JP2005283247A - センサ付き転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内輪6の肩部(被検出部)6bに所定方向に揃えられ、かつ転動体8の転がり荷重等に従って生じる歪みに応じて所定方向から変化する磁化容易軸Meを設ける。また、この肩部6bに対向配置されてその肩部6bを励磁する励磁面15b1を有する第1のヨーク部15bと、このヨーク部15bに巻回されるとともに、交流電源18bに接続された励磁用コイル16とを備えた励磁部と、上記肩部6bに対向配置される検出面15c1を有する第2のヨーク部15cと、このヨーク部15cに巻回されるとともに、電圧計18cに接続された検出用コイル17を具備し、肩部6bと励磁部とともに磁気回路Mを構成して当該磁気回路Mを流れる磁束を検出する検出部を設置する。
【選択図】 図2
Description
また、上記従来軸受装置では、周方向の異なる位置に設けられた複数の各スタッド、つまり軸受の軸方向周りの複数箇所に複数の荷重センサをそれぞれ設けていたので、センサの部品点数が多くそのコンパクト化を図るのが難しかった。
前記内外輪の一方の軌道輪側に設けられるとともに、歪みに応じて変化する磁化容易軸の磁化容易方向が所定方向に揃えられた被検出部と、前記被検出部に対向配置されてその被検出部を励磁する励磁面を備えた励磁部と、前記被検出部に対向配置される検出面を有し、かつ前記被検出部と前記励磁部とともに磁気回路を構成して当該磁気回路を流れる磁束を検出する検出部とを備えたことを特徴とするものである。
この場合、上記第1及び第2の検出面を通る磁束の差分を求めることにより、周囲温度の影響などを相殺することができ、上記動作データの検知精度をさらに向上させることができる。
この場合、軸受回転中において、上記第1及び第2の検出面を通る磁束の差分の変化量を最大限に大きくすることができ、外乱ノイズや周囲温度の変化の影響を受けることなく検出部を高感度にすることができる。
前記第1のヨーク部に、前記励磁部に含まれた励磁コイルを巻回するとともに、前記第2及び第3の各ヨーク部に、前記検出部に含まれた検出用コイルを巻回することが好ましい。
この場合、検出用コイルを検出器に接続し、かつ励磁コイルを電源に接続することにより、検出部と励磁部とを一体的にすることができ、センサ部品点数を削減することができるとともに、軸受装置への組付け作業を簡単化することができる。
この場合、内外輪と別個に構成された被検出部を用いているので、一方の軌道輪側に対し磁化容易軸の磁化容易方向を所定方向に揃える場合に比べて、当該被検出部を容易に設けることができる。
また、内輪6の肩部6bには、上記センサ装置3が対向して配置されており、後に詳述するように、当該内輪肩部6bはセンサ装置3の被検出部として機能するようになっている。
また、センサ装置3は、磁性部材15の第1及び第2のヨーク部15b,15cにそれぞれ巻回された励磁用コイル16及び検出用コイル17と、これらコイル16,17が接続されるとともに、軸受回転時での転がり荷重や回転数(回転速度)等の動作データを検出用コイル17の検出値を基に検知する制御装置18とを備えている。
また、上記検出用コイル17には、制御装置18側に設けられた検出器としての電圧計18cが接続されている。また、この検出用コイル17は、肩部6bの表面に対向配置された検出面15c1を先端部に有する上記第2のヨーク部15c内を流れる磁束(磁束密度)の変化によって誘起された誘起電圧が電圧計18cにて検出されるようになっている。すなわち、励磁用コイル16から磁束を発生させると、第2のヨーク部15cに磁束が流れ込む。そして、検出用コイル17では、ヨーク部15c内を流れる磁束変化に応じた電圧が誘起され、その誘起電圧が電圧計18cにて検出される。
また、センサ装置3では、磁性部材15の第1のヨーク部15bと、このヨーク部15bに設けられた励磁用コイル16と、このコイル16に接続された交流電源18bとにより、肩部(被検出部)6bに所定の(バイアス)磁界を与える励磁部が構成されている。また、この励磁部では、磁束密度の大きさや磁束変化速度が一定となる磁束を肩部6bに付与するようになっている。また、磁性部材15の第2のヨーク部15cと、このヨーク部15cに設けられた検出用コイル17と、このコイル17に接続された電圧計18cとにより、磁気回路Mを流れる磁束を検出する検出部が構成されている。
また、上記磁化容易軸Meは、ビラリ効果により、転がり軸受装置2に作用する荷重に従って生じる肩部6bの(内部)歪みに応じて磁化容易軸Meが傾くようになっている。具体的には、例えば図2(c)に示すように、検出面15c1と対向している箇所、すなわち転動体8が通過していない箇所と、励磁面15b1に対向している箇所、つまり転動体8が通過している箇所とでは、肩部6bの歪み量に差を生じている。この歪み量の差は、転がり軸受装置2に作用する荷重(転動体8の転がり荷重や当該装置2に外部から作用する車両のタイヤ接地荷重等の外的荷重を含む。)が大きくなる程、大きい値となる。一方、磁化容易軸Meの磁化容易方向は、上記軸方向に揃えられることにより、肩部6bが転がり軸受装置2にかかる荷重により生じる歪みの方向に対して鉛直方向に揃えられることから、ビラリ効果により、肩部6bの歪み量が大きい程、励磁による磁束は流れ易くなる。このように、磁化容易軸Meは、転動体8の軌道6a(図1)との接触点からの距離に応じてその方向(磁化容易方向)が変化するようになっており、この磁化容易軸Meの方向変化は、肩部6bの内部を通る磁束に対しては磁気抵抗の変化として作用する。これにより、内輪肩部6bでは、ビラリ効果によって磁性部材15に対向している当該肩部6bの内部、ひいては上記磁気回路Mでの磁束の流れ易さが、転動体8の転がり動作に応じて変化する。
図3(a)に示すように、内輪6が図の矢印R1方向へ回転すると、転動体8はその内輪軌道6a(図1)上を同図の矢印R2方向に公転(つれ回り)する。この図に示す状態では、肩部6bにおける磁気回路Mに含まれた部位と転動体8とが比較的離れていることから、肩部6bにおける磁気回路Mに含まれた部位の歪み量が比較的少ない。これにより、上記磁気回路Mに含まれる肩部6b内の磁化容易軸Meの方向変化が比較的少なく、当該磁気回路Mでの磁気抵抗も比較的大きい値となる。このため、磁気回路Mを流れる磁束が少なくなり、検出面15c1を通る磁束も比較的小さい値となる。この結果、図4に実線50にて示す電圧計18cでの検出値においても、同図の矢印Aで示す比較的小さい値となる。
また、図4において、実線50の周波数は、励磁用コイル16への印加交流電源の周波数と一致している。また、実線50(電圧計検出値)の包絡線(同図に点線にて図示)の周波数は、1個の転動体8の公転周波数と転動体数との乗算値に一致し、さらに上記点線の包絡線(同図に二点鎖線にて図示)は、センサ装置3が検出した荷重の変動周波数を示している。そして、二点鎖線にて示した包絡線の周波数は、点線にて示した包絡線のものより、一般的に小さいことから、周波数分析を行うことで荷重変動と、転がり軸受装置2の回転数変動とを区別して検出することができる。
これに対して、本実施形態では、磁化容易軸Meの方向変化に従って増減される磁束を検出する構成であるので、上記地磁気などの外乱ノイズの影響を防ぐために上記励磁部の磁束密度を例えば500ガウスと大きくすることができる。これにより、上記演算部18aにおいて、電圧計18cの検出値から外乱ノイズを分離する分離処理を不要とすることができ、動作データの検知処理を簡単化しつつ、当該動作データを高精度に検知することができる。
図5(a)に示すように、本実施形態では、センサ装置3の磁性部材25は、基部25aと、この基部25aの中央部、右側端部、及び左側端部からそれぞれ分岐された第1、第2、及び第3のヨーク部25b,25c,及び25dを有する三つ又状に構成された磁性材料により構成されている。この磁性部材25は、外輪4に形成された3つの取付孔4c,4d,4eに第1〜第3のヨーク部25b〜25dがそれぞれ挿通された状態で、当該磁性部材25は外輪4に固定されている。但し、外輪4と磁性部材25との間には、アルミなどの非磁性材料(図示せず)が介在されており、磁気回路Mに含まれた磁性部材25が外輪4に直接接触するのを防いで当該磁気回路Mが変更されるのを防止するようになっている。
また、この図5(c)に示す場合でも、磁気回路M1,M2での磁気抵抗が同一であることから、検出面25c1,25d1に流れ込む磁束及び電圧計18c,18dの検出値も同じ値を示す。
以上の構成により、本実施形態では、上記実施形態と同様に、ビラリ効果を利用した上記動作データの検知が可能となって第1及び第2の検出部の各感度を高めることなく動作データを検知することができ、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
また、上記の説明では、内輪全体に磁化容易軸の磁化容易方向を揃えた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、磁化容易方向を所定方向に揃えた磁化容易軸を有する超磁歪部材を内外輪のいずれかの軌道輪の表面上に溶射または接合などにより、例えば被検出部と同調するような歪みを発生するように設ける構成でもよい。この超磁歪部材には、アモルファス磁性合金(結晶磁気異方性を有するものを含む。(例えばCo;72.5重量%、Si;12.5重量%、B;15重量%))や超磁歪材(例えば、Tb−Dy−Fe系超磁歪材)がある。また、このような内外輪と別個に構成された被検出部を用いた場合、一方の軌道輪側に磁化容易軸の磁化容易方向を所定方向に揃える場合に比べて、当該被検出部を容易に設置できる点で好ましい。
2 転がり軸受装置
3 センサ装置
4 外輪
6 内輪
6b 肩部(被検出部)
8 転動体
15,25 磁性部材(励磁部及び検出部)
15b,25b 第1のヨーク部(励磁部)
15b1,25b1 励磁面
15c,25c 第2のヨーク部(検出部)
15c1,25c1 検出面,第1の検出面
25d 第3のヨーク部(検出部)
25d1 第2の検出面
16 励磁用コイル(励磁部)
17 検出用コイル(検出部)
18 制御装置(検出部)
18a 演算部(励磁部及び検出部)
18b 交流電源(励磁部)
18c,18d 電圧計(検出部)
M,M1,M2 磁気回路
Claims (5)
- 内輪及び外輪と、これらの内外輪間に周方向に沿って所定間隔で転動自在に設けられた複数の転動体とを備えた軸受を有する転がり軸受装置であって、
前記内外輪の一方の軌道輪側に設けられるとともに、歪みに応じて変化する磁化容易軸の磁化容易方向が所定方向に揃えられた被検出部と、
前記被検出部に対向配置されてその被検出部を励磁する励磁面を備えた励磁部と、
前記被検出部に対向配置される検出面を有し、かつ前記被検出部と前記励磁部とともに磁気回路を構成して当該磁気回路を流れる磁束を検出する検出部と
を備えたことを特徴とするセンサ付き転がり軸受装置。 - 前記検出部には、前記励磁面に対して前記周方向で互いに対称位置に配置されるように、当該周方向での前記励磁面との離間距離が同一距離に設定された第1及び第2の検出面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付き転がり軸受装置。
- 前記励磁面と前記第1及び第2の各検出面との前記離間距離が、前記転動体での前記所定間隔の半分の距離に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサ付き転がり軸受装置。
- 基部と、この基部の中央部、右側端部、及び左側端部からそれぞれ分岐されるとともに、先端部に前記励磁面、前記第1の検出面、及び前記第2の検出面がそれぞれ形成された第1、第2、及び第3のヨーク部とを有する磁性部材を備え、
前記第1のヨーク部に、前記励磁部に含まれた励磁コイルを巻回するとともに、
前記第2及び第3の各ヨーク部に、前記検出部に含まれた検出用コイルを巻回したことを特徴とする請求項2または3に記載のセンサ付き転がり軸受装置。 - 前記被検出部が、前記軌道輪の表面上に設けられた超磁歪部材により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ付き転がり軸受装置。
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