JP2005264300A - アルミニウム複合材の熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Al−Si−Mg系アルミニウム合金に硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材の耐摩耗性を確保しつつ、伸びを向上させることである。
【解決手段】Al−Si−Mg系アルミニウム合金に硬質のSiC粒子を複合させたアルミニウム複合材を熱処理する際に、溶体化処理後の人工時効処理における保持温度を通常レベルよりも高くするとともに、時効処理後の冷却方法を炉冷とし、かつ時効処理の保持温度および保持時間の上限値を適切に設定することにより、アルミニウム合金の部分(母材)の結晶粒が適度に大きくなるようにして、十分な耐摩耗性(母材硬さ:HRB30以上)を確保しつつ、伸びを大幅に向上させたのである。
【選択図】図2

Description

この発明は、Al−Si−Mg系アルミニウム合金に硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材の熱処理方法に関する。
Al−Si−Mg系アルミニウム合金は、鋼に比べて軽量なうえ、熱処理により強度や伸びも機械構造部品に必要な水準に調整できるため、車両用部材や航空機用部材等の素材として広く使用されている。しかし、最近では、このようなアルミニウム合金を使用した部材の中でも、特に他の部材との摺動部を有するものについては、交換周期の延長を図るため、耐摩耗性の向上が求められている。
このような軽量部材の耐摩耗性を向上させるための手段の一つとして、その素材を、アルミニウム合金中にSiC等の高硬度の粒子を均一に分散させたアルミニウム複合材に変更することが考えられる。しかしながら、このアルミニウム複合材は、母材中に分散する硬質粒子にほとんど弾性がないため、通常の熱処理を行っても伸びが低いものとなることは避けられない。
例えば、Siを8〜10wt%、Mgを0.3〜0.6wt%含有するAl−Si−Mg系アルミニウム合金(JIS:AC4A)は、約525℃×約10時間の溶体化処理後に約160℃×約9時間の人工時効処理を行うことにより、約3%の伸びが得られる(例えば、非特許文献1参照。)が、同じ組成のアルミニウム合金に20vol%のSiCを複合させたアルミニウム複合材では、同じ熱処理を行っても、伸びがほぼ0%となってしまう。
従って、硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材は、耐摩耗性には優れるが、ある程度伸びが必要とされる用途には使用できないのが現状であった。
例えば、図1に示す鉄道車両用のブレーキディスク1では、ブレーキ作動時にブレーキパッド4と摺動して入熱される外周部と、車輪3の回転により常に冷却されている内周側ボルト締付部との間に熱膨張差が生じ、この熱膨張差を十分に吸収できるだけの伸びが要求される。従って、このブレーキディスク1の素材として硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材を使用すれば、ボルト締付部に熱亀裂が発生して割れてしまうおそれがある。
「アルミニウムの組織と性質」、軽金属学会、1991年、p.518-521
そこで、この発明の課題は、Al−Si−Mg系アルミニウム合金に硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材の耐摩耗性を確保しつつ、伸びを向上させることである。
上記の課題を解決するため、この発明は、Al−Si−Mg系アルミニウム合金に硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材に対して、溶体化処理後に人工時効処理を行う熱処理方法において、前記時効処理の保持温度を280〜300℃とし、保持時間を下記(1)式が成立する範囲(図3参照)内で設定するとともに、前記時効処理後の冷却方法を炉冷としたのである。
−1.5θ+480≦T≦−4.5θ+1380 ・・・ (1)
ここで、θ:保持温度(℃)、T:保持時間(分)
すなわち、人工時効処理における保持温度を通常レベルよりも高くすること、および時効処理後の冷却方法を通常の空冷から炉冷に変更して冷却速度を小さくすることにより、アルミニウム合金の部分(以下、「母材」とも記す。)の結晶粒を大きくして、伸びを向上させ、同時に、時効処理の保持温度および保持時間の上限値を適切に設定することにより、母材の結晶粒の過度の成長による硬度低下を防止して、十分な耐摩耗性が得られるようにしたのである。
ここで、時効処理における保持温度と保持時間の条件は、実験により伸びと耐摩耗性について望ましい特性が得られる組合せを求め、これらの各組合せの間の保持温度を設定した場合は、熱処理に関する一般的な知見から、望ましい特性を得るための保持時間がほぼ直線的に変化すると推定して、上記の範囲を設定した。
この発明は、上述したように、アルミニウム複合材を熱処理する際に、時効処理の保持温度を通常レベルよりも高くするとともに時効処理後の冷却方法を炉冷として、母材の結晶粒の成長を促し、かつ時効処理の保持温度および保持時間の上限値を適切に設定して、母材結晶粒の過度の成長を防止することにより、母材結晶粒が適度に大きくなるようにしたので、十分な耐摩耗性を確保しつつ、伸びを大幅に向上させることができる。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1は、この実施形態の熱処理の対象となる鉄道車両用ブレーキディスク1を示す。このブレーキディスク1は、中央の取付孔1aの周縁に複数のボルト孔1bを有する円盤状に形成されており、鉄道車両の車軸2の外径に嵌め込まれて車輪3にボルト締めされた状態で使用され、ブレーキ作動時には外周部にブレーキパッド4が押し付けられるようになっている。
このディスク1では、前述のように、ブレーキ作動時にパッド4との摺動により入熱される外周部と、車輪3の回転により常に冷却されている内周側ボルト締付部との間に熱膨張差が生じるため、この熱膨張差を吸収できるだけの伸び(0.65%以上)が必要である。
一方、パッド4との頻繁な摺動に耐えられるだけの耐摩耗性を確保するためには、アルミニウム合金の部分(母材)の硬さは、ロックウェルB硬さでHRB30以上であることが望ましい。ただし、母材が硬くなるほど全体の伸びは低下するので、上記の伸びを確実に得るには、母材硬さをHRB50以下とする必要がある。なお、伸びの下限値および母材硬さの範囲は、本発明者らが実験等から得た知見に基づいて設定したものである。
この実施形態では、前記ブレーキディスク1を、Siを8〜10wt%、Mgを0.3〜0.6wt%含有するAl−Si−Mg系アルミニウム合金(JIS:AC4A)に20vol%のSiC粒子を均一に分散させたアルミニウム複合材で形成し、本発明を適用した熱処理を行って、伸びの向上と耐摩耗性の確保の両立を図った。
ここで、前記アルミニウム複合材の伸びに対する本発明の熱処理方法の効果を確認するため、以下の実験を行った。実験は、アルミニウム複合材の試験片を9個用意し、各試験片に対してそれぞれ異なる熱処理を行って、熱処理後の硬さや伸び等の機械的性質を調査した。各試験片の熱処理条件としては、溶体化処理およびその後の冷却を同一条件(保持温度:538℃、保持時間:16Hr、冷却方法:水冷)で行い、人工時効処理の保持温度と保持時間およびその後の冷却方法を変化させた。
図2は、各試験片の熱処理条件と機械的性質の測定結果を示す。時効処理の保持温度および保持時間を本発明で規定する範囲(図3参照)内で設定し、時効処理後に炉冷したもの(実施例1〜3)は、いずれも母材硬さがHRB30〜50の範囲にあり、0.65%を上回る伸びが得られている。これに対して、通常レベルの保持温度および保持時間で時効処理を行って空冷したもの(比較例1、2)は、母材硬さがHRB50を越えており、伸びが非常に低いレベルにある。
また、時効処理の温度および時間を本発明の範囲内で設定しても、時効処理後の冷却方法を通常と同じく空冷とした場合(比較例3、4)は、母材硬さがHRB50を越えており、伸びの測定は行っていないが、必要な伸びが得られる可能性は少ない。
一方、時効処理後の冷却方法を炉冷とした場合でも、時効処理の温度を本発明で規定する下限値未満としたもの(比較例5)は、母材硬さがHRB50を越えてしまう。また、時効処理の温度を本発明の範囲内で設定し、時間が本発明で規定する上限値を越えるようにしたもの(比較例6)は、母材硬さがHRB30未満となっており、十分な耐摩耗性が得られない可能性が高い。
これらの結果から、本発明の熱処理方法を適用して、時効処理の温度および時間を適切に設定し、時効処理後に炉冷することにより、母材の結晶粒が適度に大きくなって伸びが大幅に向上し、耐摩耗性も確保できることが確認された。
なお、各実施例の強度(抗張力、0.2%耐力)は、通常の標準的な熱処理を行った比較例1に比べると低いが、ブレーキディスクに必要なレベルは確保されている。
従って、前記アルミニウム複合材を素材として形成したブレーキディスクに対して、本発明の熱処理を行うことにより、ディスク内周側と外周側の熱膨張差を吸収する伸びと十分な耐摩耗性がともに得られ、ディスクを長期間安定して使用できるようになる。
一般的な鉄道車両用のブレーキディスクの正面図 アルミニウム複合材の伸びに対する本発明の熱処理方法の効果を示す表 本発明の時効処理の保持温度および保持時間の範囲を示す説明図
符号の説明
1 ブレーキディスク
1a 取付孔
1b ボルト孔
2 車軸
3 車輪
4 ブレーキパッド

Claims (1)

  1. Al−Si−Mg系アルミニウム合金に硬質粒子を複合させたアルミニウム複合材に対して、溶体化処理後に人工時効処理を行う熱処理方法において、前記時効処理の保持温度を280〜300℃とし、保持時間を下記(1)式が成立する範囲内で設定するとともに、前記時効処理後の冷却方法を炉冷としたことを特徴とするアルミニウム複合材の熱処理方法。
    −1.5θ+480≦T≦−4.5θ+1380 ・・・ (1)
    ここで、θ:保持温度(℃)、T:保持時間(分)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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