JP2005271656A - 無限軌道帯用小型リンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機械加工時間を従来の機械加工時間に比べて短縮することができる無限軌道帯用小型リンクとその製造方法の提供。
【解決手段】(1) 素材は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼であって、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部4が部分熱処理された硬化層をもたず、リンク全体が全体熱処理によってHRC 40〜50の硬さになっており、機械加工によってローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面、ピン穴6・ブッシュ穴7に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンク10。
(2)炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼をリンク形状
に鍛造し、ローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面をフライス加工し、ローラ踏み面部4を部分熱処理することなく、ピン穴6・ブッシュ穴7を機械加工し、その後リンク全体を全体熱処理する、無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】(1) 素材は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼であって、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部4が部分熱処理された硬化層をもたず、リンク全体が全体熱処理によってHRC 40〜50の硬さになっており、機械加工によってローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面、ピン穴6・ブッシュ穴7に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンク10。
(2)炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼をリンク形状
に鍛造し、ローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面をフライス加工し、ローラ踏み面部4を部分熱処理することなく、ピン穴6・ブッシュ穴7を機械加工し、その後リンク全体を全体熱処理する、無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
【選択図】 図2
Description
本発明は、建設機械、とりわけ、本体重量が概ね6トン以下の、小型の建設機械の無限軌道帯(履帯)に使用される小型リンクおよびその製造方法に関する。ここでいう小型リンクとは、リンクピッチ(リンクの、ピン穴中心とブッシュ穴中心との距離)が、135mm以下のものをいう。
特開昭57−051583号公報に開示されているように、または、図3、図4に示すように、従来の小型リンクの製造は、以下の工程a、b、c、d、e、fを含み、工程a、b、c、d、e、fの順で行われていた。
a)鍛造(a―1)、および全体熱処理(a―2)
棒鋼等の素材に鍛造を施してリンク形状のリンク素材1となし、ついで前記リンク素材1の全体に焼入れ・高温焼もどしから成る全体熱処理を施し、リンク素材1全体の硬さを、たとえば、HRC35〜40にする。ここで、全体熱処理とは、部材(ワーク)全体に施される熱処理をいう。
b)リンク素材のローラ踏み面とシュー取付け面とからなる端面のフライス加工
ローラ踏み面2とシュー取付け面3を平面にするとともに、ローラ踏み面2とシュー取付け面3との平行度が所定のレベルになるようにする。
c)ローラ踏み面部の部分焼入れ・焼もどし
ローラ踏み面とその近傍(ローラ踏み面から一定の深さの部分)のローラ踏み面部4のみに、誘導加熱による焼入れ・低温焼もどしの部分熱処理を施し、前記部分熱処理が施された部分4をHRC50〜60の硬さにする。ここで、部分熱処理とは、部材(ワーク)の特定の部分(部位、領域)のみに施される熱処理をいう。前記部分熱処理が施されたローラ踏み面部4以外の部分5(5の部分を素地部という)の硬さは、上記a−2)の全体熱処理工程で得られた硬さ(たとえば、HRC35〜40)のままであり、変化しない。
d)ピン穴・カウンタ穴・ブッシュ穴の機械加工
鍛造のみでは、ピン穴6・ブッシュ穴7の形状が真円になっておらず、また寸法精度も不十分であるため、ピン穴6・ブッシュ穴7に切削加工を施して真円および所定の穴径にするとともに、ピン穴・ブッシュ穴のピッチ(リンクの、ピン穴中心とブッシュ穴中心との距離)を所定の寸法にする。また、小型リンクのうちで最大の、リンクピッチ135mmのものの一部は、前記切削加工中にカウンタ穴12の切削加工も施される。
e)シューボルト穴加工
小型リンクのうちで最大の、リンクピッチ135mmのものは、ボルトおよびナットによってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定(締結)するので、シューボルト穴8が必要となり、シューボルト穴8を機械加工する。一方、リンクピッチ101mm以下の小型リンクは、溶接によってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定するので、シューボルト穴8は不要であり、本工程は、存在しない。
f)ナット座面加工
小型リンクのうち最大の、リンクピッチ135mmのものは、ボルトおよびナットによってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定(締結)するので、ナット座面9が必要となり、ナット座面9を加工してナット座面9を平面とするとともに、ナット座面9とシュー取付け面3との平行度が所定のレベルになるようにする。一方、リンクピッチ101mm以下の小型リンクは、溶接によってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定するので、ナット座面9は不要であり、本工程は、存在しない。
a)鍛造(a―1)、および全体熱処理(a―2)
棒鋼等の素材に鍛造を施してリンク形状のリンク素材1となし、ついで前記リンク素材1の全体に焼入れ・高温焼もどしから成る全体熱処理を施し、リンク素材1全体の硬さを、たとえば、HRC35〜40にする。ここで、全体熱処理とは、部材(ワーク)全体に施される熱処理をいう。
b)リンク素材のローラ踏み面とシュー取付け面とからなる端面のフライス加工
ローラ踏み面2とシュー取付け面3を平面にするとともに、ローラ踏み面2とシュー取付け面3との平行度が所定のレベルになるようにする。
c)ローラ踏み面部の部分焼入れ・焼もどし
ローラ踏み面とその近傍(ローラ踏み面から一定の深さの部分)のローラ踏み面部4のみに、誘導加熱による焼入れ・低温焼もどしの部分熱処理を施し、前記部分熱処理が施された部分4をHRC50〜60の硬さにする。ここで、部分熱処理とは、部材(ワーク)の特定の部分(部位、領域)のみに施される熱処理をいう。前記部分熱処理が施されたローラ踏み面部4以外の部分5(5の部分を素地部という)の硬さは、上記a−2)の全体熱処理工程で得られた硬さ(たとえば、HRC35〜40)のままであり、変化しない。
d)ピン穴・カウンタ穴・ブッシュ穴の機械加工
鍛造のみでは、ピン穴6・ブッシュ穴7の形状が真円になっておらず、また寸法精度も不十分であるため、ピン穴6・ブッシュ穴7に切削加工を施して真円および所定の穴径にするとともに、ピン穴・ブッシュ穴のピッチ(リンクの、ピン穴中心とブッシュ穴中心との距離)を所定の寸法にする。また、小型リンクのうちで最大の、リンクピッチ135mmのものの一部は、前記切削加工中にカウンタ穴12の切削加工も施される。
e)シューボルト穴加工
小型リンクのうちで最大の、リンクピッチ135mmのものは、ボルトおよびナットによってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定(締結)するので、シューボルト穴8が必要となり、シューボルト穴8を機械加工する。一方、リンクピッチ101mm以下の小型リンクは、溶接によってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定するので、シューボルト穴8は不要であり、本工程は、存在しない。
f)ナット座面加工
小型リンクのうち最大の、リンクピッチ135mmのものは、ボルトおよびナットによってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定(締結)するので、ナット座面9が必要となり、ナット座面9を加工してナット座面9を平面とするとともに、ナット座面9とシュー取付け面3との平行度が所定のレベルになるようにする。一方、リンクピッチ101mm以下の小型リンクは、溶接によってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定するので、ナット座面9は不要であり、本工程は、存在しない。
しかし、従来の小型リンクとその製造方法にはつぎの問題がある。すなわち、工程aの全体熱処理によって硬さが増加した後に工程b、d、e、fの切削加工を行うために、加工に時間がかかり、切削工具の消耗も激しく、工具費が膨大となる。工程aの全体熱処理によって硬さが増加した後に工程b、d、e、fの切削加工を行う理由は、工程b、d、e、fの切削加工を施した後に工程aの全体熱処理を施すと、熱処理(焼入れ)によって変形し、工程b、d、e、fの切削加工によって得られた良好な形状、寸法、平行度等が悪化してしまうためである。
特開昭57−051583号公報
本発明が解決しようとする問題は、従来の小型リンクとその製造方法における、加工に時間がかかり、工具費が膨大になるという問題である。
本発明の目的は、従来に比べて加工時間の短縮および工具費の削減を可能とする、無限軌道帯用小型リンクとその製造方法を提供することにある。
上記目的を解決するための本発明はつぎのとおりである。
(1)素材は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼であっ
て、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部が部分熱処理された硬化層をもたず、リンク全体が全体熱処理によってHRC40〜50の硬さになっており、該全体熱処理の前に行われる機械加工によってローラ踏み面とシュー取付け面からなる端面、ピン穴・ブッシュ穴に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンク。
(2)炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼をリンク形状
に鍛造し、ローラ踏み面とシュー取付け面からなる端面をフライス加工し、ローラ踏み面部を部分熱処理することなく、ピン穴・ブッシュ穴を機械加工し、その後リンク全体を全体熱処理する、無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
(3) 素材が低炭素ボロン鋼の場合は、前記全体熱処理は焼入れのみであって焼もどしは行わず、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする(2)記載の無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
(4) 素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合は、前記全体熱処理は焼入れ・焼もどしとし、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする(2)記載の無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
(1)素材は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼であっ
て、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部が部分熱処理された硬化層をもたず、リンク全体が全体熱処理によってHRC40〜50の硬さになっており、該全体熱処理の前に行われる機械加工によってローラ踏み面とシュー取付け面からなる端面、ピン穴・ブッシュ穴に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンク。
(2)炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼をリンク形状
に鍛造し、ローラ踏み面とシュー取付け面からなる端面をフライス加工し、ローラ踏み面部を部分熱処理することなく、ピン穴・ブッシュ穴を機械加工し、その後リンク全体を全体熱処理する、無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
(3) 素材が低炭素ボロン鋼の場合は、前記全体熱処理は焼入れのみであって焼もどしは行わず、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする(2)記載の無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
(4) 素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合は、前記全体熱処理は焼入れ・焼もどしとし、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする(2)記載の無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
上記(1)の無限軌道帯用小型リンク、上記(2)〜(4)の無限軌道帯用小型リンクの製造方法によれば、熱処理工程前の硬さが低い状態で、各部の機械加工が施され、機械加工工程後に熱処理が施されて必要硬さが付与されるので、加工時間を従来に比べて短縮することができ、工具費も従来に比べて削減することができる。
機械加工後の全体熱処理でHRC40〜50の硬さにするので、かつ、無限軌道帯用小型リンクの場合はローラ踏み面にかかる荷重も小さくローラ踏み面でHRC40の硬さが付与されていればよいので、従来行われていたローラ踏み面近傍の部分熱処理を省略することができ、工程削減、原価低減をはかることができる。
機械加工後の全体熱処理でHRC40〜50の硬さにするので、従来に比べてローラ踏み面近傍以外の部分、すなわち、素地部の硬さが高くなり、ピンのリンクへの圧入力が増大し、それによってピン圧入深さを小さくでき、リンク厚さも小さくできる。その結果、リンクの軽量化(10%以上の軽量化)、材料節減による原価低減をはかることができる。
上記(2)〜(4)の無限軌道帯用小型リンクの製造方法において、リンクの全体熱処理の焼入れ加熱を誘導加熱で行えば、焼入れ変形を小さくできるとともに、加熱時間を短縮することができる。
上記(3)の無限軌道帯用小型リンクの製造方法によれば、素材が低炭素ボロン鋼の場合、熱処理は焼入れのみで済むので、焼もどしの省略分、熱処理費を低減することができる。
機械加工後の全体熱処理でHRC40〜50の硬さにするので、かつ、無限軌道帯用小型リンクの場合はローラ踏み面にかかる荷重も小さくローラ踏み面でHRC40の硬さが付与されていればよいので、従来行われていたローラ踏み面近傍の部分熱処理を省略することができ、工程削減、原価低減をはかることができる。
機械加工後の全体熱処理でHRC40〜50の硬さにするので、従来に比べてローラ踏み面近傍以外の部分、すなわち、素地部の硬さが高くなり、ピンのリンクへの圧入力が増大し、それによってピン圧入深さを小さくでき、リンク厚さも小さくできる。その結果、リンクの軽量化(10%以上の軽量化)、材料節減による原価低減をはかることができる。
上記(2)〜(4)の無限軌道帯用小型リンクの製造方法において、リンクの全体熱処理の焼入れ加熱を誘導加熱で行えば、焼入れ変形を小さくできるとともに、加熱時間を短縮することができる。
上記(3)の無限軌道帯用小型リンクの製造方法によれば、素材が低炭素ボロン鋼の場合、熱処理は焼入れのみで済むので、焼もどしの省略分、熱処理費を低減することができる。
本発明の無限軌道帯用小型リンクおよびその製造方法を、図1〜図3を参照して説明する。
本発明の無限軌道帯用小型リンク10は、図1に示すように、素材1は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼(必要に応じて炭素鋼にM n、C r、M o、V、B等の元素を添加したもの)であって、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部4が部分熱処理された硬化層(従来リンクの部分熱処理された部分4に相当する層)をもたず、リンク全体が焼入れ・焼もどし(素材が低炭素ボロン鋼の場合は焼入れのみで、焼もどしは省略可能)によってHRC40〜50の硬さとなっており、該焼入れ・焼もどしの前に行われる機械加工によってローラ踏み面2とシュー取付け面3から成る端面、ピン穴6、ブッシュ穴7に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンクである。ここで、小型リンクのうちで最大の、リンクピッチ135mmのものは、さらに、シューボルト穴8、ナット座面9にも機械加工が施されている。また、リンクピッチ135mmのものの一部は、カウンタ穴12にも機械加工が施されている。一方、リンクピッチ101mm以下の小型リンクは、溶接によってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定するので、シューボルト穴8、ナット座面9は存在しない。また、カウンタ穴12も存在しない。
本発明の無限軌道帯用小型リンク10は、図1に示すように、素材1は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼(必要に応じて炭素鋼にM n、C r、M o、V、B等の元素を添加したもの)であって、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部4が部分熱処理された硬化層(従来リンクの部分熱処理された部分4に相当する層)をもたず、リンク全体が焼入れ・焼もどし(素材が低炭素ボロン鋼の場合は焼入れのみで、焼もどしは省略可能)によってHRC40〜50の硬さとなっており、該焼入れ・焼もどしの前に行われる機械加工によってローラ踏み面2とシュー取付け面3から成る端面、ピン穴6、ブッシュ穴7に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンクである。ここで、小型リンクのうちで最大の、リンクピッチ135mmのものは、さらに、シューボルト穴8、ナット座面9にも機械加工が施されている。また、リンクピッチ135mmのものの一部は、カウンタ穴12にも機械加工が施されている。一方、リンクピッチ101mm以下の小型リンクは、溶接によってリンク1にシュー(履板、図示せず)を固定するので、シューボルト穴8、ナット座面9は存在しない。また、カウンタ穴12も存在しない。
本発明の無限軌道帯用小型リンク10の製造方法は、図2、図3に示すように、
a―1) 炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼から成る素材をリンク形状に鍛造してリンク素材1とし、
b) ローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面をフライス加工し、
d) ローラ踏み面部4を部分熱処理することなく、ピン穴6・ブッシュ穴7・カウンタ穴12を機械加工し、
e) シューボルト穴8を機械加工し、
f) ナット座面9を機械加工し、
a―2) その後、リンク全体を熱処理する、
の各工程を有する無限軌道帯用小型リンクの製造方法からなる。
そして、上記工程a―1、b、d、e、a―2は、a―1、b、d、e、a―2の順で行われる。ただし、リンクピッチ101mm以下の小型リンクでは、工程dにおけるカウンタ穴12の機械加工、工程e、工程fは行わない。また、リンクピッチ135mmの小型リンクの一部は、工程dにおけるカウンタ穴12の機械加工は行わない。
a―1) 炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼から成る素材をリンク形状に鍛造してリンク素材1とし、
b) ローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面をフライス加工し、
d) ローラ踏み面部4を部分熱処理することなく、ピン穴6・ブッシュ穴7・カウンタ穴12を機械加工し、
e) シューボルト穴8を機械加工し、
f) ナット座面9を機械加工し、
a―2) その後、リンク全体を熱処理する、
の各工程を有する無限軌道帯用小型リンクの製造方法からなる。
そして、上記工程a―1、b、d、e、a―2は、a―1、b、d、e、a―2の順で行われる。ただし、リンクピッチ101mm以下の小型リンクでは、工程dにおけるカウンタ穴12の機械加工、工程e、工程fは行わない。また、リンクピッチ135mmの小型リンクの一部は、工程dにおけるカウンタ穴12の機械加工は行わない。
本発明の無限軌道帯用小型リンク10の製造方法を、従来の無限軌道帯用小型リンクの製造方法と比較すると、表1に示すようになる。
すなわち、従来の全体熱処理工程工程a―2を、本発明では最後に行うとともに、従来のローラ踏み面部の部分熱処理工程cを本発明では省略している。ローラ踏み面部の部分熱処理工程cを省略できる理由は、a―2の全体熱処理工程で素材全体がHRC40以上の硬さをもつようになり、本発明の無限軌道帯用小型リンクの場合は建設機械本体からの負荷も比較的小さく、ローラ踏み面部の硬さがHRC40(HRC40以上でもよい)であれば強度上問題ないと考えられるためである。
従来方法の工程b、d、e、fと本発明の方法の工程b、d、e、fとは、内容が互いに同じである。
すなわち、従来の全体熱処理工程工程a―2を、本発明では最後に行うとともに、従来のローラ踏み面部の部分熱処理工程cを本発明では省略している。ローラ踏み面部の部分熱処理工程cを省略できる理由は、a―2の全体熱処理工程で素材全体がHRC40以上の硬さをもつようになり、本発明の無限軌道帯用小型リンクの場合は建設機械本体からの負荷も比較的小さく、ローラ踏み面部の硬さがHRC40(HRC40以上でもよい)であれば強度上問題ないと考えられるためである。
従来方法の工程b、d、e、fと本発明の方法の工程b、d、e、fとは、内容が互いに同じである。
本発明の無限軌道帯用小型リンク10の製造方法の、工程a―2の全体熱処理工程は、素材の材質(鋼種)により、以下の2とおりの形態をとる。ここで、低炭素(合金)鋼 とは、炭素含有量が0.30重量%未満の鋼をいう。また、中炭素(合金)鋼 とは、炭素含有量が0.30重量%以上で0.50重量%未満の鋼をいう。
(A) 素材が低炭素ボロン鋼の場合
素材が低炭素ボロン鋼の場合は、工程a―2の全体熱処理は焼入れままとし、焼もどしは行わず、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする。焼入れままで、HRC40〜50の硬さとなる。低炭素ボロン鋼の場合は、焼もどししなくても靭性を有しているので、焼入れ後の焼もどしはしなくてもよい。なお、焼入れ後の焼もどしは、してもさしつかえない。
(B) 素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合
素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合は、工程a―2の熱処理は焼入れ・焼もどしとし、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする。
(A) 素材が低炭素ボロン鋼の場合
素材が低炭素ボロン鋼の場合は、工程a―2の全体熱処理は焼入れままとし、焼もどしは行わず、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする。焼入れままで、HRC40〜50の硬さとなる。低炭素ボロン鋼の場合は、焼もどししなくても靭性を有しているので、焼入れ後の焼もどしはしなくてもよい。なお、焼入れ後の焼もどしは、してもさしつかえない。
(B) 素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合
素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合は、工程a―2の熱処理は焼入れ・焼もどしとし、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする。
工程a―2の熱処理によりリンク全体、したがって、素地部5(図4参照)がHRC40以上の硬さをもつため、素地部の硬さがHRC35〜40であった従来の無限軌道帯用小型リンクに比べて、ピン11のリンクピン穴6への圧入力が増加し、その結果、図3に示すように、従来よりも、圧入深さHを浅くすることができる。これにより、リンク厚さを小さく、ピン11の全長の短くすることができ、リンク、ピン双方の素材重量が減少し(軽量化)、素材費も節減される(原価低減)。
つぎに、本発明の無限軌道帯用小型リンク10およびその製造方法の作用、効果を説明する。まず、熱処理前に各部(ローラ踏み面2とシュー取付け面3からなる端面、ピン穴6・ブッシュ穴7、カウンタ穴12、ボルト穴8、ナット座面9。ただし、リンクピッチ101mm以下の小型リンクには、カウンタ穴12、シューボルト穴8、ナット座面9は存在しない。また、リンクピッチ135mmの小型リンクの一部には、カウンタ穴12は存在しない。)の機械加工が施され、各部の機械加工後に熱処理が行われて必要硬さ(リンク全体がHRC40以上)が付与されるので、リンク各部の硬さが低く、切削性がよい段階で機械加工することができ、加工時間を従来の加工時間に比べて短縮することができる。また、工具寿命が従来の工具寿命に比べて約2倍以上になり、工具費も従来の工具費に比べて大幅に削減(1/2以下)することができる。
また、従来行われていたローラ踏み面部4の部分熱処理工程を省略したので、その分、工程削減、原価低減をはかることができる。ローラ踏み面部4の部分熱処理工程を省略することができる理由は、機械加工後の全体熱処理でリンク全体をHRC40〜50の硬さにするので、かつ、小型リンクの場合はローラ踏み面部4にかかる荷重も小さく、ローラ踏み面部4の硬さがHRC40(HRC40以上でもよい)であれば強度上問題ないと考えられるためである。
また、切削加工後の全体熱処理でリンク全体、すなわち、ローラ踏み面部4も素地部5もHRC40〜50の硬さにするので、従来に比べて素地部5の硬さが高くなり、ピン11のリンクピン穴への圧入力が増加し、それによって、ピン圧入深さを小さくでき、リンク厚さも小さくできる。その結果、リンク10の軽量化(10%以上の軽量化)、材料節減による原価低減をはかることができる。
また、リンク10が小型であるため、焼入れ変形が小さく、切削加工後の熱処理としても、寸法精度上とくに問題を生じない。
焼入れ変形をさらに小さくしたい場合は、本発明で、a―2の全体熱処理工程の焼入れの加熱を誘導加熱で行えばよい。誘導加熱で行うことにより、スケール発生および脱炭等の問題を回避することができる。
また、素材が低炭素ボロン鋼の場合、熱処理は焼入れのみとすることができ、その場合は焼もどしを省略した分、熱処理費を低減することができる。
焼入れ変形をさらに小さくしたい場合は、本発明で、a―2の全体熱処理工程の焼入れの加熱を誘導加熱で行えばよい。誘導加熱で行うことにより、スケール発生および脱炭等の問題を回避することができる。
また、素材が低炭素ボロン鋼の場合、熱処理は焼入れのみとすることができ、その場合は焼もどしを省略した分、熱処理費を低減することができる。
1 リンク素材
2 ローラ踏み面
3 シュー取付け面
4 ローラ踏み面部
5 素地部
6 ピン穴
7 ブッシュ穴
8 ボルト穴
9 ナット座面
10 無限軌道帯用小型リンク
11 ピン
12 カウンタ穴
2 ローラ踏み面
3 シュー取付け面
4 ローラ踏み面部
5 素地部
6 ピン穴
7 ブッシュ穴
8 ボルト穴
9 ナット座面
10 無限軌道帯用小型リンク
11 ピン
12 カウンタ穴
Claims (4)
- 素材は炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼であって、鍛造によって成形されており、ローラ踏み面部が部分熱処理された硬化層をもたず、リンク全体が全体熱処理によってHRC40〜50の硬さになっており、該全体熱処理の前に行われる機械加工によってローラ踏み面とシュー取付け面からなる端面、ピン穴・ブッシュ穴に機械加工が施されている、無限軌道帯用小型リンク。
- 炭素含有量が0.20〜0.35重量%の炭素鋼または炭素合金鋼をリンク形状に鍛造し、ローラ踏み面とシュー取付け面からなる端面をフライス加工し、ローラ踏み面部を部分熱処理することなく、ピン穴・ブッシュ穴を機械加工し、その後リンク全体を全体熱処理する、無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
- 素材が低炭素ボロン鋼の場合は、前記全体熱処理は焼入れのみであって焼もどしは行わず、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする請求項2記載の無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
- 素材が中炭素鋼または中炭素合金鋼の場合は、前記全体熱処理は焼入れ・焼もどしとし、リンク全体をHRC40〜50の硬さにする請求項2記載の無限軌道帯用小型リンクの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20140152086A1 (en) * | 2012-11-30 | 2014-06-05 | Caterpillar Inc. | Undercarriage track link |
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CN113692327A (zh) * | 2019-04-16 | 2021-11-23 | 大同工业株式会社 | 链的连接销及其制造方法 |
-
2004
- 2004-03-23 JP JP2004085130A patent/JP2005271656A/ja active Pending
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