JP2005265098A - 差動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 サイドギアと等速自在継手のアウターレースとが一体的に形成された差動装置において、アウターレースとデフケースとの間の摺動部分の潤滑性能を確保する。
【解決手段】 1対のピニオンギアと噛み合うサイドギア71は、デフケース40内部にデフケースに対して相対回転可能に支持される。等速自在継手のアウターレース82は、サイドギア71と一体的に形成され、かつ、他部104よりも肉厚の薄い形成された薄肉部102において当接するボール75を介して等速自在継手のインナーレース81と動力伝達可能に接続される。アウターレース82の外周面には、薄肉部102を避けて、他部104に対応する部位に潤滑油を流入させる潤滑油流入路110を形成する。
【選択図】 図5
【解決手段】 1対のピニオンギアと噛み合うサイドギア71は、デフケース40内部にデフケースに対して相対回転可能に支持される。等速自在継手のアウターレース82は、サイドギア71と一体的に形成され、かつ、他部104よりも肉厚の薄い形成された薄肉部102において当接するボール75を介して等速自在継手のインナーレース81と動力伝達可能に接続される。アウターレース82の外周面には、薄肉部102を避けて、他部104に対応する部位に潤滑油を流入させる潤滑油流入路110を形成する。
【選択図】 図5
Description
この発明は、差動装置に関し、より特定的には差動装置の潤滑構造に関する。
従来、差動装置(ディファレンシャルギア)が格納されたデフケース内には、1対のサイドギアがデフケースと摺動回転可能に配置される。この摺動回転部の潤滑を十分に行なうために、当該摺動回転部のサイドギア軸部の外周面に螺旋状の潤滑油供給路を形成することによって潤滑油を供給する技術が知られている(たとえば特許文献1)。
特開平8−247261号公報
ところで、差動装置等から構成される動力伝達装置の小型化の観点から、差動装置のサイドギアと一体に等速自在継手(CVJ)のアウターレースを形成し、当該アウターレースとデフケースとを摺動回転可能に配設する一体化構造が開発されている。このような一体化構造では、アウターレースおよびデフケースの摺動部分に潤滑油供給路を形成して潤滑性能を確保する構成が考えられる。
しかしながら、上記一体化構造では、等速自在継手のアウターレースにおいて、インナーレースとの間に介挿される転動体(ベアリング)の部分が他部分よりも薄肉とされるのが一般的である。このため、上記のように螺旋状の潤滑油供給路を形成すると、アウターレースの薄肉部の強度を確保することが困難になるという問題が生じてしまう。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、サイドギアと一体に等速自在継手のアウターレースが形成された一体化構造の差動装置において、アウターレースとデフケースとの間の摺動部分の潤滑性能を適切に確保可能な構造を提供することである。
この発明による差動装置は、1対のピニオンギアと、サイドギアと、等速自在継手のアウターレースとを備える。1対のピニオンギアは、デフケース内部にデフケースに対して相対回転可能に支持される。サイドギアは、デフケース内部にデフケースに対して相対回転可能に支持されて、1対のピニオンギアと噛み合う。等速自在継手のアウターレースは、サイドギア基部に一体的に形成され、かつ、アウターレースの径方向において他部よりも薄く形成された薄肉部において当接する転動体を介して等速自在継手のインナーレースと動力伝達可能に接続される。アウターレース外周面は、デフケースと摺動回転可能に配設され、アウターレース外周面の他部に対応する部位には、潤滑油を流入させる潤滑油流入路が形成される。
好ましくは、潤滑油流入路におけるデフケースおよびアウターレース間のギャップは、薄肉部におけるデフケースおよびアウターレース間のギャップよりも大きい。
また好ましくは、潤滑油流入路は、アウターレース外周面の他部において、所定の基準断面を所定の基準線に沿って一次元的に移動させたときの軌跡がアウターレースと重なる領域に相当する空間によって形成される。
さらに好ましくは、基準断面のアウターレース外周との接触線は直線または曲線である。
また、さらに好ましくは、基準線は直線または曲線で構成される。あるいは、基準線はリングギアの軸と非平行な直線である。
あるいは好ましくは、潤滑油流入路は、サイドギアの回転軸方向から見てアンダーカットが存在しないような形状を有する
また好ましくは、潤滑油流入路は、各薄肉部において円弧を描くように加工されたアウターレースの外周面と、デフケースの円筒内面との間の空間によって形成され、円弧の曲率半径は、サイドギアの外径の半径よりも小さい。
また好ましくは、潤滑油流入路は、各薄肉部において円弧を描くように加工されたアウターレースの外周面と、デフケースの円筒内面との間の空間によって形成され、円弧の曲率半径は、サイドギアの外径の半径よりも小さい。
あるいは好ましくは、潤滑油流入路は、他部において、サイドギアの回転軸方向に沿って、複数個分割配置される。
この発明による差動装置は、コンパクト化のためにリングギアと一体化された等速自在継手のアウターレースの外周面に、転動体の位置に対応する薄肉部を避けて潤滑油流入路を形成する。これにより、薄肉部におけるアウターレースの強度を損なうことなく、アウターレースとデフケースとの間の摺動部の潤滑性能を確保できる。
また、潤滑油流入路におけるデフケースおよびアウターレース間のギャップが摺動部におけるギャップより大きいため、潤滑油は、くさび作用によって高圧力で摺動部へ浸入できる。これにより、摺動部のオイル介在性が向上し、潤滑性を向上できる。
さらに、所定の基準断面を所定の基準線に沿って一次元的に移動させたときの軌跡がアウターレースと重なる領域に相当する空間によって潤滑油流入路を形成することにより、円筒状のリングギア(アウターレース)の外周に対して、基準断面に相当する歯具を一次元的に操作する簡易な切削作業によって、潤滑油流入路を形成することが可能となる。これにより、潤滑油流入路の加工コストを低減できる。
特に、基準断面のアウターレース外周との接触線が曲線である場合には、アウターレースの周方向に沿った中心および端部のギャップ差をより大きくできるので、より強力なくさび作用によって摺動部へのオイル介在性をさらに向上させることができる。
また、基準線がリングギアの回転軸と非平行な直線である場合には、潤滑油流入路の体積確保により潤滑油の保持量が増加するので、摺動部での潤滑性能を向上できる。
特に、基準線が曲線で構成される場合には、歯具(基準断面)の一次元的操作を曲線状とすることができるので、たとえばフライス盤やグラインダのようなもので潤滑油流入路を形成するための切削作業が可能となるので、加工コストをさらに低減させることができる。
さらに、潤滑油流入路を、サイドギアの回転軸方向から見てアンダーカットが存在しないような形状とすることにより、サイドギア(アウターレース)を成形する鍛造工程において、アウターレースの外形と一体的に潤滑油流入路を形成可能となる。これにより、鍛造の型形状を変更するのみで、潤滑油流入路のための新たな加工工程を設けることなく潤滑油流入路を形成できるので、加工コストを低減できる。
また、各薄肉部において円弧を描くように加工されたアウターレースの外周面と、デフケースの円筒内面との間の空間によって形成される潤滑油流入路について、上記円弧の曲率半径をサイドギアの外径の半径よりも小さく設計することにより、潤滑油流入路の周方向の幅を最大限確保することができる。これにより、潤滑油流入路の体積、すなわち潤滑油の保持量を増加できるので、摺動部の潤滑性能をさらに向上させることができる。
あるいは、潤滑油流入路をサイドギアの回転軸方向に沿って複数個分割配置することにより、潤滑油流入路内におけるサイドギア回転軸方向に沿った潤滑油の流出を抑制することができる。これにより、潤滑油の保持性能が向上し、摺動部への潤滑油供給量を増やして潤滑性能を向上させることができる。また、複数個の潤滑油流入路を設けることにより、接触面の面積や、アウターレース(サイドギア)の強度などを任意に調整した設計が簡易に行なえる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では同一または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明に実施の形態による差動装置の断面図である。
図1は、この発明に実施の形態による差動装置の断面図である。
図1を参照して、この発明による差動装置1は、デフケース40内部に対して相対回転可能に支持された1対のピニオンギア61と、デフケース40内部にデフケース40に対して相対回転可能に支持されて、かつ1対のピニオンギア61と噛み合うサイドギア71と、サイドギア71の基部71aに一体的に形成された等速自在継手(CVJ)80のアウターレース82とを備える。
すなわち、等速自在継手80のアウターレース82とサイドギア71とは一体化されている。サイドギア71と一体化されたアウターレース82は、「転動体」に相当するボール75を介して、等速自在継手80のインナーレース81と動力伝達可能に接続される。アウターレース82の外周面は、デフケース40と摺動回転可能に配設される。さらに、アウターレース82の外周面には、摺動部90の潤滑性を確保するために、後程詳細に説明する「潤滑油流入路」が設けられている。
差動装置1はデフキャリア10を有する。デフキャリア10内には、ドライブピニオン20が設けられている。ドライブピニオン20はプロペラシャフトからの動力を伝達する部材であり、複数のベアリングによりデフキャリア10内に保持されている。ドライブピニオン20にはヘリカル歯が形成されており、このヘリカル歯がリングギア30のヘリカル歯と噛み合っている。
デフキャリア10内にはデフケース40が設けられている。デフケース40はサイドベアリング43によりデフキャリア10内で回転可能(回転軸40a)に保持されている。デフケース40は内部空間40iを有する。内部空間40iにおいて、ピニオンシャフト50が固定されており、ピニオンシャフト50に回転可能(自転可能)にピニオンギア61が取付けられている。ピニオンシャフト50は、ピン51を用いてデフケース40に固定されている。
動力伝達部材としてのピニオンギア61は、自転可能に支持される。サイドギア71はデフケース40の内部空間40iに設けられて、その歯部71bは、デフケース40とともに公転するピニオンギア61と噛み合う。
サイドギア71は、等速自在継手80を介してドライブシャフト83と接続されている。等速自在継手80は、アウターレース82、ボール75およびインナーレース81により構成される。ドライブシャフト83には、ブーツ85が取付けられており、外部からのゴミなどの侵入を防止することができる。ボール75は保持器76により保持されている。
このように、等速自在継手80のアウターレース82およびサイドギア71が一体化された差動装置(以下、「一体化構造の差動装置」とも称する)は、回転軸40a方向の寸法を縮小してコンパクト化を図ることができる。一体化構造の差動装置1では、アウターレース82およびデフケース40の間の摺動部90の径は、図1に示すようにφD1となる。
図2には、比較のために、等速自在継手80およびサイドギア71を一体化しない構造の差動装置の構造の概略を示している。
図2に示される差動装置では、サイドギア71および等速自在継手80を一体化しないため、回転軸40a方向に沿った寸法は長大化するものの、摺動部90の摺動面径φD2は、図1に示した差動装置1における摺動部径φD1よりも小さくなる。
このように一体化構造の差動装置1では、図2に示された差動装置に対して、摺動部径が大きいため摺動部の周速が大きくなる。このため、潤滑油が焼付きやすくなるため潤滑性能の確保が問題となる。
たとえば、図3に示すような螺旋状溝92を摺動部90の表面、すなわちデフケース40の円筒内面およびアウターレース82の外周面に設けることにより、潤滑油の介在性を向上させることができる。しかしながら、このような溝加工は高コスト化を招く。特に、一体化構造の差動装置1では、摺動部径の拡大によって加工面積が広くなってしまうので、溝加工の高コスト化の影響がさらに顕著になってしまう。
また、アウターレース82の外周面に図3に示すような螺旋状溝を設けると、加工コストの面のみでなく、以下に説明するような強度面での問題をも招いてしまう。
図4は、等速自在継手の構造を説明する断面図である。
図4(a)には、バーフィールドタイプ、ダブルオフセットタイプおよびクロスグルーブタイプの等速自在継手の断面図が示される。
図4(a)に示されるように、等速自在継手80は、ドライブシャフト83のまわりに形成されるインナーレース81と、サイドギア71と一体化されたアウターレース82とを含む。インナーレース81とアウターレース82との間には、「転動体」であるボール75および保持器76が設けられる。
等速自在継手80にはボール75が内蔵されるため、アウターレース82には、ボール75の配置個所に対応して、他の部位104(以下、「他部104」とも称する)よりも径方向について相対的に肉厚の薄い薄肉部102が存在するようになる。
アウターレース82は、薄肉部102において当接するボール75を介して、インナーレース81と動力伝達可能に接続される。
同様に、図4(b)に示されるトリポードタイプの等速自在継手80においても、「転動体」に相当するローラ75♯の配置に対応してアウターレース82の肉厚差が生じ、図4(a)と同様の薄肉部102および他部104が存在する。
一体化構造の差動装置1では、等速自在継手80のアウターレース82の外周面と円筒状のデフケース40との間に摺動部90が形成されるため、当該摺動部90全面に図3に示したような螺旋状溝92を形成すると、薄肉部102の上面にも溝加工を施すことになり、当該薄肉部の強度が低下してしまう。
したがって、この発明の実施の形態による一体化構造の差動装置1では、潤滑油を摺動部に介在させるための潤滑油流入路を以下に説明するように設けることにより、サイドギア71と一体化されたアウターレース82の強度の確保と、アウターレース外周面に形成される摺動部90の潤滑性能確保とを両立させる。
図5は、この発明の実施の形態1による潤滑油流入路の配置を説明する図である。
図5を参照して、この発明の実施の形態1による差動装置造では、サイドギア71と一体的に形成されたアウターレース82の外周面上において、隣接するボール75間(すなわち薄肉部102)をまたがない領域105ごとに独立して、潤滑油流入路110を構成する空間が設けられる。これにより、潤滑油流入路110は、アウターレース82の外周面上において、薄肉部102に対応する部位を避けて、他部104に対応する部位に設けられる。
潤滑油流入路110においては、アウターレース82はデフケース40とは接触しなくなる。このため、図6に示されるように、この発明によるサイドギア71(アウターレース82)では、デフケース40との接触面および非接触面とが周方向に沿って交互に存在することになる。
このように、薄肉部102を避けて潤滑油流入路110を構成する空間を設けることにより、薄肉部102におけるアウターレース82の強度が損なわれることがない。
図7は、図5におけるVII領域の拡大図である。
図7を参照して、潤滑油流入路110に流入した潤滑油111は、アウターレース82の差動回転に伴って、隣接の摺動部90へ流入する。潤滑油流入路110におけるデフケース40およびアウターレース82間のギャップが摺動部90における当該ギャップより大きいため、潤滑油111は、くさび作用によって高圧力で摺動部90へ浸入する。
これにより、摺動部90のオイル介在性が向上され、摺動部90の面径および周速の大きい一体型構造の差動装置においても、アウターレース82の強度を損なうことなく、摺動部の潤滑性を確保することができる。
次に、図5〜図7に示したこの発明の実施の形態1による潤滑油流入路110の形成例を図8〜図12を用いて説明する。
図8は、この発明の実施の形態1による潤滑油流入路の第1の形成例を説明する図である。図8(a)〜(d)は、図6と同様のサイドギア(アウターレース一体化)の外観図であり、図8(e)は、図5と同様の断面図である。
図8(a)を参照して、潤滑油流入路形成における基準平面150は、サイドギア71の軸線に相当する回転軸40aと平行な直線に設定される。さらに、図8(b)に示されるように、アウターレース82との接触線が直線で構成される基準断面160が設定される。基準断面160は、基準平面150に対して垂直に設定される。
基準断面160は、基準平面150上に回転軸40aと平行に設定される基準線170に沿って、他部104に対応する部位を一次元的に移動する。これにより、図8(c)に示されるように、基準断面160の軌跡がアウターレース82と重なる領域に相当する空間が、アウターレース82外周の他部104において切削される。
このように切削された空間によって、図8(d)および図8(e)に示されるように、
回転軸40a方向でギャップが一様な潤滑油流入路110を、薄肉部102を避けた他部104に形成することができる。
回転軸40a方向でギャップが一様な潤滑油流入路110を、薄肉部102を避けた他部104に形成することができる。
図9は、この発明の実施の形態1による潤滑油流入路の第2の形成例を説明する図である。図9(a)〜(d)は、図6と同様のサイドギア(アウターレース一体化)の外観図であり、図9(e)は、図5と同様の断面図である。
図9(a)を参照して、基準平面150は、図8(a)と同様に設定される。図9(b)に示されるように、基準断面161は、基準断面160とは異なり、アウターレース82との接触線が曲線形状を有する。一方、基準線170は、図8(b)と同様に設定される。
基準断面161は、基準線170に沿って他部104に対応する部位を一次元的に移動する。これにより、図9(c)に示されるように、基準断面161の軌跡がアウターレース82と重なる領域に相当する空間が、アウターレース82外周の他部104において切削される。
このように切削された空間によって、図9(d)および図9(e)に示されるような潤滑油流入路110を、薄肉部102を避けた他部104に形成することができる。なお、図9(a)〜(e)による潤滑油流入路110は、アウターレースの周方向に沿った中心および端部のギャップ差をより大きくできるので、より強力なくさび作用によって摺動部90へのオイル介在性をさらに向上させることができる。
図10は、この発明の実施の形態1による潤滑油流入路の第3の形成例を説明する図である。図10(a)〜(d)は、図6と同様のサイドギア(アウターレース一体化)の外観図である。
図10(a)を参照して、基準平面150は、図8(a)と同様に設定される。図10(b)に示されるように、基準線171は、基準線170とは異なり、回転軸40aに対して傾いた(非平行な)直線に設定される。一方、基準断面160は、図8(b)と同様に設定される。
基準断面160は、基準線171に沿って他部104に対応する部位を一次元的に移動する。これにより、図10(c)に示されるように、基準断面160の軌跡がアウターレース82と重なる領域に相当する空間が、アウターレース82外周の他部104において切削される。
このように切削された空間によって、図10(d)に示されるような潤滑油流入路110を、薄肉部102を避けた他部104に形成することができる。なお、図10(a)〜(d)による潤滑油流入路110は、回転軸40aと平行な基準線で切削した場合よりも、空間の体積を確保できる。このため、潤滑油流入路110における潤滑油の保持量が増加するので、摺動部90へのオイル介在性をさらに向上させることができる。
図11は、この発明の実施の形態1による潤滑油流入路の第4の形成例を説明する図である。図11(a)〜(d)は、図6と同様のサイドギア(アウターレース一体化)の外観図である。
図11(a)を参照して、基準平面150は、図8(a)と同様に設定される。図11(b)に示されるように、基準線172は、基準線170とは異なり、曲線状に設定される。一方、基準断面160は、図8(b)と同様に設定される。基準断面160は、基準線172に沿って他部104に対応する部位を一次元的に移動する。
これにより、図11(c)に示されるように、基準断面160の軌跡がアウターレース82と重なる領域に相当する空間が、アウターレース82外周の他部104において切削される。このように切削された空間によって、図11(d)に示されるような潤滑油流入路110を、薄肉部102を避けた他部104に形成することができる。
図11(a)〜(d)に示すように、基準線を曲線状としても潤滑油流入路110を形成できる。
図8〜図11に示した例では、基準断面160,161に相当する歯具を一次元的に操作する切削作業によって、潤滑油流入路110を形成することが可能となる。これにより、簡易な加工で潤滑油流入路を形成することができるため、螺旋状溝を摺動部全周に形成する場合と比較して加工コストを低減できる。
特に、図11に示された例では、歯具(基準断面)の一次元的操作を曲線状とすることができるので、たとえばフライス盤やグラインダのようなもので潤滑油流入路を形成するための切削作業が可能となる。これにより、加工コストをさらに低下させることができる。
以上では、図4(a)で言及した、バーフィールドタイプ、ダブルオフセットタイプおよびクロスグループタイプの等速自在継手での潤滑油流入路の形成について説明したが、図4(b)に示したトリポードタイプの等速自在継手についても、実施の形態1による潤滑油流入路を形成することができる。
図12は、この発明の実施の形態1による潤滑油流入路の第5の形成例として示される、トリポードタイプの等速自在継手における潤滑油流入路の形成例を説明する図である。図12(a),(b)は、図4(b)と同様の断面図である。
図12(a)を参照して、薄肉部102を避けた他部104に対して、図9または図11と同様の切削作業を行なうことにより、曲線状の切削断面による潤滑油流入路110を形成することが可能である。
また、図12(b)を参照して、他部104に対して図8または図10と同様の切削作業を行なうことにより、直線状の切削断面112♯による潤滑油流入路110を形成することが可能である。
このように、この発明の実施の形態1による差動装置においては、サイドギア71と一体加工されたアウターレース82の強度を損なうことなく摺動部の潤滑性を確保可能な潤滑油流入路を、成形されたサイドギア71(アウターレース82)外周の切削作業によって低コストで作成できる。
[実施の形態2]
一般に、サイドギア71(アウターレース82)は、鍛造工程によって作製される。このため、実施の形態2においては、当該鍛造工程において、アウターレース82の外形一体的に形成可能な潤滑油流入路の形状について説明する。
一般に、サイドギア71(アウターレース82)は、鍛造工程によって作製される。このため、実施の形態2においては、当該鍛造工程において、アウターレース82の外形一体的に形成可能な潤滑油流入路の形状について説明する。
図13は、この発明の実施の形態2による潤滑油流入路の形状を説明する図である。
図13を参照して、実施の形態2による潤滑油流入路110は、アウターレース82と一体的に加工されたサイドギア71を、サイドギアの回転軸(40a)に沿って正面側または背面側方向から見て、アンダーカットがない状態で形成される。
すなわち、図13(a)に示すように、潤滑油流入路110の外周面115とのギャップは、サイドギアの回転軸40aに沿って、徐々に小さくあるいは大きくなっていき、ギャップが減少から増加にあるいは増加から減少へ逆転する部位が存在しない形状となる。この結果、図13(b)に示されるように、図13(a)におけるA方向から見て、潤滑油流入路110は、アンダーカットがなく全域が見渡せる形状となる。
一方、図14(a)に示されるように、潤滑油流入路110に、端部122よりもギャップの大きいアンダーカット部121が存在する形状では、鍛造工具である型200の形状は、図14(b)に示すようになる。このため、A方向に沿った操作で、型200を脱入することができなくなってしまう。
図15は、鍛造工程の概略を説明する概念図である。
図15(a)を参照して、鍛造の型200および210には、粗材250を鍛造加工するために、サイドギア71(アウターレース82)の外形が型取られる。型200には、潤滑油流入路を形成するための溝成形部205が予め設けられている。
図15(b)を参照して、鍛造の型200に挿入された粗材250は、型210によって圧縮力201が加えられて、鍛造加工される。
図15(c)を参照して、粗材250を型200および210に形成された形状に応じた外形に鍛造加工することによって、アウターレース82と一体加工されたサイドギア71が成形される。サイドギア71(アウターレース82)の表面には、溝成形部205の形状に対応した潤滑油流入路110が形成される。
なお、図16(a)〜(c)に示されるように、サイドギアの回転軸40aに沿ったA方向(サイドギア背面側)から見てアンダーカットがない形状に潤滑油流入路110を設計することにより、図16(b)に示されるように、矢印201方向に型200を挿入し、圧縮力を与えた後に矢印202に沿った方向(すなわちサイドギア回転軸方向)に沿って型200を引抜くことができる。
あるいは、図17(a)〜(c)に示されるように、図16(a)に示したA方向と反対のA′方向(サイドギア正面側)から見てアンダーカットがない形状に潤滑油流入路110の形状を設計しても、同様の効果が得られる。この場合にも図17(b)に示した矢印201方向に型200を挿入し、圧縮力を与えた後に矢印202に沿った方向(すなわちサイドギア回転軸方向)に沿って型200を引抜くことができる。
なお、図16および図17では、図8〜図11と同様に、単一の潤滑油流入路110の形成作業として記載したが、図15にも示したように、各潤滑油流入路110は鍛造工程で同時に形成することが可能である。
以上説明したように、実施の形態2による潤滑油流入路は、サイドギア71(アウターレース82)を成形する鍛造工程において、アウターレース82の外形と一体的に形成可能であるので、鍛造の型形状を変更するのみで、新たな加工工程を設ける必要がない。このため、差動装置の加工コストを低減することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、潤滑油流入路の体積を増加することにより、摺動部での潤滑油の介在性を向上させる構造について説明する。
実施の形態3では、潤滑油流入路の体積を増加することにより、摺動部での潤滑油の介在性を向上させる構造について説明する。
図18は、この発明の実施の形態3による潤滑油流入路の形状を説明する図である。図18には、図5と同様の等速自在継手の断面図が示される。
図18(a)を参照して、実施の形態3に従う潤滑油流入路110は、実施の形態1および2と同様に、薄肉部102を避けた他部104に設けられる。
実施の形態3に従う構造においては、各薄肉部102において円弧を描くように加工されたアウターレース82の外周面と、デフケース40の円筒内面との間の空間によって、潤滑油流入路110が形成される。
図18(b)に示されるように、アウターレース82の外周面は、各薄肉部102での円弧96の集合となるように設計される。円弧96は、サイドギア71(アウターレース82)の中心点230とオフセット240を有する中心点220を中心とする。
これにより、円弧96の曲率半径Rは、サイドギア71の外径半径rよりも小さくなる。このような構造とすることにより、図18(c)に示されるように、薄肉部102に対応して残された摺動部90は、デフケース40の円筒面と線接触するようになる。
この結果、潤滑油流入路の周方向の幅97を、最大限確保することができるので、潤滑油流入路110の体積、すなわち潤滑油の保持量を増加できる。これにより、摺動部90の潤滑性能をさらに向上させることが可能となる。
同様の構造は、図19(a),(b)に示すように、トリポードタイプの等速自在継手を用いる場合にも適用できる。
この場合においても、薄肉部102に対応して残される円弧96の中心点220と、サイドギア71の中心点230との間に図18と同様のオフセットを持たせ、サイドギア外径の半径rと、摺動部90を含む円弧96の曲率半径Rとの間にr>Rの関係を設ければよい。
なお、実施の形態3による潤滑油流入路は、実施の形態1で説明したのと同様に歯具の一次元的操作による切削工程により作成できる。あるいは、アンダーカットが無い形状であるので、実施の形態2と同様に、サイドギア(アウターレース)の外形加工のための鍛造工程において、一体的に形成することも可能である。
[実施の形態4]
図20は、この発明の実施の形態4による潤滑油流入路の形状を説明する図である。図20には、図6と同様のサイドギア(アウターレース一体化)の外観図が示される。
図20は、この発明の実施の形態4による潤滑油流入路の形状を説明する図である。図20には、図6と同様のサイドギア(アウターレース一体化)の外観図が示される。
図20を参照して、薄肉部を避けた他部104において、潤滑油流入路110は、回転軸40aに沿った方向に複数個分割配置される。このように、複数個の潤滑油流入路110を設けることにより、接触面の面積や、アウターレース(サイドギア)の強度などを任意に調整した設計が簡易に行なえる。
また、複数個の潤滑油流入路を独立に設けることにより、潤滑油流入路内における回転軸40a方向に沿った潤滑油111の流出を抑制することができる。これにより、潤滑油111の保持性能が向上し、摺動部90への潤滑油供給量を増やして、潤滑性能を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 差動装置、10 デフキャリア、20 ドライブピニオン、30 リングギア、40 デフケース、40a 回転軸、50 ピニオンシャフト、61 ピニオンギア、71 サイドギア、71a サイドギア基部、71b サイドギア歯部、75 ボール(転動体)、75♯ ローラ(転動体)、76 保持器、80 等速自在継手(CVJ)、81 インナーレース(CVJ)、82 アウターレース(CVJ)、83 ドライブシャフト、85 ブーツ、90 摺動部、92 螺旋状溝、102 薄肉部、104 他部、110 潤滑油流入路、111 潤滑油、121 アンダーカット部、122 端部、150 基準平面、160,161 基準断面、170,171,172 基準線、200,210 鍛造型、φD1,φD2 摺動面径。
Claims (11)
- デフケース内部に該デフケースに対して相対回転可能に支持された1対のピニオンギアと、
前記デフケース内部に該デフケースに対して相対回転可能に支持されて、前記1対のピニオンギアと噛み合うサイドギアと、
前記サイドギア基部に一体的に形成された等速自在継手のアウターレースとを備え、
前記アウターレースは、前記アウターレースの径方向において他部よりも薄く形成された薄肉部において当接する転動体を介して前記等速自在継手のインナーレースと動力伝達可能に接続され、
前記アウターレース外周面は、前記デフケースと摺動回転可能に配設され、
前記アウターレース外周面の前記他部に対応する部位には、潤滑油を流入させる潤滑油流入路が形成される、差動装置。 - 前記潤滑油流入路における前記デフケースおよび前記アウターレース間のギャップは、前記薄肉部における前記デフケースおよび前記アウターレース間のギャップよりも大きい、請求項1に記載の差動装置。
- 前記潤滑油流入路は、前記アウターレース外周面の前記他部において、所定の基準断面を所定の基準線に沿って一次元的に移動させたときの軌跡が前記アウターレースと重なる領域に相当する空間によって形成される、請求項1に記載の差動装置。
- 前記基準断面の前記アウターレース外周との接触線は直線である、請求項3に記載の差動装置。
- 前記基準断面の前記アウターレース外周との接触線は曲線である、請求項3に記載の差動装置。
- 前記基準線は直線で構成される、請求項3に記載の差動装置。
- 前記基準線は前記リングギアの回転軸と非平行である、請求項6に記載の差動装置。
- 前記基準線は曲線で構成される、請求項3に記載の差動装置。
- 前記潤滑油流入路は、前記サイドギアの回転軸方向から見てアンダーカットが存在しないような形状を有する、請求項1に記載の差動装置。
- 前記潤滑油流入路は、各前記薄肉部において円弧を描くように加工された前記アウターレースの外周面と、前記デフケースの円筒内面との間の空間によって形成され、
前記円弧の曲率半径は、前記サイドギアの外径の半径よりも小さい、請求項1に記載の差動装置。 - 前記潤滑油流入路は、前記他部において、前記サイドギアの回転軸方向に沿って、複数個分割配置される、請求項1に記載の差動装置。
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