JP2005279535A - 水素透過膜 - Google Patents

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智 青山
Naoki Ito
直樹 伊藤
Yoichi Yoshioka
洋一 吉岡
Mutsumi Nishimura
睦 西村
Masao Komaki
政雄 古牧
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Abstract

【課題】 水素透過膜の金属拡散により、水素透過膜の水素透過特性が低下することを抑制する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 水素透過膜234は、VA族元素を含む金属ベース層Laと、金属ベース層Laの2つの面の双方にそれぞれ形成され、金属間化合物V2Zrを含む2つの中間層Lb1,Lb2と、2つの中間層の金属ベース層が形成されていない面にそれぞれ形成され、Pdを含む2つの被覆層Lc1,Lc2と、を備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、水素透過膜に関する。
燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池に水素ガスを含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、燃料電池に酸素ガスを含む酸化ガスを供給する酸化ガス供給部と、を備えている。燃料ガスの供給方法には、貯蔵された水素ガスを直接供給する方法と、メタノールなどの炭化水素系化合物から水素ガスを製造して供給する方法とがある。後者の方法を採用する場合には、燃料ガス供給部は、炭化水素系化合物を水素ガスに改質するための改質部を備えている。
改質部内では、通常、水素ガスとともに、他のガスも生成されている。このため、燃料ガス供給部では、改質部において生成された混合ガスから水素ガスを抽出するために、水素透過膜が用いられる場合がある。特許文献1では、V(バナジウム)ベース層の両面にPd(パラジウム)被覆層が形成された水素透過膜が開示されている。特許文献2では、Vベース層とPd被覆層との間に、SiO2 中間層を介在させた水素透過膜が開示されている。
特開平11−276866号公報 特開平7−185277号公報
しかしながら、特許文献1の水素透過膜は、例えば400℃以上の高温で使用されると、VとPdとの金属拡散により、VとPdの界面にPd−V合金層を形成する。形成されたPd−V合金層は水素透過性能が極めて低いので、水素透過膜の水素透過性能も低下してしまう。Pd−V合金層は時間経過とともに厚くなる。
一方、特許文献2の水素透過膜のSiO2中間層は、VとPdとの金属拡散を抑制するために備えられているが、その抑制効果は低い。更に、SiO2中間層は、水素透過性能自体も低い。よって、中間層としてSiO2などのセラミックを用いたとしても、水素透過膜の水素透過性能は低下するという問題があった。
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、水素透過膜の金属拡散により、水素透過膜の水素透過特性が低下することを抑制する技術を提供することを目的とする。
上述の課題の少なくとも一部を解決するための本発明の水素透過膜は、
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
VA族元素を含む金属ベース層と、
Pd(パラジウム)を含む被膜層と、
前記金属ベース層と前記被膜層との間に形成された、金属間化合物を含む中間層と
を備えることを特徴とする。
ここで、前記中間層と前記被膜層は、前記金属ベース層の両面にそれぞれ形成されているようにしてもよい。
金属間化合物は特定の組成比とその結晶構造をとることから、金属ベース層と中間層,中間層と被覆層との間で金属拡散による固溶が起こりにくい。よって、本発明によれば、水素透過膜の金属間の拡散による水素透過特性の低下を抑制することが可能となる。
なお、「VA族」は「5族」とも呼ばれている。VA族元素にはV(バナジウム),Nb(ニオブ),Ta(タンタル)がある。金属ベース層は、V合金などであっても良い。
ここで用いられる金属間化合物は、水素透過度が高いものであることが望ましい。例えば、V2Zr,LaNi5,FeTi,NiTi,CaNi,TiNi,LaCo,MgNi2,IrNi,MgIrNi,TiFe,TiMn,TiVMn,FeTi,Mg2Ni,ZrNi,ZrMn2,Zr3Rh,GeV3,HfV2,IrV3,SiV3などが挙げられる。
上述した水素透過膜において、
前記金属間化合物は、前記VA族元素及び前記Pd(パラジウム)との固溶可能量が所定値以下の元素で形成され、かつ少なくとも前記水素透過膜の使用温度以下で安定であるものとしても良い。
これによれば、金属ベース層や被覆層と固溶しにくい元素で形成された金属間化合物を中間層に用いるため、単なる金属間化合物を中間層に用いることに比べ、水素透過膜の金属拡散による水素透過特性の低下を更に抑制することができる。
VA族元素であるVとPdのいずれにも固溶しにくい元素としては、Be(ベリリウム),Er(エルビウム),Eu(ユウロピウム),Ge(ゲルマニウム),Ho(ホルミウム),Nd(ネオジム),Si(ケイ素)などが存在する。これらの元素で形成され、少なくとも水素透過膜の使用温度以下で安定である金属間化合物としては、Er5Ge3(融点1950℃),Er5Si3(融点1948℃),Eu3Ge(融点1215℃),Ge3Ho5(融点1950℃),Ge3Nd5(融点1580℃),Ho5Si3(融点1920℃),NdSi(融点1677℃)などが挙げられる。
本発明の方法は、水素を選択的に透過させる水素透過膜を製造する方法であって、
(a)VA族元素を含む金属ベース層を準備する工程と、
(b)前記金属ベース層の2つの面のうちの少なくとも一方に、金属間化合物を含む中間層を形成する工程と、
(c)前記中間層の2つの面のうち、前記金属ベース層が形成されていない面に、Pd(パラジウム)を含む被膜層を形成する工程と
を備えることを特徴とする。
この方法を採用すれば、本発明の装置である水素透過膜を製造することができる。
ここで、前記工程(b)は、
(d)所定の温度で前記金属ベース層と反応することにより金属間化合物を形成する物質の層を、前記金属ベース層の2つの面のうちの少なくとも一方に形成する工程と、
(e)前記工程(d)により形成された層群を、前記所定の温度に加熱する工程と
を備えることを特徴とするものとしても良い。
こうすれば、中間層に用いる金属間化合物を予め別に用意することなく、本発明の装置である水素透過膜を製造することができる。上記物質としては、Zr(ジルコニウム)や、Ti(チタン)及びMn(マンガン)が挙げられる。物質としてZr(ジルコニウム)を用いた場合は、金属間化合物V2Zrを含んだ中間層が形成される。一方、物質としてTi(チタン)及びMn(マンガン)を用いた場合は、金属間化合物TiVMnを含んだ中間層が形成される。加熱はレーザにより行なっても良い。
この発明は、水素透過膜を用いた燃料電池システムや、該燃料電池システムを搭載した移動体などの装置、水素透過膜を用いた水素精製装置、等の種々の態様で実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、以下の項目に分けて説明する。
A.燃料電池システム:
B.水素透過膜:
B−1.水素透過膜の構造:
B−2.水素透過膜の製造方法:
B−3.効果:
C.変形例:
A.燃料電池システム:
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。この燃料電池システムは、燃料電池100と、燃料電池100に水素ガスを含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給部200と、燃料電池100に酸素ガスを含む酸化ガスを供給する酸化ガス供給部300と、を備えている。なお、燃料電池100は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型の燃料電池である。
燃料ガス供給部200(図1)は、水素ガスを含む燃料ガスを生成して燃料電池100に供給する。燃料ガス供給部200は、原料タンク212と、水タンク214と、2つの蒸発器222,224と、燃料ガス生成部230と、燃焼部240と、凝縮器250とを備えている。なお、原料タンク212には、メタノールが貯蔵されている。
第1の蒸発器222は、原料タンク212および水タンク214から導入された混合液を気化して、原料および水の混合ガス(以下、「原料ガス」と呼ぶ)を燃料ガス生成部230に供給する。第2の蒸発器224は、水タンク214から導入された水を気化して、水蒸気を燃料ガス生成部230に供給する。
燃料ガス生成部230は、改質部232と、水素透過膜234と、抽出部236とを備えている。図示するように、燃料ガス生成部230は、一体化されており、水素透過膜234は、改質部232と抽出部236とに挟まれている。改質部232には、第1の蒸発器222から原料ガスが供給されており、抽出部236には、第2の蒸発器224から水蒸気が供給されている。
改質部232は、改質反応を進行させる触媒を担持している。触媒としては、例えば、CuO−ZnO系触媒や、Cu−ZnO系触媒を用いることができる。改質部232では、次の式(1),式(2)に示す化学反応(改質反応)が順次進行し、水素ガスを含む混合ガスが生成される。そして、改質部全体では、式(3)に示す改質反応が進行する。
CH3OH → CO + 2H2 ...(1)
CO + H2O → CO2 + H2 ...(2)
CH3OH + H2O → CO2 + 3H2 ...(3)
水素透過膜234は、改質部232内部に含まれる混合ガス(すなわち、原料ガスや、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスなど)から水素ガスを選択的に透過させることにより、水素ガスを分離する。なお、水素透過膜234については、さらに、後述する。
抽出部236は、供給された水蒸気を用いて、水素透過膜234における水素ガスの透過を促進させる。すなわち、改質部232において生成された水素ガスは、改質部232と抽出部236との水素分圧差に応じて、水素透過膜234を透過する。そこで、本実施形態では、抽出部236に水蒸気を順次供給することにより、抽出部236の水素分圧を、改質部232の水素分圧よりも低く設定している。
また、本実施形態では、抽出部236の全圧は、改質部232の全圧よりも高く設定されている。これは、抽出部236で得られる燃料ガス中に一酸化炭素ガスが混入しないようにするためである。すなわち、燃料ガス中に一酸化炭素ガスが混入していると、燃料電池100内の触媒が一酸化炭素ガスにより被毒して、安定した電気化学反応が阻害される。しかしながら、抽出部236と改質部232との全圧を上記のように設定すれば、水素透過膜234にピンホールが存在する場合でも、改質部232内部の一酸化炭素ガスが抽出部236にリークするのを抑制することができる。また、水素透過膜234のピンホールを介して、抽出部236から改質部232に水蒸気がリークすれば、リークした水蒸気を改質反応(式(3))に用いることができる。なお、水素透過膜234にピンホールが存在しない場合には、改質部232の全圧を抽出部236の全圧よりも高く設定して、水素ガスの分離効率を向上させることが好ましい。
改質部232から排出される不透過ガス(すなわち、水素透過膜234を透過しなかったガス)は、燃焼部240(図1)において酸化される。具体的には、一酸化炭素ガスは酸化されて二酸化炭素ガスになり、水素ガスは酸化されて水蒸気になる。これにより、不透過ガスに含まれる一酸化炭素ガスの大気への放出を防止することができる。
抽出部236から排出された燃料ガスは、凝縮器250に供給される。凝縮器250は、燃料ガスに含まれる水蒸気を凝縮して除去した後、燃料ガスを燃料電池100に供給する。なお、凝縮器250で得られる凝縮水は、水タンク214に戻される。
酸化ガス供給部300(図1)は、ブロワ310を備えており、酸素ガスを含む酸化ガス(空気)を燃料電池100に供給する。
燃料電池100は、燃料ガス供給部200から供給された燃料ガスと、酸化ガス供給部300から供給された酸化ガスと、を用いて発電する。
B.水素透過膜:
B−1.水素透過膜の構造:
図2は、図1に示す水素透過膜234の断面を模式的に示す説明図である。図示するように、水素透過膜234は、5層構造を有している。具体的には、水素透過膜は、1つの金属ベース層Laと、金属ベース層の両面に形成された2つの中間層Lb1,Lb2と、各中間層の外面に形成された2つの被覆層Lc1,Lc2と、を備えている。なお、金属ベース層と中間層と被覆層とは、例えば、約20μm、約0.1μm、約0.3μmの厚みでそれぞれ形成される。
金属ベース層Laは、VA族元素を含んでいる。VA族元素としては、V(バナジウム)や、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)を利用できる。中間層Lb1,Lb2は、金属間化合物を含んでいる。被覆層Lc1,Lc2は、Pd(パラジウム)を含んでいる。
以下では、金属ベース層LaがVで構成され、中間層Lb1,Lb2が金属間化合物V2Zrで構成され、被覆層Lc1,Lc2がPdで構成される場合を例に説明する。
水素分子は、図2に示すような過程で、水素透過膜234を透過すると考えられている。すなわち、水素分子は、まず、第1のPd被覆層Lc1において2つの水素原子に解離する。解離した水素原子は、各層Lc1,Lb1,La,Lb2,Lc2を順次透過する。そして、透過した2つの水素原子は、第2のPd被覆層Lc2において再結合し、水素分子となる。
この説明から分かるように、被覆層Lc1,Lc2を構成するPdは、水素の解離・再結合を促進させる触媒機能を有するとともに、水素を透過させる機能を有している。また、中間層Lb1,Lb2を構成するV2Zrと金属ベース層Laを構成するVとは、水素を透過させる機能を有している。なお、Vの水素透過性能は、Pdの水素透過性能よりもかなり優れている。
ところで、前述のように、従来の水素透過膜、すなわち、Vベース層の両面にPd被覆層が形成された水素透過膜を用いる場合には、VとPdとが次第に相互に拡散することにより、水素透過膜の水素透過性能が経時的に低下してしまうという問題がある。また、Vベース層とPd被覆層との間にセラミック中間層が形成された水素透過膜を用いる場合には、VとPdとの間の拡散を低減させることができるが、水素透過膜の水素透過性能が低くなるという問題がある。これは、セラミック中間層は、分子状態の水素のみを透過させるためである。すなわち、水素がセラミック中間層を透過する前には、一旦再結合し、透過した後には、再度解離する必要がある。さらに、セラミックと金属とを接合する場合には、製造が比較的困難であるとともに、熱膨張率の相違により水素透過膜に割れ等が発生し易いという問題もある。
そこで、本実施形態では、図2に示すように、Vベース層LaとPd被覆層Lc1,Lc2との間にV2Zr中間層Lb1,Lb2を介在させている。以下、中間層Lb1,Lb2に金属間化合物であるV2Zrを用いる理由を説明する。
図3は、水素透過性能試験の結果を示す説明図である。●印で示されているグラフが、純Vの両面にPdを真空蒸着法により被覆し、250℃〜400℃で2〜3時間水素透過を行なった場合の水素透過度を示している。一方、★印で示されているグラフが、V2Zr金属間化合物をアーク溶解し、更に機械研磨し、その両面にPdを真空蒸着法により被覆したものに、250℃〜400℃で2〜3時間水素透過を行なった場合の水素透過度を示している。それぞれ純Vの厚みが1mmのものと、V2Zrの厚みが3mmのものに対して試験を行なったが、グラフの水素透過度は、厚み補正をした値であり、厚みには依存しない。また、両者ともPdの厚みは100nmである。
図3より、V2Zrは、純Vと同等の高い水素透過度を示すことがわかる。更に、金属間化合物は、金属原子同士の結合が固溶体合金よりも強いため、金属原子の熱による相互拡散が遅いことが一般に知られている。よって、V2Zrを中間層Lb1,Lb2として用いれば、V2Zr自体の水素透過度が高いため、水素透過膜全体として水素透過性能が低くなることを防ぎつつ、水素透過性能劣化の原因となるVとPdの相互拡散を抑制し、水素透過膜の寿命を延ばすことができる。ここでは、金属間化合物としてV2Zrについて説明したが、高い水素透過度を持つ金属間化合物については同じことが言える。例えば、V2Zr,LaNi5,FeTi,NiTi,CaNi,TiNi,LaCo,MgNi2,IrNi,MgIrNi,TiFe,TiMn,TiVMn,FeTi,Mg2Ni,ZrNi,ZrMn2,Zr3Rh,GeV3,HfV2,IrV3,SiV3などが挙げられる。
なお、中間層Lb1,Lb2に用いられる金属間化合物は、二元合金状態図に基づいたVベースLa及びPd被覆層Lc1,Lc2との固溶可能量が所定値以下の元素で形成されることが、更に望ましい。VベースLa及びPd被覆層Lc1,Lc2と固溶しにくいことにより、水素透過膜の金属間の拡散による水素透過特性の低下を更に抑制することができるからである。
図4は、二元合金状態図を簡略的に示した説明図である。横軸はPdの原子比であり、縦軸は温度である。Pdの原子比が0%の場合、Erの原子比は100%である。本来の二元合金状態図では、図4の斜線部分にも詳細な状態図が示されるが、図4では簡単のために省略した。図4のα,βは、水素透過膜の動作温度における最大の固溶可能量を示しており、Pdに対しErがα%固溶可能であり、Erに対しPdがβ%固溶可能であることを示している。先述したように、元素ErのPd被覆層Lc1,Lc2との固溶可能量が所定値以下ということは、図4のようなErとPdの二元合金状態図のα,βがともに所定値以下ということである。所定値は、例えば20%である。
つまり、任意の元素についてVやPdとの二元合金状態図を調べれば、VベースLa及びPd被覆層Lc1,Lc2との固溶可能量が分かるので、固有可能量が所定値以下の元素で構成される金属間化合物を選択することができる。VとPdのいずれにも固溶しにくい元素としては、Be(ベリリウム),Er(エルビウム),Eu(ユウロピウム),Ge(ゲルマニウム),Ho(ホルミウム),Nd(ネオジム),Si(ケイ素)などが存在する。これらの元素で形成され、少なくとも水素透過膜の使用温度以下で安定である金属間化合物としては、Er5Ge3(融点1950℃),Er5Si3(融点1948℃),Eu3Ge(融点1215℃),Ge3Ho5(融点1950℃),Ge3Nd5(融点1580℃),Ho5Si3(融点1920℃),NdSi(融点1677℃)などが挙げられる。
B−2.水素透過膜の製造方法:
図5は、水素透過膜の第1の作製手順を示すフローチャートである。ステップS101では、Vで構成されるベース層(箔)が準備される。Vベース層は、アルカリ溶液でエッチングされ、表面に形成された酸化膜等の不純物が除去される。このようにすれば、不純物が残存することに起因する水素透過膜の水素透過性能の低下を低減させることができる。ステップS102では、Vベース層の両面に、V2Zrで構成される2つの中間層が形成される。V2Zr中間層は、例えば、無電界めっきや、電気めっき,PVD,CVDによって形成可能である。ステップS103では、各V2Zr中間層の外面に、Pdで構成される2つの被覆層が形成される。Pd被覆層は、例えば、無電界めっきや、電気めっき,PVD,CVDによって形成可能である。このようにすれば、図2に示すような水素透過膜が形成される。
図6は、水素透過膜の第2の作製手順を示すフローチャートである。なお、図6のステップS201,S204は、図5のステップS101,S103と同じである。ステップS202では、Vベース層の両面に、Zrで構成される2つの層が形成される。Zrの層は、例えば、無電界めっきや、電気めっき,PVD,CVDによって形成可能である。ステップS203では、Vベース層の両面にZrの層が形成された状態で、加熱処理が施される。加熱処理は、所定の温度で所定時間加熱することにより、Zrの層がV2Zrの層になるよう行なわれる。ステップS201〜ステップS204により、図2に示すような水素透過膜が形成される。ステップS202で、Vベース層の両面に形成する層を構成する物質としてTi(チタン)及びMn(マンガン)を用いても良い。その場合、ステップS203の加熱処理は、Ti及びMnの層がTiVMnの層になるまで行なわれる。
以上、本実施形態では、VとV2ZrとPdとを用いる場合について説明したが、Vに代えて、これと同様の性質を有するNbやTaを用いるようにしてもよい。この場合にも、上記の説明を同様に適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
また、本実施形態では、水素透過膜は、Pd−V2Zr−V−V2Zr−Pdの5層構造を有しているが、例えば、Pd−V2Zr−Vの3層構造を有していてもよい。すなわち、一般に、水素透過膜は、VA族元素を含む金属ベース層と、Pdを含む被膜層と、前記金属ベース層と前記被膜層との間に形成された、金属間化合物を含む中間層とを備えていればよい。
B−3.効果:
以上説明したように、本実施形態の水素透過膜によれば、水素透過膜全体として水素透過性能が低くなることを防ぎつつ、水素透過性能劣化の原因となる金属ベース層と被覆層の相互拡散を抑制し、水素透過膜の寿命を延ばすことができる。
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態(図1)では、改質部232の下流側には、改質反応で生成された一酸化炭素ガスを処理するための燃焼部240が設けられているが、これに代えて、シフト部とCO酸化部とを設けるようにしてもよい。なお、シフト部は、一酸化炭素ガスと水蒸気とから水素ガスと二酸化炭素ガスを生成する。CO酸化部は、シフト部で処理されない一酸化炭素ガスを酸化して、二酸化炭素ガスを生成する。このようにシフト部を設ける場合には、シフト部に水素透過膜を設けるようにしてもよい。なお、シフト部で得られる水素ガスを抽出部236から排出される燃料ガスと合流させて、燃料電池100に供給すれば、水素ガスの利用効率を向上させることが可能となる。
(2)上記実施形態では、燃料電池システムは、メタノールを用いて水素ガスを含む燃料ガスを生成する燃料ガス供給部200を備えているが、これに代えて、他のアルコールや、天然ガス、ガソリン、エーテル、アルデヒドなどを用いて水素ガスを含む燃料ガスを生成する燃料ガス供給部を備えるようにしてもよい。一般に、原料としては、水素原子が含有された種々の炭化水素系化合物を用いることができる。このような場合にも、水素透過膜を用いれば、水素の純度を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態では、燃料電池システムは、メタノールを改質することにより水素ガスを生成する燃料ガス供給部200を備えているが、これに代えて、水素吸蔵合金や水素ボンベなどから水素ガスを得る燃料ガス供給部を備えるようにしてもよい。このような場合にも、水素の純度を向上させるために、水素透過膜を適用可能である。
(3)上記実施形態では、水素透過膜234は、自立膜であるが、基材上に形成されていてもよい。基材としては、水素ガスが透過可能なアルミナや焼結金属などの多孔質部材を用いることができる。
(4)上記実施形態では、固体高分子型の燃料電池を用いる燃料電池システムに本発明の水素透過膜を適用する場合について説明したが、他のタイプの燃料電池を用いる燃料電池システムにも適用可能である。また、水素透過膜を水素精製装置に適用することも可能である。
本発明の実施形態における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 図1に示す水素透過膜234の断面を模式的に示す説明図である。 水素透過性能試験の結果を示す説明図である。 二元合金状態図を簡略的に示した説明図である。 水素透過膜の第1の作製手順を示すフローチャートである。 水素透過膜の第2の作製手順を示すフローチャートである。
符号の説明
100...燃料電池
200...燃料ガス供給部
212...原料タンク
214...水タンク
222,224...蒸発器
230...燃料ガス生成部
232...改質部
234...水素透過膜
236...抽出部
240...燃焼部
250...凝縮器
300...酸化ガス供給部
310...ブロワ
La...ベース層
Lb1,Lb2...中間層
Lc1,Lc2...被覆層

Claims (5)

  1. 水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
    VA族元素を含む金属ベース層と、
    Pd(パラジウム)を含む被膜層と、
    前記金属ベース層と前記被膜層との間に形成された、金属間化合物を含む中間層と
    を備えることを特徴とする水素透過膜。
  2. 請求項1記載の水素透過膜であって、
    前記中間層と前記被膜層は、前記金属ベース層の両面にそれぞれ形成されている
    水素透過膜。
  3. 請求項1記載の水素透過膜であって、
    前記金属間化合物は、前記VA族元素及び前記Pd(パラジウム)との固溶可能量が所定値以下の元素で形成され、かつ少なくとも前記水素透過膜の使用温度以下で安定である
    水素透過膜。
  4. 水素を選択的に透過させる水素透過膜を製造する方法であって、
    (a)VA族元素を含む金属ベース層を準備する工程と、
    (b)前記金属ベース層の2つの面のうちの少なくとも一方に、金属間化合物を含む中間層を形成する工程と、
    (c)前記中間層の2つの面のうち、前記金属ベース層が形成されていない面に、Pd(パラジウム)を含む被膜層を形成する工程と
    を備えることを特徴とする製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法であって、
    前記工程(b)は、
    (d)所定の温度で前記金属ベース層と反応することにより金属間化合物を形成する物質の層を、前記金属ベース層の2つの面のうちの少なくとも一方に形成する工程と、
    (e)前記工程(d)により形成された層群を、前記所定の温度に加熱する工程と
    を備えることを特徴とする製造方法。
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JP2012205971A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Nippon Steel Engineering Co Ltd 二酸化炭素ガス分離システム

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