、
    複数のデータ線と、
    前記複数の走査線と前記複数のデータ線との各交差に配置された自発光素子と、
    請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載した駆動回路と
    を具備することを特徴とする電気光学装置。
  10. 請求項9に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  11. 複数の走査線と複数のデータ線との各交差に配置された自発光素子を具備する電気光学装置の駆動方法であって、
    前記複数の走査線の各々を水平走査期間ごとに順次に選択する一方、
    前記各自発光素子の表示階調を示す画像データに対応した基本電圧を特定し、
    各水平走査期間にて自発光素子に実際に流れた電流と当該自発光素子の画像データに対応した電流との差分に基づいて第1補正値を特定し、
    一の走査線に対応する自発光素子について特定された基本電圧を、当該一の走査線よりも前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正し、この補正後の電圧をデータ電圧として前記データ線に印加する
    ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
  12. 一の走査線に対応する自発光素子について特定された基本電圧を、当該一の走査線の直前に選択された他の走査線に対応する自発光素子について特定された第1補正値に基づいて補正する
    ことを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の駆動方法。
  13. 前記複数の走査線のうち特定の走査線以外の各走査線に対応する自発光素子については前記特定された第1補正値により基本電圧を補正する一方、前記特定の走査線に対応する自発光素子については記憶手段に記憶された第1補正値により基本電圧を補正する
    ことを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の駆動方法。
  14. 前記各走査線を選択するときに、前記複数の走査線の各々を選択する順番を、相前後する各垂直走査期間にて逆転させる
    ことを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の駆動方法。
  15. 前記選択された走査線における電圧降下および前記データ線における電圧降下に対応した第2補正値を前記走査線の抵抗値と前記データ線の抵抗値とに基づいて自発光素子ごとに特定し、
    前記特定された基本電圧を前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて補正する
    ことを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の駆動方法。
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