JP2005282785A - 配管導設路に敷設した配管の固定構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】トンネル内に敷設する低温配管の下部に設けたアンカー構造体を基礎コンクリートで支持する構造では、アンカー構造体に大きな曲げモーメントが作用するためアンカー構造体と基礎コンクリートとが大型化し、地震力もアンカー構造体から低温配管に作用し、低温配管やトンネル内面のセグメントも損傷しやすい。
【解決手段】立坑内2で低温配管3の軸力を伝達可能に低温配管3の外周に固定された環状支持部材11を設け、環状支持部材11の両側に低温配管と直交状に少なくとも1対のサポート部材12を設け、それらサポート部材12の低温配管側の基端部を環状支持部材11に固着し、これら1対のサポート部材12により環状支持部材11から伝達される低温配管3の軸力を支持可能に構成した。
【選択図】 図2

Description

本発明は、配管導設路に敷設した配管の固定構造に関し、特に配管(例えば低温配管)に作用する熱収縮と地震力に起因する軸力を配管導設路の端部において配管導設路付随構造物で支持するように構成したものに関する。
従来、LNGやLPG等の低温流体を流す低温配管を地上やトンネル内に敷設する場合に、低温配管に発生する熱収縮を吸収する為のループ管を適当間隔おきに設けるのが一般的である。前記ループ管を設ける場合には、低温配管の設置スペースが大きくなり、建設費の増大を招く。そこで、最近では、ループ管を省略する為に、ステンレス鋼の熱膨張係数の約1/8〜1/10の大きさの熱膨張係数を有する36%ニッケル鋼などの低温用鋼からなる低温配管が採用され始めた。
ここで、前記36%ニッケル鋼の低温配管をループ管なしに敷設する場合、低温配管の熱収縮と地震力に起因する大きな軸力が低温配管に発生するため、低温配管の複数個所を地面側の基礎構造に強固に固定する固定サポート構造が必要である。例えば、図8、図9に示すように、シールドトンネル101内に敷設する断熱材102で被われた低温配管103の為の従来の一般的な固定サポート構造100は、低温配管103の長さ方向に適当間隔おきに設けられる。この固定サポート構造100においては、低温配管103にその軸力を伝達可能に固定された環状支持部材104と、この環状支持部材104の下部に連結される鋼製又はステンレス製のアンカー構造体105と、このアンカー構造体105をシールドトンネル101のセグメント107に連結するためにトンネル101の底部に設けられた大型の基礎コンクリート106(インバートコンクリートという)とが設けられる。
この固定サポート構造100においては、低温配管103に作用する熱収縮と地震力に起因する軸力によりアンカー構造体105に大きな曲げモーメントが作用し、低温配管103にも曲げモーメントが作用する。基礎コンクリート106はトンネル内面のセグメント107に強固に連結するのが難しいため、アンカー構造体105の数倍の長さの大型の大重量のものとして構成される。
なお、特許文献1には、加圧ガスを輸送する為にシールドトンネル内に敷設された導管を立坑の底部に固定する固定点アンカー構造(固定サポート構造)が開示されている。このアンカー構造では、鋼製のアンカー構造体(杭体)と基礎コンクリートとの密着性を高める為に、アンカー構造体に多数のスタッドジベルを植設してある。
特許第2904777号公報
従来の低温配管用の固定サポート構造においては、アンカー構造体の頂部に低温配管が連結され、低温配管の軸力(数10〜数100ton)により片持ち支持のアンカー構造体に大きな曲げモーメントが作用するため、アンカー構造体の強度・剛性を高める必要から大型のアンカー構造体が必要であり、基礎コンクリートもセグメントと強固に連結するのが難しいため大型の大重量ものが必要であり、固定サポート構造の建設費も高価になっていた。しかも、大型の固定サポート構造を設ける関係上トンネル径を最小化することが難しく、点検要員等のトンネル内の通行の邪魔にもなっていた。
通常の使用状態においても、低温配管の熱収縮に起因する軸力により曲げモーメンが作用しやすく好ましくない。地震発生時には、固定サポート構造から低温配管の下半部に集中的に大きな地震力やこの地震力に起因する曲げモーメントが作用して低温配管が損傷しやすく、低温配管と基礎コンクリートから作用する地震力によりトンネル内面のセグメントも損傷しやすい、などの問題がある。
本発明の目的は、配管導設路を小径化可能で、簡単な構造で、安価に製作可能で、地震力による被害を低減可能な配管導設路に敷設した配管の固定構造を提供することである。
請求項1の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、トンネル等の配管導設路内に導設された配管を配管導設路の端部に固定支持する固定構造において、前記配管導設路の端部において配管の軸力を伝達可能に配管の外周に固定された環状支持部材と、前記配管の軸心を挟んで環状支持部材の両側に配管と直交状に配設されて配管側の基端部が環状支持部材に固着され、環状支持部材から伝達される配管の軸力を支持可能な少なくとも1対のサポート部材と、前記少なくとも1対のサポート部材を受け止めて前記軸力を支持可能に配管導設路の端部の配管導設路付随構造物に設けられ且つ配管の軸心と直交する面とほぼ平行な荷重支持面とを備えたことを特徴とするものである。
配管を敷設する配管導設路の端部には、配管が低温配管であるような場合には、配管が熱収縮して配管をトンネルの奥方へ引っ張る軸力が発生する。その軸力は、固定支持部材から少なくとも1対のサポート部材に伝達され、その少なくとも1対のサポート部材は配管の軸心と直交する面と平行な荷重支持面で受け止められる。
この配管の固定構造においては、少なくとも1対のサポート部材を介して軸力を支持するため、1つのサポート部材で分担する軸力は小さくなり、サポート部材の長さも極力短く形成できるため、サポート部材には大きな曲げモーメントが作用することはないから、サポート部材の小型化と軽量化を図ることができ、基礎コンクリートを省略できる。
配管導設路がシールドトンネルである場合、シールドトンネル内面を覆工するセグメントはトンネル構築の際に、軸方向へ押圧しながら組み付けられるもので、軸方向の圧縮強度に優れるため、荷重支持面をセグメントの端面に形成してもよく、配管導設路の端部の坑壁は土水圧に耐えるだけの十分な強度を有するものであるから、荷重支持面を配管導設路の端部の坑壁に形成してもよい。地震力が作用するとしても、その地震力が少なくとも1対のサポート部材から環状支持部材に伝達されるため、配管の損傷を防止する上で有利である。
請求項2の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1の発明において、前記配管導設路付随構造物がセグメントであり、このセグメントの端面に前記荷重支持面を形成したことを特徴とする。セグメントは軸方向の圧縮強度に優れる構造物であるため、配管導設路の端部に臨むセグメントの端面に荷重支持面を形成し、この荷重支持面でもって配管から作用する軸力を支持することができる。
請求項3の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1の発明において、前記配管導設路付属構造物が配管導設路の端部の坑壁であり、この坑壁に前記荷重支持面を形成したことを特徴とする。配管導設路の端部の坑壁は土水圧に耐えるだけの強度を有するものであるから、配管導設路の端部の坑壁に形成した荷重支持面により配管に作用する軸力を支持することができる。
請求項4の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記1対のサポート部材は、鉛直方向向きに配設されたことを特徴とするものである。そのため、配管導設路の端部に臨む配管導設路の入り口付近に1対のサポート部材を配置する場合にも、配管導設路の入り口の通行スペースの邪魔になることがない。
請求項5の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項3の発明において、前記配管導設路の端部の坑壁に平面視にて門形の荷重支持部材を固定し、この荷重支持部材により前記サポート部材を支持することを特徴とする。1つのサポート部材を受け止める配管導設路の端部の坑壁の荷重支持面が2カ所になるため、荷重支持面の面圧を小さくすることができる。
請求項6の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1〜5の何れかの発明において、前記配管が低温流体を流す低温配管であることを特徴とする。低温配管の場合、熱収縮により配管に作用する軸力が大きくなるので、この配管の固定構造によるメリットが大きくなる。
請求項7の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記配管導設路がカルバートであることを特徴とする。陸上においては、配管をカルバート内に配設する場合が多いが、この場合にも本発明の配管固定構造を採用可能である。
請求項8の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記配管導設路がシールドトンネルであり、このトンネルがシールド用セグメントで構成されたことを特徴とする。地中においては、配管をトンネル内に配設する場合が多いが、この場合にも本発明の配管の固定構造を採用可能である。
請求項9の配管導設路に敷設した配管の固定構造は、請求項1〜8の何れかの発明において、前記配管導設路の端部が立坑であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、配管の外周に固定された環状支持部材と、少なくとも1対のサポート部材と、少なくとも1対のサポート部材を受け止めて配管に作用する軸力を支持可能に配管導設路の端部の配管導設路付随構造物に設けられ且つ配管の軸心と直交する面とほぼ平行な荷重支持面とを備えたので、1つのサポート部材で分担する軸力は小さくなり、サポート部材の長さも短く形成できるため、サポート部材には大きな曲げモーメントが作用することはないから、サポート部材の小型化と軽量化を図ることができるだけでなく、基礎コンクリートも省略でき、配管の固定構造を小型化し、建設費を大幅に低減できる。
地震力が作用したとしても、その地震力が少なくとも1対のサポート部材から環状支持部材に伝達され、配管の下部に集中的に作用しないため、また、配管に曲げモーメントが作用しないため、配管の損傷を防止する上で有利であるうえ、配管導設路を構成するセグメントやカルバート用セグメントにこの固定構造から地震荷重を伝達しないので、地震時のセグメントの損傷を防止する上でも有利である。この配管の固定構造は、配管導設路の端部に設けるものであって配管導設路の端部以外の配管導設路内に設けないので、配管を敷設する為の配管導設路の小径化を図ることができ、配管導設路の建設費を大幅に低減することができる。
請求項2の発明によれば、前記配管導設路付随構造物がセグメントであり、このセグメントの端面に荷重支持面を形成するので、配管導設路の端部に臨むセグメント(配管導設路付随構造物)の端面に荷重支持面を形成し、この荷重支持面でもって配管から作用する軸力を支持することができる。
請求項3の発明によれば、前記配管導設路付随構造物が配管導設路の端部の坑壁であり、この坑壁に前記荷重支持面を形成するので、土水圧に耐えるだけの十分強度を有する配管導設路の端部の坑壁を有効活用して配管から作用する軸力を支持することができる。
請求項4の発明によれば、前記1対のサポート部材は鉛直方向向きに配設されたので、配管導設路の端部に臨む配管導設路の入り口に付近に1対のサポート部材を配置する場合にも、配管導設路の入り口の通行スペースの邪魔になることがない。
請求項5の発明によれば、配管導設路の端部の坑壁に平面視にて門形の荷重支持部材を固定し、この荷重支持部材によりサポート部材を支持するため、1つのサポート部材を受け止める荷重支持面が2カ所になるため、荷重支持面の面圧を小さくすることができる。
請求項6の発明によれば、前記配管が低温流体を流す低温配管であり、この場合、熱収縮により配管に作用する軸力が大きくなるので、この本発明の配管の固定構造によるメリットが大きくなる。
請求項7の発明によれば、前記配管導設路がカルバートであり、陸上においては、配管をカルバート内に配設する場合にも本発明の配管の固定構造を採用可能である。
請求項8の発明によれば、前記配管導設路がシールドトンネルであり、このトンネルがシールド用セグメントで構成されるので、地中においては、配管をトンネル内に配設する場合にも本発明の配管の固定構造を採用可能である。
請求項9の発明によれば、前記配管導設路の端部が立坑であり、地中においては、配管をトンネル内に配設する場合にも本発明の配管の固定構造を採用可能である。
本発明は、シールドトンネル(配管導設路に相当する)内に導設された低温配管を立坑(配管導設路の端部に相当する)内に固定支持する固定構造に関するものであり、熱収縮により低温配管に発生する軸力を立坑内に設けた固定構造により、立坑内に臨むセグメント(配管導設路付随構造物に相当する)の端面に形成した荷重支持面又は立坑の坑壁に形成した荷重支持面でもって受け止めるように構成したものである。
この実施例は、海底の地盤に形成されたシールドトンネル内に導設された低温配管を立坑内に固定支持する固定構造に本発明を適用した場合の一例である。
図1に示すように、この配管導設路としてのシールドトンネル1の両端は立坑2の下部に連なり、低温配管3は、地上から立坑2内へ導入され、立坑2の底部からシールドトンネル1内へ導設され、シールドトンネル1内を通過した低温配管3は反対側の立坑2から地上に導設される。
低温配管3の配管3a自体は低温用鋼(例えば、36%ニッケル鋼)からなる鋼管であり、この鋼管を被う断熱材3bはウレタン発泡体などからなる。両方の立坑2内において、トンネル1の入り口には、本発明に係る低温配管の固定構造10であって低温配管3の熱収縮により低温配管3に発生する軸力を受け止める固定構造10が夫々設けられている。シールドトンネル1の内面を覆工するセグメント4(配管導設路の壁部、シールドトンネルの壁部)は、コンクリート製又は鋼製のものであり、セグメント4を構築する際に、セグメント4をトンネル軸心方向へ押圧して組み付けていく関係上セグメント4はトンネル軸心方向の圧縮強度に優れるものである。
図2、図3に示すように、この低温配管の固定構造10は、低温配管3の外周に固定された環状支持部材11と、1対のサポート部材12と、低温配管3の軸心と直交する面と平行な荷重支持面13などを備えている。環状支持部材11はステンレス鋼製で構成され、この環状支持部材11は、立坑2内において低温配管3の軸力を伝達可能に低温配管3の鋼管3a自体の外周に複数のリング部材を介して固定され、それら複数のリング部材と環状支持部材11は断熱材3bで保冷される。
1対のサポート部材12は、環状支持部材11から伝達される低温配管3の軸力(熱収縮と地震力に起因する軸力)を支持可能な曲げ強度と剪断強度を有するものであり、ステンレス鋼で構成されている。この1対のサポート部材12は、低温配管3の軸心を挟んで環状支持部材11の上下両側に低温配管3と直交状に延長姿勢に配設され、低温配管3側の基端部が環状支持部材11に溶接にて固着されている。低温配管3の鋼管に作用する軸力は、低温配管3の直径と長さに応じて大きくなるが、低温配管3の鋼管3aが約300mmの直径で、長さが約1000m、低温配管3内を輸送される低温液の温度−164°Cの場合に、前記の軸力が地震力を含め約70〜100tonである。
サポート部材12は、1対のフランジとウェブとを有するH型断面の部材であり、低温配管3側の基端部分には環状支持部材11との接合強度を高める為に3枚のウェブが設けられ、それよりも先端側部分には1枚のウェブ設けられている。
1対のサポート部材12の先端部を受け止める荷重支持面13は、1対のサポート部材12を受け止めて低温配管3に作用する軸力を支持するように立坑2内のセグメント4(配管導設路付随構造物に相当し、トンネル付随構造物に相当する)の端面に低温配管3の軸心と直交する面と平行に設けられている。
図3〜図5に示すように、シールドトンネル1内に点検等の作業者が通行する通行スペースを確保する為に、低温配管3はシールドトンネル1の軸心から水平方向片側へトンネル1の内径の約1/5〜1/6だけ偏らせた位置に配設されている。1 対のサポート部材12が鉛直姿勢に配設されるため、サポート部材12が通行スペースにはみ出さないようになっている。但し、本実施例のものよりも大径のシールドトンネルの場合であって、通行スペースに邪魔にならない場合には、必要に応じて、1 対の鉛直姿勢のサポート部材12の他に、1対の水平姿勢のサポート部材を設けてもよい。
シールドトンネル1内において低温配管3の自重を支持し、地震時の低温配管3の左右両側方への移動を規制するために、図4に示すような、低温配管3の軸心方向にはスライド可能で、低温配管3を下側から支持すると共に低温配管3の左右両側を位置規制する第1サポート機構20がトンネルの長さ方向適当間隔おきに設けられている。
また、シールドトンネル1内において低温配管3の自重を支持し、地震時の低温配管3の左右両側方への移動と、上方への移動を規制するために、図5に示すような、低温配管3の軸心方向にはスライド可能で、低温配管3を下側から支持すると共に低温配管3の左右両側と上側を位置規制する第2サポート機構30がトンネルの長さ方向適当間隔おきに設けられている。特に、熱収縮による軸力で低温配管3に上方向きの力が作用する位置(例えば、シールドトンネル1内で低温配管3が屈曲する位置)にも、第2サポート機構30が設けられている。
この低温配管の固定構造10の作用、効果について説明する。
内部を流れる低温液(例えば、LNG)による冷却により低温配管3が熱収縮すると低温配管3をトンネル1の奥方へ引っ張る軸力が発生する。その軸力は、固定支持部材11から1対のサポート部材12に伝達され、その1対のサポート部材12は低温配管3の軸心と直交する面と平行な荷重支持面13であってセグメント4の端面に形成された荷重支持面13で受け止められる。
1対のサポート部材12が環状支持部材11の上下両側に固着され、1対のサポート部材12は両端支持された形態で軸力を支持し、この1対のサポート部材12を介して低温配管3に作用する軸力を支持するため、1つのサポート部材12で分担する軸力は小さくなり、また、セグメント4の端面に形成した荷重支持面13で1対のサポート部材12の端部を受け止めるためサポート部材12の長さも極力短く形成できるため、サポート部材12には大きな曲げモーメントが作用することはない。
そのため、サポート部材12の著しい小型化と軽量化を図ることができるうえ、基礎コンクリートを省略できる。そのため、低温配管の固定構造10を小型化し、建設費を大幅に低減することができる。しかも、この低温配管の固定構造10は、立坑2内に設けるものであって立坑2以外のトンネル1内に設けないので、低温配管3を敷設する為のトンネル1を小径にすることができ、トンネル1の建設費を大幅に低減することができる。
地震力が作用したとしても、その地震力が少なくとも1対のサポート部材12から環状支持部材11に伝達され、低温配管3の下部に集中的に作用しないため、また、低温配管3に曲げモーメントが作用しないため、低温配管3の損傷を防止する上で有利であるうえ、トンネル1内のセグメント4にこの固定構造10から地震荷重を伝達しないので、地震時のセグメント4の損傷を防止する上でも有利である。
トンネル軸心方向の圧縮強度に優れるトンネル付随構造物(配管導設路付随構造物)であるセグメント4の端面であって立坑2内に臨むセグメント4の端面に荷重支持面13を形成するため、この荷重支持面13でもって低温配管3から作用する軸力を確実に支持することができる。1対のサポート部材12は鉛直方向向きに配設されるため、トンネル1の入り口の通行スペースの邪魔になることがない。
次に、本実施例の低温配管の固定構造10Aは、環状支持部材11と1対のサポート部材12Aの構成については前記実施例1とほぼ同様であるので、その説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。図6、図7に示すように、土水圧に耐えるだけの十分強度を有するトンネル付随構造物(配管導設路付随構造物)である立坑2の坑壁2aでもって低温配管3から作用する軸力を支持するように構成した。
この低温配管の固定構造10Aにおいては、1対のサポート部材12Aの先端部に対応するように、立坑2の坑壁2aに平面視にて門形の察1対の荷重支持部材16が固定される。各荷重支持部材16は、鋼製(例えばステンレス製)のH型断面の1対の脚部材17と、それら脚部材17に架着された鋼製(例えばステンレス製)のH型断面の梁部材18とで構成され、梁部材18には、低温配管3の軸心と直交する面とほぼ平行な荷重支持面13Aが形成され、各サポート部材12Aの先端部が荷重支持面13Aに接合されて荷重支持面13Aで受け止められている。1対のサポート部材12Aはほぼ等しい長さに形成され均等に軸力を分担する。
この低温配管の固定構造10Aにおいても、十分な強度を有する立坑2の坑壁2aを有効活用して低温配管3に作用する軸力を受け止めるように構成したので、実施例1の固定構造10と同様に、サポート部材12Aで分担する軸力が小さくなり、サポート部材12Aに大きな曲げモーメントが作用しないし、基礎コンクリートも必要でないから、少なくとも1対のサポート部材12Aを著しく小型化でき、低温配管の固定構造10Aを小型、軽量化し、建設費を大幅に低減することができる。低温配管3の軸力を4カ所の荷重支持部(これら4カ所の荷重支持部が荷重支持面13Aに相当する)で受け止めることになるので、荷重支持面13Aの面圧を下げることができる。立坑2の坑壁2aに荷重支持面13Aを形成するため、強度面での信頼性を確保でき、工事上の制約も受けない。その他、実施例1の低温配管の固定構造10と同様の作用、効果を奏する。
前記実施例1,2を部分的に変更した変更例について説明する。
1)サポート部材は、H型断面のものに限定される訳ではなく種々の断面形状のものを適用可能であり、サポート部材は少なくとも1対設ける必要があるが、2対のサポート部材を十文字状に設けることもできる。
2)この低温配管の固定構造は、LNG用の低温配管以外にも、LPG用の低温配管、その他の低温流体を流す低温配管の固定構造にも適用可能である。シールドトンネルは、海底トンネルに限定されるものではない。
3)前記実施例は、低温配管をトンネル内に敷設する場合の低温配管の固定構造を例にして説明したが、配管は低温配管に限定されるものではなく、常温配管、常温よりも高い温度の流体を輸送したり貯蔵したりする配管の固定構造にも、本発明を同様に適用可能である。また、配管をトンネル以外の配管導設路であるカルバート(但し、蓋なしのカルバートと、蓋付きのカルバートの両方を含む)内に敷設する配管の固定構造にも、本発明を同様に適用可能である。前記カルバートに配管を敷設する場合、カルバートの始端部や終端部の立坑内において、カルバートを構成するカルバート用セグメントの立坑内に望む端面や立坑のコンクリート壁部に荷重支持面を形成するものとする。
4)その他、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、それらの変更形態も本発明に包含されるものである。
本発明は、種々の配管導設路に配管を敷設した場合に、配管を配管導設路に連なる立坑内に固定支持する構造に適用することができる。
実施例1のシールドトンネルと低温配管とその固定構造を示す断面図である。 立坑内に設けた低温配管固定構造の要部断面図である。 図2のIII −III 線断面図である。 シールドトンネルと第1サポート機構の断面図である。 シールドトンネルと第2サポート機構の断面図である。 実施例2の立坑内に設けた低温配管固定構造の要部断面図である。 図6のVII −VII 線断面図である。 従来技術に係る図2相当である。 図8のIX−IX線断面図である。
符号の説明
1 シールドトンネル(配管導設路)
2 立坑(配管導設路の端部)
2a 坑壁
3 低温配管
4 セグメント
10,10A 低温配管の固定構造
11 環状支持部材
12,12A サポート部材
13,13A 荷重支持面
16 荷重支持部材

Claims (9)

  1. トンネル等の配管導設路内に導設された配管を配管導設路の端部に固定支持する固定構造において、
    前記配管導設路の端部において配管の軸力を伝達可能に配管の外周に固定された環状支持部材と、
    前記配管の軸心を挟んで環状支持部材の両側に配管と直交状に配設されて配管側の基端部が環状支持部材に固着され、環状支持部材から伝達される配管の軸力を支持可能な少なくとも1対のサポート部材と、
    前記少なくとも1対のサポート部材を受け止めて前記軸力を支持可能に配管導設路の端部の配管導設路付随構造物に設けられ且つ配管の軸心と直交する面にほぼ平行な荷重支持面と、
    とを備えたことを特徴とする配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  2. 前記配管導設路付随構造物がセグメントであり、このセグメントの端面に前記荷重支持面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  3. 前記配管導設路付随構造物が配管導設路の端部の坑壁であり、この坑壁に前記荷重支持面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  4. 前記1対のサポート部材は、鉛直方向向きに配設されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  5. 前記配管導設路の端部の坑壁に平面視にて門形の荷重支持部材を固定し、この荷重支持部材により前記サポート部材を支持することを特徴とする請求項3に記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  6. 前記配管が低温流体を流す低温配管であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  7. 前記配管導設路がカルバートであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  8. 前記配管導設路がシールドトンネルであり、このトンネルがシールド用セグメントで構成されたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の配管導設路に敷設した配管の固定構造。
  9. 前記配管導設路の端部が立坑であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の
    配管導設路に敷設した配管の固定構造。
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