JP2005276728A - アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極及びこれを用いたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池 - Google Patents

アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極及びこれを用いたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量活物質を低コストで集電体と接合してなる、充放電サイクル特性等に優れた安価なアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を提供する。
【解決手段】金属及び/又は合金を主体とする薄膜中に含有される金属及び/又は合金の少なくとも一部を、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質で置換してなるアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。一旦、金属及び/又は合金を主体とする薄膜を形成しておき、この少なくとも一部を活物質で置換することにより、安価な材料とプロセスを用いて、充放電容量が高く、かつ充放電サイクル等の電池特性に優れた電極を、低コストで、生産性良く提供することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を吸蔵・放出する電池用電極と、この電極を用いたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池に関する。
リチウムイオン二次電池などのアルカリ金属イオン二次電池は、用いる電極特性によって、充電容量、充放電電圧、充放電サイクル寿命特性、保存特性などの電池特性が大きく変わることから、電極活物質や電極構造を改善させることにより、電池特性の向上が図られてきている。
従来、負極活物質として特に高容量が期待されるものとしては、シリコン、ゲルマニュウム等が知られており、特許文献1には、集電体の表面粗さを制御し、ドライプロセス法で集電体上に微細な柱状の非晶質シリコンを直接成膜し、大容量と充放電サイクル寿命特性を大幅に改善する負極製造技術が記載されている。
特開2002−83594号公報
高容量が期待されるシリコン、ゲルマニュウム等の負極活物質は、機械加工等で銅等の集電体に接合することは困難であり、これまで、特許文献1にも示されるように集電体に直接、スパッタ、蒸着、CVD等の高真空度のドライプロセスを用いて成膜されている。しかし、従来の炭素系負極活物質材料に用いられているような、活物質材料を液体媒体中に分散させ、集電体に塗布、乾燥する塗布型の電極製造技術と異なり、ドライプロセス法は、スパッタ、蒸着、CVDといった高真空度の高価な成膜装置を必要とするため、装置コストが高く、また生産性も低く、コストが大幅に上昇してしまうという欠点がある。このため、シリコン、ゲルマニュウム等の高容量の活物質を用いて、低コストで電極を製造する技術の開発が望まれていた。
本発明はこうした問題を解決するためになされたものであり、高容量活物質を低コストで集電体と接合してなる、充放電サイクル特性等に優れた安価なアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極と、これを用いたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題に鑑み、工業的に利用可能でかつ経済的な方法で大面積の電極を製造することができる方法につき鋭意検討した結果、一旦、金属及び/又は合金を主体とする薄膜を形成しておき、この少なくとも一部をアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質で置換することにより、上記した課題を解決できること、また、このようにして得られる電極は、従来のスパッタ、蒸着、CVD等の高真空度のドライプロセスによる成膜法によるものと異なる優れた性状を有すること、を見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、金属及び/又は合金を主体とする薄膜中に含有される該金属及び/又は合金の少なくとも一部を、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質で置換してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極、に存する。
また、本発明の要旨は、上記の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を用いたことを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池、に存する。
また、本発明の要旨は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質層を有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極であって、該活物質層が、周期律表第14族元素を含有し、かつ、該活物質層の厚み方向に、該周期律表第14族元素の濃度が傾斜してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極、に存する。
更に、本発明は、上記の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を負極とし、これと、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な正極とが、電解質を含有する電解液を介して配置されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池であって、該負極の活物質層の厚み方向の周期律表第14族元素の濃度が、該電解液と接する側においてより高く傾斜してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池、に存する。
このような本発明の電極は、活物質層の付着強度が強く、高容量であるばかりでなく、サイクル特性や保存特性に優れた電池とすることができる。また、電池の製造に当たっても従来の、高真空ドライプロセスによる成膜技術とは異なり、安価に製造することができるため、工業的なメリットは非常に大きい。
本発明によれば、従来技術のような高価な真空装置を用いることなく、安価な材料とプロセスを用いて、充放電容量が高く、かつ充放電サイクル等の電池特性に優れたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極及び電池を、低コストで、生産性良く提供することができる。
特に、本発明によれば、まず、第1の工程として、加工性に優れた金属及び/又は合金を薄膜形状に成形し、第2の工程として、この薄膜の金属及び/又は合金の少なくとも一部を活物質により化学反応で置換するという、2段階の工程を経ることで、第1の工程では、一般的な機械加工や冶金プロセスにて、低コストで薄膜形成を行い、第2の工程を化学的な置換反応、特に、固相−気相間の置換反応で行うことにより、製造された電極の洗浄等の後処理工程の必要もなく安価なプロセスを組むことが可能となる。また、第1の工程において、金属の組織や表面形状を容易に制御することにより、第2の工程において、活物質に置換した後に電池の充放電サイクル寿命特性を改善するのに最適な膜構造を容易に実現することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であって、本発明はその要旨を超えない限り、下記の実施の形態によって限定されるものではない。
以下においては、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池として、主にアルカリ金属イオン電池の代表であるリチウムイオン二次電池を例にとり、本発明を説明するが、本発明は、リチウムイオン二次電池以外に、Na,K等のアルカリ金属イオン電池や、Ca,Mg等のアルカリ土類金属イオン電池全般に適用可能である。
[アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極]
本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極は、金属及び/又は合金を主体とする薄膜中に含有される金属及び/又は合金の少なくとも一部を、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質で置換してなることを特徴とする。
以下に、このような本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を、その製造手順に従って説明するが、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極は、以下の製造手順で製造されたものに何ら限定されるものではない。
[1] 金属及び/又は合金を主体とする薄膜又はその集電体との積層体の形成
本発明においては、まず、金属及び/又は合金を主体とする薄膜(以下「薄膜前駆体」と称すことがある。)を形成する。
薄膜前駆体を構成する金属及び/又は合金のうち、金属としては、好ましくは、後述の活物質の原料物質、特に、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な物質のハロゲン化物との反応性が強いAl、Mg、Zn及びFe等の元素が挙げられる。中でも、Al、Zn等の元素は、活物質原料であるハロゲン化物との反応によって生成したハロゲン化物の蒸気圧が高く、電極から除去しやすい理由から好ましい。
また、合金としては、Al−Zn系合金、Al−Mg系合金、Al−Zn系合金、Al−Cu系合金、Al−Mg−Cu系合金等が挙げられ、これらのうち、Al−Cu系合金は、集電体との接合が強固であることから好ましい。
本発明に係る薄膜前駆体の「金属及び/又は合金を主体とする」とは、置換される金属及び/又は合金を薄膜前駆体の構成成分として、通常50重量%以上含有することを言う。この薄膜前駆体中の金属及び/又は合金含有量の下限は好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、100重量%でもよい。薄膜前駆体中の金属及び/又は合金含有量が高いほうが好ましく、機械加工等の薄膜化のし易さを考慮して組成を決めればよい。
薄膜前駆体中には、主体成分である金属及び/又は合金と共に、集電成分、通常は、集電用金属成分を含有させることができる。この場合、その含有形態としては、金属間化合物を含む合金でも良く、集電材との結合力の点から、金属間化合物は少ないことが好ましい。
薄膜前駆体に含まれる集電成分としては、Cu、Ni、Ti及びFe系合金からなる群から選ばれる金属又はこれらの2種以上の合金やステンレスが挙げられる。これらの中でも、Cu、Niが、機械的な特性、コストの点で好ましい。
集電成分が、主体成分の金属及び/又は合金と合金を形成している場合、形成される合金としては、Al−Cu、Zn−Cu、Mg−Cu等からなる群から選ばれる合金が挙げられる。これらの中でも、Al−Cuが、後述の積層工程での機械加工も容易である点で好ましい。
これらの集電成分を薄膜前駆体中に含有する場合、薄膜前駆体中の含有量は固溶体を含む範囲で、通常10〜50重量%である。この含有量が10重量%未満では置換される物質が少な過ぎ、50重量%を超えると金属間化合物が多過ぎて薄膜にすることができなくなる。
本発明に係る薄膜前駆体には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、更にその他の成分を含有していても良い。薄膜前駆体中には、例えば、Fe,Si,Cr,Cu,Oなどが不純物として混入することがあり、これらの混入を何ら排除するものではない。他の成分の含有量としては少ない程好ましいが、通常5重量%程度の含有量であれば特に問題はない。
薄膜前駆体の厚みは、これを薄膜前駆体のみで用いる場合と、集電体との積層体とする場合とで若干異なり、薄膜前駆体のみで用いる場合は集電体との積層体とする場合よりも若干厚みを厚くする必要があるが、いずれの場合においても、薄膜前駆体の厚みの下限は、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、中でも5μm以上で、上限は、通常100μm以下、好ましくは20μm以下、中でも10μm以下である。薄膜前駆体の厚みが上記下限を下回ると得られる電極の容量が不足となり、上限を超えると後述の置換反応の際に機械的な強度が低下しやすくなる。
薄膜前駆体は集電体との積層体としても良く、この場合、集電体としては、Cu、Ni、Fe及びTi等の金属或いはこれらの2種以上の合金よりなるものが挙げられる。
これらの中でも、Cu、Niが、機械的な特性、コスト、薄膜前駆体とクラッド板等の合体加工が容易である点で好ましい。また、集電体は、薄膜前駆体の主体成分である金属及び/又は合金の金属と同種の金属を含有していても良く、この場合には、集電体との接合性がよい点で有利である。
集電体は、厚みの上限が通常100μm以下、好ましくは30μm以下の薄膜状として用いられる。この集電体の厚みは、その機械的強度が低下しない限りにおいて、薄い方が望ましいが、集電体の厚みの下限は通常1μm以上、好ましくは5μm以上である。
薄膜前駆体を集電体との積層体とする場合、薄膜前駆体は、集電体の片面のみに積層しても良く、両面に積層しても良いが、中でも、両面に積層することが電池に組み上げた場合、体積当たりの容量が高くなる理由から好ましい。
薄膜前駆体と集電体との積層体の積層形態としては、鍛接、ロウ付けなどの重合法、鋳造法、表面付着法などによるいわゆるクラッド材の形態が挙げられる。その他、機械的な圧延法によるクラッド材の形態等が挙げられる。これらの中でも、生産性、コスト、技術的な容易さの理由から、圧延法によるクラッド材の形態が好ましい。
本発明に係る薄膜前駆体は、これを構成する主体成分としての金属及び/又は合金と、或いは、これと、(i)集電成分、(ii)その他の成分、(iii)金属及び集電成分との合金からなる群から選ばれるものを組み合せて製造される。
薄膜前駆体を形成する方法としては、機械的な圧延、圧着による方法、スパッタによる方法、蒸着による方法、金属の溶射、ドブ付け等が挙げられる。これらのうち、薄膜前駆体単体を製造する場合には、鍛造した後に熱間圧延する方法が用いられ、集電体との積層体を製造する場合には、Zn等はドブ付け、Alでは集電体との冷間圧延法が用いられる。
特に、薄膜前駆体を集電体とのクラッド材とする場合、クラッド材製造前の薄膜前駆体を、クラッド材製造前の集電体の両面又は片面に配し、圧延することにより、両者を一体化する方法が挙げられる。ここで、クラッド材製造前の薄膜前駆体及びクラッド材製造前の集電体は、枚葉型でも、帯状の連続型であっても良い。圧延条件としては、熱間でも冷間でも良いが、薄膜前駆体と集電体との両方の表面を清浄化しておき、数100%の加工率で圧延したものを母材とし、その後数回の加工で所望の厚さにすることが好ましい。
なお、前記置換反応の際に数100℃の温度になるために、この薄膜前駆体と集電体との間では両金属原子の相互拡散が起こる。適度な相互拡散は集電体の密着強度を上げるのに役立つが、過度の相互拡散が起こると金属間化合物ができてもろくなる。従って、クラッド材製造の際に、前駆体と集電体間に拡散抑制層を意図的に入れる場合がある。通常は表面の酸化膜層の厚さを制御することで行われる。
薄膜前駆体の表面(薄膜前駆体が集電体との積層体とされている場合には、その積層体の表面である薄膜前駆体表面)には、後述する置換反応が効率良く行われるように、また、電極としてアルカリ金属イオン等を吸蔵、放出した時の体積膨張を緩和する目的で、機械加工によりパターニング処理が施されていても良い。この機械加工としては、粗面化、凹凸化、穴あけ等、種々の表面処理が挙げられる。
パターニング処理のための機械加工方法としては、前述のクラッド材の製造過程において、例えば圧延時の圧延ロールの表面を粗面化したり、メッシュ状に凹凸をつけたりする方法が挙げられ、また、別途機械加工処理を施しても良い。圧延ロールにメッシュ状に凹凸をつける場合、メッシュのサイズとしては、通常、10〜200μmの値で上限が通常1mm以下、好ましくは500μm以下であり、下限が通常2μm以上、好ましくは5μm以上である。
[2]アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質による置換
本発明において、金属及び/又は合金を主体とする薄膜前駆体中に含有される金属及び/又は合金の少なくとも一部を、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質(以下、単に「活物質」と称す。)で置換するとは、薄膜前駆体中に含有される金属及び/又は合金の少なくとも一部と、活物質とを置換反応させることである。従って、活物質の原料は、この置換反応で、薄膜前駆体中の金属及び/又は合金と反応性を有するものである。このような活物質としては、周期律表第14族元素及びそれらの化合物から選ばれるものが挙げられ、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb等が挙げられるが、これらの中でも、Si、Geが充電容量が大きく、また、高融点であるためアモルファス状になりやすい理由から好ましい。
薄膜前駆体中の金属及び/又は合金と活物質との置換反応の手法としては、その反応が起こる限り特に制限はないが、薄膜前駆体、即ち、固相に対して、気相状態で、活物質の原料物質を接触させて、固相−気相間で置換反応させる方法が、薄膜前駆体と活物質との置換反応生成物も反応温度で気体であり、反応系からの除去が容易であるなどの利点を有し、工業的に有利である。
高容量活物質として有用な周期律表第14属元素を基板に対して薄膜形成するためには、前述の如く、高価な真空プロセスが必要があったが、このような固相−気相間の置換反応は、常圧で、しかも安価な材料で構成された反応装置を用いて実施することができ、しかも置換物質の気体即ち、活物質の原料物質は回収して再利用することもできるため、原料の有効利用率が高く、安価にしかも大量生産が可能となる。
上記固相−気相間の置換反応は、例えば、固相である薄膜前駆体としての金属(E:Eは置換される金属)薄膜に対して、気相状態で、活物質の原料物質化合物(MX:Mは置換する活物質金属、XはMと化合しているハロゲン等の元素)を接触させることにより、下記(I)式に従って進行する。
aE+bMx→cM+dEX (I)
(a,b,c,d,m,nは係数)
具体的には、薄膜前駆体としてのアルミニウム薄膜をSiで置換する場合に、次の反応式で表されるような、四塩化ケイ素(四塩化シリコン)との反応を利用することができる。
4Al+3SiCl→3Si+4AlCl (II)
なお、SiClのような価数の大きな化合物は、一般に価数の少ない化合物、つまり、上記の場合は、SiCl、SiClなどを生成し、熱平衡状態になることが多く、(II)の反応で、Alの量が少ない場合には、Siがこうした低価の化合物を作る反応に使われ、SiとAlとの置換効率が下がるため、予め、SiClを加熱したSiと反応させておき、こうした低価の化合物との混合気体としておくことが好ましい。
このような固相−気相反応による置換反応で用いられる活物質の原料物質としては、反応温度で気体であり、薄膜前駆体中の金属及び/又は合金と置換反応性を有し、また、好ましくは、後述の如く常温、常圧で液体である物質が用いられ、通常、周期律表第14族元素、好ましくはSi、Geの塩化物等のハロゲン化物が挙げられる。
この固相−気相置換反応の温度条件としては、気相の温度を固相の温度よりも高くしておくことが、固相の相対的な温度が低い状態でも気相−固相界面での反応が進みやすくなる理由から望ましい。
固相である薄膜前駆体の温度は、置換反応により薄膜前駆体表面に析出した置換物質が薄膜前駆体中に拡散できる温度であれば良く、また、集電体材料や集電成分と置換したり、被置換物質即ち薄膜前駆体中の金属及び/又は合金との間で化合物が大きく成長しない範囲が望ましい。通常は、集電体材料や集電成分の融点T(絶対温度)に対して、0.40×T以上で0.75×T以下の温度範囲が採用される。薄膜前駆体が集電成分を含有せず、また、集電体との積層体ともされていない場合、固相である薄膜前駆体の温度は通常400℃以上600℃以下の温度範囲が採用される。
気相温度は、固相温度よりも、通常200℃以上、中でも400℃以上高いことが好ましい。
なお、ここで、気相温度とは、固相−気相置換反応における気相雰囲気の平均的温度を表す。また、固相温度とは、気相と接触する固相である薄膜前駆体表面の平均的温度を表す。
固相−気相置換反応において、気相のキャリアガスとしては、反応に不活性な気体、例えば窒素、アルゴン等が用いられ、雰囲気中の活物質の原料物質から得られる気相の分圧は通常0.1気圧以上0.5気圧以下(0.01MPa以上0.05MPa以下)が好ましい。
なお、前述の如く、活物質の原料物質は、気相において価数の低い化合物を形成して熱平衡状態になることで、置換反応効率が低下する場合があるため、このような問題を防止するために、活物質の原料物質を気相状態とした後、活物質に予め接触させ、その後固相である薄膜前駆体に接触させて固相−気相置換反応させるようにすることが好ましい。このようにすることで、予め低価の化合物が生成して熱平衡に達し、活物質の原料物質が固相−気相置換反応に有効に利用されるようになり置換効率が向上する。
この場合、この接触方法としては、活物質の原料物質を細かく砕いた活物質塊の層に通過させる方法などが挙げられる。例えば、SiClガスを、小片に砕いた金属Siと接触させることにより、下記のような反応で、低価の塩化シリコンを微量でも平衡になるまで生成させておくことができる。
Si+3SiCl⇔4SiCl (1)
Si+SiCl⇔2SiCl (2)
このような固相−気相置換反応において、薄膜前駆体についても適当な前処理及び/又は後処理を行うことは、得られる電極の活物質充填率を高める上で好ましい。
即ち、例えば、薄膜前駆体、特に、Al等よりなる薄膜前駆体では、その表面が酸化されやすく、酸化被膜を形成しやすい。このため、固相−気相置換反応を効果的に行うためには、この酸化被膜の少なくとも一部を予め除去する前処理を施した後、固相−気相置換反応に供することが望ましい。この前処理としては、特に制限はないが、薄膜前駆体に対してガス状態の還元性物質の接触処理により酸化物を還元する方法、例えば、Al薄膜に対して四塩化炭素ガス等を接触させる方法などが挙げられる。
また、本発明においては、上記置換反応終了後、後処理として、未反応で残留している、薄膜前駆体中の金属及び/又は合金を除去又は低減させるための後処理等を行っても良い。
この残留物の除去処理としては、例えば真空加熱処理が挙げられる。即ち、置換反応によって、AlCl等の薄膜前駆体と気相との反応副生物が活物質層(置換反応後の薄膜前駆体)中に微量残留していることがあるが、真空加熱処理することによって、これを気化させて除去することができる。この場合の加熱温度の下限は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、中でも200℃以上で、上限は、通常400℃以下、好ましくは300℃以下、中でも250℃以下である。加熱温度がこの下限を下回ると除去されにくくなり、上限を超えると生成した活物質と集電体の間で金属間化合物を作り、もろくなる。また、真空条件としてはできるだけ低い方が好ましく、通常100Pa以下、好ましくは1Pa以下である。
加熱時間は工業的にはできるだけ短い方が好ましいが、薄膜の厚さが10μm程度の場合、置換処理に要する時間は通常5〜30分である。
また、後処理としては、未反応の金属を除くために、当該活物質に接触させていない活物質の原料物質のガスを吹きつける処理が有効である。
固相−気相置換反応の具体的な実施方法としては特に制限はないが、後述の如く、ロール状のクラッド板を巻き出し、巻き取る間に、活物質の原料物質(以下「反応成分」と称す場合がある。)を含んだ高温の気体を吹き付ける連続生産で行うことが好ましい。反応成分は、常温、常圧で液体であるのが好ましく、このようなものであれば、キャリアガスを反応成分の液中でバブリングすることによって、容易に気化させることができる。この気体を、前述の如く、細かく砕かれた加熱状態の活物質の間を通過させて気体の加熱と低価の反応成分を形成させた後、クラッド板に吹き付ける。固相−気相置換反応により薄膜前駆体から発生する被置換物質(金属及び/又は合金)の化合物も通常気体であり、キャリアガスと共に系外に取り出される。
なお、反応生物を含む気体の吹き付けにあたっては、先端部を狭めてノズル状にし、流速を高めることによって、置換反応の速度を高めることができるので好ましい。
具体的には、固相面に対して、通常、0.5Nm/s以上、5Nm/s以下程度の流速で吹き付けるのがよい。
本発明において、置換反応によって、薄膜前駆体中の金属及び/又は合金は、下限として、通常50重量%以上、好ましくは80重量%以上活物質と置換されることが好ましい。この置換割合が50重量%未満では、活物質の導入量が少なく、高容量の電極を得ることができない。この置換割合は高いほど好ましく、通常90重量%以上、99重量%以下である。
また、薄膜前駆体中の金属及び/又は合金が、上述の割合で置換された活物質導入層の厚みの下限は通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上で、通常100μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。この活物質導入層の厚みが上記下限を下回ると電極として十分な容量を確保し得ず、上限を上回ると、膨張収縮が大きくなり、電池として充放電させたときのサイクル特性が悪くなりやすい。
このようにして得られる本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極は、アルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質層を有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極であって、該活物質層が、周期律表第14族元素を含有し、かつ、該活物質層の厚み方向に、周期律表第14族元素の濃度が傾斜してなるものである。即ち、上記した置換反応は、薄膜前駆体の表面から順次起きるため、厚み方向に置換反応の度合いが傾斜する。薄膜前駆体表面側ほど、置換反応が進行しやすく、従って活物質濃度は、活物質層(活物質を導入した薄膜前駆体)の表面側ほど高くなる傾向にある。置換反応が進めば、活物質の濃度勾配は小さくなるが、それでも、薄膜前駆体の内層において、気相との距離が遠くなればなるほど、例えば、集電体と薄膜前駆体の積層体においては、集電体に近い領域において、活物質の濃度勾配が残りやすい。
傾斜の度合としては、活物質層の集電体界面から活物質総厚みの30%の領域における平均活物質濃度に対して、活物質層の集電体積層面とは反対側の活物質層表面から30%の領域における平均活物質濃度の比(以下「濃度勾配比」と称す場合がある。)が、下限として通常1以上、中でも1.05以上、また上限として通常2以下程度である。
このように活物質層がその厚み方向に活物質である周期律表第14族元素濃度の濃度勾配を有することは、集電体上にスパッタ、蒸着、CVD等の高真空ドライプロセスで成膜され、実質的に活物質の濃度勾配がない従来の活物質層に対して、活物質層中の活物質濃度が集電体近くで小さく、充放電時の膨張収縮が少なくなるので集電体との間で大きな応力の発生が抑制され、サイクル特性等の電池性能が向上する点で非常に有利である。
このように置換反応により薄膜前駆体に活物質を導入して得られる本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極の活物質層は、通常行われているテープを表面に貼付けた後に剥がすテープ剥離試験においても良好な結果が得られる。
[3]アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極の具体的な製造方法
本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極の製造方法の一例を図面に基づいて更に具体的に説明する。
図1は本発明に係る薄膜前駆体と集電体との積層体の形成方法の一例を説明した模式図であり、図1(a)では、圧延用ロール3によって、集電体である銅板1と薄膜前駆体であるアルミニウム板2とのクラッド箔4を成形する。得られる電極をリチウムイオン二次電池用に使う場合、このクラッド箔4は、集電体として機能する銅板1の厚さが10μm以上50μm以下であり、また、置換反応に供されるアルミニウムよりなる薄膜前駆体の厚さが5μm以上20μm以下となるまで、複数回にわたって圧延される。アルミニウムをパターニング処理する場合は、この工程のいずれかのロールとして表面にメッシュ状に凹凸を付けたものを使うか、あるいは、でき上がったクラッド箔の表面を機械加工でパターニングする。図1(b)は、移動する銅箔5に直接アルミニウムを連続的にスパッタする方法を示しており、このようにしてもアルミニウムと銅のクラッド箔を作成可能である。図1(b)において、6はスパッタ用ターゲット、7はスパッタ用カソードである。
図2は固相−気相置換反応工程を示す模式図であり、図1の方法等により作成したアルミニウム−銅クラッド箔のアルミニウムをリチウム電池の活物質であるシリコンに置換するための装置である。なお、アルミニウム自体もリチウム電池の活物質であるが、リチウムとの金属間化合物は機械的に脆く電極材として使う場合は平板型のものしか使えず、また、容量的にもシリコンの方が大きいため、アルミニウムをシリコンで置換する。
図2では,チャンバ16内で巻き出しロール8から巻き出されたアルミニウム−銅クラッド箔9は搬送ベルト15の上を通って巻き取りロール14で巻き取られる間に、図示しない四塩化シリコンガスの発生装置から送給され、ノズル10から噴出される400〜1000℃に加熱された四塩化シリコンガス11が吹き付けられる。なお、前述の如く、四塩化シリコンガスの発生装置の四塩化シリコンガスの加熱部分に、細かく砕いたSi片を入れておき、化学平衡的にごく微量の低価の塩化シリコンガスを発生させることにより置換反応の効率を上げることができる。また、搬送ベルトに冷却機能を持たせクラッド箔9の反応面と反対側の面の温度を下げると、アルミニウムと銅との間の相互拡散を小さくすることができる。ただし、反応時間が短い場合は冷却する必要はない。チャンバ16内の温度は通常、塩化アルミニウムが固化しないように200℃以上500℃以下程度に保たれており、反応生成物である塩化アルミニウム、未反応の四塩化シリコンは排気口17から気体の状態で排出される。図示しない冷却機等を用い、排気口17から排出されたガスを冷却し、析出した塩化アルミニウムを四塩化シリコンガスと分離し、四塩化シリコンガスは再び反応に用いるようにすると、四塩化シリコンの利用効率を高めることができる。また、Alのように、表面が酸化物を作りやすい元素を使う場合は、前処理として四塩化炭素ガスで処理しておくと、表面の酸化物を取り除くのに効果がある。
前述の如く、AlとSiClとの置換反応は、4Al+3SiCl→3Si+4AlClの反応で進行し、アルミニウム4モルに対し、シリコン3モルが生成するが、密度差から、体積としては、アルミニウムの約84%のシリコンが生成する。塩化アルミニウムは蒸気圧が高いため、クラッド箔に残ることはないが、残留物がある場合は、後処理の工程として巻き取ったロールを更に前述のような真空加熱処理を施せば良い。
[アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池]
本発明のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン電池は、上記の、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を用いたことを特徴とする。
即ち、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池は、上記の、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を負極とし、これと、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な正極とを、電解質を含有する電解液を介して配置した構成とされている。従って、本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極は、該負極の活物質層における前述の厚み方向の周期律表第14族元素の濃度が、電解液と接する側においてより高く傾斜するように配置したものとする。
本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極は、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池の負極材料として極めて有用である。例えば、上記の方法に従って製造した本発明の電極を負極として使用し、通常使用されるリチウムイオン二次電池用の正極及びカーボネート系溶媒を主体とする有機電解液を組み合わせて構成した非水系リチウムイオン二次電池は、サイクル特性が優れたものである。
このような非水系二次電池を構成する正極、電解液等の電池構成上必要な部材の選択については特に制限されない。
以下において、非水系二次電池を構成する部材の材料等を例示するが、使用し得る材料はこれらの具体例に限定されるものではない。
[1]正極
非水系二次電池を構成する正極の活物質には、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料;二酸化マンガン等の遷移金属酸化物材料;フッ化黒鉛等の炭素質材料などのリチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な材料を使用することができる。具体的には、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn及びこれらの非定比化合物、MnO、TiS、FeS、Nb、Mo、CoS、V、P、CrO、V、TeO、GeO等の1種又は2種以上を用いることができる。
正極の製造方法は特に制限されず、上記の正極活物質を用いて集電体上に常法に従って活物質層を形成することにより製造することができる。
正極集電体には、電解液中での陽極酸化によって表面に不動態皮膜を形成する金属又はその合金を用いるのが好ましい。金属としては、周期律表IIIa、IVa、Va族(3B、4B、5B族)に属する金属及びこれらの合金を例示することができる。具体的には、Al、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta及びこれらの金属の1種又は2種以上を含む合金などを例示することができ、Al、Ti、Ta及びこれらの金属を含む合金を好ましく使用することができる。特にAl及びその合金は軽量であり、重量当たりのエネルギー密度を高くするのに有利である。
[2]電解液
非水系二次電池に使用する非水系電解液としては、非水系溶媒に溶質(電解質)を溶解したものを用いることができる。
溶質としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩や4級アンモニウム塩などを用いることができる。具体的には、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSOからなる群から選択される1以上の化合物を用いるのが好ましい。
非水系溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル化合物;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル;クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネートなどを用いることができる。
溶質及び溶媒はそれぞれ1種類を選択して使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。これらの中でも非水系溶媒が、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含有するものが好ましい。
また、電解液中には、公知の任意の添加剤を含有させることが出来る。例えば、炭酸ビニレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸ビニルエチレン、炭酸フェニルエチレン、コハク酸無水物等の負極被膜形成剤、亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド等の正極保護剤、過充電防止剤、脱酸剤、脱水剤等の各種の添加剤を含有させても良い。これら添加剤を添加する場合の含有量は、電解液に対して、下限としては、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、上限としては通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下程度である。
[3]セパレータ
非水系二次電池に使用するセパレータの材質や形状は特に制限されない。セパレータは正極と負極が物理的に接触しないように分離するものであり、イオン透過性が高く、電気抵抗が低いものが好ましい。また、セパレータは電解液に対して安定で保液性が優れた材料の中から選択するのが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布をセパレータとして用いて、上記電解液を含浸させることができる。
[4]電池の組み立て
非水系二次電池には、非水系電解液、負極、正極の他に、必要に応じて、外缶、セパレータ、ガスケット、封口板、セルケースなどを用いることができる。非水系電解液、負極及び正極を少なくとも有する非水系二次電池を製造する方法は、特に限定されず、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。例えば、外缶上に負極を載せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を載せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池とすることができる。
[5]電池形状
本発明のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極の形状は特に制限されず、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等を採用することができる。
以下に、実施例に基づいて更に本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
図3に示す実験装置により固相−気相置換反応を行った。即ち、温度制御装置19で液体状に保たれた四塩化シリコン18に、導入口21からのアルゴンガスをバブリングして気化させた。本実施例では、温度は0℃としたため、四塩化シリコンの分圧は約0.1気圧(0.01MPa)であった。このようにして気化させた四塩化シリコンを、Siの小片の詰まった加熱装置20で約800℃に加熱した後反応管22に導入する。四塩化シリコンは加熱装置20で、金属シリコンと反応させ、僅かではあるが、2価、3価の塩化シリコンを含む混合ガスとした。反応管22内のサンプル(4Nの高純度Al板:20mm×20mm×0.4mm厚さ)23は電気炉24によって約450℃に保持されており高温の塩化シリコンガスに晒されることにより固相−気相置換反応が起こった。置換反応によって生成した塩化アルミニウム及び未反応の塩化シリコンは反応管22から排出され、約100℃に冷やされた第1のコンデンサ25で塩化アルミニウムは粉末として回収され、更に、液体窒素の入った第2のコンデンサ26で四塩化シリコンガスは冷却されて完全に液体状態とされて回収された。
上記の条件で約20分間反応させた後、反応管22内でサンプル23を冷却後取り出し、サンプル表面に対して、EDX(Energy Dispersive X−ray Fluorescence Spectrometer)による元素の定性分析を行った。
図4(a)は反応後のサンプルの表面の顕微鏡写真、図4(b)は分析結果を示すチャートである。これらから、Siの強いピークが観測され、反応後のサンプルの表面にはSiが析出していることが分かる。このチャートでは、塩素も検出されているが、これはサンプルを冷却した時に、塩化アルミニウムがサンプル表面に付着したものと思われる。
実施例2
サンプルとして、Al板の代りにCu/Al合金板(Al含有量24.5重量%)を用い、その保持温度を600℃に上げたこと以外は、実施例1と全く同じ条件で、固相−気相置換反応を行った。
図5(a),(b)は固相−気相置換反応前後でのサンプルの表面の顕微鏡写真であり、固相−気相置換反応後のサンプルには析出物ができているのが分かる。図5(c)は、固相−気相置換反応後のサンプルの元素の定性分析結果であり、CuとSiが検出された。また、元々合金組成として入っていたAlは全く検出されず、Siに全て置換されたものと考えられた。
実施例3
集電体として、平均表面粗さRaが0.32μmで、厚さが18μmの電解銅箔を使い、その上にアルミニウムを約10μmの厚さでスパッタしたサンプルを用い、実施例1と同じ条件で固相−気相置換反応を行った。
第6図(a),(b)は、固相−気相置換反応前後のサンプルの断面の様子を示したSEM写真である。電解銅箔の表面が粗いため、スパッタされたAlは、図6(a)のように柱状結晶になっている。固相−気相置換反応後は、図6(b)に示す如く、置換反応で表面からSiが析出し、Cu基板との間には、AlとCuの合金が生成している。Siの析出層の厚さは約8μmであり、分析の結果、下記表1から分かるように、最表層ではSi濃度が93.5重量%であるが、下層にいくに従って、Si濃度は85.9重量%程度まで低下している。No.5,6で示される、Al−Cu合金層は、電池に組んだときには、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンは吸収せず、No.7のCu層と同じように集電体として働くため、なるべく薄い方が好ましいが、存在していても問題はない。
一般に、Siを直接スパッタして電極とする場合は、通常3〜10μmの膜厚とするが、上記のように8μmぐらいのSi置換層が形成されていれば、電極の容量として十分である。
なお、本実施例では、表1のNo.3とNo.4の領域よりなる膜厚約8μmの活物質層が形成されたが、集電体として機能するNo.5,6の領域のうち、No.5の表面からこの活物質層の総厚み約8μmの30%に相当する厚さ2.4μmのNo.4の領域のSi濃度は85.9重量%であり、活物質層の表面側からこの活物質層の総厚み約8μmの30%に相当する厚さ2.4μmのNo.3の領域のSi濃度は93.5重量%であり、前記の濃度勾配比は約1.1である。
Figure 2005276728
本発明に係る薄膜前駆体と集電体との積層体(クラッド箔)の形成方法の一例を示す模式図である。 本発明に係る固相−気相置換反応工程の一例を示す模式図である。 実施例1〜3で用いた置換反応装置を示す模式図である。 図4(a)は、実施例1における固相−気相置換反応後のサンプルの表面の顕微鏡観察写真であり、図4(b)は同EDX分析チャートである。 図5(a)は、実施例2における固相−気相置換反応前のサンプルの表面の顕微鏡観察写真であり、図5(b)は同固相−気相置換反応後のサンプルの表面の顕微鏡観察写真であり、図5(c)は同固相−気相置換反応後のサンプルの元素の定性分析チャートである。 図6(a)は実施例3における固相−気相置換反応前のサンプルの断面のSEM写真であり、図6(b)は同固相−気相置換反応後のサンプルの断面のSEM写真である。
符号の説明
1 銅板
2 アルミニウム板
3 圧延用ロール
4 クラッド箔
5 銅箔
6 スパッタ用ターゲット
7 スパッタ用カソード
8 巻き出しロール
9 アルミニウム−銅クラッド箔
10 ノズル
11 四塩化シリコンガス
14 巻き取りロール
15 搬送ベルト
16 チャンバ
17 ガス排気口
18 液体四塩化シリコン
19 温度制御装置
20 加熱装置
21 導入口
22 反応管
23 サンプル
24 電気炉
25,26 コンデンサ

Claims (13)

  1. 金属及び/又は合金を主体とする薄膜中に含有される該金属及び/又は合金の少なくとも一部を、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質で置換してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  2. 請求項1に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記薄膜を構成する金属及び/又は合金が、Al、Zn、Mg、及びFe、並びにこれらの金属を含む合金からなる群から選ばれるものであることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  3. 請求項1又は2に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記活物質が、周期律表第14族元素及びそれらの合金からなる群から選ばれるものであることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記薄膜が、集電体との積層体であることを特徴とするアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  5. 請求項4に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記集電体が前記薄膜に含まれる金属と同種の金属元素を含むことを特徴とするアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  6. 請求項4又は5に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記薄膜と集電体との積層体の該薄膜側表面が、パターニング処理されていることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  7. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記薄膜に含まれる金属及び/又は合金が、集電用金属との合金であることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記薄膜に対して、気相状態で、前記活物質の原料物質を接触させる固相−気相間の置換反応で、該薄膜中の金属及び/又は合金を該活物質で置換してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  9. 請求項8に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記置換反応工程が、
    (1) 前記活物質の原料物質を気相状態とした後、当該活物質に接触させる工程と、
    (2) (1)の工程で得られる、前記活物質と接触後の気相を、前記薄膜に接触させる工程と、
    を含むことを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  10. 請求項8に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極において、前記置換反応後に、未反応で残留している前記金属及び/又は合金の少なくとも一部を除去するための後処理が行われることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極を用いたことを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池。
  12. アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な活物質層を有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極であって、該活物質層が、周期律表第14族元素を含有し、かつ、該活物質層の厚み方向に、該周期律表第14族元素の濃度が傾斜してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池用電極。
  13. 請求項12に記載の電極を負極とし、該負極と、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵・放出可能な正極とが、電解質を含有する電解液を介して配置されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池であって、該負極の活物質層の厚み方向の周期律表第14族元素の濃度が、該電解液と接する側においてより高く傾斜してなることを特徴とする、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン電池。
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