JP2005272334A - 抗クラミジア剤、クラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤及び治療剤 - Google Patents

抗クラミジア剤、クラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤及び治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な抗クラミジア剤、クラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤及び治療剤を提供する。
【解決手段】
2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する、抗クラミジア剤、ならびにクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤及び治療剤を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗クラミジア剤、ならびにクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤及び治療剤に関する。
クラミジア(Chlamydia)属は生きた細胞内でのみ増殖可能な偏性細胞内寄生性細菌である。クラミジア属の種として、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae)及びクラミジア・ペコルム(Chlamydia pecorum)の4種が知られている。クラミジア・トラコマチスは、A,B,Ba,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L1,L2,L3という15の血清型に更に分かれている。
クラミジア・トラコマチスは、眼感染症や尿路性器感染症の病因菌であり、産道感染によって新生児の眼や呼吸器に感染症を引き起こし、性感染症(sexually transmitted diseases:STD)の主要病因菌である。また、血清型A〜Cは、トラコーマを、BおよびD〜Kは尿道炎、精巣上体炎、前立腺炎、子宮頚管炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)、卵管不妊、子宮外妊娠、封入体結膜炎を、L1〜L3は、性病性リンパ肉芽腫症(LGV)を起こす。オウム病クラミジアは、人畜共通の病原体であり、鳥類からヒトに感染して肺炎を惹起するオウム病の病原体である。クラミジア・ニューモニアは、ヒトからヒトに感染する呼吸器感染症の病原体として知られている。クラミジア・ペコルムは、反芻動物(ウシ又はヒツジなど)の下痢、流産を引き起こす病原体として知られている。
クラミジアの生活環(1サイクル48〜72時間)を簡単に説明すると、クラミジアには、固体から固体または宿主の細胞から細胞へ伝搬する基本小体(elementary body:EB)と、感染性はなく分裂増殖期の形態である網様体(reticulate body:RB)となる時期がある。EB(直径0.3μm前後の球体)が、宿主の細胞内に侵襲されて感染すると、このEBは細胞内でRB(直径0.5μm前後の球体)に変わり、さらに2分裂増殖した後、中間体を経て成熟し、再びEBになって放出され、他の宿主に感染するか、または同一宿主の他の細胞に転移するのである。
このようなクラミジア属のヒトに対する感染や感染後の増殖を抑制する従来の抗クラミジア剤としては、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系の抗生物質が最も推奨されている。次いで、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質およびリファンピシンの抗菌力が抗クラミジア剤として優れている。
テトラサイクリン系等の抗生物質のクラミジアに対する作用機序は、宿主の細胞におけるリボソームと、クラミジアの細胞内のリボソームとに対するテトラサイクリンの特異性を利用したものである。すなわち、宿主である動物のリボソームは、蛋白沈降定数が80Sであり、このものは40Sと60Sのサブユニットで構成されているが、一方、クラミジアの細胞内のリボソームは、蛋白沈降定数が70Sであり、このものは30Sと50Sのサブユニットで構成されている。このようなリボソームの構造の違いに応じて、テトラサイクリン系の抗生物質は、より小さなサブユニットのクラミジアの細胞内のリボソームに作用し、その蛋白合成を阻害するとされている。
また、近年クラミジア・ニューモニアが動脈硬化症の発症に関与していることが明らかになってきている。すなわち、クラミジア・ニューモニアは粥状動脈硬化症患者の動脈硬化部位において約50〜60%の高い確率で確認され、しかも粥状動脈硬化症患者で約79%もの高率でクラミジア・ニューモニア特異抗体が検出され、さらにまたPTCA(経皮的冠動脈形成術)後の冠動脈の再狭窄症例において感染率が高いこと等から、クラミジア・ニューモニアは、粥状動脈硬化症の発症ないしは悪化促進に少なからず関与していると考えられる。その動脈硬化病態形成機構は明らかになっていないが、気道上皮細胞や肺胞マクロファージに感染したクラミジア・ニューモニアの末梢血液単核球細胞への移行が重要な役割を演じていると考えられている。クラミジア・ニューモニアの除菌にはマクロライドやキノロン系薬剤が汎用されている。しかし、発明者のイン ビトロ(in vitro)の研究では、単球/マクロファージ系細胞に感染したクラミジア・ニューモニアはこれら薬剤に対し極めて強く抵抗性を示すことを既に報告している(下記、非特許文献1参照)。また、末梢血液細胞へ移行したクラミジア・ニューモニアは持続感染型へとその形態を変化させ、薬剤に対する感受性が低下することも知られている。
ところで、フェノキサジン誘導体である、2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体及び3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体は、ガン細胞に対して強い抗腫瘍活性を示すことが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。また、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、グラム陽性菌であるチモテ菌(Mycobacterium phlei)、ヒト型結核菌BCG(Mycobacterium tuberculosis BCG)、ヒト型結核菌H-2(Mycobacterium tuberculosis H-2)、真菌であるペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)、モニリア・フォルモサ(Monilia formosa)、酵母であるシゾサッカロミセス・アクトスポラス(Schizosaccharomyces actosporas)に対して効果のあることが知られている(下記、非特許文献2参照)。しかし、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus 209P)、ミクロコッカス・フラブス(Micrococcus flavus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アルジ(Bacillus argi)、シュードモナス・ピオシアネウス(Pseudomonas pyocyaneus)、真菌であるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、真菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、トルータ・ウティリス(Toruta utilis)、酵母であるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、酵母であるサッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、酵母であるサッカロミセス・フラジリス(Saccharomyces fragilis)、クレオケラ・アピクイアータ(Kleockera apicuiata)、トルラスポーラ・デルヴィッキー(Torulaspora dellviickii)、エンドミセス・マグヌシー(Endomyces magnusii)、酵母であるシゾサッカロミセス・ポンペ(Schizosaccharomyces pompe)、ピキア・メンフラネファシエンス(Pichia menfranaefaciens)、ハンセムラ・アノマラ(Hansemula anomala)、酵母であるシゾサッカロミセス・モノルシュロクス(Schizosaccharomyces monolshurocus)、フォトトルラ・グルティニス(Phototorula glutinis)、トルラスポーラ・フェルメンターリ(Torulaspora fermentali)、酵母であるシゾサッカロミセス・サルズス(Schizosaccharomyces salsus)に対して抗菌作用を有しない(下記、非特許文献2参照)。このように2−アミノフェノキサジン−3−オンは、一部のグラム陽性菌、真菌、酵母に対して抗菌作用を有することが知られているが、それら以外の菌に対する抗菌性については知られていない。
特開平02−193984号公報(第4頁左下欄、第2−7行) 特許第3290172号明細書(第5頁左欄、第32−40行) Yamaguchiら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第47巻、1972-1975頁、2003年 Kentaro Anzai ら、The New Antibiotics, Questiomycins A and B、The Journal of Antibiotics、Ser. A. Vo. XIII, No. 2、125−132頁、1960年
本発明は、クラミジア感染症の予防および治療に用いることが可能な抗菌・除菌剤を提供することを目的とする。
本発明は、2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する、抗クラミジア剤、ならびにクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤(以下、まとめて「本発明の剤」という)を提供する。
2−アミノフェノキサジン−3−オン並びにそれらの薬理学的に許容される塩及びエステルは、クラミジアに対して抗菌効果を有する。従って、2−アミノフェノキサジン−3−オン並びにそれらの薬理学的に許容される塩及びエステルは、抗クラミジア剤、ならびにクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤として有効である。
2−アミノフェノキサジン−3−オンは、下記式で表される。
Figure 2005272334
本発明の剤は、2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する。2−アミノフェノキサジン−3−オンは、クラミジアに対する抗菌効果を有する(下記実施例1〜4を参照)。なお、2−アミノフェノキサジン−3−オンの4a,7位に置換基(メチル基)がある2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体(下記試験例1の化合物a)は、クラミジアに対して抗菌効果を示さない。また、3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体(下記試験例1の化合物b)も、クラミジアに対して抗菌効果を示さない。
本発明でいう「抗クラミジア剤」とは、クラミジアを抗菌又は除菌する薬剤をいう。さらに、本発明でいう「クラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤」とは、クラミジアを抗菌又は除菌することによって、クラミジア由来の疾患を予防する目的で使用する際には予防剤として、いったん治癒した該疾患の再発を予防する目的で使用する際には再発予防剤として、クラミジアを抗菌又は除去することによって該疾患を治療する目的で使用する際には治療剤として使用することをいう。なお、「再発予防剤又は治療剤」は、再発予防及び治療を同時に目的として使用することもできる。
本発明の剤は、クラミジアに対して、抗菌効果を有する。「クラミジア」には、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・ペコルム(Chlamydia pecorum)が含まれるがこれらに限られるものではない。
感染細胞内におけるクラミジアの増殖に対する2−アミノフェノキサジン−3−オンの抑制作用は、サイクロヘキシミド存在下でのMIC(最小発育阻止濃度;Minimum Inhibitory Concentration)の測定(下記実施例1参照)、サイクロヘキシミド非存在下での封入体形成数算定(IFU)法を使用したHEp-2細胞内におけるクラミジア増殖度の測定(下記実施例2参照)、サイクロヘキシミド非存在下での封入体形成数算定(IFU)法を使用したTHP-1細胞内におけるクラミジア増殖度の測定(下記実施例3参照)またはサイクロヘキシミド非存在下でのreal-time-RT-PCR法を使用したHEp-2細胞内におけるクラミジア増殖度の測定(下記実施例4参照)により判定することができるがこれらの方法に限定されない。
下記実施例1では、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、宿主細胞の蛋白質合成を抑制するサイクロヘキシミドの存在下においてクラミジア・ニューモニアの増殖を抑制することが示された(MICは32μg/mlすなわち160μMであった)。なお、下記試験例1に示したとおり、2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体である化合物aおよびbは、この実験条件ではまったく抑制作用がないことから、クラミジアの増殖抑制作用は無いと判断された。
下記実施例2および実施例3では、2−アミノフェノキサジン−3−オン(最終濃度1μMまたは10μM)は、サイクロヘキシミドの非存在下、すなわち感染細胞の蛋白質合成が抑制されない条件下においてクラミジアの感染細胞(HEp-2細胞およびTHP−1細胞)内においてクラミジア・ニューモニアの増殖を著しく抑制した。
実施例4では、2−アミノフェノキサジン−3−オンはクラミジアが感染したHEp-2細胞内において、サイクロヘキシミド非存在下で、クラミジアの増殖抑制がRNAレベルでも確認された。従って、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、サイクロヘキシミド非存在下において感染細胞内におけるクラミジアの増殖に対する抑制効果が顕著であることが明らかである。
従来のマクロライドやキノロン系薬剤に対して、細胞に感染したクラミジアは極めて強く抵抗性を示すことが明らかとなっている。これに対して、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、サイクロヘキサミド非存在下において低い濃度で感染細胞内におけるクラミジアの増殖を抑制する。この効果は従来のマクロライドやキノロン系薬剤には見られないものである。
このように、本発明の剤によるクラミジアの抗菌の作用機構は明らかではないが、クラミジアが感染する細胞内の何らかの機構を介してクラミジアの感染細胞内での増殖を抑制すると考えられる。従って、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、マクロライドやキノロン系薬剤とは異なる機構によりクラミジアの増殖を抑制して、クラミジアが関与する疾患の予防、再発予防及び治療に有効であると考えられる。
本発明の剤は、クラミジアが関与する疾患に対する予防、再発予防又は治療のために用いることができる。クラミジアが関与する疾患は、クラミジア・トラコマチスの場合、疾患として慢性角結膜炎、非淋菌性尿道炎、封入体性結膜炎、子宮頸管炎、卵管炎、肝周囲炎、新生児クラミジア肺炎、新生児クラミジア眼炎、鼠径(性病性)リンパ肉芽腫症、不妊症、子宮外妊娠、流産を挙げることができる。オウム病クラミジアの場合、疾患としてオウム病、髄膜炎、結膜炎、肺炎を挙げることができる。クラミジア・ニューモニアの場合、疾患として喘息、肺炎、気管支炎、中耳炎、動脈硬化、粥状動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症、Atherosclerosis)を挙げることができる。クラミジア・ペコルムの場合、疾患として反芻動物(ウシ又はヒツジなど)の下痢、流産を挙げることができる。
2−アミノフェノキサジン−3−オンの合成法としては、2−アミノ−5−メチルフェノールをヒトのヘモグロビンの存在下で、37℃で3日にわたり反応させる方法(Akio Tomodaら、Phenoxazinone Synthesis by Human Hemoglobin、Biochimica et Biophysica Acta、第1117巻、306-314頁、1992年)、2−アミノ−5−メチルフェノールをウシのヘモグロビンの存在下で、37℃で5日にわたり反応させる方法(Akio Tomodaら、An Improved Method for the Rapid Preparation of 2-Amino-4,4a-dihydro-4a,7-dimethyl-3H-phenoxazine-3-one, a Novel Antitumor Agent、Bioorganic & chemistry Letters、 第11巻、1057-1058頁、2001年)、フェリシアン化カリウムを触媒とする化学合成法(特許第3290172号公報)に従い製造されるが、これらに限定されない。
本発明の剤で使用しうる塩は、例えば無機塩として、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;銅塩、亜鉛塩などの金属塩類;有機塩として、ジエタノールアミン塩、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール塩、トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩;モルホリン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩などのヘテロ環アミン塩;アンモニウム塩、アルギニン塩、リジン塩、ヒスチジン塩などの塩基性アミノ酸塩を挙げることができる。ここで、塩基性アミノ酸は、D−体、L−体或いはこれらの混合物であってもよい。
本発明の剤で使用しうるエステルとしては例えば、蟻酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステルを挙げることができる。
本発明の剤は、医薬的に許容される担体又は添加物を共に含むものであってもよい。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙げられる。使用される添加物は、本発明の剤形に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
本発明の剤は、一般的な医薬製剤の形態として用いられうる。該製剤には、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤、或いは賦形剤を配合することができる。本発明の剤は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、液剤、懸濁剤などの注射剤が挙げられる。
錠剤の形態に成形する担体としては、医薬的に許容される各種の担体又は添加物を含むことができる。このような担体及び添加物の例として、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、塩化ナトリウム、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖などの崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤を使用できる。さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠或いは二重錠、多層錠とすることができる。
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤を使用できる。
カプセル剤は、常法に従い、通常有効成分化合物を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調製される。
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用できる。その例としては、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを挙げることができる。
注射剤として調製される場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は予め殺菌処理され、かつ血液と等張であるのが好ましい。これらの形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用できる。例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを使用できる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
また、2−アミノフェノキサジン−3−オンと既知の抗生物質(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系の抗生物質、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質など)を併用することにより、さらにクラミジアに対する抗菌効果を高めることができる。
併用する抗生物質はクラミジアに対して感受性を有するものであれば、更に好適である。例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系の抗生物、リスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質、その他リファンピシン、クリンダマイシン、ペニシリン−G、アンピシリンなどを使用することができる。抗生物質の添加量は、特に限定されない。
本発明の剤は、経口的投与することができる。この場合は、それに適用される錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは液剤、シロップ剤などの液体製剤等とすればよい。特に顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位量投与形態とすることができ、液体製剤の場合は使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。
これら剤のうち経口用固形剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有する。また、経口用液体製剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を含有する。
本発明の剤の使用方法は、特に制限はなく、各種製剤形態、患者又は使用者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じた方法で使用される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
本発明の剤の使用量は、用法、対象となる使用者又は患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択されるが、通常有効成分である本発明の剤の量が成人1日当たり0.1〜2000 mg程度、好ましくは0.5〜1800 mg程度、特に好ましくは1〜1500 mg程度とするのがよく、1日1〜4回に分けて、例えば空腹時に投与することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例]
[製造例]
100 mLの50 mM濃度のオルトアミノフェノール(東京化成工業株式会社製)溶液(0.1 規定水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和したもの)を1Lのウシヘモグロビン溶液に添加し十分に攪拌した後、37℃、6日間放置した。6日後に、該反応液に対して5Lの100%メタノールを添加し、ヘモグロビンとタンパク質とを変性させた。変性したヘモグロビンとタンパク質は遠心分離器(SCR-20BS型、株式会社日立製作所)で遠心分離し(10,000 x g、5分)、上澄みを得た。この上澄みを回収したのち、ロータリーエバポレーター(NE型、東京理化器械株式会社製)を用いて、水とメタノールを蒸発させ濃縮した。残った粉末に対して、300mlの100%メタノールを加え、溶解させた。この溶解液を、50%エタノールで予め膨潤させて平衡化したセファデックスLH20樹脂(アマルシャム・ファルマシア・ジャパン株式会社製)を充填したカラム(内径7cm×高さ30cm)に付し分離精製を行った。溶出は、50%エタノール(容量/容量)で行い、一定時間毎に分画した。第3番目に出てくる分画(赤褐色)部分を回収した。この分画を再びエバポレータで濃縮し、粉末を得た。該粉末に対して、50mlの100%メタノールを加え完全に溶解させた。この溶解液を、50%エタノールで予め膨潤させて平衡化したセファデックスLH20樹脂を充填したカラム(内径4cm×高さ50cm)に付し分離精製を行った。溶出は、50%エタノール(容量/容量)で行い、一定時間毎に分画した。赤褐色の分画を回収し、この分画を再びエバポレータで濃縮し、赤褐色の粉末約3.5 gを得た。この粉末のUV、IR、1H-NMR(270 MHz)、13C-NMR(50.3 MHz)の各データ値を、標品の2−アミノフェノキサジン−3−オンのそれらと比較することにより、該粉末は2−アミノフェノキサジン−3−オンであると同定された。
2−アミノフェノキサジン−3−オンのクラミジア・ニューモニアに対するMIC(最小発育阻止濃度;Minimum Inhibitory Concentration)を測定した。
(1) 試験化合物
上記製造例で得られた2−アミノフェノキサジン−3−オンを用いた。
(2)試験化合物の希釈
20 mlの99%エタノール(特級、和光純薬株式会社製)に15 mgの2−アミノフェノキサジン−3−オン含む原液(0.75 mg/ml)を作製した。
対照として、感染後細胞培養時に、2−アミノフェノキサジン−3−オンを含まない同量のエタノールを用いて試験化合物同様の最終希釈倍数になるように添加した。
(3)接種用クラミジア・ニューモニアの調製
Chlamydia pneumoniae TW183 ATCC (日本名:クラミジア・ニューモニア、入手先:杏林大学医学部感染症学教室)(Mycoplasma free) を使用した。摂取用菌株はヘブ2細胞内で増殖させ、超音波処理により細胞より遊離後、遠心操作により回収した。回収した菌体はショ糖リン酸緩衝液(Sucrose phosphate buffer, pH7.4: 0.2M Sucrose, 0.004M KH2PO4, 0.007M K2HPO4 )に再浮遊させた。菌数5x107 IFUs(IFUは菌数とほぼ同じ意味である)/mlになるように調整し、2ml凍結用バイアルに1mlずつ分注後、深冷凍庫(型番 ウルトラ・フロー MDF-392、三洋電機株式会社製)にて、−80℃にて凍結保存した。
(4)細胞株
HEp-2(ヘプ2)細胞(日本名:ヒト咽頭扁平上皮癌由来細胞、入手先:杏林大学医学部感染症学教室)
細胞株は、10%非働化ウシ幼児血清(FCS)添加D-MEM培地(Sigma社、米国ミズリー州、セントルイス市)にて継代培養し、細胞数1x107個/mlになるように調整し、2ml凍結用バイアルに1mlずつ分注後、深冷凍庫(型番 ウルトラ・フロー MDF-392、三洋電機株式会社製)にて、−80℃にて凍結保存した。
(5)実験方法
24穴プレート(岩城硝子社)の各ウェル(well)にHEp-2細胞の単層培養を行い、HEp-2細胞増殖がプレート全面に広がった段階でクラミジア・ニューモニアを感染させた。感染後、最終濃度でサイクロヘキシミド(cycloheximide)1μg/mlおよび2−アミノフェノキサジン−3−オン(0.015625、0.03125、0.0625、0.125、0.25、0.5、 1、 2、 4、 8、 16または32μg/ml: 32μg/mlは160μM濃度に対応する)を含んだ培養液に移し、3日間培養した。培養後、24穴プレートに70%アルコールを添加し、HEp-2細胞を固定後、各ウェル中に形成された封入体をFITC−抗クラミジア抗体で染色した。蛍光顕微鏡(Olympus BX50、オリンパス株式会社製)で1穴当たりの染色された封入体の数を測定しその数からIFU(Inclusion forming units)として感染力値を算出して、IFUが認められない濃度を決定し、2−アミノフェノキサジン−3−オン薬剤のMICとした。
(6)結果
HEp-2細胞において2−アミノフェノキサジン−3−オンがクラミジアの増殖を完全に抑制する最小発育阻止濃度(MIC)は32μg/mlであった。
封入体形成数算定(IFU)法を使用し、サイクロヘキシミド非存在下でHEp-2細胞内におけるクラミジア・ニューモニアの増殖度を測定した。
(1)試験化合物、試験化合物の希釈、接種用クラミジア・ニューモニアの調製については、サイクロヘキシミドは添加しなかったことを除き、実施例1と同じである。
(2)実験方法
クラミジア・ニューモニアのHEp-2細胞への感染は感染多重度(MOI:multiplicity of infection)=10(HEp-2細胞1つあたりクラミジア・ニューモニアを10個暴露させたこと)で行った。具体的には、24穴プレートに1x105個/穴の割合でHEp-2細胞を準備した後、1x106 IFUのクラミジア・ニューモニアを含む溶液1mlを加え、そのまま400 x gで室温、1時間遠心し、菌体を細胞に吸着・感染させた。そして10%FCS添加D-MEM培地にて3回洗浄操作を行ったのち、サイクロヘキシミド非存在下で2−アミノフェノキサジン−3−オンを最終濃度が1または10μMになるように夫々添加した。10%FCS添加D-MEM培地中で72時間培養後、封入体形成数算定(IFU)法(FEMS Microbiology Letters、第216巻、第229-234頁、2002年; Infection and Immunity、第69巻、第7753-7759頁、2001年)により菌数の定量測定を行った。対照としては、2−アミノフェノキサジン−3−オンの代わりに薬剤の希釈に使用した培養液のみを加え72時間培養した(対照)。また、2−アミノフェノキサジン−3−オン原液ストックはエタノールに溶解されている。それゆえ、エタノールの細胞への影響がないことを確かめるために、エタノールを試験化合物添加時最終希釈倍数になるように加えて72時間培養を行った(対照(エタノール))。
(3)結果
HEp-2細胞内での2−アミノフェノキサジン−3−オン各濃度(最終濃度1または10μM)における感染後72時間培養後のクラミジア・ニューモニアの細菌数(IFU)を図1に示す。また、表1は、図1の細菌数、及び増殖度を具体的に示す。
Figure 2005272334
IFU法により細胞内菌数を定量した結果、クラミジア・ニューモニアのHEp-2細胞内での増殖はサイクロヘキシミド非存在下で2−アミノフェノキサジン−3−オン添加(最終濃度10μM)により培養72時間後、ほぼ完全に抑制された(p<0.05)(図1)。
封入体形成数算定(IFU)法を使用し、サイクロヘキシミド非存在下で、THP-1細胞内におけるクラミジア・ニューモニアの増殖度(細菌数の増加)を測定した。
(1)実験方法
実施例2のHEp-2細胞の代わりにTHP-1細胞(ヒト単球/マクロファージ細胞株、入手先:杏林大学医学部感染症学教室)を使用した以外は、実施例2と同様に試験をおこなった。細胞株は、10%非働化ウシ幼児血清(FCS)添加RPMI1640培地(Sigma社、米国ミズリー州、セントルイス市)にて継代培養し、細胞数1x106個/mlに調整し、2ml凍結用バイアルに1mlずつ分注後、深冷凍庫(型番 ウルトラ・フロー MDF-392、三洋電機株式会社製)にて、−80℃にて凍結保存したものを使用した。
(2)結果
THP-1細胞内での2−アミノフェノキサジン−3−オン各濃度(最終濃度1または10μM)における感染後72時間培養後のクラミジア・ニューモニアの細菌数(IFU)を図2に示す。また、表2に図2の細菌数、及び増殖度を具体的に示す。
Figure 2005272334
IFU法により細胞内菌数を定量した結果、クラミジア・ニューモニアのTHP-1細胞内での増殖はサイクロヘキシミド非存在下で、2−アミノフェノキサジン−3−オン添加(最終濃度1または10μM)により培養72時間後、ほぼ完全に抑制された(p<0.05)(図2)。
real-time-RT-PCR法を使用し、サイクロヘキシミド非存在下でHEp-2細胞内におけるクラミジア・ニューモニアの増殖抑制効果を試験した。
(1)試験化合物、試験化合物の希釈、接種用クラミジア・ニューモニアの調製については、実施例1と同じである。
(2)実験方法
クラミジア・ニューモニア 16S rRNAに特異的なプライマーを用いてReal-time RT-PCRを行った(Berger M, Schroder B, Daeschlein Gら、Chlamydia pneumoniae DNA in Non-coronary Atherosclerotic Plaques and Circulating Leukocytes.、J Lab Clin Med 、2000年、第136巻、194-200頁)。細胞への感染は実施例2の実験方法に準じて、クラミジア・ニューモニアのHEp-2細胞への感染を感染多重度MOI =10で行った。具体的には、24穴プレートに1x105個/穴の割合でHEp-2細胞を加えたのち、1x106IFUのクラミジア・ニューモニアを含む溶液1mlを加え室温にて400 x gで1時間遠心し、菌体を細胞に吸着・感染させた。そして10%FCS添加D-MEM培地にて遠心操作により3回洗浄したのち、サイクロヘキシミド非存在下で2−アミノフェノキサジン−3−オンを最終濃度1または10μMになるように夫々添加した。10%FCS添加D-MEM培地中で72時間培養後、RNeasy Mini Kit(Qiagen社)を用いて感染HEp-2細胞より総RNAを抽出した。この操作を複数回繰り返し、抽出量は合計で2〜6μg/40μl抽出液であった。この抽出液40μlをDNase(DNA除去キット;Ambion社、米国テキサス州、オースチン市)で処理し、混入するDNAを分解した。
RNAを含む抽出液からDNAが完全に除去されたことは、逆転写(RT:Reverse Transcription)処理前のRNA溶液を用いたreal-time PCR(RTなし)によってDNAからのクラミジアの標的産物の増幅が無いことで確認された。抽出液中の1μgのRNAは、市販のRT反応混合物(20μl;Reverse Transcription System;Promega社、米国ウィスコン州、マディソン市)とランダムプライマーを有する鳥の骨髄芽球症(myeloblastosis)ウィルス逆転写酵素の作用によりcDNAに変換された。
抽出されたRNAの質ならびにRT反応におけるcDNA合成の効率が検体間で均一であることは、細胞内で常時変動無く発現しているG3PDH遺伝子を標的としたreal-time RT-PCRを施行することにより確認できた。real-time RT-PCRはGeneAmp 5700 配列検出システム(sequence detection system:PE Biosystems社、米国カリフォルニア州、フォスターシティ市)を用いて施行した。
クラミジアの検出は、本菌16S rRNA を標的(ターゲット)とする特異的なプライマー(sense, 5-GGA CCT TAG CTG GAC TTG ACATGT-3; antisense, 5-CCA TGC AGC ACC TGT GTA TCT G-3)を用いてSYBY green法(QuantiTect SYBR green PCR kit、Qiagen社)に従って行った。
PCRによる標的産物の増幅は、95℃で10分間、1サイクル、そして95℃で15秒、60℃で1分及び72℃で20秒の50サイクルの条件で行った。PCR産物が特異的に増幅されたか否かを確認するためにPCRを施行するたびに、融解温度(melting temperature;Tm)の検定を行った。本実験に用いたプライマーのクラミジア標的産物のTm値は76.9℃であった。それ以外のTm値で増幅が認められた検体については非特異的増幅反応がおこっているものとして除外した。
また、陽性と判定された試料中の増幅産物については、直接オリゴヌクレオチド配列を決定することにより特異的に標的産物が増幅されていることを確認した。
Real-time PCRの検量線は、既知の菌数のクラミジア凍結保存溶液から抽出されたDNAを希釈して作成した。結果を図3に示す。図3の縦軸の数値は、PCR チューブ中に増幅されたクラミジア・ニューモニア 16S rRNA cDNAコピー数を示す。
(3)結果
real-time-RT-PCR法により検討した結果、HEp-2細胞内でのクラミジア・ニューモニアの増殖抑制効果が、1および10μM添加のいずれの系においても有意に(p<0.05)認められた(図3)。
(4)考察
実施例1の結果より、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、宿主細胞のDNAタンパク合成を抑制するサイクロヘキシミドの存在下でクラミジア・ニューモニアの増殖を抑制する(MIC:32μg/ml)。実施例2〜4の結果より、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、サイクロヘキシミドの非存在下でクラミジア・ニューモニアの増殖を著しく抑制する(1μg/ml)。このことから、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、サイクロヘキシミドの存在下よりも非存在下において低い濃度でクラミジア・ニューモニア増殖を抑制することが判る。このことは、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、宿主細胞の何らかの機構に対して効果を及ぼし、結果としてクラミジア・ニューモニアの増殖を抑制すると考えられる。
2−アミノフェノキサジン−3−オン100g及び乳糖900gをよく混和し、1g中に2−アミノフェノキサジン−3−オン100mgを含有する散剤(10倍散)を製した。
2−アミノフェノキサジン−3−オン500g及び乳糖500gをよく混和し、1g中に2−アミノフェノキサジン−3−オン500mgを含有する散剤(2倍散)を製した。
2−アミノフェノキサジン−3−オン100g、乳糖50g、6%HPC乳糖40g、バレイショデンプン6g及びステアリン酸タルク4gをよく混和して打錠し、1錠中に2−アミノフェノキサジン−3−オン100mgを含有する錠剤を製した。
2−アミノフェノキサジン−3−オン100g、乳糖90g、バレイショデンプン6gおよびステアリン酸カルシウム4gをよく混和して硬カプセルに充填し、1カプセル中に2−アミノフェノキサジン−3−オン100mgを含有するカプセル剤を製した。
[試験例1]
実施例1と同じ方法を使用して、下記試験化合物のMIC(最小発育阻止濃度)を測定した。
(1) 試験化合物
1) 2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体
2−アミノ−4,4a−ジヒドロ−4a,7−ジメチル−3H−フェノキサジン−3−オン(以下、化合物aとする)は、Akio Tomodaら、An Improved Method for the Rapid Preparation of 2-Amino-4,4a-dihydro-4a,7-dimethyl-3H-phenoxazine-3-one, a Novel Antitumor Agent、Bioorganic & chemistry Letters、第11巻、1057-1058頁、2001年に記載の方法に従い製造した。
Figure 2005272334
2) 3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体
3−アミノ−1,4a−ジヒドロ−4a,8−ジメチル−2H−フェノキサジン−2−オン(以下、化合物bとする)は、Akio Tomodaら、Oxidative Condensation of 2-Amino-4-Methylphenol to Dihydrophenoxazinone Compound by Human Hemoglobin、J. Biochem.、第110巻、1004-1007頁、1991年に記載の方法に従い製造した。
Figure 2005272334
(2)結果
その結果、化合物aおよびbは32μg/mlの濃度ではクラミジアの増殖に対しては全く影響しなかった。従って、化合物aおよびbは、クラミジアに対して有効でない。
2−アミノフェノキサジン−3−オン並びにそれらの薬理学的に許容される塩及びエステルは、クラミジアに対して有効である。従って、本発明の剤は、産業上の利用可能性を有する。
IFU法による2−アミノフェノキサジン−3−オンのHEp-2細胞内でのクラミジア・ニューモニア増殖抑制効果の結果 IFU法による2−アミノフェノキサジン−3−オンのTHP-1細胞内でのクラミジア・ニューモニア増殖抑制効果の結果 real-time RT-PCR法による2−アミノフェノキサジン−3−オンのHEp-2細胞内でのクラミジア・ニューモニア増殖抑制効果の結果

Claims (8)

  1. 2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する、抗クラミジア剤。
  2. 前記クラミジアが、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae)又はクラミジア・ペコルム(Chlamydia pecorum)である、請求項1に記載のクラミジア感染症治療剤。
  3. 2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する、クラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤。
  4. 前記クラミジアが、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae)又はクラミジア・ペコルム(Chlamydia pecorum)である、請求項3に記載のクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤。
  5. 前記疾患がクラミジア・トラコマチスに起因する慢性角結膜炎、非淋菌性尿道炎、封入体性結膜炎、子宮頸管炎、卵管炎、肝周囲炎、新生児クラミジア肺炎、新生児クラミジア眼炎、鼠径(性病性)リンパ肉芽腫症、不妊症、子宮外妊娠又は流産である、請求項3に記載のクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤。
  6. 前記疾患がオウム病クラミジアに起因するオウム病、髄膜炎、結膜炎又は肺炎である、請求項3に記載のクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤。
  7. 前記疾患がクラミジア・ニューモニアに起因する喘息、肺炎、気管支炎、中耳炎、動脈硬化又は粥状動脈硬化症である、請求項3に記載のクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤。
  8. 前記疾患がクラミジア・ペコルムに起因する反芻動物の下痢又は流産である、請求項3に記載のクラミジアが関与する疾患の予防剤、再発予防剤又は治療剤。
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