JP2005281942A - 中空繊維混用品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリトリメチレンテレフタレート系繊維とメガネ型ポリエチレンテレフタレート中空繊維を混用することにより、単一の染料または染色工程で染色でき、しかも、得られる編織物が優れた杢調の色調を呈することが可能な混用品を提供する。また、優れた杢調の色調と同時に、軽量で優れた保温性と柔軟な風合い及びストレッチ性を兼ね備えた混用品を提供する。
【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレート系繊維と、ポリエチレンテレフタレートからなりフィラメントの横断面がフィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型の中空繊維とを混繊または、混編織したことを特徴とする混用品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、染色した際に際立った杢様の色調を発現可能で、しかも、編織物にした際に軽量で、優れた保温性と柔軟な風合い及びストレッチ性を兼ね備えたポリトリメチレンテレフタレート系繊維と中空繊維とからなる混用品に関する。
従来から、染色性を異にする複数の繊維を混繊または混編織して染色し、杢調の色調を発する編織物が知られている。これらの編織物は、単一の染色性からなる編織物に比較して、変化に富む色調が得られることから多数の提案がなされている。
その代表としては、特許文献1に開示された、イオン性染料に可染の繊維と不可染の繊維の混繊繊維である。
特許文献2には、色調の変化だけでなく、軽量感を付与する目的で、繊維断面に中空部を有するナイロン繊維とポリエステル繊維とを混繊することが開示されている。
これらの先行技術は、それなりに杢調の色調を呈するという効果を有するが、染色に際して2種類以上の染料を用いる必要があり、染色工程が複雑になるという問題があった。
単一の染料もしくは染色で杢調の色調を得る方法として、特許文献3には、繊維断面に中空部を有し、しかも、繊維の長さ方向に太細を持ついわゆる太細繊維(Thick&Thin繊維)が開示されている。染色が分散染料のみで染色可能であるといる利点を有する。しかしながら、該特許文献3で得られる杢調は、太(Thick)部と細(Thin)部の染着差が近似しているために、前記特許文献1や特許文献2のような優れた色調を得ることができなかった。
特許文献4には、染着性に優れた自発伸長型のポリエステルと、染着性に優れたポリトリメチレンテレフタレートからなるポリエステルを混繊することが開示されている。該特許文献には、両者の繊維断面を1〜15%の中空とすることにより、優れた風合いを有する編織物が得られることも開示されている。しかし、該特許文献で得られる編織物も、自発伸長型ポリエステルの染着性が良好なために、前記特許文献1や特許文献2のような杢調を得ることができなかった。
特開平07−252783号公報 特開平11−335904号公報 特開平07−324240号公報 特開2003−342851号公報
本発明の目的は、単一の染料または染色工程で染色できて、しかも、得られる編織物が優れた杢調の色調を呈することが可能な混用品を提供するにある。
本発明の他の目的は、優れた杢調の色調と同時に、軽量で優れた保温性と柔軟な風合い及びストレッチ性を兼ね備えた混用品を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するにあたり、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリトリメチレンテレフタレート系繊維と、繊維断面に特定の中空形状を有するポリエチレンテレフタレート系中空繊維を混用することにより、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に示す発明である。
1.ポリトリメチレンテレフタレート系繊維と、ポリエチレンテレフタレートからなりフィラメントの横断面がフィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型の中空繊維とを、混繊または、混編織したことを特徴とする混用品。
2.ポリトリメチレンテレフタレート系繊維が、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位を50モル%以上含有するポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレートを50質量%以上含有するポリエステル系ブレンド繊維、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり偏芯鞘芯若しくはサイドバイサイドで複合紡糸された潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維であることを特徴とする上記1.に記載の混用品。
3.中空繊維が、エチレンテレフタレート繰り返し単位を90モル%以上含有するポリエチレンテレフタレートからなり、フィラメントの横断面は、フィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型であって、以下の要件(1)〜(3)を満足するポリエステル中空繊維であることを特徴とする上記1.又は2.に記載の混用品。
(1)フィラメント横断面の扁平度:1.3〜3.0
(2)フィラメント横断面の中空率:16〜40%
(3)繊度変動値U%の周波数解析による変動係数CV値が0.5%以下
(但し、扁平度はフィラメント横断面の外接長方形の長辺と短辺の比である。)
4.ポリエチレンテレフタレート系中空繊維とポリトリメチレンテレフタレート系繊維の、動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.の両者の差が絶対値で10〜50℃であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載の混用品。
ポリトリメチレンテレフタレート系繊維とポリエチレンテレフタレートの中空繊維とを混用することにより、単一の染料または染色工程で染色でき、しかも、得られる編織物が優れた杢調の色調を呈することが可能な混用品を提供することができた。
本発明の他の効果は、優れた杢調の色調と同時に、軽量で優れた保温性と柔軟な風合い及びストレッチ性を兼ね備えた混用品を提供することができた。
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維(以下、「PTT系繊維」と称す)と、ポリエチレンテレフタレートからなるメガネ型中空繊維(以下、「PET系メガネ型中空繊維」と称す)を、繊維同士で混繊するか、または、編織物に混用することにより、優れた杢調の色調が発現することを見出した。
この理由は、明らかではないが、PTT系繊維がその分子構造の特性から、染料吸着性が非常に良好であるのに対し、PET系メガネ型中空繊維が、PETの分子構造特性から染料吸着性が小さいことに加えて、中空でかつ扁平であるために、同一染料吸着においても発色性が低いことによるものと推察される。
即ち、同一染色工程で両者の混用品を染色した場合に、PTT系繊維はより濃色に見え、PET系メガネ型中空繊維はより淡色に見え、単にPET繊維を混用した場合に比較して、格段に両者の色差が拡大して見えることによるものと考えられる。
加えて、本発明に用いるPET系メガネ型中空繊維は、繊維長方向の繊度変動値U%の変動係数CV値が小さいことも大きな特徴である。繊維長方向の繊度変動値U%の変動係数CV値が小さいということは、PET系メガネ型中空繊維が染色の均一性に優れていることを意味する。この効果により、杢調が編織物の全面において極めて均一となり、両者の色差が大きいにも係わらず、上品な杢調が得られることが本発明によって初めて明らかになった。
本発明においては、PET系メガネ型中空繊維とPTT系繊維の、動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.の両者の差が絶対値で10〜50℃であると、杢調の効果が一層顕著に発現される。
動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.は、分散染料の染着性と良く対応し、一定の染色条件で染色する場合は、極値温度Tmax.が低いほど染着性が高い。本発明では、PTT繊維とPET系メガネ型中空繊維の両者の極値温度差を特定することにより、両者の染着差を制御し、優れた杢調を発現させることを可能としたものである。動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.の両者の差は、より好ましくは20〜50℃である。
以下、本発明に用いるPTT系繊維とPET系メガネ型複合繊維の構成、及び、混用の形態について詳細に説明する。
本発明において、PTT系繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
PTT系繊維の好ましい特性としては、強度は2〜5cN/dtex、好ましくは2.5〜4.5cN/dtex、さらには3〜4.5cN/dtexが好ましい。伸度は30〜60%、好ましくは35〜55%、さらには40〜55%が好ましい。弾性率は30cN/dtex以下、好ましくは10〜30cN/dtex、さらには12〜28cN/dtex、特に15〜25cN/dtexが好ましい。10%伸長時の弾性回復率は70%以上、好ましくは80%以上、さらには90%以上、最も好ましくは95%以上である。
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンド(ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は50質量%以上である。)したり、複合紡糸(偏芯鞘芯、サイドバイサイド等)により少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートで構成される潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維としてもよい。
複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロンを並列的あるいは偏芯的に配置したサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に複合紡糸したものが挙げられ、特にポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、特に、特開2000−239927号公報に例示されるような固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ましい。
2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は0.05〜0.9(dl/g)であることが好ましく、特に0.1〜0.5(dl/g)、さらに0.15〜0.35(dl/g)がよい。例えば、高粘度側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/g)から選択されるのが好ましい。尚、低粘度側の固有粘度は0.8(dl/g)以上が好ましく、特に0.85〜1.0(dl/g)、さらに0.9〜1.0(dl/g)がよい。また、このPTT系複合繊維自体の固有粘度即ち平均固有粘度は、0.6〜1.2(dl/g)がよく、0.8〜1.2(dl/g)がより好ましい。特に0.85〜1.15(dl/g)が好ましく、さらに0.9〜1.1(dl/g)がよい。
なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである
二種のポリエステル成分の複合比は、一般的には質量%で70/30〜30/70の範囲内であるが特に限定されず、また接合面形状も、一般的には直線又は曲線形状のものがある)は特に限定されない。又、総繊度は20〜300dtexの範囲、単糸繊度は0.5〜20dtexの範囲が好ましく用いられる。
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等を含有させてもよい。
本発明においてPTT系繊維の紡糸については、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)の何れを採用しても良い。
本発明のPTT系繊維の、動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.は、80〜120℃であることが好ましい。極値温度Tmax.が低いほど、混用相手であるPET系メガネ型中空繊維との染着差が拡大して、優れた杢調が得られる。より好ましい極値温度Tmax.は、90〜110℃である。
又、繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブーメラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
さらに糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、単糸デニールが0.1〜5デニール程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等が挙げられる。
本発明に混用するPET系メガネ型中空繊維は、エチレンテレフタレート繰り返し単位が90モル%以上であるポリエチレンテレフタレートからなり、フィラメントの横断面がメガネ型の中空繊維である。より好ましくは、フィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有する8の字形状であって、以下の要件(1)〜(3)を満足することを特徴とするPET系メガネ型中空繊維である。
(1)フィラメント横断面の扁平度:1.3〜3.0
(2)フィラメント横断面の中空率:16〜40%
(3)繊度変動値U%の周波数解析による変動係数CV値が0.5%以下
(但し、扁平度はフィラメント横断面の外接長方形の長辺と短辺の比である。)
本発明に用いるPET系メガネ型中空繊維は、エチレンテレフタレート繰り返し単位が90モル%以上であるポリエチレンテレフタレートからなる繊維である。
本発明のポリエチレンテレフタレートには、10モル%未満の他のポリエステル成分が含まれていてもよい。他のポリエステル成分としては、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、スルホイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノールなどの酸成分や、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール成分などが挙げられる。
必要によって、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料などを含有してもよい。
本発明に用いるポリエチレンテレフタレートの固有粘度[η]は、0.60〜0.80であることが好ましい。固有粘度[η]が0.60未満又は0.80を越えると、以下に述べる紡口孔形状や紡口直下の冷却条件の選定が難しく、製造を安定して行うことが難しくなる。
・メガネ型の中空糸の横断面形状
本発明におけるフィラメントの横断面形状は、フィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型である。
本発明のメガネ型とは、単糸断面に独立した二つの中空部が存在する形状をいう。単糸断面の外形は、8字型のように二つの中空部の間にくびれを有するものや、小判型のようにくびれを有しないものであっても良い。
本発明のマルチフィラメントを構成するフィラメント横断面の代表的な形状を図1に模式的に示す。
図1(a)は、いわゆる8字型のメガネ型断面の模式図であり、図1(b)は小判型のメガネ型断面の模式図である。
本発明のメガネ型断面では、そのフィラメント横断面において、フィラメントの長手方向に延びる中空部を有することが必要である。
図2(a)や図2(b)に模式的に例示するように、そのフィラメント横断面に中空部を有しないか、1つの中空部しか有しない場合は、PTT系繊維との発色性の差が拡大せず、杢調が目立たなくなる。また、軽量性及び保温性が劣り、本発明の目的が達成されない。
二つの独立した中空部の大きさは、必ずしも同一である必要はないが、紡糸の安定性からほぼ同一であることが好ましい。また、外形も二つの独立した中空部を挟んで対象であることが好ましい。
本発明における繊維横断面の扁平度は1.3〜3.0であることが好ましい。扁平度が1.3未満では、発色性の差が小さくなり、本発明の目的が達成されない。扁平度が3.0を越えると、風合いは柔らかくなるが、中空率を大きくすることが困難になることや、フィラメント製造時に紡口直下で糸曲がりなどが生じて安定した製造ができなくなる。扁平度は、後述する方法により求める。
本発明のPET系メガネ型中空繊維は、編織物にした場合に、編織物中で扁平形状の長辺が編織物の面方向となり、いわゆるレンガ積み構造となり、曲げやすくなり、柔らかさを発現するものと思われる。扁平度は、好ましくは、1.5〜2.5、より好ましくは1.8〜2.5である。
本発明におけるPET系メガネ型中空繊維の中空率は、16〜40%であることが好ましい。中空率が16%未満では、発色性が高くなり杢調が目立たなくなり、本発明の目的が達成されない。中空率が40%を越えると、軽量性が増し、保温性が向上するが、曲げ応力が過度に高くなり、布帛にした際の風合いが硬いものになる。また、製造時に紡口直下での糸切れが増加し安定した製造が困難となるばかりか、糸長方向の繊度変動値U%の均一性が不良となる。布帛にした際の優れた杢調を発現し、しかも軽量性、保温性及び柔軟な風合いを兼備えるためには、中空率は20〜35%であることが好ましい。
ポリエチレンテレフタレートの比重は、1.35〜1.38であることから、中空率が25〜27%の場合に見掛け比重がおよそ1.0になる。
本発明に用いるPET系メガネ型中空繊維は、糸長方向の均質性の指標である繊度変動値U%の変動係数CV値が0.5%以下であることが好ましい。繊度変動値U%の変動係数CV値が0.5%を越えると、編織物に加工したとき、染めスジや染め斑などの欠点が生じ易くなり、杢調の均一性が損なわれることがある。繊度変動値U%の変動係数CV値は、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.3%以下である。
本発明のPET系メガネ型中空繊維は、動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.は120〜150℃であることが好ましい。PET系メガネ型中空繊維の極値温度Tmax.は、高温であるほど、混用相手であるPTT系繊維との染着差が拡大して、優れた杢調が得られる。より好ましい極値温度Tmax.は、125〜140℃である。
本発明のPET系メガネ型中空繊維は、前記の横断面形状特性に加えて、熱収縮応力及び、好ましくは、更に、フィラメントの曲げ特性を特定することにより、軽量性、保温性及び柔軟な風合いを兼ね備えた中空糸を実現することができる。
本発明のPET系メガネ型中空繊維は、熱収縮応力が0.05〜0.2cN/dtexであることが好ましい。
本発明で規定する熱収縮応力は、後述する方法により測定される、マルチフィラメントを加熱した際の収縮応力であるが、繊維軸方向の配向度が測定できない特殊な異型断面フィラメントに於いては、配向度の指標とみなせる。
本発明に用いるPET系メガネ型中空繊維のかかる低い熱収縮応力は、微細構造的には繊維軸方向の分子配向が公知のポリエステル繊維に比較して極めて低いことを意味する。
本発明における中空繊維は、フィラメント軸方向の分子配向度が低いことに基づいて、高い中空率にも係わらず曲げ応力が小さいために、従来のマルチフィラメントでは達成できなかった軽量性、保温性及び柔軟な風合いを兼ね備えることができる。
本発明の中空繊維の曲げ応力は、10×10-3cN/dtex以下であることが好ましい。曲げ応力は、後述の「連続ベンディング測定機」によって測定される中空繊維の曲げ硬さの指標である。
曲げ応力が10×10-3cN/dtexを越えると、柔軟な風合いの発現が困難になる傾向がある。曲げ応力は、フィラメントデシテックスが一定であれば、中空率が高くなるにしたがって大きくなる。曲げ応力が小さいほど、編織物に柔軟な風合いをもたらすことができる。フィラメント曲げ応力は、より好ましくは6×10-3cN/dtex以下、更に好ましくは5×10-3cN/dtex以下である。
本発明における中空繊維のフィラメントのデシテックスは、0.5〜4dtexであることが好ましく、より好ましくは、1〜3dtexである。フィラメントデシテックスが5dtexを越えると、風合いが硬くなる傾向がある。
本発明に用いるPET系メガネ型中空繊維の製造方法においては、紡糸孔がメガネフレーム状のスリットを有し、かつ扁平度が2〜4の孔を複数個穿孔した紡口を使用することが好ましい。
フィラメント横断面において、繊維の長手方向に延びる中空部を形成する目的から、紡糸孔はスリットがメガネフレーム状で、フィラメントの長手方向に延びる円形を有する紡口が使用される。この2つの円形部は、中空糸製造時の紡糸安定性や糸質の均一性を確保する目的からほぼ対称であることが好ましい。
紡糸孔の扁平度が2未満では、紡糸して得られるマルチフィラメントの扁平度が2未満となる。紡糸孔の扁平度が4を越えると、中空糸の製造時に糸曲がりなどの障害が生じ安定した製造が困難となる。
紡糸孔から重合体を吐出線速度2〜10m/分で吐出することが好ましい。より好ましくは3〜8m/分である。吐出線速度が2m/分未満では、紡糸孔の円形部をいかに大きくしても中空率を20%以上に形成することが困難となる。吐出線速度が10m/分を越えると、中空率を高く形成することが可能となるが、吐出孔周辺の汚染が早くなり紡口直下での糸曲りによる紡糸糸切れが多発し、安定した製造が困難となるばかりか、糸質斑が大きくなり本発明の目的が達成されない。吐出線速度は、紡糸孔の穿孔面積と孔当たりのポリマーの吐出量によって設定する。
紡糸孔より吐出されたマルチフィラメントを、紡口直下3cmにおけるフィラメント近傍1cmの温度を200℃以下として冷却、固化し、仕上げ剤を付与する。
紡口直下3cmにおけるフィラメント近傍1cmの温度が200℃を越えると、紡口形状や孔の扁平度をいかに大きくしても、本発明の中空糸を得ることが困難となるばかりか、繊度変動値U%の周波数解析による変動係数CV値が0.5%を越え均質なマルチフィラメントとすることが困難となる。紡口直下3cmにおけるフィラメント近傍1cmの温度は180℃以下が好ましく、更に好ましくは170℃以下である。
吐出されたマルチフィラメントを冷却固化し、仕上げ剤を付与した後、一旦巻き取ることなく、連続して延伸するに際し、紡糸速度(m/分)と延伸倍率の積が3000〜4500(m/分)で延伸する。
この紡糸速度と延伸倍率の積は、本発明のマルチフィラメントの熱収縮応力と曲げ応力という繊維特性を特異的な範囲に特定する重要な要件である。
この積が3000(m/分)未満では、熱収縮応力が0.05cN/dtex未満となり、本発明の目的が達成されない。この積が4500(m/分)を越えると、熱収縮応力が0.2cN/dtexを越え、本発明の目的が達成されない。
紡糸速度と延伸倍率の積は、好ましくは、3500〜4200(m/分)、より好ましくは、3700〜4100(m/分)である。
ここでいう紡糸速度とは、紡糸―延伸を連続して行う連続延伸方式において、引取ロールの周速度によって決まる速度である。
通常、ポリエステルマルチフィラメントを連続延伸する場合、紡糸速度として約1000〜3000m/分が採用される。紡糸速度1000m/分の場合の延伸倍率が約4.5〜5倍であることから、この積は約4500〜5000(m/分)となる。紡糸速度が3000m/分の場合には延伸倍率が約1.5〜2倍であることから、この積は約4500〜6000(m/分)となる。
繊度変動値U%の変動係数CV値を小さくするためには、冷風の吹き出し方向に対して、全ての紡糸孔Nの扁平の長軸(L2)が直角に配置することが好ましい。この様子を、図3に例示する。
更に、変動係数CV値を小さくするには、冷風の吹き出し部と、紡糸孔の間隔を5〜20mmに設定し、冷却風の均一性を増すことが好ましい。
本発明は、PTT系繊維(A)とPET系メガネ型中空繊維(B)を複合するものであり、好ましい両者の複合比率(A/B;質量%)は、10〜90/90〜10より好ましくは20〜80/80〜20さらに30〜70/70〜30、特に40〜60/60〜40が最適である。複合手段としては、糸段階で複合するものとして、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊(高収縮糸や異収縮混繊糸との混繊糸等)、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚(先撚同方向仮撚や先撚異方向仮撚)、伸度差仮撚、位相差仮撚、融着仮撚等)、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等の手段があり、機上で複合する手段としては、一般的な交編織があり、例えば交編では、両者を引き揃えて給糸したり、二重編地(例えばダブル丸編機、ダブル横編機、ダブルラッセル経編機)において表面及び/又は裏面に各々給糸又は引き揃えて給糸する方法がある。
交織では一方が経糸に他方を緯糸に用いる、経糸及び/又は緯糸において両者を1〜3本交互に整経や緯入れにより配置する、さらには起毛織物やパイル織物において一方が地組織を構成し、他方が起毛部、パイル部を構成したり、混用して地組織、起毛部等を構成する、二重織物において表面及び/又は裏面を各々構成、又は混用して構成する等がある。又、これら各種の糸段階での複合と機上での複合を組み合わせてもよい。
さらに糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、単糸デニールが0.1〜5デニール程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等が挙げられる。
尚、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常50重量%以下の範囲内で、天然繊維、合成繊維等他の繊維例えば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース、アセテート(ジー、トリー)、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等ポリアミド系繊維、アクリル系繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプや、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)等の他の繊維を混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、沸水収縮率3〜10%程度の低収縮糸、沸水収縮率15〜30%程度高収縮糸さらには異収縮混繊糸等との混繊や交撚、交撚、諸撚糸、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚(先撚同方向仮撚や先撚異方向仮撚)、伸度差仮撚、位相差仮撚、融着仮撚等)、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等の手段で混用してもよい。
本発明の編織物は、疎水性のポリエステルに吸水性能を発現させるため親水加工を施すことも可能である。親水加工には、一般に市販されている親水処理剤を用いることができる。例えば、ポリエチレングリコール系の親水加工剤(高松油脂製のSR1000など)を用い、5%owf水溶液にて布帛又は原糸を30分間沸水中で処理することにより親水加工を行うことができる。加工された編織物に、吸水速乾性編織物の製造に用いることができる。
本発明の編織物は、汗等の吸水機能を維持するため、雨等の外側からの水を吸水し難くする必要があり、表面に撥水加工を施こしてもよい。
撥水加工は、一般に市販されている撥水処理剤を用いることができる。具体的には、フッ素樹脂系、メラミン樹脂系、その他の撥水処理剤などを利用できる。
以下、実施例をもって本発明を説明する。
<ポリトリメチレンテレフタレート系繊維の製造>
固有粘度[η]0.92のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、56dtex/24fの延伸糸を得た。延伸糸の強伸度、弾性率並びに10%伸長時の弾性回復率は、各々3.3cN/dtex、46%、20cN/dtex並びに98%であった。
尚、10%伸長時の弾性回復率は以下の方法で求めた。
繊維をチャック間距離10cmで引っ張り試験機に取り付け、伸長率10%まで引っ張り速度20cm/minで伸長し1分間放置した。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描く。収縮中、応力がゼロになった時の伸度を残留伸度(A)とする。弾性回復率は以下の式に従って求めた。
10%伸長時の弾性回復率=〔(10−A)/10〕×100(%)
又、固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=Lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリマーの稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
<潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の製造>
固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを比率1:1でサイドバイサイド型に押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を得、次いでホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が56dtexとなるように設定して延撚し、56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。紡糸に用いた固有粘度は高粘度側が[η]=1.26dl/g、低粘度側が[η]=0.92dl/gであった。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とした。
<メガネ型中空繊維の製造>
酸化チタンを0.5重量%を含む、固有粘度[η]0.65のポリエチレンテレフタレートを公知の紡糸機ー連続延伸機を用いて下記に示す条件で紡糸し、巻き取ることなく連続して延伸を行った。
紡糸にあたっては、メガネ形状に穿孔された孔を、畝状に24個配列した紡糸口金を使用した。この時、孔の扁平度は2.2、孔の中空部の面積が1.57mm2 であった。
紡口直下3cmにおけるフィラメント近傍温度160℃とし、その他の紡糸条件は、以下のように行った。
紡糸温度 295 ℃
仕上げ剤付着率 0.7重量%
(延伸条件)
第1ゴデットロール速度 2400 m/分
第1ゴデットロール温度 85 ℃
第2ゴデットロール速度 延伸糸の破断伸度が30%となるように設定
第2ゴデットロール温度 130 ℃
巻取速度/第2ゴデット 0.983
得られた中空繊維は、中空率27%、扁平度2.1、繊度変動値U%の変動係数CV値0.2%、熱収縮応力0.09cN/dtex、曲げ応力4.5×10-3cN/dtexであった。
ここで、各測定値は、以下によって行った。
(1)中空率
フィラメントから任意に5点の横断面写真を撮影し、その横断面写真を図積分して、全面積に対する中空部の面積の割合を中空率とした。
(2)扁平度
フィラメントの横断面写真上に、図1に示すように断面に外接する長方形を描き、この長方形の短軸(L1)と長軸(L2)の比を式:(L2)/(L1)により算出した。
(3)繊度変動値U%
USTER TESTER 4(zellweger社製)により、以下の条件により測定する。
・測定条件:ハイパスフィルター 有り
測定速度 100m/分
測定糸長 2000m
(4)熱収縮応力極値温度
熱応力測定装置(例えば、カネボウエンジニアリング社製、商品名KEー2)を用いて測定する。糸(マルチフィラメント)を20cmの長さに切り取り、これの両端を結んで輪を作り、測定器に装填する。初荷重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で測定し、熱応力の温度変化を示すチャートから熱応力曲線のピーク値を読みとる。その値が熱収縮応力の極値温度である。
(5)曲げ応力
マイクロニクス社製:連続ベンディング測定機;CV−101型、を使用して、マルチフィラメントの曲げ応力を測定する。測定は、糸長方向に50cmごとに計25回測定し、この平均値をマルチフィラメントのデシテックスで除して、曲げ応力とする。
(6)動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.の測定
オリエンテック社製レオバイブロンを用い、乾燥空気中で、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分にて、各温度における損失正接(tanδ)、および動的粘弾性を測定した。その結果から、損失正接―温度曲線を求め、この曲線上で損失正接のピーク温度である極値温度Tmax.を求めた。
<染色条件>
分散染料として、Sumikaron Blue/S−3RF(住友化学社(株)製、商品名)を、布帛に対して3重量%使用し、さらに分散剤として、ニッカサンソルト7000(日華化学(株)製、商品名)0.5g/リットル、酢酸0.25ml/リットル、酢酸ナトリウム1.0g/リットルを添加して、pHを5に調整した。浴比50倍の浴中で、130℃にて120分間染色した。
杢調の良否及び均一性は、以下の基準で熟練者が判定する。
◎ :優れた杢調感あり
○ :杢調感あり
× :杢調感なし
<風合い,軽量性>
以下の基準で熟練者が判定する。
◎ :非常に柔軟でかつ、軽量感あり
○ :柔軟でかつ、軽量感あり
× :劣る(硬い)
(実施例1、比較例1)
PET系メガネ中空繊維として、上記の製造例で得られた中空率27%、扁平度2.1の58dtex/24f(B)と、上記の製造例で得られた56dtex/24fのPTT系繊維マルチフィラメント原糸(A)をインターレース加工(空気圧0.3MPa)により70個/mの交絡を付与した。各々の動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.は、130℃と112℃であった。次いで、ダブルツイスターによりS方向に1200T/mの撚数(撚係数14199)で交撚して交撚糸、同様にZ方向の交撚糸を作製し、真空セッターにて60℃×40分の撚止めセットを行った。
緯糸に、S撚り交撚糸とZ撚り交撚糸を一本交互に用い、経糸に56dtex/24fのポリトリメチレンテレフタレート原糸を用いて2/2綾織物をエアジェットルームで製織(経糸CF=1300、緯糸CF=940)した。この生機をオープンソーパーで拡布精練し、分散染料;Sumikaron Blueを用いて染色し、仕上げ加工した(経糸CF=1890、緯糸CF=1060)。
比較例として、ポリエチレンテレフタレートからなる56dtex/24fの中実繊維(動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.は、135℃)を、実施例1のPTT系マルチフィラメントに代替して用い、同様にして織物を作成した。
得られた織物は、際立った杢調を有し品位も良好で、かつ、柔軟で軽量感に優れたものであった。
比較例1の織物は、杢調感がなく、かつ、軽量感に欠けるものであった。
(実施例2)
実施例1において、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント原糸の代わりに上記の製造例で得られた潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維マルチフィラメント原糸(動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.は、107℃)を用いた以外は実施例1同様にして交撚糸(A)、交撚糸(B)を作製し、次いで製織、拡布精練、染色、仕上げ加工した。
織物を、実施例1と同様にして精練、染色、仕上げ加工を行った。得られた織物は、際立った杢調を有し、柔軟で軽量感に優れたものであった。しかも、緯方向のストレッチ率が14%でストレッチ性に優れた織物であった。
(実施例3〜5、比較例2〜3)
実施例2において、ポリエチレンテレフタレートからなるメガネ中空繊維の特性を、表1のように異ならせて織物を得た。
Figure 2005281942
本発明の混用品は、特に婦人用ブラウスなどのアウター分野で好適に利用できる。
本発明のメガネ型中空繊維マルチフィラメントの横断面形状を示す模式図である。 フィラメントの横断面に中空部を有しないか、1つの中空部しか有しないマルチフィラメントの横断面形状を示す模式図である。 本発明のメガネ型中空繊維マルチフィラメントを紡糸する紡糸口金の孔配列を示す模式図である。

Claims (4)

  1. ポリトリメチレンテレフタレート系繊維と、ポリエチレンテレフタレートからなりフィラメントの横断面がフィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型の中空繊維とを、混繊または、混編織したことを特徴とする混用品。
  2. ポリトリメチレンテレフタレート系繊維が、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位を50モル%以上含有するポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレートを50質量%以上含有するポリエステル系ブレンド繊維、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり偏芯鞘芯もしくはサイドバイサイドで複合紡糸された潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維であることを特徴とする請求項1に記載の混用品。
  3. 中空繊維が、エチレンテレフタレート繰り返し単位を90モル%以上含有するポリエチレンテレフタレートからなり、フィラメントの横断面は、フィラメントの長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型であって、以下の要件(1)〜(3)を満足するポリエステル中空繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の混用品。
    (1)フィラメント横断面の扁平度:1.3〜3.0
    (2)フィラメント横断面の中空率:16〜40%
    (3)繊度変動値U%の周波数解析による変動係数CV値が0.5%以下
    (但し、扁平度はフィラメント横断面の外接長方形の長辺と短辺の比である。)
  4. ポリエチレンテレフタレート系中空繊維とポリトリメチレンテレフタレート系繊維の、動的粘弾性測定による損失正接の極値温度Tmax.の両者の差が絶対値で10〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混用品。
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