JP2005265533A - 試料の切削方法及び試料の切削装置 - Google Patents

試料の切削方法及び試料の切削装置 Download PDF

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Abstract

【課題】切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少なく、分析に支障を来すことを防止できる試料の切削方法及び試料の切削装置を得る。
【解決手段】切削装置10では、切削バイト22によって試料Sの表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行い、切削方向(Y軸方向))と直交する方向(X軸方向)に沿って試料S表面から試料S内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面を形成する。したがって、切削方向に対して切削バイト22の刃先と試料Sの接触部位との深さ方向の位置関係が変化しないため、切削による試料Sの変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向には作用せず、結果として、試料Sの深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない傾斜切削面が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料の深さ方向の成分等の情報を分析するために当該試料を切削する試料の切削方法及び試料の切削装置に関する。
試料の深さ方向の成分等の情報を分析するために、当該試料の表面を切削し、得られた切削面あるいは切削片を分析、観察、評価する試料分析の手法が知られている(一例として、特許文献1参照)。
例えば前記特許文献1に示された手法では、切刃で試料(例えば、高分子材料)を切削する際に、切刃の受ける水平力及び垂直力を測定し、これに基づいて試料の剥離強度とせん断強度を求める構成となっている。
ところで、前記特許文献1に示された手法では、試料の切削面が切刃の切削方向(試料に切り込む方向)に形成される。このため、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の分析に支障を来す恐れがある。また、試料の切削深さとその切削角度を大きくすると、切刃に対する負荷(荷重)が増大し、スムーズな切削が困難になるという問題もある。さらに、金属やセラミック等の硬い試料への適用が困難な場合もある。
特開2002−195938号公報
本発明は上記事実を考慮し、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少なく、分析に支障を来すことを防止できる試料の切削方法及び試料の切削装置を得ることが目的である。
請求項1に係る発明の試料の切削方法は、刃先が切削方向に対して90°以下のセット角βに設定された切削バイトによって、試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行い、前記切削方向と直交する方向に沿って前記試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面を形成する、ことを特徴としている。
請求項1記載の試料の切削方法では、切削バイトによって試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削が行われ、切削方向と直交する方向に沿って試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面が形成される。
このようにして得られた傾斜切削面を、種々の分析法(FT−IR法、レーザーラマン法、EPMA法、TOF−SIMS法等)で分析、測定、観察、評価することで試料分析が行われる。
なお、このような傾斜切削面に基づいて試料の深さ方向に分析する手法では、試料の分析深さをdとすると、深さ方向の情報が切削面上に(d/sinα)倍だけ拡大される(すなわち、傾斜角αが小さいほど、前記拡大率が増加する)。したがって、この傾斜切削面を試料の表面側から深さ方向に向かって線分析を行うことによって、試料断面を表面から深さ方向に直接に線分析する場合と比較して、高い深さ分解能で分析を行うことができる。
ここで、請求項1記載の試料の切削方法によれば、形成した傾斜切削面において試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ないため、高精度な深さ方向分析・観察が可能になる。
すなわち、切削方向と直交する方向に沿って試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面を形成するため、切削方向に対して切削バイトの刃先と試料の接触部位との深さ方向の位置関係が変化しない。このため、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向には作用せず、結果として、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない傾斜切削面を形成することができる。したがって、その後の分析に支障を来すことを防止でき、高精度な深さ方向分析・観察が可能になる。
また、切削バイトによって試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行うことで傾斜切削面を形成するため(試料表面から内部への切り込みと傾斜切削が一連の操作で完結するため)、試料面上の場所を変えた切削(複数の傾斜切削面の形成)を迅速かつ簡便に行うことができる。これにより、一つの固体試料面に複数の傾斜切削面を迅速に(例えば、数分/1切削面で)形成することが可能になる。
さらに、刃先が切削方向に対して90°以下のセット角βに設定された切削バイトによって傾斜切削面を形成するため(切削バイトの刃先を切削方向に対して90°未満に傾けて切削するため)、切削バイトの刃先角δと逃げ角を見かけ上小さくすることができる。このため、スムーズな切削が可能になり、スティックスリップなどによる切削痕の影響を軽減でき、平滑な傾斜切削面を得ることができる。
このように、請求項1記載の試料の切削方法では、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少なく、分析に支障を来すことを防止でき、しかも、迅速かつ高精度に切削を行うことができる。
一方、請求項2に係る発明の試料の切削方法は、請求項1記載の試料の切削方法において、前記傾斜切削面の傾斜角αを20°以下に形成する、ことを特徴としている。
請求項2記載の試料の切削方法では、傾斜角αが20°以下で傾斜した傾斜切削面を形成するため、その後の分析において、傾斜切削面の深さ方向の情報の拡大率が大きく、傾斜切削面を試料の表面側から深さ方向に向かって高い深さ分解能で線分析を行うことができる。
請求項3に係る発明の試料の切削方法は、請求項1または請求項2記載の試料の切削方法において、前記切削バイトの刃先の逃げ角γを、1°〜75°に設定した、ことを特徴としている。
請求項3記載の試料の切削方法では、切削バイトの刃先の逃げ角γを、1°〜75°に設定したため、試料の硬さに応じて最適の切削条件が得られ、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。
請求項4に係る発明の試料の切削方法は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の試料の切削方法において、前記切削バイトの刃先角δを、15°〜89°に設定した、ことを特徴としている。
請求項4記載の試料の切削方法では、切削バイトの刃先角δを、15°〜89°に設定したため、試料の硬さに応じて最適の切削条件が得られ、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。
請求項5に係る発明の試料の切削方法は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の試料の切削方法において、前記切削バイトの材質をダイヤモンド単結晶とした、ことを特徴としている。
請求項5記載の試料の切削方法では、切削性が向上し、傾斜切削面の面粗度を小さくでき(良くなり)、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。また、硬質試料(金属、セラミック等)にも適用可能であり、しかも、切削バイトの耐久性が向上し、長期に亘って低コストで試料の切削を行うことができる。
請求項6に係る発明の試料の切削方法は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の試料の切削方法において、前記切削する際に、前記試料面を冷却しながら切削する、ことを特徴としている。
請求項6記載の試料の切削方法では、軟質試料(ゴム、エラストマー等)にも適用することが可能になり、適用の範囲が拡大する。
また一方、請求項7に係る発明の試料の切削装置は、試料を保持し、保持した試料をX軸−Y軸−Z軸の三次元方向に沿って移動可能でかつY軸周りの正逆二方向へ傾斜可能な試料ステージと、前記試料の表面を切削可能な切削バイトと、前記切削バイトを保持し、前記切削バイトの保持角度を前記試料面に対しY軸周りの正逆二方向及びZ軸周りの正逆二方向に沿って調整可能で、かつ保持した前記切削バイトを介して前記試料面へ向けて上方から一定荷重を付与できるバイト保持アームと、前記バイト保持アームを保持し、前記試料面の少なくともY軸方向に沿って移動させるバイト駆動部と、を備えている。
請求項7記載の試料の切削装置では、切削バイトによって試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行い、切削方向と直交する方向に沿って試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面を形成できる。
すなわち、先ず、試料ステージに表面が平坦な固体試料を取り付ける。次いで、試料ステージのX軸−Y軸−Z軸移動機構を利用して、切削バイトの刃先が試料面に接触する状態とする(面合わせ)。なおこの場合、保持アームをZ軸周りに沿って調整し、切削バイトの刃先のセット角β(すなわち、切削方向(Y軸方向)に対する角度)も調整しておく。また、前記面合わせを精度良く行うために、切削バイトと試料面のセッティング状態を横から観察できる観察部を設けても良い。
次いで、バイト保持アームを試料面に対しY軸周りに移動させることで切削バイトを一旦退避させ(浮かせ)た後に、試料ステージをY軸周りに傾斜させて、試料面を切削方向(すなわち、Y軸方向)に対して直交する方向(すなわち、X軸方向)に沿って所定の角度(傾斜角α)傾ける。なおこの場合、試料面(試料ステージ)はそのままの状態で、バイト保持アームをY軸周りに所定の角度傾けることで角度調節を行ってもよい。
しかる後には、バイト保持アームを再びY軸周りに移動させることで切削バイトを試料面に接触させる。この際には、切削バイトを介して試料面へ向けて上方から一定荷重(バイト荷重)が付与される状態にバイト保持アームをセットする。
そして、バイト駆動部を駆動させてバイト保持アームをY軸方向に沿って移動させる。これにより、切削バイトによって試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削が行われ、切削方向と直交する方向に沿って試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面が形成される。
さらに、このようにして得られた試料の傾斜切削面を、種々の分析法(FT−IR法、レーザーラマン法、EPMA法、TOF−SIMS法等)で分析、測定、観察、評価することで試料分析が行われる。
なお、このような傾斜切削面に基づいて試料の深さ方向に分析する手法では、試料の分析深さをdとすると、深さ方向の情報が切削面上に(d/sinα)倍だけ拡大される(すなわち、傾斜角αが小さいほど、前記拡大率が増加する)。したがって、この傾斜切削面を試料の表面側から深さ方向に向かって線分析を行うことによって、試料断面を表面から深さ方向に直接に線分析する場合と比較して、高い深さ分解能で分析を行うことができる。
ここで、請求項7記載の試料の切削装置によれば、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない傾斜切削面を形成することができるため、高精度な深さ方向分析・観察が可能になる。
すなわち、切削方向(すなわち、Y軸方向)と直交する方向(すなわち、X軸方向)に沿って試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面を形成することができるため、切削方向に対して切削バイトの刃先と試料の接触部位との深さ方向の位置関係が変化しない。このため、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向には作用せず、結果として、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない傾斜切削面を形成することができる。したがって、その後の分析に支障を来すことを防止でき、高精度な深さ方向分析・観察が可能になる。
また、切削バイトによって試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行うことで傾斜切削面を形成するため(試料表面から内部への切り込みと傾斜切削が一連の操作で完結するため)、試料面上の場所を変えた切削(複数の傾斜切削面の形成)を迅速かつ簡便に行うことができる。これにより、一つの固体試料面に複数の傾斜切削面を迅速に(例えば、数分/1切削面で)形成することが可能になる。
このように、請求項7記載の試料の切削装置では、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができ、しかも、迅速に切削を行うことができる。
なお、請求項7記載の試料の切削装置において、前述した試料面と切削バイトの刃先との角度(すなわち、形成する傾斜切削面の傾斜角α)を20°以下に設定すれば、その後の分析において、傾斜切削面の深さ方向の情報の拡大率が大きく、傾斜切削面を試料の表面側から深さ方向に向かって高い深さ分解能で線分析を行うことができる。
また、切削バイトの刃先の逃げ角γを、1°〜75°に設定すれば、試料の硬さに応じて最適の切削条件が得られ、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。
さらに、切削バイトの刃先角δを、15°〜89°に設定すれば、同様に、試料の硬さに応じて最適の切削条件が得られ、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。
また、切削バイトの材質をダイヤモンド単結晶とすれば、切削性が向上し、傾斜切削面の面粗度を小さくでき(良くなり)、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。また、硬質試料(金属、セラミック等)にも適用することが可能になり、しかも、切削バイトの耐久性が向上し、長期に亘って低コストで試料の切削を行うことができる。
またさらに、切削する際に、試料面を冷却しながら切削すれば、軟質試料(ゴム、エラストマー等)にも適用することが可能になり、更に適用の範囲が拡大する。
以上説明した如く本発明に係る試料の切削方法では、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少なく、分析に支障を来すことを防止でき、しかも、迅速かつ高精度に切削を行うことができるという優れた効果を有している。また、本発明に係る試料の切削装置では、切削による試料の変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料の深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができ、しかも、迅速に切削を行うことができるという優れた効果を有している。
図1には、本発明の実施の形態に係る試料の切削装置10の全体構成が斜視図にて示されている。また、図2にはこの切削装置10の全体構成が平面図にて示されており、図3には切削装置10の全体構成が正面図にて示されている。
切削装置10は、基台12上に試料ステージ14が設けられている。試料ステージ14は、試料Sを保持する台であり、保持した試料をX軸−Y軸−Z軸の三次元方向に沿って移動可能となっている。またしかも、この試料ステージ14は、X軸及びY軸周りの正逆二方向へも傾斜可能となっている。すなわち、試料ステージ14の下方には、X軸用及びY軸用のゴニオメータ16が設けられており、試料ステージ14の傾斜角度を調整できかつ検出可能となっている。
試料ステージ14の側方には、バイト保持アーム18が配置されている。バイト保持アーム18は、バイト駆動部を構成するプレート20上に取り付けられて試料ステージ14へ向けて延出しており、先端部には、試料Sの表面を切削可能な切削バイト22が保持されている。また、バイト保持アーム18は、プレート20に対し、支軸24及び支軸26によって、Y軸周りの正逆二方向及びZ軸周りの正逆二方向に沿って移動調整可能となっている。さらに、このバイト保持アーム18は、保持した切削バイト22を介して試料Sの表面へ向けて上方から一定荷重(バイト荷重)を付与できるようになっている。
一方、バイト保持アーム18が取り付けられたプレート20は、同様にバイト駆動部を構成する一対のレール28上にこのレール28に沿って移動可能に取り付けられている。一対のレール28は、Y軸に沿って敷設されており、プレート20がレール28に沿って移動することで、バイト保持アーム18に保持された切削バイト22が、Y軸方向に切削動作するようになっている。
これにより、切削バイト22が試料Sの表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行い、切削方向(すなわち、Y軸方向)と直交する方向(すなわち、X軸方向)に沿って試料Sの表面から内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面K(図4参照)を形成することができる構成となっている。
ここで、本実施の形態においては、切削バイト22の刃先が切削方向(Y軸方向))に対して90°以下のセット角βに設定されるように、バイト保持アーム18が調節されている。また、前記傾斜切削面Kの傾斜角αが20°以下となるように、切削バイト22の刃先の傾斜角が設定されている。さらに、切削バイト22の刃先の逃げ角γは、1°〜75°に設定されると共に、切削バイト22の刃先角δは、15°〜89°に設定されている。なお、切削バイト22の材質はダイヤモンド単結晶とすることが好ましい。
次に、本実施の形態の作用を、試料の切削方法と併せて説明する。
ここで、図4(A)乃至図4(C)には、前述の如き切削装置10(切削方法)による試料Sと切削バイト22の対応関係が概略的に示されている。なお、図4(A)乃至図4(C)においては、試料Sの断面を解り易くするために、断面方向に3層に積層して構成されるように描いてある。
上記構成の試料の切削装置10では、切削バイト22によって試料Sの表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行い、切削方向(Y軸方向))と直交する方向(X軸方向)に沿って試料S表面から試料S内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面Kを形成できる。
すなわち、
(1)先ず、試料ステージ14に表面が平坦な固体試料Sを取り付ける。
(2)次いで、試料ステージ14のX軸−Y軸−Z軸移動機構を利用して、切削バイト22の刃先が試料Sの表面に接触する状態とする。
なおこの場合、バイト保持アーム18をZ軸周りに沿って調整し、切削バイト22の刃先のセット角β(すなわち、切削方向(Y軸方向)に対する角度)も調整しておく。また、前記面合わせを精度良く行うために、切削バイト22と試料S表面のセッティング状態を横から観察できる観察部を設けても良い。
(3)次いで、バイト保持アーム18を試料S表面に対しY軸周りに移動させることで切削バイト22を一旦退避させ(浮かせ)た後に、試料ステージ14をY軸周りに傾斜させて、試料S表面を切削方向(Y軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)に沿って所定の角度(傾斜角α)傾ける。
なおこの場合、試料S(試料ステージ14)はそのままの状態で、バイト保持アーム18をY軸周りに所定の角度傾けることで角度調節を行ってもよい。
(4)しかる後には、バイト保持アーム18を再びY軸周りに移動させることで切削バイト22を試料S表面に接触させる。この際には、切削バイト22を介して試料S表面へ向けて上方から一定荷重(バイト荷重)が付与される状態にバイト保持アーム18をセットする。
そして、バイト駆動部を駆動させて(プレート20をレール28に沿って移動させて)バイト保持アーム18をY軸方向に沿って移動させる。
これにより、切削バイト22によって試料S表面から内部へ切り込みながら同時に切削が行われ、切削方向と直交する方向に沿って試料S表面から試料S内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面Kが形成される。しかもこの場合、一回の切削で、切削バイト22の傾斜角度とバイト荷重に応じた深さの切削が完了する。
(5)なお、切削深さが浅い場合は、切削バイト22の刃先を切削開始位置に戻し、上記切削を繰り返し、所定の深さに達したところで切削を完了する。
(6)また、同一の個体試料S表面で切削部位を換えたい場合は、試料ステージ14をX軸−Y軸移動機構によって場所を換え、(4)〜(5)を繰り返す。
さらに、このようにして得られた試料Sの傾斜切削面Kを、種々の分析法(FT−IR法、レーザーラマン法、EPMA法、TOF−SIMS法等)で分析、測定、観察、評価することで試料分析が行われる。
なお、このような傾斜切削面Kに基づいて試料Sの深さ方向に分析する手法では、試料Sの分析深さをdとすると、深さ方向の情報が切削面上に(d/sinα)倍だけ拡大される(すなわち、傾斜角αが小さいほど、前記拡大率が増加する)。したがって、この傾斜切削面Kを試料Sの表面側から深さ方向に向かって線分析を行うことによって、試料断面を表面から深さ方向に直接に線分析する場合と比較して、高い深さ分解能で分析を行うことができる。
ここで、本実施の形態に係る試料の切削装置10(切削方法)によれば、試料Sの深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない傾斜切削面Kを形成するため、高精度な深さ方向分析・観察が可能になる。
すなわち、図4(B)に示す如く、切削方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に沿って試料S表面から試料S内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面Kを形成するため、切削方向に対して切削バイト22の刃先と試料Sの接触部位との深さ方向の位置関係が変化しない。このため、切削による試料Sの変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向には作用せず、結果として、試料Sの深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない傾斜切削面Kが形成される。したがって、その後の分析に支障を来すことを防止でき、高精度な深さ方向分析・観察が可能になる。
また、図4(C)に示す如く、切削バイト22によって試料S表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行うことで傾斜切削面Kを形成するため(試料S表面から内部への切り込みと傾斜切削が一連の操作で完結するため)、試料S面上の場所を変えた切削(複数の傾斜切削面Kの形成)を迅速かつ簡便に行うことができる。これにより、一つの固体試料S面に複数の傾斜切削面Kを迅速に(例えば、数分/1切削面で)形成することが可能になる。
さらに、図4(A)に示す如く、刃先が切削方向に対して90°以下のセット角βに設定された切削バイト22によって傾斜切削面Kを形成するため(切削バイト22の刃先を切削方向に対して90°未満に傾けて切削するため)、切削バイト22の刃先角δと逃げ角を見かけ上小さくすることができる。このため、スムーズな切削が可能になり、スティックスリップなどによる切削痕の影響を軽減でき、平滑な傾斜切削面Kを得ることができる。
また、傾斜角αが20°以下で傾斜した傾斜切削面Kを形成するため、その後の分析においては、傾斜切削面Kの深さ方向の情報の拡大率が大きく、傾斜切削面Kを試料Sの表面側から深さ方向に向かって高い深さ分解能で線分析を行うことができる。
さらに、切削バイト22の刃先の逃げ角γを、1°〜75°に設定したため、試料の硬さに応じて最適の切削条件が得られ、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。また、切削バイト22の刃先角δを、15°〜89°に設定したため、同様に、試料の硬さに応じて最適の切削条件が得られ、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。
さらに、切削バイト22の材質をダイヤモンド単結晶とすることで、切削性が向上し、傾斜切削面Kの面粗度を小さくでき(良くなり)、高精度に平滑な傾斜切削面を得ることができる。また、硬質試料(金属、セラミック等)にも適用可能であり、しかも、切削バイト22の耐久性が向上し、長期に亘って低コストで試料の切削を行うことができる。
またさらに、切削する際に、試料面を冷却しながら切削すれば、軟質試料(ゴム、エラストマー等)にも適用することが可能になり、更に適用の範囲が拡大する。
このように、本実施の形態に係る試料の切削装置10(切削方法)では、切削による試料Sの変形、摩耗、あるいは切削痕などの影響が深さ方向に作用し難く、試料Sの深さ方向に分布した成分やその状態の相互干渉が少ない高精度に平滑な傾斜切削面Kを得ることができ、しかも、迅速に切削を行うことができる。また、切削バイト22を好適に選定することで、軟質試料(ゴム、エラストマー等)、中硬質試料(プラスチック、樹脂等)、あるいは硬質試料(金属、セラミック等)まで適用可能であり、適用の範囲が拡大する。
本発明の実施の形態に係る試料の切削装置の全体構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る試料の切削装置の全体構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る試料の切削装置の全体構成を示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る試料の切削装置及び切削方法における試料と切削バイトの対応関係を示し、(A)は概略的な平面図であり、(B)は(A)のB−B線に沿った概略的な断面図であり、(C)は(A)のC−C線に沿った概略的な断面図であり、(D)は切削バイトの刃先の角度関係を示す概略的な側断面図である。
符号の説明
10 切削装置
14 試料ステージ
18 バイト保持アーム
20 プレート(バイト駆動部)
22 切削バイト
28 レール(バイト駆動部)
S 試料
K 傾斜切削面

Claims (7)

  1. 刃先が切削方向に対して90°以下のセット角βに設定された切削バイトによって、試料表面から内部へ切り込みながら同時に切削を行い、前記切削方向と直交する方向に沿って前記試料表面から試料内部へ傾斜角αで傾斜した傾斜切削面を形成する、
    ことを特徴とする試料の切削方法。
  2. 前記傾斜切削面の傾斜角αを20°以下に形成する、ことを特徴とする請求項1記載の試料の切削方法。
  3. 前記切削バイトの刃先の逃げ角γを、1°〜75°に設定した、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の試料の切削方法。
  4. 前記切削バイトの刃先角δを、15°〜89°に設定した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の試料の切削方法。
  5. 前記切削バイトの材質をダイヤモンド単結晶とした、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の試料の切削方法。
  6. 前記切削する際に、前記試料面を冷却しながら切削する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の試料の切削方法。
  7. 試料を保持し、保持した試料をX軸−Y軸−Z軸の三次元方向に沿って移動可能でかつY軸周りの正逆二方向へ傾斜可能な試料ステージと、
    前記試料の表面を切削可能な切削バイトと、
    前記切削バイトを保持し、前記切削バイトの保持角度を前記試料面に対しY軸周りの正逆二方向及びZ軸周りの正逆二方向に沿って調整可能で、かつ保持した前記切削バイトを介して前記試料面へ向けて上方から一定荷重を付与できるバイト保持アームと、
    前記バイト保持アームを保持し、前記試料面の少なくともY軸方向に沿って移動させるバイト駆動部と、
    を備えた試料の切削装置。
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