JP2005281580A - 金型離型回復樹脂組成物及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 少ないショット数でも離型性を回復させることができ、離型性回復直後の半導体装置の封止樹脂硬化物表面に油浮きや汚れを生じず、かつ離型性を長く維持することができる半導体封止用金型離型回復樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、及び(D)無機充填材を主成分とする樹脂組成物であって、更に(E)特殊構造を有するエステル化合物を全樹脂組成物中に0.1〜10重量%含むことを特徴とする半導体封止用金型離型回復樹脂組成物。

Description

本発明は、金型離型回復樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置の製造方法に関するものである。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体素子の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。この要求に対応する様々な樹脂や添加剤が用いられた半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、連続成形時に金型汚れが発生し、金型取られ、未充填等の成形不具合が起こりやすくなり、そのため定期的に金型表面のクリーニングを行うことが通常となってきている。
従来、半導体封止用金型のクリーニング材は、アミノ系樹脂のような成形収縮率の大きい樹脂と結晶破砕シリカ、ガラス繊維等の硬度の高い充填材等からなり、このクリーニング材を用いて金型表面の汚れを削り落とすというものが主体であった。クリーニング材を使用した後は金型表面が綺麗になる反面、金型表面の離型剤も取り去られるため、クリーニングした直後に成形された半導体装置の封止樹脂硬化物は極端に離型性が悪くなるという問題があった。そのためクリーニング材の使用後に、金型離型回復樹脂組成物を成形し、金型表面に金型離型回復樹脂組成物中の離型剤を移行させ塗布し、離型性を回復させる必要がある。
金型離型回復樹脂組成物の機能は、金型表面に離型剤を移行させ塗布し、速やかに離型性を回復させることにあるが、多量の離型剤を移行させてしまうと、その後成形した半導体装置の封止樹脂硬化物表面に油浮きや汚れを起こすという問題があり、十分に離型剤を移行できない場合は離型性が回復できず、離型回復樹脂組成物を多量に用いる必要があるという問題が発生する。更に離型性回復後の離型性を長く持続できない場合は、頻繁に離型回復樹脂組成物を用いる必要があり生産性が低下する。
このため、離型剤としてモンタン酸系のエステルワックスや酸化、非酸化ポリエチレンワックスに酸化防止剤を添加することによって離型持続性を改善する手法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これらの手法により、離型持続性は改善されるが、油浮きや汚れを起こすという問題を十分に解決できなかった。
特開平4−259513(第2〜5頁)
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、少ないショット数でも離型性を回復させることができ、離型性回復直後の半導体装置の封止樹脂硬化物表面に油浮きや汚れを生じず、かつ離型性を長く維持することができる半導体封止用金型離型回復樹脂組成物、及びそれ用いて成形金型の離型性を回復させる樹脂封止型半導体装置の製造方法を提供するものである。
本発明は、
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、及び(D)無機充填材を主成分とする樹脂組成物であって、更に(E)般式(1)で表される化合物を全樹脂組成物中に0.1〜10重量%含むことを特徴とする半導体封止用金型離型回復樹脂組成物、
Figure 2005281580
(ただし、式中のnは12〜50の正数。)
[2]半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を成形封止する樹脂封止型半導体装置の製造方法において、第[1]項記載の半導体封止用金型離型回復樹脂組成物を用いて成形金型の離型性を回復させることを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法、
である。
本発明に従うと、少ないショット数でも離型性を回復させることができ、離型性回復直後の半導体装置の封止樹脂硬化物表面に油浮きや汚れを生じず、かつ離型性を長く維持することができることで樹脂封止型半導体装置の生産性向上に寄与するため、産業上有用である。
本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、及び無機充填材を主成分とシ、更に特殊構造を有するエステル化合物を必須成分として含む金型離型回復樹脂組成物を用いて成形金型の離型性を回復させることにより、少ないショット数でも離型性を回復させることができ、離型性回復直後の半導体装置の封止樹脂硬化物表面に油浮きや汚れを生じず、かつ離型性を長く維持することができるという顕著な効果が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
本発明で用いられるフェノール樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェニレン及び/又はジフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合割合は特に限定するものではないが、エポキシ基/フェノール性水酸基の比としては、0.7〜1.5が好ましく、更に好ましくは0.9〜1.2が望ましい。この範囲から大きく外れると、金型離型回復樹脂組成物が充分に硬化せず離型性低下等の作業性の悪化が起こるおそれがある。
本発明で用いられる硬化促進剤としては、前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応の触媒となり得るものを指し、例えば、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらの硬化促進剤は単独でも混合して用いてもよい。
本発明に用いる無機充填材としては、一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。例えば、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、チタンホワイト、窒化珪素等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、球状溶融シリカである。これらの無機充填剤は、単独でも混合して用いても差し支えない。またこれらがカップリング剤により表面処理されていてもかまわない。
本発明に用いる一般式(1)で表される化合物は、離型性を向上させる機能を有しているため、これを用いた金型離型回復樹脂組成物は、クリーニング材使用後の金型の離型性を即座に回復することができる。一般式(1)で表される化合物中のnは平均値で、12〜50の正数である。nの値が下限値を下回ると分子量が低く熱的安定性に優れないため、離型維持性が不充分となり好ましくない。またnの値が上限値を超えると、金型表面に過度に染み出すことにより、金型離型回復性の効果の点では優れているが、離型性回復直後に成形した半導体装置に油浮きや汚れが生じるという欠点があるため好ましくない。
Figure 2005281580
一般式(1)で表される化合物の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中0.1〜10重量%である。下限値を下回ると金型表面に一般式(1)で表される化合物が充分に移行せず、期待されるような金型離型回復性が得られないおそれがある。上限値を超えると金型表面に過度に染み出し、離型回復直後の半導体装置に油浮きが生じるという問題がある。
本発明の半導体封止用金型離型回復樹脂組成物には、(A)〜(E)成分の他に、必要に応じてカルナバワックス、ステアリン酸、モンタン酸ワックスといった離型剤や、カップリング剤、酸化防止剤、カーボンブラック等の着色剤等の添加剤を用いてもよい。
本発明の半導体封止用金型離型回復樹脂組成物は、ミキサー等を用いて原料を充分に均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
以下に本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例、比較例で用いたエステル化合物について、下記にまとめて示す。
化合物1:式(1)で表される化合物(n=12)
化合物2:式(1)で表される化合物(n=46)
化合物3:式(1)で表される化合物(n=52)
化合物4:式(1)で表される化合物(n=8)
実施例1
金型離型回復樹脂組成物1
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点65℃、エポキシ当量209)
20.20重量部
フェノールノボラック樹脂(軟化点90℃、水酸基当量104) 10.00重量部
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
0.20重量部
溶融球状シリカ(平均粒径28μm) 67.00重量部
化合物1 2.00重量部
カルナバワックス 0.30重量部
カーボンブラック 0.30重量部
をミキサーを用いて各成分を混合した後、表面温度が95℃と25℃の2軸ロールを用いて20回混練し、得られた混練物シートを冷却後粉砕し、4メッシュ以下の粉砕物をタブレット化した。得られた金型離型回復樹脂組成物の特性を以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
評価用金型及び評価用材料
離型回復性、離型持続性、及び成形品汚れの評価用に用いた評価用金型及び評価用材料について下記に示す。
評価用金型:上型、図1に示す中型、及び下型からなり、成形後中型に付着する成形品の形状は、直径14.0mm、高さ1.5mm厚である(トランスファー成形用)。
評価用材料:住友ベークライト(株)製・半導体封止用エポキシ樹脂成形材料EME−7351
評価方法
離型回復性:金型表面をクリーニングするためのメラミン樹脂系クリーニング材(住友ベークライト(株)製、EMEC3)を用いて、評価用金型で成形品を成形し、前記金型の表面の離型剤成分を取り除いた後、金型離型回復樹脂組成物を3回成形した後、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分の条件で評価用材料(住友ベークライト(株)製、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料EME−7351)をトランスファー成形し、評価金型の上部の穴からプッシュプルゲージを当てて成形品を突き出し、その際にかかる離型荷重を測定した。単位はMPa。判定基準は30MPa以上を不合格、30MPa未満を合格とした。
離型持続性:金型表面をクリーニングするためのメラミン樹脂系クリーニング材を用いて、評価用金型で成形品を成形し、前記金型の表面の離型剤成分を取り除いた後、金型離型回復樹脂組成物を3回成形した後、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で評価用材料をトランスファー成形し、評価金型の上部の穴からプッシュプルゲージを当てて成形品を突き出し、その際にかかる離型荷重を測定した。続けて評価用材料を200ショット成形し、離型荷重のショットごとの変化を測定した。このとき荷重が80MPa以上となったときのショット数を結果に記載した。200<は、200ショット以上を意味し、200ショット後においても荷重が80MPa以下であることを表現したものである。判定基準は150ショット未満を不合格、150ショット以上を合格とした。
成形品汚れ:金型表面をクリーニングするためのメラミン樹脂系クリーニング材を用いて、評価用金型で成形品を成形し、前記金型の表面の離型剤成分を取り除いた後、金型離型回復樹脂組成物を3回成形した後、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で評価用材料をトランスファー成形した。成形した評価用材料の成形品表面の油浮きと汚れを確認した。硬化物表面に油浮きや汚れが発生したものは×、油浮きや汚れがないものは○と記載した。
実施例2〜5、比較例1〜5
表2、の配合に従い、実施例1と同様に金型離型回復樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。実施例2で用いたビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000)は、融点105℃、エポキシ当量195である。実施例2で用いたフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、XL−225)は、軟化点79℃、水酸基当量174である。
Figure 2005281580
本発明に従うと、少ないショット数でも離型性を回復させることができ、離型性回復直後の半導体装置の封止樹脂硬化物表面に油浮きや汚れを生じず、かつ離型性を長く維持することができることで、樹脂封止型半導体装置の生産性向上に寄与するため、産業上有用である。
評価金型の中型にカル、ランナー、成形品が充填した状態の下面側から見た平面図である。 図1のA部の拡大断面図である。
符号の説明
1 中型
2 カル
3 ランナー
4 成形品
5 エアベント
6 取っ手
7 プッシュプルゲージ挿入用の穴

Claims (2)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、及び(D)無機充填材を主成分とする樹脂組成物であって、更に(E)一般式(1)で表される化合物を全樹脂組成物中に0.1〜10重量%含むことを特徴とする半導体封止用金型離型回復樹脂組成物。
    Figure 2005281580
    (ただし、式中のnは12〜50の正数。)
  2. 半導体封止用樹脂組成物を用いて半導体素子を成形封止する樹脂封止型半導体装置の製造方法において、請求項1記載の半導体封止用金型離型回復樹脂組成物を用いて成形金型の離型性を回復させることを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。
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