JP2005282589A - 摺動部材及び摺動部材の表面処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル漏れ等を防止すると共に、表面に任意の図形あるいは文字等を表現することができ意匠性に優れた摺動部材及びその表面処理方法を提供する。
【解決手段】車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材10の表面10Aに形成される第1の被膜14と、第1の被膜14上に形成される第2の被膜16、18と、第2の被膜16、18の膜厚を部分的に変化させて第2の被膜16、18に設けた段部20と、を有する構成とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば自動二輪車や自転車のフロントフォークに用いられるインナーチューブなどの車両用サスペンションの摺動部材及びその表面処理方法に関する。
従来から、車両用サスペンションの摺動部材、例えば自動二輪車や自転車のフロントフォークに用いられるインナーチューブなどの表面には、摺動性や耐蝕性を向上させるため、TiN(窒化チタン)、TiO(酸化チタン)等の被膜が形成されている。
特許第3023530号公報 特開平9−176832号公報 特開平9−176834号公報
ところで、上記インナーチューブは摺動する特性があるため、その表面には硬質で面粗度が小さくなり、かつ摩擦特性の優れた条件を備えた被膜を形成する必要がある。このため、インナーチューブの表面に上記した被膜をただ単に形成するだけでは、前記条件を満たす被膜にならず、また色調も単一的で意匠性に乏しいものとなる。
また、ある部材の表面にマスキングなどを用いて被膜を形成することによりその表面に任意の図形(文字)を描く公知技術は種々存在するが、この公知技術を車両用サスペンションの摺動部材、例えばインナーチューブにそのまま適用すると、インナーチューブの摺動面に所定の段差が形成されてしまうため、摺動性能が低下し、またオイル漏れなどの問題が生じてしまう。
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、オイル漏れ等を防止すると共に、摺動面に任意の図形あるいは文字等を表現することができ意匠性に優れた摺動部材及びその表面処理方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面に形成される第1の被膜と、前記第1の被膜上に形成される第2の被膜と、前記第2の被膜の膜厚を部分的に変化させて前記第2の被膜に設けた段部と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面には、第1の被膜及び第2の被膜といった複数の被膜が形成されているため、摺動部材の表面を保護することができる。また、第2の被膜の一部に段部が設けられているため、この段部によって摺動部材の摺動面に所定の図形や文字などを描くことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の摺動部材において、前記段部の深さが0.05μm以上0.2μm以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、段部の深さが0.05μm以上0.2μm以下であるため、摺動部材の摺動面の段差を極めて小さくすることができる。このため、所定の部材と摺動部材との摺動においてオイルが用いられる場合には、摺動部材が所定の部材に対して摺動する際にこの段部からオイルが漏れてしまうことを防止できる。
また、摺動部材の摺動面の段差を極めて小さくすることにより、摺動部材の摺動を滑らかにすることができる。
さらに、摺動時における所定の部材に対する摺動部材の位置ずれを防止でき、摺動部材の軸線がずれることを防止できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の摺動部材において、前記第1の被膜は窒化チタン膜であり、前記第2の被膜は酸化チタン膜であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、第1の被膜が窒化チタン膜であり、第2の被膜が酸化チタン膜であるため、摺動部材の摺動面が硬質でかつ面粗度が小さくなる。さらに、かかる摺動部材は摩擦や熱に対しても強く、摺動部材が早期に劣化してしまうことを防止できる。
さらに、第2の被膜である酸化チタン膜に段部を設けることにより、この段部とその他の部分とで摺動部材の摺動面の色調が変化するため、摺動部材の摺動面に図形や文字を浮き上がらせることができ、摺動部材の意匠性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の摺動部材において、前記摺動部材は、フロントフォークのインナーチューブであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、摺動部材がフロントフォークのインナーチューブであるため、インナーチューブの意匠性を向上させることができる。また、インナーチューブが摺動した場合でもオイル漏れなどを防止できると共に、摺動時におけるインナーチューブの位置ずれを防止できるため、摺動性能の低下を防止することができる。
請求項5に記載の発明は、車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面にイオンプレーティングにより第1被膜を形成する第1被膜形成工程と、前記第1被膜の一部にマスキングを施すマスキング工程と、前記マスキング工程で前記マスキングが施されていない前記第1被膜及び前記マスキング工程で施された前記マスキングに、イオンプレーティングにより第2被膜をそれぞれ形成する第2被膜形成工程と、前記マスキングを取り除き、前記マスキング工程で前記マスキングが施されていない前記第1被膜上に位置する第2被膜及び前記マスキング工程で前記マスキングが施されていた前記第1被膜に、イオンプレーティングにより第3被膜をそれぞれ形成する第3被膜形成工程と、を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、第1被膜形成工程において、車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面にイオンプレーティングにより第1被膜が形成される。次に、マスキング工程において、第1被膜の一部にマスキングが施される。次に、第2被膜形成工程において、マスキング工程でマスキングが施されていない第1被膜及びマスキング工程で施されたマスキングに、イオンプレーティングにより第2被膜がそれぞれ形成される。次に、第3被膜形成工程において、マスキングを取り除き、マスキング工程でマスキングが施されていない第1被膜上に位置する第2被膜及びマスキング工程でマスキングが施されていた第1被膜に、イオンプレーティングにより第3被膜がそれぞれ形成される。
以上のように、本発明によれば、第1被膜、第2被膜及び第3被膜により摺動部材の表面を保護することができる。また、マスキングを用いて各被膜を形成することにより被膜の一部に膜厚の差を生じさせることができ、この膜厚差により摺動部材の摺動面に所定の図形や文字などを描くことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の摺動部材の表面処理方法において、前記マスキング工程で前記マスキングが施されていた前記第1被膜上に位置する前記第3被膜の膜厚と、前記マスキング工程で前記マスキングが施されていない前記第1被膜上に位置する前記第2被膜及び前記第3被膜との総膜厚と、の膜厚差が0.05μm以上0.2μm以下となることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、マスキング工程でマスキングが施されていた第1被膜上に位置する第3被膜の膜厚と、マスキング工程でマスキングが施されていない第1被膜上に位置する第2被膜及び第3被膜との総膜厚と、の膜厚差が0.05μm以上0.2μm以下とすることにより、摺動部材の摺動面に生じた段部の段差を極めて小さくすることができる。このため、所定の部材と摺動部材との摺動においてオイルが用いられる場合には、摺動部材が所定の部材に対して摺動する際にこの段差からオイルが漏れてしまうことを防止できる。
また、摺動部材の摺動面の段差を極めて小さくすることにより、摺動部材の摺動を滑らかにすることができる。
さらに、摺動時における所定の部材に対する摺動部材の位置ずれを防止でき、摺動部材の軸線がずれることを防止できる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の摺動部材の表面処理方法において、前記第1被膜形成工程で形成される前記第1被膜は窒化チタン膜であり、前記第2被膜形成工程及び前記第3被膜形成工程で形成される前記第2被膜及び前記第3被膜は酸化チタン膜であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、第1被膜形成工程で形成される第1被膜が窒化チタン膜であり、第2被膜形成工程及び第3被膜形成工程で形成される第2被膜及び第3被膜が酸化チタン膜であるため、摺動部材の摺動面が硬質でかつ面粗度が小さくなる。また、かかる摺動部材は摩擦や熱に対しても強く、摺動部材が早期に劣化してしまうことを防止できる。
さらに、マスキング工程でマスキングが施されていた第1被膜上に位置する第3被膜の膜厚と、マスキング工程でマスキングが施されていない第1被膜上に位置する第2被膜及び第3被膜との総膜厚と、の膜厚差を設けることにより、この膜厚差が生じる部分で摺動部材の摺動面の色調が変化するため、摺動部材の摺動面に図形や文字を浮き上がらせることができ、摺動部材の意匠性を向上させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の摺動部材の表面処理方法において、前記摺動部材はフロントフォークのインナーチューブであることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、摺動部材がフロントフォークのインナーチューブであるため、インナーチューブの意匠性を向上させることができる。また、インナーチューブが摺動した場合でもオイル漏れなどを防止できると共に、摺動時におけるインナーチューブの位置ずれを防止できるため、摺動性能の低下を防止することができる。
請求項1に記載の発明は、車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面には、第1の被膜及び第2の被膜といった複数の被膜が形成されているため、摺動部材の表面を保護することができる。また、第2の被膜の一部に段部が設けられているため、この段部によって摺動部材の摺動面に所定の図形や文字などを描くことができる。
請求項2に記載の発明は、段部の深さが0.05μm以上0.2μm以下であるため、摺動部材の摺動面の段差を極めて小さくすることができる。このため、所定の部材と摺動部材との摺動においてオイルが用いられる場合には、摺動部材が所定の部材に対して摺動する際にこの段部からオイルが漏れてしまうことを防止できる。
また、摺動部材の摺動面の段差を極めて小さくすることにより、摺動部材の摺動を滑らかにすることができる。
さらに、摺動時における所定の部材に対する摺動部材の位置ずれを防止でき、摺動部材の軸線がずれることを防止できる。
請求項3に記載の発明は、第1の被膜が窒化チタン膜であり、第2の被膜が酸化チタン膜であるため、摺動部材の摺動面が硬質でかつ面粗度が小さくなる。さらに、かかる摺動部材は摩擦や熱に対しても強く、摺動部材が早期に劣化してしまうことを防止できる。
さらに、第2の被膜である酸化チタン膜に段部を設けることにより、この段部とその他の部分とで摺動部材の摺動面の色調が変化するため、摺動部材の摺動面に図形や文字を浮き上がらせることができ、摺動部材の意匠性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明は、摺動部材がフロントフォークのインナーチューブであるため、インナーチューブの意匠性を向上させることができる。また、インナーチューブが摺動した場合でもオイル漏れなどを防止できると共に、摺動時におけるインナーチューブの位置ずれを防止できるため、摺動性能の低下を防止することができる。
請求項5に記載の発明は、第1被膜、第2被膜及び第3被膜により摺動部材の表面を保護することができる。また、マスキングを用いて各被膜を形成することにより被膜の一部に膜厚の差を生じさせることができ、この膜厚差により摺動部材の摺動面に所定の図形や文字などを描くことができる。
請求項6に記載の発明は、マスキング工程でマスキングが施されていた第1被膜上に位置する第3被膜の膜厚と、マスキング工程でマスキングが施されていない第1被膜上に位置する第2被膜及び第3被膜との総膜厚と、の膜厚差が0.05μm以上0.2μm以下とすることにより、摺動部材の摺動面に生じた段部の段差を極めて小さくすることができ、所定の部材と摺動部材との摺動においてオイルが用いられる場合には、摺動部材が所定の部材に対して摺動する際にこの段差からオイルが漏れてしまうことを防止できる。
また、摺動部材の摺動面の段差を極めて小さくすることにより、摺動部材の摺動を滑らかにすることができる。
さらに、摺動時における所定の部材に対する摺動部材の位置ずれを防止でき、摺動部材の軸線がずれることを防止できる。
請求項7に記載の発明は、第1被膜形成工程で形成される第1被膜が窒化チタン膜であり、第2被膜形成工程及び第3被膜形成工程で形成される第2被膜及び第3被膜が酸化チタン膜であるため、摺動部材の摺動面が硬質でかつ面粗度が小さくなる。また、かかる摺動部材は摩擦や熱に対しても強く、摺動部材が早期に劣化してしまうことを防止できる。
さらに、マスキング工程でマスキングが施されていた第1被膜上に位置する第3被膜の膜厚と、マスキング工程でマスキングが施されていない第1被膜上に位置する第2被膜及び第3被膜との総膜厚と、の膜厚差を設けることにより、この膜厚差が生じる部分で摺動部材の摺動面の色調が変化するため、摺動部材の摺動面に図形や文字を浮き上がらせることができ、摺動部材の意匠性を向上させることができる。
請求項8に記載の発明は、摺動部材がフロントフォークのインナーチューブであるため、インナーチューブの意匠性を向上させることができる。また、インナーチューブが摺動した場合でもオイル漏れなどを防止できると共に、摺動時におけるインナーチューブの位置ずれを防止できるため、摺動性能の低下を防止することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る摺動部材及びその表面処理方法について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、摺動部材として自動二輪車のフロントフォークに用いられるインナーチューブを例にとり、以下に説明する。
図1及び図2に示すように、インナーチューブ10は、自動二輪車のフロントフォークに用いられるものであり、アウターチューブ12の内部に摺動可能となるように挿入されている。このアウターチューブ12はアンダブラケット(図示省略)等を介して車体側に支持されており、インナーチューブ10が車軸ブラケット(図示省略)を介して前輪(図示省略)を支持している。
インナーチューブ10の表面10Aには、窒化チタン(TiN)膜14(第1被膜、第1の被膜)が形成されている。この窒化チタン膜14の膜厚は、0.6μm以上3.0μm以下の範囲に設定されている。
また、窒化チタン膜14の表面には、酸化チタン(TiO)膜16、18(第2被膜、第3被膜、第2の被膜)が形成されている。この酸化チタン膜16、18には、部分的に膜厚差を変化させて段差Hが0.05μm以上0.2μm以下となる段部20が形成されている。本実施形態では、この段部20は、「SHOWA」という文字を描いている。
なお、本実施形態の摺動部材として自動二輪車のフロントフォークに用いられるインナーチューブ10を例に取り説明したが、これに限られることはなく、その他にも、例えば、自動二輪車のリヤサスペンションのピストンロッド、自転車のフロントフォークのインナーチューブ、自動車のショックアブゾーバのインナーチューブ等の車両用サスペンションの摺動部材全般に適用される。
次に、本発明の一実施形態に係る摺動部材の表面処理方法について説明する。
図2(A)に示すように、第1被膜形成工程において、インナーチューブ10の表面10Aには、イオンプレーティング技術により窒化チタン(TiN)膜14(第1被膜、第1の被膜)が形成される。
ここで、イオンプレーティング技術は、従来から当業者で広く知られている技術であり、放電によりイオン化した蒸発金属及び反応ガスが負に印加した母材に対して適度な衝撃を繰り返しながら金属或いはセラミックの被膜として被覆される現象を利用した真空蒸着法であり、蒸発物質が電気的に活性であり、しかも電場によるエネルギーを与えられることによって、非常につきまわりがよく、密着性に優れているのが特徴である。
このイオンプレーティング技術によりインナーチューブ10の表面10Aに形成された窒化チタン膜14の膜厚は、0.6μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
次に、図2(A)に示すように、マスキング工程において、任意の図形や文字(本実施形態では「SHOWA」の文字を指す)が描かれるように、窒化チタン膜14上にマスキング22を施す。このとき、マスキング22が施されていた第1被膜14上に位置する第3被膜18の膜厚と、マスキング22が施されていない第1被膜14上に位置する第2被膜16及び第3被膜18との総膜厚と、の膜厚差Hが0.05μm以上0.2μm以下となるように、コーティング処理時間が設定される。
ここで、マスキング22には、好ましくは耐熱性有機マスク材が用いられ、具体的にはエポキシ樹脂系のものが用いられる。
次に、図2(B)に示すように、第2被膜形成工程において、マスキング工程でマスキング22が施されていない窒化チタン膜14及びマスキング工程で施されたマスキング22に、イオンプレーティング技術により、酸化チタン(TiO)膜16(第2被膜、第2の被膜)がそれぞれ形成される。この酸化チタン膜16(第2被膜、第2の被膜)の膜厚は、0.05μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
次に、図2(C)に示すように、第3被膜形成工程において、マスキング22を取り除き、マスキング工程でマスキング22が施されていた窒化チタン膜14及びマスキング工程でマスキング22が施されていない窒化チタン膜14上に位置する酸化チタン膜16に、イオンプレーティング技術により、酸化チタン膜18(第3被膜、第2の被膜)がそれぞれ形成される。この酸化チタン膜18(第3被膜、第2の被膜)の膜厚は、0.1μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
以上の各工程により、インナーチューブ10の表面10Aには窒化チタン膜14と酸化チタン膜16、18とからなる複数の被膜が形成されるため、その摺動面が硬質で面粗度が小さくなり、かつ摩擦に対しても劣化し難くなる。
ここで、マスキング工程でマスキング22が施されていた窒化チタン14上に位置する酸化チタン膜18の膜厚と、マスキング工程でマスキング22が施されていない窒化チタン14上に位置する各酸化チタン膜16、18との総膜厚と、の膜厚差Hが0.05μm以上0.2μm以下となるため、摺動性能に優れたインナーチューブ10を得ることができる。
また、マスキング工程でマスキング22が施されていた窒化チタン14上に位置する酸化チタン膜18の膜厚と、マスキング工程でマスキング22が施されていない窒化チタン14上に位置する酸化チタン膜16、18との総膜厚と、の膜厚差Hを設けたため、インナーチューブ10の表面10Aで光が反射すると、光の干渉作用により、「SHOWA」という文字が摺動面に浮き上がって見えることになる。これにより、インナーチューブ10の摺動面に所定の文字を表現することができ、インナーチューブ10の意匠性を向上させることができる。
また、前記膜厚差Hが0.05μm以上0.2μm以下とすることによりインナーチューブ10の摺動面の段差が極めて小さくなり、インナーチューブ10の摺動を円滑にすることができる。また、インナーチューブ10が摺動する際に、アウターチューブ12の内部に充填されたオイルがこの段差に入り込み、オイルがアウターチューブ12から漏れてしまうことを防止できる。
さらに、インナーチューブ10の摺動面の段差を極めて小さくすることにより、摺動時におけるアウターチューブ12に対するインナーチューブ10の位置ずれを防止できる。このため、摺動時においてインナーチューブ10の軸線がずれることを防止できるため、摺動性能が低下することを防止できる。
本発明の一実施形態に係る摺動部材の平面図である。 本発明の一実施形態に係る摺動部材の表面処理方法の工程図である。
符号の説明
10 インナーチューブ(摺動部材)
14 窒化チタン膜(第1被膜、第1の被膜)
16 酸化チタン膜(第2被膜、第2の被膜)
18 酸化チタン膜(第3被膜、第2の被膜)
20 段部

Claims (8)

  1. 車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面に形成される第1の被膜と、
    前記第1の被膜上に形成される第2の被膜と、
    前記第2の被膜の膜厚を部分的に変化させて前記第2の被膜に設けた段部と、
    を有することを特徴とする摺動部材。
  2. 前記段部の深さが0.05μm以上0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記第1の被膜は窒化チタン膜であり、前記第2の被膜は酸化チタン膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 前記摺動部材は、フロントフォークのインナーチューブであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の摺動部材。
  5. 車両用サスペンションに用いられ所定の部材に対して摺動する摺動部材の表面にイオンプレーティングにより第1被膜を形成する第1被膜形成工程と、
    前記第1被膜の一部にマスキングを施すマスキング工程と、
    前記マスキング工程で前記マスキングが施されていない前記第1被膜及び前記マスキング工程で施された前記マスキングに、イオンプレーティングにより第2被膜をそれぞれ形成する第2被膜形成工程と、
    前記マスキングを取り除き、前記マスキング工程で前記マスキングが施されていない前記第1被膜上に位置する第2被膜及び前記マスキング工程で前記マスキングが施されていた前記第1被膜に、イオンプレーティングにより第3被膜をそれぞれ形成する第3被膜形成工程と、
    を有することを特徴とする摺動部材の表面処理方法。
  6. 前記マスキング工程で前記マスキングが施されていた前記第1被膜上に位置する前記第3被膜の膜厚と、前記マスキング工程で前記マスキングが施されていない前記第1被膜上に位置する前記第2被膜及び前記第3被膜との総膜厚と、の膜厚差が0.05μm以上0.2μm以下となることを特徴とする請求項5に記載の摺動部材の表面処理方法。
  7. 前記第1被膜形成工程で形成される前記第1被膜は窒化チタン膜であり、
    前記第2被膜形成工程及び前記第3被膜形成工程で形成される前記第2被膜及び前記第3被膜は酸化チタン膜であることを特徴とする請求項5又は6に記載の摺動部材の表面処理方法。
  8. 前記摺動部材は、フロントフォークのインナーチューブであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の摺動部材の表面処理方法。
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