JP2005271093A - 遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、銅、アルミニウムなどの非鉄金属の切削工具として最適な遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
超硬合金製切削工具において、残留した遊離炭素粒子を均一に特定量以上分散させると、被削材との摩擦抵抗が低減するとともに、被削材の工具への溶着が軽減され、工具寿命が向上する。本発明の超硬合金製切削工具は、断面研磨組織において遊離炭素粒子の断面積の合計が観察面全体に対して1.1〜8面積%である。その中でも遊離炭素粒子の1粒子の面積が0.005〜10平方μm、粒子個数が1平方mm当たり15000〜100000個であると特に好ましい。
本発明は、銅、アルミニウムなどの非鉄金属の切削工具として最適な遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
超硬合金製切削工具において、残留した遊離炭素粒子を均一に特定量以上分散させると、被削材との摩擦抵抗が低減するとともに、被削材の工具への溶着が軽減され、工具寿命が向上する。本発明の超硬合金製切削工具は、断面研磨組織において遊離炭素粒子の断面積の合計が観察面全体に対して1.1〜8面積%である。その中でも遊離炭素粒子の1粒子の面積が0.005〜10平方μm、粒子個数が1平方mm当たり15000〜100000個であると特に好ましい。
Description
本発明は、超硬合金製切削工具およびその製造方法に関するものであり、その中でも特に銅、アルミニウムなどの非鉄金属の切削工具として最適な超硬合金製切削工具およびその製造方法に関する。
炭化タングステンを主な硬質相とし、Niおよび/またはCoなどの金属相で結合した超硬合金は、切削工具用および耐摩耗工具用の材料として広く使われていて、工具寿命および耐摩耗性を向上させる技術が開発されている。従来の技術として、第三相である遊離炭素粒子を含まない超硬合金がある(例えば、非特許文献1参照。)。また、硬質材料の断面組織において観察される遊離炭素粒子の最大寸法が50μm以下であることを特徴とする硬質材料製切削工具がある(例えば、特許文献1参照。)。
日本金属学会誌、28(1964)P55
遊離炭素粒子を含まない超硬合金製切削工具は、非鉄金属など溶着しやすい被削材との抵抗が高く、耐摩耗性に劣るという問題がある。また、硬質材料の断面組織において観察される遊離炭素粒子の最大寸法が50μm以下である硬質材料製切削工具は、晶出によって遊離炭素粒子を含有させているが、晶出による遊離炭素粒子は最大寸法が20〜50μmに達する。最大寸法が20μm以上の遊離炭素粒子が含まれると、遊離炭素粒子が破壊起源の欠陥となり抗折力強度が低下するという問題がある。さらに、晶出による遊離炭素粒子であるため、焼結温度において液相中に溶解していた炭素が焼結工程の冷却過程で析出するとき晶出サイトが少なくなり、溶解炭素の濃度分布や冷却速度の部分的な違いにより晶出遊離炭素粒子が粗大かつ不均一に分布する。加えて硬質材料製切削工具の断面組織の観察面における遊離炭素粒子の断面積の合計が、該観察面の断面積全体に対して0.01〜1面積%となるため、遊離炭素粒子による摩擦抵抗の低減効果が低く、切削工具として用いたときの性能向上は、望めないという問題がある。
そこで、本発明は、銅、アルミニウムなどの非鉄金属の切削工具として最適な遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、超硬合金製切削工具の工具寿命の延長、摩擦抵抗の低減、被削材溶着の軽減について検討していたところ、残留した遊離炭素粒子を均一に特定量分散させると、切削時の被削材との摩擦抵抗が低減するとともに、被削材の工具への溶着が軽減されること、その結果として工具寿命が向上するという知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明における遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具は、鉄族金属を主成分とする結合相と、炭化タングステンを主成分とする硬質相とからなる超硬合金製切削工具において、該超硬合金製切削工具は遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具であり、該超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における該遊離炭素粒子の断面積の合計が、該観察面の断面積全体に対して1.1〜8面積%であることを特徴とする。
本発明における超硬合金製切削工具は、鉄族金属を主成分とする結合相と炭化タングステンを主成分とする硬質相とから構成された遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具である。ここで鉄族金属は、鉄、コバルト、ニッケルを示す。超硬合金製切削工具の結合相としては、鉄を主成分とした結合相よりもコバルトおよび/またはニッケルを主成分とした結合相が耐熱性、耐食性および硬質相とのぬれ性が高いため好ましい。なお、鉄族金属を主成分とする結合相は、鉄族金属または鉄族金属に硬質相成分が0.01〜20重量%固溶した合金を示す。本発明における炭化タングステンを主成分とする硬質相とは、炭化タングステンを必須成分として硬質相全体に対して95重量%以上含有するもので、残部に、炭化タングステンを除く周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた複合化合物を任意成分として含んでも良い。炭化タングステンとして、具体的にはWCを挙げることができる。複合化合物として、具体的には(Ti,W)C、(Ti,Ta,W)C、(Ti,Ta,W,Nb)C、(Ti,W)N、(Ti,Ta,W)N、(Ti,Ta,W,Nb)N、(Ti,W)(C,N)、(Ti,Ta,W)(C,N)、(Ti,Ta,W,Nb)(C,N)などを挙げることができる。
本発明の超硬合金製切削工具に含まれる結合相が3重量%未満では、超硬合金製切削工具の耐欠損性が低下し、10重量%を超えると耐摩耗性が低下する傾向がみられる。このため、鉄族金属を主成分とする結合相:超硬合金製切削工具全体に対して3〜10重量%と、炭化タングステンを主成分とする硬質相:残部とからなる超硬合金製切削工具が好ましい。なお、超硬合金製切削工具は遊離炭素粒子を含有するが、硬質相に比較して超硬合金製切削工具に含まれる遊離炭素粒子は微量であり、比重も軽いため、重量%における残部は、実質的に硬質相の量を示している。
本発明の超硬合金製切削工具に含まれる遊離炭素粒子は、結晶質の炭素、非結晶質の炭素のいずれも良いが、結晶質の炭素として具体的には、黒鉛を挙げることができる。遊離炭素粒子は超硬合金製切削工具中に均一に分散している。表面付近に傾斜組成を有する超硬合金製切削工具においても、遊離炭素粒子は均一に分散している。このとき遊離炭素粒子が含まれる効果は、傾斜組成を有しない超硬合金製切削工具と同様である。超硬合金製切削工具断面組織の観察面における遊離炭素粒子の断面積の合計が、観察面の断面積全体に対して1.1面積%未満であると、遊離炭素粒子による摩擦抵抗の低減効果および/または被削材溶着の軽減の効果が著しく小さくなる。一方、遊離炭素粒子の断面積の合計が、観察面の断面積全体に対して8面積%を超えると超硬合金製切削工具の硬さが低下してしまうことから、遊離炭素粒子の断面積の合計は、観察面の断面積全体に対して1.1〜8面積%とした。その中でも摩擦抵抗低減効果および/または被削材溶着軽減効果と超硬合金製切削工具の硬さを保つために、遊離炭素粒子の断面積の合計は、観察面の断面積全体に対して3〜5面積%が好ましい。
本発明の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具は、超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における該遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積が0.005〜10平方μmであると抗折力強度に優れるため好ましい。遊離炭素粒子1粒子の断面積が最も大きい値、すなわち、遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積が10平方μmを超えると、遊離炭素粒子が破壊の起源となり、抗折力強度が低下し、耐欠損性を著しく低下させる。遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積が、0.005平方μm未満であると摩擦抵抗の低減効果および/または被削材溶着軽減効果がほとんど見られない。なお、超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における該遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積は、0.005〜6平方μmであると耐欠損性が低下せず特に好ましい。
本発明の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具は、超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における該遊離炭素粒子の個数が1平方mm当たり15000〜100000個であると摩擦抵抗の低減効果および/または被削材溶着の軽減効果が高く好ましい。観察面における遊離炭素粒子の個数が1平方mm当たり15000個未満であると、遊離炭素粒子による摩擦抵抗の低減効果および/または被削材溶着の軽減効果が著しく小さくなり、遊離炭素粒子の個数が1平方mm当たり100000個を超えると超硬合金製切削工具の硬さが低下してしまうことから、超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における遊離炭素粒子の個数が1平方mm当たり15000個〜100000個が好ましい。摩擦抵抗低減効果および/または被削材溶着軽減効果と超硬合金製切削工具の硬さを保つために、超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における遊離炭素粒子の個数は、1平方mm当たり50000個〜80000個であると、特に好ましい。
本発明の超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積が0.5平方μm未満であると摩擦抵抗低減効果および/または被削材溶着軽減効果が減少する傾向がみられ、遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積が1.5平方μmを超えると遊離炭素粒子の分布が不均一になり、抗折力強度が低下する傾向がみられる。そのため、超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積が0.5〜1.5平方μmであると好ましい。遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積が0.5〜1.5平方μmであると、遊離炭素粒子が均一に分散し、摩擦抵抗低減効果および/または被削材溶着軽減効果が向上するとともに、超硬合金製切削工具の抗折力強度低下を抑えることができる。その中でも遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積が0.5〜1.0平方μmであると特に好ましい。
本発明者らは、超硬合金製切削工具中に遊離炭素粒子を微細かつ均一に分散させることを目指し実験を行った結果、遊離炭素粒子には晶出遊離炭素粒子と残留遊離炭素粒子の2種類があり、晶出遊離炭素粒子に比べ残留遊離炭素粒子の方が微細で均一に分散するという知見が得られた。高温の焼結工程において晶出遊離炭素粒子は平衡状態にあるため存在せず、低温の冷却工程において超硬合金製切削工具中に晶出遊離炭素粒子として析出するものである。晶出遊離炭素粒子は析出サイトが少ないため粗大化しやすい。
本発明の超硬合金製切削工具における硬質相の95重量%以上は炭化タングステンであるため、硬質相の炭素含有量は炭化タングステンの炭素含有量を調べればよく、炭化タングステン以外の複合化合物の炭素含有量および窒素含有量は、その量が少ないため、無視できる。なお、炭化タングステンはWCと表される化学量論組成炭化物を形成されるものとする。本発明の超硬合金製切削工具において、WCの化学量論組成炭素含有量をCsc(重量%)と表し、超硬合金製切削工具に含まれる全炭素含有量をAc(重量%)と表し、結合相量をF(重量%)、と表したとき、
(数1)Cc=(Ac/(100―F))×100
数1を用いて算出されるCc(重量%)が、
0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)を満足すると好ましい。超硬合金製切削工具のCcが上記の範囲であると、超硬合金組織中に微細な遊離炭素粒子を均一分散することができ、超硬合金製切削工具の耐摩耗性および耐欠損性を向上させることができる。超硬合金製切削工具の(Cc−Csc)(重量%)が0.15(重量%)未満であると、晶出遊離炭素粒子が多くなり、遊離炭素粒子が粗大かつ不均一に分散し、耐摩耗性および耐欠損性が低下する傾向が見られる。また、超硬合金製切削工具の(Cc−Csc)(重量%)が0.45(重量%)を超えると、遊離炭素粒子の量が増加するため超硬合金製切削工具の硬さと耐摩耗性が低下する傾向が見られる。したがって、0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)であると好ましい。
(数1)Cc=(Ac/(100―F))×100
数1を用いて算出されるCc(重量%)が、
0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)を満足すると好ましい。超硬合金製切削工具のCcが上記の範囲であると、超硬合金組織中に微細な遊離炭素粒子を均一分散することができ、超硬合金製切削工具の耐摩耗性および耐欠損性を向上させることができる。超硬合金製切削工具の(Cc−Csc)(重量%)が0.15(重量%)未満であると、晶出遊離炭素粒子が多くなり、遊離炭素粒子が粗大かつ不均一に分散し、耐摩耗性および耐欠損性が低下する傾向が見られる。また、超硬合金製切削工具の(Cc−Csc)(重量%)が0.45(重量%)を超えると、遊離炭素粒子の量が増加するため超硬合金製切削工具の硬さと耐摩耗性が低下する傾向が見られる。したがって、0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)であると好ましい。
本発明の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具の製造方法は、該超硬合金製切削工具に含まれる全炭素含有量をAc(重量%)と表し、該結合相量をF(重量%)、と表し、該炭化タングステンの化学量論組成炭素含有量をCsc(重量%)と表したとき、
(数1)
Cc=(Ac/(100―F))×100
数1を用いて算出されるCc(重量%)が、
0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)となるように原料粉末に炭素を配合する工程を含むことを特徴とする。
(数1)
Cc=(Ac/(100―F))×100
数1を用いて算出されるCc(重量%)が、
0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)となるように原料粉末に炭素を配合する工程を含むことを特徴とする。
なお、本発明の超硬合金製切削工具は、通常の粉末冶金法によって得ることができるが、数1で求められるCc(重量%)、炭化タングステンの化学量論組成炭素含有量Csc(重量%)について、0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)を満足するように超硬合金製切削工具の原料粉末配合時に炭素粉末を添加した後、原料粉末の混合、乾燥、成形、および焼結の各工程を経る粉末冶金法によって、本発明の超硬合金製切削工具を容易に得ることができる。
本発明の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具の表面には、耐摩耗性向上のためセラミックス、金属、合金、ダイヤモンドおよびダイヤモンド状カーボンの中の少なくとも1種でなる単層または多層の被覆を形成すると、耐摩耗性、耐溶着性および/または潤滑性を向上させることができるため、好ましい。
本発明の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具として、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの非鉄金属など各種被削材を切削加工する切削チップ、ドリル、リーマ、エンドミルなどを挙げることができる。その中でも、本発明の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具をアルミニウム用またはアルミニウム合金用として用いることは、切削加工時に遊離炭素粒子が摩擦抵抗を低減させる効果および遊離炭素粒子が被削材の溶着を軽減させる効果が高いため、特に好ましい。
本発明の超硬合金製切削工具に含まれる遊離炭素粒子は均一であるが、超硬合金製切削工具の表面付近の断面を組織観察するとよい。観察面を光学顕微鏡で1500倍に拡大し、60μm×45μm角の観察面を観察し、それぞれの観察面において遊離炭素粒子の断面積および個数を測定する。超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積、遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積、遊離炭素粒子の断面積の合計、遊離炭素粒子の個数は、10カ所の測定値を平均化して求めると好ましい。
本発明の超硬合金製切削工具またはその原料粉末について、Cc(重量%)、Csc(重量%)、を調べる方法は、以下のように行うとよい。超硬合金製切削工具を高周波炉により燃焼させて超硬合金製切削工具全体に含まれる炭素を酸化炭素ガスとし、その濃度により超硬合金製切削工具に含まれる全炭素含有量Ac(重量%)を測定する炭素分析を行う。次いで蛍光X線分析を行い超硬合金製切削工具に含まれる鉄族金属含有量F(重量%)を測定する。超硬合金製切削工具のCc(重量%)、は下記の数1を用いて算出する。
(数1)
Cc=(Ac/(100―F))×100
(数1)
Cc=(Ac/(100―F))×100
炭化タングステンの化学量論組成炭素含有量Csc(重量%)は6.13重量%として計算する。上記の計算は超硬合金製切削工具の原料粉末に対しても同様に適応できる。
本発明の超硬合金製切削工具は、遊離炭素粒子の作用によって、切削抵抗が低減する効果、および/または、被削材の溶着を軽減する効果を有する。このような効果により優れた切削性能を発揮する。
また、0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)となるように炭素粉末を添加配合することを特徴とする本発明の超硬合金製切削工具の製造方法によって、本発明の超硬合金製切削工具を容易に製造できる。
市販の平均粒径0.5〜4μmのWC、TiC、TaC、NbC、Co、Cの各粉末を用いて、表1のような配合組成に配合し、この配合粉末とアセトンとボールをステンレス製の混合容器に入れて、20時間の湿式混合粉砕をした。こうして得た混合粉末にパラフィンを少量添加した後、CNMG120408(JIS規格形状)が得られるようにプレス成形した。このプレス成形により得た圧粉体からパラフィンを450℃にて加熱除去した後、13Paの真空中で1400℃まで昇温の後、さらに1400℃にて1時間保持して焼結して、発明品1〜5と比較品6〜10の超硬合金製切削工具を得た。
こうして得られた本発明品1〜5と比較品6〜10について炭素分析により(Cc−Csc)を求め、その値を表2に記載した。発明品および比較品の断面研磨組織を観察し、観察面の断面積全体に対する遊離炭素粒子の断面積合計の面積率、遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積、1平方mm当たりの遊離炭素粒子の個数、および1粒子の平均断面積を、それぞれ組織観察とその画像解析により測定した。硬さHRAをロックウエル硬さ計により測定し、その結果を表2に示した。次に発明品1〜5および比較品6〜10を用いて、下記(A)および(B)の条件により切削試験を行い、その結果を表3に示した。
(A)耐摩耗性試験
被削材:A2017(Si含有量1.0重量%以下)
チップ形状:VCGT160404、チップブレーカ付き
切削速度:800m/min
切り込み量:1.0mm
送り量:0.15mm/rev
工具寿命基準:工具刃先欠落
被削材:A2017(Si含有量1.0重量%以下)
チップ形状:VCGT160404、チップブレーカ付き
切削速度:800m/min
切り込み量:1.0mm
送り量:0.15mm/rev
工具寿命基準:工具刃先欠落
(B)耐欠損性試験
被削材:A2017 4本溝入り
チップ形状:VCGT160404、チップブレーカ付き
切削速度:500m/min
切り込み量:2.0mm
送り量:0.2mm/rev
工具寿命基準:欠損
被削材:A2017 4本溝入り
チップ形状:VCGT160404、チップブレーカ付き
切削速度:500m/min
切り込み量:2.0mm
送り量:0.2mm/rev
工具寿命基準:欠損
表3からは、断面組織の観察面のおける遊離炭素粒子の断面積の合計が、断面組織全体に対して3.5〜6.9重量%の発明品1〜5は、それぞれ、ほぼ同一組成の比較品6〜10に比較して耐摩耗性および耐欠損性に優れることが分かる。
Claims (6)
- 鉄族金属を主成分とする結合相と、炭化タングステンを主成分とする硬質相とからなる超硬合金製切削工具において、該超硬合金製切削工具は遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具であり、該超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における該遊離炭素粒子の断面積の合計が、該観察面の断面積全体に対して1.1〜8面積%である遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具。
- 前記超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における前記遊離炭素粒子の1粒子の最大断面積は、0.005〜10平方μmである請求項1に記載の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具。
- 前記超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における前記遊離炭素粒子の個数が1平方mm当たり15000〜100000個である請求項1または2に記載の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具。
- 前記超硬合金製切削工具の断面組織の観察面における前記遊離炭素粒子の1粒子の平均断面積が0.5〜1.5平方μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具。
- 前記超硬合金製切削工具に含まれる全炭素含有量をAc(重量%)と表し、前記結合相量をF(重量%)、と表し、前記炭化タングステンの化学量論組成炭素含有量をCsc(重量%)と表したとき、
(数1)
Cc=(Ac/(100―F))×100
数1を用いて算出されるCc(重量%)が、
0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)を満足する請求項1〜4のいずれか1項に記載の遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具。 - 鉄族金属を主成分とする結合相と、炭化タングステンを主成分とする硬質相とからなる超硬合金製切削工具の製造方法において、該超硬合金製切削工具に含まれる全炭素含有量をAc(重量%)と表し、該結合相量をF(重量%)、と表し、該炭化タングステンの化学量論組成炭素含有量をCsc(重量%)と表したとき、
(数1)
Cc=(Ac/(100―F))×100
数1を用いて算出されるCc(重量%)が、
0.45≧(Cc−Csc)≧0.15(重量%)となるように原料粉末に炭素を配合する工程を含むことを特徴とする遊離炭素粒子を含有する超硬合金製切削工具の製造方法。
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