JP2005272686A - アリールメチレン重合体の製造方法 - Google Patents

アリールメチレン重合体の製造方法 Download PDF

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Eiji Ihara
栄治 井原
Kenzo Inoue
賢三 井上
Toru Tokimitsu
亨 時光
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Abstract

【課題】ジハロアリールメタン化合物を効率的に重合し、アリールメチレン重合体を生産性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】ジハロアリールメタン化合物を該ジハロアリールメタン化合物の炭素−ハロゲン結合に割り込む能力を有する金属を含む重合触媒の存在下で重合する、アリールメチレン重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アリールメチレン重合体の製造方法に関する。
π電子共役重合体はその導電性、非線形光学特性からバッテリー、発光ダイオード、電界効果トランジスタ、回路板、センサーおよび帯電防止材料等の様々な分野に使用されている。そのため、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類およびポリ(p−フェニレンビニレン)類等、種々の骨格を有するπ電子共役重合体が多数提案されている。
しかし、上記のπ電子共役重合体は有機溶媒への溶解性や熱加工性に問題があり材料展開が困難な分野もあった。
有機溶媒への溶解性、加工性を向上させる分子設計としては主鎖を屈曲性、運動性の高いポリメチレン骨格とし、側鎖にπ電子雲を持つアリール基を連続して導入し共役構造を取らせる設計、即ち、スチルベン等の1,2−ジアリールエチレンを単量体単位としたアリールメチレン重合体が有効である。しかし、従来の付加重合法ではスチルベン等の1,2−ジアリールエチレンの重合は進行しないため目的の重合体を得ることはできなかった。
一方、Smetsらは、ジアゾメタン誘導体を原料モノマーとし、ホウ素系触媒によりアリールメチレン重合体を合成している(例えば、非特許文献1参照)。しかし、原料モノマーであるジアゾメタン誘導体の製造過程が複雑であること、さらにモノマーが不安定であることから、Smetsらの方法は生産性に問題があった。
「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、パートA−1(ポリマー・ケミストリー・エディション)(Journal of Polymer Science, Part A-1 (Polymer Chemistry Edition))」、1970年、第8巻、p.3251
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ジハロアリールメタン化合物を効率的に重合し、アリールメチレン重合体を生産性よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意検討し、ジハロアリールメタン化合物を重合することにより、アリールメチレン重合体を効率的に合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決した本発明は、下記化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物を該ジハロアリールメタン化合物の炭素−ハロゲン結合に割り込む能力を有する金属を含む重合触媒の存在下で重合する、下記化学式(2)で表される繰返し単位を含むアリールメチレン重合体の製造方法である。
Figure 2005272686


(化学式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Arはアリール基を表す。)
Figure 2005272686


(化学式(2)中、Arはアリール基を表す。)
本発明の製造方法によれば、ジハロアリールメタン化合物の炭素−ハロゲン結合に割り込む能力を有する金属を含む重合触媒の存在下でジハロアリールメタン化合物を効率的に重合し、アリールメチレン重合体を生産性よく製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアリールメチレン重合体の製造方法は、下記化学反応式(I)に示すように、化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物を重合して、ジハロアリールメタン化合物に由来する上記化学式(2)で表される繰返し単位を含む化学式(3)で表されるアリールメチレン重合体を製造するものである。
Figure 2005272686
ここで、化学式(1)および(3)中、Arはアリール基を表す。また、化学式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、化学式(3)中、nは繰返し単位の数を表す。
上記化学式(3)で表されるアリールメチレン重合体のアリール基としては、例えば、フェニル、メチルフェニル、スチリル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニル等の炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基の他、トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル等のアルキル置換アリール基;メトキシフェニル、エトキシフェニル等のアルコシキ置換アリール基;ニトロフェニル、ジニトロフェニル等のニトロ置換アリール基等が例示できる。好ましくは、フェニル基である。
さらに、これらアリール基は、水素原子の一部を、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロキシカルボニル基等の官能基で置換したものであってもよい。
本発明における上記化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、安定性・重合性の点から塩素原子、臭素原子が好ましい。
また上記化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物のアリール基は、上記化学反応式(I)からも明らかなように、上記化学式(3)で表されるアリールメチレン重合体に含まれる上記化学式(2)で表される繰返し単位のアリール基と同様である。
このようなジハロアリールメタン化合物を重合すると、本発明により効率的に上記化学式(3)で表されるアリールメチレン重合体を製造することができる。
これらのジハロアリールメタン化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
また、化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物と共重合し得る他のモノマーと組み合わせて共重合して、上記化学式(2)で表される繰返し単位を含むアリールメチレン重合体を製造することもできる。他のモノマーと共重合する場合、他のモノマーの割合を、ジハロアリールメタン化合物と他のモノマーの合計量に対し40質量%以下とすることが好ましい。他のモノマーの割合を40質量%以下とすると、生成するアリールメチレン重合体のπ電子共役構造が有効に働く。
本発明に用いることのできる他のモノマーとしては、例えば、ジブロモメタン、ジフェニルジクロロメタン、2,2−ジクロロアセトフェノン、メチルジクロロアセテート等のジハロ化合物を例示することができる。
本発明においては、化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物の炭素−ハロゲン結合に割り込む能力を有する金属を含む重合触媒の存在下で重合を行う。
具体的には、例えば、亜鉛、マグネシウムのような金属を含む重合触媒を例示することができる。これらのなかでは、特に金属マグネシウムを含む重合触媒が好ましい。
重合触媒の使用量は特に限定されないが、通常、化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物および所望の場合に用いる他のモノマーの合計量100モルに対して、50〜1000モルの範囲とするのが好ましく、200〜800モルの範囲とするのがより好ましい。化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物および所望の場合に用いる他のモノマーの合計100モルに対して重合触媒の使用量を50モル以上とすると、良好な重合活性を示し、1000モル以下とすると、残存金属によるポリマー物性の低下を防止できる。
本発明の製造方法においては、塊状重合法、適当な溶媒を使用した溶液重合法等の公知の重合方法で重合すればよい。
重合時に溶媒を使用する場合には、重合触媒を失活させないかぎり、各種の溶媒が使用可能であり、例えば、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類を溶媒として使用することができる。
重合温度については特に制限はないが、好ましくは−50〜150℃、より好ましくは−20〜100℃の範囲である。
重合反応終了後に、常法により、得られた反応物から目的とするアリールメチレン重合体を単離、精製する。
本発明により得られるアリールメチレン重合体は、側鎖のアリール基のπ電子雲の重なりによる共役構造を備えていることから、導電性材料、帯電防止塗料などのさまざまな用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で得られたアリールメチレン重合体の同定は1H−NMR(装置:Brucker社製、Avance400(商品名)、基準:トリメチルシリルクロライド、溶媒:重クロロホルム)により、また、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はポリメタクリル酸メチルをスタンダードとしてGPC(装置:日本分光社製、Jasco-Bowin System ver. 1.50(商品名)、カラム:昭和電工(株)製Shodex KF-802(商品名)、溶媒:テトラヒドロフラン)により決定した。
(実施例1) ジクロロフェニルメタンの重合
窒素雰囲気下、シュレンク管に重合触媒としてマグネシウム0.264g(10.8ミリモル)とテトラヒドロフラン12mlを加えた。これを0℃に冷却し攪拌下、モノマーとしてジクロロフェニルメタン0.453g(1.81ミリモル)を加え、0℃で1時間攪拌し、その後室温で14時間攪拌し反応物を得た。
得られた反応物から、揮発成分を減圧下で留去し、その残渣に、1モル/lの塩酸水溶液50mlおよびクロロホルム40mlを加え、有機層を分液ロートで分離した。水層を5mlのクロロホルムで抽出した。有機層を集め、1モル/lの塩酸水溶液50mlで1回、水100mlで2回洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をリサイクル分取GPC(装置:日本分析工業社製、LC−918R(商品名)、カラム:日本分析工業社製、JAIGEL2H,3H(商品名)、溶媒:クロロホルム)によって精製し、0.114g(収率70.0質量%)のポリマーを得た。
得られたポリマーの数平均分子量Mnは760、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。また、1H-NMRスペクトルには、2.0−4.5ppmに主鎖のメチン基に由来するシグナルが、6.5−7.8ppmに側鎖のフェニル基プロトンに由来するシグナルが観測され、得られた重合体が目的のアリールメチレン重合体であることを確認した。
(比較例1)
重合触媒であるマグネシウムを添加しなかった以外は実施例1と同様に反応操作を行った。しかしながら、重合は進行せず、重合体は得られなかった。
本発明により得られるアリールメチレン重合体は、側鎖のアリール基のπ電子雲の重なりによる共役構造を備えていることから、導電性材料、帯電防止塗料などのさまざまな用途に使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記化学式(1)で表されるジハロアリールメタン化合物を該ジハロアリールメタン化合物の炭素−ハロゲン結合に割り込む能力を有する金属を含む重合触媒の存在下で重合する、下記化学式(2)で表される繰返し単位を含むアリールメチレン重合体の製造方法。
    Figure 2005272686
    (化学式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Arはアリール基を表す。)
    Figure 2005272686
    (化学式(2)中、Arはアリール基を表す。)
  2. 上記ジハロアリールメタン化合物の炭素−ハロゲン結合に割り込む能力を有する金属が、金属マグネシウムである、請求項1記載のアリールメチレン重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014237800A (ja) * 2012-12-26 2014-12-18 株式会社豊田中央研究所 高分子化合物、並びに、電解質及び電解質膜
CN115043976A (zh) * 2022-06-07 2022-09-13 安徽天润化学工业股份有限公司 一种具有荧光作用的聚丙烯酰胺纳米微球的制备方法及其应用

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