JP2005272849A - 水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品 - Google Patents

水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品 Download PDF

Info

Publication number
JP2005272849A
JP2005272849A JP2005109576A JP2005109576A JP2005272849A JP 2005272849 A JP2005272849 A JP 2005272849A JP 2005109576 A JP2005109576 A JP 2005109576A JP 2005109576 A JP2005109576 A JP 2005109576A JP 2005272849 A JP2005272849 A JP 2005272849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
aqueous emulsion
light stabilizer
photostabilizer
emulsifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005109576A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4207918B2 (ja
Inventor
Koji Sasaki
功司 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Kasei Co Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Kasei Co Ltd filed Critical Fujikura Kasei Co Ltd
Priority to JP2005109576A priority Critical patent/JP4207918B2/ja
Publication of JP2005272849A publication Critical patent/JP2005272849A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4207918B2 publication Critical patent/JP4207918B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Colloid Chemistry (AREA)

Abstract

【課題】 光安定剤や乳化剤を過剰に使用することなく、耐候性、耐水性、外観の良好な塗膜を形成可能な水性エマルション塗料を提供する。
【解決手段】 光安定剤と乳化剤と水とを混合して、光安定剤中に水が分散した油中水滴型エマルションを調製した後、該油中水滴型エマルションにさらに水を添加して水中油滴型エマルションに転相させることによって、光安定剤を20〜85質量%含む光安定剤水性エマルションを製造できる。この光安定剤水性エマルションと、樹脂成分を含有する水性エマルションとを混合することによって、光安定剤が水性塗料中に安定に乳化、分散していて、光安定剤や乳化剤を過剰に使用することなく、耐候性および耐水性の良好な塗膜を形成可能な水性エマルション塗料を製造できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品に関する。
近年、環境面などの問題から、有機溶剤の含有量が低減された水性塗料の使用が増加している。また、このような水性塗料には、形成された塗膜の耐候性を高めるために、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤などの光安定剤が添加される場合がある。
ところが、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤などの光安定剤は、通常、油性の有機化合物からなる。そのため、水性塗料に単に光安定剤を配合しても、光安定剤が水性塗料に良好に分散せず、形成される塗膜が十分な耐候性を発現しないという問題があった。また、保管中などに光安定剤が分離してしまい、保存安定性も悪いという問題があった。
そこで、耐候性に優れた塗膜を形成可能な水性塗料を得るために、添加する光安定剤を多くする方法、乳化剤を使用して光安定剤の分散性を高める方法、油性の造膜助剤などにあらかじめ光安定剤を溶解させた後、造膜助剤とともにこれを添加する方法などが検討されている。
また、その他には、あらかじめ光安定剤を添加した系内で、塗膜形成成分である樹脂の原料モノマーを重合させることにより、光安定剤を良好に水性塗料中に分散させる方法が特許文献1に開示されている。
特許第3056427号公報
しかしながら、分散しにくい光安定剤を水性塗料に多く添加すると、光安定剤のコストが高くなるとともに、形成される塗膜にはタックが発生するなど、良好な塗膜が得られないという問題があった。
また、単に乳化剤を使用する方法や、造膜助剤にあらかじめ光安定剤を溶解させて添加する方法でも、光安定剤の分散性の改善には限界があり、やはり十分な耐候性を発現する塗膜が得られないという問題があった。また、乳化剤を過剰に添加して、光安定剤の分散性を高める方法もあるが、過剰な乳化剤の添加は塗膜の耐水性を低下させる原因となった。
さらに、特許文献1に開示されている方法では、塗膜形成分である樹脂を重合する工程で光安定剤を添加する必要があるため、水性塗料の使用者が適宜市販の水性塗料に光安定剤を混合する場合には適用できなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、光安定剤が水性塗料中に安定に乳化、分散していて、光安定剤や乳化剤を過剰に使用することなく、耐候性、耐水性、外観の良好な塗膜を形成可能な水性エマルション塗料を提供することを課題とする。
本発明の水性エマルション塗料の製造方法は、樹脂成分と光安定剤と乳化剤と水とを含有する水性エマルション塗料の製造方法であって、光安定剤と乳化剤と水とを混合して、光安定剤中に水が分散した油中水滴型エマルションを調製した後、該油中水滴型エマルションにさらに水を添加して水中油滴型エマルションに転相させ、光安定剤水性エマルションを調製する工程と、得られた光安定剤水性エマルションと、樹脂成分を含有する水性エマルションとを混合する工程とを有することを特徴とする。
本発明の水性エマルション塗料は、前記水性エマルション塗料の製造方法で製造されたことを特徴とする。
また、本発明の塗装品は、前記水性エマルション塗料から形成された塗膜を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光安定剤を安定に高分散させることができるので、光安定剤や乳化剤を過剰に使用することもなく、これらによる副作用、例えば、塗膜の耐水性の低下、タックなど塗膜外観の低下が抑制され、耐候性などに優れた水性エマルション塗料を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性エマルション塗料の製造方法は、塗膜形成成分である樹脂成分と光安定剤と乳化剤と水とを含有する水性エマルション塗料を製造する方法であって、まず、光安定剤水性エマルションを調製する。
調製する光安定剤水性エマルションは、光安定剤と乳化剤と水とを含有するものであって、乳化剤の作用で光安定剤が安定に乳化、分散したエマルション組成物である。
ここで光安定剤とは、公知の紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤を含めて指すものであり、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、シュウ酸アニリド系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの各種紫外線吸収剤を使用できる。これらの中では特にトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤を含有する光安定剤水性エマルションを使用すると、特に優れた耐候性を発現可能な水性エマルション塗料を製造することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノンなどを例示できる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどを例示できる。
シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤としては、2−エトキシ−2’−エチルシュウ酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルシュウ酸ビスアニリドなどを例示できる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN900)などがある。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えばヒドロキシフェニルトリアジン系として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN400、TINUVIN411Lが使用でき、その他には、CYTEC INDUSTRIES INC社製、製品名:CYASORB UV−1164などを好適に使用できる。また、これらはそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して使用できる。
ラジカル捕捉剤としては、公知の各種ラジカル捕捉剤が使用でき、特にヒンダードアミン系安定剤を好適に使用できる。
ヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名:TINUVIN123などがある。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用できる。
また、光安定剤は、必要に応じて、紫外線吸収剤またはラジカル捕捉剤のどちらか一方を使用してもよいし、併用してもよいが、紫外線吸収剤とラジカル捕捉剤とを併用すると、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系安定剤とを併用すると、これらを含有する光安定剤水性エマルションを添加した水性エマルション塗料が、高い耐候性を発現するため好ましい。
乳化剤としては、一般に使用されるノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を適宜選択して使用できるが、これらの中では、樹脂成分を含有する水性エマルションと混合する時に、樹脂成分の凝集を起こす恐れが少ないことからノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンステアレートなどのポリオキシアルキレンエステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールエステル類などを挙げることができる。これらの中では、ポリオキシアルキレンエーテル類が好ましい。さらには、HLB値(親水性−親油性バランス値)が7〜20のものが好ましく、具体的には、HLB値が18.6の日本乳化剤(株)ニューコール2360、HLB値が16.4の日本乳化剤(株)ニューコール2320、HLB値が17.2の日本乳化剤(株)ニューコール2327などを例示できる。
光安定剤水性エマルションは、乳化剤の作用で光安定剤が安定に乳化、分散したエマルション組成物であって、しかも、光安定剤を好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜70質量%という高い濃度で含むことができる。したがって、これを使用することにより、耐候性の優れた塗膜を形成可能な水性エマルション塗料を得ることができる。
ここで光安定剤の含有量が光安定剤水性エマルション中20質量%未満では、十分な耐候性を付与するためには多量に加える必要がある。その結果、得られた水性エマルション塗料中において、塗膜形成成分である樹脂成分の濃度が低下するため、塗膜形成時の溶媒乾燥速度が遅くなるなど塗料に適さないものとなる場合がある。また、光安定剤の濃度が小さくなるほど、光安定剤の単位重量あたりの光安定剤水性エマルションの輸送、保管コストが大きくなり、好ましくない。また、光安定剤の含有量が光安定剤水性エマルション中85質量%を超えると、光安定剤が相分離してしまい、光安定剤水性エマルション中の安定性が低下する場合がある。
このように光安定剤を高濃度に含有する光安定剤水性エマルションは、次の方法で製造することができる。
まず、光安定剤100質量部に対して、3〜30質量部の乳化剤を混合分散し、1〜10質量部程度の少量の水を撹拌下で滴下混合して、光安定剤中に水が分散した形態の油中水滴型エマルションを調製する。
ついで、この油中水滴型エマルションにさらに、適当量の水を添加して転相させることにより、水中に光安定剤が分散した形態のエマルション、すなわち、水中油滴型エマルションである光安定剤水性エマルションを製造する。
このような転相乳化法により、光安定剤を20〜85質量%含む光安定剤水性エマルションを製造することができる。
光安定剤水性エマルション中の光安定剤微粒子の粒径は、好ましくは0.1〜10μmであり、さらに好ましくは0.1〜1μmである。このような粒径であると、これを使用して得られた水性エマルション塗料はより高い耐候性を発現するものとなる。
本発明の水性エマルション塗料の製造方法では、すでに説明したように、すなわち、光安定剤に対して乳化剤と少量の水とを混合して、光安定剤中に水が分散した油中水滴型エマルションを調製した後に、この油中水滴型エマルションにさらに水を添加して水中油滴型エマルションに転相させ、さらに必要に応じて水を加える方法により、光安定剤を好ましくは20〜85質量%、さらに好ましくは30〜70質量%含む光安定剤水性エマルションを調製する。
一方、塗膜形成成分である樹脂成分を含有する水性エマルションを調製する。
ここで、樹脂成分としては、水性エマルションを形成可能であって、水性塗料として使用可能なものであれば特に制限はなく、例えばアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などを使用できる。また、ここで、樹脂成分を含有する水性エマルションの具体的な調製方法には特に制限はなく、樹脂成分の原料モノマーを、水溶媒を使用した乳化重合法などで重合させることにより、水中において樹脂微粒子が乳化、分散した水性エマルションを得ることができる。
ここで製造される水性エマルション中における樹脂成分の質量割合には特に制限はないが、好ましくは20〜65質量%程度とする。
また、樹脂成分を含有する水性エマルションとしては、市販のアクリル樹脂エマルションなどを好適に使用でき、例えば、樹脂成分を45質量%含有する旭化成(株)製ポリトロンE360などを例示できる。
そして、光安定剤水性エマルションと、樹脂成分を含有する水性エマルションとを混合して、水性エマルション塗料を調製する。
ここで、光安定剤水性エマルションと樹脂成分を含有する水性エマルションとの混合比は、水性エマルション中の樹脂成分100質量部に対して、光安定剤水性エマルション中の光安定剤が0.1〜5質量部となり、乳化剤が0.003〜1.5質量部となる範囲で混合することが好ましい。また、最終的に得られた水性エマルション塗料中における樹脂成分(固形分)は、20〜65質量%の範囲となることが好ましい。
このような製造方法で得られた水性エマルション塗料においては、これに含まれる乳化剤が有効に作用していて、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μmの粒径の光安定剤が安定に乳化、分散した状態となっている。したがって、こうして得られた水性エマルション塗料は、光安定剤が効率的に作用するため耐候性に優れ、貯蔵安定性が良好で、しかも過剰な量の光安定剤を含む必要がないのでタックなどが発生せず、外観の良い塗膜を形成することができる。また、このような製造方法によれば、過剰に乳化剤を添加しなくても光安定剤の分散性に優れた水性エマルション塗料を製造できるため、乳化剤を多く含むことに起因する塗膜の耐水性低下などの問題もない。
また、このような水性エマルション塗料には、必要に応じて、造膜助剤や、体質顔料、着色顔料などの顔料、光輝材などの充填材などを添加してもよい。
このような製造方法で得られた水性エマルション塗料の用途については特に制限はなく、種々の対象物の塗装が可能であるが、特に耐候性に優れ、耐水性も良好であることから、建築物の外壁、屋根材、サッシ枠、各種プラスチック基材、自動車の外装などの塗装に適していて、得られた塗装品は、タックなどがなく外観が良好で、耐候性、耐水性を備えたものとなる。塗装時における膜厚には特に制限はないが、通常、乾燥膜厚が5〜500μmとなる範囲で塗装する。また、塗装方法にも制限はなく、刷毛塗り、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、電着塗装、浸漬塗装などを例示できる。
[実施例1]
トリアジン系紫外線吸収剤であるTINUVIN400(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))100質量部に対して、ノニオン性界面活性剤であるニューコール2360(日本乳化剤(株)製)10質量部を混合分散し、その後、水5質量部を添加して、トリアジン系紫外線吸収剤中に水が分散した油中水滴型エマルションを調製した。ついで、これにさらに水を85質量部添加していき、転相させ、水中にトリアジン系紫外線吸収剤の微粒子が分散した水中油滴型エマルションである、光安定剤水性エマルション(A)を調製した。
この光安定剤水性エマルション(A)は、トリアジン系紫外線吸収剤を50質量%含有するものであり、また、トリアジン系紫外線吸収剤の微粒子は粒径が0.8μmであった。
ヒンダードアミン系安定剤(ラジカル捕捉剤)であるTINUVIN123(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)100質量部に対して、ノニオン性界面活性剤であるニューコール2360(日本乳化剤(株)製)10質量部を混合分散し、その後、水5質量部を添加して、ヒンダードアミン系安定剤中に水が分散した油中水滴型エマルションを調製した。ついで、これにさらに水を85質量部添加していき、転相させ、水中にヒンダードアミン系安定剤微粒子が分散した水中油滴型エマルションである、光安定剤水性エマルション(B)を調製した。
この光安定剤水性エマルション(B)は、ヒンダードアミン系安定剤を50質量%含有するものであり、また、ヒンダードアミン系安定剤の微粒子は粒径が0.8μmであった。
一方、塗膜形成成分である樹脂成分を含有する水性エマルションとして、アクリル樹脂を45質量%含有する旭化成(株)製ポリトロンE360を用意した。
そして、この水性エマルション100質量部に対して、上記光安定剤水性エマルション(A)0.4質量部と、上記光安定剤水性エマルション(B)0.4質量部と、造膜助剤(日本ダウケミカル(株)製ダワノールDPnB)5質量部を、順次撹拌下で添加し、混合していき、水性エマルション塗料(I)を得た。
この水性エマルション(I)を、厚さ100μmのPETフィルムの上に乾燥膜厚が40μmとなるように塗布、乾燥し、形成された塗膜に対して光線を照射して、塗膜の光線透過性、耐温水性、貯蔵安定性を評価した。評価方法を以下に示す。
・光線透過性
(株)島津製作所製の島津自記分光光度計UV−260を用いて常法により測定した。
・耐温水性
40℃温水に3日間浸漬後、塗膜外観を目視で確認し、変化のないものを○、白化したものを×とした。
・貯蔵安定性
水性エマルション塗料(I)を20℃で1週間静置して、液相の分離状況を目視で確認した。
これらの結果を表1に示す。
[実施例2]
水性エマルション100質量部に対する、光安定剤水性エマルション(A)の添加量を1.0質量部とした以外は実施例1と同様にして、水性エマルション塗料(II)を得た。
そして、実施例1と同様にして塗膜を形成し、光線透過性、耐温水性、貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じ水性エマルション100質量部に対して、0.2質量部のTINUVIN400と、0.2質量部のTINUVIN123と、5質量部のダワノールDPnB(造膜助剤)を滴下混合して水性エマルション塗料(III)を得た。
そして、実施例1と同様にして塗膜を形成し、光線透過性、耐温水性、貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で使用したものと同じ水性エマルション100質量部に対して、0.5質量部のTINUVIN400と、0.2質量部のTINUVIN123と、5質量部のダワノールDPnB(造膜助剤)を滴下混合して水性エマルション塗料(IV)を得た。
そして、実施例1と同様にして塗膜を形成し、光線透過性、耐温水性、貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で使用したものと同じ水性エマルション100質量部に対して、0.2質量部のTINUVIN400と、0.2質量部のTINUVIN123と、5質量部のダワノールDPnB(造膜助剤)と、0.4質量部のニューコール2360を滴下混合して水性エマルション塗料(V)を得た。
そして、実施例1と同様にして塗膜を形成し、光線透過性、耐温水性、貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005272849
表1から、実施例で形成された塗膜は、320nmと340nmの光線透過率が小さく、光安定剤が効果的に作用していた。また、耐温水性、貯蔵安定性にも優れていた。
一方、比較例で形成された塗膜は、実施例と同じ配合比であっても、光安定剤が十分に作用せず、さらに、比較例1および2は貯蔵安定性が劣り、比較例3は耐温水性が劣っていた。
このように実施例で形成された塗膜は、光安定剤が十分に作用するので、特に耐候性に優れることが示された。

Claims (3)

  1. 樹脂成分と光安定剤と乳化剤と水とを含有する水性エマルション塗料の製造方法であって、
    光安定剤と乳化剤と水とを混合して、光安定剤中に水が分散した油中水滴型エマルションを調製した後、該油中水滴型エマルションにさらに水を添加して水中油滴型エマルションに転相させ、光安定剤水性エマルションを調製する工程と、
    得られた光安定剤水性エマルションと、樹脂成分を含有する水性エマルションとを混合する工程とを有することを特徴とする水性エマルション塗料の製造方法。
  2. 請求項1に記載された水性エマルション塗料の製造方法で製造されたことを特徴とする水性エマルション塗料。
  3. 請求項2に記載された水性エマルション塗料から形成された塗膜を備えていることを特徴とする塗装品。

JP2005109576A 2005-04-06 2005-04-06 水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品 Expired - Lifetime JP4207918B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005109576A JP4207918B2 (ja) 2005-04-06 2005-04-06 水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005109576A JP4207918B2 (ja) 2005-04-06 2005-04-06 水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002067155A Division JP3685142B2 (ja) 2002-03-12 2002-03-12 光安定剤水性エマルションの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005272849A true JP2005272849A (ja) 2005-10-06
JP4207918B2 JP4207918B2 (ja) 2009-01-14

Family

ID=35172832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005109576A Expired - Lifetime JP4207918B2 (ja) 2005-04-06 2005-04-06 水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4207918B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010507699A (ja) * 2006-10-26 2010-03-11 チバ ホールディング インコーポレーテッド フォトクロミックシステム用光吸収層
JP2021123659A (ja) * 2020-02-05 2021-08-30 藤倉化成株式会社 塗料組成物及び塗料組成物の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010507699A (ja) * 2006-10-26 2010-03-11 チバ ホールディング インコーポレーテッド フォトクロミックシステム用光吸収層
JP2021123659A (ja) * 2020-02-05 2021-08-30 藤倉化成株式会社 塗料組成物及び塗料組成物の製造方法
JP7231838B2 (ja) 2020-02-05 2023-03-02 藤倉化成株式会社 塗料組成物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4207918B2 (ja) 2009-01-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6815010B2 (en) Method of inhibiting the loss of solar reflectance over time of an exterior elastomeric
BRPI0607208A2 (pt) composição de revestimento aquosa pigmentada, processo de aplicação a um substrato de um revestimento, uso do polìmero e do oligÈmero em combinação, e, método de fabricação do oligÈmero de adição
CN106280666A (zh) 一种用于水性涂料的涂料助剂
CN108395826A (zh) 一种水性耐候性强可自修复的双组份聚氨酯面漆及其制备方法
CN109206993A (zh) 一种环保型水性木器封闭底漆及其制备方法
CN105236833A (zh) 一种耐黄变真石漆及其制备方法
JP4207918B2 (ja) 水性エマルション塗料とその製造方法および塗装品
JP3685142B2 (ja) 光安定剤水性エマルションの製造方法
US20230075015A1 (en) Latex polymer with improved washability and block resistance
TW200528511A (en) Acrylic compositions
JPS62101614A (ja) コーティング組成物用レオロジーコントロール剤
JP2001323209A (ja) 水性被覆組成物
JP2005350580A (ja) 水性アクリルエマルジョン組成物
CN104704064A (zh) 用于水基涂料的表面活性剂
WO2019026805A1 (ja) ポリマーエマルション
JP4564236B2 (ja) 水性低汚染被覆材
CN108276849A (zh) 一种抗涂鸦内墙水包水多彩涂料及其制备方法
Boscán et al. Incorporation of very insoluble monomers in waterborne coatings
CN107022262A (zh) 一种气雾型水性墙面修补漆及其制备方法
EP0439026A2 (en) Non-flammable aerosol paint composition
JP3354906B2 (ja) 水性被覆組成物
EP1371698A1 (en) Polymeric nanoparticle formulations and their use as cement sealers
JPH08151536A (ja) 水性艶消型塗料組成物
CN106318078A (zh) 一种气雾型水性漆及其制备方法
JP2004155940A (ja) 可塑剤移行防止用水性被覆材

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080519

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080610

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080731

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080905

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080930

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4207918

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131031

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term