JP2005280124A - 炭素繊維強化シート状物および炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

炭素繊維強化シート状物および炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、炭素繊維とラジカル重合系樹脂の接着性に優れ、炭素繊維束内への樹脂含浸性、炭素繊維束の分散性に優れた炭素繊維強化シート状物、および硬化成形して得られる炭素繊維強化複合材料を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の炭素繊維強化シート状物はサイジング剤が付着してなり、かつスチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量が炭素繊維1g当たり0.2〜1.5重量%である炭素繊維束と、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキシド類から選ばれる1種以上の硬化剤を含むラジカル重合系樹脂組成物とからなる、炭素繊維強化シート状物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維強化シート状物、およびかかる炭素繊維強化シート状物を硬化成形して得られる炭素繊維強化複合材料に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、成形時の炭素繊維束内への樹脂含浸性、分散性が優れ、かつ成形物の機械物性に優れた高温硬化タイプ炭素繊維強化シート状物および機械物性に優れた炭素繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維強化シート状物としては、炭素繊維とエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、熱可塑性樹脂など組み合わせたものが広く使用され、特にエポキシ樹脂と組み合わせたものはプリプレグとして、スポーツ用途、航空機用途、産業用途などに広く使用されている。最近は、比較的短時間で成形できるラジカル重合系樹脂であるビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂との組み合わせてシートモールディングコンパウンド(以下、SMCと称す)、バルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと称す)シート材として、産業用途などに使用されつつある。
炭素繊維とラジカル重合系樹脂を組み合わせた炭素繊維強化複合材料を産業用途に使用するには、炭素繊維とマトリックス樹脂との間に高い接着性を有することが機械物性向上に必要である。また、ボイドが少なく、高品位であることも要求される。従って、かかる炭素繊維強化複合材料を製造するための炭素繊維強化シート状物としては、成形時に炭素繊維束内への樹脂が含浸しやすく、シート状物中に適当な状態で炭素繊維束が分散しており、加えてケバ等の欠点が少ないことが求められる。
炭素繊維束と不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等のラジカル重合系樹脂との接着性を向上させる方法としては、炭素繊維束のサイジング剤としてビニルエステル樹脂を用いる方法(特許文献1,2参照)が開示されている。また、ビニル基、メタクリレート基などラジカル重合可能な末端不飽和基を有する化合物や、同時にエポキシ基も有する化合物などがラジカル重合性樹脂と炭素繊維束との接着性を向上させるサイジング剤として開示されている(特許文献3,4参照)。これら、末端不飽和基を有する化合物をサイジング剤として使用した場合は、直射日光や熱などでラジカル重合を起こる可能性があり、炭素繊維束が硬くなり、炭素繊維束への樹脂含浸が不足する場合が考えられる。
さらに、SMC等に代表されるシート状物では、そのポットライフを長くするため、高温下で重合が開始する硬化剤(以下、高温硬化剤と称す)を用いられているが、従来は高温下で硬化するラジカル重合系樹脂に適した炭素繊維との接着性を向上させる検討はなされていない。かつシート状物を作製する際の炭素繊維束のカット性、炭素繊維束内への樹脂含浸性、炭素繊維束の分散性などを満足する炭素繊維強化シートはいまだ見い出されていないのが現状である。
特公昭62−18671号公報 特開2003−292633号公報 特開2000−355883号公報 特開2002−13069号公報
したがって、本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、炭素繊維束内への樹脂含浸性、炭素繊維束の分散性に優れた炭素繊維強化シート状物であって、マトリックス樹脂と炭素繊維との接着性が優れた炭素繊維強化複合材料を得ることのできる炭素繊維強化シート状物、およびかかるシート状物を硬化成形して得られる、機械特性に優れた炭素繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、かかる課題を解決するために、次の構成を有する。すなわち、サイジング剤が付着してなり、かつスチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量が炭素繊維1g当たり0.2〜1.5重量%である炭素繊維束と、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキシド類から選ばれる少なくとも1種以上の硬化剤を含むラジカル重合系樹脂組成物とからなる、炭素繊維強化シート状物である。また、かかる炭素繊維強化シート状物を硬化成形して得られる炭素繊維強化複合材料である。
本発明の炭素繊維強化シート状物は、炭素繊維束内への樹脂含浸性、炭素繊維束の分散性に優れ、かつかかるシート状物を硬化して得られる繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂と炭素繊維との接着性に優れ、曲げ強度などの機械特性に優れたものとなる。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、サイジング剤が付着してなり、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量が1gあたり0.2〜1.5重量%である炭素繊維と、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキシド類から選ばれる硬化剤を含有するラジカル重合系樹脂とからなる炭素繊維強化シート状物を得たところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
一般的に、ラジカル重合系樹脂には、スチレンモノマーに代表される重合性モノマーが数十重量%含まれるため、成形時にはサイジング剤が樹脂中に拡散し、本来の高い接着強度を発現しない場合がある。上記の範囲であるとサイジング剤が成形中に炭素繊維表面に残存するために炭素繊維束の収束が維持されるため、成形中の樹脂流動により炭素繊維束がフローする場合にも、単繊維のばらけによる毛玉など塊状発生が抑えられるため、本シートを硬化するとボイド生成が少なく、成形板表面が平滑で高品位で高い機械強度を発現できる炭素繊維強化複合材料が得られる。また成形後も前記サイジング剤成分が炭素繊維表面に残存し得るために、さらに接着強度の高い成形品を得ることができる。0.2重量%未満の場合、単繊維にばらけやすいため、品位の高い炭素繊維強化複合材料が得られない場合があり、1.5重量%を超えると、炭素繊維束の収束性が強いため、束内へのマトリックス樹脂含浸が阻害され、ボイドあるいは樹脂含浸不良の要因となり、得られた成形物では高い機械特性が発現しない可能性がある。好ましくは0.2〜1.2重量%である。
ここで、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量とは、以下の方法によって求めた値である。まず、サイジング剤が付着した炭素繊維束3±0.2gを室温条件下でスチレン100cc中に1時間浸漬させる。スチレン溶媒から炭素繊維束を取り出し、100℃、1時間乾燥させたのち、スチレン溶媒に溶解しないサイジング剤成分が残存した炭素繊維束の重量(W1)を秤量する。次に、窒素雰囲気中450℃×15分間加熱処理した後、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却した炭素繊維束の重量(W2)を秤量する。スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量、すなわち炭素繊維束上でスチレン溶媒に溶解せず残存するサイジング剤成分の量(W)は下式により算出した。
W(重量%)=(W1−W2)/W2×100
また、炭素繊維強化シート状物からかかるスチレン溶媒に溶解せず、炭素繊維上に残存するサイジング剤成分付着量を求める場合には、まず、炭素繊維強化シート状物6±0.2gを室温条件下でアセトン500cc中に2時間浸漬させることにより、マトリックス樹脂成分をアセトン中に溶出させる。その後、上記の炭素繊維束と同様の方法によって、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量を算出することができる。
スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量を上記範囲に制御できるサイジング剤であれば、その種類は限定されないが、例えば、後述するエポキシ化合物などを、炭素繊維束に付与した後、加熱処理などしてスチレン溶媒に難溶解化することが好ましい。しかし、直射日光や室温でラジカル重合が容易に起こる末端不飽和基を有する化合物は炭素繊維束が硬くなる可能性があり、好ましくない。加熱処理手段は特に限定しないが、具体的には空気雰囲気下で、好ましくは150〜340℃、より好ましくは150〜250℃で加熱して、エポキシ樹脂をオリゴマー化することも好ましい。
本発明の炭素繊維強化シート状物は、上述したように、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキシド類等の有機過酸化物を硬化剤として含有する。これら有機過酸化物は、高温に達することで自己分解して、遊離ラジカルを生成するため、上述のスチレン溶媒に不溶なサイジング剤が付着してなる炭素繊維と組み合わせて、初めて優れた機械物性を発現することができる。
本発明におけるラジカル重合系樹脂の硬化剤の具体例としては、例えば、パーオキシエステル類では、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ヘキシルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。また、パーオキシケタール類では、1,1-ジ(tert-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。また、ジアルキルパーオキシド類では、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。硬化剤の添加量は、ラジカル重合系樹脂100重量部に対して、0.2〜2重量部が好ましく、0.5〜2重量部がより好ましく、0.5〜1.5重量部がさらに好ましい。
パーオキシエステル類の市販品としては、日本油脂(株)製パーブチルZ、パーブチルI、パーブチルO、パーヘキシルI、パーブチルE、パーヘキサ25MT、パーヘキシルZ、化薬アクゾ(株)製カヤブチルB、カヤカルボンBIC−75、カヤエステルOなど、パーオキシケタール類の市販品としては、日本油脂(株)製パーヘキサTMH、パーヘキサHC、パーヘキサC、化薬アクゾ製トリゴノックス22、トリゴノックス29など、ジアルキルパーオキシド類の市販品としては、日本油脂(株)製パークミルD、パーブチルC、化薬アクゾ(株)製カヤクミルDなどが挙げられる。
本発明におけるラジカル重合系樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などを挙げることができる。具体的には、不飽和ポリエステル樹脂としては、昭和高分子(株)製リゴラック(登録商標)M−411−1、M−407、M−580など、ビニルエステル樹脂としては、昭和高分子(株)製リポキシ(登録商標)RS−7030、RS−6030、ダウ・ケミカル(株)製デラケン(登録商標)790などを挙げることができる。
本発明の炭素繊維強化複合材料を構成する炭素繊維は、複数のグリシジル基を有し、エポキシ価1ミリ当量/g以上8ミリ当量/g以下であるエポキシ化合物を含有するサイジング剤が付着していることが好ましい。
エポキシ基としては反応性の高いグリシジル基が好ましい。また、グリシジル基が2つ以上あることで、炭素繊維表面との接着強度を高め、マトリックス樹脂との橋渡しをより有効に行うことができる。グリシジル基の数はより好ましくは3個以上である。このような反応性の高いエポキシ基を複数有することで、高温硬化剤系のラジカル重合樹脂で初めて接着性向上は発現し得る。
エポキシ価は好ましくは1ミリ当量/g以上8ミリ当量/g以下で、より好ましくは2ミリ当量/g以上7ミリ当量/gである。1ミリ当量/g未満の場合は、接着強度が不足する場合があり、8ミリ当量/gを超えると、接着強度が高くなりすぎて、引張強度など他の機械物性とのバランスが損なわれる場合がある。
さらに、上記化合物は脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。脂肪族骨格は立体障害性が小さいため、炭素繊維表面とグリシジル基の接触機会が増え、特に炭素繊維表面とサイジング剤との接着性が高められ、また、マトリックス樹脂との橋渡しも良好である。
脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂としては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
具体的には、ナガセケムテックス(株)製デナコールEX313(エポキシ価:7.1ミリ当量/g)、EX512(エポキシ価:6.0ミリ当量/g)、EX612(エポキシ価:6.0ミリ当量/g)などを挙げることができる。また、上記エポキシ樹脂の一種類を選定して単独で用いても、複数のエポキシ樹脂を組み合わせて使用することもできる。
複数のグリシジル基を有するエポキシ化合物としては、上記脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂以外のエポキシ化合物、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの各種芳香族骨格を有するエポキシ樹脂などを用いることもできる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂は、炭素繊維束の集束性を向上する点では好ましく用いられるが、あまり多く使用すると接着性が低下する傾向にあるので、複数のグリシジル基を有するエポキシ価1ミリ当量/g以上8ミリ当量/g以下であるエポキシ化合物全100重量%中、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%とするのがよい。
また、上記した複数のグリシジル基を有し、かつエポキシ価1ミリ当量/g以上8ミリ当量/g以下であるエポキシ化合物以外の化合物を含んでいてもよく、集束性向上のために各種エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などを、炭素繊維束の平滑性を付与するため多価アルコールのアルキルエステル類、アルキルエーテル類などを、サイジング液の安定性を高めるために液状のアルキレンオキシド付加物、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、末端アルキル化ポリエチレングリコール、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物などを添加することができる。添加量は特に限定されないが、機械物性を低下させない範囲で、上記エポキシ価1ミリ当量/g以上8ミリ当量/g以下であるエポキシ化合物100重量部に対し、10重量部以上500重量部以下が好ましい。
また、本発明の炭素繊維強化シート状物を構成する炭素繊維は、ウィルヘルミ法により測定される炭素繊維の表面自由エネルギーが好ましくは、30mJ/m2以上60mJ/m2以下の炭素繊維であることが好ましい。炭素繊維の表面自由エネルギーが30mJ/m2未満だと、前記サイジング剤と炭素繊維表面との相互作用が小さくなるため、サイジング剤がスチレン溶媒に溶解し易くなり、結果的にマトリックス樹脂内へ拡散し、マトリックス樹脂との接着強度向上の効果が小さい場合がある。また、炭素繊維の表面自由エネルギーが60mJ/m2より大きいと、接着強度が高くなりすぎて、引張強度など他の機械物性とのバランスが損なわれる場合がある。
本発明の炭素繊維強化シート状物を成形する方法は特に限定されず、前記したラジカル重合系樹脂組成物が硬化する温度で硬化せしめればよいが、サイジング剤中にグリシジル基を有する成分を用いた場合には、好ましくは90℃以上の高温で硬化させることで、高い機械物性を発現する炭素繊維強化複合材料を得ることができる。より好ましくは、120℃以上200℃以下である。90℃より低い温度で硬化させた場合、炭素繊維表面に付着したサイジング剤中のグリシジル基とラジカル重合系樹脂の不飽和基の活性化は不十分なため反応は乏しく強固な接着とはならない場合がある。200℃を超えると得られた成形物が熱劣化して高い機械物性を得られない場合がある。
本発明の炭素繊維強化シート状物の形態は、炭素繊維束が一方向に引き揃えられた一方向材、カットされた炭素繊維束がランダムな方向に分散されたチョップドストランドマット、炭素繊維束が織り込まれた織物、炭素繊維束が編み込まれた編物、炭素繊維束が組み込まれた組物などにマトリックス樹脂を含浸せしめた、プリプレグシート、あるいはSMCシート、BMCシートなどが挙げられる。なかでも、炭素繊維束をカットして使用するSMCシートは、ラジカル重合系樹脂と組み合わせにおいて、設計自由度が高く、成形サイクルが短いなど生産性が高い点から構造材には好適である。
本発明の炭素繊維強化シート状物の繊維含有量は20〜70重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましく、40〜60重量%がさらに好ましい。20重量%未満であると材料の取扱い性が低下するとともに、補強効果に乏しく成形品に割れ、曲がりを生じることがあり、70重量%を超えると粘度が上昇して流動性が悪くなる。
また、本発明の炭素繊維強化シート状物の単位面積あたりの重量は500〜5000g/m2が好ましく、500〜3000g/m2がより好ましく、1000〜2000g/m2がさらに好ましい。500g/m2未満であるとシートの形状を保つことが困難であり、5000g/m2を超えると炭素繊維束への樹脂の含浸性が低下するとともに、材料の取扱い性が低下する。
本発明の炭素繊維強化シート状物では、前記した以外の化合物を含んでいてもよい。すなわち、各種添加剤、例えば、内部離型剤、低収縮化剤、増粘剤、充填材などを必要に応じて配合することができる。内部離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、アルキルリン酸エステル等が挙げられる。低収縮化剤としては、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等が挙げられる。増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填材が挙げられる。その他に、従来SMCシートに用いられてきた各種添加剤を配合してもよい。
さらに炭素繊維束は、1〜60mm長にカットして使用することが好ましい。5mm〜30mm長にカットされていることがさらに好ましい。1mmより短いと補強効果が低下する傾向にあり、一方60mmより長いと成形時の流動性が低くなり賦形性が悪くなる。
本発明に用いられる炭素繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ピッチなどの繊維を炭素化した繊維、あるいはそれらをさらに高温で熱処理した黒鉛化繊維が主として用いられる。中でも、高強度な炭素繊維が得られやすいポリアクリロニトリル繊維を用いるのが好ましい。
炭素繊維の表面処理方法は特に限定しないが、炭素繊維の表面自由エネルギーを30mJ/m2以上60mJ/m2以下の範囲内とするのが好ましい。特にその手段として限定されるものではないが、例えば、電解酸化処理、薬液酸化処理、気相酸化処理などの方法をとることができる
炭素繊維は、束状であることが好ましく、そのストランド強度が4GPa以上7GPa以下、好ましくは4.5GPa以上6.5GPa以下、ストランド弾性率が200GPa以上500GPa以下であることが、特に構造材に好適である。
なお、該ストランド強度は、束状の炭素繊維あるいは黒鉛化繊維に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、JIS R−7601に規定する引張試験方法に従って求めることができる。
(樹脂組成)
・脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート) 100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン 3重量部
・アセトン 4重量部
また、ストランド弾性率は、上記ストランド強度測定方法と同様の方法で引張試験を行い、荷重−伸び曲線の傾きから求めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特にこれに限定されるというものではない。各実施例の評価結果は表1にまとめて示す。
まず本発明に用いた個々の特性値の測定方法について説明する。
<表面自由エネルギー測定>
炭素繊維の表面自由エネルギーは、精製水、エチレングリコール、燐酸トリクレゾールの各液体において、ウィルヘルミ法によって測定される各接触角をもとに、オーエンスの近似式を用いて算出したものである。
まず、動的接触角測定装置(Data Physics製、DCAT11)を用いて、炭素繊維束から1本の単繊維を取り出し、長さ12±2mmに8本カットした後、専用ホルダーFH12(表面が粘着性物質でコーティングされた平板)に単繊維間が2〜3mmになるように平行に貼り付ける。その後、単繊維の先端を切り揃えてFH12をDCAT11にセットする。測定は、各液体の入ったセルを8本の単繊維の下端に0.2mm/秒の速度で近づけ、単繊維の先端から5mmまで浸漬させる。その後、0.2mm/秒の速度で単繊維を引き上げる。この操作を4回以上繰り返す。液中に浸漬している時の単繊維の受ける力Fを電子天秤で測定する。この値を用いて次式で接触角θを算出する。
COSθ=(8本の単繊維が受ける力F(mN))/(8(単繊維の数)×単繊維の円周(m)×液体の表面張力(mJ/m2))
なお、測定は3箇所の炭素繊維束の異なる場所から抜き出した単繊維について実施した。すなわち、一つの炭素繊維束に対して合計24本の単繊維についての接触角の平均値を求めた。
また、炭素繊維の表面自由エネルギーは、次式で示されるオーエンスの近似式に各液体の表面張力の成分、接触角を代入しX、Yにプロットした後、最小自乗法により直線近似したときの傾きaの自乗と切片bの自乗の和により求められる。
Y=a・X+b
Figure 2005280124
Figure 2005280124
炭素繊維の表面自由エネルギー=a2+b2
各液体の表面張力の極性成分および非極性成分は、
・精製水
表面張力72.8mJ/m2、極性成分51.0mJ/m2、非極性成分21.8mJ/m2
・エチレングリコール
表面張力48.0mJ/m2、極性成分19.0mJ/m2、非極性成分29.0mJ/m2
・燐酸トリクレゾール
表面張力40.9mJ/m2、極性成分1.7mJ/m2、非極性成分39.2mJ/m2
である。
また、炭素繊維強化シート状物からかかる炭素繊維の表面自由エネルギーを求める場合には、まず、炭素繊維強化シート状物6±0.2gを室温条件下でアセトン500cc中に2時間浸漬させることにより、マトリックス樹脂成分をアセトン中に溶出させる。次に、残った炭素繊維を2−ブタノン100cc中に浸漬させ、1時間沸騰を保ちながら加熱することにより、サイジング剤成分を完全に除去する。その後、上記の炭素繊維束と同様の方法によって、炭素繊維の表面自由エネルギーを算出する。
<カット性評価方法>
炭素繊維束のカット性評価は、ロータリー式カッターを用いて、500gの炭素繊維束をカット速度10m/分にて2.5cmにカットした後のカッター刃および押さえゴムローラへ付着した炭素繊維を秤量することで、カット性評価の指標とした。カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量が50mg未満ならカット性は良好(○)、50mg以上150mg以下ならカット性は可(△)、150mgより多い場合はカット性が不良(×)と判定した。
<成形方法>
所定量の硬化剤や必要な添加剤をマトリックス樹脂に混合撹拌し、樹脂ペーストを得た。樹脂ペーストをドクターブレードを用いて、ポリプロピレン製の離型フィルム上に、単位面積あたりの重量が400g/m2になるように塗布した。その上から、長さ2.5cmにカットされた炭素繊維束を均一に落下、散布した。さらに、樹脂ペーストを単位面積あたりの重量が400g/m2になるように塗布したもう一方のポリプロピレンフィルムで樹脂ペースト側を内にして挟んだ。炭素繊維束のシートに対する含有量は約50重量%とした。得られたシートを40℃にて24時間静置することにより、炭素繊維強化SMCシートを得た。
次に、得られたSMCシートを、チャージ率(金型面積に対するSMCシートの面積の割合)を50%となるように金型にチャージし、加熱型プレス成型機により、588.4kPaの加圧下、各実施例で示した温度、時間により硬化せしめ、30cm×30cm×3mmの平板状の炭素繊維強化複合材料を得た。
<成形板評価方法>
得られた炭素繊維強化複合材料より、長さ130±1mm、幅25±0.2mmの曲げ強度試験片を切り出した。ASTM D−790に規定する試験方法に従い、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分で曲げ強度を測定した。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン(登録商標)万能試験機4201型を用いた。測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度とした。
曲げ強度試験後の破断面の走査型電子顕微鏡による観察(以下SEM観察と称す)を行い、炭素繊維表面へのマトリックス樹脂の付着状態により、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を評価した。
さらに、曲げ強度試験片の断面を光学顕微鏡で観察することにより、ボイドの有無、炭素繊維束内への樹脂含浸状態の評価を行った。ボイドおよび未含浸部が全く観察されない状態を良好(○)、繊維束内部に微少なボイドが観察された状態を可(△)、繊維束内部にボイドおよび未含浸部が観察された状態を不良(×)と判定した。
また、得られた炭素繊維強化複合材料を、高温炉を用いて空気雰囲気中500℃×2時間加熱処理することにより樹脂成分を焼き飛ばし、残った炭素繊維束の形状を観察し、炭素繊維束のばらけ具合を評価した。炭素繊維束が単繊維状にばらけずに束状を保っていた状態を良好(○)、単繊維状に6割未満のばらけた状態を可(△)、単繊維状に6割以上のばらけた状態を不良(×)と判定した。
(実施例1)
炭素繊維の表面自由エネルギーが40mJ/m2である未サイジングの炭素繊維束(12000フィラメント、引張強度5.0GPa、引張弾性率300GPa)を、樹脂成分が1重量%になるようにポリグリセリンポリグリシジルエーテル(エポキシ価:5.5ミリ当量/g)をジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)で希釈されたサイジング剤母液に連続的に浸漬させ、炭素繊維にサイジング剤を付与し、230℃で乾燥しDMFを除去した。サイジング剤付着量は0.6重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.4重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は42mgであり、カット性は良好であった。
この炭素繊維束を用いて、前記方法により平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。マトリックス樹脂としてはビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)製、デラケン790)を100重量部、硬化剤としては、高温硬化型であるtert-ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、パーブチルZ)を1重量部を用い、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)製、SZ−2000)を2重量部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、MgO#40)を4重量部を用いた。硬化条件は150℃×30分間とした。
曲げ強度は470MPaと非常に高い曲げ特性が得られた。破断面のSEM観察では炭素繊維表面にマトリックス樹脂の付着が認められた。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部は全く観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、ほとんどの炭素繊維束は単繊維状にばらけずに束状を保っていた。
(実施例2)
サイジング剤の樹脂成分を、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル(エポキシ価:5.5ミリ当量/g)とビスフェノールA型ジグリシジルエーテルとの混合化合物(混合比:5/5、エポキシ価:2.2ミリ当量/g)に変更し、サイジング剤母液濃度を2.0重量%にした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は1.2重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.6重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は28mgであり、カット性は良好であった。
曲げ強度は460MPaと非常に高い曲げ特性が得られた。破断面のSEM観察では炭素繊維表面にマトリックス樹脂の付着が認められた。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部は全く観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、ほとんどの炭素繊維束は単繊維状にばらけずに束状を保っていた。
(実施例3)
サイジング剤母液濃度を4.0重量%にした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は2.4重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は1.2重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は35mgであり、カット性は良好であった。
曲げ強度は465MPaと非常に高い曲げ特性が得られた。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部は全く観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、ほとんどの炭素繊維束は単繊維状にばらけずに束状を保っていた。
(実施例4)
マトリックス樹脂として不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子(株)製、リゴラックM−580)を100重量部、硬化剤として高温硬化型であるジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD)を1.5重量部用い、硬化条件を140℃×30分間とした以外は、実施例1と同様にして平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。なお、サイジング剤付着量は0.6重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.4重量%であった。
曲げ強度は455MPaと非常に高い曲げ特性が得られた。破断面のSEM観察では炭素繊維表面にマトリックス樹脂の付着が認められた。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部は全く観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、ほとんどの炭素繊維束は単繊維状にばらけずに束状を保っていた。
(実施例5)
サイジング剤の樹脂成分を、芳香環を有するビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ価:5.3ミリ当量/g)に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は0.5重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.2重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は47mgであり、カット性は良好であった。
曲げ強度は405MPaと高い曲げ特性が得られた。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部はほとんど観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、5割程度の炭素繊維束は単繊維状にばらけていた。
(実施例6)
炭素繊維の表面自由エネルギーが20mJ/m2である未サイジングの炭素繊維束を用いて、サイジング剤母液濃度を3.0重量%にした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は1.2重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.2重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は60mgであり、カット性は可であった。
曲げ強度は415MPaと高い曲げ特性が得られた。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部はほとんど観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、3割程度の炭素繊維束は単繊維状にばらけていた。
(実施例7)
樹脂成分が2.5重量%になるように水溶性ナイロン樹脂(東レ(株)製、AQ−ナイロン(登録商標)P−70)を精製水で希釈されたサイジング剤母液を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は1.7重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は1.5重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は16mgであり、カット性は良好であった。
曲げ強度は410MPaと高い曲げ特性が得られた。断面観察の結果、繊維束内部に微小なボイドが観察された。ばらけ具合の評価の結果、ほとんどの炭素繊維束は単繊維状にばらけずに束状を保っていた。
(比較例1)
サイジング剤の樹脂成分を、エポキシ基を1つだけ有するビスフェノールA型モノグリシジルエーテル(エポキシ価:0.5ミリ当量/g)に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は0.5重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.1重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生が確認され、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は215mgであり、カット性は不良であった。
曲げ強度は355MPaと実施例に比べ低い曲げ強度であった。破断面のSEM観察では炭素繊維表面にマトリックス樹脂の付着はほとんど認められなかった。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部はほとんど観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、8割程度の炭素繊維束は単繊維状にばらけていた。
(比較例2)
硬化剤として常温硬化型硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイド(日本油脂(株)製、パーメックN)を1重量部、反応促進剤としてナフテン酸コバルト(昭和高分子(株)製、コバルトN)を0.5重量部用い、硬化条件を常温(25℃)×24時間とした以外は、実施例1と同様にして平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。なお、サイジング剤付着量は重量0.6%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は重量0.4%であった。
曲げ強度は375MPaと実施例に比べ低い曲げ強度であった。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部はほとんど観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、2割程度の炭素繊維束は単繊維状にばらけていた。
(比較例3)
炭素繊維の表面自由エネルギーが20mJ/m2である未サイジングの炭素繊維束を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束、および平板状の炭素繊維強化複合材料を作製した。サイジング剤付着量は0.6重量%であった。また、スチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量は0.1重量%であった。
カット中のカッター部における毛羽の発生はほとんどなく、カッター刃および押さえゴムローラへの炭素繊維の付着量は45mgであり、カット性は良好であった。
曲げ強度は360MPaと実施例に比べ低い曲げ強度であった。破断面のSEM観察では炭素繊維表面にマトリックス樹脂の付着は認められなかった。断面観察の結果、ボイドおよび未含浸部はほとんど観察されなかった。ばらけ具合の評価の結果、7割程度の炭素繊維束は単繊維状にばらけていた。
Figure 2005280124

Claims (7)

  1. サイジング剤が付着してなり、かつスチレン溶媒浸漬後のサイジング剤付着量が炭素繊維1g当たり0.2〜1.5重量%である炭素繊維束と、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキシド類から選ばれる1種以上の硬化剤を含むラジカル重合系樹脂組成物とからなる、炭素繊維強化シート状物。
  2. サイジング剤が、複数のグリシジル基を有し、かつエポキシ価1ミリ当量/g以上8ミリ当量/g以下であるエポキシ化合物を含有する請求項1記載の炭素繊維強化シート状物。
  3. エポキシ化合物が脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂である請求項2記載の炭素繊維強化シート状物。
  4. 硬化剤がtert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ジ(tert-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイドのいずれかである、請求項1〜3のいずれか記載の炭素繊維強化シート状物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載のシート状物を90℃以上で硬化させてなる炭素繊維強化複合材料。
  6. 炭素繊維束長が1〜60mmである請求項1〜5のいずれか記載の炭素繊維強化シート状物。
  7. サイジング剤を除去した炭素繊維束のウィルヘルミ法により測定される表面自由エネルギーが30mJ/m2以上60mJ/m2以下である、請求項1〜6のいずれか記載の炭素繊維強化シート状物。
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