JP2005273059A - 吸湿性ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸湿性が高く、高品位の織編物等として下着、スポ―ツウェア等の快適素材として用いることができる。
【解決手段】親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)をブレンドしたポリエステル繊維であり、以下(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維。
(1)ポリエステル繊維の吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.0%以上
(2)ポリエステル繊維中の親水性成分(A)の分散径が2ミクロン以下
(3)特定の置換基を有したチタン化合物であって、かつ少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有するチタン化合物を親水性成分(A)、もしくは親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)に配合してなるポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は優れた光沢及び新規風合いを有する吸湿性ポリエステル繊維に関するものであり、さらに詳しくはインナー、中衣、スポーツ衣料などの衣料用素材に特に好適に使用することができる吸湿性ポリエステル繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル繊維は、機械的強度、耐薬品性、耐熱性などに優れるため、衣料用途や産業用途などを主体に広く使用されている。
しかしポリエステル繊維は極めて吸湿性が低いため、インナー、中衣、スポーツ衣料などの、直接的に肌に触れるあるいは肌側に近い状態で着用される分野では、肌の発汗によるムレやベタツキなどを生じ、快適性の点で天然繊維よりも劣り、前記衣料用途への進出は限定されていた。
この欠点を解消するため、たとえば、平衡水分率(吸湿率)の高い繊維との各種の混繊、合撚、引揃えなどにより布帛として吸湿快適性を得んとする試みが開示されている。しかし、これらの方法を用いることで確かに快適性は向上するものの、その効果は十分とはいえず、逆にその他の合成繊維特性において合成繊維を染色する際に一般的に使用される分散染料によって汚染を生じたり、同色性に劣ったり、合成繊維本来の物理的特性が失われるという問題点があった。
また、ポリエステル繊維にアクリル酸やメタアクリル酸をグラフト重合すること、更にグラフト重合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換することにより吸湿性を付与する方法が知られているが、ポリエステルがグラフト重合しにくい素材であること、及び染色堅牢性や耐光性、繊維物理特性、風合いなどの低下を潜在的に有していることから、実用化には到っていない。
後加工段階で吸湿性を付与する方法では染色時あるいは得られた布帛特性の点で種々の問題があることから、繊維を製造する段階で吸湿性を付与し、かつ前記問題点を解消するため、以下のような技術が開示されている。
まず、特定のポリアルキレングリコールを50〜70重量%配合してなるポリエステル組成物が開示されている。この組成物を単独で繊維化した場合、繊維物性が低く、また耐水性に劣るため衣料用及び産業用での使用は困難である。
また、常湿度下で吸湿率が10%以上の吸湿性樹脂を芯部とし、それを鞘部であるポリエステルで覆った芯鞘型複合繊維が開示されている。しかしながら、この方法では染色などの熱水処理時に芯部の吸湿・吸水率が高いが故、芯部と鞘部との水膨潤差により鞘部に歪みがかかって繊維表面にひび割れが生じ、高次工程でのトラブルを生じやすい等の欠点がある。
また、親水性ポリエステルを芯成分、非親水性ポリエステルを鞘成分とする芯鞘型複合ステープルについて開示されている。親水性ポリエステルとしてポリアルキレングリコール共重合体単独あるいは少量のポリアルキレングリコール共重合体に少量のスルホン酸や酸性リン酸エステル誘導体を配合したものを用いるものであり、ステープルとして繊維両端面を増加させ吸水性を向上させようというものである。しかしながら、本発明者等の検討では該ステープルで吸水性を向上させることはできるが、吸湿性の向上は困難であることがわかった。
また、特定のポリエーテルエステルを芯成分とした芯鞘型の制電性複合繊維が開示されている(特許文献1参照)。しかし、該文献に記載の効果は制電性であるが、ポリエーテル成分を単独共重合したポリエステルを芯成分として用いているため、吸湿性を含め繊維物性が経時的に劣化するという問題がある。また該ポリエーテルエステルの着色が激しく、得られる最終製品の品位が損なわれるといった問題点がある。
また、芯鞘型吸湿性ポリエステル繊維として、アルキレンテレフタレート、アルキレンスルホイソフタレート、及びポリオキシアルキレングリコールよりなる共重合体にブロックポリエーテルエステルをブレンドして芯ポリマとして用いたものが開示されているが(特許文献2参照)、該文献においてはブロックポリエーテルエステルの分散径についてなんら記載もなく、また、該文献記載の技術では十分な吸湿性が得ることは難しく、かつ、鞘割れを回避することができず、満足するレベルではない。
また、本発明者等は親水性化合物を共重合した吸湿性に優れた共重合ポリエステルならびに該共重合ポリエステルを用いた吸湿性に優れた繊維を発明するに至りこれを開示した(特許文献3参照)。しかしながら、共重合ポリエステルを繊維形成性重合体にブレンドする際、単純にチップブレンドするだけでは吸湿性は発現するものの、吸湿性を満足させるためには親水性化合物を多量共重合した共重合ポリエステルを使わなくてはならず、結果として繊維をアルカリ処理した場合フィブリル化が激しいことがわかった。
以上から共重合ポリエステルを繊維形成性重合体にブレンドする際、共重合ポリエステルの分散径を小さくすることで共重合ポリエステル中の親水性化合物が少なくても高い吸湿性が発現することを見出し既に提案した(特許文献4参照)。
一方、一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。このような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は埋蔵量も少なく希少価値であることから汎用的に用いることは難しい。
そこで、本発明では上記の問題点を改良し、糸切れの少ないポリエステルを鋭意検討した結果、重合用触媒としてチタン化合物を用いることでアンチモン化合物を用いた時の問題点を解決できると共に、ポリマーの色調及び吸湿特性も向上するという知見を得た。
なお、従来の技術として、ポリエステルに重合用触媒としてチタン化合物とリン化合物とからなるチタン錯体を重合用触媒として用いる提案がされている(特許文献5参照)。この方法によれば触媒に起因した異物を少なくすることができるものの、得られるポリマーの色調は十分なものではない。従って、チタン化合物をポリエステル重合用触媒に用いたとは言え、さらなる改善が求められていると言える。
また、フェニレンジオキシジ酢酸類を共重合成分とする共重合ポリエステルにおいて、重合触媒と、リン化合物として有機ホスファイト化合物を用いる提案がされている(特許文献6参照)。この方法によればガスバリア性を付与するために必須成分として共重合成分であるフェニレンジオキシジ酢酸類を添加しており、有機ホスファイト化合物を添加することで色調改善が行われる。しかし、特許文献6に記載された具体的な重縮合触媒はアンチモン化合物のみであり、成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因を解消することにはなっていない。また、発明の実施の形態に記載された重縮合触媒として、チタン等の有機酸等を挙げているが、本発明にて挙げた特定のチタン化合物を挙げているわけではない。
以上から、本発明では吸湿性ポリエステル繊維の品質上及び製造上の欠点を改善することについて鋭意検討した結果、少なくとも特定のチタン化合物がポリエステル重合用触媒であることを特徴とするポリエステル組成物を繊維形成性重合体にブレンドする際、共重合ポリエステルの分散径を小さくすることで高い吸湿性が発現することを見出し本発明に至った。
特開昭53−111116号公報 特開平6−123012号公報 特開平8−198954号公報(請求項14) 特開2003−213523号公報 特開2003−129341号公報 特開2003−147060号公報
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を克服し、商品価値の高い、吸湿性の優れた吸湿性ポリエステル繊維を提供することにある。
前記した本発明の目的は、親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)をブレンドしたポリエステル繊維であり、以下(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維で達成することができる。
(1)ポリエステル繊維の吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.0%以上
(2)ポリエステル繊維中の親水性成分(A)の分散径が2ミクロン以下
(3)置換基が下記式1〜5で表される官能基からなる群より選ばれる基であるチタン化合物であって、かつ少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有するチタン化合物を親水性成分(A)、もしくは親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)に配合してなるポリエステル繊維。
Figure 2005273059
(式1〜式5中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
本発明によって得られた吸湿性ポリエステル繊維は、着用快適性を得るのに十分な吸湿性を有し、かつ発色性に優れ高い染色堅牢性や耐光性を有している。本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、下着、シャツ・ブラウス類、中衣、スポーツウェア、スラックス類、外衣、裏地、さらには、シーツ、フトンカバー等の寝装用に適しており、極めて実用性の高いものである。
親水性成分(A)は本発明の目的である繊維に吸湿性を付与する成分であり、ベースとなる繊維形成性重合体(B)よりも高い吸湿性を有することが重要である。当該条件を満たし得る代表的な親水性成分(A)としては、ポリエーテルエステル系化合物、ポリエーテルエステルアミド系化合物、ポリオキシアルキレン化合物、ポリオキサゾリン類、ポリアクリルアミドとその誘導体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンなどが挙げられる。その中でもポリエーテルエステル系化合物が好ましい。
具体的にポリエーテルエステル化合物とは、同一分子鎖内にエーテル結合とエステル結合を有する共重合体である。より具体的にはジカルボン酸とジオールとのポリエステル成分とポリオキシアルキレングリコールからなるポリエーテル成分の共重合体である。ポリエステルの酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2、6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。またグリコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲でグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール如きポリオールを用いても良い。ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランとのランダムまたはブロック共重合等が挙げられ、特にポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリエチレングリコールの共重合量は20〜90重量%であることが好ましい。より好ましくは20〜40重量%である。共重合比率の上限は製糸性の観点から設定され、下限については吸湿特性から設定される。
本発明において、快適性を得るためには繊維として吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.0%以上であるものである。
また、本発明においては繊維形成性重合体(B)中の親水性成分(A)の分散状態が非常に重要であり、親水性成分(A)を微分散させることで吸湿性が向上する。親水性成分(A)の分散径は2ミクロン以下であり、好ましくは1.5ミクロン以下である。分散径が2ミクロンより大きい場合、期待する吸湿効果が発現しない。なお、ここでいう親水性成分(A)の分散径は、たとえば親水性成分(A)がポリエーテルエステルの場合、繊維断面をオスミニウム酸で染色し、TEM写真撮影をすることで確認できる。このとき分散径とはオスミニウム酸で染色された領域の最大長部分を写真で任意の10点の平均で求めて測定したものである。
また、本発明に用いられる特定のチタン化合物を添加してなることを特徴とするポリエステル組成物において、重合用触媒として用いることができるチタン化合物は、置換基が下記式1〜5で表される官能基からなる群より選ばれる少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有する少なくとも1種であるチタン化合物が挙げられる。
Figure 2005273059
(式1〜式5中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
本発明の式1としては、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、式2としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、式3としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
また、式4としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
また、式5としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基が挙げられる。
中でも式1及び/または式4が含まれていることがポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。
また、チタン化合物としてこれら式1〜式5の置換基の2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
なお、従来から知られているテトライソプロポキシチタンやテトラブトキシチタン等の、カルボニル基、カルボキシル基及びエステル基を含有しないアルコキシチタン化合物は本発明の式1には含まれない。
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
従って、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている二酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
本発明において、ポリエステル繊維にてカルボン酸末端基量が20〜40eq/tであり、親水性成分(A)のカルボン酸末端基量が3〜10eq/tであり、かつ親水性成分(A)と繊維形成性重合体(B)のカルボン酸末端基量の比(A/B)が0.1〜0.4であることが好ましい。ポリエステル繊維にてカルボン酸末端基量が20eq/t以上であり親水性成分(A)のカルボン酸末端基量が3eq/t以上であれば生産性の観点から好ましく、ポリエステル繊維にてカルボン酸末端基量が40eq/t以下であり親水性成分(A)のカルボン酸末端基量が10eq/t以下であれば耐熱性が改善されポリマー色調に好ましい。また、親水性成分(A)と繊維形成性重合体(B)のカルボン酸末端基量の比(A/B)が0.1以上であれば分散性の観点から好ましく、0.4以下であれば生産性の観点から好ましい。
また、本発明の親水性成分(A)のポリエステルにて主たる酸成分がテレフタル酸であることがテレフタル酸ジメチルを用いるよりも安価であり生産性に優れている。さらに、ポリエステルを製造する際にエステル化反応終了後、重縮合反応開始前の任意の時点で、テレフタル酸に対するモル比で0.3〜1.1のグリコール成分を追添することが好ましい。追添するグリコール成分としてはテレフタル酸に対するモル比で0.3以上であれば重合遅延を生じないことから好ましく、1.1以下であれば耐熱性を低下させないことから好ましい。
本発明おいて、ポリマー色調及び耐熱性の観点から下記式6で表されるリン化合物を配合してなることが好ましい。
Figure 2005273059
(上記式6中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、ベンゼン環に対して2個以上有していてもよい。なお、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。また、R2、R3はそれぞれ独立に、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、リン原子に対して−OR2または−OR3となるアルコキシ基であってもよい。なお、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。また、L+M+N=3であり、かつLは1〜3の整数、M及びNは0〜2の整数である。)
以上の上記式6にて表されるリン化合物としては、例えば亜リン酸エステル、ジアリール亜ホスフィン酸アルキル、ジアリール亜ホスフィン酸アリール、アリール亜ホスホン酸ジアルキル、アリール亜ホスホン酸ジアリールが挙げられ、特に熱安定性及び色調改善の観点から亜リン酸エステルであることが好ましい。具体的には、環状構造を有しないリン化合物として式6中のL=3、かつM=0、かつN=0の化合物としてトリフェニルホスファイト、トリス(4−モノノニルフェニル)ホスファイト、トリ(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等があり、L=2、かつM=1、かつN=0の化合物としてモノオクチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト等があり、L=1、かつM=1、かつN=1の化合物としてジオクチルモノフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト等があり、その中でも下記式8のトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。この化合物はアデカスタブ2112(旭電化株式会社)またはIRGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)として入手可能である。
Figure 2005273059
また、式6にて表されるリン化合物は、熱安定性及び色調改善の観点からリン原子を含む6員環以上の環構造を有する化合物であることが好ましい。具体的なリン化合物は、L=1、かつM=1、かつN=1の化合物としてビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9−ビス(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、フェニル−ネオペンチレングリコール−ホスファイト等があり、L=2、かつM=1、かつN=0の化合物として2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。さらに、熱安定性及び色調改善の観点から下記式7に記載した化合物が好ましい。なお、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、ベンゼン環に対して2個以上有していてもよく、かつ異なる基であってもよい。この場合の炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。具体的な化合物としては、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトや、以下の下記式9で表されるビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、式10で表されるビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、式11で表される2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが好ましい。これらの式9〜11の化合物はそれぞれ、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブHP−10としていずれも旭電化株式会社より入手可能であり、式10はIRGAFOS126としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズより入手可能である。また、これらの化合物を単独または併用してもよい。
Figure 2005273059
Figure 2005273059
Figure 2005273059
Figure 2005273059
本発明の特定のリン化合物を添加する場合、リン化合物を前記のエチレングリコール等のジオール成分に溶解させた状態または分散させたスラリー状にすることが好ましい。
なお、本発明のポリエステルに含有されるリンは、化学式6以外のリン化合物を熱安定性及び色調改善の観点から添加してもよい。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等の亜ホスホン酸系、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等の亜ホスフィン酸系、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系が挙げられ、これらのリン化合物を単独または併用してもよい。
本発明のポリエステル重合用触媒の具体的な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンが挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。また、熱安定性及び色調の観点からチタン化合物とリン化合物をpH=4〜6の溶媒中で調製するために塩酸、硫酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性化合物、MES(pH=5.6〜6.8)、ADA(pH=5.6〜7.5)等のグッド緩衝剤または上記のリン化合物を用いても良い。
本発明のポリエステル重合用触媒の合成方法は、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)前記ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下することが、熱安定性及び色調改善の観点から好適である。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。温度計及び撹拌翼を備えた反応装置に該混合溶媒を仕込み、0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは10〜100℃の温度で2〜60分間撹拌混合することによって行われる。
また、本発明のポリエステル重合用触媒は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予め該化合物をエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。さらに、熱安定性や色調改善の観点から、リン化合物を追加添加しても良い。この場合、チタン化合物を含んでいる本発明のポリエステル重合用触媒とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に追加添加する方法や、同一の反応槽において本発明のポリエステル重合用触媒とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
本発明のポリエステルにおいてはアンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することが必要である。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
また、チタン化合物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン化合物とリン化合物の比率がマンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200となるように添加すると重合活性の低下を抑制することができ、それにより得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。この場合に用いるマンガン化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン四水塩、酢酸マンガン二水塩等が挙げられる。
また、本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。この場合に用いるコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
また、得られるポリマーの熱安定性や色調を向上させる目的で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
本発明において、ポリエステル組成物中にトリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物等のカルボニル基を3個以上有する芳香族多価カルボン酸化合物を配合することが好ましい。
また、親水性成分(A)のブレンド率は5〜39重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは10〜35重量%である。ブレンド率は染色用途及び染色なしの用途で任意に選ぶことができる。ブレンド率の下限は十分な吸湿性を付与する目的から設定され、ブレンド率の上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
本発明において親水性成分(A)を微分散させるためには親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)をブレンドする際、両成分を個別に溶融しパック内に組み込んだ静止混練子(ハイミキサー)にて溶融ブレンドすることが重要である。また、目的とする分散径を得るためには静止混練子は5段以上とすることが好ましく、さらに好ましくは10段以上である。
また親水性成分(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、帯電防止剤、耐光剤等が添加されても勿論良い。
また本発明において繊維形成性重合体(B)としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは衣料用合成繊維として最も汎用性の高い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルである。ポリエチレンテレフタレートを用いる場合、親水性成分(A)と同様、少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有するチタン化合物を用いても良く、特定のリン化合物を用いても良い。
本発明において繊維形成性重合体(B)に複合する主成分は、前記した共重合ポリエステルであるが、その効果を損なわない範囲でポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等を含んでいてもよい。
また繊維形成性重合体(B)には、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、帯電防止剤、耐光剤等が添加されても勿論良い。
本発明においてポリエステル繊維の製法としては以下の方法で製造することができる。
ポリエステルと親水性成分(A)をそれぞれ別々に溶融し、紡糸パックに導き図1に示す静止混練子10段を組み込んだパックに導入しブレンドし、吐出孔から紡出する。
紡出したフィラメント糸を所定の速度で引取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよいし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延伸することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法をとってもよい。
直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸を1000〜5000m/分で引取り、引続いて3000〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられる。
本発明の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、常法によって得ることができる。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって求めた。
A.ポリエステル中のチタン元素、リン元素、アンチモン元素及びマンガン元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、ポリエステルに二酸化チタン粒子が含有されている際には、次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリマー5g)し、このポリマー溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリマーを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトンで洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を施して得られたポリマーについてチタン元素、リン元素、アンチモン元素及びマンガン元素の分析を行った。
一方、二酸化チタン粒子が含有されていない場合は、前処理を行う必要がないので、ポリマーをそのまま分析すればよい。
B.ポリマーの固有粘度IV
オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
C.カルボン酸末端基量
Mauriceらの方法[Anal.Chim.Acta,22,p363 (1960)]によった。
D.溶液ヘイズ
測定する試料2.0gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。
なお、溶液ヘイズが2%より小さければ異物の含有率が少なく、製糸性に優れたポリマーであると言える。
E.ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−3)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
F.口金の堆積物の観察
繊維の紡出から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
G.ポリマ及び繊維の吸放湿パラメーター(吸湿率差)ΔMR
吸湿率はポリマの場合、チップを約2mm角の立方体状に裁断し、また繊維の場合は原糸をカセ取りして、いずれの場合も60℃で12時間真空下で乾燥し、乾燥後の重量をおよそ1gとし、20℃×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気下、恒温恒湿器(エスペック社製PR−2G)中に24時間放置後の重量との重量変化から、次式で求めた。
吸湿率(%)=(吸湿後の重量−乾燥後の重量)/乾燥後の重量 ×100
上記測定した20℃×65%RH及び30℃×90%RHの条件での吸湿率(それぞれMR1及びMR2とする)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を求める。ここで吸湿率差ΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出することにより快適性を得るためのドライビングフォ―スであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿率差である。
本発明では吸湿性評価の尺度としてこのΔMRをパラメーターとして用いるが、ΔMRは大きければ大きいほど吸湿性が高く着用時の快適性が良好であることに対応する。実用上として着用快適性を得るためには繊維としてΔMRは1%以上とするものである。
H.強度、伸度
東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用いて試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲線から値を求めた。
I.親水性成分(A)の繊維中での分散径
親水性成分(A)の繊維中での分散径は繊維断面をオスミニウム酸で染色し、TEM写真撮影をすることで確認した。
実施例1
親水性成分(A)となる共重合ポリエステルとして、高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)のエチレングリコールスラリーを得られるポリマーに対して50ppm(リン原子換算で5ppm)となるように添加した。5分間撹拌した後、エチレングリコールをテレフタル酸に対してモル比で0.5となるように19kg添加した。更に5分間撹拌した後、分子量4000のポリエチレングリコール(三洋化成社製)を得られるポリマーに対して30重量%、トリメリット酸(三菱ガス化学社製)1重量%、IRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2重量%、シリコン0.2重量%、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してコバルト原子換算で30ppm、マンガン原子換算で10ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、クエン酸キレートチタン化合物及びリン酸からなるエチレングリコール溶液(触媒A)を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から280℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は4時間であった。
得られたポリマーはIV=0.95、COOH=6当量/t、色調はL=60、a=2.0、b=2.5、溶液ヘイズは0.7%であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppm、リン原子の含有量は13ppmであり、Ti/P=0.50であり、アンチモン原子の含有量は0ppmであることを確認した。また、得られた共重合ポリエステルの吸湿率ΔMRは5%であった。
該共重合ポリエステルを1成分とし、IV=0.70、COOH=35当量/tのポリエチレンテレフタレート(繊維形成性重合体(B))を別々に溶融し、図1に示す静止混練子10段を組み込んだパックからブレンド比率(重量比)=30(親水性成分(A):ポリマー流路1)/70(ポリエチレンテレフタレート:ポリマー流路2)になるように吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することにより84デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。(A)と(B)のカルボン酸末端基量の比(A/B)は0.17であり、ポリエステル繊維のカルボン酸末端基量は26当量/tであった。溶融紡糸工程においては、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められず、また延伸時の糸切れもほとんどなく成形加工性の良好なポリマーであった。この繊維を筒編みとし、精練後の筒編地の吸湿特性を測定したところΔMR=1.6%であった。
実施例2〜4、比較例1、2
実施例1において静止混練子の段数を変更し扁平度を変更した以外は実施例1と同様な方法によりブレンド繊維の染色布帛を得た。結果を表1にまとめる。比較例1、2においては分散径を小さくすることができず満足するΔMRが発現しなかった。なお、表1記載のリン化合物1とはビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)である。
Figure 2005273059
実施例5〜7、比較例3
実施例1で得られた共重合ポリエステルを構成成分とし、実施例1と同様にIV=0.70のポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、ブレンド比を変更して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理することにより84デシテックス24フィラメントのブレンド繊維を得た。繊維特性を表2にまとめた。比較例3においては共重合ポリエステルのブレンド率が高く紡糸することができなかった。
Figure 2005273059
実施例8〜12、比較例4〜6
実施例1において共重合ポリエステル中のチタン化合物種(触媒B〜D)及び量を変更する以外は同様な方法で共重合ポリエステルを得た。該共重合ポリエステルを構成成分とし、実施例1と同様な方法で84デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。繊維特性を表3にまとめた。比較例4、5についてはポリマーの色調悪化が著しく、比較例6については紡糸時の口金汚れが著しく口金に堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態であり、親水性成分の分散径も大きく、満足するΔMRが得られなかった。
Figure 2005273059
なお、以下に触媒A〜Dの合成方法を記す。
触媒A.クエン酸キレートチタン化合物(リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。
触媒B.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。
触媒C.乳酸キレートチタン化合物(リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。
触媒D.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。
実施例13〜19、比較例7
実施例1において共重合ポリエステル中のリン化合物の種類(リン化合物2〜6)及び量を変更する以外は同様な方法で共重合ポリエステルを得た。該共重合ポリエステルを構成成分とし、実施例1と同様な方法で84デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。繊維特性を表4にまとめた。比較例7については特定のリン化合物を添加していないため、ポリマー色調は悪化した。
Figure 2005273059
なお、表5記載のリン化合物1とはビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)であり、リン化合物2とはフェニルホスファイト(Aldrich社製)であり、リン化合物3とはトリス(モノノニルフェニル)ホスファイト(Aldrich社製)であり、リン化合物4とはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP24G)であり、リン化合物5とは2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(旭電化社製、アデカスタブHP−10)であり、リン化合物6とはトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブ2112)である。
実施例20〜22
実施例20では、実施例1において共重合ポリエステルである親水性成分(A)だけではなく、繊維形成性重合体(B)についても、実施例1と同様なチタン触媒及びリン化合物を用いて得られたポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様な方法でポリエステル繊維を得た。また、実施例21、22ではエステル化反応終了後、重縮合反応開始前の任意の時点でグリコール成分を追添する量を変更する以外は同様な方法で共重合ポリエステルを得た。該共重合ポリエステルを構成成分とし、実施例1と同様な方法で84デシテックス24フィラメントのポリエステル繊維を得た。繊維特性を表5にまとめた。
Figure 2005273059
本発明の吸湿性ポリエステル繊維を得るための静止混練子組み込みパックの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1:ポリマー流路1
2:ポリマー流路2
3:静止混練子
4:口金

Claims (11)

  1. 親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)をブレンドしたポリエステル繊維であり、以下(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維。
    (1)ポリエステル繊維の吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.0%以上
    (2)ポリエステル繊維中の親水性成分(A)の分散径が2ミクロン以下
    (3)置換基が下記式1〜5で表される官能基からなる群より選ばれる基であるチタン化合物であって、かつ少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有するチタン化合物を親水性成分(A)、もしくは親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)に配合してなるポリエステル繊維。
    Figure 2005273059
    (式1〜式5中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  2. 請求項1記載のポリエステル繊維にてカルボン酸末端基量が20〜40eq/tであり、親水性成分(A)のカルボン酸末端基量が3〜10eq/tであり、かつ親水性成分(A)と繊維形成性重合体(B)のカルボン酸末端基量の比(A/B)が0.1〜0.4であることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維。
  3. 請求項1または2記載の親水性成分(A)であるポリエステルが主たる酸成分がテレフタル酸であり、ポリエステルを製造する際にエステル化反応終了後、重縮合反応開始前の任意の時点で、テレフタル酸に対するモル比で0.3〜1.1のグリコール成分を追添することを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の吸湿性ポリエステル繊維において、下記式6で表されるリン化合物を配合してなることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維。
    Figure 2005273059
    (上記式6中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、ベンゼン環に対して2個以上有していてもよい。なお、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。また、R2、R3はそれぞれ独立に、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、リン原子に対して−OR2または−OR3となるアルコキシ基であってもよい。なお、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。また、L+M+N=3であり、かつLは1〜3の整数、M及びNは0〜2の整数である。)
  5. 式6にて表されるリン化合物がリン原子を含む6員環以上の環構造を有する化合物であることを特徴とする請求項4記載の吸湿性ポリエステル繊維。
  6. リン化合物が式7にて表される化合物であることを特徴とする請求項5記載の吸湿性ポリエステル繊維。
    Figure 2005273059
    (上記式7中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、ベンゼン環に対して2個以上有していてもよく、かつ異なる基であってもよい。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
  7. チタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm(二酸化チタン粒子のチタン原子含有は除く)、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm、アンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有し、チタン化合物とリン化合物の比率が、チタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項記載の吸湿性ポリエステル繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のポリエステル繊維にて、ポリエステル組成物中にカルボニル基を3個以上有する芳香族多価カルボン酸化合物を配合してなることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維。
  9. 親水性成分(A)としてポリエーテルエステル系化合物を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の吸湿性ポリエステル繊維。
  10. 親水性成分(A)をブレンド率として5〜39重量%ブレンドしたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の吸湿性ポリエステル繊維。
  11. 親水性成分(A)及び繊維形成性重合体(B)をブレンドする際、両成分を個別に溶融しパック内に組み込んだ静止混練子にて溶融ブレンドすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の吸湿性ポリエステル繊維の製造方法。
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JP2013185279A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Toray Ind Inc 吸放湿性ポリエステル繊維およびその製造方法
JP2014205941A (ja) * 2013-04-11 2014-10-30 東レ株式会社 吸放湿性ポリエステル繊維パッケージ
JP2015532366A (ja) * 2012-10-09 2015-11-09 東レ株式会社 吸湿性ポリエステル繊維及びその製造方法

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