JP2005272606A - 易引裂性に優れたフィルム - Google Patents

易引裂性に優れたフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2005272606A
JP2005272606A JP2004087224A JP2004087224A JP2005272606A JP 2005272606 A JP2005272606 A JP 2005272606A JP 2004087224 A JP2004087224 A JP 2004087224A JP 2004087224 A JP2004087224 A JP 2004087224A JP 2005272606 A JP2005272606 A JP 2005272606A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
molecular weight
ethylene
polymer
gpc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004087224A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Henmi
隆史 逸見
Yoshiyuki Moro
義幸 茂呂
Makoto Sone
誠 曽根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2004087224A priority Critical patent/JP2005272606A/ja
Publication of JP2005272606A publication Critical patent/JP2005272606A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 延伸処理を行わなくてもMD方向への易引裂性が良好で、さらに優れた成形加工性と機械的強度を有するフィルムを得る。
【解決手段】 エチレン単独重合体、またはエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなる共重合体であって、(1)密度が900〜975kg/m、(2)MFRが0.01〜100g/10分、(3)Mw/Mnが3.0以上、(4)(Mz/Mw)−(Mw/Mn)≧0.5の関係を満たし、(5)分子量100万g/モル以上の分子量成分がポリマー全重量の0.1〜5.0重量%、(6)半値幅(Log(MH/ML))<1.1の関係を満たすエチレン系重合体を用いる。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、特異な分子量分布パターンを有するエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなる共重合体からなるフィルムに関する。さらに詳しくは、高分子量側に広がりを持った分子量分布を有するエチレン系重合体からなり、フィルム製造時の引取方向(MD)の易引裂性に優れ、かつ成形加工性と機械的特性にも優れたフィルムに関する。
食品、菓子、スナック、薬品等の包装袋やカット性テープ、スタンディングパウチ、チューブ等として使用される易引裂性包装材として、ポリエチレン製のフィルムが用いられている。引裂性の良い樹脂組成物として、(A)メルトフローレートが0.01〜1g/10分で、密度が910〜925kg/mである高圧法低密度ポリエチレン樹脂30〜80重量%と、(B)メルトフローレートが0.03〜0.7g/10分で、密度が940〜970kg/mである高密度ポリエチレン樹脂、および/または、メルトフローレートが0.01〜7.0g/10分で、密度が910〜935kg/mで、コモノマーが炭素数4以上のα−オレフィンである線状低密度ポリエチレン樹脂0〜40重量%と、(C)平均粒径が0.5〜6μmである表面処理された重質炭酸カルシウム20〜60重量%とを配合してなるテープ基材用の無機質充填ポリエチレン樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、包装材としては、(A)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物を必須成分として含む触媒の存在下に、α−オレフィンを(共)重合させることにより得られるメルトフロレートが0.01〜100g/10分であるα−オレフィン(共)重合体100〜20重量%および(B)他のオレフィン系重合体0〜80重量%を含む組成物からなるフィルムの配向された包装材であって、該包装材の赤外二色比が1.2以上である易引裂性包装材が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
従来、易引裂性を有するポリオレフィン系の材料として、延伸物が用いられてきた。しかし、フィルムの延伸を行うと工程数が増えるためフィルム製造のコストが増加する。また、無延伸のポリエチレン製フィルムではカット時にフィルムが伸び易く、破断性に問題がある場合があった。よって、無延伸でありながら易引裂性の良好なポリエチレン製フィルムが求められていた。
フィルムの易引裂性に関しては、フィルム製造時の引取方向(MD)へのポリマー分子の配向が強いほど、引取方向の直角方向(TD)の引裂強度に対してMD方向の引裂強度が小さくなり、MD方向への易引裂性が良好になる。MD方向へのポリマー分子の配向は、高分子量成分を多く含んだ樹脂ほど配向がかかりやすい。単一の触媒を使用して1段階の重合により得られた樹脂では、高分子量成分を多くするために樹脂の平均分子量を大きくするか、あるいは分子量分布を広くする必要がある。しかし、樹脂の平均分子量を大きくすると成形加工時の流動性が悪くなるため、成形加工時の樹脂圧力上昇、消費電力の増加、成形されたフィルムの肌荒れ等の弊害が懸念される。また、樹脂の分子量分布を広くした場合は、高分子量成分の増加に伴い低分子量成分の比率も増大し、フィルムのべたつきや粉吹き等の問題の発生が予想される。さらに、流動性の良好な樹脂に高分子量成分を多く含んだ樹脂をブレンドする方法も考えられるが、分子量の大きく異なった樹脂成分同士は溶融混練によっても完全な分散混合は難しく、両者の混和が不十分であることに起因するフィルムのフィッシュアイ発生等の外観不良が発生しやすくなるといった問題点があった。
特開平8−188680号公報
特開平8−295745号公報
本発明は、フィルム製造時の引取方向(MD)の易引裂性に優れ、かつ成形加工性と機械的特性にも優れたフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、分子量分布が適度に広く、さらに高分子量側の分子量分布の広がりが特に大きく、分子量の異なるポリマーが均質に混ざり合った特異な分子構造・組成を有するエチレン系重合体からなるフィルムが、無延伸でもMD方向への易引裂性に優れ、かつ成形加工性と機械的特性にも優れることを見出し、上記の課題を解決するに至った。
すなわち本発明は、エチレン単独重合体、またはエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなる共重合体であって、
(1)密度が900〜975kg/mであり、
(2)メルトフローレート(MFR、荷重2.16kg、温度190℃条件)が0.01〜100g/10分であり、
(3)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で求められるMw/Mnが3.0以上であり、
(4)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で求められる(Mz/Mw)−(Mw/Mn)≧0.5の関係を満たし、
(5)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンから分子量100万g/モル以上の分子量成分がポリマー全重量の0.1〜5.0重量%であり、
(6)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンから半値幅(Log(MH/ML))<1.1の関係を満たす
エチレン系重合体からなることを特徴とするフィルムに関するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体は、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを重合することによって得られる共重合体である。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンおよびエチリデンノルボルネン等を例示することができる。また、これらのα−オレフィンを2種類以上混合して用いることもできる。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体の密度は、JIS K6922−1(1997年)に準じて密度勾配管法で測定した値であり、900〜975kg/mであり、より好ましくは915〜975kg/mであり、さらに好ましくは925〜970kg/mであり、特に好ましくは930〜965kg/mである。上記範囲(900〜975kg/m)を上回るとフィルムが堅くなりすぎ、下回るとフィルムに腰がなくなるため、いずれも好ましくない。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体のメルトフローレート(MFR、荷重2.16kg、温度190℃条件)は、JIS K6922−1(1997年)に準じてメルトインデクサー(東洋精機製作所社製)で測定した値であり、0.01〜100g/10分であり、0.05〜30g/10分であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜25g/10分であり、特に好ましくは0.2〜20g/10分である。MFRが上記範囲(0.01〜100g/10分)より大きいと樹脂の溶融張力が不足してフィルムの成形加工が難しくなり、また上記範囲(0.01〜100g/10分)より小さいと成形加工時の押出負荷が大きくなり、いずれも好ましくない。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)およびそれらの比であるMw/MnおよびMz/Mwは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼン用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されたものを用いた。本発明のフィルムに供するエチレン系重合体のMw/Mnは3.0以上であり、さらに好ましく3.5以上である。Mw/Mnが3.0未満では成形加工時の高せん断速度下での樹脂にかかるせん断応力が大きくなり、押出負荷が大きくなるなど加工性に問題が生じ好ましくない。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体は、(Mz/Mw)−(Mw/Mn)≧0.5の関係を満たし、GPCのチャートで明らかに高分子量側に分子量分布が広がっていることが特徴である。このことにより溶融時の流動性に特異な効果を醸し出し、良好な成形加工性が得られる。また、この関係を満たすことで、エチレン系重合体を成形体とした際に低分子量成分の溶出あるいはブリードが比較的少なく、高分子量成分と低分子量成分が相溶しやすい特性を示すことができる。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体は、GPCから得られる分子量パターンから分子量100万g/モル以上の分子量成分がポリマー全重量の0.1〜5.0重量%であることを特徴とする。高分子量成分の含有率が多いことにより、成形加工時のMD方向への配向性が高くなり、MD方向への易引裂性が良好になる。さらに、フィルムに要求される重要な特性のひとつである透明性が良好になる利点もある。分子量100万g/モル以上の分子量成分がポリマー全重量の0.1重量%未満の場合、加工性改良、易引裂性向上および透明性向上の効果が低く、5.0重量%を越える場合は成形時のゲル発生や相対的に増加する低分子量成分によるワックス発生の問題が生じる。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体は、GPC測定で得られる分子量パターンから半値幅(Log(M/M))<1.1の関係を満たし、さらに好ましくは半値幅(Log(M/M))<1.05の関係を満たすことを特徴とする。この関係を満たすことで実質的に狭い分子量分布が得られ、1種類のメタロセン触媒により重合された分子量分布の狭いエチレン系重合体と同等の高い機械的強度を示す。また、製品の品質を左右する溶出分の削減を達成できる。ここで分子量パターンの半値幅は、GPCにおける分子量分布パターンのうち、最大ピークのピークトップ(最大頻度)周辺におけるスペクトルの広がり(分子量分布の度合い)を示す。すなわち、スペクトル中の強度がピークトップ(最大頻度)の半分となっているところ(それぞれ高分子量側をM、低分子量側をMとする)でのGPCスペクトル線の幅を半値幅とする。また、複数のピークが観測される場合は、それぞれのピークのうち、最大のものから算出する。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体のGPCパターンにおいて、分子量分布の極大値の数に特に制限はないが、好ましくは単一の極大値を有するものが挙げられる。複数の極大値を有するものは、フィルム等に成形した際に、延伸性に問題が生じる可能性がある。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体の製造方法は特に制限はなく、例えばチーグラー触媒、フィリップス触媒またはメタロセン触媒の存在下、エチレン単独で重合もしくはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。中でも、例えば特開平7−224106号公報、特開平9−59310号公報、特開平10−231312号公報、特開平10−231313号公報等に記載されるメタロセン触媒の存在下で得られるエチレン系重合体は、その重合体に含有される低分子量成分が少ないため、成形品表面のべたつきが低減されることから好ましい。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体は、スラリー重合または気相重合により製造される。該エチレン系重合体は、好ましくは単一の反応器で重合することにより得られる。特に好ましくは連続的に単一の反応器にて製造され、さらに連続的に生成するエチレン系重合体と未反応のモノマー類、重合助剤類、溶媒類とを分離・精製する方法で製造される。スラリー重合の溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、塩化メチレン等が例示される。
上記のオレフィン重合用触媒を用いて本発明のフィルムに供するエチレン系重合体を製造する上で、重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件について特に制限はないが、スラリー重合の場合は、重合温度は−100〜100℃、好ましくは0〜100℃であり、重合時間は10秒〜20時間、重合圧力は常圧〜10MPaの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。気相重合の場合は、重合温度は−100〜120℃、好ましくは0〜110℃であり、重合時間は10秒〜20時間、重合圧力は常圧〜10MPaの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。中でもワックス成分等の除去率を考えるとスラリー重合がより好ましい。
本発明のフィルムに供するエチレン系重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、老化防止剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、塩素吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、滑剤、アンチブロッキング剤、核剤、顔料、染料、可塑剤、難燃剤、無機充填剤、有機充填剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
本発明のフィルムは、公知の方法を利用して成形加工することができる。例えば、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、Tダイ成形等で加工してフィルムを得ることができる。成形加工温度は特に制限はないが、安定した成形加工ができることから140〜240℃の範囲が好ましい。
本発明のフィルムは、無延伸でもフィルム製造時の引取方向(MD)と引取方向に対して垂直方向(横方向)(TD)との引裂強度の比が大きく、MD方向に易引裂性の特に優れたフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムは、フィルム製造時の引取方向に対して垂直方向(横方向)(TD)の引裂強度(X)を引取方向(MD)の引裂強度(Y)で除した値(X/Y)が3以上であることが好ましい。(X/Y)が3以上であれば、フィルムのMD方向への配向が大きく、MD方向の引裂強度が小さくなり、MD方向への良好な易引裂性が得られる。
本発明のフィルムは、単層フィルムであってもよいが、さらに本発明の特色を活かして本発明のフィルムを少なくとも1層として有する積層体として用いることも可能である。本発明のフィルムは、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体等のオレフィン系重合体、ビニルアルコール重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂等と積層して使用することができる。
該積層体の積層の方法は特に制限はなく、多層空冷インフレーション成形、多層水冷インフレーション成形、多層Tダイ成形等の共押出法、押出ラミネーション法、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法等を例示することができる。
本発明のフィルムおよび本発明のフィルムを少なくとも1層として有する積層体の厚さは特に制限はないが、経済性や加工性等の点から30〜200μmの範囲が好ましい。
本発明のフィルムおよび本発明のフィルムを少なくとも1層として有する積層体は、例えば食品、菓子、スナック、薬品等の包装袋やカット性テープ、スタンディングパウチ、チューブ等として使用される易引裂性の包装材として好適に用いることができる。さらに、本発明のフィルムおよび本発明のフィルムを少なくとも1層として有する積層体は、規格袋、重袋、米袋、ラップフィルム、マスキングフィルム、クリーニング袋、繊維包装袋、ファッションバッグ、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の包装用フィルム、延伸テープ、輸液バッグ、農業用資材等に利用することができる。
本発明のフィルムは、延伸処理を行わなくてもMD方向への易引裂性が良好で、さらに優れた成形加工性と機械的強度を有する。本発明のフィルムは、例えば食品、菓子、スナック、薬品等の包装袋やカット性テープ、スタンディングパウチ、チューブ等として使用される易引裂性の包装材として好適に用いることができる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明において、フィルムの成形性および物性評価は以下のように実施した。
[バブル安定性]
インフレーションフィルム成形時のバブルの安定性を目視により評価した。
○:バブルの揺れがなく、安定した成形が可能
△:バブルの揺れがわずかにあるが、フィルムのしわは少ない
×バブルの揺れが大きく、成形したフィルムにしわが多数入る
[フィルム肌]
成形したフィルムの表面の肌荒れの様子を目視と触感により評価した。
○:肌荒れがなく、フィルム表面は平滑
△:わずかに肌荒れがあるが、触感ではフィルム表面はほぼ平滑
×:ひどい肌荒れがあり、触感でもフィルム表面に凹凸が認められる
[ヘーズ(透明性)]
JIS K7105(1981年)に準拠して、日本電色工業社製 ヘーズメーター(型番 300A)により測定した。
[引裂強度]
JIS K7128−2(1998年)に準拠して、エルメンドルフ引裂法により、島津製作所社製 引張試験機(型番DCS−100)により測定した。
[引張破壊応力および引張破壊呼びひずみ]
JIS K6922−2(1997年)に準拠し、島津製作所社製 引張試験機(型番DCS−100)により測定した。
製造例1
エチレン系重合体(A−1)の製造
重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。さらに、反応に用いた化合物は、公知の方法により合成、同定したものを用いた。
[変性粘土化合物の調製]
ジメチルアニリン塩酸塩(1mol)の60%エタノール水溶液8Lで合成ヘクトライト(ラポナイトRD;ラポルテ社製)1000gを処理し、水洗することで、1250gの有機変性粘土化合物を得た。
[固体触媒の調製]
5Lのフラスコに、[変性粘土化合物の調製]に従って合成した有機変性粘土化合物450g、ヘキサン1.4kgを加え、その後トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液1.78kg(1.8モル)、ビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド 7.32g(18ミリモル)を加え、60℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を45℃に冷却し、傾斜法で上澄液を除去した。これをヘキサンで希釈して4.5Lとした後に、ジフェニルメチレン(3−トリメチルシリル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド 0.66g(1.8ミリモル)を加え、固体触媒を得た。
[重合]
内容積300Lの重合器に、ヘキサンを105kg/時、エチレンを30.0kg/時、1−ブテンを1.0kg/時、水素20NL/時および得られた固体触媒を連続的に供給した。また、液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給し、重合温度85℃で重合した。得られたポリマーはMFR3.7g/10分、密度942kg/mであった。得られたエチレン系重合体の物性について測定した値を表1に示す。
[造粒]
得られたエチレン系重合体(A−1)のパウダー100重量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.04重量部、GSY−P101(エーピーアイコーポレーション社製)を0.08重量部および塩素吸収剤としてDHT−4A(協和化学工業社製)を0.04重量部配合し、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所社製 型番FM75C)により820rpmで1分間混合した。その後に50mmφ単軸押出機(プラコー社製 型番PDA−50)を用い、設定温度200℃、回転数100rpmで混練してペレット状にした。
エチレン系重合体(A−1)は、実施例1で使用した。
製造例2
エチレン系重合体(A−2)の製造
[固体触媒の調製]
5Lのフラスコに、製造例1に記載の[変性粘土化合物の調製]に従って合成した有機変性粘土化合物450g、ヘキサン1.4kgを加え、その後トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液1.78kg(1.8モル)、ビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド 7.32g(18ミリモル)を加え、60℃に加熱して1時間撹拌した後に傾斜法で上澄液を除去し、ヘキサン希釈して触媒溶液とした。
[重合]
製造例2で得られた固体触媒を用い、1−ブテンを0.4kg/時、水素を15NL/時とした以外、製造例1と同様に重合を行った。得られたポリマーはMFR3.7g/10分、密度942kg/mであった。得られたエチレン系重合体の物性について測定した値を表1に示す。
[造粒]
得られたエチレン系重合体(A−2)のパウダーは、製造例1と同様の方法でペレット状にした。
エチレン系重合体(A−2)は、比較例1で使用した。
製造例3
エチレン系重合体(A−3)の製造
1−ブテンを0.25kg/時、水素を15NL/時とした以外、製造例1と同様に重合を行った。得られたポリマーはMFR0.9g/10分、密度954kg/mであった。得られたエチレン系重合体の物性について測定した値を表1に示す。
[造粒]
得られたエチレン系重合体(A−3)のパウダーは、製造例1と同様の方法でペレット状にした。
エチレン系重合体(A−3)は、実施例2で使用した。
製造例4
エチレン系重合体(A−4)の製造
[固体触媒の調製]
5Lのフラスコに、製造例1に記載の[変性粘土化合物の調製]に従って合成した有機変性粘土化合物450g、ヘキサン1.4kgを加え、その後トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液1.78kg(1.8モル)、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド7.06g(18ミリモル)を加え、60℃に加熱して1時間撹拌した後に傾斜法で上澄液を除去し、ヘキサン希釈して触媒溶液とした。
[重合]
製造例4で得られた固体触媒を用いて1−ブテンを加えず、水素を8NL/時とした以外、製造例1と同様に重合を行った。得られたポリマーはMFR0.9g/10分、密度954kg/mであった。得られたエチレン系重合体の物性について測定した値を表1に示す。
[造粒]
得られたエチレン系重合体(A−4)のパウダーは、製造例1と同様の方法でペレット状にした。
エチレン系重合体(A−4)は、比較例2で使用した。
実施例1
[フィルム成形]
製造例1で得られたエチレン系重合体(A−1)を用い、プラコー社製 空冷単層インフレーション成形機(型番LL50B、押出機スクリュー径50mmφ、ダイス径75mmφ、リップクリアランス2mm、デュアルスリットタイプエアリング)により、設定温度190℃、押出量18kg/時、引取速度14m/分、ブロー比2.1の成形条件で、厚み50μmのインフレーションフィルムを成形した。フィルム外面には表面張力が0.048N/mとなるようコロナ放電処理を施した。フィルム物性およびフィルム成形時の消費電力値と樹脂圧力値を表2に示す。フィルム製造時の引取方向に対して垂直方向(横方向)(TD)の引裂強度(X)を引取方向(MD)の引裂強度(Y)で除した値(X/Y)が3以上であり、MD方向への易引裂性が良好であった。また、透明性、機械的物性、成形加工性も良好であった。
比較例1
エチレン系重合体(A−1)の代わりに、製造例2で得られたエチレン系重合体(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚み50μmのインフレーションフィルムを成形した。フィルム物性およびフィルム成形時の消費電力値と樹脂圧力値を表2に示す。X/Yが3未満であり、MD方向の易引裂性が劣った。ヘーズ値が高く、フィルムの透明性も不良であった。また、インフレーション成形時のバブル安定性が不良で、フィルムにしわが多数入った。さらに、実施例1と比較して成形時の消費電力と樹脂圧力が高かった。
実施例2
エチレン系重合体(A−1)の代わりに、製造例3で得られたエチレン系重合体(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚み50μmのインフレーションフィルムを成形した。フィルム物性およびフィルム成形時の消費電力値と樹脂圧力値を表2に示す。X/Yが3以上であり、MD方向への易引裂性が良好であった。また、透明性、機械的物性、成形加工性も良好であった。
比較例2
エチレン系重合体(A−1)の代わりに、製造例4で得られたエチレン系重合体(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚み50μmのインフレーションフィルムを成形した。フィルム物性およびフィルム成形時の消費電力値と樹脂圧力値を表2に示す。X/Yが3未満であり、MD方向の易引裂性が劣った。ヘーズ値が高く、フィルムの透明性も不良であった。また、インフレーション成形時にメルトフラクチャーが発生し、フィルム表面に凹凸が発生した。さらに、実施例2と比較して成形時の消費電力と樹脂圧力が高かった。
比較例3
エチレン系重合体(A−1)の代わりに、東ソー社製「ニポロンハード 5110」(密度960kg/m、MFR0.9g/10分、以下A−5と略す。物性について測定した値を表1に示す。)を使用した以外は、実施例1と同様にして厚み50μmのインフレーションフィルムを成形した。フィルム物性およびフィルム成形時の消費電力値と樹脂圧力値を表2に示す。実施例2と比較してTD方向の引張破壊応力と引張破壊伸びひずみが低く、機械的特性が劣った。
実施例3
[積層体の作製]
実施例1で成形したフィルムを、井上金属社製 ドライラミネーター(型式名 パイロットコーター)を用いて、15μmのナイロンフィルム(東洋紡社製 ハーデンN1102)とドライラミネートを行った。接着剤はポリエーテル系ポリウレタン接着剤(主剤 大日精化社製 セイカボンドA−154−2、硬化剤 大日精化社製 セイカボンドC−88)を使用し、接着剤塗布量は2.5g/mであった。ラミネート後40℃に保持したオーブン中で40時間エージング処理を行い、エチレン系重合体/ナイロンの積層体を得た。フィルム物性の測定結果を表3に示す。易引裂性、透明性とも良好であった。
Figure 2005272606
Figure 2005272606
Figure 2005272606

Claims (3)

  1. エチレン単独重合体、またはエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなる共重合体であって、
    (1)密度が900〜975kg/mであり、
    (2)メルトフローレート(MFR、荷重2.16kg、温度190℃条件)が0.01〜100g/10分であり、
    (3)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で求められるMw/Mnが3.0以上であり、
    (4)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で求められる(Mz/Mw)−(Mw/Mn)≧0.5の関係を満たし、
    (5)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンから分子量100万g/モル以上の分子量成分がポリマー全重量の0.1〜5.0重量%であり、
    (6)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定で得られる分子量パターンから半値幅(Log(MH/ML))<1.1の関係を満たす
    エチレン系重合体からなることを特徴とするフィルム。
  2. フィルム製造時の引取方向に対して垂直方向(横方向)(TD)の引裂強度(X)を引取方向(MD)の引裂強度(Y)で除した値(X/Y)が、3以上であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
  3. 請求項1または2に記載のフィルムを少なくとも1層として有する積層体。
JP2004087224A 2004-03-24 2004-03-24 易引裂性に優れたフィルム Pending JP2005272606A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004087224A JP2005272606A (ja) 2004-03-24 2004-03-24 易引裂性に優れたフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004087224A JP2005272606A (ja) 2004-03-24 2004-03-24 易引裂性に優れたフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005272606A true JP2005272606A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35172621

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004087224A Pending JP2005272606A (ja) 2004-03-24 2004-03-24 易引裂性に優れたフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005272606A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008031385A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性樹脂用改質材および樹脂組成物
JP2008031380A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Mitsui Chemicals Inc 易引裂き性フィルムおよびその製造方法ならびにその用途
JP2019170610A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 株式会社フジシール 吸収性物品包装体及び吸収性物品包装体の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008031385A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性樹脂用改質材および樹脂組成物
JP2008031380A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Mitsui Chemicals Inc 易引裂き性フィルムおよびその製造方法ならびにその用途
JP2019170610A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 株式会社フジシール 吸収性物品包装体及び吸収性物品包装体の製造方法
JP7081952B2 (ja) 2018-03-28 2022-06-07 株式会社フジシール 吸収性物品包装体及び吸収性物品包装体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2558531B1 (en) Polymer blends and films made therefrom
AU698910C (en) Ethylene copolymers having narrow composition distribution, their production and use
JP4468303B2 (ja) 延伸フィルム
JP4843977B2 (ja) 押出ラミネート積層体
JP2014074096A (ja) 押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物および積層体
JP5078838B2 (ja) 延伸フィルム
JP4752187B2 (ja) エチレン系樹脂組成物
JP4670327B2 (ja) 耐熱性フィルム
JP2005272606A (ja) 易引裂性に優れたフィルム
JP5895483B2 (ja) 押出ラミネート用エチレン系重合体組成物および積層体
WO2022196239A1 (ja) ラミネート用延伸ポリエチレンフィルム
JP4792741B2 (ja) 易引き裂き性フィルム
JP5895484B2 (ja) 押出ラミネート用エチレン系重合体組成物および積層体
JP5919768B2 (ja) 耐ブロッキング性に優れたフィルム
JP5895447B2 (ja) 押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物及び積層体
JP2006083284A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびこれよりなる易離解性防湿紙
JP2005089693A (ja) 樹脂組成物およびそれから得られる延伸フィルム
JP2023184220A (ja) ラミネート用延伸ポリエチレンフィルム
JP2003191313A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP2013136677A (ja) 押出ラミネート用ポリエチレン樹脂組成物及び積層体
JP2005126690A (ja) 重合体組成物およびフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100309

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100510

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110406