JP2005272934A - アトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法およびアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウムとシリコンを主成分とする急冷凝固微粉末を出発原料として、鉄や銅などと同様に、容易な成形加工が可能で、必要とされる材料特性や、任意の形状でかつ高精度の製品を効率よく製造できるようにする。
【解決手段】Alを主成分とし、Siを5〜40重量%添加されたAl−Si−X金属微粉末(Xは遷移金属)を出発原料として焼成されたビレットを得る焼結ビレット形成行程S10と、圧力を付与しながら最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する成形工程S20と、を有する。なお、成形工程S20では、熱間鍛造、溶湯鍛造、熱間押出、熱間等方加圧成形の何れかの方法を用いての加圧成形を行う。その際、400〜550℃に加熱後、急冷して成形したりまたは固体−液体の共存領域で加圧成形したりする。
【選択図】図1
【解決手段】Alを主成分とし、Siを5〜40重量%添加されたAl−Si−X金属微粉末(Xは遷移金属)を出発原料として焼成されたビレットを得る焼結ビレット形成行程S10と、圧力を付与しながら最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する成形工程S20と、を有する。なお、成形工程S20では、熱間鍛造、溶湯鍛造、熱間押出、熱間等方加圧成形の何れかの方法を用いての加圧成形を行う。その際、400〜550℃に加熱後、急冷して成形したりまたは固体−液体の共存領域で加圧成形したりする。
【選択図】図1
Description
本発明は、アトマイズ法により急冷凝固して得られた金属微粉末またはその焼結材を出発原料として、成形加工により得られる金属部材とその製造方法に関する。
従来より、軽金属、例えばマグネシウム(Mg)やその合金あるいはアルミニウム(Al)やその合金を使用した製品の製造方法は、種々提案されている。1つには、金属又はその合金を溶融し、その流動性を利用する方法がある。その代表的な例が、所謂ダイカスト法として知られている。一方、溶融状態を利用するダイカスト法とは対極にあると考えられる方法として、粉末原料を溶融させることなく所定の形状に形成する方法、例えばコロイド寸法の粒子を加圧成形後焼結したり、あるいはその粒子をワックス等に混合し、それを射出成形後ワックス等を除去、焼結する粉末冶金などがあり、工業的に実用化されている。
さらに、金属材を圧縮して塑性変形させることにより形状の変化を与える鍛造法や、高温、高圧で行う熱間押出法などが提案されている。しかしながら、製品の高度化、多様化などにつれて、市場で要求される特性も種々変化してきている。金属材料として要求される性能は、その実現性が高い難度のものになる傾向になっているとともに、生産性、対環境性(循環型材料すなわちリサイクル性)などの改善の必要性などの理由で、新しい製造方法の開発の必要性も高まってきており、種々検討されている。
すなわち、近年、各種の製品の高度化に伴い、その製品に要求される材料の特性を例示すると、高精度、熱膨張、耐熱性、耐摩耗性、対応力腐食性あるいは剛性などについてシビアな条件が要求されるようになっている。それに加えて、国際競争の激しさが増す中で、高い生産性、すなわちより低コストで製造できることが要求され、また地球規模の視点からは究極的に省エネに結びつくものであることなどが重要視されてきている。そこで、近年になって、従来の鍛造法を改良した鋳造鍛造法や溶湯鍛造法などの利用が模索されている。
このように加工方法に関して、種々開発研究が進行するに伴い、従来より利用されている鉄や銅に代わる金属やその合金の素材の研究開発も進行している。この背景には、従来の鉄や銅といった金属材料が持っている特性とは異なった、別の特性を利用することの必要性がでてきていることを意味している。ところが、例えば、アルミニウムおよびその合金を見てみると、特徴とする軽量であるといった特性は注目すべき特性であるにもかかわらず、鉄や銅で要求されている性能に代わって、使用されるのには大きな壁がある状況にある。
その一つの理由として、一般的にはアルミニウムは、材料そのものが高価であるという認識が強く、敬遠されがちであることが挙げられる。さらに、鉄(Fe)や銅(Cu)に比べて、機械的な加工性など扱いにくい面も多く、それらの特性に対応した合金材料や加工方法が十分研究し尽くされているとは言い切れない状況にある。したがって、アルミニウムあるいはその合金等の金属材料の使用は、どちらかといえば、その良い特性があるという認識がされているにもかかわらず、十分に実用化が進んでいないのが実状である。すなわち、アルミニウムあるいはその合金だけが持っている他の金属よりすぐれた性能(例えば上述の軽量であることなど)が、工業的、生産技術的に生かし切れていないとえる。
しかし、近年になって、上述の種々の加工方法の改善や開発とともに、材料面での改善、開発も進行している。そのひとつとして、鉄やアルミニウムおよびそれらの各種合金等を微粉末にして利用する方法が開発されてきている。その一つの例として、金属溶湯に圧力噴霧水または高圧気体を噴射することにより、金属微粉末を得る急冷(噴霧)凝固法(所謂アトマイズ法)がある。これによって、従来の溶解法では合金化できなかった他の金属との合金微粉末や、金属酸化物等例えばセラミックスやカーボンなどの微粉末や短繊維などの、非金属を添加した金属粉末等の製造が可能となってきている。このことから、アルミニウムおよびそれをベースとする合金等についても、上述のシビアな条件をクリアーして工業的に利用可能な性能が得られ易い条件が整いつつあり、利用の幅が飛躍的に向上することが期待されている。それにもかかわらず、現状では、その活用状況は鉄や銅などの金属が依然として主流で、鉄や銅あるいはそれらの合金に置き換わって、アルミニウムおよびその合金等の利用が拡大するという傾向は極めて遅々たる状況にある。
この理由として、アルミニウムおよびその合金等の急冷微粉末等の上述の価格上の問題もあるが、実際にはその急冷微粉末を使って成形する生産技術が、必要とされる要求条件を満たすことができるような工業的なレベルまで十分に到達していないことに加えて、アルミニウムおよびその合金等の性能、性質が十分研究、理解されているとは言えない点にある。それが、アルミニウムおよびその合金等の利用の拡大につながらない大きな要因とも考えられる。
従来の技術を見てみると、例えば、特許文献1(特開2000−197956号公報)に、軽金属製鍛造用素材の製造方法とその素材を用いた鍛造部材の製造法が記載されている。これは、原料の融点未満の半溶融状態にした、アルミニウムとマグネシウムの合金を使用しているものである。
さらに、特許文献2(特開平10−8161号公報)には、アルミニウム−シリコン系の熱間鍛造についての記載がある。これは熱間鍛造により構造部材の耐キャビテーション損傷性および耐摩耗性を向上させるものでる。
特許文献1では、合金化しやすい金属と金属との組み合わせのみの例示しかなく、金属と非金属、例えばセラミックスやカーボンなどの微粉末や短繊維などのを添加したものとの組み合わせが可能であるような事項について示唆するものはなく、また出発原料は、急冷噴霧凝固法(所謂アトマイズ法)を用いたものでもない。従って、その利用範囲は、極めて限定的といえる。
また、特許文献2では、出発原料としては急冷(噴霧)凝固法(所謂アトマイズ法)により得られたアルミニウムとシリコン(Si)を主体とする合金を用いて、熱間鍛造するAl−Si系合金粉末熱間鍛造部材が開示されている。これは加熱されたアルミニウムとシリコンを主体とする合金の金属部材を450℃に30分保持の条件で加熱したまま、450℃に加熱した金型を用いて、加圧して熱間鍛造をするものである。しかし、これでは、加熱保持時間が長くまた急冷する手段もないので、アルミニウムとシリコンの合金中のシリコン結晶の粗大化が起こり、硬度などの物理的特性が低下し、剛性などの特性が必要な構造部材には不十分である。
このように、アトマイズ法により急冷凝固して得られた軽金属粉末を出発原料として、使用するという提案はいくつかあるものの、この材料を基にした用途は極めて限られたものとなっている。それは、鉄や銅に比較してアルミニウム−シリコンを主体とする金属微粉末の成形固化技術、最終成形技術(押出し、鍛造など)、機械加工技術あるいは熱処理技術などが、未だ十分に完成されていないことが挙げられる。
複雑な形状の金属部材を製造するに当たっては、金属溶湯を使った鋳造方法(例えばダイカスト)が、従来より現在に至るまで工業的に多用されている状況にある。しかし、金属を溶解して成形加工する方法では、現在要求されているところの特殊な材料を用い、それを加工して緻密で、高精度な成形物を満足に得るには至っていない。このため、新しい成形加工方法として、原料素材を溶融することをせずに成形加工する冷間等方加圧成形法(CIP)や、熱間等方加圧成形法(HIP)、さらには、熱間押出法、金属溶湯の状態を利用する溶湯鍛造などが、その材料の種類や製品の性能などに対応して選択使用することが提案されはじめている。
このような状況に鑑みて、本発明は、アルミニウムとシリコンを主成分とする急冷凝固微粉末(以下、アトマイズ金属微粉末という。)を出発原料として、鉄や銅などと同様に、容易な成形加工によって得られる金属部材を提供するとともに、市場での要求に合致した材料特性や、必要とされる任意の形状で精度の良い製品を効率よく製造できるアルミ・シリコン合金の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法は、Alを主成分とし、Siとして重量比で5〜40%含むアトマイズ法を用いて得られた金属微粉末を使用して焼成されたビレットを得る焼結ビレット形成工程と、熱間鍛造、溶湯鍛造、熱間押出、等方加圧成形の何れかで圧力を付与しながら、最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する工程とを有している。
本発明の製造法によれば、焼結されたビレットを得た後、そのビレットを利用して成形するので、アルミ・シリコン合金という成形加工しにくい材料を使用しながら、鉄や銅などと同様に成形加工が容易に実施可能となるとともに、市場での要求に合致した特性や精度の良い形状を持った製品を効率よく得ることが可能になる。なお以降、類似な形状とは、相似形またはほぼ相似形のことをいう。
さらに他の発明では、Alを主成分とし、Siとして重量比で5〜40%含むアトマイズ法を用いて得られた金属微粉末を使用して、焼成されたビレットを得る焼結ビレット形成工程と、ビレットを固相と液相が共存する領域、すなわちチクソトロピックな性質を持った状態(以後、固液共存状態という)まで加熱して、溶湯鍛造、熱間鍛造、熱間押出または等方加圧成形の何れかにて、かつ圧力を付与しながら成形することで最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する成形工程とを有している。
この発明では、アルミとシリコンの合金を固液共存状態で圧力を付与しながら成形している。いいかえると、焼成されたビレットを溶解する直前の温度にまで上げ、固液共存状態のチクソトロピックな流動性を確保したままで、圧力を加えたのち、最終形状寸法公差内に仕上げている。従って、得られた成形品をそのまま完成品とすることができる。また、この発明によれば、焼成されたビレットを固液共存状態で熱間鍛造、溶湯鍛造、熱間押出、等方加圧成形いずれかの加工方法を採用したとしても、得られる製品は、いずれも同様に緻密で加工の精度は高いものとなる。
なお、最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する場合、例えば冷間等方加圧成形等の加圧成形で成形後、その加圧成形品を焼結した焼結体を用いるようにしても良い。焼結体を使用すると、粉と粉がつながっており、熱が伝わり易くなる。また、1次ブランクが押出ではなく焼結体となるので、シリコン成分を容易に高めることができる。
また、成型工程では、温度を上げた状態にて圧力を加え、その後、成形型を急冷して最終寸法公差内に仕上げることが好ましい。この製造法を採用すると、成形型を急冷することにより、長時間高温にさらすこともないので、シリコン粒子が粗大化することもなく、またシリコン粒子が均一に分布した、緻密で精度の良い最終製品または類似な形状の製品が成形加工によりできあがることとなる。なお以降、成形型をあらかじめ加熱しておき、成形物の成形型中で短時間保持したのち成形型を急冷して、最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する方法を、以後本文中では「整形鍛造」と言うこととする。
また、金属微粉末は、遷移金属を混ぜるのが好ましい。この製造方法によれば、遷移金属の混入によって、アルミ・シリコン合金の特性を向上させたり、変化させたりすることができる。
さらに、急冷する工程では、3分以内に400℃以下にするのが好ましい。この方法を採用するとシリコン粒子の粗大化をほぼ100%防ぐことができる。
また、本発明のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材は、Alを主成分とし、Siとして重量比で5〜40%含むアトマイズ法を用いて得られた金属微粉末が、焼成された後、加圧によって最終製品形状または最終製品形状と類似な形状に成形されている。
本発明の金属部材は、アルミニウムにSiが5〜40%含まれることによって、SUS−300系やSUS−400系と同程度の線膨張係数を有しつつ、アルミニウムと同程度の軽さの最終形状を持った金属部材となる。しかも焼成加圧しているため、この金属部材を鉄や銅などと同様に容易に得ることができるとともに、そのような金属部材からなる製品を効率的に得ることができる。
さらに、アトマイズ金属微粉末を用いた金属部材は、熱間鍛造法、溶湯鍛造法等を用いるのが好ましい。すなわち、アトマイズ金属微粉末を液体になるまで溶解しない加工方法ならば何れでも成形することが可能であるが、熱間鍛造法、溶湯鍛造法が特に好ましい。この場合、焼成されたビレットを所定の温度に加熱して上述の整形鍛造法を用いて成形するか、またはあらかじめ成形型を所定の温度に加熱しておいて一回で成形、急冷して成形物を得ることもできる。これらの加工方法は、それぞれが品質はもとより、設備、機材等に特徴を有しており、それらがもっている利点を生かした金属部材が得られる。
また、遷移金属として鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)の少なくとも何れかの金属が2〜10重量%添加されるのが好ましい。鉄、ニッケル、マンガンの何れかが2重量%以上であると、成形物の引っ張り強度が向上し、10重量%以下であると成形性が向上する。
また、金属微粉末には、マグネシウム(Mg)を1%以下含まれるようにするのが好ましい。Mgを1%以下加えることにより、成形性及び他の特性を損なうことなく、成形物の密度をより確実に100%までもって行くことができる。
本発明のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材は、鉄や銅などと同様に容易な成形加工によって得られる。また、その製造方法は、市場での要求に合致した特性や精度の良い形状を持ったアルミ・シリコン合金からなる製品を効率よく得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係るアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造法について、図を参照しながら説明する。なお、アトマイズ金属微粉末を用いた金属部材は、金属部材の製造方法の説明と併せて説明する。
この実施の形態に係るアトマイズ金属粉末を用いた金属部材の製造方法は、図1に示したように、大きく分けて、焼結ビレット形成工程S10と、最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する成形する成形工程S20の2つの工程からなる。
焼結ビレット形成工程S10は、アトマイズ法にてアルミ・シリコン合金金属微粉末を得る工程S11と、その合金金属微粉末を加圧成形して加圧成形品を得る工程S12と、その加圧成形品を焼成して焼結材からなる焼結ビレットを得る工程S13とからなる。なお、アトマイズ法にてアルミやシリコンの各粉末を得て、それらを加圧、焼成して焼結ビレットを得る方法を採用しても良い。
具体的にはまず、金属部材の原料となるアトマイズ金属微粉末は、アルミニウム(Al)の溶湯にシリコン(Si)および遷移金属の合金元素を添加し、AlとSiおよび少量の遷移金属を含む材料(以後、Al−Si−Xと記載する。)とする金属溶湯を出発原料として作成する。この場合、金属微粉末作成のために高圧気体を噴射する場合と、高圧液体を噴射する場合がある。気体としては、空気や不活性ガスや各種混合気体などが使用され、液体には、水噴霧による方法がある。いずれの方法であっても、目的に応じた方法を採用することができる。本実施の形態においては、水噴霧による急冷噴霧処理は、酸素及び水素の含有量が少なく、また溶湯流の粉砕力がガス等の気体を使用したものより大きく、より径の小さい微粉末を作ることが容易であるため、高圧水による水噴霧法により微粉末を作成した。なお、遷移金属を含まない場合があるが、アルミ・シリコン合金の特性を向上させるためには少量の遷移金属を含ませるのが好ましい。
この金属微粉末を作成するに当たっては、あらかじめAl−Si−Xの合金組成を調整して誘導炉溶解した。この実施の形態では、Alを67重量%、Siを30重量%、Mnを3重量%のものとした。この溶湯流に水圧5.5MPa〜6.5MPaで水噴霧した。このようにして、得られた平均粒径30μm以下のアトマイズ金属微粉末を出発原料とした。この粉末を、冷間等方加圧成形して、焼結用ブランクを形成した。そのブランクは、焼結用ブランクとして使用する以外に製品としてそのまま使用可能である。また、焼結用ブランクとしての成形物を真空炉中で加熱、焼結することで、高合金とした焼結ビレットを作成できる。
このような焼結されたAl−Si−Xの合金は、高合金とすることができるため、空気等の気体を全く含まない、密度の高い緻密な組織を有している。また、線膨張係数について見ると、SUS−400系やSUS−300系とほぼ同等な値、10×10−6〜17×10−6を有する組成とすることができる。例えば、Siが20重量%でAlが75〜79%で、残りを他の金属とすると、0℃〜100℃の範囲で線膨張係数が18.5×10−6〜19.1×10−6程度となる。この線膨張係数は、Siの含有量やその他の金属の含有量を調節することによって、0℃〜100℃の範囲の測定で、種々な値に調節することもできる。
また、硬度については、熱処理の方法、処理条件で変動する。実際には、成形物を急冷しているので、均一な組織となっており、高い硬度が得られる。また、適正な熱処理が行われれば、ビッカース硬度110〜170[kg/mm]の範囲は適宜得られる組成となっている。
なお、Al−Si−X合金の製造方法としては、アトマイズ法で得られるAlの金属微粉末と、アトマイズ法で得られるSiや遷移金属のFe,Ni,Mn等の微粉末を混合して、加圧成形例えば冷間等方加圧成形により成形体を作成しても良い。成形体は、そのまま1次ブランクとしても良く、また焼結用ブランクとすることで、その後焼結してビレットとしても良い。
図2を参照しながら、Al−Si−X金属微粉末を調整して、加圧成形に供するための原料を得る方法についての一例を説明する。
これには、冷間等方加圧成形法(CIP)を利用する。図2に、その原理となる模式図を示す。高圧容器101には成形体が格納される。ゴム型102には、粉体104(ここではアトマイズ法で得られた金属粉)が収納される。このゴム型102には、圧力が均等に与えらる。ゴム型102の栓103は、粉体104をゴム型102の内部に収納するためのものである。粉体104は、液流入口107より流入された液体(例えば水とかエチレングリコールなど)の媒体105で、均等に加圧される。高圧容器101中には、作業中に混入残存する気体を除去するための空気抜き弁106が接続される。この粉体104を、冷間等方加圧で成形し製品とする。また必要に応じ、加圧成形品を真空炉で加熱、焼結して焼結成形体とする。
このようにして得られた加圧成形物は、熱処理を行わなくても、用途によってそのまま使用することが可能である。しかし、冷間成形時の加圧が大きくなるにつれて、すなわち、密度が完全に1に近づくにしたがい圧縮ひずみは大きくなる。また、アルミニウム系の合金では、時効硬化が起こるのが普通で、このためあらかじめ熱処理を行い、これらのひずみを除去したり、時効硬化を強制的に起こさせることが必要な場合もあり得る。
さらに、冷間等方加圧成形法(CIP)といっても、形状は完全に期待する形状のものが得られなくて、所謂ニアーネットシェイプ(Near Net Shape)成形のような場合も起こりうる。このような場合、通常200℃付近で寸法矯正(サイジング)を行ったり、あるいはさらに高い温度に加熱を行ったりして、押型内で圧縮成形を行い、寸法矯正(サイジング)して完全な形状のネットシェイプ(Net Shape)された成形品用の原料とすることが可能である。なお、成形品を得るには冷間等方加圧成形法に限られるものではなく、例えばプレス型中で押圧して成形されたものであっても、また型枠中で加圧して成形したものなどであっても使用可能である。
以上のような焼結ビレット形成工程S10に続き、成形工程S20が行われる。成形工程S20は、図1に示すように、400〜550℃で熱間鍛造等を採用し加圧する第1加圧工程S21の後に、急冷する第1急冷工程S22を行う第1の手順と、固相・液相の共存状態で、溶湯鍛造等を採用し加圧する第2加圧工程S25の後に、急冷する第2急冷工程S26を行う第2の手順の何れかが採用される。なお、各急冷工程S22,S26を採用せず、自然冷却としても良い。
成形工程S20で、上述した2つの手順の何れかを採用する理由を以下に述べる。まず、第1の手順を採用した理由について述べる。
図3に、アトマイズされたAl−Si−Xの金属微粉末から作成された焼結金属材料の試料形状を示し、図4に共融点温度以下でその試料を加圧したときの変形量を測定した結果のデータを示す。試料は、図3に示すように、直径5mm、高さ10mmの円柱形状とした。なお、Siの成分量は、重量比で30%のものとし、Xは遷移金属として鉄(Fe)を約5%を添加したものである。この円柱形状の試料を誘導加熱炉中で200℃、300℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃に保持し、これを加圧し、変形量に対応する圧力を測定した。
その結果を図4(A),(B)に示す。図4(A),(B)の違いは、Siの粒子の大きさの違いのみで、Siの粒子径が小さければ、変形量と圧力との関係に規則的な傾向が見える。しかし、Si粒子が大きいと、低温領域では不規則的な変形を示していることが分かる。また、600℃では、流動性が非常に高くなっており、ほとんど流体になっていると言える。
図5に示すAl−Si系合金状態図で見ると、400〜550℃の範囲では固体の状態を示している。しかし、図4から分かるように、Siという展延性のない所謂セラミックスに近い性質を持っている固体物質が添加されているにもかかわらず、試料の変形圧力は、変形量の50%位までは、400〜550℃の範囲では温度の高低にあまり関係なく、加圧力があまり大きくならない傾向がはっきりと読みとれる。特に、450℃以上では、原料のSi粒子径に関係なく、変形量が70%になっても加圧力が小さい値を示している。したがって、このような条件下での性質を利用すると、加圧成形時の圧力が、ごく低い圧力で可能であるとともに、この性質は、多種多様な成形方法に適用が可能であることを示している。
なお、実験データおよび他の文献データによると、長時間520℃以上の温度、特に550℃以上とすると、成形体の内部のSiの結晶サイズが大きくなり、本来のアルミ・シリコンの特性が失われることが分かった。すなわち、本来のアルミ・シリコンは、SUS−300系やSUS−400系なみの小さい熱膨張係数を有しているが、520℃以上の温度、特に550℃以上に長時間加熱すると、Siの結晶サイズ大きくなるなどの不均一化が起こるために、硬度が低下したり、その熱膨張係数が大きくなってしまうのである。このため、長時間加熱の場合は、加える温度は550℃以下(好ましくは520℃以下)とするのが好ましい。
しかし、520℃以上の温度に上昇させても、5分以内、好ましくは1〜3分以内で加工すれば、上述のような成形体の内部のSiの結晶サイズが大きくなることもなく、組織も均一な状態が得られることを見いだした。従って、520℃以上であっても3分以内に400℃以下にすれば、硬度や熱膨張係数等の特性を低下させることなく成形することが可能であることも見いだした。この結果は、固相と液相の共存状態の577℃以上の状態で成形する場合においても適用可能である。すなわち、上述の各種の加工方法を適用して加工する場合、その温度に保持する時間が短ければ、適正な性能を保持した製品が得られるとともに、加工可能な製品の幅が飛躍的に拡大することを示している。
図5で示すように、固相と液相の共存状態は、577℃以上となると生じる。しかし、図4(A)、(B)でも分かるように、高い流動性すなわちチクソトロピックな性質を持つところの、固相と液相の共存域は、圧力の付加により、577℃未満、たとえば520℃以下でも発生する。よって、固液共存状態の性質をもって520℃以下の温度で加圧成形することも可能である。これは固相状態のものを溶解する直前の温度、例えば400〜550℃(好ましくは450〜520℃)に上げ、その状態にて圧力を加えることにより、最終形状のままの寸法公差に仕上げることも可能であることを示している。なお、温度を520〜577℃近くまで長時間加熱しとしたとしても、成形物を短時間に急冷することにより、適正な特性を有した成形物を得ることは可能である。
ここで、成形工程S20における、第1の手順の具体例として、熱間鍛造法を用いた場合について、図6(A)の概念図を用いて説明する。
図6(A)において、熱間鍛造に用いる出発原料は、Al−Si−X金属微粉末を冷間等方加圧加工したものを、真空炉で加熱、焼結して焼結ビレットを作成して、できあがった鍛造材209としている。上ダイス201および下ダイス202は、あらかじめ電磁誘導装置(図示せず)で400〜550℃の範囲に加熱される。所定の温度に達したら、鍛造材209を上ダイス201および下ダイス202の間に置き加圧する。加圧によって、逃げ角207は最終製品形状となる突起208に鍛造材209がにげ除かれる働きをもち、サドル204は、ガッター(鋳バリ)205に鍛造材209が流出する際に抵抗を与える働きを持っている。加圧後冷却管210に冷却水を流し、5分以内好ましくは1〜3分以内に突起208すなわち鍛造材209を400℃以下に急冷する。なお、フラッシュ203は、型から外したのちバリ取り等で除去する。また、鍛造上下ダイス201,202の設計は製品の性能を決める重要ポイントであることから、上下ダイス201、202は正確に最終製品形状の寸法に合わせて作成しておく。
この熱間鍛造法では、Al−Si−Xの合金が固相と液相の共存を開始する温度である577℃以下でも良い。すなわち、400〜577℃の範囲、好ましくは400〜550℃の範囲としても良い。また、図4(A)、(B)に示されたように、450℃以上となると、付加する圧力が少なくても変形量が多くなる。よって、熱間鍛造法を使用する場合は、熱経済性を考慮して450〜520℃が最も好ましいと言える。
本実施の形態では、短時間に温度上昇をはかるため電磁誘導加熱を用いたが、電熱線による加熱や高熱の気体例えば高熱の空気、過熱水蒸気などを用いることもできる。また、冷却には冷水の他に、例えば液体窒素ガス、ドライアイス利用の気体などを用いることも可能である。鍛造材208に冷間等方加圧成形した後
、焼結した焼結材を使用したが、焼結材でなくても差し支えないし、さらには、形状によっては、Al−Si−X金属粉末を充填して加工しても良い。
、焼結した焼結材を使用したが、焼結材でなくても差し支えないし、さらには、形状によっては、Al−Si−X金属粉末を充填して加工しても良い。
いずれにしても、熱間鍛造法を採用することで、Al−Si−Xの合金が溶解する直前の温度にまで加熱し、その状態にて圧力を加え、硬度が軟化した状態にて最終形状の寸法公差内の製品またはその公差内近くの製品に仕上げることが可能となる。よって、熱間鍛造法で仕上げた製品に対して、さらなる加工、例えば切削が不要または削減される。
次に、成形工程S20における第2に手順について、図6(B)を参照しながら説明する。
図6(B)では、固液共存状態における熱間鍛造について説明する。熱間鍛造に用いる出発原料は、図6(A)の場合と同様に、Al−Si−X金属微粉末を冷間等方加圧加工したものを、真空炉で加熱、焼結して焼結ビレットとしてできあがったもので、ここでは鍛造材209としている。この場合、鍛造材209を固液共存状態となる577℃〜800℃の範囲に加熱する方法と、ダイス(成形型)を加熱する二つの方法が採用できる。出発での状態が異なるのみで、基本的には類似しているので、ダイス(成形型)を加熱する方法で説明する。
まず、鍛造材209を上ダイス201および下ダイス202の間に置き加圧する。この場合、上ダイス201および下ダイス202とが100%接触していなくて良い。その後、上ダイス201および下ダイス202は、電磁誘導装置(図示せず)で固液共存状態となる577℃〜800℃の範囲に加熱される。所定の温度に達したら、さらに100%加圧する。加圧によって、逃げ角207は最終製品形状となる突起208に鍛造材209がにげ除かれる働きをもち、サドル204は、ガッター(鋳バリ)205に鍛造材209が流出する際に抵抗を与える働きを持っている。
加圧後5分以内に好ましくは1分から3分以内に、冷却管210に冷却水を流し、突起208すなわち鍛造材209を400℃以下に急冷する。なお、フラッシュ203は、型から外したのちバリ取り等で除去する。なお、鍛造上下ダイス201,202の設計は製品の性能を決める重要ポイントであることから、上下ダイス201、202は正確に最終製品形状の寸法に合わせて作成しておく。なお、本実施の形態では冷却を行ったが、冷却管210による冷却は敢えてしなくても、製品の用途によっては差し支えない。
次に第2の手順において、溶湯鍛造法を用いた場合について、図7を参照しながら説明する。図7は、装置の主要部分の概念図である。
成形機301の基本的な構造は、所謂スクリュー式押出成形機と射出成形機を合体したような構造のものとしてある。Al−Si−X金属微粉末は、ホッパー308からフィーダー307で所定量計量されて、成形機本体306に送られる。この金属微粉末は、スクリュー305によってシリンダ303に送られる。シリンダ303は、ヒーター304でチクソトロピックな性質を持つ温度(ほぼ580℃〜800℃)に加熱されている。シリンダ303内の金属微粉末は、加熱により液相−固相が共存する固液共存状態のペースト状を呈した状態となる。スクリュー305の回転によって、上述したペースト状物質は、金型310内のキャビテイ311に押し出される。なお、このスクリュー305は、一定量前進して押圧し、これが完了すると一定量後退するとともに、回転は停止するように設定されている。
シリンダ303内で、加熱により固液共存状態でペースト状を呈した状態となったAl−Si−X金属微粉末は、図5のAl−Si系合金状態図で液相−固相共存の577℃〜800℃の間に保たれる。好ましくは、流動性を考慮して700℃〜800℃が良い。製品の取り出しの際、自然冷却より、金型310に図6(A)に示されているような、冷却管(図示せず)を設けて、急冷するのが好ましい。急冷したときの効果は、第一の実施の形態における熱間鍛造とほぼ同じ物理的・機械的な特性が得られることである。なお、Al−Si−X金属微粉末を加熱し、固液共存状態以上の温度として完全に液体にすると、鋳造加工と同じような状態となり、バリの発生や密度の低下が起こり、成形物の性能が低下する。
なお、アルミとシリコンからなる合金では、液相と固相が共存したペースト状態は、通常の圧力(約1気圧)の基では、図5に示すように、577℃以上でないと発生しない。しかし、X(遷移金属)の添加により、この固相−液相共存開始温度は変化する。また、上述したように、圧力を付加することにより、480℃前後でも固相−液相共存状態が開始するため、溶湯鍛造法を用いて加工する場合、温度480〜550℃の範囲で圧力を加えて行うことも可能である。
この溶湯鍛造の場合、アトマイズ金属微粉末またはそれから得た焼結体を利用して成形することで、最終製品または最終製品と似た形状のものを極めて精度良く得ることができる。すなわち、ネットシェープが簡単に行えるものとなる。ネットシェープにより得られた製品は、目的とする寸法公差内に仕上がっており、切削等の付加加工が不要または削減されるものとなる。
また、上述したように、溶湯鍛造の場合、成形時の温度は577〜800℃としているが、流動性等を考慮すると、700〜800℃となり、Siの結晶が大きくなることを避ける場合は、480〜550℃とし加圧するか、冷却装置を設けて急冷することとなる。いずれにしても、固相と液相が共存する状態であれば、溶湯鍛造ができるので、溶湯鍛造を行う場合は固相と液相が共存していることが必要条件であり、温度自体は適宜変更されうる。
次に成形工程S20において、熱間押出法を用いた場合について、図8を参照しながら説明する。図8は、熱間押出に使用される装置の主要部分の概念図である。
アトマイズされたAl−Si−X金属微粉末を用いて、熱間押出の原料となるビレット401を作る。すなわち、アトマイズされたAl−Si−X金属微粉末は、高合金で堅いので無酸化雰囲気中で200〜300℃で加圧成形する。このビレットを不活性ガス気流中で加熱、脱ガスした後、熱間押出用の原料とする。ビレット401はあらかじめ炉中(図示せず)で無酸化加熱され、炉より取り出されると直ちにガラス質404で覆われる。その後、ビレット401は、図8で示される装置のコンテナ405中に挿入され、ステム402がガラス質成分404で覆われた状態のビレット402を押圧する。押圧されたビレット402はダイス403で製品形状が整えられる。
この熱間押出においても、上述の図4(A)、(B)に示したように、ビレット401の温度を400〜550℃(好ましくは450℃〜520℃)にすると、低い圧力で容易に押出変形を行うことが可能となることを示している。さらに、共融点直近まで温度を上昇させると、ビレット401は、チクソトロピックな状態となることから、所謂チクソ成形が可能となり、成形物の形状が複雑であっても、ダイス403の隅々まで行き渡り、複雑な形状のものまで忠実な形状を有した成形ができる。なお、加圧した場合、チクソ成形は、450〜520℃の範囲でも可能であることは上述したとおりである。さらに、ダイス403の先に冷却管(図示せず)を設けて、上述の実施の態様と同様な特性を持った製品を成形することも可能である。
さらに、このビレット401を加熱して固液共存状態の580℃〜800℃にまで上昇させ、押出成形することも可能である。この場合は、ビレット401は流動性があるので、押出の圧力は小さくすることも可能となる。また、押出成形用のダイス403の先に冷却装置(図示せず)を設けて、急冷させることも可能である。
このようにして熱間押出法により得られた成形物は、上述の熱間鍛造法におけるブランクすなわち鍛造材としても使用できる。この場合、得られた成形物は先に示した方法における最終製品形状の成形物と同様な特性をもったものとなる。
次に、この実施の形態の製造方法において、熱間等方加圧成型法(HIP)を用いた場合について、図9を用いて説明する。
高圧円筒容器501には、取り外し可能となっている上蓋502が設けられている。この上蓋502には、粉体を加圧するためのガス導入口504が設けられている。高圧円筒容器501は導入されるガスが高温で高圧となっても耐えうるように設計されいる。
断熱層503は、ヒータ505で加熱されるガスや製品506を保温する働きを持つ。ガス導入口504より導入されるガスは、主に不活性ガスである。なお、高圧円筒容器501内の底部には、処理品すなわち製品506を支持するためのサポート507を設け、高圧円筒容器501下部には、取り外し可能に設けられた下蓋508が設けられている。アトマイズ金属微粉末の原料等はカプセル509に収納され、所定の温度に加温されたのち、高圧ガスで加圧、成形されて製品506となる。
具体的な製造方法は、次の通りである。すなわち、高圧円筒容器501を用いて、アトマイズされたAl−Si−X金属微粉末をカプセル509に脱気封入した後、ヒータ505で加熱し、高温、高圧下で導入されたガスで圧縮することにより、焼結体となる製品506を得る。これによって、通常の焼結技術では高密度に焼結することが困難な材料であっても、高密度の焼結体である製品506を得ることができる。以上が、焼結ビレット形成工程S10となる。
この焼結における温度は、前述の図4(A)、(B)で示すように、Si30%のデータおよび上述の550℃の限界点に基づき、400〜550℃(好ましくは450〜520℃)の範囲が成形に適していることが分かる。
焼結ビレット形成工程S10に続いて、成形工程S20が実行される。すなわち、さらに温度を共融点の577℃近くまで上昇させて加圧させると、Al−Si−X金属微粉末の焼結体がチキソトロピックな性質を呈するようになる。このため、チキソトロピックな状態に特有な揺動性が得られるために、目的とする型に忠実、正確に成形することができる。チキソトロピックな状態は、加圧した場合、520℃以下480℃前後以上で発生するため、577℃近くまで上昇させずに、400〜550℃の範囲で固相と液相が共存した状態を発生させることができる。なお、加圧力との関係では、450〜520℃の範囲が成形しやすいものとなる。
また、ヒータ505で、固液共存態となるような温度に上昇させて、カプセル509中のAl−Si−X金属微粉末をチクソトロピックな状態として成形することができる。さらには、高圧円筒容器501の外側に冷却装置(図示せず)を設けて、成形物を急冷し上述の実施の態様と同様な性能を有した成形物を得ることもできる。さらに、上述の熱間鍛造用のブランクすなわち鍛造材としても利用できる。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更実施可能である。例えば、Al−Si−Xの重量比は、Xを0とし、Alが60〜95重量%で、Siが5〜40重量%としても良い。また、Xを2〜10重量%とし、Alを50〜93重量%で、Siを5〜40重量%としても良い。さらに、Siの重量%は、12.1重量%付近とすると、共晶組成付近となり成形しがたいものとなる。また、Si重量%を30〜40重量%前後とすると、SUS−400系、例えば、SUS−403の膨張係数と同等となり、SUS−403の置きかえが可能となる。また、Siの含有量を15〜25重量%とすると、SUS−304系の線膨張係数と同等となり、SUS−304系との置きかえが可能となる。
また、上述の実施の形態では、焼結ビレット得るようにしているが、密度の問題が許容される場合は、Al−Si−X金属微粉末を直接成形金型に入れたり、加圧成形品をそのまま利用して成形工程S20を行うようにしても良い。また、成形工程S20の温度は、300℃付近でも図4からは400℃と同様の効果が得られることから、成形工程S20の時の温度を300℃以上としても良い。
また、アトマイズ法は、水噴霧以外に、ガスアトマイズ法、大気アトマイズ法、超音波ガスアトマイズ法等他のアトマイズ法を採用できる。また、遷移金属としては、Fe,Ni,Mnの何れか一つではなく、複数の遷移金属としたり、他の金属物質とともに添加しても良い。また、Fe,Ni、Mn以外の金属材のみを添加しても良い。遷移金属の重量%は2〜10重量%が好ましいが、零としたり、25重量%としても良い。すなわち、遷移金属の重量%は、0〜25重量%が採用され得る。
S10 焼結ビレット形成工程
S20 成形工程
S21 第1加圧工程
S22 第1急冷工程
S25 第2加圧工程
S26 第2急冷工程
104 粉体(Al−Si−X金属微粉末)
209 鍛造材
210 冷却管 305 スクリュー
311 キャビテイ
401 Al−Si−X金属のビレット
403 ダイス
505 ヒータ
506 製品
S20 成形工程
S21 第1加圧工程
S22 第1急冷工程
S25 第2加圧工程
S26 第2急冷工程
104 粉体(Al−Si−X金属微粉末)
209 鍛造材
210 冷却管 305 スクリュー
311 キャビテイ
401 Al−Si−X金属のビレット
403 ダイス
505 ヒータ
506 製品
Claims (11)
- Alを主成分とし、Siとして重量比で5〜40%含むアトマイズ法を用いて得られた金属微粉末を使用して、焼成されたビレットを得る焼結ビレット形成工程と、圧力を付与しながら最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する成形工程とを有することを特徴とするアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法。
- Alを主成分とし、Siとして重量比で5〜40%含むアトマイズ法を用いて得られた金属微粉末を使用して、焼成されたビレットを得る焼結ビレット形成工程と、上記ビレットを液相と固相とが共存している状態にて、溶湯鍛造、熱間鍛造、熱間押出または等方加圧成形のいずれかにてかつ圧力を付与しながら成形することで最終製品形状または最終製品形状と類似の形状に成形する成形工程とを有することを特徴とするアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法。
- 前記ビレットを得る工程は、アトマイズされた前記金属微粉末を加圧成形して加圧成形品を得る工程と、上記加圧成形品を焼成する工程とを含むことを特徴とする請求項1または2記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法。
- 前記成形工程では、温度を上げた状態にて圧力を加え、その後、成形型を急冷して最終寸法公差内に仕上げることを特徴とする請求項1または2記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法。
- 前記金属微粉末は、遷移金属を含むことを特徴とする請求項1または2記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法。
- 前記急冷する工程では、3分以内に400℃以下にすることを特徴とする請求項4記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材の製造方法。
- Alを主成分とし、Siとして重量比で5〜40%含むアトマイズ法を用いて得られた金属微粉末が、焼成された後、加圧にて最終製品形状または最終製品形状と類似な形状に成形されていることを特徴とするアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材。
- 前記加圧による成形は、熱間鍛造法が用いられていることを特徴とする請求項7記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材。
- 前記加圧による成形は、溶湯鍛造法が用いられていることを特徴とする請求項7記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材。
- 前記金属粉末中に遷移金属として少なくともFe、Ni、Mnの何れかの金属が2〜10重量%添加されていることを特徴とする請求項7記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材。
- 前記金属微粉末には、Mgが1%以下含まれていることを特徴とする請求項7記載のアトマイズ金属微粉末を用いた金属部材。
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---|---|---|---|---|
JP2008114259A (ja) * | 2006-11-06 | 2008-05-22 | Gast Japan 株式会社 | 小型精密部品の製造方法 |
US8186061B2 (en) | 2006-11-06 | 2012-05-29 | Gast Japan Co., Ltd. | Manufacturing method of bearing, bearing unit, rotary apparatus, and manufacturing method of sliding member |
CN107695339A (zh) * | 2017-10-10 | 2018-02-16 | 浙江跃进机械有限公司 | 一种铝基粉末冶金锻造发动机连杆的制备方法 |
CN110218915A (zh) * | 2019-07-05 | 2019-09-10 | 江苏豪然喷射成形合金有限公司 | 一种AlSi20Fe5Ni2坯料的制备方法 |
-
2004
- 2004-03-24 JP JP2004087850A patent/JP2005272934A/ja active Pending
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