JP2005282668A - 硬質被膜で締結摺動面を被覆した締結治具部材、締結治具部材を装着した締結物体及び締結治具部材の製造方法 - Google Patents

硬質被膜で締結摺動面を被覆した締結治具部材、締結治具部材を装着した締結物体及び締結治具部材の製造方法 Download PDF

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尚登 大竹
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【課題】 本発明は、締結治具部材の締結摺動面の摩擦抵抗を減少するため、接触摺動面を低摩擦の硬質被膜で被覆することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、締結治具部材の締結部の少なくとも1方の締結摺動面の全面または一部分を、炭素を含む硬質被膜、炭素及び水素を含む硬質被膜、及びそれらの硬質被膜を形成する炭素の一部を硼素で置換した硬質被膜である。本発明においては、この硬質被膜は複数に分割して被覆した締結治具部材とすることができる。本発明の締結治具部材の製造方法により、硬質被膜で全面被覆、または硬質被膜は複数に分割することができ、且つダイヤモンド状またはグラファイト状の炭素被膜を形成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボルト、ナット、ワッシャ−、ネジ付テーパーピンなどの締結治具部材の締結摺動面を硬質被膜で被覆して、この締結摺動面の摩擦抵抗を減少して十分な軸力を締結摺動面に与えることによって、これらの締結治具部材で締結物体を締め付けする時、締結治具部材で締結物体を確実に締め付けること、及びそれらの締結の緩みを防止することの双方を可能にした硬質被膜を被覆した締結治具部材を提供することに関する。
従来、ボルト、ナット、ワッシャ−、ネジ付テーパーピンなどの締結治具部材を使用して締結物体を締結保持する時、締結治具部材のネジ部などの締結摺動面に減摩剤及び潤滑剤などを塗布することなく、清潔な状態すなわちドライ状態を維持して締結治具部材で締結物体を締め付けるのが一般的である。
さらに、上記締結治具部材を使用して締結物体を締結保持する場合、締結治具部材の締結摺動面に減摩剤及び潤滑剤としての油などを塗布して、締結治具部材の締結摺動面の摩擦抵抗を少なくして締結することがある。しかし、これらの締結治具部材の締結摺動面に油などを塗布することは、摩擦抵抗を減少して締結摺動面の回転を滑らかにすることなり、したがって、これらの締結治具部材の軸方向に十分な力を加えることができるために、締め付けトルクの増大及び締め付け状態の安定化に効果をもたらした。
しかし、上記の場合の多くは、締結治具部材で締結物体を締め付けた後に各部材に油などが残存するので、作業者は次の作業工程に部材を回す前に、この油分を除去するための余分な作業工程を必要とした。
上記効果を得るためのその他の手段としては、螺旋ネジ部の面のざらつきを少なくして摩擦抵抗を少なくするために、螺旋ネジ部の接触面を研摩したり、またはこの面に弗素を含む固体潤滑層を形成することであった。
特開平9−17788号 特開平10−47342号 特開平11−210615号 特開平11−210616号
従来ボルト、ナット、ワッシャー、ネジ付テーパーピンらで締結物体を締結するときには、締め付けトルクで管理を行ってきた。従来の締結物体は、緩み防止のためにフランジナットらの締結摺動面に波状の突起を設けて、締め付ける方向には滑りやすく、緩む方向には抵抗となるようにしていた。しかしながら、この波状の突起は、ミクロ的形状を考慮すれば、締め付ける方向及び緩む方向のいずれの方向から見ても同一形状である。したがって、この締結摺動面での摩擦抵抗は、締め付ける方向及び緩む方向のいずれの方向も同一の力となるので、緩みにくい締結物体とは言いがたい。
弗素化合物塗料を塗り焼成した固体潤滑層を有するボルト、ナット、ワッシャー、ネジ付テーパーピンらの締結物体は、締結物体と固体潤滑層との結合力が弱くて、一般的に剥離しやすい。また、この固体潤滑層の焼成温度は、380℃程度であるので、弗素コーティングのフライパンを過熱すると剥離するように、この固体潤滑層はこの焼成温度付近になると剥離しやすくなる。また、この固体潤滑層は締結時に力が付加されていると、固体潤滑層にクラックが入り、いったんネジを緩めるとこの固体潤滑層が剥離して、この締結物体を再度利用することができず、1回限りの締結部品となる。また、使用される弗素化合物塗料中の弗素は地球温暖化ガスとなるものであって、この弗素化合物塗料を被覆する作業においては、弗素が外部に漏れないような設備が必要となる。一方、本願発明に使用するダイヤモンド状(DLC)またはグラファイト状の炭素(GLC)は、排出されるガスに有害物質を含んでいない。
本発明のボルト、ナット、ワッシャ−、及びネジ付テーパーピンなどの締結部材を備えた締結治具部材は、締結物に十分な締め付け力を与え且つ締結部材の緩みを防止するために、この締結治具部材の締結摺動面の摩擦抵抗を減少することを目的とする。
炭素、または炭素と水素を含む共有結合(例えば、ダイヤモンド状のsp結合及びグラファイト状のsp結合)の被膜は、硬質の低摩擦材である。これらの硬質被膜を、ボルト、ナット、ワッシャ−、及びネジ付テーパーピンなどの締結物体の締結摺動面に被膜を形成することによって、ドライ状態と同様の状態で、締結物体の軸方向に十分な力を加えることができるので、締結物体に伝達される締め付けトルクの増大と、締結物体の締め付け状態の安定化とをもたらすことができる。
本発明の締結治具部材は、締結物体のいずれか一方の締結摺動面に非晶質、ダイヤモンド状またはグラファイト状の炭素被膜、炭素と水素の被膜、及び炭窒化硼素の被膜を被覆し、またはそれらの被膜を分割(セグメント化)して被覆することによって、それらの締結摺動面の摩擦抵抗を減少するとともに、締結摺動面の硬さを増加することができるので、したがって、本発明の硬質被膜を締結物体の締結摺動面に被覆した締結治具部材は、強い締め付け力を十分に締結物体に伝達することができ、且つ安定した締め付けトルクで締結管理を行うことができる。さらに、本発明の締結治具部材を使用した場合は、締結物体の締結摺動面の摩擦力が低減されて工学的強度から計算した締め付けトルクでほぼ締結物体を締結できるので、締結の確実性が増し且つ締結物体を工学的な設計寸法に近い大きさの締結物体にすることができる。したがって、本発明の締結治具部材は、軽量化、構成材料の省資源化、及び省エネルギー化にも効果をもたらすものである。
本発明は、締結治具部材に備わる互いの締結部の少なくとも1方の締結摺動面の全面または一部分を、被膜の厚みが0.01〜3μmの範囲にある炭素を含む硬質被膜で被覆する締結治具部材である。また、本発明の締結治具部材は、炭素を含む硬質被膜で複数に区分化して分割し、すなわちセグメント化して被覆することが好ましい。
本発明の締結治具部材においては、締結摺動面に被覆された硬質被膜が、この締結摺動面の摩擦抵抗を減少することにより締め付け時の締結動トルクを減少させる。一般的に締結摺動面の静止摩擦係数は、動摩擦係数より大きくなるので、本発明の締結治具部材は、締結後の締結静止トルクが締め付け時の締結動トルクより大きくなり、締結後の締結治具部材の締結摺動面での緩みを防止することができる。
本願発明の締結治具部材の締結摺動面を被覆する硬質被膜の厚みは、0.01〜1μmの範囲にあればよい。硬質被膜が0.01μm以下の厚みでは、摩擦を減少することができるが、硬質被膜の寿命が減少する。しかしながら、成膜条件および成膜方法によって、0.01〜3μmの範囲であってもよい。硬質被膜が3μmの厚みを超えると締結摺動面に安定して存在せずに剥離らの問題が生じる。さらに、締結物体の締結摺動面が鉄系材料で作られている場合は、硬質被膜の厚みは0.01〜0.3μmの範囲であってもよい。また、締結物体の締結摺動面がチタニウム系材料で作られている場合は、硬質被膜の厚みは0.4〜0.5μmの範囲であってもよい。
また、本発明の締結治具部材においては、締結治具部材の締結摺動面を被覆する炭素を含む硬質被膜を、炭素と水素とを含む硬質被膜とすることができる。本願発明の炭素と水素とを含む前記硬質被膜は、炭素を40以上〜99atm%未満、及び水素を1以上〜40%未満含むことができる。それによって、本発明の締結治具部材においては、これらの炭素、または炭素と水素とを含む締結摺動面の硬質被膜は、ダイヤモンド状(DLC)及びグラファイト状(GLC)の少なくとも一つの硬質被膜とすることができる。さらに、本発明の締結治具部材においては、締結摺動面に被覆する硬質被膜を非晶質被膜とすることもできる。
さらに、本発明の締結治具部材の締結摺動面を被覆する炭素を含む硬質被膜は、炭素の一部を硼素及び窒素で置換した炭窒化硼素の硬質被膜(BCN被膜)とすることができる。この炭窒化硼素の硬質被膜は、炭素の一部と置換される硼素と窒素の合計置換量が、10〜80%好ましくは30〜60%とすることによって、硬質被膜の摩擦係数(具体的に、被膜のある時の範囲0.03〜0.3、無いときの範囲0.4〜0.6である)を減少させて且つ膜の硬さマイクロビッカース硬度で1000〜3000まで高くすることができる。
本発明の締結摺動面を硬質被膜で被覆した締結治具部材は、ボルト、ナット、ワッシャー、ネジ付テーパーピン及びそれらの類似物のいずれか一つとすることができる。また、本願発明の締結摺動面を硬質被膜で被覆した締結治具部材それ自体を、それぞれの締結を必要とする装置に装着することができる。
本発明の締結治具部材は、締結治具部材であるボルト及びナットを締結する際に、硬質被膜を締結力により接触するネジ山の接触面側のみに被覆する。それによって、締結治具部材は、締付する際にはネジ山の弾性変形により硬質被膜を被覆したネジ山面だけで接触し且つ滑らかに摺動して締結される。さらに、締付終了後の静的な締結時には、ネジ山の弾性変形が戻ることにより硬質被膜を被覆したネジ山面と被覆していないネジ山面の双方が接触して、締結治具部材が緩むことを防止できる。
本発明の締結摺動面に炭素を含む硬質被膜で被覆した締結治具部材の製造方法は、固体炭素ターゲットを用いて物理的気相成長法(PVDまたは、物理蒸着法)により、締結治具部材の締結摺動面の全面または一部分に炭素を含む硬質被膜で被覆する工程、及び上記硬質被膜を複数に区分化して分割する工程を含む。
また、本発明の締結摺動面に炭素と水素とを含む硬質被膜で被覆した締結治具部材の製造方法は、炭素と水素とのガスを用いて化学的気相成長法(CVDまたは、化学蒸着法)により、締結治具部材の締結摺動面の全面または一部分に炭素と水素とを含む硬質被膜で被覆する工程、及び硬質被膜を複数に区分化して分割する工程を含む。
さらに、本発明の締結摺動面に炭素、或いは炭素と水素とを含む硬質被膜で被覆した締結治具部材の製造方法は、締結治具部材の締結摺動面を被覆する前記工程が、ダイヤモンド状及びグラファイト状の少なくとも一つの硬質被膜を形成する工程であることを特徴とする。
さらに、本発明の締結摺動面に炭素、或いは炭素と水素とを含む硬質被膜で被覆した締結治具部材の製造方法は、締結治具部材の締結摺動面を被覆する上記工程に続き、上記硬質被膜を形成する炭素の一部を、硼素及び窒素で置換した炭窒化硼素の硬質被膜を被覆する工程を含み、且つ上記炭素の一部と置換される硼素と窒素の合計置換量が、10〜80%好ましくは30〜60%であることを特徴とする。
本発明の締結治具部材を硬質被膜で被覆する方法を以下に説明する。
本発明においては、締結治具部材に不可避的不純物を除き炭素のみを含む硬質被膜を被覆する場合には、固体炭素のターゲットを用いる物理的気相成長法(例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法など)が好ましい。また、締結治具部材に炭素と水素とを含む硬質被膜を被覆する場合には、炭素と水素とを含むガスをプラズマ雰囲気とする化学的気相成長法(例えば、高周波プラズマCVD法、直流プラズCVD法)が好ましい。
締結治具部材に炭素のみを含む硬質被膜を被覆するため、固体炭素のターゲットを用いる物理的気相成長法のうちのスパッタ法を用いる場合を、以下に具体的に示す。
スパッタ法
スパッタ法は、特に、締結治具部材に炭素のみを含む硬質被膜を被覆する場合に好ましい。固体炭素、ダイヤモンド、及び炭素とダイヤモンドとを混合したもののターゲットを使用したスパッタ装置は、十分な量のアルゴンイオンが得られる放電を維持するために、真空容器を1〜10−2Paのアルゴンガス圧力範囲とする。しかしながら、アルゴンガス以外の活性な不純物ガス分圧(10−4Pa以下)は可能な限り低くする。スパッタ法に使用した高周波電源は、周波数が13.56MHzであり、最大出力が100W〜15kWの範囲とする。締結治具部材の締結部の締結摺動面は、被覆効率を上げるために100〜300℃に加熱することが好ましい。締結治具部材と硬質被膜との付着力を向上させる場合には、2〜500nmのSiまたはTiをスパッタ法により合成した後に上記方法により、硬質被膜を被覆する。
さらに、締結治具部材に炭素及び水素を含む硬質被膜を被覆するため、炭素と水素とを含むガスをプラズマ雰囲気とするパルスプラズCVD法を用いる場合を、以下に具体的に説明する。
パルスプラズマCVD法
パルスプラズマCVD法は、炭素と水素とを含むガスを用いて硬質被膜を被覆する場合、真空容器中に0.1〜10Pa好ましくは0.1〜6Paの低圧力の炭素と水素を含むガスを流入させ、且つ1〜100kHzの高周波で4kV〜50kVの直流電圧を印加してプラズマを発生させる。この炭素と水素が混ざったプラズマ雰囲気中で、陰極に取り付けた被覆する物体の表面が、炭素と水素を含む主に共有結合からなる硬質被膜で被覆される。
上記のプラズマ雰囲気中に炭素と水素とを含むガスは、硬さと潤滑性の観点から炭素を40以上〜99atm%未満及び水素を1以上〜40%未満を含むガスとすることができる。さらに、このプラズマ雰囲気中の炭素と水素とを含むガスは、例えば、Cアセチレン、CHメタンなどを0.1〜10Paの圧力になるように流すことにより達成できる。
このプラズマ雰囲気中で気相合成された炭素被膜は、ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜であり、またプラズマ雰囲気条件を変化させることによって、グラファイト状炭素(GLC)の被膜とすることができる。
また、上述した炭素または炭素と水素が混ざったプラズマ雰囲気の真空容器中に、さらに0.01〜5Paの含硼素ガス及び含窒素ガスを流入させ、プラズマ化すると、炭窒化硼素の被膜を被覆することができる。炭素と置換する硼素と窒素との合計量は、10〜80%好ましくは30〜60%とするとよい。上記の含硼素ガスは、例えば、B(CHトリメチレンボロン、またはB(OCHトリメチルボレートが好適であり、且つ含窒素ガスはN窒素、またはNHアンモニアが好適である。
上記の炭素被膜、炭素と水素の被膜及び炭窒化硼素の被膜は、被膜の厚さが0.1〜3.0μmの範囲で特に小さな摩擦係数となり、膜の硬さはマイクロビッカース硬度で、1000〜3000と優れた値を示す。締結治具部材を形成する例えばSCM435調質合金鋼の硬度は、マイクロビッカース硬度で280〜353の範囲にある。
硬質被膜の厚み
スパッタ法及びプラズマ法による硬質被膜の厚みは、一般的に0.1〜1μmといわれている。被覆条件を変えることによってこの硬質被膜は、さらに厚く被覆することができる。本発明に用いる硬質被膜の厚みは、実用的には0.1〜3μm程度である。厚さ0.1〜3μm程度の被膜は、ボルト、ナット、ワッシャー、及びネジ付テーパーピンなどの加工精度から見れば、一般交差の範囲にある。したがって、締結用ボルト、ナット、ワッシャー及びネジ付テーパーピンを製作した後に、それらの締結摺動面に、本発明に用いる硬質被膜を被覆しても、締結用ボルト、ナット、ワッシャー及びネジ付テーパーピンは、そのまま使用できる程度の寸法範囲にあるので、締結摺動面はスパッタ法及びプラズマ法により、ダイヤモンド状炭素(DLC)、セグメント化したDLC、炭窒化硼素(BCN)、及びセグメント化したBCNを被覆することができる。
セグメント硬質被膜
従来の被膜被覆方法は、被覆対象物の表面にほぼ均一且つ全面的に被膜を被覆する方法であった。しかしながら、本発明の被膜被覆方法は、被覆対象物の表面に微細に分割(セグメント化)して硬質被膜(ダイヤモンド状またはグラファイト状または非晶質の炭素、及び炭窒化硼素)を被覆する方法である。
従来の被覆対象物の表面にほぼ均一且つ全面的に被膜を被覆する方法は、被覆対象物の表面に大きな力が加わり被膜が変形すると、分割していない表面にクラック(割れ)が入り剥離が生じるという現象が次々に生じるという難点があった。そこで、本発明の硬質被膜を分割(セグメント化)して被覆する方法は、被覆対象物の表面に大きな力が加わり硬質被膜が変形し、または被覆表面に微細なクラック(割れ)が入ることによって、硬質被膜の一部が被覆対象物の表面から剥離することを最小化することを目的としたものである。
本発明の硬質被膜を分割(セグメント化)して被覆する方法は、硬質被膜を被覆対象物の表面に被覆するときに、所望の形状に分割した硬質被膜が被覆できるような形態の網状またはエキスパンド状の板状物で被覆対象物表面をマスキングして、スパッタ法及びプラズマ法で被覆対象物を被覆する。
さらに、本発明の硬質被膜を分割する方法は、硬質被膜を被覆対象物に被覆した後に、研削及び切削らの機械加工、或いは化学研磨によって被覆表面に所定の寸法に分割することによっても達成することができる。この機械加工または化学研磨によって硬質被膜を分割する方法は、分割被膜が比較的大きなものに適している。
実施例1
図1及び図2に示す締結治具部材1であるネジ付テーパーピン1−1のテーパー部1−3またはネジ部1−2を、図4に示すスパッタPVD装置10を用いてダイヤモンド状の炭素被膜2で被覆した。このスパッタPVD装置10は、ターゲット11、アルゴンガスボンベ13、高周波電源14、パルス電源21、油回転真空ポンプ16、油拡散真空ポンプ17、シャッタ18、加熱ヒータ用電源15などを備える。スパッタPVD装置10は、ターゲット11に対向して被覆物ホルダー上に対象被覆物12が設置される。この被覆物は、加熱ヒータ19によって加熱することができる。スパッタPVD法による被覆条件を以下に示す。
高周波電源14の周波数 13.56MHz
被覆対象物12のバイアス電圧 −4〜−50kV
アルゴンガス圧力 1×10−2Pa
不純物の圧力 10−4Pa以下
被覆対象物の温度 100〜300℃
被覆時間 15分
被膜の厚み 1μm
なお、被覆対象物であるテーパー部またはネジ部を被覆する前に、真空容器内を10−4Pa以下の真空度に下げた後被覆対象物にアルゴンガスによるスパッタエッチングを施して、被覆対象物の表面を清浄にして硬質被膜の付着の向上を図った。さらに、硬質被膜の付着性を向上させるために、中間層として例えばSi層とTi層との少なくとも1層を約100〜200nm堆積させることができる。
また、被覆対象物の被覆面が複雑な曲面を有するネジなどを分割して被覆する場合は、被覆対象物であるネジ部を被覆する前に、網状またはエキスパンド状の板状物で被覆対象物表面をマスキングして、硬質被膜を被覆しその後この板状物を除去することによって硬質被膜を分割することができる。
実施例2
図1及び図2に示す締結治具部材1であるネジ付テーパーピン1−1のテーパー部1−3またはネジ部1−2を、図5に示すプラズマCVD装置30を用いてダイヤモンド状の炭素被膜2で被覆した。このプラズマCVD装置30は、プラズマ雰囲気32の基となるガス吹き出し板31、対象被覆物33、原料ガス容器34、パルス電源35、油回転真空ポンプ36、油拡散真空ポンプ37、シャッタ38、被覆対象物の加熱ヒータ39、加熱ヒータ用電源40などを備える。プラズマCVD装置30は、プラズマ雰囲気32の基となるガス吹き出し板31に対向して被覆物ホルダー上に対象被覆物33が設置される。この対象被覆物は、加熱ヒータ39によって加熱することができる。プラズマCVD法による被覆条件を以下に示す。
パルス電源35の周波数 10〜20kHz
プラズマ発生電圧 −8〜−15kV
プラズマ形成ガスの圧力 3〜7Pa
(Cアセチレン、CHメタン)
不純物の圧力 10−4Pa以下
被覆対象物の温度 100〜300℃
被覆時間 30分
被膜の厚み 1μm
なお、被覆対象物であるテーパー部またはネジ部を被覆する前に、真空容器内を10−4Pa以下の真空度に下げて、高真空雰囲気に曝すことによって被覆対象物の表面を清浄にして硬質被膜の付着の向上を図った。さらに、前述のスパッタPVD法と同様に硬質被膜の付着性を向上させるために、中間層として例えばSi層とTi層との少なくとも1層を約100〜200nm堆積させることができる。
また、被覆対象物の被覆面が大きな曲面を有するテーパー部などを分割して被覆する場合は、プラズマCVD法においても、被覆対象物であるテーパー部を被覆する前に、網状またはエキスパンド状の板状物で被覆対象物表面をマスキングして、硬質被膜を被覆しその後この板状物を除去することによって硬質被膜を分割することができる。または、被覆対象物の被覆した面が大きな場合は、図3に示すように被覆後に切削または研削らの機械加工によって被覆対象物1の被覆面1−4の硬質被膜2に所望の大きさの溝1−5を入れることによって分割することができる。セグメントの個々の大きさは、一辺が0.05〜1mmの矩形または多角形好ましくは正方形または6角形であり、さらに直径0.05〜1mmの円形であり、それらの間隔は大きさまたは直径の1/10程度、または同程度であってもよい。
実施例3
本発明の硬質被膜のDLCはダイヤモンド状物質であるので電気的絶縁性を有する。電気的絶縁を目的とした例としては、車両または電車などのブレーキ用エア−タンクの検査穴及び点検穴などを封止するブッシュがある。図6の(A)にこのブッシュを示す。このブッシュ41は、オネジ42とメネジ44を備え、且つブッシュの中央部を貫通してエアータンクに通じる貫通孔46を備える。これらのオネジ及びメネジは用途によって適宜その大きさを決定される。このブッシュのオネジ42とメネジ44との全面に本発明のDLC43、45が全面的に被覆されることによって、エアータンク側と、ブレーキ側とが電気的に絶縁されることにより、双方に電気的雑音を伝達することが遮断でき且つエアータンクの検査点検の際に取り外し及びその後の取付を確実且つ容易にすることができる。
さらに、電気的絶縁を目的とした例としては、同一または異なる直径の管を接続するための接続部品としてのソケットがある。図6の(b)にこのソケットを示す。このソケット47は、同一または異なる直径のメネジ48,48を有し、この双方のメネジ表面は、硬質被膜として本発明のDLC43、45が全面的に被覆される。このDLC43、45で被覆されたソケット47によって接続された双方の配管は、電気的雑音の伝達を阻止することができる。
また、同一または異なる直径の管を接続するための接続部品としてのオネジ部品と袋ナットとを組み合わせた接続部品50(例えば、スウェージロック(商標))に、本発明の硬質被膜としてDLCを被覆することができる。この場合、図7に示すオネジ部品52と袋ナット51とを組み合わせた接続部品50のオネジ部分53の全面に本発明のDLC被覆する。本発明のDLCを被覆したオネジ部品と袋ナットとを組み合わせた接続部品は、例えば、ディーゼルエンジンの燃料噴射パイプなどに相当するの接続管56のカシメ部57をメタルタッチで締結使用することができ、コモンレール側及びエンジン側の電気的雑音を遮断することができる上に、電気的腐食を防止することができる。
実施例4
本発明の締結治具部材は、締結力により接触するネジ山の接触面側のみに被覆硬質被膜を被覆することができる。図8に締結治具部材のネジ山拡大部分を示す。本実施例においては、締結治具部材であるボルト及びナットを締結する際に、硬質被膜を締結力により接触するネジ山の接触面側のみに、硬質被膜2のDLCを被覆した。このように硬質被膜を被覆することによって、本発明の締結治具部材は、締付する際にはボルト3またはナット4のネジ山の弾性変形により硬質被膜を被覆したネジ山面だけで接触し且つ滑らかに摺動して締結される。さらに、締付終了後の性的な締結時には、ボルト3またはナット4のネジ山の弾性変形によって硬質被膜2のDLCを被覆したネジ山面と被覆していないネジ山面の双方が接触して、締結治具部材が緩むことを防止できる。
本発明の締結治具部材は、以下に述べるものに利用できる。
本発明の締結治具部材及びその製造方法に適用される硬質被膜は、ダイヤモンド状炭素(DLC)、炭窒化硼素(BCN)、及びセグメント化したDLCとBCNのいずれかの被膜である。締結治具部材の締結部が、例えばボルトとナットとワッシャーとである場合、ボルトとナットとワッシャーとの全ての全面を上記のいずれかの硬質被膜で被覆することも可能であり、また、ボルトとナットとワッシャーとの締結摺動面の両面またはいずれか一方の締結摺動面のみを上記のいずれかの硬質被膜で被覆することも可能である。すなわち、ボルトとナットとワッシャーとを組み合わせた締結治具部材を提供する製品とする場合、ナットとボルトとの双方のネジ部を被覆して、さらにナットとワッシャーとの双方の締結摺動面を被覆してもよく、またはナットとボルトとのいずれか一方のネジ部を被覆して、さらにナットとワッシャーとのいずれか一方の締結摺動面を被覆してもよい。上述するように本発明にしたがうボルトとナットとワッシャーとを組み合わせ締結治具部材に硬質被膜を被覆することによって、従来のボルトとナットとワッシャーとを組み合わせた締結物体製品に比較して、締結物体の締結摺動面を硬くて滑らかな面とすることができ、それによってこの締結摺動面の摩擦抵抗を減少することができる。したがって、本発明の硬質被膜を締結摺動面に被覆した締結治具部材は、強い締め付け力と、安定した締め付けトルクとで管理を行うことができる。さらに、セグメント形状のDLC膜を被覆すると、ボルトの回転時は上述のように摩擦抵抗が低く、ボルトの締付トルクが大きくなると、図2の被覆摺動面1−4が弾性変形して相手材と接触することにより固定され、高く安定な締付トルクが得られる。
本発明の使用環境について以下に述べる。
本発明の締結治具部材は、締結後に締結物体が緩むことがない確実性が求められる場所に使用することができる。例えば、宇宙空間、深海、高所、離島、またはメンテナンス用の足場などを設置しにくい場所または締結後にメンテナンスのしにくい場所に、本発明の締結治具部材は使用される。また、締結物体が停止することなく連続使用するために、ほとんど定期点検をすることができず且つ締結物体が緩むことが許せない場所に、本発明の締結治具部材は使用される。
さらに、本発明の締結治具部材は、医療環境に使用することができる。
本発明の硬質被膜の主要成分は炭素である。炭素は、生体を構成する元素であり、且つ通常の食事においても摂取するものであり、生体との適合性も優れていて且つ生体への毒性も認められていない。このことから、本発明の締結治具部材は、医療環境においても使用することができる。例えば、歯科医療の現場における人工歯根(インプラント)では、顎の骨に金属製のボルト状または板状の構造物(インプラント)を埋め込んで顎の骨と適切に固定した後に、この人工歯根(インプラント)の上に人工義歯を装着するという技法がある。ここで使用される人工歯根(インプラント)には、テーパー穴とメネジが設けられる。また、人工義歯は、人工歯根へ取り付けるためにオネジと、このオネジの上部にはテーパー部が設けられている。この人工義歯のオネジとテーパ−部が、人工歯根(インプラント)のメネジとテーパー穴にねじ込まれて、人工義歯は顎の骨に固定される。しかし、この人工歯根のテーパー穴と人工義歯テーパー部との締結において、互いの締結摺動面の摩擦による締結力の実質的な低下が問題となる。最近の人工歯根は生体との適合性を考慮して、人工歯根は金属チタンを母材にし、ハイドロキシアパタイトなどの骨との適合を考慮した物質が表面に塗付されたものが主流である。人工歯根の母材となる金属チタンの摩擦係数は0.4〜0.5であり、したがって、人工義歯側のオネジ部とそれに続くテーパー部とに本発明にしたがうDLC被膜またはセグメント化したDLC被膜を被覆することによって、金属チタン母材から成る人工歯根とDLC被膜を備えた人工義歯との互いの締結摺動面の摩擦抵抗を減少することがでる。それによって、人工歯根とDLC被膜を備えた人工義歯との間の締結力を実質的に増加することができ、人工歯根と人工義歯との締結部の隙間代を減少することが可能になる。人工歯根と人工義歯との締結部の隙間代を減少することができる。この隙間での口内常在菌の存在及びその繁殖を低減でき、歯間異常の低減を可能にする。さらに、人工歯根と人工義歯とにテーパーが備わることによって、狭い口内でのボルトとナットのみによる困難な締結作業を簡素化できる。
さらに、本発明の締結治具部材は、省資源化、及び省エネルギー化をもたらすことができる。
一般的に締結物体の締め付けトルクは締結物体の工学的な強度計算により求められるので、工学的強度からは締結物体は計算締め付けトルクに耐える大きさにすればよい。しかしながら、実際には締結摺動面の摩擦により工学的に計算された締め付け力では十分に締結物体を締結できない場合が生ずるので、実際にはこの締結物体の寸法は、計算で求めた締め付けトルク以上の大きな締め付けトルクに耐える大きさに設計されている。本発明の締結治具部材を使用した場合は、締結物体の締結摺動面の摩擦力が低減されて工学的強度から計算した締め付けトルクで締結物体を締結できるので、締結の確実性が増し且つ締結物体を工学的な設計寸法に近い大きさの締結物体にすることができる。したがって、本発明の締結治具部材は、軽量化、構成材料の省資源化、及び省エネルギー化にも効果をもたらすものである。
さらに、本発明の締結治具部材のその他の応用を以下に示す。
車両、発動機、建設機械、工作機械、精密機械などにおいても、締結部にネジ付テーパーピンを用いて穴の中心を位置出しして、強く締結する構造が多々存在する。これらの装置においても、上述する人工歯根と人工義歯との締結と同様に、ネジ付テーパーピンの軸部(ネジ部を含んでもよい)、ナットの座面、ワッシャーとナットの締結摺動面などに、本発明に使用する硬質被膜を被覆することができる。これらの装置の締結部品を回転しながら締結していくときに、これらの締結摺動面の摩擦抵抗が少なければ、回転抵抗が減少して締結力を増加することができる。この場合においては、ネジ付テーパーピンに被覆された硬質被膜の硬さにより、テーパー穴の周面が擦られて、テーパー穴を適切な周面に成形することもでき、テーパー部とテーパー穴とのアタリ面が増加してより堅固な締結をすることができる。
さらに、電気的特性を利用した有用性と応用を以下に記す。低摩擦・高硬度以外の他の性質として、硬質被膜のDLCはダイヤモンド状物質であるから電気的絶縁性があり、10−8〜10−16Ω・cmの体積抵抗率を持っている。る。ボルト、ナット、平ワッシャ等にDLC被膜を被覆すると、これらのボルト、ナット、平ワッシャ等を、絶縁したい物の締結に使用できる。すなわち、相手部品の締結面に相当する部分を、DLC被膜を被覆したネジで締結することにより電気的絶縁物で締結することになる。
現状では、部品の締結面に相当する部分に絶縁要部品を介在させるという面倒な手段を用いるが、本願発明の硬質被膜のDLC被膜を被覆したボルト、ナット、平ワッシャ等を使用することによって、部品数を増加させないという効果を奏する。一般的に電気的絶縁物は硝子に代表されるように表面は硬くて脆い性質であったり、またポリイミドのように軟らかくて傷つきやすいものであったりする。したがって、これらの絶縁材料を使用して、締結物を十分に強く締結することはできなかった。
また、電気的絶縁物で被覆したボルト、ナット、平ワッシャ等であれば電気的腐蝕が起き難くいので、海水中、イオン溶液中(メッキ液など)などで組み立てられている部材と外部とを締結する際のボルト、ナット、平ワッシャ等に本発明のDLC被膜を使用すれば、メンテナンス迄の時間を長くすることができる。
例えば、ステンレス構造物が海岸に作られ、同種のボルトで締結している場合は、電気的腐蝕は起き難いが、この構造物のアルミニウムが使用されている場合は、このアルミニウム材が電気的腐蝕により速く腐蝕する。また、ステンレスとチタンが使用されている場合は、ステンレスが電気的腐蝕を生じる。このような異種金属間の締結時に、この締結面に絶縁膜として本発明のDLC被膜を被覆したボルト、ナット、平ワッシャ等を使用すれば、電気的腐食を防ぐことが可能となる。この場合部品に触れている面は全面的にDLC被膜を被覆することが必要であり、セグメントDLCは不適切である。使用例としては、船舶、航空機、及び自動車等、無線機、通信設備、及び放送設備等、機械設備及び化学工業等の広範囲に利用でき、ほとんどの電気を使用する場所に適用することが可能である。
図1は、本発明の締結治具部材の実施例としてのネジ付テーパーピンの横断面を示す。 図2は、図1に示すネジ付テーパーピンのネジ部を拡大した断面図を示す。 図3は、本発明の分割した硬質被膜の被覆面を一部を拡大して示した斜視図である。 図4は、本発明の締結治具部材を硬質被膜で被覆するために使用するスパッタPVD装置の一例を示す。 図5は、本発明の締結治具部材を硬質被膜で被覆するために使用するプラズマCVD装置の一例を示す。 図6の(A)は、ネジ部に本発明のDLCを被覆したブッシュの断面を示し、図6の(B)にネジ部に本発明のDLCを被覆したソケットの断面を示す。 図7は、ネジ部に本発明のDLCを被覆したオネジ部品と袋ナットとを組み合わせた接続部品の断面図を示す。 図8は、締結力により接触するネジ山の接触面側のみに被覆硬質被膜を被覆した締結治具部材のネジ山拡大部分を示し、図8の(A)締付している際のボルト及びナットのネジ山の断面をし、図8の(B)締付終了後のボルト及びナットのネジ山の断面を示す。
符号の説明
1…締結治具部材
1−1…ネジ付テーパーピン
1−2…ネジ部
1−3…テーパー部
1−4…被覆面、被覆摺動面
1−5…溝
2…硬質被膜、セグメント硬質被膜
3…ボルト
4…ナット
5…ネジ山の拡大部分
10…スパッタPVD装置
11…ターゲット
12…対象被覆物
13…アルゴンガスボンベ
14…高周波電源
15…加熱ヒータ用電源
16…油回転真空ポンプ
17…油拡散真空ポンプ
18…シャッタ
19…加熱ヒータ
20…冷却水
21…パルス電源
30…プラズマCVD装置
31…ガス吹き出し板
32…プラズマ雰囲気32
33…対象被覆物
34…原料ガス容器
35…パルス電源
36…油回転真空ポンプ
37…油拡散真空ポンプ
38…シャッタ
39…加熱ヒータ
40…加熱ヒータ用電源
41…ブッシュ
42…オネジ
43…DLC被膜
44…メネジ
45…DLC被膜
46…貫通孔
47…ソケット
48…メネジ
49…DLC被膜
50…接続部品
51…オネジ部品
52…袋ナット
53…オネジ
54…メネジ
56…接続管
57…カシメ部

Claims (14)

  1. 締結治具部材に備わる互いの締結部の少なくとも1方の締結摺動面の全面または一部分を、被膜の厚みが0.01〜3μmの範囲にある炭素を含む硬質被膜で被覆することを特徴とする締結治具部材。
  2. 炭素を含む前記硬質被膜で複数に区分化して被覆することを特徴とする請求項1に記載の締結治具部材。
  3. 炭素を含む前記硬質被膜が、炭素と水素とを含む硬質被膜であることを特徴とする請求項1及び2に記載の締結治具部材。
  4. 炭素と水素とを含む前記硬質被膜が、炭素を40以上〜99atm%未満、及び水素を1以上〜40%未満含むことを特徴とする請求項1または2に記載の締結治具部材。
  5. 前記硬質被膜が、非晶質被膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の締結治具部材。
  6. 前記硬質被膜が、ダイヤモンド状及びグラファイト状の少なくとも一つの被膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の締結治具部材。
  7. 前記硬質被膜が、前記炭素の一部を硼素及び窒素で置換した炭窒化硼素の被膜であり、
    前記炭素の一部と置換される硼素と窒素の合計置換量が、10〜80%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の締結治具部材。
  8. 前記締結治具部材が、ボルト、ナット、ワッシャー及びネジ付テーパーピンのいずれか一つであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の締結治具部材。
  9. 前記締結治具部材であるボルト及びナットを締結する際に、前記硬質被膜を締結力により接触するネジ山の接触面側のみに被覆することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の締結治具部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の締結治具部材を装着したことを特徴とする締結物体。
  11. 固体炭素ターゲットを用いて物理的気相成長法により、締結治具部材の締結摺動面の全面または一部分に炭素を含む硬質被膜で被覆する工程、及び
    前記硬質被膜を複数に区分化して分割する工程
    を含むことを特徴とする締結治具部材の製造方法。
  12. 炭素と水素とのガスを用いて化学的気相成長法により、締結治具部材の締結摺動面の全面または一部分に炭素と水素とを含む硬質被膜で被覆する工程、及び
    前記硬質被膜を複数に区分化して分割する工程
    を含むことを特徴とする締結治具部材の製造方法。
  13. 締結治具部材の締結摺動面を被覆する前記工程が、ダイヤモンド状及びグラファイト状の少なくとも一つの硬質被膜を形成する工程であることを特徴とする請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 締結治具部材の締結摺動面を被覆する前記工程に続き、前記硬質被膜を形成する炭素の一部を、硼素及び窒素で置換した炭窒化硼素の硬質被膜を被覆する工程を含み、且つ
    前記炭素の一部と置換される硼素と窒素の合計置換量が、10〜80%であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
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