JP2005272541A - ナノカーボンを含有するポリマー及び熱可塑性樹脂、当該熱可塑性樹脂から成形される成形品、並びに、その製造方法 - Google Patents

ナノカーボンを含有するポリマー及び熱可塑性樹脂、当該熱可塑性樹脂から成形される成形品、並びに、その製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 ナノカーボンを含有するポリマー及び熱可塑性樹脂、当該熱可塑性樹脂を材料とする成形品、並びに、その製造方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を材料とする成形品であって、前記熱可塑性樹脂は、ナノカーボンとポルフィリン誘導体とを含有することを特徴とする成形品を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ナノカーボンを利用して改質されたポリマー及び熱可塑性樹脂(又は溶融樹脂)、当該熱可塑性樹脂を材料とする成形品、並びに、その製造方法に関する。
超臨界流体は気体としての浸透性と液体としての溶媒特性をあわせもつ流体として注目されており、超臨界二酸化炭素を溶媒に用いた分散染料による繊維の染色が提案されている(例えば、特許文献1乃至3を参照のこと)。また、この原理を応用し、樹脂を表面改質して高機能化するプロセスが検討されている(例えば、非特許文献1を参照のこと)。該方法によれば、超臨界二酸化炭素を用い、PMMA等を成形した熱可塑性樹脂の表面で銀微粒子を析出させている。
一方、最近カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン、フラーレンといった炭素原子を共有結合したナノ構造体はナノカーボンと総称され、夢の素材として実用化に向けて広く研究されている。例えば、CNTは、揺らぎのないナノメートル構造、高電流密度、高熱伝導率など、将来のエレクトロニクス材料として数々の魅力ある物性をもっている。(例えば、非特許文献2を参照のこと)。
成形体である樹脂表面に電気伝導性を付与する場合には、前記樹脂表面を金属メッキすることが試みられているが、一般的に樹脂成形、成形品の脱脂、エッチング、中和及び湿潤化、触媒付与、触媒活性化、無電解メッキの多段階プロセスを踏む。また、エッチングにはクロム酸溶液を用いるなど環境負荷が大きい。そこで、電気伝導性を有するCNTを樹脂に混練することで、樹脂の導電性を大きく改良する試みがされている。また、CNTの混錬により樹脂の機械強度も向上する。
しかし、CNTは無機材料であり、有機材料である樹脂には相溶しないため、多量に含有させることが困難である。特に、熱可塑性樹脂とのブレンド材料を射出成形にて成形する場合、粘度が高すぎて成形できなくなるため10wt%程度しか混練させることができない。このようにCNTの含有量が低いと、樹脂の高機能化を図ることが困難である。
CNTの添加量を抑え、それを補うため炭素繊維を熱可塑性樹脂に混合し、導電性や強度を向上することで、燃料電池のセパレーターに応用する方法も従来から提案されている(例えば、特許文献4を参照のこと)。該公報によれば、炭素繊維の配合量が10〜70wt%、カーボンナノチューブの配合量が0.1〜15重量%の熱可塑性樹脂で高強度及び高導電性のセパレーターが得られるとあるが、混合材料を押し出し成形等でペレット化してから射出成形しなければならず、材料作製に手間がかかっていた。また、従来の有機材料とナノカーボン等の無機材料を機械的に混練する方法では、無機材料の微粉体の凝集を抑制し均一混合することが困難であった。
特開平5−132880号公報 特開2001−226884号公報 特開2002−363869号公報 特開2002−97375号公報 成形加工第15巻第9号2003 「カーボンナノチューブが拓く新世界」、工業材料、51(1)、2003
従って、ナノチューブのような有用性のあるナノカーボンを樹脂に含有した成形体とすることが望まれているが、未だ実現されていないのが現状である。従来の超臨界流体を用いる方法では、高圧容器内で対象の樹脂表面を改質するバッチプロセスになるので、大量生産は困難である。また、超臨界二酸化炭素を樹脂内部に浸透させ分子間距離を拡大することで、ガラス転移温度を低下させ処理するので1mm程度以上肉厚のある樹脂の場合、変形及び内部発泡するという問題が考えられる。特に、樹脂表面又は表面近傍のみにナノカーボンを配置することや、位置選択的にナノカーボンを含有させることにより、所定の箇所でのみその特性を発揮できれば、工業的価値を更に高めることができる
本発明は、ナノカーボンを含有するポリマー及び熱可塑性樹脂、当該熱可塑性樹脂を材料とする成形品、並びに、その製造方法を提供することを例示的な目的とする。
本発明の一側面としての成形品は、熱可塑性樹脂を材料とする成形品であって、前記熱可塑性樹脂は、ナノカーボンとポルフィリン誘導体とを含有することを特徴とする。また、ナノカーボンとポルフィリン誘導体とを含有するポリマーも本発明の別の側面を構成する。かかるポリマー及び熱可塑性樹脂は、ナノカーボンによって改質され、電気的特性、機械的特性その他の特性を向上することができる。例えば、選択式にCNTを高濃度に配向させることで、局所的に電気導電性を飛躍的に向上させ電気配線として利用することができる。ポリマーは任意であるが、ポリエステル系等の合成繊維の他、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ABS系樹脂、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂及びそれら複合材料を用いることできる。また、ガラス繊維、カーボン繊維等、各種無機フィラー等を混練させた樹脂材料を用いることもできる。
前記ナノカーボンは、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ナノファイバー、ナノシート又はそれらの変性物のうち少なくとも1種を含む。
前記ポルフィリン誘導体は、例えば、ポルフィリン化合物であってもよく、当該ポルフィリン化合物は、例えば、下記化学式又は当該化学式を化学修飾したポリオレフィン化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする。
(式中、Mは金属イオンを表す)
(式中、Xはアルカリ金属を表す。)
前記ナノカーボンが前記ポリマー又は成形品の表面又は表面近傍に配置されていてもよい。前記ナノカーボンを前記ポリマー又は成形品の表面の特定の位置に配置されてもよい。
本発明の別の側面としての成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂を成形することによって成形品を製造する方法であって、ナノカーボンとポルフィリン誘導体を加圧された超臨界流体に混合する工程と、熱可塑性樹脂と前記混合された超臨界流体とを接触させることによって前記熱可塑性樹脂に前記ナノカーボンを導入する工程とを有することを特徴とする。これによって、上述の成形品を製造することができる。
前記導入工程は、前記熱可塑性樹脂を前記成形品を製造するための金型のキャビティに第1の位置から導入する工程と、前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1の位置とは異なる第2の位置から導入してもよい。前記超臨界流体の圧力を減圧する工程を更に有してもよい。
前記導入工程は、前記熱可塑性樹脂を前記成形品を製造するための金型のキャビティに第1の位置から導入する工程と、前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1の位置とは異なる第2の位置から導入する工程と、前記熱可塑性樹脂が前記キャビティに導入された後で、前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1及び第2の位置とは異なる第3の位置から導入して前記熱可塑性樹脂の表面及び表面近傍を改質する工程とを有してもよい。前記導入工程は、前記熱可塑性樹脂を前記成形品を製造するための金型のキャビティに第1の位置から導入する工程と、前記熱可塑性樹脂が前記キャビティに導入された後で、前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1の位置とは異なる第2の位置から導入して前記熱可塑性樹脂の表面及び表面近傍を改質する工程とを有することを有してもよい。前記改質工程は、前記熱可塑性樹脂の前記表面及び表面近傍の特定の位置を改質してもよい。
本発明の別の側面としての成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂を成形することによって成形品を製造する方法であって、前記熱可塑性樹脂を混練するスクリューを備えてかつ前記熱可塑性樹脂を可塑化する可塑化シリンダーにおいて、超臨界流体及び当該超臨界流体に溶解させたナノカーボン及びポルフィリン誘導体と前記熱可塑性樹脂とを、前記スクリューを利用して混練する工程を有することを特徴とする。
また、超臨界流体及びそれに溶解したナノカーボンのポリマーや熱可塑性樹脂への接触方法は任意であり、例えば、公知である繊維の超臨界染色と同様なバッチ処理プロセスを適用することができる。この場合、表面近傍にナノカーボンの配向したポリマーを作製できる。
射出成形等において、冷却された金型に該溶融樹脂を充填した場合、金型内にて急減圧されることで、超臨界流体に溶解していたナノカーボンが過飽和となり析出するが、金型内における流動末端部の方が先端部よりも大きく減圧されるのでキャビティ内におけるナノカーボンの析出分布が不均一になる。これを抑制するため、予め金型キャビティ内に高圧ガスや超臨界流体を導入しておき溶融樹脂の流動時における減圧を抑えることが望ましい。また、予め修飾ナノカーボンを溶解させた超臨界流体を金型内に導入しておくことで、より多量のナノカーボンを成形品の表面へ配向させることができる。
選択式にナノカーボンを熱可塑性樹脂表面に配向させる方法としては、例えば、次の方法を用いることができる。まず、樹脂表面に、フォトマスク用いパターン化したフォトレジストでマスキングした後、上記方法にて表面からナノカーボンを注入し、次いでレジストを除去する方法が挙げられる。また、金型表面に凹形状を形成し、熱可塑性樹脂が該凹部に充填される前に超臨界流体と超臨界流体に溶解したナノカーボンを該凹部に導入し、該凹部に接触する熱可塑性樹脂表面にのみナノカーボンを浸透させることができる。該表面処理は射出成形時に行ってもよいし、一度バルクの樹脂基材を射出成形等によって作製してからプレス成形等で行うことができる。
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態により明らかにされるであろう。
本発明によれば、ナノカーボンを含有するポリマー及び熱可塑性樹脂、当該熱可塑性樹脂を材料とする成形品、並びに、その製造方法を提供することができ、ナノカーボンによりポリマーや成形品を簡単に高機能化することができる。
本実施例の成形品の製造方法は、ナノカーボンとポルフィリン誘導体を加圧された超臨界流体に混合する工程と、熱可塑性樹脂と前記混合された超臨界流体とを接触させることによって前記熱可塑性樹脂に前記ナノカーボンを導入する工程とを有する。
ナノカーボンは、特に限定されないが、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ナノファイバー、ナノシートまたはそれらの変性物から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらナノカーボンは2種以上を混合して用いることも可能である。ナノカーボンは、選択的な表面改質を行うために成形時の分散溶媒として用いられる超臨界流体に所定の濃度で含有させる必要がある。このため、本実施形態はポルフィリン誘導体の存在下でナノカーボンを超臨界流体中に分散することにより、超臨界流体への溶解性を向上させ、その流体を熱可塑性樹脂と接触させることで熱可塑性樹脂にナノカーボンを含有させている。
ポルフィリン誘導体は、ポルフィリン構造を有するもの、例えば錯体、塩などの化合物を挙げることができる。ポルフィリン構造としては、プロトポルフィリン、エチオポルフィリン、メソポルフィリンなどを挙げることができる。特に好適に用いられるポルフィリン誘導体としては、下記の化学式またはそれらを化学修飾した化合物から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
(式中、Mは金属イオンを表す。)
金属イオンは、例えば、亜鉛イオン、銀イオンまたは銅イオンである。
(式中、Xはアルカリ金属を表す。)
アルカリ金属は、例えば、ナトリウム、カリウムである。ナノカーボンに用いるポルフィリン誘導体の量は任意であり、例えば、ナノカーボン:ポルフィリン誘導体を重量比で2:1〜30:1の割合で用いることができる。
本出願においては、「ナノカーボン」は、超臨界流体に溶解するような官能基を有するものも含む。このような官能基は、例えば、(NO(nは1〜100のうちいずれかの分子数)や以下の化学式で表される。
(nは1〜100のうちいずれかの分子数、R〜Rは各々独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基)。
修飾方法は任意であるが、例えば、窒素雰囲気下、トルエンにナノカーボンを懸濁させて、銅及び濃硝酸から生じるニトロラジカルと反応させたり、トリエチルアミン存在下、アミンと反応させたりする。かかる方法によれば毒性の強い有機溶媒や試薬を用いることなく簡便な方法で修飾することが可能となる。また官能基とナノカーボンは結合力の強い共有結合で結合されるため、超臨界流体中で安定に溶解する。
超臨界流体の種類は超臨界水、超臨界アンモニア、超臨界二酸化炭素等任意であるが、比較的、超臨界流体になる条件が易しく、溶媒特性がn−ヘキサン並である超臨界二酸化炭素が望ましい。なお超臨界二酸化炭素は温度約31℃、圧力約7MPa以上で超臨界流体になる。溶解槽の圧力及び温度条件は任意であるが、超臨界二酸化炭素を用いた場合、圧力は10MPa以上35MPa以下、より望ましくは15MPa以上25MPa以下が望ましい。圧力が高いほど溶質に対する溶解力は高くなるが、安全上の装置設計やシールが困難になる。また、温度は40℃以上60℃以下が望ましい。温度が高くなるとシールが困難になり装置がコスト高となる。
射出成形等において、冷却された金型に該溶融した樹脂を充填した場合、金型内にて急減圧されることで、超臨界流体に溶解していたナノカーボンが過飽和となり析出するが、金型内における流動末端部の方が先端部よりも大きく減圧されるのでキャビティ内におけるナノカーボンの析出分布が不均一になる。これを抑制するため、予め金型内に高圧ガスや超臨界流体を導入しておき溶融樹脂の流動時における減圧を抑えることが望ましい。また、予めナノカーボンを溶解させた超臨界流体を金型内に導入しておくことが好ましい。このようにすることにより、多量のナノカーボンを成形品の表面へ配向させることができる。
ナノカーボンの超臨界流体に対する溶解度をより向上させるためにエントレーナを用いてもよい。エントレーナは助剤及び共溶媒として働くが、メタノール、エタノール等のアルコールやアセトン等を用いることができる。
本実施形態では、ナノカーボン及びポルフィリン誘導体を含有する超臨界流体を熱可塑性樹脂に接触させた後、超臨界流体の圧力を該樹脂との接触雰囲気で常圧以上10MPa以下に減圧する。このような減圧処理により、超臨界流体中のナノカーボンを熱可塑性樹脂の内部、表面及び表面近傍に析出させることができる。
熱可塑性樹脂にナノカーボンを導入するにあたっては、ナノカーボンを熱可塑性樹脂の内部に分散させる際には、金型のキャビティに導入する前に熱可塑性樹脂に超臨界流体を接触させてもよい。但し、本実施形態では、金型のキャビティ内に略両者を同時に導入することによって行う。その際、超臨界流体及び超臨界流体に溶解したナノカーボンは、金型内に射出された熱可塑性樹脂の流動方向とは反対に圧力を印加するカウンタープレッシャーとして導入している。カウンタープレッシャーにより、成形品表面近傍にナノカーボンを配置することができる。また、金型内における流動樹脂のファウンテンフロー現象(噴水効果)により、フローフロント部の熱可塑性樹脂は金型表面に引っ張られながら表面層を形成していくので、超臨界流体に溶解し、樹脂内のフローフロントに浸透したナノカーボンが金型に接する表面近傍の層に配置する。
更に、熱可塑性樹脂の表面及び表面近傍の特定位置に選択的にナノカーボンを配置したい場合には、熱可塑性樹脂がキャビティに導入された後で、超臨界流体及びそれに溶解したナノカーボンを金型のキャビティの特定の位置から導入する。特定の位置近傍でナノカーボンを樹脂表面及びその近傍に分散させることにより、成形品表面を局所的に改質することができる。金型の圧力及び/又は温度を調節することによって特定の位置においてナノカーボンを熱可塑性樹脂に配置してもよい。これにより、凹凸のない成形品表面の部分的な表面改質が可能となる。また、注入は、充填された熱可塑性樹脂に押圧され、熱可塑性樹脂に押圧される第1の面に所定のパターンが形成され、第1の面に対向する第2の面に前記パターンに連通する孔が特定の位置に設けられたスタンパを利用してもよい。パターンをスタンパ化することで配線回路を容易に変更可能となる。また、特定の位置にパターンを形成することによって、所望の回路パターンを形成することができる。
なお、表面又は表面近傍のみにナノカーボンを配置させたい場合には、ナノカーボンを分散した流体を予め導入することなく、金型内に熱可塑性樹脂を導入し、熱可塑性樹脂と金型表面との間に、超臨界流体、ナノカーボン及びポルフィリン誘導体からなる流体を導入する工程と、超臨界流体及び前記超臨界流体に溶解したナノカーボンを接触させる工程を用いてもよい。更に、超臨界流体及びナノカーボンを金型内に導入する箇所が、位置選択的にナノカーボンが成形品表面に配置されるよう設けることにより、所定位置にのみナノカーボンを形成した成形品を得ることができる。例えば、金型表面に凹凸形状を形成し、熱可塑性樹脂が該凹部に充填される前に超臨界流体と超臨界流体に溶解したナノカーボンを凹部に導入し、該凹部に接触する熱可塑性樹脂表面にのみナノカーボンを浸透させることができる。また、該表面処理は射出成形時に行ってもよいし、一度バルクの樹脂基材を射出成形等によって作製してからプレス成形等で行うことができる。このような工程を設けることにより、成形時に金型表面に設けられたパターンが転写されたナノカーボンを表面に有する熱可塑性樹脂を得ることができる。
ナノカーボンを浸透させる熱可塑性樹脂は任意であるが、ポリエステル系等の合成繊維の他、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ABS系樹脂、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂及びそれらの複合材料を用いることできる。また、ガラス繊維、カーボン繊維等、各種無機フィラー等を混練させた樹脂材料を用いることもできる。
本実施形態においては、押し出し成形や射出成形等で用いられる熱可塑性樹脂を混練するスクリューにて、超臨界流体及びナノカーボンと接触させ、溶融樹脂にナノカーボンを混練することも好ましい。例えば、ベント構造を有するスクリューを用いることで該減圧されるベント部より効率よくナノカーボンを注入することが可能となる。スクリューが内蔵される可塑化シリンダー内は、樹脂圧により二酸化炭素等の超臨界状態を維持することができるのでナノカーボンが析出して凝集することなく超臨界流体とともに溶融樹脂とブレンドすることができる。そして、スクリュー内でナノカーボンを熱可塑性樹脂と攪拌混練した後、射出成形や押し出し成形、プレス成形等を行うことで、所望の形状を有しかつナノカーボンが均一分散した成形品を得ることができる。そして、スクリュー攪拌後、ペレット化せずとも連続して成形することが可能となる。
成形品は、選択的にナノカーボンを高濃度に配向させることができるため、局所的に電気導電性を飛躍的に向上させ電気配線として利用することができる。本実施形態の製造方法に使用される製造装置としては、金型内に熱可塑性樹脂、超臨界流体を導入できる構造を有すればよく、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、射出圧縮成形等に用いられるものを適宜選択することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はこれらの例示によって限定されるものではない。
以下の化学式で示される構造式を有するプロトポルフィリン誘導体(Aldrich社製) (以下この錯体をZnPPと表す。)を用い、ナノカーボンとしてカーボンナノチューブを用いた。
(式中、Mは亜鉛イオンを表す。)
本実施例は、ナノカーボン1gに対してポルフィリン誘導体を50mgを使用し、熱可塑性樹脂に超臨界流体と共に浸透させた。本実施例に用いた金型及び成形装置の要部断面構造図を図1、プロセス模式図を図2に示す。図1中、7a〜7gは成形機の任意の信号をトリガーとして駆動する自動駆動弁であり、8a〜8bは減圧弁、9a〜9dは手動開閉弁、10a〜10eは逆止弁、15a〜15bはフィルターである。
本実施例では超臨界流体となる圧力温度条件が比較的緩く、ポリマーに対する親和性の高い二酸化炭素を用いた。ナノカーボン及びポルフィリン誘導体を分散した溶解槽1及び超臨界流体の滞留する配管経路の圧力及び温度条件は任意であるが、超臨界二酸化炭素を用いた場合、圧力は10MPa以上35MPa以下、より望ましくは15MPa以上25MPa以下が望ましい。そして温度は40℃以上55℃以下が望ましい。
本実施例の装置においては、図示しないヒーターにてリザーブタンク17より各配管及び機能剤溶解槽1及び攪拌槽4から自動弁7a,7b,7fまでのすべての経路は45〜55℃になるように温度制御されている。本実施例においては、圧力を次のように調整した。まず、二酸化炭素ボンベ18から供給される液化二酸化炭素を超臨界流体発生装置3にて40〜45MPaの超臨界状態にした後、減圧弁8aにて圧力計P1が18MPaとなるようにリザーブタンク17内部の圧力を調整した。本実施例において、リザーブタンク17内の超臨界二酸化炭素はエントレーナ溶解槽6内でエントレーナと混合される。本実施例においては、エントレーナとしてアセトンを用いた。アセトンが貯蔵されているエントレーナタンク5からエントレーナポンプ11の駆動によりエントレーナ溶解槽6内に供給され、超臨界二酸化炭素にエントレーナが溶解する。エントレーナ溶解槽6内におけるエントレーナの量はフィードバック装置12で常時一定量以上滞留するように自動弁7dの開閉及びエントレーナポンプ11の駆動により制御されている。
一方、リザーブタンク17内の超臨界二酸化炭素は減圧弁8bにて圧力計P2が15MPaになるように減圧し、ナノカーボン及びポルフィリン誘導体溶解槽1内に導入した。ナノカーボン及びポルフィリン誘導体溶解槽1内には、ナノカーボン及びポルフィリン誘導体が貯蔵されている。圧力15MPaの超臨界流体にポルフィリン誘導体と混合したナノカーボンが徐々に溶解し、後述する方法で溶けた量だけ攪拌槽4に導入される。この時、ナノカーボンとポルフィリン誘導体が混合するのに十分な時間、本実施例においては5分間超臨界流体を溶解槽1内に留めておく。超臨界流体の圧力及び温度が一定であれば溶質の溶解度は変化しない。よって、溶解槽1にて溶解するナノカーボン及びポルフィリン誘導体の濃度は飽和状態であり常に一定であるが、流れが生じ減圧した場合には過飽和となり溶質は析出する。
本実施例の成形装置においては下記に説明するように、金型キャビティ21や加熱シリンダー16内に導入した際の減圧により、溶質であるナノカーボンやポルフィリン誘導体が過飽和になり、金型内等で析出するのを抑制する工夫がなされている。本実施例の成形装置においては、金型キャビティ21や成形機可塑化シリンダー16内に超臨界二酸化炭素及びそれに溶解したナノカーボンを自動弁7a,7bや7fの開放により導入できるが、自動弁の開放に伴い、攪拌槽4内の容量が減り減圧される。
本実施例においては自動弁7aもしくは7fの閉鎖後、直ちに自動弁7gを一定時間開放しナノカーボン及びポルフィリン誘導体2を圧力15MPaの超臨界二酸化炭素とともに攪拌槽4に補充した。その後、自動弁7hを開き、圧力18MPaでエントレーナを含有する超臨界流体をエントレーナ溶解槽6より攪拌槽4内に導入する。この動作で攪拌槽4内部の圧力は18MPaに瞬時に昇圧され、エントレーナが補充される。そのため、常時攪拌されている攪拌槽4内では、ナノカーボンが未飽和の状態にて18MPaの超臨界流体とエントレーナの混合溶媒に溶解した状態になる。よって、ある程度超臨界流体が減圧しても、溶解していたナノカーボンが過飽和にならず析出することはない。
ポルフィリン誘導体はナノカーボンに完全に吸着され、ポルフィリン誘導体が単独で析出してこない。本実施例は、熱可塑性樹脂の可塑化時に超臨界二酸化炭素及びポルフィリン誘導体の吸着したナノカーボンを混練した。本実施例はガラス転移温度約150℃の脂環式オレフィン樹脂(日本ゼオン社製ゼオネックス480R)を用いた。図示しない乾燥機により120℃、4hr以上の条件にて乾燥された樹脂ペレットは図1上のホッパー26に供給され、300℃に温度制御された可塑化シリンダー16内でスクリュー14によって可塑化されるが、これは従来と同じ手法である。
可塑化と同時にスクリュー内にて超臨界流体とナノカーボンを熱可塑性樹脂に混練してもよいが、本実施例はスクリュー14に減圧されるベント構造21を設け、可塑化途中、予め開放された手動弁9a,9bの直下に該ベント構造21部が到達した際にバルブ7fを開放し超臨界流体及びナノカーボンを加熱シリンダー16内部に注入した。その後、可塑化及び計量を完了し、スクリュー14を計量位置まで後退させた。
射出成形は次のように行った。まず、固定金型24及び可動金型25によって形成されるキャビティ21内に溶融樹脂を充填する。この際、キャビティ21の大きさは縦5cm×横10cm×厚み3mmのテストピース形状とした。前記金型は図示しない温調機及び金型内に設けられた温調回路を流動する冷却水で120℃に温度制御されており、両金型の突き当て面は図示しないOリングでシールされている。シャットオフノズル19を開放した直後に、スクリュー14を300mm/sの射出速度にて前進させることで、ノズル先端29より金型内のスプール20部を経てキャビティ21に熱可塑性樹脂を充填した。金型内へ熱可塑性樹脂を射出する際には、減圧に伴いナノカーボンが不均一に析出することや、超臨界流体が樹脂表面でガス化し表面性の悪化する問題が生じる。かかる問題を回避するため、予め超臨界流体等の高圧ガスを金型内に導入しておく、又は同時に導入することが望ましい。本実施例は導入配管22を経て超臨界流体及びナノカーボンを金型内に充満させた。
図示しない成形装置の電動式型締め機構により型締め力25トンを発生させて可動金型25及び固定金型24を閉鎖しながら、まず自動弁7aを1秒間開き7bまでの配管内に攪拌槽4より圧力18MPaの超臨界流体、ナノカーボンを充満させた。その後、自動弁7aを閉じた。本実施例の成形装置は7aから7bまでの配管長及びその内容積によって、金型へ導入する溶質であるナノカーボンの溶解した超臨界流体の量を制御できる。次に自動弁7bを開き導入配管22から金型内へ超臨界流体、ナノカーボンを導入した。それと同時に、自動弁7cを開き、さらに連続して自動弁7aを再度開き、エントレーナ溶解槽6よりエトレーナ入り圧力18MPaの超臨界流体を追って導入した。
次に図2(a)に示す通り金型内に超臨界流体及びナノカーボンを導入した状態において、溶融樹脂30を射出充填した。キャビティ内に充満した前記導入超臨界流体は溶融樹脂30にファウンテンフロー(噴水)効果により表面配向していく。配向しない分は、図2(b)に示すようにキャビティ21の外に設けられた滞留空間27に追い出されていく。図2において、黒丸はナノカーボンを模式的に示している。
本実施例においては、充填途中に自動弁7eを開放することで滞留空間27の余剰な超臨界流体及びナノカーボンを排出配管23より回収槽13に排出した。その際、導入配管22からはナノカーボンの溶解していない経路(自動弁7c⇒7a⇒7b)から超臨界流体が導入されている。よって、充填後にキャビティ21外より排出されたナノカーボンは図2(c)に示す通り、溶融樹脂が金型で冷却している間にエントレーナを含有する超臨界流体によって回収槽にすべて回収される。
本実施例においては充填後回収の工程を行った後、自動弁7a、7bを順に閉鎖して超臨界流体の供給を停止し導入配管22、滞留空間27、排出配管23の系を大気圧に減圧した。その後、ノズル29から溶融樹脂をスクリュー14の保圧制御により追加充填し発泡及びヒケを抑制した。なお、自動弁7aを閉じた後、前記のように自動弁7gを一時開放し、ついで自動弁7hを順に開いて、減圧された攪拌槽4内部の圧を復帰させる。その後、前記したスクリュー14の可塑化混練工程に移行する。回収槽は図示しないリリーフ弁にて減圧され、エントレーナとナノカーボン及び二酸化炭素に分離され、それぞれ再利用できる。
本実施例において作製した成形品のサンプルにおいて、引っ張り強度を測定したところ、ナノカーボンを浸透させなかったものに対し1.8倍になっていた。また、表面の電気抵抗を測定したところ、1/8に低減していた。本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製 SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。該溶質をTEMにて観察したところカーボンナノチューブ構造物が確認された。UV−Vis分析にてZnPPに特徴的なλmax=588及び643nmのスペクトルを確認した。
実施例1において、化学式4で示されるポルフィリン誘導体の代わりに、中心金属として銀のポルフィリン誘導体(以下AgPPと表す。)を用いた以外は実施例1と同様な装置を用い、同様な方法にてナノカーボンを成形品内に含有させた。本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製 SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。溶質をTEMにて観察したところCNT構造物が確認された。UV−Vis分析にてAgPPに特徴的なλmax=590及び652nmのスペクトルを確認した。
実施例1において、化学式4で示されるポルフィリン誘導体の代わりに、中心金属として銅のポルフィリン誘導体(以下CuPPと表す。)を用いた以外は実施例1と同様な装置を用い、同様な方法にてナノカーボンを成形品内に含有させた。本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製 SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。溶質をTEMにて観察したところカーボンナノチューブ構造物が確認された。UV−Vis分析にてCuPPに特徴的なλmax=580及び641nmのスペクトルを確認した。
実施例1において、化学式4で示されるポルフィリン誘導体の代わりに、下記化学式で示される構造式を有するポルフィリン化合物を用いた以外は、実施例1と同様な装置を用い、同様な方法にてナノカーボンを成形品内に含有させた。
(式中、Xはナトリウムを表す。)
本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製 SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。溶質をTEMにて観察したところCNT構造物が確認された。UV−Vis分析にてNaPPに特徴的なλmax=580及び635nmのスペクトルを確認した。
実施例1において溶融樹脂30を射出充填した直後に図3に示す自動弁Bを閉じると同時に自動弁C、Dを開放する。その後、溶解樹脂を自然に冷却する。冷却後の操作は実施例1と同様な操作を行った。
本実施例において作製した成形品のサンプルにおいて、引っ張り強度を測定したところ、ナノカーボンを浸透させなかったものに対し、1.7倍になっていた。また表面の電気抵抗を測定したところ、1/8に低減していた。本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。該溶質をTEMにて観察したところ、カーボンナノチューブ構造物が確認された。UV−Vis分析にてZnPPに特徴的なλmax=588及び640nmのスペクトルを確認した。
実施例5の操作と同様な操作で、実施例6では熱可塑性樹脂の可塑化時において超臨界二酸化炭素及びポリフィン誘導体に吸着したナノカーボンを溶解樹脂に混練せずに成形を行った。
本実施例において作製した成形品のサンプルにおいて引張り強度を測定したところ、ナノカーボンを浸透させなかったものに対し、1.5倍になっていた。また表面の電気抵抗を測定したところ、1/6に低減していた。本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。該溶質をTEMにて観察したところ、カーボンナノチューブ構造物が確認された。UV−Vis分析にてZnPPに特徴的なλmax=590及び640nmのスペクトルを確認した。
実施例1の条件で樹脂としてはアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)を用いた。本実施例では射出成形装置における可塑化シリンダー16を120℃とした。また、キャビティ21を70℃とし、金型内を流れる温調回路内の媒体温度は70℃とした。この条件で射出成形を行った。
本実施例において作製した成形品のサンプルにおいて引張り強度を測定したところ、ナノカーボンを浸透させなかったものに対し、1.8倍になっていた。また表面の電気抵抗を測定したところ、1/8に低減していた。本実施例において作製した試験片を超臨界抽出装置(ISCO社製SFXシステム1220)にて分析したところ、圧力30MPaの超臨界二酸化炭素にて溶質が抽出された。該溶質をTEMにて観察したところ、カーボンナノチューブ構造物が確認された。UV−Vis分析にてZnPPに特徴的なλmax=589及び645nmのスペクトルを確認した。
以上説明してきたように、本発明の方法により、熱可塑性樹脂の内部にナノカーボンを含有した成形品を製造することができる。また、所望部分の表面にナノカーボンを存在させることにより、当該部分のみにナノカーボンの特性を有する部分を形成することも可能である。このような選択的な配置をすることにより、例えば電気配線パターンを形成することもできる。
更に本発明は溶融熱可塑性樹脂を保圧・型締めなどによって圧縮した後で、キャビティの容積を増大させて溶融熱可塑性樹脂を発泡させる工程を更に有してもよい。これにより、成形体表面の選択的改質を行うと同時に、内部は微細発泡セルを形成することにより材料の低誘電化を図ることも可能となる。この場合、平均セル径が30μm以下で発泡倍率が1.5倍以上の発泡状態が望ましい。これにより、プラスチック成形品を軽量にし、断熱効果を高め、かつ、剛性重量比を高めることができる。かかる成形品は、高周波電気回路用基板やMID(Mold interconnect Device)、ミリ波アンテナ等の平面アンテナに好適である。
本発明の一実施例に使用可能な金型及び成形装置の要部断面図である。 本発明の一実施例に使用可能な成形装置を用いた金型キャビティ内におけるプロセス模式図である。 図1に示す成形装置に使用される金属キャビティを示す概略拡大図である。
符号の説明
1 ナノカーボン及びポルフィリン誘導体溶解槽
3 超臨界流体発生装置
14 スクリュー
18 COボンベ
21 金型キャビティ
24 固定金型
23A 金型表面凹部
25 可動金型
30、31 溶融樹脂

Claims (18)

  1. 熱可塑性樹脂を材料とする成形品であって、
    前記熱可塑性樹脂は、ナノカーボンとポルフィリン誘導体とを含有することを特徴とする成形品。
  2. 前記ナノカーボンは、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ナノファイバー、ナノシート又はそれらの変性物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の成形品。
  3. 前記ポルフィリン誘導体は、ポルフィリン化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の成形品。
  4. 前記ポルフィリン化合物は、下記化学式又は当該化学式を化学修飾したポリオレフィン化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3記載の成形品。

    (式中、Mは金属イオンを表す)

    (式中、Xはアルカリ金属を表す。)
  5. 前記ナノカーボンが前記成形品の表面又は表面近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の成形品。
  6. 前記ナノカーボンを前記成形品の表面の特定の位置に有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の成形品。
  7. 熱可塑性樹脂を成形することによって成形品を製造する方法であって、
    ナノカーボンとポルフィリン誘導体を加圧された超臨界流体に混合する工程と、
    熱可塑性樹脂と前記混合された超臨界流体とを接触させることによって前記熱可塑性樹脂に前記ナノカーボンを導入する工程とを有することを特徴とする方法。
  8. 前記導入工程は、
    前記熱可塑性樹脂を前記成形品を製造するための金型のキャビティに第1の位置から導入する工程と、
    前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1の位置とは異なる第2の位置から導入する工程とを有することを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記超臨界流体の圧力を減圧する工程を更に有することを特徴とする請求項7記載の方法。
  10. 前記導入工程は、
    前記熱可塑性樹脂を前記成形品を製造するための金型のキャビティに第1の位置から導入する工程と、
    前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1の位置とは異なる第2の位置から導入する工程と、
    前記熱可塑性樹脂が前記キャビティに導入された後で、前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1及び第2の位置とは異なる第3の位置から導入して前記熱可塑性樹脂の表面及び表面近傍を改質する工程とを有することを特徴とする請求項7記載の方法。
  11. 前記導入工程は、
    前記熱可塑性樹脂を前記成形品を製造するための金型のキャビティに第1の位置から導入する工程と、
    前記熱可塑性樹脂が前記キャビティに導入された後で、前記混合された超臨界流体を前記金型の前記キャビティの前記第1の位置とは異なる第2の位置から導入して前記熱可塑性樹脂の表面及び表面近傍を改質する工程とを有することを有することを特徴とする請求項7記載の方法。
  12. 前記改質工程は、前記熱可塑性樹脂の前記表面及び表面近傍の特定の位置を改質することを特徴とする請求項10又は11記載の方法。
  13. 前記ポルフィリン誘導体は、ポルフィリン化合物であることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項記載の方法。
  14. 前記ポルフィリン化合物は、下記化学式又は当該化学式を化学修飾したポリオレフィン化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。

    (式中、Mは金属イオンを表す)

    (式中、Xはアルカリ金属を表す)
  15. 熱可塑性樹脂を成形することによって成形品を製造する方法であって、
    前記熱可塑性樹脂を混練するスクリューを備えてかつ前記熱可塑性樹脂を可塑化する可塑化シリンダーにおいて、超臨界流体及び当該超臨界流体に溶解させたナノカーボン及びポルフィリン誘導体と前記熱可塑性樹脂とを、前記スクリューを利用して混練する工程を有することを特徴とする方法。
  16. ナノカーボンとポルフィリン誘導体とを含有することを特徴とするポリマー。
  17. 前記ナノカーボンが前記ポリマーの表面及び表面近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載のポリマー。
  18. 前記ポリマーが熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリマー。
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